「陰の実力者になりたくて!」は、逢沢大介 氏による日本の小説。
異世界ファンタジーとコメディの要素を持ち、主人公のㇱドが、ヒーローではなく、陰で世界を牛耳る様な「陰の実力者」に憧れているというストーリー。
小説版は、小説家になろうにて2018年1月から掲載され、書籍版はエンターブレイン(KADOKAWA)より2018年11月から刊行。
また、漫画版やアニメ版も制作されている。
特徴は、ストーリー展開がメチャクチャ飛びまくる。
どうやら読者にアンケートして面白い展開を決めてたらしい。
だから展開が予想の斜め上や下に行くからメチャクチャに感じてしまう。
そして、それが面白い。
小説版3巻の後約2年間新刊が出てなかったが。、
アニメ化発表と同時に4巻を発売したのが21年3月くらい。
アニメ1期放映中(2022年12月28日)に5巻を発売。
そして、アニメ2期放映中(2023年10月30日)に6巻を発売。
小説家になろうの分は既に超えており。
いつエタるか判らない。
止まらないでください!!!
アニメ1期(全20話)は1,2巻分が大好評。
小説3巻、4巻部分を2期(全12話)で放送すると思われる。
読んだ本のタイトル
陰の実力者になりたくて ! 01(The Eminence in Shadow, Vol. 1 英語版)
著者: #逢沢大介 氏
イラスト: #東西 氏
あらすじ・内容
『我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者……』
みたいな中二病設定を楽しんでいたら、まさかの現実に!?主人公でも、ラスボスでもない。
普段は実力を隠してモブに徹し、物語に陰ながら介入して密かに実力を示す「陰の実力者」。
この「陰の実力者」に憧れ、日々モブとして目立たず生活しながら、
力を求めて修業していた少年は、事故で命を失い、異世界に転生した。これ幸いと少年・シドは異世界で「陰の実力者」設定を楽しむために、
「妄想」で作り上げた「闇の教団」を倒すべく(おふざけで)暗躍していたところ、
どうやら本当に、その「闇の教団」が存在していて……?ノリで配下にした少女たちは勘違いからシドを崇拝し、
シドは本人も知らぬところで本物の「陰の実力者」になっていき、
そしてシドが率いる陰の組織「シャドウガーデン」は、やがて世界の闇を滅ぼしていくーー。『小説家になろう』の超人気作が、加筆修正の上、待望の単行本化!
感想
陰の実力者になりたくて、色々な修行を密かに行い、普段はおバカなモブキャラを演じていた主人公。
それでも人間の限界を感じながら、その上を行く力を求めて行った。
目標は核兵器に耐えられる存在になる事。。
アホか?
そして、魔力を見つけ、狂喜乱舞してたら、、、
車に轢かれて亡くなった。
うわ、、
そして、場面が変わって彼は転生していた。
そこから続けるモブキャラを装い、裏では魔法を用いて過酷な修行をする日々。
そんな10歳になったある日、腕試しに盗賊を襲うと。。
変な肉塊を見付ける。
その肉塊は、、
かつて彼自身が罹患した魔力暴走に似ていたので試しに治してみたら美しいエルフの少女になった。
この肉塊は現在「悪魔憑き」と呼ばれており。
教会に通報したら、民衆に晒して浄化と称して処刑される忌み嫌われる存在だったが、、
彼なら治せる、膨大な魔力を持つ者が罹患する病気だった、、
コレを厨二病の脳が垂れ流す御伽噺を元にした適当な設定で、エルフの少女に「魔神ディアボロス教団」の説明をしたら、、
その教団は実在していた。
いや、本当に。。
戦力の底上げが必要といって彼は厨二病の遊びと思ってやっていた。
そしたら、エルフ少女が、悪魔憑きの仲間を彼の前に連れて来て仲間が増えた。
闇で闇を葬る組織、シャドーガーデンとして。
彼が13歳になった時。
姉が英雄の末裔の疑いで教団に拉致されたのだが、、
シャドーガーデン達が姉を救出。
でも、その作戦は厨二病の彼の脳がテキトーに作った作戦だった。
そして、教団の幹部が逃げたら彼が回り込んでいた。。
いや、ただ単に迷ってただけ、、
15歳になる。
学園に通い、モブな友人が出来る。
そんな彼等と勝負をして負けた彼は、、
自国の第二王女に罰ゲームで告白したら受理されてしまう。
普通はダメなのに受理されてしまう。
そしたら、王女もウザイ婚約者から逃げる為に藁にも縋る気持ちだったようだ。
そんな彼女の婚約者は、、、
イケメンで評判も良かったのだが教団のメンバーだった。
そして、王族の血が必要で王女を拉致拘束して実験をしたのだが、、
シャドーガーデンに襲撃されて壊滅。
王女の婚約も白紙になった。
そんな騒動の後に、教団の幹部が学園でテロを起こしてしまう。
それを犠牲者第一号の名誉のために率先して斬られに行って最初の犠牲者になり。
陰で動き出す。
そこで暗躍するのだが、、
なんか少しバランスが悪いような、、
いや、面白いのだが、彼の立ち位置が曖昧になってる気がする。
陰の実力者ポジションをしながらも物語に近づき過ぎて曖昧になってるような、、
まぁ、いいかな。
面白いし。
あと、表のヒロインが王女ばかりなので混同してしまった。
まぁ、あまり表の舞台は関係ないからいいのだけどね。。
そこが残念だ。
noteにも投稿しております。
陰の実力者になりたくて! 01アニメ PV
そして、アニメ2期制作決定
2023年10月から放送開始!!!
