どんな本?
本作は、異世界転生ファンタジー漫画である。主人公エルマは、剣聖の血筋を持ちながら、十五歳の〈加護の儀〉で「重騎士」という外れクラスを発現し、家族から追放される。しかし、この世界が自身の知るゲームの世界であり、重騎士が最強のクラスであることを知っていたエルマは、その知識を活かして無双していく。
主要キャラクター
- エルマ:剣聖の血筋を持つ主人公。重騎士のクラスを得たことで家族から追放されるが、ゲーム知識を駆使して活躍する。
- ルーチェ:エルマの仲間であり、共に冒険を繰り広げる少女。
物語の特徴
本作は、主人公が前世のゲーム知識を活用して逆境を乗り越える点が魅力である。一見「外れ」とされるクラスの真価を引き出し、成り上がっていく過程が描かれている。また、詳細なゲームシステムの設定や戦闘描写が、他の異世界転生作品との差別化を図っている。
出版情報
読んだ本のタイトル
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(4)
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
重騎士覚醒!! 激レア素材「ミスリル」をGETせよ! これが今、1番「来てる」異世界転生!! 覇権作品堂々漫画化第4巻!!
重騎士を「壊れクラス」へと昇華させるスキル獲得!
新スキル「死線の暴竜」で防御特化の重騎士が、攻撃特化以上のアタッカーに変身する!
道化師ルーチェと二人で挑むダンジョンでは、装備のグレードを上げるレア素材を大量収穫!
強スキルと上級装備で更なる高みへ駆け上る!!
感想
家族との対立と成長の象徴
伯爵家との模擬戦でエルマが示した戦略性と冷静さは、重騎士としての力量を証明する場面であった。
特に称号〈番狂わせ〉を活用し、剣聖マリスに勝利する姿は、彼がゲーム知識を現実で応用する能力の高さを象徴していた。
この決闘により、エルマは自身の過去を乗り越え、新たな道を歩む決意を固めたと見える。
冒険者としての進化
ラコリナでの冒険は、エルマとルーチェが互いの能力を補い合いながら成長していく過程を描いていた。
〈豪運〉を活かしたレアアイテムの獲得や、ミスリルゴーレムの討伐など、スキルと戦略を駆使した戦闘が見どころであった。
特にルーチェのスキル〈曲芸連撃〉が進化し、彼女がより実践的な力を身につけた点は、今後の展開に期待が出来る。
順調な冒険の裏に潜む波乱
エルマたちは順調に冒険を進めているように見えるが、物語終盤ではさらなる課題が予感される展開となっていた。
〈豪運〉により好機を引き寄せる一方で、それが新たな試練を生む可能性も示唆されていた。
レアモンスターや高額装備の登場により物語が彩られる一方、次巻で描かれるであろう困難がどのように物語を変えていくのか楽しみである。
総評
本書は、戦略的な戦闘とキャラクターの成長を通じて読者を魅了する一冊であった。
過去を乗り越え、新たな地で冒険を始めたエルマとルーチェの物語は、これからさらに盛り上がりを見せることを期待させる。
次巻では彼らがどのような試練に挑むのか、引き続き目が離せない作品である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
28話
剣聖の優位性を覆す
マリスは再度〈金剛連撃〉を繰り出したが、エルマはスキルの隙を見抜いていた。マリスが無理な四連撃を放った後の無防備な瞬間を突き、彼女の刀を弾き飛ばした。これにより、マリスは攻撃の手段を失い、防御も崩れた。
決定打と勝利
