どんな本?
本作は、異世界転生ファンタジー漫画である。主人公エルマは、剣聖の血筋を持ちながら、十五歳の〈加護の儀〉で「重騎士」という外れクラスを発現し、家族から追放される。しかし、この世界が自身の知るゲームの世界であり、重騎士が最強のクラスであることを知っていたエルマは、その知識を活かして無双していく。
主要キャラクター
- エルマ:剣聖の血筋を持つ主人公。重騎士のクラスを得たことで家族から追放されるが、ゲーム知識を駆使して活躍する。
- ルーチェ:エルマの仲間であり、共に冒険を繰り広げる少女。
物語の特徴
本作は、主人公が前世のゲーム知識を活用して逆境を乗り越える点が魅力である。一見「外れ」とされるクラスの真価を引き出し、成り上がっていく過程が描かれている。また、詳細なゲームシステムの設定や戦闘描写が、他の異世界転生作品との差別化を図っている。
出版情報
読んだ本のタイトル
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(1)
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
今一番来てる「異世界転生」はこれだ!小説家になろう年間総合ランキング第1位!!(2022年1月1日計測時)
「役立たずめ……剣聖の息子でありながら、こんな大ハズレを引こうとは!」 十五歳の〈加護の儀〉。剣聖の血筋であるエルマは、典型的なハズレクラスである重騎士を発現し、次期当主の座を奪われて追放されてしまう。重騎士は偏ったステータスに、使い所のないスキル。挙げ句に臆病で怠惰な者が得るクラスだとまでいわれていた。 だが、エルマは知っていた。この世界は彼が遊び尽くしたゲームの世界であり――重騎士こそが、最強のクラスであることを。エルマは生前の知識をフル活用し、この世界の効率的な攻略を始めるのだった。
感想
重騎士という不遇職の魅力
本作の魅力は、不遇職とされた重騎士の真価を描いている点である。防御に特化した重騎士は、一見地味で扱いにくいクラスであり、周囲からは侮られていた。しかし、エルマは前世のゲーム知識を駆使して、その特性を最大限に活かす。特に〈城壁返し〉のスキルを使った戦闘描写は爽快で、重騎士の強さが印象深く描かれていた。
親子関係と追放の描写
エルマが父に追放される場面では、親子関係の脆さが強調されていた。剣聖の家系という血筋のプライドが、十数年の親子関係を簡単に壊してしまう描写は衝撃的である。ただ、この設定がエルマの孤独な挑戦に説得力を与えており、物語の基盤として機能していると感じた。
総評と期待
本書は、ゲームの知識を活かして不遇職の重騎士で無双する物語である。主人公エルマの冷静な判断や知識を駆使した戦略が見どころであり、読者にカタルシスを与える。
次巻以降では、さらに強力な敵や新しい仲間の登場が予想されるため、引き続き期待したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
第1話
加護の儀と期待される役割
エルマ・エドヴァンは、十五歳を迎えたことで〈加護の儀〉に臨んでいた。エドヴァン家は代々剣聖のクラスを受け継ぎ、領地を守護してきた名家である。次期当主としてエルマには剣聖が期待されており、父も彼の勤勉な努力を信じていた。館には老神官が招かれ、儀式は粛々と進行する。
重騎士のクラスとエルマの喜び
〈バプテスマ〉によって発現したエルマのクラスは「重騎士」であった。この結果を見てエルマは歓喜する。前世でやり込んだゲーム〈マジックワールド〉において、重騎士はテクニカルで最強のポテンシャルを秘めたクラスだったからだ。エルマは、攻略知識を活かして勝利を掴む自信に満ちていた。
父の失望と怒り
しかし、エドヴァン家の当主である父は、重騎士を「外れクラス」として断じた。剣聖を期待していた彼にとって、重騎士の防御特化の性能は失望そのものであった。父は激昂し、エルマの努力や言い訳を一切聞き入れず、彼を罵倒する。
分家の少女マリスの剣聖発現
その直後、分家の娘であるマリスも〈加護の儀〉を受ける。彼女のクラスは剣聖であった。父はこの結果に歓喜し、マリスを正式にエドヴァン家の後継者として迎え入れる。対照的にエルマは「出来損ない」と罵られ、館を追放されることになった。
