どんな本?
本作は、異世界転生ファンタジー漫画である。主人公エルマは、剣聖の血筋を持ちながら、十五歳の〈加護の儀〉で「重騎士」という外れクラスを発現し、家族から追放される。しかし、この世界が自身の知るゲームの世界であり、重騎士が最強のクラスであることを知っていたエルマは、その知識を活かして無双していく。
主要キャラクター
- エルマ:剣聖の血筋を持つ主人公。重騎士のクラスを得たことで家族から追放されるが、ゲーム知識を駆使して活躍する。
- ルーチェ:エルマの仲間であり、共に冒険を繰り広げる少女。
物語の特徴
本作は、主人公が前世のゲーム知識を活用して逆境を乗り越える点が魅力である。一見「外れ」とされるクラスの真価を引き出し、成り上がっていく過程が描かれている。また、詳細なゲームシステムの設定や戦闘描写が、他の異世界転生作品との差別化を図っている。
出版情報
読んだ本のタイトル
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(6)
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
新たなパーティでレイドクエストに挑む!! これが「今一番来てる」異世界転生!!!
Aランク冒険者が撤退するほどの高難易度レイドクエストに挑戦!!
僧侶と狩人を加えた4人パーティで、アンデッドモンスターの討伐に乗り出す!
陰謀渦巻く墓所ダンジョンで、レイドボス撃破なるか‥‥!?
魔剣士との決闘!! 相性不利を覆せ!! 覇権作品堂々漫画化第6巻!!
感想
6巻で起きた事象は以下の通り。
- ヒルデの挑発と緊張の高まり
ヒルデは師匠の名を盾に挑発的な態度を取り、鍛冶屋で緊張を生み出したが、エルマは争いを避けようと努めた。 - ミスリル剣の要求と拒否
ヒルデはミスリル剣を要求するも、エルマは必要性を主張して拒否した。 - 決闘の提案と受諾
ヒルデは決闘を提案し、エルマは条件付きでこれを受け入れた。 - ルーチェとベルガの懸念
ルーチェとベルガは決闘を危惧したが、エルマの決意は揺るがなかった。 - 決闘の準備と戦術
エルマはスキルを駆使し、素早さの不利を補う作戦を立てた。 - 決闘の開始と勝利
エルマは攻撃力を高めるスキルで心理的なプレッシャーを与え、ヒルデを降参させた。 - ヒルデの敗北後の交渉
ヒルデは条件を見直そうと試みたが、エルマは断固拒否した。 - ミスリル剣の価値と支払い
剣の価値が五千百五十万ゴルドと判明し、ヒルデは融資を受け支払いを完了した。 - 師匠カロスの登場
カロスはヒルデの行動を叱責し、エルマに謝罪した。 - 〈嘆きの墓所〉の大規模依頼
カロスは新たな魔物災害を説明し、エルマたちは大規模依頼への参加を決意した。 - 新装備と成長の実感
エルマは新装備を活用し、戦闘力の向上を実感した。 - ルーチェとメアベルの活躍
ルーチェは新武器を用い、メアベルは回復役として信頼を得た。 - ケルトの自己中心的行動
ケルトは緊張を作り出し、戦闘で自己利益を優先した。 - アンデッドとの戦闘と成果
チームはアンデッド魔物を協力して撃破し、エルマはレベルを上げた。 - メアベルの協力申し出と信頼
メアベルはエルマとルーチェに協力を申し出、逞しさと知恵を見せた。 - 〈嘆きの墓所〉への到着
冒険者たちは〈嘆きの墓所〉に到着し、不浄なマナが漂う不気味な空間を目にした。 - カロスによる班分けと作戦説明
冒険者たちは五班に分けられ、〈夢の主〉ナイトボーン討伐を目的とする計画が立てられた。 - エルマの班とケルトの態度
エルマの班にはケルトが加わり、彼は指揮を取ろうと上から目線で振る舞った。 - ケルトの支配的態度と魔物襲撃
ケルトはエルマに指示を出す一方で、自身は利益を優先し、仲間の負担を増やした。 - マミーラーナとの戦闘