エルマは最後に〈シールドバッシュ〉を発動し、マリスを大きく吹き飛ばした。壁に叩きつけられたマリスは気絶し、戦闘は終結した。エルマは余力を残したまま勝利を収め、ルーチェの感動と歓喜の声に迎えられた。
29話
アイザスの動揺と敗北の受容
アイザスは目の前の現実を受け入れられず、膝を突いて呆然とした。マリスが敗れた事実は、剣聖の圧倒的優位性が崩れたことを示していた。エルマは冷静な戦略とスキルの組み合わせで、重騎士としての可能性を証明したのである。
アイザスの敗北の受容
アイザスは、冒険者ギルドにおける模擬戦でエルマが勝利した事実を受け入れざるを得なかった。彼は「〈夢の主〉討伐の実力が本物である」と認めつつも、その表情には不満と屈辱が滲んでいた。マリスの敗北がアイザスの引き際を促し、彼はマリスを背負ってギルドを去ろうとした。
エルマの感謝の言葉
エルマはアイザスを呼び止め、育ててもらった15年間への感謝を述べた。そして、別れ際に言葉を交わせなかったことを謝罪し、母親への伝言を託した。アイザスは驚きながらも言葉を返さず、そのままギルドを後にしようとした。
ルーチェの訴え
ルーチェはアイザスを引き留め、「エルマに謝罪すべきだ」と主張した。彼女は、理不尽な言い掛かりを付けた挙句、間違いを認めても謝らない態度を批判した。さらに、実の父親であるにもかかわらず、エルマに対する冷淡な振る舞いが寂しすぎると訴えた。その言葉にアイザスは険しい表情を見せたが、立場と自尊心から謝罪することはなかった。
アイザスの去り際の言葉
アイザスは出口で足を止め、ルーチェに「エルマをよろしく頼んだ」とだけ告げた。その言葉には、彼なりの配慮と未練が感じられたが、直接エルマに向けられたものではなかった。アイザスはルーチェへの依頼を最後にギルドを去り、エルマとの関係に幕を引いた。
ロンダルムを去る決断
エルマとルーチェは都市ロンダルムを離れることを決めた。エルマは、エドヴァン伯爵家との因縁を考えればもっと早く出ていくべきだったかもしれないと感じつつも、ルーチェがロンダルムに留まる希望を持つなら、まだ滞在する意向もあった。しかし、ルーチェは「お義父様からエルマさんを任された」と笑顔で宣言し、旅立ちを選んだ。
アイザスの振る舞いと貴族の責務
ルーチェはアイザスが最後まで謝罪しなかったことに納得できない様子だったが、エルマは「貴族は頭を下げるべきではない立場」として理解を示していた。エルマはアイザスが去り際に口にした「よろしく頼む」という言葉を、彼なりの謝罪の一端と受け止めていた。また、彼が模擬戦を不服ながらも容認した背景には、父親としての配慮もあったのではないかと考えた。
過去のしがらみと決別
エルマはエドヴァン伯爵家の風習や価値観について、前世の記憶と重ねながら否定的な思いを抱いていた。特に〈命移し〉や労働者の使い捨てといった習慣には反発を覚えており、いずれ限界を迎えていたと語った。また、マリスがかつては無邪気な子供だったことを回想しつつ、今の彼女との変化に疑問を感じていたが、それ以上深く考えることは避けた。
新たな挑戦への決意
エルマは、エドヴァン伯爵家との因縁に一区切りをつけ、これからの冒険に集中する意志を固めた。ルーチェとの会話を通じて、これまでの努力がようやく形になり始めたことを実感し、さらなる成長を目指して意気込んだ。一方、ルーチェは自身がエルマについていけるかを不安がりつつも、エルマの言葉に奮起し、共に歩む覚悟を新たにした。
冒険の新たな始まり
エルマは、〈燻り狂う牙〉の取得が今後の活動に大きな影響を与えると確信し、ルーチェに改めて「よろしく頼む」と告げた。ルーチェはそれに応え、彼らは新たな冒険に向けて一歩を踏み出した。