エルマの追放と未来への決意
父の怒りは収まらず、エルマを一切擁護しないまま館から追い出した。名家の後継者から一転し、重騎士として孤独な道を歩むことになるエルマ。しかし、彼は重騎士の真価を知る唯一の存在であり、自身の知識と技量でこの世界を覆す決意を固めていた。
隣街での新たな出発
エルマは父との衝突によりエドヴァン家を追放され、隣街ロンダルムに到着した。顔が知られていないこの街を拠点に生活することを決意し、宿に落ち着いた。貴族の立場から解放されたことで、自由に生きる道を模索し始める。
ゲームの知識と世界の差異
転生前にプレイしていたゲーム〈マジックワールド〉の知識を頼りに、エルマはこの世界の仕組みを理解しようとした。地名や歴史は異なっていたが、魔物やスキルに関してはゲームと同一のようであり、知識が武器になることを確信した。
重騎士としてのステータス確認
エルマは〈ステータス〉を確認し、自分の初期装備と能力値を見定めた。装備は〈下級兵の剣〉と〈鉄の鎧〉であり、レベル1の現状では十分な選択だった。彼はスキルポイントの分配に着手し、〈重鎧の誓い〉に全振りすることを決断した。
最強スキルツリーの選択
〈重鎧の誓い〉はサービス開始時には「最弱」と言われたスキルツリーだったが、エルマは解析チームの一員としてその真価を知っていた。防御力の上昇と〈城壁返し〉のスキルを取得し、低レベル帯の魔物に対して優位に立つ戦略を構築した。
未来への準備と期待
強力な防御力を手にしたエルマは、魔物との戦いを通じてレベルを上げる準備を整えた。ゲーム知識を活かし、無駄を排した成長計画を進めながら、明日への期待を胸に秘め、決意を固めた。「クソ親父の千倍強くなって見返してやる」と、彼は再起を誓った。
ロンダルム近隣の森での初戦闘
エルマは都市ロンダルムの近隣にある森を訪れた。ここには手頃な強さの魔物が現れるため、彼は効率的なレベル上げを狙っていた。初戦の相手は、レベル2のカエル型魔物ラーナであった。
重騎士の力と初のレベルアップ
ラーナが飛び掛かってくると、エルマは〈城壁返し〉を発動させた。鎧に力が宿り、ラーナは弾け飛んだ。結果として経験値を取得し、彼はレベル1からレベル2へと上昇した。重騎士は攻撃力こそ低いが、このスキルの防御特化性能が功を奏した形である。
剣士との遭遇とラーナの群れ
エルマが魔物の魔石を回収していたところ、突如として剣士の少年が助けを求めて走り込んできた。彼の背後には十体近いラーナの群れが迫っていた。エルマは剣士の制止を振り切り、飛び掛かる魔物たちを迎え撃つことにした。
ラーナ群れの殲滅と称号獲得
エルマは〈城壁返し〉を駆使し、次々とラーナを討伐していった。
第2話
短時間で彼のレベルは8にまで上がり、スキルポイントも7取得した。さらに、攻撃をせずに十体の魔物を倒したことにより、称号〈不動の者〉を獲得し、防御力が強化された。
成長したステータスと今後の展望
最後にエルマは〈ステータス〉を確認し、各能力値の順調な成長を確認した。防御力が大幅に上昇したことで、さらなる効率的なレベル上げが可能になった。彼を助けられた剣士は驚愕し、エルマを不気味な存在として見ていたが、エルマは淡々と準備を整え、次なる戦いへの意欲を見せた。
出会いとパーティー勧誘
アレスと名乗る少年は、冒険者として単独でレベルを上げられず焦っていたところをエルマに救われた。彼はエルマの実力を認め、二人組のパーティーへの参加を持ちかけた。しかし、エルマは経験値効率を重視し、単独行動を選ぶと断った。防御特化クラスの特性上、他者と組むことは不利と考えていたのである。
突如現れたアランダエイプ
その直後、二人の前に巨大な蜘蛛型魔物アランダエイプが出現した。レベル16の格上魔物で、攻撃力の高いスキル〈火炎爪〉や移動妨害の毒魔法〈ポイゾ〉を持っていた。アレスは逃げることを提案したが、エルマは前世の知識を活かし、勝利を確信して戦う決意を固めた。
ディザーム取得と戦闘開始
エルマはスキルポイントを〈重鎧の誓い〉に全振りし、新たなスキル〈ディザーム〉を取得した。このスキルは敵の攻撃力を一時的に低下させる効果を持つ。エルマは毒の被弾覚悟でアランダエイプに接近する。
