どんな本?
本作は、異世界転生ファンタジー漫画である。主人公エルマは、剣聖の血筋を持ちながら、十五歳の〈加護の儀〉で「重騎士」という外れクラスを発現し、家族から追放される。しかし、この世界が自身の知るゲームの世界であり、重騎士が最強のクラスであることを知っていたエルマは、その知識を活かして無双していく。
主要キャラクター
- エルマ:剣聖の血筋を持つ主人公。重騎士のクラスを得たことで家族から追放されるが、ゲーム知識を駆使して活躍する。
- ルーチェ:エルマの仲間であり、共に冒険を繰り広げる少女。
物語の特徴
本作は、主人公が前世のゲーム知識を活用して逆境を乗り越える点が魅力である。一見「外れ」とされるクラスの真価を引き出し、成り上がっていく過程が描かれている。また、詳細なゲームシステムの設定や戦闘描写が、他の異世界転生作品との差別化を図っている。
出版情報
読んだ本のタイトル
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(5)
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
【防御特化】から【攻撃特化】へ!! これが「今一番来てる」異世界転生!!! 覇権作品堂々漫画化第5巻!!
「存在進化」した〈夢の主〉を倒せ!!
素材を手に入れるために入った〈百足坑道〉で、激レア素材「ミスリル」をGetしたエルマたち。
街に戻るためにダンジョンボスを撃破したはずが、「存在進化」によって強敵に変身してしまう!!
一撃でも喰らったら即死亡の危機的状況で、重騎士の新スキルが発動する‥‥!!
感想
存在進化の緊迫感と重騎士の戦略性
デスアームドとの戦闘は、緊迫感と戦略が交錯する見どころであった。エルマの冷静な判断とルーチェの〈豪運〉が合わさり、絶望的な状況を切り抜ける展開は手に汗握るものである。特に、エルマがスキルを駆使して攻撃力を極限まで高めるシーンは、重騎士の強みとリスクを見事に描いていた。賭けに近い戦法で勝利を掴む姿は、読者に爽快感を与える。
ギルド長ハレインの登場と物語の広がり
ラコリナの冒険者ギルドで出会うギルド長ハレインは、物語に新たな深みを加える存在である。彼女の冷静さと洞察力はエルマを警戒させる一方で、その裏に見え隠れする弱さやコミカルな面が親しみを誘う。〈夢の穴〉の存在進化がもたらす謎とともに、ハレインがどのように物語に関わっていくのか期待が高まる。
鍛冶師ベルガとの出会いと新たな装備
ミスリル剣の製作を依頼するため出会った鍛冶師ベルガは、偏屈ながらも実力を持つ職人として印象的であった。彼の態度に翻弄されるエルマとルーチェのやり取りはユーモラスであり、重い戦闘描写の後の緩やかな場面として楽しめる。また、新たな装備の制作が今後の冒険にどのような影響を与えるかも注目である。
展開の定番感とキャラクターの魅力
テンプレート的な展開が多い本作であるが、それを補うキャラクターたちの個性が物語を引き立てている。特にルーチェの成長や、彼女の挙動不審な可愛らしさは読者の共感を呼び、作品全体に明るさをもたらしている。重騎士の戦術をゲーム知識に基づいて細かく描く点も、物語の奥行きを増している。
総評
本書は、テンポの良い戦闘とキャラクターたちの掛け合いを通じて、読者を引き込む魅力的な作品である。存在進化という予想外の展開が物語を一層盛り上げ、ラコリナでの新たな冒険が始まる予感を感じさせる。次巻では、さらに深まる謎や登場人物たちの活躍を期待したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
37話
岩蜈蚣の復活と存在進化
岩蜈蚣の死骸から立ち上る蒸気に違和感を抱いたエルマは、それがただの消滅現象ではなく危険な兆候だと察知した。ルーチェを急いで呼び寄せたが、岩蜈蚣は紫色の甲殻を持つ新たな姿「デスアームド」へと存在進化を遂げた。レベルは75に上昇し、圧倒的な強さを誇る存在となった。
存在進化の条件と危機的状況