冒険者の都ラコリナへの到着
エルマとルーチェは都市ラコリナに到着した。三階や四階建ての建物が立ち並び、舗装された道や噴水が目立つこの街は、冒険者たちにとって理想的な環境であった。特に、周囲に出現する高レベルの〈夢の穴〉が都市の繁栄を支えていた。ルーチェはロンダルムの地元愛を語ったが、エルマは苦笑しつつも彼女の意見に耳を傾けた。
エルマとルーチェの現在の状況
エルマは〈ステータス〉を確認し、自分が初心者を脱した段階にいることを認識した。しかし、武器や防具の性能不足に課題を感じ、まずは装備の強化を優先するべきだと考えた。一方、ルーチェも自身の〈ステータス〉を確認し、スキルポイントを長期間割り振っていなかったことが判明した。エルマに助言を求めたルーチェは、自分の目標を見失わないよう努めた。
スキルビルドの方向性の決定
ルーチェはクリティカル型の道化師を目指すことを決意し、〈豪運〉にスキルポイントを割り振った。その結果、特性スキル〈招きニャロン〉が進化し、〈幸福の天使〉となった。このスキルの効果により、パーティー内でのドロップアイテムの質が大幅に向上する見込みが立った。彼女は目標が固まったことでモチベーションを高めた。
高額スキルの課題とルーチェの不安
エルマはクリティカル型に必要な〈技能の書〉〈死神の凶手〉の入手が高難度であることを指摘した。この〈技能の書〉は数億ゴルドを要する可能性が高く、入手難易度も高いことから、ルーチェは戸惑いを隠せなかった。しかし、エルマはその頃には資金面の課題を乗り越えられると励まし、当面の目標を共有することで彼女の不安を和らげた。
30話
冒険者ギルドでの準備と〈夢の穴〉への訪問
エルマとルーチェは都市ラコリナの冒険者ギルドで情報を収集した後、近郊にある〈百足坑道〉の〈夢の穴〉へ向かった。虹色の渦が崖壁に現れた入口で、彼らは内部探索を開始した。この〈夢の穴〉は推奨レベルが【60】と高かったが、道中の魔物はそれよりも低レベルであり、挑戦可能だと判断していた。
目標装備と〈夢の穴〉の概要
探索の第一目標は黒鋼装備の回収であった。黒鋼装備はドロップ率が高く、加工性にも優れているため、現在のエルマとルーチェの装備強化に最適な素材であった。この〈百足坑道〉は特に黒鋼装備を効率よく入手できる場所として適していた。
エルマの知識とルーチェの反応
エルマの詳細な知識に感心したルーチェは、彼の過去や情報収集能力について尋ねた。エルマは、自身の知識が子供時代の経験に基づくものだと語り、現在ではその過去をさほど引きずっていないと説明した。ルーチェは彼がクラスアドバイザーになる可能性について考えたが、エルマはそれを否定し、過去に多くのトラブルを引き起こした事例を挙げて慎重な態度を示した。
魔物:スマイルとの遭遇
洞窟内で、標的となる魔物「スマイル」が現れた。直径1メートルの岩塊に笑顔が刻まれたこの魔物は、【Lv:45】と高いレベルを持っていた。ルーチェはそのレベルに驚愕したが、エルマは冷静に対応し、今回の探索が確実に成功するという自信を見せた。スマイルからのドロップアイテム回収を目指し、戦闘に臨んだ。
スマイルとの戦闘準備と攻略法
エルマとルーチェは〈百足坑道〉の奥地で、岩塊の魔物スマイルと対峙した。スマイルは【Lv:45】の魔物であったが、人間のようにスキルや道具を駆使できるわけではなく、単調な動きが特徴であった。エルマは盾を用いてスマイルの〈加速〉による〈体当たり〉を防ぎ、〈影踏み〉で動きを封じて壁際に追い詰めた。さらに〈ディザーム〉で攻撃力を削ぎ、安定してダメージを受けない戦術を展開した。
ルーチェのサポートとスマイルの撃破