第3話
二度〈ディザーム〉を発動させ、攻撃力を大幅に削いだ。
〈城壁返し〉の発動と勝利
エルマは計画通り、アランダエイプの攻撃を封殺し、スキル〈城壁返し〉を発動させた。巨大な蜘蛛は鎧の力で吹き飛ばされ、その後の一撃で息絶えた。戦闘後、エルマは一気にレベル12まで上昇し、土属性の魔石と新たなスキル〈パリィ〉を獲得した。
アレスの驚愕と帰路
エルマの実力に圧倒されたアレスは、彼の単独行動を理解しつつも、寂しさを滲ませた。エルマは彼に護衛を頼み、毒状態の身体を引きずりながら慎重に街へ戻った。
第4話
冒険者登録と魔石の換金
エルマは都市ロンダルムの冒険者ギルドを訪れ、冒険者登録を行った。クラスが「重騎士」であることに受付嬢は同情的な反応を示したが、エルマは気にせず冒険者証を受け取った。その後、魔石の換金を依頼し、ラーナの魔石10個とアランダエイプの魔石1個を提出した。受付嬢はその大きさに驚き、エルマが単独で倒したと知るとさらに怪訝な表情を見せたが、換金は問題なく行われ、合計8万ゴルドを手に入れた。
冒険者ランクと昇級の必要性
冒険者のランクはF級からS級まで七段階に分かれており、エルマは最速でE級への昇級を目指していた。スキルポイントの振り分けには上限があり、E級以上でないと一部のスキルツリーの成長が制限されるためである。〈夢の穴〉へ入る資格もE級以上の冒険者が必要であり、エルマの強化には昇級が不可欠だった。
ギルド内の反応と注目
魔石換金後、ギルド内ではエルマの功績に対して陰口を叩く者も現れた。「ズルでもしているのでは」と疑う声もあったが、エルマは周囲の反応を意に介さず、次の目標に目を向けた。
昇級審査とアンデッド討伐依頼
エルマは受付嬢に昇級依頼について尋ねた。翌日に行われる大規模依頼が条件を満たしており、Lv15以上の魔物討伐実績がある者なら参加可能だと知らされる。依頼内容は、森奥に集まったアンデッド系の魔物の駆除であった。アンデッドはHPが高い一方で、攻撃力は控えめな傾向にあるため、エルマの〈城壁返し〉の発動条件を満たしやすい敵であった。
依頼受注と次なる挑戦
エルマは即座に参加を決意し、受付嬢の警告にも構わず受注を完了させた。大量のアンデッドを相手にする今回の依頼は、エルマにとって防御特化の性能を最大限に発揮できる好機であった。
大規模依頼への参加と監督者ゴウタン
エルマは〈アンデッドの群れの討伐〉の大規模依頼に参加し、他の冒険者9人と共に森へ向かった。監督役であるゴウタンはE級昇級審査権を持つD級冒険者であったが、初対面のエルマに対し強い不信感を示し、厳しい態度を取った。
赤魔術師テイルの挑発
道中、赤魔術師のテイルが〈サーチ〉を使い、敵の数が三十体前後であることを告げた。彼は優秀さを誇示しつつ、エルマのクラス「重騎士」を外れだと侮辱した。エルマは冷静に反論したが、テイルはあからさまに敵意を示し、挑発的な態度を崩さなかった。
ゴウタンの指示とエルマの提案
ゴウタンは討伐対象の「グールヘッド」を自ら担当し、他の冒険者に雑魚掃討を指示した。しかし、指示は大雑把であり、エルマは万が一に備えた細かい計画や撤退の基準を提案した。だが、ゴウタンは新人の意見を受け入れず反発した。
テイルの妨害と指示の拒絶
エルマの提案に対し、テイルが余計な口を挟み、エルマの発言を「恐怖からの泣き言」だと揶揄した。さらにテイルはゴウタンを煽り、エルマの意見を否定するよう仕向けた。結果、ゴウタンは指示を出さないまま、先へ進むことを決めてしまった。
危機への懸念
エルマは、依頼の進行に不安を覚えた。大半の参加者はF級冒険者であり、未熟な者が多い。さらに、ゴウタンの指導力不足やテイルの妨害が事態を悪化させ、予想外のアクシデントが起こる可能性も高まっていた。エルマは「余計なことが起きなければいいが」と呟き、冷静に状況を見守ることにした。
アンデッドの群れとの衝突
討伐依頼当日、エルマたち一行は森の中でアンデッドの群れと、そのボスであるグールヘッドに遭遇した。群れは三十体近くのワイトで構成されており、厄介な魔物が紛れていないことにエルマはひとまず安堵した。ボスのグールヘッドも棍棒以外に特筆すべき武装はなく、ゴウタンはテイルとポールを連れて突撃し、他の冒険者たちには雑魚の討伐を命じた。