エルマはデスアームドの進化条件について推測を重ねたが、通常なら満たされるはずのない条件が揃っていることに疑念を抱いた。それでも目の前の現実を受け入れ、ルーチェと共にこの脅威に立ち向かう決意を固めた。逃走の選択肢が事実上存在しない中、エルマは最後の策を考案した。
38話
作戦の立案と準備
エルマはルーチェにデスアームドの尾を狙うよう指示し、自身は〈ライフシールド〉を発動してデスアームドの注意を引く役割を担った。デスアームドの巨大な尾は狙いやすく、比較的装甲が薄い部分であり、攻撃の要となる位置であった。作戦成功のためには、エルマが敵の猛攻を凌ぎつつ、ルーチェが的確に一撃を叩き込む必要があった。
デスアームドとの交戦
エルマはデスアームドの注意を引くため、岩塊を利用して敵の動きを封じ込めたが、その圧倒的な攻撃力により遮蔽物が次々と破壊された。エルマは〈シールドバッシュ〉と〈ライフシールド〉を駆使して時間を稼ぎ、デスアームドの攻撃を避けつつルーチェの準備を整えた。
39話
ルーチェの攻撃と状況の転機
デスアームドの尾に接近したルーチェは、〈ダイススラスト〉を放ち、見事クリティカルを引き当てた。この攻撃によりデスアームドは動きを乱し、激昂する。エルマとルーチェは、それぞれが想定していたポジションを確保し、最終的な一撃を狙う準備を整えた。
40話
デスアームドの猛攻と反撃への布石
デスアームドは怒りを爆発させ、全ての脚で地面を叩き鳴らしながらルーチェを追い詰めた。ルーチェは巨大な岩を利用してデスアームドを翻弄しつつ、その尾を踏んで岩の上へ逃れた。デスアームドは自身の尾に噛み付いて自滅し、大量の体液を流した。これによりデスアームドは短時間ながらスタン状態に陥り、無防備となった。
スキル強化による攻撃準備
エルマはスタン状態を見逃さず、スキルポイントを全て〈燻り狂う牙〉に投入し、攻撃力を極限まで高めた。また、重騎士の特性を活かし、リスクの大きいスキル〈不惜身命〉を発動。防御力を攻撃力に転化し、〈死線の暴竜〉と併用して圧倒的な火力を得た。
41話
圧倒的火力での一撃必殺
エルマは〈不惜身命〉と〈死線の暴竜〉による強化を最大限に活かし、デスアームドの無防備な胴体へ攻撃を叩き込んだ。一撃でその頑強な甲殻を破壊し、続く連撃で巨体を真っ二つにした。デスアームドは力尽き、討伐が完了した。
討伐の成果と経験値の獲得
デスアームドの討伐により、エルマとルーチェは莫大な経験値を得て、それぞれのレベルが大幅に上昇した。デスアームドの進化に伴う危険な戦闘ではあったが、結果として無事に〈百足坑道〉の主を打倒することに成功した。
42話
デスアームド討伐の安堵と称号の獲得
デスアームドの亡骸がゆっくりと気化して消えていく中、エルマは〈不惜身命〉を解除し防御力を回復させた。ルーチェは討伐の成功に感激し、膨大な経験値に驚いていた。エルマは今回の戦闘が博打のような危険な戦法であったことを認め、ルーチェの活躍が勝利の鍵となったと評価していた。また、新たに〈悪夢殺し〉という称号を獲得し、その効果が強敵との戦いで有用であると確認した。
デスアームドの魔石の回収
エルマとルーチェは崩壊が始まる〈夢の穴〉内でデスアームドの魔石を探索し、ついに見つけ出した。その土属性魔石の価値は四百万ゴルドにも上り、ルーチェはその高額さに驚きを隠せなかった。デスアームドが驚異的な強敵だったことを改めて実感しつつ、魔石の回収が無事に完了した。
ルーチェの発見したドロップアイテム
ルーチェはデスアームドのドロップ品である〈毒蜈蚣の小刀〉を発見した。その紫色の刃は怪しげな輝きを放ち、攻撃力や毒付与の効果を備えていた。このアイテムの市場価値は二千八百万ゴルドにも達し、これまで獲得したアイテムの中で最高額であった。ルーチェはその高額さに動揺し、このような貴重な品を手にすることに恐れを抱いたが、エルマが冷静に説得し落ち着かせた。
〈夢の穴〉の崩壊と脱出準備
二人がアイテムの確認を終えたころ、〈夢の穴〉は完全な崩壊に向かって進んでいた。天井や壁が光に包まれ、岩塊も消え始めた。エルマとルーチェは崩壊が進行する中で迅速に準備を整え、〈夢の穴〉からの脱出に向けて動き出した。