ルーチェは〈曲芸歩術〉を活用して壁を駆け、スマイルに防御力貫通効果を持つナイフ〈鉄石通し〉で連続攻撃を仕掛けた。スマイルは抵抗を試みたが、エルマの盾による防御とルーチェの連携で動きを封じられ、最終的に撃破された。戦闘の結果、エルマのレベルは【41】から【43】へと上昇し、スキルポイントを2取得した。
31話
〈黒鋼ナイフ〉のドロップと装備強化
撃破したスマイルの残骸から、黒鋼製のナイフ〈黒鋼ナイフ〉がドロップした。このナイフは【攻撃力:+13】と優れた性能を持ち、市場価値は四百三十万ゴルドに相当する品であった。エルマはこのナイフをルーチェに装備させ、〈鉄石通し〉よりもダメージを与えやすいことを説明した。ルーチェはこの高価な武器を手に喜びながら、新たな装備で次の戦闘に臨む準備を整えた。
〈豪運〉の効果と幸運力の影響
今回の探索で、ルーチェの〈豪運〉による幸運力が大いに発揮された。黒鋼装備は比較的ドロップしやすいとはいえ、一度の戦闘でピンポイントにナイフを引き当てる結果は予想外であった。エルマは幸運力の効果範囲が、ゲームから現実の世界に置き換わる過程で広がっている可能性を考察した。このナイフの入手により、今後の探索は大幅に効率が向上する見込みであった。
黒鋼装備の収集と今後の計画
エルマとルーチェは〈百足坑道〉でのスマイル討伐を計画した。エルマは黒鋼装備を収集しつつレベル上げを目指し、目標としてスマイル十体の討伐を設定した。ルーチェはエルマの金銭感覚に戸惑いを覚えつつも、彼の目的が冒険者としての強化であることを理解した。エルマは効率的な討伐方法を説明し、次々とスマイルを狩る計画を立てた。
スマイルの群れとの遭遇
進行中、突如として四体のスマイルが群れを成して現れた。通常は単独で行動するスマイルの群れに驚くルーチェを安心させるため、エルマは逃げずに迎え討つべきだと判断した。スマイルの動きは単調であるため、エルマは速攻で数を減らす方針を立て、ルーチェに〈ダイススラスト〉を使うよう指示した。
希少種クライの発見
スマイルの中に、目尻が下がった泣き顔の個体が含まれていることにエルマは気付いた。この個体はスマイルの希少種クライであり、他のスマイルを指揮して群れを形成する特性を持つ。クライの出現率は非常に低いが、倒せば高確率でレアアイテムをドロップする。エルマはルーチェの〈豪運〉による幸運力が、この希少種の出現を引き寄せたと推測した。
討伐への決意
エルマはクライの出現を喜び、これを絶好のチャンスと捉えた。ルーチェは自分の幸運が群れを引き寄せた可能性に戸惑いを覚えたが、エルマの指示に従い共闘することを決意した。エルマは剣を構え、群れを倒してレアアイテムと経験値を得ることに集中した。
クライ討伐への指示と戦闘の開始
エルマはスマイルの群れを引きつけ、ルーチェにリーダー格であるクライを狙うよう指示した。スマイルの〈加速〉の動作に注意を促しつつ、適切なタイミングで攻撃を仕掛けるよう助言した。ルーチェは〈曲芸歩術〉を活かして天井を駆け上がり、エルマのサポートを受けながらクライの頭上に陣取った。
クライへの致命的な一撃
エルマは〈シールドバッシュ〉でクライを宙に跳ね上げ、ルーチェが〈ダイススラスト〉で一撃を叩き込んだ。六の目が出たクリティカルヒットにより、クライは砕け散った。これにより、群れの統率が崩壊し、残りのスマイル達は烏合の衆となった。エルマとルーチェはリーダー討伐の成功により、次の戦いを有利に進めることができた。
スマイルの挟撃を回避する戦術
残った二体のスマイルがエルマを挟撃しようとしたが、エルマは〈パリィ〉と盾技で軌道を逸らし、二体を互いに衝突させた。これによりスマイルはスタン状態となり、隙を突いたルーチェとエルマがそれぞれ一体を確実に仕留めた。
