どんな本？
本作は、異世界転生ファンタジー漫画である。主人公エルマは、剣聖の血筋を持ちながら、十五歳の〈加護の儀〉で「重騎士」という外れクラスを発現し、家族から追放される。しかし、この世界が自身の知るゲームの世界であり、重騎士が最強のクラスであることを知っていたエルマは、その知識を活かして無双していく。
主要キャラクター
- エルマ：剣聖の血筋を持つ主人公。重騎士のクラスを得たことで家族から追放されるが、ゲーム知識を駆使して活躍する。
- ルーチェ：エルマの仲間であり、共に冒険を繰り広げる少女。
物語の特徴
本作は、主人公が前世のゲーム知識を活用して逆境を乗り越える点が魅力である。一見「外れ」とされるクラスの真価を引き出し、成り上がっていく過程が描かれている。また、詳細なゲームシステムの設定や戦闘描写が、他の異世界転生作品との差別化を図っている。
出版情報
読んだ本のタイトル
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する（3）
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
剣聖ＶＳ重騎士！ 最強クラスＶＳ壊れクラス！！ これが今、1番「来てる」異世界転生！！！ 覇権作品堂々漫画化第３巻！！
〈夢の主〉エンブリオとの激闘決着！！ エルマたちが稼いだ額は、目標の5500万Ｇに到達するのか！？
そして、街に戻ったエルマたちを待ち受けていたのは、〈剣聖〉のスキルツリーを持つ因縁の相手マリス！！
この世界で最強の力を持つ〈剣聖〉クラスを、ゲーム知識を総動員して〈重騎士〉クラスが迎え撃つ！！！
感想
格上への挑戦と重騎士の真価
エルマとルーチェが格上の〈夢の主〉エンブリオを倒す展開は、引き込む緊張感に満ちていた。
特に、ルーチェのスキル〈ダイススラスト〉が勝敗を左右する場面は、彼女の〈豪運〉がどれだけ重要かを示しており、物語に独自の味わいを与えていた。
また、エルマが重騎士の特性を活かして戦う様子は、戦略的で引き込まれる展開であった。
家族との対立と模擬戦の激闘
アイザスとマリスの登場により、エルマの過去が再び浮き彫りとなった。
模擬戦という形式で伯爵家との決着を図る展開は、重騎士としての力を証明し、過去を乗り越える場面として印象的である。
称号〈番狂わせ〉を活用しつつ、絶望的な戦いを戦略で乗り越えるエルマの姿は痛快であった。
道化師ルーチェの存在感
ルーチェは単なるサポートキャラクターではなく、物語の中核に関わる存在として描かれている。
彼女の〈豪運〉は戦略に組み込むことで大きな成果をもたらし、エンブリオ戦での活躍がその重要性を際立たせていた。
また、彼女の性格や行動にはユーモアがあり、暗くなりがちな物語に明るさをもたらしている。
テーマの深化と新たな展開への期待
本巻では、単なるゲーム知識による無双ではなく、仲間との協力や過去との決着といったテーマが強調されている。
エルマが新たなスキル〈燻り狂う牙〉を得て、冒険者としてさらなる成長を遂げる一方、伯爵家との因縁が次巻でどのように描かれるのか、期待が高まる内容であった。
総評
本書は、戦闘の緊張感と家族との対立という二つの軸で読者を引き込む力を持つ一冊である。
エルマとルーチェの冒険が新たな局面を迎える中、次巻の展開に大いに期待が膨らむ作品である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
19話
スキルを駆使したブリキナイトとの戦闘
エルマはスキル〈シールドバッシュ〉や〈ディザーム〉を活用し、ブリキナイトの猛攻をいなしながら敵の攻撃力を削いでいった。一体を無力化することに成功したが、エンブリオのスキル〈リペア〉によってブリキナイトが完全復活する厄介な状況に陥った。
エンブリオへの攻撃と苦戦
エルマは土属性魔石を投擲してエンブリオの目を狙い、弱点を攻撃することでダメージを与えた。しかし、ブリキナイトとの戦闘に集中せざるを得ず、消耗戦が続いた。エンブリオの自動回復の速さが、攻略をさらに困難にしていた。