同シリーズ
陰の実力者になりたくて! シリーズ
小説版
漫画版
陰の実力者になりたくて グッズ
備忘録
序章
自分が「陰の実力者」に憧れたきっかけは覚えていないが、物心がついた頃からそうなりたいと願っていた。
アニメや漫画、映画に登場する主人公でもラスボスでもない、物語に陰ながら関わり実力を見せる存在に憧れていた。
これはヒーローに憧れる子供たちとは異なり、深い心の底で燃え続ける情熱であった。
そのため、空手やボクシング、剣道、総合格闘技などを習得し、実力を隠し続けた。
学校では目立たない普通の生徒を装いながら、裏では修行に青春を費やしていた。
しかし、現実と向き合う時が来た。
どんなに格闘技を極めても「陰の実力者」のような圧倒的な力は手に入らないと悟り、せいぜいチンピラ数人を倒す程度の力しか得られないことに気付いた。
軍人に囲まれたら無力であり、核が落ちてきたら蒸発してしまう。
核に対抗するためには未知の力、つまり魔力やマナ、気、オーラが必要だと結論づけた。
魔力を探している人がいないが、存在しないことも証明されていない。
この力は狂気の先にあると信じ、座禅や滝行、瞑想、断食、ヨガ、改宗、精霊探し、神への祈りなどの修行を続けた。
正解は存在せず、暗闇の中で信じた道を突き進むのみであった。
そして、高校最後の夏を迎えるも、魔力やマナ、気、オーラはまだ見つかっていない。
修行を終えると、あたりは暗くなっていた。
主人公は服を着直し、未知の力をまだ得ていないものの、修行には手応えを感じていた。
視界が揺れ、頭が輝くような感覚を覚え、修行は充実していたと感じる。
森で全裸になり、木に頭を打ち続けることで雑念を排除し、未知の力の覚醒を促そうとしていた。
その後、視界がぼやけ、ふわふわとした足取りで森を下ると、不思議な光を見つけた。
主人公はそれを魔力と確信し、光に向かって走った。
しかし、その光は車のヘッドライトであり、車に轢かれる形で意識を失う。
目が覚めると、主人公は転生し、生後数カ月の男児となっていた。
周囲には魔力が満ちており、主人公はその魔力をすぐに認識し操ることができた。
前世の修行は無駄ではなく、現在の力に繋がっていると感じた。
現在、赤子の余った時間を修行に使い、「陰の実力者」を目指している。
最後に、赤子の生理現象に対処しながら、人を呼び寄せることができるようになった。
およそ10年が経過し、主人公は魔力の凄さを実感している。
人間の限界を超えた力で、岩を持ち上げ、馬より速く走り、家より高く跳ぶことができる。
しかし核の力にはまだ及ばない。
この世界に核は存在しないが、妥協して「陰の実力者」になることには価値がないと考え、核に勝る力を目標としている。
そのため、日々研究と修行を重ね、一つの可能性に取り組んでいる。
主人公の生家は貴族であり、魔力で体を強化する魔剣士を代々輩出しているが、主人公は平凡な魔剣士見習いとして育っている。
「陰の実力者」は実力を見せる相手と場所を選ぶべきだからである。
魔剣士見習いとしての修行は、この世界の魔力を使った戦い方を学ぶ良い機会となっている。
前世で学んだ戦いの技術はこの世界よりも洗練されていたが、魔力の存在が大きな違いをもたらしている。
この世界の技術は国や流派を超えて広がらず、技術の融合や淘汰がないため、洗練されていない。
しかし、魔力により基本的な身体能力が異なり、例えば片手で人を持ち上げる力があるため、寝技の常識が崩れる。
主人公はこの世界の戦い方に慣れるのに時間がかかったが、最近ようやく自分の距離を掴むことができた。
毎日、主人公は家での訓練をこなしており、父が主人公と姉に指導し、二人で戦っている。
姉は優秀で将来家を継ぐ予定である。
主人公は「陰の実力者」になるために平凡なモブ役に徹しており、姉に負け続けている。
主人公は貴族としての義務を果たしつつ、夜遅くに修行を行っている。
彼は魔力による超回復と独自の睡眠法で快適に過ごしている。
本日は盗賊団を相手に新兵器であるスライムボディースーツを試す計画であり、廃村で盗賊団を発見し、宴会中に襲撃した。
スライムボディースーツは魔力の伝導率が高く、体の動きを補助する優れた装備である。彼は盗賊団を迅速に制圧し、戦利品を獲得した。
戦利品を調べている途中、檻の中に腐った肉塊を発見する。
肉塊は〈悪魔憑き〉と呼ばれる存在で、大量の魔力を内包していることに気づく。
彼はこの肉塊を利用して魔力暴走の研究を進めようと考え、肉塊に魔力を流し込む決意をする。
主人公は1ヶ月前に肉塊の実験を成功させ、金髪エルフの少女を「アルファ」と名付け、配下とした。
彼は「ディアボロス教団」を敵とし、世界を陰から守る「シャドウガーデン」を設立する設定を考案した。
アルファは主人公の計画に賛同し、協力を誓った。
主人公はアルファに魔力制御と剣術の訓練を続けさせ、「陰の実力者」としての道を進んでいくことにした。
一章
『シャドウガーデン』設立から3年が経過し、主人公とアルファは13歳、姉のクレアは15歳になった。
クレアは王都の学校へ行く予定だったが、出発の日に失踪。
主人公の父はクレアが手練れによって連れ去られたと推測し、家族は大騒ぎとなった。
主人公は『シャドウガーデン』のメンバーであるベータと共にクレアの救出を計画。ディアボロス教団が関与しているとされ、主人公は演技しながら教団の幹部が関わっていると推測した。
ベータが用意した膨大な資料に基づき、クレアの居場所を特定し、救出作戦を今夜決行することを決めた。
地下道を歩く30代半ばの男、オルバは、地下牢に囚われているクレア・カゲノーに会うために進む。
彼女は魔封の鎖で拘束されていたが、オルバとの会話で彼女が非常に反抗的であることが明らかになる。
クレアはかつて王都でオルバが剣の試合で負けるのを見ており、彼を侮辱する。オルバはクレアが危険な存在であることを認識し、彼女の魔力について問い詰める。
クレアは過去に魔力に関連した症状を経験していたが、弟から教わった「ストレッチ」と称するものによって症状が改善されたと説明する。
しかし、その瞬間、クレアは拘束を解きオルバに攻撃を加える。
オルバは彼女を殴打し、クレアは床に倒れ込む。
その後、侵入者の報告を受けたオルバは、クレアを残して現場を去る。
地下施設にて、オルバが到着すると、兵士たちが謎の少女集団によって倒されていた。
彼女たちは黒いボディースーツを着用し、非常に強大な魔力で気配を消していた。
集団の一員である血まみれの少女がオルバに挑むが、彼女は突如後退し、「シャドウガーデン」と名乗る別の少女、アルファが前に出る。
アルファは自らの目的が「ディアボロス教団の壊滅」であることを明かし、オルバに襲いかかる。
戦いの中でオルバはアルファの攻撃に圧倒されながらも、自らの生存を最優先に考え、情報を本部に伝えるために戦う。
アルファはオルバの攻撃を容易くかわし、彼が後退する中で意識を失う。
最後にアルファは謎の魔力を使用してオルバを退けるが、オルバは隠し扉を通じて逃走する。
アルファと彼女の仲間たちはオルバの逃走を目の当たりにし、さらなる対策を練ることになる。
人気のない地下施設において、主人公はアジトに乗り込んだが、敵は期待に反して弱く、退屈していた。
そこでボスを先回りして倒そうとするが、赤目の男と出会う。
この男は非常に速く、筋肉質で、赤い目が特徴的である。