冒険者の都ラコリナへの帰還とルーチェの警戒
〈百足坑道〉の攻略を終え、エルマとルーチェは冒険者の都ラコリナへ戻った。ルーチェは周囲を警戒し、緊張した様子を見せていた。稼いだ莫大な報酬に対する不安が彼女の態度に現れていた。そんな中、エルマは冒険者ギルドで魔石の換金を行うことと、今回の異常事態についてギルド長に報告する目的を定めていた。
ギルド受付嬢とのやり取りと交渉
ギルドに到着後、エルマは受付嬢に魔石の換金とギルド長との面会を希望した。しかし、受付嬢は彼らの低い冒険者ランクを理由に軽視する態度を見せた。ルーチェは不満を表明したが、エルマは冷静に対応し、デスアームドの魔石を提示して異常事態を説明した。これにより受付嬢の態度は一変し、ギルド長への連絡を約束した。
43話
ギルド長への面会準備
エルマとルーチェは、魔石の換金を終えた後、受付嬢に案内されてギルド長ハレインとの面会に向かった。ギルド長の執務室前で受付嬢が扉を叩いたが、ハレインは面会の予定を知らされておらず、不機嫌な様子を見せた。それでも面会は許可され、エルマたちは執務室へ入ることができた。
ギルド長ハレインとの対面
執務室に入ると、そこには藍色の髪を持つ美しい女性、ハレインが待ち構えていた。彼女は冒険者の都ラコリナのギルド長であり、分家ながらもハウルロッド侯爵家に属する人物であった。彼女はエルマとルーチェを観察し、珍しい組み合わせのクラス構成や低レベル向けの装備に興味を示した。
〈百足坑道〉攻略の実績への評価
受付嬢がエルマたちが〈百足坑道〉を攻略したことを伝えると、ハレインの態度が変化した。道化師と重騎士という不利なクラス構成で【Lv:60】の〈夢の主〉を討伐した点に興味を持ち、エルマたちの実力を評価する様子を見せた。彼女の鋭い観察力は、エルマの態度や知識、背景をすぐに読み取るほどで、ルーチェもその圧力に気圧されていた。
貴族の素性への推測
ハレインはエルマを見て、彼が貴族出身である可能性に気付いた様子を見せた。彼女は都市ロンダルムの領主家に言及し、エルマの反応を窺った。しかし、エルマは平民として振る舞い、家名を名乗ることを避けたことで、その素性を明確にしないまま本題に入ることに成功した。
ラコリナのギルド長としての威厳
ハレインは自身をハウルロッド侯爵家の分家筋の人間であると名乗り、ギルド長としてラコリナにおけるギルドと領主の連携を担っていることを示した。彼女の知識と経験は冒険者としての判断力だけでなく、貴族の事情にも精通しており、ラコリナという冒険者の都を支える重要な役割を担っていた。エルマは彼女の威厳と洞察力を前に、警戒心を抱きつつも冷静に対応を続けていた。
ギルド長による〈百足坑道〉攻略の評価
ハレインはエルマとルーチェが〈百足坑道〉の〈夢の主〉ロックセンチピードを討伐したことに驚き、その攻略方法について興味を示した。ロックセンチピードの自動回復や突進の脅威を考えれば、重騎士と道化師の組み合わせでの討伐は不利に思えたためである。しかし、エルマは戦術とスキルを駆使し、効率的に攻略したことを思い返していた。
ハレインの洞察と警戒
ハレインの鋭い観察力により、エルマは内心の警戒を強めた。彼女は冒険者としての知識だけでなく、この世界の事情にも精通しており、ロックセンチピードがデスアームドへと存在進化した背景にハウルロッド侯爵家が関与している可能性をエルマは疑っていた。侯爵家が存在進化を実験的に誘発している可能性を示唆し、それがこの領地における法則確認の一環であるかもしれないと考えた。
ハレインの威圧的な態度と報告の開始
ハレインはエルマとルーチェの背景や実力を評価しつつも、「小童が私を手玉に取れるとは思わない方がいい」と威圧的な発言を交えた。その態度に圧されながらも、エルマは冷静を装い、〈百足坑道〉で発生した存在進化の報告を始めた。
44話
存在進化の報告に対するハレインの反応