最後のスマイルの逃走を阻止
最後に残ったスマイルは逃走を試みたが、エルマが〈影踏み〉で動きを封じ、ルーチェが素早く攻撃を加え続けた。一方的な攻撃でスマイルを撃破し、戦闘は無事に終了した。二人はリーダー討伐を含む一連の戦いを短時間で切り抜け、被害を最小限に抑えることができた。
戦闘後の休息とレアアイテムの確認
戦闘後、エルマはルーチェに水を渡し休息を促した。ルーチェは疲れながらもエルマの頼もしさを称賛し、次の探索に向けての意欲を見せた。一方で、クライの残骸からは期待通りのレアアイテムがドロップしており、エルマはさらなる収穫への期待を胸に抱いていた。
スマイルのドロップ品の確認
エルマとルーチェはスマイルたちからドロップしたアイテムを確認した。得られたのは土属性の魔石四つ、黒鋼のアイテム三つ、そしてクライからのレアアイテム一つであった。黒鋼の装備として〈黒鋼ハンマー〉、〈黒鋼インゴット〉、〈黒鋼ソード〉が揃い、それぞれが高い市場価値を持っていた。特に〈黒鋼ソード〉のドロップにより、エルマとルーチェの装備が効率的に整う結果となった。
クライの刻印石の発見
クライのドロップ品からは、透き通った赤い輝きを持つ〈破壊の刻印石〉が見つかった。このアイテムは埋め込むことで武器の攻撃力を【30%】向上させる効果を持つ。当たり枠のアイテムであり、市場価値は二千万ゴルドと非常に高価であった。この効果によりエルマたちは、使用するか売却するかの判断を迫られることになった。
獲得したアイテムの総価値の計算
回収されたアイテムの価値を合算すると、総額は約四千百五十万ゴルドに達していた。この収益は前回の〈天使の玩具箱〉を超える可能性を示唆しており、探索の成功が確実視される状況となった。
ルーチェの驚きと適応
一連の成果に対し、ルーチェは金額の大きさに驚くと同時に、自分が驚きに慣れてきていることにも驚愕していた。道化師の〈豪運〉の恩恵により、ルーチェの金銭感覚も徐々に〈マジックワールド〉のプレイヤー基準に近づいてきている様子であった。
32話
ミスリルゴーレムの接近と戦う決断
休憩を終えたエルマとルーチェは、洞窟内を進む中で遠くから響く重い足音に気付いた。巨大スマイルの可能性を疑ったものの、音の正体はミスリルゴーレムであることが判明した。この魔物は〈百足坑道〉の超レアモンスターであり、強力な武器の素材となるミスリルをドロップする存在であった。ただし、一撃の威力が圧倒的に高く、慎重な対応が求められる敵であるため、エルマは退くべきか挑むべきかを悩んでいた。
ルーチェは、ミスリルゴーレムの出現が自分の〈豪運〉によるものと自覚し、それを見過ごすことへの後ろめたさを口にした。そして、自身の幸運力を信じて挑戦を提案した。エルマもその勇気に応え、戦う決断を下した。
戦闘準備と地形の選定
ミスリルゴーレムとの戦闘を前に、エルマは地形の重要性を指摘した。以前の〈天使の玩具箱〉での成金ラーナ戦やエンブリオ戦と同様、戦場の地形が戦闘の成否を大きく左右することを説明した。洞窟の通路の幅や高さ、足場の状況などを考慮し、最適な戦闘場所を選ぶ必要があった。
エルマは、ミスリルゴーレムを誘導して有利な地形へ引き込む計画を立てた。音を立てて誘き寄せる方法を用い、まずは戦いやすい場所を確保する準備に入った。
ミスリルゴーレムの誘導と地形の準備
エルマは地形を利用してミスリルゴーレムを誘導する計画を実行した。狭い通路と低い天井、足場の悪さを活かし、巨体のゴーレムの動きを制限する戦場を選定した。ミスリルゴーレムは【Lv:55】で高い攻撃力と防御力、さらに〈自動再生〉の特性を持つタフな敵であった。エルマは短期決戦の必要性を説き、ルーチェには〈ダイススラスト〉を活用するよう指示した。