主人公はその速さに圧倒されながらも、彼の剣を容易に止め、技を駆使して戦う。
主人公は魔力を効率的に使うことを重視し、力任せの戦い方を嫌っている。
そのため、技術とフィジカルを融合させた戦いを展開し、赤目の男を圧倒する。最終的には、赤目の男が間合いを外す選択をし、戦いは終了する。
主人公は赤目の男に魔力の正しい使い方を教えようとするが、その教訓は具体的には語られていない。
かつて剣を握って間もない頃、師と対峙した時のような圧倒的な差を感じていたオルバは、漆黒の刀を持つ少年との戦いで敗北感を感じていた。この少年の技量は自然で、魔力や腕力が特筆されることなく、純粋な技術によってオルバの魔力の差を覆していた。オルバはこの少年によって生かされており、自分の命は少年が望めばいつでも終わると悟っていた。
戦いが進むにつれ、オルバは自身がまだ生きている理由、少年が敵対する理由、その強さの源泉について問いかけた。
少年は「陰に潜み、陰を狩る」と述べ、自身の存在意義を説明した。
オルバは自分が法で裁けない者の末端にいると自覚しており、力を求め続けてきたが、いつも上位者には敗れてきた。
絶対に認められないと心に決めつつも、少年の剣と技量に圧倒されたオルバは、「覚醒」と呼ばれる状態に至り、すべての錠剤を飲み込み、莫大な魔力を宿した。
しかし、最終的には少年の一刀によって完全に敗北し、体は上下に分かれてしまった。
この漆黒の少年は、全てを知り尽くした上で戦う道を選んでいた。
オルバは死に際に、漆黒の少年が真面目で愚直な凡人の剣を持ち、血の滲むほどの努力で勝ち取った剣を持つことを理解し、自身の人生が無力であったことを悟った。
最後の意識の中で、オルバは亡き娘の微笑みを思い出し、青い宝石の短剣に手を伸ばしながら目を閉じた。
盗賊団退治兼、姉の救出作戦が終了した。姉は一晩で怪我が治り、療養と事件調査の後、王都に出発した。
その間、姉はやたらとかまってきていた。
一方、アルファたちは盗賊団調査や残党処理で忙しくしていた。
赤目の男は印象的な台詞を残し、彼には『陰の実力者』としての役割があった。
2年後、主人公は王都に行く予定である。
王都での新たな冒険と対決を楽しみにしている。一方、アルファたち7人が集まり、ディアボロス教団の調査や呪いの研究の報告を行った。
魔人ディアボロスと戦った英雄の性別や呪いの発現割合についての新たな情報が明らかにされた。
教団は世界規模の巨大組織であり、〈悪魔憑き〉の早期捕獲と処分を徹底していた。
アルファたちは世界に散って〈悪魔憑き〉の保護と教団の妨害活動を行うことになった。
主人公は彼女たちが教団が存在しないことに気付いてしまったと察し、彼女たちが独立する決断を快く受け入れた。
最終的には、彼女たちの中からローテーションで一人が補佐として残ることとなった。
主人公は自身が『陰の実力者』を目指し続けることを誓った。
ベータは漆黒の刀を振り、灰色の大地に赤い線を描いた。
暗闇の中で、倒れた数人の兵士に対して、黒いボディースーツを着た少女たちが刃を突き刺していた。
少女の一人は震えながらも刀を突き刺し、兵士の絶叫を聞くと、ベータが手を添えて刀を捻った。少女たちは肉塊を抱えてアルファのもとへ急いだ。
ベータはかつての自分を少女たちに見ており、彼女たちの成長を感じていた。
初めて人を殺した記憶がベータには強烈に残っていた。
戦う意味を見つけられずに苦しんでいたベータは、シャドウからお伽話を聞かされ、徐々に心の迷いが晴れていった。
シャドウに心酔するようになり、ベータは戦う意味を見つけた。
ある夜、ベータは若い兵士と目が合い、彼が何も知らずに逃げようとした際、ベータは迷わず刀を振った。
彼の血が噴き出し、崩れ落ちると、ベータは美しく残酷な笑みを浮かべた。彼女は彼が喜ぶなら、たとえそれが悪の道であっても迷わないと決意していた。
二章
15歳となったシドは王都のミドガル魔剣士学園に入学し、アレクシア・ミドガル王女に罰ゲームで告白することになった。
アレクシアは学園に入学してから2カ月で100人以上の告白を冷たく断っており難攻不落と見られていた。
しかし、シドはモブキャラクターとしての役割を果たすために、罰ゲームで彼女に告白し、こっぴどく振られることを目指していた。
シドは言葉選びから滑舌まで徹底的に研究し、最もモブらしい告白をした。
告白の結果、アレクシア王女は了承し。
想定外の結果に戸惑い、何かがおかしいと感じながらも、彼女と一緒に帰ることになる。
シドは予期せぬ展開に困惑し、自室でラブコメの主人公ルートに入ってしまったと叫ぶ。
シドは食堂で友人たちと昨日の出来事について話し合い、彼がアレクシア王女と付き合うことについて疑問を呈していた。
友人たちも彼の見解に同意し、自分たちにもアレクシア王女と付き合えるだけのスペックがないと認めた。
シドがアレクシア王女に告白したのは罰ゲームの結果であり、友人たちはその事実を隠すことに決めた。
しかし、アレクシア王女がシドの近くに座ると、シドは彼女との会話を試み、彼女から豪勢な昼食をもらった。
シドはこの関係がどうなるか不安であるが、自分の立場がなくなるのを防ぐために王女命令に従ってアレクシアと同じ実技科目に出ることにした。
シドは王都ブシン流1部の広い教室に驚いた。
アレクシアと共に動的ストレッチを行い、授業が始まると基礎的な剣術練習に取り組んだ。
アレクシアとの組み稽古では、お互いに攻撃を当てずに技の確認を行った。
アレクシアの剣術に対する姿勢は地味だが、その地味さは基礎をしっかりと積み重ねた努力の結晶であることがわかる。
授業後、アレクシアはシドを掴んでどこかに連れて行き、自分がシドと付き合うことを決めたと話した。
その流れでシドは二人の会話を見守りながら、巻き込まれないように願った。
シドは放課後、アレクシアと校舎裏で対峙し、彼女とゼノン先生が婚約者候補であることを知る。
アレクシアはシドを当て馬として利用しようとし、シドもそれを認識していた。
アレクシアはシドに恋人のふりを続けるよう求め、期限はゼノンが諦めるまでとする。
シドは剣術指南役であるゼノンに危害を加えられることを恐れ、それを拒むが、アレクシアはシドの抵抗を無視して金貨をばらまき、彼に拾わせる。
最終的に、シドはアレクシアに従うことを納得し、彼女の指示に従うことを決める。
学園に入学してからのシドは睡眠時間を削りながら修行を続けていたが、アレクシアとの偽恋人関係が始まると、その時間は減少する。
アレクシアの要求により、彼は王都ブシン流の教室で早朝稽古に参加する。
二人は黙々と剣を振るい、アレクシアはシドの剣についてコメントするが、シドは全力を抑えて基本だけを披露している。
その後、シドはアレクシアの偽恋人としての役割を続け、時折生徒からの嫌がらせに遭遇するが、ゼノン先生からは暴力的な手段は取られず、一安心している。授業ではゼノンは厳しくも公正に指導を行っている。
アレクシアとの帰り道、シドは彼女の不満を聞き続けることになる。
アレクシアは表面的な評価を嫌い、人を欠点で評価すると語る。
彼女はゼノン先生の欠点が見つからないことを理由に、彼を信用していない。
アレクシアの剣に対する自己評価は低く、彼女は自分と姉との比較で劣等感を抱えている。
アレクシアは自分の剣を嫌い、他人の評価にも苛立つことを表現する。
しかしシドはアレクシアの剣を評価し、その真実性を称賛する。彼のコメントにアレクシアは反応し、一人で帰ることを選ぶ。