冒険者たちの不安とエルマの指示
ゴウタンの大雑把な指揮により、残された冒険者たちは戦いに消極的な様子を見せた。エルマは三人ずつの部隊を組んで互いの背を守るよう指示し、自身は単独で動いてワイトを引きつける役割を買って出た。冒険者たちはエルマの冷静な態度に従い、戦闘が開始された。
〈パリィ〉と〈城壁返し〉の活用
エルマはワイトの攻撃を〈パリィ〉で受け流し、体勢を崩したところに〈ディザーム〉を叩き込み、攻撃力を減少させた。さらに、カウンターとして〈城壁返し〉を発動させ、ワイトを次々と吹き飛ばしていった。彼の知識と技術は圧倒的であり、低レベルのワイトは瞬く間に倒されていった。
着実なレベルアップと成長
ワイトの討伐により、エルマのレベルは16まで上昇し、スキルポイントも5に達した。自身のステータスを確認し、順調に強化されていることを確認した。動きの遅いワイトを的確に捌く彼の技量に、他の冒険者たちは驚きと畏怖を隠せなかった。
周囲の反応とエルマの焦り
冒険者たちはエルマの戦闘力に驚愕しつつも、「頼りになるが怖い」と評価し始めた。しかし、エルマ自身はまだ重騎士としての本領を発揮できていないことを理解しており、早く自由にスキルポイントを振れる段階までレベルを上げる必要があると感じていた。
ワイトの減少とゴウタンの奮闘
ワイトの群れは大半が撃破され、エルマがその三分の一以上を一人で倒していた。グールヘッドと戦うゴウタンは、確実に攻撃を加えながらもワイトの妨害に手を焼いていた。テイルとポールは機能しておらず、ゴウタンの動きを阻害していたが、彼は冷静に戦い続けていた。
〈屍喰らい〉の発動
グールヘッドは突如、自身の周囲にいたワイトを掴み、自らの口に放り込んだ。〈屍喰らい〉という特性スキルによってHPを回復し、ゴウタンの攻撃で負った傷を癒やしていった。エルマはこの展開を警戒しつつも、グールヘッドの周囲に残ったワイトを減らすため動き出した。
グールヘッドの異変とエルマの予感
さらにグールヘッドは残る五体のワイトを次々に喰らい、その異様な行動にエルマは違和感を抱いた。通常の回復行動にしては異常な量であり、何かが起こる前兆だと確信した。「逃げろ」と叫ぶエルマの声を無視し、ゴウタンはグールヘッドに突撃した。
存在進化とマッドヘッドの出現
その瞬間、グールヘッドは身体を膨張させ、真っ赤に変色し始めた。全長は三メートル近くに達し、棍棒を握り潰しながら巨大な爪を生やした新たな姿へと変異した。【〈グールヘッド〉が〈マッドヘッド〉へと存在進化しました】というメッセージがエルマに流れた。マッドヘッドのレベルは33から40へと跳ね上がり、ゴウタンはこの変異に動揺を隠せなかった。
存在進化の不運
存在進化は特定条件下で発生するレアイベントであり、今回は長期戦での追い詰めと〈屍喰らい〉によるエネルギーの蓄積が原因であった。エルマは「運が悪かった」と結論づけつつも、この突発的な強敵出現に冷静に対応しようとしていた。一方、ゴウタンは突然の変化に理解が追い付かず、マッドヘッドを前に呆然としていた。
マッドヘッドの存在進化と脅威
マッドヘッドは咆哮とともに巨大化し、レベルが【33】から【40】へと跳ね上がった。ゴウタンは異変に理解が追いつかず、茫然と立ち尽くしていた。エルマは〈王の咆哮〉によるスタンを予測して警告したが間に合わず、ゴウタンは一撃で吹き飛ばされ、〈痺れ毒の腐肉〉により麻痺状態に陥った。
エルマの奮闘と仲間の動揺
エルマはゴウタンを守るため、間一髪でマッドヘッドの攻撃を受け流そうとしたが、〈パリィ〉では受け切れず弾き飛ばされた。マッドヘッドの標的がゴウタンからエルマへと変わり、彼は自ら囮となって時間を稼ぐことを決意した。エルマはテイルにゴウタンの回復を指示するが、テイルは〈パララヒール〉を習得していないことが発覚する。
テイルのスキル振りの問題
テイルは補助スキルを捨てて攻撃力強化にスキルポイントを振っていたため、ゴウタンの麻痺を回復できなかった。エルマは怒りを抑えつつ、せめてゴウタンを安全な位置まで運ぶよう指示し、自らマッドヘッドを引きつけて走り出した。
マッドヘッドとの一騎打ち