ルーチェの再登場と決意
絶体絶命の中、逃げたはずのルーチェが戻り、エルマを救った。彼女はエルマを見捨てる覚悟などなく、自らの意地で共に戦うことを決意した。彼女のスキル〈ドッペルイリュージョン〉が敵の注意を引きつけ、エルマの態勢を立て直す時間を稼いだ。
二人での秘策の決断
ルーチェの勇気と決意を受け、エルマはエンブリオを倒すための最後の秘策を打ち明けた。成功の可能性は低く、失敗すれば全滅するリスクがあったが、ルーチェは迷わず協力を申し出た。二人は力を合わせて、エンブリオを攻略する覚悟を固めた。
20話
エンブリオとの死闘
エルマは迫りくるブリキナイトをスキル〈シールドバッシュ〉や〈パリィ〉でいなし、ルーチェと協力して応戦した。しかし、エンブリオのスキル〈リペア〉によってブリキナイトは何度も復活し、戦況は次第に厳しさを増していった。
クリティカルヒットに賭ける作戦
エルマはルーチェに〈ダイススラスト〉を用いてエンブリオの弱点である目玉を狙うよう指示した。作戦の要はルーチェをスキル〈シールドバッシュ〉で宙に弾き、エンブリオに肉薄させるというものだった。幸運力に頼った博打的な作戦ではあったが、他に選択肢はなかった。
一度目の失敗とエンブリオの嘲笑
エルマの援護で宙に弾き飛ばされたルーチェは、エンブリオに向かって〈ダイススラスト〉を放つ。しかし出た数字は「四」であり、エンブリオの肉の鎧を貫くことはできなかった。エンブリオは嘲笑するような表情を見せ、勝利を確信したように振る舞った。
21話
ルーチェの逆転劇
失敗に終わったかに見えた瞬間、ルーチェは道化師のスキル〈曲芸歩術〉を用い、天井を駆けてエンブリオの背後に回り込んだ。そして再び〈ダイススラスト〉を放ち、出た数字は「六」だった。その一撃はエンブリオの肉の鎧を貫通し、弱点である単眼に致命傷を与えた。
戦闘の終結
ルーチェの攻撃によってエンブリオは完全に力を失い、三体のブリキナイトも動きを止めて崩れ落ちた。エルマとルーチェの協力が、格上の敵に対する逆転勝利をもたらしたのである。
エンブリオ討伐後の成果
エンブリオを討伐した後、ルーチェは自身の成果に驚きつつも喜びを感じていた。エルマとルーチェは大量の経験値と報酬を獲得し、それぞれのレベルが大幅に上昇した。さらに、低レベルでの討伐を称える称号〈番狂わせ〉も取得した。この称号は強敵との戦闘で有利になる能力を付与する重要なものであった。
大量の報酬と貴重なアイテムの発見
討伐後の探索で、エンブリオの魔石や〈ブリキソード〉などの高価なアイテムがドロップした。さらに、極めて稀少な〈技能の書〉《中級風魔法》を発見した。この書は非常に高額で取引される品であり、ギルドに見つからないよう慎重に扱う必要があった。今回の討伐による市場価値総額は6000万ゴルドを超え、二人にとってこれ以上ない成果となった。
22話
〈夢の穴〉の消滅とギルドでの昇級報告
〈夢の主〉の討伐により〈夢の穴〉が消滅し、二人は無事に外へと戻った。都市ロンダルムでは彼らの偉業が冒険者ギルドで報告され、推奨レベル【50】の〈夢の主〉討伐に伴う報酬として1000万ゴルドが支払われることが決定した。また、エルマとルーチェはそれぞれ昇級し、ルーチェは飛び級でD級冒険者となった。この結果、ルーチェは都市内で有数の熟練冒険者として認められる存在となった。
元仲間クラインの後悔と懇願
一方、ルーチェの元仲間であるクラインとリースは、彼女のいないパーティーでの活動に苦戦していた。クラインはルーチェの〈豪運〉による影響を否定しつつも、その効果の大きさを認めざるを得なかった。ルーチェとエルマがギルドで注目を集めている様子を見たクラインは、彼女に復帰を懇願した。しかし、過去の扱いを忘れていないルーチェとエルマは彼の申し出を冷たく拒絶し、その場を後にした。
祝賀会と新たなスキルの展望