シド、ジャガ、ヒョロの3人は久しぶりに食堂で食事を共にしている。
アレクシアはいないため、ジャガとヒョロはシドに対し、過去のいざこざを水に流すよう促す。
その際、ジャガは食事を奢ったことを引き合いに出す。
食事中、ヒョロはシドとアレクシアの関係について詮索し、シドはそれを否定する。
その後、ゼノン先生が登場し、アレクシアが寮に戻っていないことを告げる。
彼はアレクシアの片方のローファーを示し、争った形跡があることから騎士団が誘拐事件と見て捜査を始めたと説明する。
ゼノンはシドが最後にアレクシアと接触した人物として名前が挙がっていると述べ、騎士団がシドの話を聞きたがっていることを伝える。
シドは困難な状況に直面していることを悟る。
三章
主人公は留置場のような場所で取り調べを受けた後、5日間の拘留を経て夕方に解放される。
荒っぽく追い出され、下着姿で服を着替え、剥がされた爪のために時間を要する。
血まみれで通りを歩き、注目を浴びながらも、自分を落ち着かせる努力をする。
殴られた傷や剝がされた爪は、役割になりきるために意図的に治癒させない。
未だに誘拐犯は捕まっておらず、アレクシアの安否も不明であり、主人公の容疑も完全には晴れていない。
寮への帰路で、小さな声と香水の香りが主人公の記憶に残るが、彼女の姿は見えない。
主人公が寮の自室に戻ると、アルファという少女が現れる。
彼女は肉厚マグロのサンドを持っており、これを主人公に渡す。
主人公は久しぶりに食べるサンドを楽しむ。
アルファは、最近ベータが主人公の補佐をしていると語るが、ベータからは厄介な事態が進行中であるとの連絡があると言う。
アルファは、主人公の状況について議論し、現在の王族誘拐事件に関連して主人公が犯人と見なされる可能性が高いことを指摘する。
彼女はまた、教団が事件に関与しており、王女が生存している間は彼女から「英雄の血」を得ることが教団の目的であると述べる。
アルファは主人公にもっと信頼を寄せるよう促し、事件解決後には「まぐろなるど」での食事を約束する。
最後に、アルファは窓から去る前に、デルタという人物を含め、さらなる人員を集める必要があると述べる。
赤髪の美女、アイリスが騎士からの報告を受ける。
アイリスは報告を行った騎士を退室させ、同室に残ったゼノン侯爵との間で、学園内で発生したアレクシア王女の誘拐事件について話し合う。
ゼノンは学生であるシド・カゲノーが犯人である可能性に言及するが、シドの能力を疑問視し、他に共犯者がいるかもしれないと推測する。
その後、クレア・カゲノーと名乗る少女が室内に滑り込み、弟シドが王女を誘拐するような人物でないと主張する。
クレアは騎士団に体験入団しており、彼女の訴えにアイリスは耳を傾けるが、ゼノンはクレアを室外へ連れ出す。
アイリスはアレクシア王女との過去の思い出に浸りながら、王女の無事を祈る。
彼女の思いに涙がこぼれる場面で話は終わる。
アレクシアが目覚めると、薄暗い室内にいた。窓はなく、壁は石造りで、四肢は魔封の拘束具で固定されていた。
自力での脱出は困難である。彼女は誘拐された理由を推測するが、確証は得られなかった。
アレクシアの隣には鎖に繋がれた化け物がおり、その姿は醜く瘦せていた。
化け物はアレクシアに気づき、観察するように彼女を見た。その後、白衣の瘦せこけた男が部屋に入ってきた。
男はアレクシアの血を「魔人を現代に蘇らせる」ために使うと言い、毎日少しずつ血を抜くと述べた。
アレクシアは反抗せず、救助が来るのを待つことに決めた。
男は化け物を虐待しながら、自分の研究の苦境を吐露した。
アレクシアは男から血を抜かれ、男はその血を大切に扱いながら退出した。
アレクシアは扉が閉まるのを見届けてから、深いため息をついた。
全てはこの日のために用意された。取り調べから解放されて2日後、彼は寮の自室でコレクションから品物を選んでいた。
葉巻とヴィンテージワイン、そしてアンティークランプと幻の絵画『モンクの叫び』を部屋に飾った。
彼は感慨深げに自室を眺め、招待状をセットして時を待った。
漆黒の少女が窓から入ると、彼は「時が満ちた……今宵は陰の世界……」と呟いた。
彼の部屋には一流の品々があり、特に『モンクの叫び』は非常に貴重な一品だった。
彼はベータに背を向けながらワインを飲み、部屋の品々を彩った。
ベータはシャドウから作戦の詳細を伝えられたが、彼はその話を制した。彼の手には招待状があり、ベータはそれを読むように促された。
拙い誘いにベータは怒りを感じ、デルタに代わってプレリュードを奏でることを決意した。
彼は「今宵、世界は我らを知る……」と宣言し、ベータと共に行動を開始した。
招待状に書かれた場所は林道の奥であり、アレクシア王女が誘拐された現場に近い場所であった。
シャドウは学生服姿で現れ、ベータは少し離れて林の中に隠れた。
やがて、二人の男が現れ、シャドウにアレクシアの靴を示しながら犯人だと非難した。
男たちは騎士団の装備を身につけており、シャドウを逮捕しようと剣を抜いた。
シャドウは剣を止め、反撃して男たちを重傷を負わせた。
一人の男がシャドウに命乞いをするが、彼は追撃を続け、最終的に男の首を斬り落とした。
その瞬間、シャドウは学生服から全身漆黒の装いに変わっており、ボディースーツにブーツ、漆黒の刀とロングコートを身につけていた。
ベータはその凛々しい姿に感動し、メモを取りながら彼をスケッチした。
その後、デルタの引き起こした爆音を聞き、ベータは急いで彼を追いかけた。
場所は血の海と化していた。
突如現れた漆黒の刀を持つ者は、壁を突き破り殺戮を始めた。人々は恐怖で逃げることを望んだが、唯一の出口はその者の背後にあった。
その者は男を二つに切り裂き、血を浴びながらそれを受け止めた。
その様子はまるで悪魔のようであった。
その者の刀は比喩ではなく壁を突き破るほどに伸び、建物ごと全てを斬り捨てた。
その一方で、王都の上の時計塔にいたエルフは、その出来事を眺めていた。
デルタと呼ばれる者が起こした騒ぎで王都は慌ただしく動き始めた。
アルファは、その騒動が他の者たちの行動を容易にすると評価しつつ、自らも行動を開始しようと決意した。
外が慌ただしい中、アレクシアは数時間ぶりに目を開けた。彼女は部屋の中で四肢を拘束されており、行動の選択肢は限られていた。外の喧騒が次第に激しくなる中、彼女は救助を願いながら拘束具をガチャガチャと鳴らしていた。その時、隣の化け物が話しかけてきたが、アレクシアはその言葉に返事をすることはなかった。
やがて、白衣の男が部屋に勢いよく入ってきて、パニック状態であった。
彼はアレクシアに向かって、救助者が近づいていることを叫んだ。
アレクシアは彼に拘束を解くように頼んだが、男は化け物に向かって何かの実験を試みた。
それが原因で、化け物の体が異常に変形し、白衣の男は殺された。
その後、化け物の振った腕はアレクシアを避け、彼女を拘束していた台座を破壊した。
アレクシアはその衝撃で壁に叩きつけられたが、すぐに立ち上がり、部屋から脱出した。外の廊下は長く、化け物によって倒された兵士がいた。
アレクシアは兵士の死体から剣を拾い、そのまま進んだ。
そして、予期せぬ人物が彼女の逃走を阻止しようとしたところで彼女は驚愕した。