33話
ミスリルゴーレムの登場と初撃の応酬
ミスリルゴーレムは怒号を上げながら現れた。巨体の攻撃は圧倒的な威力を持ち、エルマはその一撃を避けながら〈パリィ〉で応戦した。攻撃を受け流しつつ、ゴーレムの動きを鈍らせ、ルーチェが背後に回り込む隙を作り出した。ゴーレムの攻撃を巧みにかわしながら、二人は敵を挟み込む形に持ち込んだ。
狭い通路での攻防
ゴーレムは前後の敵を同時に牽制するため両腕を振り乱したが、狭い通路での無理な動きが裏目に出た。エルマは〈パリィ〉と〈シールドバッシュ〉を駆使し、ゴーレムの攻撃を逸らしつつ、自身も素早く後退して次の手を狙った。この動きによってゴーレムの両腕が壁や空間に拘束される隙を作り出した。
ルーチェの反撃とゴーレムの怒り
エルマの隙作りを受け、ルーチェは〈ダイススラスト〉を発動し、見事に【六】を引き当てた。ゴーレムの背に一撃を叩き込み、その巨体に罅を走らせた。しかし、ゴーレムは激昂し、右手を強引に壁から引き抜きながら反撃を開始した。ルーチェは〈曲芸歩術〉で壁を蹴り、再び攻撃範囲外へと逃れた。
34話
決着に向けた正念場
ミスリルゴーレムの〈自動再生〉が機能する前に、ルーチェがもう一度〈ダイススラスト〉を成功させる必要があった。エルマは再び敵の注意を引きつけ、最終的な一撃を狙うべく戦場を整えた。
ミスリルゴーレムへの集中攻撃と戦況の悪化
ミスリルゴーレムは〈ダイススラスト〉で大ダメージを与えたルーチェを狙い、彼女に攻撃を集中させようとした。エルマは〈影踏み〉を使いゴーレムを制止しようとしたが、相手とのステータス差が大きく、完全に動きを封じることはできなかった。ゴーレムはエルマに突進を仕掛けるが、彼は足場の悪さを活かして敵の動きを制限しつつ、反撃の隙を作ることに成功した。
一瞬の隙を狙った攻撃と失敗
ゴーレムの体勢を崩したエルマはルーチェに攻撃を促し、彼女は〈ダイススラスト〉を放つ。しかし浮かんだ数字は【三】で、ゴーレムを倒しきるには至らなかった。ゴーレムは怒り狂いながら反撃し、ルーチェを振り飛ばしたが、彼女は素早く間合いを取り再び攻撃の準備を整えた。連続での〈ダイススラスト〉成功には期待できない中、エルマは強引にゴーレムを抑える戦術を展開した。
消耗戦と戦況の悪化
エルマは〈ライフシールド〉を展開し、ゴーレムの強力な攻撃を耐えながら時間を稼いだ。〈シールドバッシュ〉と〈影踏み〉を活用してゴーレムの動きを封じるも、敵は徐々にエルマの戦法に対応し始めていた。ルーチェは三度目の〈ダイススラスト〉を放つも再び失敗し、状況はさらに厳しくなった。
最後の一撃での勝利
エルマがゴーレムの攻撃を引きつける中、ルーチェは四度目の〈ダイススラスト〉を放ち、ついに【六】を引き当てた。その一撃でミスリルゴーレムは崩れ落ち、戦いは終結した。エルマとルーチェはレアモンスターを撃破し、経験値と貴重なアイテムを手に入れることができた。エルマはこの成果を喜びつつも、今後のスキル構成についての計画を練り始めた。
35話
ミスリルゴーレム討伐後の戦利品の確認
ミスリルゴーレムの残骸から、ルーチェは土属性魔石を見つけた。それは市場価値が二百万ゴルドもある貴重なものであった。さらに、エルマはゴーレムの胸部から青緑色に輝く〈ミスリルインゴット〉を取り出した。これは市場価値が二千五百万ゴルドという非常に高価な鋳塊であった。ミスリル装備は冒険者としてのステータスを大幅に向上させるため、エルマはこのインゴットをナイフに加工し、ルーチェに持たせることを決めた。二人の総収益は六千八百五十万ゴルドに達し、〈天使の玩具箱〉での成果を上回る結果となった。