エルマとルーチェは冒険者ギルドでの報酬受領後、酒場で祝賀会を開いていた。エルマはD級冒険者への昇級によりスキルポイントの上限が引き上げられたことに満足し、今後のスキルツリーの強化計画を考えていた。一方で、報酬金制度の影響で低レベルの冒険者が無謀な挑戦をする現実に対し、エルマはこの世界の不均衡さを感じていた。
ルーチェの回顧とクラインの追跡
ルーチェは祝賀会でクラインやリースとの過去を振り返り、彼らと再びパーティーを組むことが想像できないと述べた。クラインはギルドでエルマたちに声を掛け、挙句には恩を忘れたのかと詰め寄ったが、ルーチェに事実を指摘され失意のまま立ち去った。
報酬品と分配の話し合い
エルマは報酬品の〈技能の書〉についてルーチェに使用の意向を確認したが、彼女は今後の成長を見据えて使用を控える決断をした。エルマもまた、自身のスキルツリーを優先するため使用しないと表明し、〈技能の書〉は売却して金策に回すこととなった。
報酬の分配とルーチェの反発
エルマは報酬を8対2で分配する提案をしたが、ルーチェはこの割合に強く反発した。彼女は、自分の力ではなくエルマの計画と奮闘による成果だとして、多くを受け取ることを拒否した。エルマは〈マジックワールド〉での慣例に基づいた提案だと説明したが、ルーチェの反論に納得する形で議論は落ち着いた。
23話
店主との交渉と査定
店に到着すると、店主の老婆が前回同様、煙管を手に迎えた。エルマは〈燻り狂う牙〉を再度確認した上で、アイテムの査定を開始した。特に〈輝くラーナの飾剣〉二本の査定額に注目が集まり、店主は二千五百万ゴルドを提示したが、エルマは納得せず、売却を保留する決断を下した。
〈技能の書〉の売却交渉
エルマは次に〈中級風魔法〉の〈技能の書〉を提示し、売却価格の交渉を開始した。市場価値二千万ゴルドの品に対し、店主は千四百万ゴルドを提示したが、エルマはさらなる値上げを求めた。店主はその交渉術に舌を巻きつつも譲歩を見せず、膠着状態に陥った。
ルーチェの提案と交換交渉の成立
膠着状態を見たルーチェが、〈技能の書〉と他のアイテムをまとめて〈燻り狂う牙〉と交換する提案を行った。この提案に店主も興味を示し、取引条件が成立した。アイテムの市場価値を考慮すれば、双方にとって利益の大きい結果となった。
ルーチェの主張とエルマの葛藤
ルーチェは、自分の取り分をエルマの装備投資に回すことを提案した。エルマは過剰な負担を感じるとしつつも、ルーチェの意志の強さに押され、最終的に提案を受け入れた。ルーチェは感謝の意を示しつつも、エルマを手放さないという決意を表明していた。
新たな絆と店主の助言
ルーチェと店主が意気投合し、互いの奮闘を称え合う場面が展開された。エルマは、二人の急な親密さに困惑しつつも、〈燻り狂う牙〉を手に入れることができたことで、新たな冒険への一歩を踏み出した。
24話
マリスの新たな地位と悪癖
マリスは、エルマ追放後の〈加護の儀〉を経て、分家から本邸へ移り住み、エドヴァン伯爵家の次期当主としての地位を得た。彼女は過去からエルマに憧れを抱きながらも、大切なものを台無しにするという悪癖を持ち、その衝動を抑えられずにいた。
〈命移し〉によるレベル上げ
マリスはエルマの父アイザスの指示の下、領内の村で〈命移し〉を実施した。この非道な方法により、罪人の命を奪って経験値を得ることでレベルを引き上げた。伯爵家の後継者としての地位を確固たるものにしながらも、その内面には邪悪な笑みを浮かべていた。
エルマに対する執着と復讐心
エルマのかつての部屋に住むことになったマリスは、エルマが追放された状況に満足しつつも、彼の存在を完全に潰す計画を心に秘めていた。エルマが冒険者として活動を続けていることを知り、その希望を奪うことを目的として動き出した。
アイザスの怒りと対応策
アイザスは、エルマがエドヴァン伯爵家の名を用いているとの噂を耳にし激怒した。部下にエルマの冒険者ギルドからの除名を命じる一方で、マリスは彼の対応を「甘い」と批判した。彼女はさらに過激な処置を提案し、自らもロンダルムへ向かうことを申し出た。
父娘の対話とマリスの策略