マッドヘッドは凶悪な速度でエルマを追いかけ、「ブゥワアアアアッ!」と吠えながら迫りくる。レベル【40】のマッドヘッドの強さを目の当たりにしながらも、エルマは冷静に魔物のステータスを確認した。彼はゴウタンが立て直すまでの時間を稼ぐため、死を覚悟しつつマッドヘッドへと立ち向かった。「来いよ、マッドヘッド。俺が相手してやる」と、エルマは決意を新たにした。
マッドヘッドとの死闘
マッドヘッドは巨大化し、周囲の冒険者たちは恐怖で逃げ出そうとしたが、エルマは一人で囮となる覚悟を決めた。攻撃を回避しながら耐え続けることを決意し、三分間を凌げばゴウタンが復帰すると考えていた。
エルマの反撃とスキル取得
マッドヘッドの攻撃を回避し続けるも、ステータス差が大きく、エルマは苦戦を強いられた。そこで彼はスキルポイントを〈初級剣術〉に全振りし、新スキル〈当て身斬り〉を取得する。〈当て身斬り〉を駆使し、至近距離からの攻撃で反撃を開始した。スキルの有用性を見せつけつつも、ダメージは徐々にエルマの体力を削っていった。
ゴウタンの復帰と逆転
激昂するマッドヘッドはエルマに集中し、隙だらけの状態となる。その背後でゴウタンが復活し、〈竜殺割り〉でマッドヘッドの脳天を撃ち抜いた。クリティカル攻撃により、マッドヘッドは巨体を揺らして崩れ落ちた。
戦闘の結果とエルマの成長
マッドヘッド討伐の経験値はゴウタンに大半が流れたものの、エルマにも膨大な経験値が入り、レベルが【16】から【23】に上昇した。さらにスキルポイントも【7】取得し、苦戦を経て得た成果は十分に報われる形となった。
マッドヘッド討伐後の安堵
エルマは剣を収め、疲労の中で安堵した。ゴウタンの復帰は三分を超え、五分以上掛かっていたが、テイルの回復が間に合ったことで最悪の事態は避けられた。
ゴウタンの謝罪と反省
ゴウタンは指揮と安全管理の甘さを認め、エルマに謝罪した。自ら指導役を辞めると口にするが、エルマは彼の責任感を評価し、経験を改めて活かすべきだと説得した。ゴウタンはそれを受け入れ、指導役の続行を決意する。
マッドヘッドの戦利品
ゴウタンはマッドヘッド討伐の功績をエルマに譲り、魔石と共に〈狂鬼の盾〉が残された。盾は防御力と攻撃力の補正を持つ高価なアイテムで、市場価値は三百万ゴルドに上る。ゴウタンは未練がましい様子を見せつつも、盾の所有を潔く認めた。
昇級の確約とテイルの評価
ゴウタンはエルマの昇級を強く認め、ギルドへその有能さを伝えると宣言した。一方、テイルは自身の昇級を申し出るが、戦闘中に怯えた姿を指摘され、経験不足を理由に拒否された。テイルは悔しさを滲ませながらも反論せず、エルマへの劣等感を内に秘めたままその場を収めた。
大規模依頼の報酬受け取り
エルマは冒険者ギルドで報酬を受け取った。基礎報酬の三万ゴルドに加え、貢献度により十万ゴルド、さらにワイトの魔石換金分として二十万ゴルドが加わり、合計三十三万ゴルドとなった。これに加え、マッドヘッドの魔石が六十万ゴルドで買い取られ、合計でほぼ百万ゴルドという大金が手に入った。
重騎士への疑念とゴウタンの証言
ギルド内ではエルマの功績を疑う声が上がった。防御特化クラスの重騎士がこれほどの成果を上げることに納得できない冒険者たちが、彼の実力に疑問を呈した。しかし、ゴウタンが拳を机に叩きつけ、エルマの潔白を証言することで静まり返った。結果として、エルマは無事にE級冒険者へと昇級した。
スキル上限の緩和と今後の方針
E級冒険者となったことで、スキルツリーへの割り振り上限が緩和され、〈夢の穴〉への立ち入りも可能となった。エルマは当面の目標として、〈城壁返し〉を活用しながら〈夢の穴〉で魔物を狩り、資金稼ぎを行うことを決める。ただし、今後は賢い魔物が増えることで〈城壁返し〉の有効性は低下すると理解していた。
〈燻り狂う牙〉の技能の書を探す決意
エルマは重騎士の真価を発揮するために必要な〈燻り狂う牙〉の〈技能の書〉を手に入れることを目指し、商店街での探索を計画する。このアイテムは稀少であるため、都市ロンダルムでの発見は難しいと予想しつつも、可能性を探ることにした。
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