アイリスは深夜の王都を疾走し、王都で起きている大規模な同時襲撃事件を把握していた。彼女は騎士団と共に出動し、街の安全を確保しようと市民に呼びかけながら現場へと急いでいた。事件の具体的な襲撃先には統一性が見られず、計画性はあるものの、その目的は明らかではなかった。
その途中で、化け物の存在を知るアイリスはその場へと急行する。
化け物は巨大で醜悪な姿をしており、騎士たちを襲っていた。
アイリスは流れるような抜刀技で化け物を一太刀で両断するが、化け物は驚異的な再生能力を持っていた。
そのため、アイリスは連続攻撃で化け物を撃退しようとしたが、化け物は再び立ち上がり、アイリスを苦しめた。
その場に乱入した漆黒のボディースーツを身にまとった女性、アルファが現れる。
アルファは化け物を手際よく両断し、その過程で化け物が少女の大きさまで縮小し、その遺体からは「最愛の娘ミリアへ」と刻まれた赤い宝石の短剣がこぼれ落ちる。
アルファはその場から消え、アイリスはその後を追い、雨の中を走り出す。
アレクシアは自分が拘束されていた施設にゼノンが現れるところに遭遇した。
ゼノンは自分がその施設に投資していることを明かし、アレクシアの血が研究に必要だと述べた。
ゼノンはラウンズの一員としての地位と名誉を得るために、アレクシアを利用する計画を語った。
アレクシアはゼノンに対して反感を抱き、戦闘が始まった。
戦いの中で、アレクシアはゼノンに対抗するため、姉アイリスの剣技を模倣しようとした。
しかし、その努力にもかかわらず、ゼノンの実力はアレクシアを圧倒した。
ゼノンは自身の力を示すために、アレクシアをさらに追い詰めた。
その時、漆黒のコートを着た謎の男、シャドウが現れる。
シャドウはゼノンに対して、自分が教団に敵対していることを明かし、ゼノンに挑戦した。
二人の戦いは、ゼノンが敵ではないと明らかにした。
シャドウの圧倒的な力により、ゼノンは完全に敗北した。
その後、シャドウは去り、アレクシアは姉のアイリスと再会した。
二人は感動的な再会を果たし、アイリスはアレクシアが無事であることを喜んだ。
アレクシアはこの経験から多くを学び、新たな決意を固めることとなった。
二人の学生が初夏の屋上で会話していた。
一人は白銀の髪の美しい少女で、もう一人は黒髪の平凡な少年である。
少女は事件が表面上は解決したが、姉が調査部隊を立ち上げる予定であり、自身も協力するつもりだと述べた。
少年はそのことに対して「ほどほどにね」と応じた。少女は少年に感謝を表し、自身の剣を好きになったことを話した。
二人はこれまで恋人のふりをしており、事件によりゼノンが亡くなったことで少年の役目が終わった。
少女は関係を続けたいと提案したが、少年は断り、その場を去った。
夕方、屋上を訪れた生徒は多量の血痕を発見したが、遺体や行方不明者はなく、事件は未解決のまま学園の不思議な話となった。
アイリスは妹のアレクシアから、絶対に許してもらえる謝罪方法を尋ねられた。
アイリスはそのような謝罪方法は存在しないと答えたが、アレクシアは不満を隠さなかった。
アレクシアは謝ることが苦手であると感じた。
しかし、アレクシアが謝罪の方法を尋ねたのは初めてのことであり、これまで表面的な謝罪をしてきたことが普通であった。
アイリスはアレクシアに深い関係を築く友人ができたことを感じた。
アイリスは姉としての使命を感じつつも、口で言っても聞かないアレクシアにどう接すればよいか困惑した。
結局、アレクシアを説得するために、二人でミツゴシ商会を訪れた。
そこでアイリスはアレクシアをチョコレートの試食に誘い、親しい友人へのプレゼントとして購入を勧めた。
アレクシアはその提案に興味を持ち、お菓子以外の商品にも関心を示した。
最終的に、アレクシアは特に女性用の新素材の下着「Tバック」に興味を示し、その穿き心地やデザインを評価した。
アイリスはその下着の露出度に戸惑いながらも、アレクシアがそれを気に入っていることを受け入れる。
アイリスは最終的に、アレクシアの選択を尊重することを決めた。
四章
夏が近づいている中、シドたちは木剣を振るっていた。
彼らはゼノン先生の不祥事により、王都ブシン流の生徒が減少したため、繰り上げで7部に昇進していた。
その中には、アレクシア王女との関係を終えたシドもおり、彼らはブシン祭の季節に向けて選抜大会にエントリーしていた。
しかし、シドを含む彼らの中には、目立つつもりのない平凡な生徒もおり、突然の事故によりヒョロが保健室に運ばれることになった。
その際、彼らはアイリス王女やアレクシアもいる集団に気付いたが、シドはアレクシアが過去に起こした事件について誰にも話していなかった。
一方、ミドガル魔剣士学園とミドガル学術学園では、新しい部隊の結成などが進行中であることが語られた。
広い応接室で、赤髪の美女アイリスが、シェリー・バーネットに古代アーティファクトの解読を依頼した。
シェリーは学生であることを理由に断ろうとしたが、父であるルスラン・バーネット副学園長に説得され、最終的にアイリスからアーティファクトを受け取った。
このアーティファクトは、ディアボロス教団の施設から押収したもので、その施設は古代文明の研究をしていたと思われる。
また、アーティファクトはディアボロス教団に狙われており、アイリスは新たに設立した『紅の騎士団』の騎士たちによる警備を希望していた。
アレクシアも警備に参加することを志願し、アイリスは条件付きで彼女の参加を許可した。
夕方、授業が終了した後、選抜大会のキャンセルを申し入れるが、トーナメントの組み合わせが既に決定しているため不可能であることが告げられる。
このことに失望するが、友人のヒョロとジャガは気を取り直し、彼を励ます。
ヒョロは彼をミツゴシ商会という最近話題の店に連れて行き、そこで甘いお菓子を買う提案をする。
彼らは王都のメインストリートへ行き、ミツゴシ商会に到着すると、非常に豪華な建物とその前の長い行列に圧倒される。
並んでいる最中、制服姿の美しい女性からアンケートの協力を求められ、彼だけが店内に案内される。
店内は極めて豪華であり、現代的なデザインが施されている。
そこで見た商品は彼にとって非常に新鮮で興味深いものであった。
案内されたホールでは、彼は神殿のような壮大な空間で出迎えられ、美女たちが一斉に跪く。
彼が探していたガンマと再会し、彼女から「シャドウガーデン」の名を用いるグループの話を聞かされる。
ガンマはそのグループについての詳細を彼に説明し、彼が以前に話した知識を元に商品を開発したことを明かす。
彼はこの全てが彼を除いた計画であったことを知り、混じった感情を抱くが、彼のために準備された迫力のある場面に感動する。
シャドウは深く思案に耽っていたが、彼を見つめるガンマは不安そうに青い瞳を揺らしていた。彼女はかつての青紫の魔力に触れたことで過去を思い出し、涙が零れ落ちた。ガンマの存在は彼に救われ、新たな命を得た結果だった。彼女はかつての苦難を振り返り、彼の救いによって新たな人生を歩むことを決意したが、”七陰”の中で最も劣る位置に甘んじ、常に苦戦を強いられていた。
彼女は自身の役割に悩みながらも、シャドウが提唱した”陰の叡智”を学ぶことに命を賭けた。
その道は彼女に新たな可能性を与え、生き残る希望となった。
彼女はこの知識を活用して、彼に認められるよう努力を続けている。
しかし、彼が容易に解決してしまう問題に対し、ガンマは自分が役立たずであるかもしれないと感じつつも、諦めずに前進を続けると決心していた。