マリスはアイザスに対し、自身の不安と忠誠心を装いながらロンダルムへの同行を要請した。彼女の巧妙な説得により、アイザスはロンダルム行きを決断した。マリスはその決定に満足し、計画を着実に進める準備を整えた。
マリスの邪悪な計画
マリスの最終目的は、エルマの冒険者としての希望を父アイザスの手で奪うことであった。腕を切り落とし、彼の生き甲斐を徹底的に壊すという計画を胸に秘めた彼女は、不気味な笑みを浮かべながら「待っててね、ボクのエルマ」と呟いた。
〈燻り狂う牙〉の入手とその重み
エルマは〈燻り狂う牙〉を手に入れたことで、ルーチェの厚意に大きな感謝を抱いていた。そのスキルツリーは五千万ゴルドに相当する高額なものであり、エルマはその価値と効果の大きさを深く理解していた。同時に、これに報いるため、最大限に活用する決意を固めた。
スキルツリーの選択と変更
エルマはスキルツリーの中から〈防御力上昇〉を削除し、〈燻り狂う牙〉を追加した。ステータス上昇スキルは万能で安定感があるものの、長期的な戦略を考慮し、攻撃特化である〈燻り狂う牙〉を選んだ。この選択により、彼の戦闘スタイルは劇的に変化する可能性を秘めていた。
〈燻り狂う牙〉の特性と戦略
〈燻り狂う牙〉は極めて高い攻撃性能を持つ一方で、使用にはリスクが伴うスキルツリーであった。デスペナルティの危険性を孕む一方で、重騎士としての特性を活かすことで、そのリスクを最小限に抑えつつ最大の火力を発揮することが可能となる。
スキルポイントの振り分けと成果
エルマは残ったスキルポイントを〈重鎧の誓い〉に振り分け、通常スキル〈ライフシールド〉を取得した。このスキルは最大HPの20％を代償に強力なシールドを展開するもので、防御と攻撃の両立に優れていた。戦闘での継続性を高め、より効果的な戦略を可能とするスキルである。
ルーチェとの信頼と感謝
エルマは〈燻り狂う牙〉の取得により強力な力を得たが、それ以上にルーチェの信頼と支援への感謝を深めていた。ルーチェもまた、彼の成長を喜び、これからの戦いにおいて互いに協力し合う姿勢を示していた。エルマはその期待に応えるべく、さらなる活躍を誓った。
〈夢の穴〉攻略報酬の活用と装備検討
エルマとルーチェは冒険者ギルドで〈夢の穴〉に関する情報を調査していた。エルマはスキルツリー〈燻り狂う牙〉の取得に多額を費やしたものの、報酬や魔石の売却益がまだ多く残っており、装備を強化する計画を立てていた。特にルーチェの〈鉄石通し〉は現在のレベルに見合わない性能であり、より強力な武器への買い替えが検討された。
新たな装備の選択肢と課題
装備品の選定において、都市ロンダルムの冒険者市場では【Lv：40】相応の武器が手に入りにくい問題が浮上した。エルマは妥協した装備を購入するリスクを懸念していたが、ルーチェの提案で、〈夢の穴〉でのアイテムドロップに期待する方針を採用した。この計画により、冒険者ギルドでの情報収集が続けられた。
25話
ギルドへの突如の訪問者
突如、冒険者ギルドに豪奢な装いを纏った二人組が現れた。それはエドヴァン伯爵家当主アイザスと次期当主マリスであった。アイザスはギルド長に人払いを命じ、ギルド内の冒険者たちはその威圧感に従って退去していった。エルマは伯爵家との関係を避けようとしたが、アイザスから直接呼び止められる事態となった。
アイザスの命令とエルマへの接触
アイザスはギルドに残るようエルマに命じた。ルーチェが誤って状況を和らげようとしたものの、アイザスの対象はエルマであった。マリスとアイザスが彼の前に立ちはだかり、避けられない対話の場が作られることとなった。エルマは関わりを避けたいと考えながらも、事態の成り行きに対処する覚悟を固めていた。
エルマとアイザスの対立
冒険者ギルドにて、エルマとアイザスが緊迫した雰囲気で向き合っていた。アイザスはエルマの態度を咎め、エルマも毅然と応じていた。ルーチェは二人の対立を目の当たりにし、和解を図ろうと奔走していたが、状況は改善しなかった。アイザスの言動には、エルマに対する怒りと失望が見え隠れしていた。