エルマがロックセンチピードがデスアームドへ存在進化した事実を伝えると、ハレインは一転して動揺を露わにした。〈夢の主〉の存在進化は想定外の事態であり、【Lv:60】のロックセンチピードが存在進化して【Lv:80】近い脅威になることを恐れた。彼女はこの事態がギルド全体、ひいては都市ラコリナ全体にとって重大な問題であると認識していた。
ギルド長の混乱と誤解
ハレインはエルマたちが存在進化の事態に巻き込まれ逃げ延びてきたと誤解していた。その混乱した様子から、彼女がこの事態を事前に知っていた可能性は低いとエルマは判断した。ハレインの動揺は演技ではなく、本心からのものだと感じ取られた。
〈夢の主〉の存在進化に対する危機感
ハレインは〈夢の主〉の存在進化を軽視する職員に対し、その脅威を強調した。高レベルの冒険者でも命を落としかねない危険性を指摘し、対応の重要性を説いた。その反応から、彼女がこの事態に深刻な懸念を抱いていることが明確であった。
報告の終了とハレインの誤解の解消
エルマが〈百足坑道〉の攻略が完了していることを伝えると、ハレインは驚きつつも納得した様子を見せた。彼女の反応は、存在進化を引き起こした背景についての疑念を薄れさせたが、エルマは慎重な対応を続ける必要性を感じていた。今回の出来事に関する調査は、ラコリナにおける今後の動向に大きく影響を与えるものであるといえる。
存在進化の討伐への驚愕
ハレインはエルマたちが存在進化した〈夢の主〉を討伐したという報告に驚愕した。特に装備も整わないD級冒険者が【Lv:80】近い強敵を討伐したことに不信感を抱き、魔石の確認を求めた。その間にハレインは動揺を隠しきれず、落ち着こうとする仕草が見られた。
存在進化の討伐に対する説明
エルマは討伐の詳細を避けながら、戦術やスキルの工夫でギリギリ勝利を掴んだと暗示した。ハレインは存在進化の危険性を認識しており、討伐の成功に対する驚きを隠せなかったが、同時にその方法について詮索を控えた。
〈百足坑道〉での異常事態の調査依頼
エルマは、今回の報告の目的が〈百足坑道〉での存在進化の異常性について伝えることであると説明した。〈夢の主〉の存在進化は通常、大量の犠牲者や魔石が必要であり、短期間で発生するのは不自然であると指摘した。ハレインも異常性を認め、問題の〈百足坑道〉が既に消滅しているため調査が難しいことに懸念を示した。
北部の〈禁断の大森林〉との関連性
ハレインは、僻地での魔物災害や〈禁断の大森林〉における異常な現象について触れた。この地域では魔物災害が頻発し、人がいない間に〈夢の穴〉で奇妙な現象が起きているという噂が存在していた。都会であるラコリナでの発生は異例であり、この事件もその一環ではないかと仮説を提示した。
ハウルロッド侯爵家の対応
ハレインは、ハウルロッド侯爵家が長年〈夢の穴〉の調査を行っていることを説明し、今回の件についても軽視せずに調査を進めると約束した。しかし、エルマは今回の存在進化が人為的に引き起こされた可能性を疑い、不穏な予感を抱いていた。
魔石の確認と緊張の緩和
執務室に戻ったマルチダが魔石を持参し、ハレインに渡した。ハレインは急いで持って来るように指示したにも関わらず、紅茶まで用意したマルチダに顔を赤らめ、叱責する場面が見られた。このやり取りで場の緊張がやや緩和されたものの、事件の真相は依然として不透明なままであった。
45話
昇級の提案
ハレインはエルマとルーチェに対し、実力を認めてD級冒険者からB級冒険者への飛び級昇級を提案した。通常ではあり得ない特例措置であり、冒険者としての身分保証とスキルの発展に関わる重要な昇級であった。マルチダは慎重さを訴えたが、ハレインは責任を負う姿勢を示し、提案を押し通した。
昇級の背景と真意
エルマは突然の昇級提案に対し、見返りを求められる可能性を疑ったが、ハレインは優秀な冒険者を適切な地位につけるのが職務だと語った。その誠実な姿勢には気概を感じさせたが、ハレインは同時に、ギルド職員として二人を迎え入れたいという本音も明かした。
ギルド職員の勧誘と拒否
ハレインはギルド職員としての高待遇を提示し、特にルーチェの加入を期待したが、エルマは伯爵家の元当主としてハウルロッド侯爵家の下につくことに難色を示した。ルーチェもそれに従い、丁寧に勧誘を断った。ハレインは残念そうにしつつも、二人の決断を受け入れた。