その後、彼との会話の中で、ガンマは彼の支持を得ていることに気付かされ、希望を持ち続けていた。
彼が帰る際、彼女は友達割引でチョコレートを要求され、彼女はそれに応じて喜んで対応した。
この小さな交流がガンマにとっては大きな意味を持っている。
彼女は彼が演じる一般人の姿を温かく見守っていた。
シドと彼の友人たちは王都を走り抜けていた。
彼らは門限に間に合わない可能性があり、その理由はシドが遅れたことと、他の二人がシドに質問を重ねたことにあった。
彼らはアレクシアが無差別通り魔殺人犯になったという衝撃的な話を聞いていたが、彼女がそうなる理由は謎に包まれていた。
彼らは道中、剣と剣がぶつかる音を聞き、戦いが行われていることを知った。
彼らは立ち止まり、シドは一人で用を足すために路地裏に入った。
その後、彼は戦いの音がする方向へ向かい、アレクシアが黒ずくめの男と戦っている場面に遭遇した。
アレクシアは戦いで有利であり、黒ずくめの男が「シャドウガーデン」を騙る犯人であることが判明した。
シドはこの状況を内心で彼女に謝罪し、男が「シャドウガーデン」に憧れていることを理解した。
彼自身も「陰の実力者」への憧れからすべてが始まっていたため、その気持ちを否定することはできなかったが、組織の名を騙る者を許すわけにはいかなかった。
アレクシアが最終的にフォロワーを制し、シドは新たな気配に気づくところで話は終わる。
アレクシアは敵に立ち向かっていたが、急に現れた魔剣士たちによって数的不利に陥る。
一人ならば勝てるが、三人相手には苦戦が予想される。その中で、一人の魔剣士がアレクシアの脇腹を蹴り、彼女は大きなダメージを受ける。
さらに彼女は、攻撃を避けるために薬を用意するが、その時、シャドウと呼ばれる男が現れ、一人の敵を倒す。
シャドウとは敵対する関係にあるようだが、彼の真意は不明である。
アレクシアは彼に対抗する意志を示すが、シャドウはその場を去る。最終的にアレクシアは一人残され、意識が薄れる中で姉が現れる。
姉はアレクシアに事の次第を話すよう求めるが、アレクシアはその場で意識を失う。
夜の王都で二人の黒ずくめの男が急いで路地に入り、荒い息を整えていた。
突然、漆黒の刀を持った男が現れ、一人の男を殺害する。
生き残った男は逃走を試みるが、女性が現れ、男を捕獲する。この女性はミニワンピース姿で、素早く男を制圧する。
男が剣で攻撃しようとするが、彼女はそれを軽々と回避し、男を手荒に処理する。
最終的に、その男の遺体は王都の大通りに凄惨な姿で晒される。
遺体の腹には「愚者の末路」と書かれており、死に顔は苦痛と恐怖に歪んでいた。
アレクシアはベッドで横になりながら、姉のアイリスと話をしていた。
アイリスは通り魔事件は「シャドウガーデン」と名乗る組織の仕業ではなく、それを騙る集団によるものだと説明した。
彼女は以前の王都同時襲撃事件で「シャドウガーデン」の存在を確認していたが、組織の目的や詳細は未だ不明であった。
アイリスは「シャドウガーデン」がディアボロス教団と敵対していることを指摘し、彼らの目的はおそらく教団に関連していると推測していた。
アイリスは紅の騎士団の予算案が通らず、自費での運営が必要になると懸念を示した。
教団との関連が深く、文官にもその影響があるかもしれないと心配していた。
アレクシアは資金提供を申し出たが、アイリスはその必要はないと答え、現在の騎士団は8人だけであり、彼女の資産で十分であると述べた。
さらに、敵も味方も不明な状況で騎士団を大きくすることは不適切だと判断した。
アレクシアは「シャドウガーデン」とディアボロス教団のどちらが紅の騎士団の敵かを問い、アイリスは両方が敵であると答えた。
アレクシアはシャドウとの戦いを避けるべきだと訴えたが、アイリスはそれを否定し、国を守る責任が自分にあると強調した。
最後にアイリスはアレクシアに怪我の回復を促し、謹慎を命じた。
五章
クラスに入った主人公は多くの生徒からの視線を感じ、彼らがヒソヒソと話しているのを聞いた。
その中にはヒョロとジャガもおり、彼らは目を泳がせながら主人公に挨拶した。
その日の昼休み、ヒョロはチョコレートのプレゼントを試みたが、彼が贈り物を渡そうとした瞬間、筋骨隆々の上級生に肩を掴まれ、彼に対して問題があると迫られた。
主人公とジャガはヒョロを助けることなくその場を去り、ヒョロの絶叫が背後から聞こえた。
ジャガは図書館に向かった。学術学園と共有の図書館は非常に大きく、通常は魔剣士学園の生徒たちが利用することは少ない。
ジャガは事前に相手の情報を徹底的に調査しており、その詳細を語り始めるが、話は中断された。
彼は図書館内で行動を開始するが、すぐに「ストーカー」と叫ばれる騒動が起こる。
一方、主人公は図書館周辺を散策し、学術学園の生徒にチョコレートを渡す。
受け取った生徒は困惑し、その場を去る主人公の背後から戸惑いの声が聞こえる。
別の場所では、受け取ったチョコレートを手にしたシェリーがその正体を確かめようとしていた。彼女の背後からルスラン副学園長が声をかける。
彼はシェリーの研究を気にかけ、また彼女に留学の話が来ていることを伝える。
シェリーはルスランの病気を気にかけ、留学を断る。二人の間には深い絆があり、ルスランはシェリーを支持し続ける。
平和な一日を過ごした主人公は、帰宅途中、学術学園の2年生の制服を着た女生徒に声をかけられる。
彼女はニューという名前で、普段は目立たないようにしているが、実際には美人である。
ニューは変装して学園に潜入していた。彼らは庭園のベンチで対話を続ける。
ニューはかつて平和な未来を夢見ていたが、現実は全く異なっていた。
彼女は社交界で知られた侯爵家の令嬢だったが、”悪魔憑き”とされ、すべてを失っていた。
ニューはシャドウガーデンという組織に帰属しており、敬愛する主が彼女を支えている。
彼女には今でも同じ志を持つ仲間がいるが、世界の表では場所がない。
ニューは一瞬でも昔の自分が居場所を持てるという希望を抱いて学園に来ていた。
彼女は教育と実力で自分の場所を見つけると決意し、彼と共に将来を語り合った。
学園最強の魔剣士であったアイリス・ミドガルが卒業した後、誰もが王者不在の時代が訪れると思っていた。
しかし、意外な形でオリアナ王国からの留学生、ローズ・オリアナがミドガル魔剣士学園の絶対王者として現れる。
彼女は芸術の国オリアナ王国の王女であり、学園での絶対的な支持を得ている。
一方、ある学生は選抜大会の第一回戦で彼女と対戦することになる。
彼は自らの役割を「モブ」と定義し、究極のモブらしい戦いを展開する決意を固める。
彼はローズ・オリアナとの対戦中に、極めた技、「モブ式奥義・きりもみ回転受身ブラッディ・トルネード」を駆使し、演技を披露する。
試合は彼の壮大な敗北と共に締めくくられ、観客はそのパフォーマンスに圧倒される。
ローズ・オリアナは何度倒されても立ち上がる少年に戦慄する。彼は血まみれで、剣を構えることすら困難な状態にある。
彼の肉体は限界を超えているが、その目は生気に満ち、まだやるべきことがあると訴えている。
その精神は肉体を超越している。
ローズは彼の姿に感動し、彼がこの試合にどれほどの思いを込めて臨んだのかを知る。
ローズは勝つ可能性がほぼないにもかかわらず、彼が全く諦めていないことに尊敬を感じる。
試合中、ローズは彼を容易く倒せると侮っていたが、心の勝負では完敗を認め、「次で終わりです」と宣言する。