エルマたちは高耐久の魔物マミーラーナを撃破したが、ケルトの自己中心的な行動が目立った。 - メアベルの毅然とした対応
メアベルはケルトの要求を冷静に拒絶し、ヒーラーとしての矜持を示した。 - 〈嘆きの墓所〉での地図不備
ケルトは地図の不正確さに苛立ちながら、最短ルートを進む提案をしたが、混乱を招いた。 - 異形の魔物パッチワークの登場
三本腕を持つ不気味な魔物パッチワークが現れ、行き止まりで冒険者たちを追い詰めた。 - ケルトの逃走と仲間の失望
ケルトは仲間を置き去りにして逃走し、その行動にエルマたちは怒りと失望を感じた。 - 二体目のパッチワーク出現
魔物溜まりの影響で二体目のパッチワークが出現し、ケルトが重傷を負った。 - エルマの指揮と戦術
エルマは分担作戦を指示し、一体目のパッチワークを引き受けながら冷静に対処した。 - ルーチェの機転と警告
ルーチェはケルトに逃走を警告しつつ、パッチワークの攻撃を引き受けた。 - メアベルの冷静な判断
メアベルはケルトの回復要求を拒否し、状況を的確に分析して行動した。
総括
登場人物たちの個性が際立つ展開が印象的であった。
特に、ヒルデの未熟さとその後の反省、回復役メアベルの腹黒ながらも頼もしい態度が物語を彩っている。
狩人ケルトの狡猾さには苛立ちを覚えるが、彼の存在がパーティー内の緊張感を際立たせていた。
新装備や戦術を駆使して冒険を切り開くエルマの姿勢は相変わらずながら紙一重だった。
この巻では戦闘だけでなく、キャラクター間の葛藤や成長も描かれており、読み応えのある一冊であった。
次巻では〈嘆きの墓所〉の奥深くでどのような試練が待ち受けているのか、期待が高まる。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
46話
A級冒険者の威圧と緊張感
ヒルデは鍛冶屋での振る舞いに加え、自らの師匠の名を盾にしつつ挑発的な態度を取り続けた。エルマは彼女が本当にA級冒険者ではないことを察しつつも、争いを避けようと気を遣った。ヒルデの出現により、鍛冶屋の緊張感が一層高まった場面であった。
ヒルデの要求とエルマの拒否
ヒルデはミスリル剣を譲るようエルマに要求したが、エルマはこれを断固拒否した。ヒルデは大金を提示して説得を試みたが、エルマは自身の必要性と損失を考慮し応じなかった。ベルガも事態の深刻さを警告したが、エルマは譲る気配を見せなかった。
ヒルデの挑発と対決の提案
ヒルデはエルマを挑発し、自身の強さを誇示した上で決闘を提案した。条件として、ヒルデが負けた場合はミスリル剣を諦め、市場価値分の金をエルマに支払うとした。この条件にエルマは冷静さを保ちつつも挑発に乗り、決闘を受け入れることを決めた。
ルーチェとベルガの懸念
エルマの決断に対し、ルーチェとベルガは強く反対した。魔剣士クラスが持つ圧倒的なスピードと攻撃力を前に、重騎士であるエルマが勝つ可能性は低いと考えたためである。しかし、エルマは金銭的な利益とヒルデへの怒りから決意を変えなかった。
決闘への準備
ヒルデは決闘の正当性を確保するため、ギルド職員を立会人として呼ぶことを提案した。一方でエルマは、金を得る好機として決闘に臨む覚悟を固めた。こうして、二人の対決は避けられないものとなった。
47話
決闘の準備と作戦
エルマは鍛冶屋の中で決闘の準備を進めていた。彼は重騎士のスキル〈ライフシールド〉を利用し、HPを調整することで〈死線の暴竜〉を発動可能な状態にして素早さの不利を補う作戦を立てていた。ベルガはその行動を理解できず不安げであったが、エルマは勝算があると断言した。
魔剣士の強みと戦術の分析
エルマは魔剣士が持つ瞬間火力や多彩なスキル構成を分析し、相性の悪さを認識していた。一対一では重騎士が不利になることを理解しつつも、スキル構成と戦術を駆使して勝機を模索していた。また、エルマはギルドの立会人を利用して、ヒルデに約束を守らせることを考え、冷静に準備を進めていた。