〈夢の主〉討伐への決断
戦利品を確認した後、エルマとルーチェは次の行動を話し合った。ミスリルゴーレムの討伐に成功し、十分な余力を残せたことから、エルマは〈夢の主〉討伐を提案した。ルーチェは初めは躊躇したが、エルマの説明を聞き、討伐を決意した。〈夢の主〉は「岩蜈蚣(ロックセンチピード)」と呼ばれる百足型の魔物であったが、動きが遅く単調な攻撃パターンを持つため、彼らにとって大きな脅威とはならないと判断された。
次なる戦いへの準備
エルマはミスリルゴーレム戦で〈死線の暴竜〉を使う予定であったが、〈影踏み〉と〈シールドバッシュ〉の連携が効果を発揮したため、そこまで追い込まれることはなかった。そのため、二人とも余力を残した状態で次なる挑戦に臨むことができた。エルマは「さくっと倒して追加報酬を得る」という意気込みを見せ、ルーチェも彼に続く覚悟を決めた。
36話
岩蜈蚣討伐の準備
エルマとルーチェは〈百足坑道〉の最奥部に向かい、岩蜈蚣との戦いに備えていた。ルーチェは〈愚者の曲芸〉にスキルポイントを振り、〈曲芸連撃〉を習得した。このスキルは変則的な回転攻撃で手数を増やす技であり、岩蜈蚣の明確な隙を狙う戦術に適しているとエルマが説明した。試行を経てルーチェはスキルの使用感を確かめつつも、終わり際の隙が大きいことを懸念していたが、エルマは戦闘の要点を詳しく説明し、彼女を安心させた。
岩蜈蚣との遭遇
二人は巨大な鍾乳石や緑色の水が広がる幻想的な最奥部に到達した。そこには、天井から灰色の甲殻を持つ全長十五メートルの岩蜈蚣が現れた。岩蜈蚣は高いHP、攻撃力、防御力、素早さを兼ね備えており、遠近両用の攻撃を持つ厄介な敵であった。しかし、その巨体ゆえの大きな弱点も持っていた。エルマは、岩蜈蚣が凶悪な難敵ではなく、倒しやすい〈夢の主〉であることを確信していた。
岩蜈蚣との戦闘開始
エルマとルーチェは岩蜈蚣を迎え撃つ準備を整え、戦闘を開始した。岩蜈蚣は凄まじい速度で二人へ迫ったが、エルマの〈シールドバッシュ〉を利用してルーチェを敵の背中へ送り込むことに成功した。岩蜈蚣の弱点である巨体を突き、ルーチェは〈曲芸連撃〉を駆使して連続攻撃を叩き込んだ。
岩蜈蚣の反撃とルーチェの離脱
ルーチェが攻撃を加え続けた結果、岩蜈蚣のHPは半分以下に減少した。その後、エルマの指示でルーチェは安全な位置へ離脱し、岩蜈蚣の反撃を回避した。岩蜈蚣は魔法スキル〈ロックブラスト〉を放つも、遮蔽物の多い地形のためにルーチェへ命中させることができず、攻撃を諦めエルマを追い始めた。
岩塊を利用したエルマの戦術
エルマは岩塊を巧みに利用し、岩蜈蚣の巨体を絡ませることでその動きを封じた。何度も岩塊に引っ掛かり減速する岩蜈蚣を引きつけつつ、エルマはルーチェとの合流に成功した。この状況を利用して再びルーチェを岩蜈蚣の背中へ送り出した。
最終攻撃と岩蜈蚣の討伐
ルーチェは再び〈曲芸連撃〉を連続で放ち、岩蜈蚣の巨体に大ダメージを与えた。岩蜈蚣はついに動きを止め、その巨体を地面に伏せたまま完全に沈黙した。二人は無事に〈夢の主〉を討伐し、大量の経験値とスキルポイントを得た。
戦闘を振り返っての感想
ルーチェは、岩蜈蚣よりもミスリルゴーレムの方が強かったと感じたことを苦笑しながら語った。二人の事前準備と戦術が功を奏し、順調に岩蜈蚣を討伐できた戦闘であった。
同シリーズ
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