試合が危険な状態になったため、審判が試合を止める。ローズは安堵するが、少年はまだ戦えると主張する。
最終的に勝者としてローズが宣言され、観客の大歓声に応えながら、彼女は崩れ落ちるシド・カゲノーに深く礼をする。
試合後に医務室へ連行されそうになるが、逃げ出す。
無傷の体が見られたら問題があるため、自分を守るために選手専用口から出て人気の少ない廊下を歩く。
そこで、学術学園の制服を着た桃色の髪の女生徒に声をかけられる。
彼女は試合を見ていたと言い、彼の立ち振る舞いをかっこいいと褒める。さらに、クッキーをお礼として渡す。
その後、白髪交じりの長身の男性が現れ、彼がルスラン副学園長であり、女生徒は彼を義父と慕うシェリー・バーネットであることが判明する。
ルスランは彼にシェリーとの交友を頼む。
医師には見せずにその場を離れると、二人はお茶を飲みながらおしゃべりをし、別れる。
翌日、彼は怪我の治療のため五日間の休みを取り、クラスのみんなからは少し優しい対応を受ける。
シェリーはシドと友達になってから、日々ふわふわとした気持ちでいた。
シドは選抜大会での怪我で休んでいるが、彼の健康が心配だ。シェリーは彼の見舞いに行こうか迷っていた。
アーティファクトの解析作業に集中できず、シドのことばかり考えていた。
シェリーはシドとアレクシア王女が恋仲にあったという噂を耳にする。
真相を確かめたい一心で、シェリーはアレクシアが謹慎している女子寮の一室を訪れた。アレクシアは彼女を迎え入れ、珈琲を入れた。
シェリーは緊張していたが、アレクシアは王族だったことを思い出し、気を取り直した。
シェリーが本当に聞きたかったのは、シドとの関係についてだった。
アレクシアは、実際には付き合っていなかったと説明し、シェリーは安心した。その後、シェリーは明るい様子で退室した。
六章
授業が早めに終わり、生徒会選挙の候補者と生徒会長の演説が行われることになった。
演説中、魔力の違和感に気付いた主人公は、突然の爆音とともにクラスがテロリストに襲撃されるという現実を目の当たりにした。
襲撃者たちは「シャドウガーデン」と名乗り、学園の占拠を宣言した。
その状況で、ローズ・オリアナがテロリストと対峙し、戦いを挑んだが、魔力が封じられていることに気付かないまま剣が振り下ろされる瞬間、主人公は彼女を守るために割り込んだ。
この状況を妄想し夢見ていた主人公は、生徒たちが正しく状況を把握できずにいる中、唯一、襲撃の現実を完全に理解していた。
ローズが死を予感する瞬間、白刃から彼女を庇ってシド・カゲノーが重傷を負う。
彼はローズを救った後、命を落とす。
彼の死を目の当たりにしたローズは、彼が自分に抱いていた強い感情を悟る。
感謝の言葉を口にするローズは、彼の想いを無駄にしないと誓う。
その後、テロリストたちは生徒たちを大講堂に移動させるが、ローズは黒ずくめの男に反抗をやめ、従うと言い、彼の想いを無駄にしないと誓う決意を固める。シドが亡くなったかと思われたが、彼の腕が動いたことが示される。
教室に誰もいなくなったことを確認した主人公は、自分の胸を拳で叩き、強引に呼吸を試みる。
その結果、停止していた心臓が再び鼓動を始める。
この技は『モブ式奥義・十分間の臨死体験』と呼ばれ、微細な魔力により脳血流を保ちつつ、長時間の心停止状態を後遺症なく達成するものである。
しかし、この技は一歩間違えば命を落とすリスクが伴う。
今回の傷は実際に斬られたもので、致命傷は避けられたが、リアリティーを出すためにそれなりの深さで調節された。
魔力を使い、傷の応急処置を試みる。完全に傷をふさぐことはできないが、動きに支障のない程度に留める。
その後、主人公は立ち上がり、窓から流れ込む爽やかな午後の風を感じながら、誰もいない廊下を歩き始めた。
シェリー・バーネットはペンダント型アーティファクトの解読に集中しており、周囲の騒ぎに気付くのが遅れる。
彼女はそのアーティファクトに深く没頭していた。
突然、研究室に黒ずくめの男、レックスが乗り込んできた。
レックスはシャドウガーデンの一員で、ペンダント型アーティファクトの回収が彼の任務である。
彼の登場により、研究室は緊張に包まれる。
シェリーは机の下に隠れ、事件の発展を恐怖で見守る。
この状況で、『紅の騎士団』の副団長であるグレンと、もう一人の騎士、マルコが介入する。グレンは魔力を使えない状況でも、レックスに立ち向かう。
シェリーは彼らの戦いを背にして、廊下に逃げ出す。
彼女は騒音と恐怖から逃れるために全力で走り、戦いの音から耳を塞ぐ。
屋上から学園を見下ろす主人公は、大講堂に拘束された学園関係者が見えることや、騎士団が学園の外に集まる様子を目撃する。
学園内は静かで、黒ずくめの男たちが生徒を探している。主人公はこれがやりたかったことの一つであり、達成感を感じている。
彼はファッションセンスに欠ける黒ずくめの男たちを見て、TPOを軽視した彼らの誤りを指摘する。
その後、スライム弾を使って黒ずくめの男たちを攻撃し、効果的に2人を倒す。
さらにシェリーの安全を確保し、向かいの校舎に向かう計画を立てる。主人公は魔力を込めてジャンプし、向かいの校舎の屋上に着地する。
シェリーを追跡し、彼女の後方にいる黒ずくめの男に追いつき、シェリーが捕まる直前に彼女を助けるために駆けつける。
何かが動いたような気がして振り返るシェリーは、空を切る音を聞くも、誰もいない静かな廊下が広がっていた。
彼女はペタペタと歩きながら、騎士から聞いた魔力が使えないという現象が、自身とアーティファクトに関連していることを考える。
廊下を進む中で黒ずくめの男に気づき、身を隠すも、見つかったと感じる。
しかし、何か空を切る音がして、男は姿を消す。その後も、教室の窓から男を見つけ、隠れるが、男が教室から出てくる。
シェリーは頭を抱え目を閉じるが、再び何かの音がして男は消える。コケたシェリーは、床に落ちそうになったアーティファクトを、最近できた友人がキャッチする。
彼は怪我をしていたが、一命を取り留めたと話し、シェリーに注意深く歩くように言う。
シェリーと共に副学園長室へ向かった主人公は、部屋の落ち着いた雰囲気を感じながら、シェリーが勝手知ったるように机を漁り始めるのを見る。
シェリーは「強欲の瞳」と呼ばれるアーティファクトについて説明し、そのアーティファクトが魔力を吸収し、練成を困難にすること、そしてそれを制御する装置があることを示す。
これにより、大講堂に捕らわれている多くの魔剣士が解放される可能性がある。
二人は地下から大講堂に近づく計画を立て、本棚が回転して地下への階段が現れる。
シェリーは義父に敬意を表しつつ、今回は自分が助ける番だと強調する。
主人公は作戦の成功を願いながらも、積極的な協力は難しいと感じるが、シェリーの決意を支持する。
レックスは大講堂を抜けて、控室で黒ずくめの「瘦騎士」と会見する。
彼がアーティファクトの回収状況を問われると、桃色の髪の生徒が持っている可能性が高いと答えるが、まだ回収できていないことを明らかにする。
レックスが計画の支障をきたしていることに対して、「瘦騎士」は怒りを露わにし、次の失敗で命を取ると脅す。
その後、レックスは「シャドウガーデン」と思われる強敵が現れたことを報告し、彼らの危険性を示唆する。
退出する直前に、レックスは自身も気をつけるよう「瘦騎士」に忠告し、その場を去る。