昇級の受諾と今後の期待
ハレインは最終的に昇級だけを受け取るよう勧め、気が変わった場合には再び相談に来るよう伝えた。エルマとルーチェはB級冒険者へと昇級し、冒険者の都ラコリナでも上位の地位を得た。A級冒険者の数が少ない中での昇級は、二人の実力が改めて証明される結果となった。
新装備の準備
エルマとルーチェは、デスアームド討伐後にラコリナの街を訪れ、新たな装備を整えるため鍛冶師を探し始めた。特に〈毒蜈蚣の小刀〉の高性能と市場価値を考え、ルーチェはその武器の使用に躊躇していたが、エルマはその実用性を説いて彼女を納得させた。さらに、エルマは自身の鎧に黒鋼を、武器にはミスリルを使用する計画を立て、必要な資材と費用についてルーチェと話し合った。
鍛冶師の探索
ミスリルを扱える高レベルの鍛冶師を求め、二人は街を半日以上かけて散策した。しかし、ラコリナで見つかる鍛冶師はせいぜい【Lv:45】程度であり、ミスリルを加工できる技術を持つ者は非常に少なかった。ようやく【Lv:60】の鍛冶師ベルガの情報を得たが、彼が頑固で偏屈な性格であるため依頼が困難だと聞かされた。
鍛冶師ベルガとの出会い
エルマとルーチェはベルガの住むあばら家のような場所を訪れた。玄関で挨拶をすると、怒声が飛び交い、ベルガは最初二人を人違いして怒鳴りつけた。現れたベルガは白髪で分厚い眼鏡を掛けた老人であり、偏屈な性格をそのまま体現した人物であった。最初の印象は険悪だったが、二人は誠意を見せながら彼に話を進めようとしていた。
偏屈な鍛冶師ベルガとの出会い
鍛冶師ベルガは、冒険者にしつこく付き纏われている苛立ちからエルマとルーチェに怒声を浴びせた。二人は機嫌を損ねないよう慎重に言葉を選んだが、ベルガは社交辞令を軽薄だと受け取り説教を始めた。彼の偏屈さは想像以上であり、冒険者に対する不満を長々と語った。
ベルガへの説得と依頼の試み
エルマはミスリルインゴットを取り出し、剣の製造を依頼した。しかしベルガは「力なき者に不相応な武器を渡すのは信念に反する」と断った。エルマは自分たちがミスリルゴーレムを討伐したことを伝え、冒険者証を見せて自分たちがB級冒険者であると証明した。ベルガはようやく彼らを認め、依頼を受けることに同意した。
刻印石の追加依頼と製造条件
エルマはミスリル剣に〈破壊の刻印石〉を埋め込む依頼も追加した。ベルガは刻印石の効果と価値に驚きつつも、それを取り入れた剣の製造を引き受けた。また、エルマの黒鋼装備の製造も併せて依頼した。
依頼の成立と費用の決定
ミスリル剣の製造、刻印石の埋め込み、黒鋼鎧の製造を合わせて四百万ゴルドで契約が成立した。ベルガは「鉄の鎧で戦い続けるつもりではなかったようだな」と安堵の言葉を漏らし、仕事を開始する準備を整えた。これにより、二人は次の冒険に向けた準備を進める足掛かりを得た。
ラコリナでの観光と情報収集
エルマとルーチェはベルガの鍛冶が終わるまでの数日間、ラコリナを散策しながら情報収集に専念していた。特にルーチェのキャラビルドに必要な〈死神の凶手〉の〈技能の書〉を探していたが成果はなかった。一方で転売目的で購入を検討した〈技能の書〉があったが、リスクを考慮し購入を断念した。
ミスリル剣の受け取りと鍛冶屋での異変
鍛冶が完成する約束の日、二人はベルガの鍛冶屋へ向かった。鍛冶屋に近づくと内部から声が聞こえ、ベルガと誰かが口論している様子であった。急いで中に入ると、ベルガが魔剣士と対峙していたが、その魔剣士は姿を消していた。
謎の魔剣士ヒルデの登場
ベルガの鍛冶屋に現れたのは、紫髪を束ねた背の低い女だった。彼女は自分を「〈黒き炎刃〉の一番弟子」と名乗り、威圧的な態度でエルマとルーチェに接してきた。〈黒き炎刃〉とは、ラコリナでも有名なA級冒険者で、弟子のヒルデもまたその実力を誇示していた。エルマは彼女との衝突を避けるため、慎重に対応することにした。
同シリーズ
その他フィクション
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