マリスの意図とルーチェの決意
マリスはエルマとの関係を探るため、ルーチェにも干渉し始めた。エルマはルーチェを巻き込まないよう外へ出るよう促したが、ルーチェは仲間としてエルマの側に残ると決意を示した。これに対し、マリスはエルマとルーチェの間に信頼関係があると見抜き、彼女をその場に留めることを提案した。
アイザスの追及とギルド長の弁明
アイザスはエルマが伯爵家の名を利用した疑惑を追及し、ギルド長に職員の関与を調査するよう命じた。エルマは疑いを否定し、アイザスに誤解を解くための調査を求めたが、アイザスは納得せず、さらに怒りを募らせていた。
模擬戦の提案
マリスはエルマの力を証明する方法として模擬戦を提案した。自身のレベルとエルマのレベルが近いことを理由に挙げ、実戦形式でエルマの実力を確かめるべきだと主張した。アイザスは当初反対したが、マリスの執拗な提案に折れ、模擬戦が行われることとなった。
エルマの決意
エルマは模擬戦の受諾を宣言し、伯爵家との因縁に決着をつけることを決意した。ルーチェはその決定に不安を覚えたが、エルマの覚悟を理解し見守ることにした。エルマは条件として、自身の力を認めた場合、伯爵家との関わりを完全に断つよう求めた。マリスはその条件を承諾し、模擬戦が始まる空気が漂い始めた。
模擬戦の開始
冒険者ギルドの中央で、エルマとマリスが対峙していた。模擬戦という名目ではあったが、その実態はエルマが自身の潔白を証明し、エドヴァン伯爵家と決別するための戦いであった。アイザスは「殺すな」と命じたが、その表情には冷たいものが宿っていた。
26話
マリスの圧倒的な優位
マリスは剣聖のクラスに相応しいリーチと速度を活かし、エルマに猛攻を仕掛けた。エルマは盾で受け流しつつ反撃の機会を探ったが、マリスの素早さと技量に阻まれ、攻撃が届かなかった。防戦一方となりながらも、エルマは彼女の動きを見極めるため耐え続けていた。
重騎士の策略
エルマは重騎士のスキル〈影踏み〉を用いて、マリスの動きを封じた。マリスが体勢を崩した瞬間、エルマは〈当て身斬り〉を繰り出し、彼女に一撃を加えることに成功した。この一撃により、マリスは驚きを隠せず、アイザスも青ざめた表情を見せた。
称号〈番狂わせ〉の力
エルマの成功には、称号〈番狂わせ〉の補正が大きく寄与していた。この称号は、推奨レベルを大きく下回る状況で〈夢の主〉を討伐した者に与えられるものであり、エルマの攻撃力と素早さを強化していた。小細工と称号の力を活かした一撃で、マリスに隙を生じさせた。
本当の勝負の始まり
マリスはエルマの実力を認め、剣聖のスキルを全力で用いる構えを見せた。エルマもまた、マリスの本気を引き出したことで、模擬戦の本番が始まることを確信した。これまでの小細工は通じなくなるだろうが、彼は冷静に次の一手を見据えていた。
マリスのスキル〈金剛連撃〉
マリスは剣聖の代表的なスキルである〈金剛連撃〉を発動させ、神速の連撃を繰り出した。このスキルは瞬間的に肉体を強化して攻撃を連続で叩き込むものであり、その速度と威力は圧倒的であった。しかしエルマは冷静に対応し、攻撃を受け流しながら少しずつダメージを抑えた。
27話
計算されたHP管理とスキルポイントの振り分け
エルマは戦闘中、〈燻り狂う牙〉のスキルツリーにスキルポイントを振る計画を立てていた。戦闘を通じて自身のHPを調整し、発動条件を満たすように進めた。そしてついに、スキル〈死線の暴竜〉を取得するに至った。このスキルはHPが低下するほど攻撃力と素早さを倍増させるもので、エルマの状況を一変させた。
〈死線の暴竜〉と〈ライフシールド〉のコンボ
エルマは〈ライフシールド〉を使用して〈死線の暴竜〉を発動させた。このコンボにより、HPが減少した状況でも防御を維持しつつ、攻撃力と素早さを飛躍的に高めた。これにより、剣聖であるマリスに追いつき、反撃の糸口を掴んだ。
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