一方、「瘦騎士」は禍々しいアーティファクトを取り出し、自らの野望について笑い続ける。
レックスが部下と校舎の廊下を歩いている最中、アーティファクトを捜索していた彼らは突然の怪奇現象に遭遇する。
部下たちは次々と消えていき、血まみれの学生服を着た少年が現れる。
この少年は異常な速さでレックスの部下を気絶させ連れ去る。
レックスは視力を強化し、その少年の姿を辛うじて捉える。
急な攻撃でレックスの部下たちは姿を消し、レックス自身も腕を痛めつけられる。
レックスは敵のアーティファクトが原因で常識外の速度を得ていると見抜き、敵もその代償として自らの体を削っていることに気付く。
敵が限界に近づいていると確信し、耐えれば勝利すると自身に言い聞かせる。しかし、敵の速さは増すばかりで、レックスは次第に疲弊する。
戦いは心理戦へと移行し、レックスは敵の挑発に応じつつも、最終的には肉体的に大きなダメージを受ける。
最後にレックスは壁を貫いた教室に吹き飛ばされ、教室には多数の死体が倒れているのを目の当たりにする。
足音が近づく中、レックスは次々と攻撃を受け、最終的に致命的なダメージを受ける。
その瞬間、彼は敵の力に感嘆の声を漏らし、命が途絶える。
研究室でニューは死体を見下ろしており、その死体は苦悶の表情をしていた。
この死体は騎士団員であり、「紅の騎士団」の「獅子髭」のグレンとして知られていた。
彼は魔力を封じられた結果、容易に命を落とした。ニューの関心はすぐにもう一人の騎士、マルコ・グレンジャーに移った。
マルコは美しい青髪の騎士で、かつてニューの許婚だったが、ニューには彼への愛情はなかった。
ニューは彼の生存を確認し、彼との昔の記憶に思いを馳せながら、苦笑した。
その時、ニューは背後から声をかけられ、振り返るとそこには知っている声の主、「シャドウ様」がいた。
シャドウ様はニューとともに研究室を調べ、ニューはマルコを生かす理由もないが殺す理由もないと述べた。
その後、ニューはシャドウ様に「シャドウガーデン」が学園周囲で待機しており、魔力が制限された状況でのリスクを報告した。
また、シャドウ様は魔力阻害の原因である「強欲の瞳」というアーティファクトを一時的に無効化する調整を行っていた。
ニューはシャドウ様がアーティファクトの調整を完了させるのを待ち、日が落ちる頃には作業が完成すると聞いた。
その後、ニューは元許婚であるマルコの首筋に薄い斬り傷を残して姿を消した。
シドが器具を持って帰ってきたところをシェリーは微笑んで迎え、すぐにアーティファクトの調整に取り掛かる。
シドは本を読みつつ、シェリーの作業を見守る。
その日は徐々に夕暮れとなり、シェリーの調整作業は日が完全に落ちる頃に終わる。
シェリーは調整が完了したペンダントをシドに見せ、シドは彼女の努力を称賛する。
シェリーはランプを持って地下へと向かい、義父を救うための決意を新たにする。
地下通路は複雑で、シェリーは地図を頼りに進む。
幼少期の義父との思い出に支えられつつ、彼女は恐れを乗り越えて進む。
最終的に、大講堂の下に位置する小さな通気口を見つける。
シェリーは通気口から大講堂内を窺い、魔力が解放されれば生徒たちが逃げ出せる状況を確認する。
力を抜いて落ち着きを保ちながら、シェリーはペンダントに魔石を組み込むと白い光が浮かび上がる。確信を持って、彼女はそのペンダントを大講堂へ投げ入れる。
終章
ローズは蜂蜜色の瞳で黒ずくめの男たちを観察していた。
大講堂に長時間連れてこられており、すでに日は沈んでいた。結束具は小さなナイフで切られ、彼女は拘束されているふりをしていた。
男たちは実力者ばかりで、統率も取れていた。中でもレックスと『瘦騎士』は特に強力だった。
ローズは反撃の機会を窺いつつ、魔力が徐々に抜けていくのを感じていた。
生徒たちも魔力欠乏症の症状を見せ始めており、時間がなかった。
突然、大講堂が眩しい光に照らされ、ローズはそれを反撃の機会と捉えて動き出した。
魔力が使えることを実感し、近くの黒ずくめの男を一撃で倒す。
彼女の行動により、生徒たちも動き始め、大講堂は反撃の熱気に包まれた。
しかし、魔力の限界も近づき、ローズは自分の体力と魔力の低下を感じながら戦い続けた。
その時、漆黒のロングコートを纏った男、「シャドウ」と名乗る者が現れ、黒装束の女性たちとともに黒ずくめの男たちを一掃した。
彼らは新たな剣の流派を持ち、誰もが驚くほどの強さを見せた。
最終的に、シャドウは大講堂の出口を斬り開き、黒ずくめの男たちを倒し、ローズたちは生徒を外へと誘導した。
すべてが終わった後、ローズは黒装束の女性たちがいつの間にか消えていたことに気づいた。
彼らはあたかも最初からいなかったかのように、痕跡も残さずに姿を消したのだった。
副学園長室に火が放たれ、その薄暗い室内でルスラン副学園長とシド・カゲノー君が対峙していた。
ルスランは黒ずくめの装束を脱ぎ、その正体を明かし、自身の過去と動機について語った。
彼はかつての栄光を失い、病に苦しみながらもアーティファクト「強欲の瞳」を追求していた。
その過程でシェリーの母、ルクレイアを利用し、彼女がアーティファクトの危険性を訴えると殺害した。シェリーもまた、彼に利用されていた。
シドはルスランの話を聞きながら、彼がどうしてそんな行動に出たのかを問う。
ルスランは自己中心的な理由から、自身の病を治すために何でもすると語り、最終的にはアーティファクトの力を使って自らを強化しようとした。
しかし、シャドウと名乗る謎の漆黒の男が現れ、彼との戦いでルスランは敗れた。
戦いの最中、ルスランは自身の計画とシャドウガーデンとの関連を明かし、全ての罪をその組織になすりつける計画であったことを告げる。
シャドウはその計画を一蹴し、ルスランに対して自らの刀で致命的な一撃を加えた。
ルスランが倒れると、彼の養女であるシェリーが現れ、死体に縋り涙を流す様子を背にシャドウはその場を去った。
夜の校舎で保護された黒髪の魔剣士学園の1年生、シド・カゲノーが救護テントで背中の治療を受けていた。
ローズはシドが生きていることを知り、救護テントへ急いだ。
彼女は彼が以前死亡したとされていたにもかかわらず、実際には死亡確認がされていなかったため、彼が生きていることを望んでいた。
ローズは救護テントでシドを見つけ、彼が意識があることを知り、彼を抱きしめた。
医師によると、シドの背中の傷は深かったが、命に別状はなく、神経や臓器に損傷はなかった。
シドは奇跡的に生還したと述べ、ローズは彼の頬を撫でながら、彼の努力が奇跡を生んだと確信した。
夜が明けるまで、ローズは彼の傍らで過ごした。
深夜、ミツゴシ商会に現れた美しい金髪のエルフ、アルファは漆黒のドレスを纏い、手配書を持っていた。
手配書には「シャドウガーデン」という組織とシャドウと名付けられた王国の怨敵に関する記述があり、シャドウは無差別殺人や放火などの罪で手配されていた。
アルファは自分の名前も手配書に記載されていることを知り、ガンマに指示して他のメンバーを集めるよう命じた。
その後、アルファは手配書を暖炉で燃やし、世界の罪を引き受けることに対する諦観と覚悟を示した。
同時に、彼女は自分たちが正義の側に立っていると思っていたが、実際はそうではなかったと感じていた。
そして、美貌のエルフは深夜に商会を後にした。
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