ルーチェとベルガの懸念
ルーチェとベルガは、エルマが無謀な決闘を受け入れたことに対し懸念を示した。特にベルガは、魔剣士との戦いが重騎士には厳しいと警告したが、エルマは彼らの心配を軽く受け流し、ヒルデを倒すことで鍛冶屋への迷惑を払拭しようと意気込んでいた。
ヒルデと立会人の到着
準備を整えたエルマの前に、ヒルデがギルド職員を連れて戻ってきた。立会人を務めることになったのは以前の受付嬢マルチダであった。彼女はエルマたちが決闘の当事者であることに驚きつつも、職務として場を見守る準備を整えた。
決闘の開始と準備
エルマは鍛冶屋の前でヒルデと対峙し、決闘が開始された。エルマは事前にスキル〈ライフシールド〉を展開し、自身のHPを調整して〈死線の暴竜〉を発動可能な状態にしていた。これにより、攻撃力と素早さを大幅に強化し、相手に圧力をかけた。
不穏なスキルの発動と相手の動揺
開始直後、エルマは〈不惜身命〉を使用し、自身の防御力をゼロにする代わりに攻撃力をさらに上昇させた。この行動にルーチェと立会人のマルチダが驚愕する中、ヒルデも不安を抱えつつ距離を取る作戦を選んだ。エルマはさらに地面を叩いて衝撃を与え、ヒルデの警戒心を高めることで心理的なプレッシャーを与えた。
魔剣士の心理を突いた駆け引き
エルマはヒルデが魔剣士特有の安全第一の思考に従って行動すると見抜き、その心理を逆手に取った。ヒルデは未知のスキルに対する恐怖心から動きを鈍らせ、攻撃をためらう様子を見せた。この間、エルマは攻撃の姿勢を崩さず、相手に圧倒的な威圧感を与え続けた。
降参の宣言と決着
ヒルデは耐え切れず、剣を投げ捨て地面に座り込んだ。そして頭を地面に付け、降参を宣言した。エルマの圧倒的な戦術と心理的な駆け引きが成功し、マルチダの口から「勝者はエルマ」との宣言が下された。この瞬間、エルマの勝利が確定した。
ヒルデの抗議とマルチダの対応
決闘後、ヒルデは「中止だと言った」と大声を上げ、勝敗を認めない様子を見せた。これに対し、マルチダはギルドとして決闘の正当性を保証し、双方がルールを理解していたことを確認したと説明した。ヒルデは渋々ながらもその場を収めようとし、エルマに条件の見直しを求め始めた。
エルマの断固たる姿勢とヒルデの焦燥
ヒルデは賭け金を二千万ゴルドに値下げできないかとエルマに頼み込んだが、エルマは「賭けは賭けだ」としてこれを拒否した。ヒルデは肩を落としながらも、エルマの断固とした態度に折れるしかなかった。
48話
ミスリル剣の価値に対する驚き
ベルガが剣の市場価値を確認すると、〈ミスリルの剣〉の実際の価値は五千百五十万ゴルドであると判明した。この情報にヒルデは驚愕し、「そんな金額は払えない」と取り乱した。マルチダがギルドからの融資を提案するも、条件の厳しさにヒルデはさらに追い詰められた。
譲歩と和解の提案
ヒルデの困窮する様子にルーチェとエルマは同情し、エルマは百五十万ゴルド値引きして五千万ゴルドで手を打つことを提案した。ヒルデは不満を抱きつつも、これ以上の交渉は無意味と悟り、エルマの譲歩を受け入れた。
五千万ゴルドの余裕資金の獲得
エルマは今回の賭けにより、思わぬ大金を手にすることになった。この資金により、今後の冒険に必要な高価なアイテムや装備を手に入れるための交渉を有利に進められると確信した。
ギルドでの報告と五千万ゴルドの支払い
エルマはギルドでマルチダから、ヒルデが五千万ゴルドを支払ったという報告を受けた。マルチダはギルドが〈夢の穴〉侵入権を盾に取り立てを行ったと説明した。冒険者にとって〈夢の穴〉は生命線であり、ギルドの措置は効果的だった。
ヒルデの変わり果てた姿
その後、エルマはギルド内でヒルデを見かけた。彼女は〈黒鋼の鎌〉と〈ベアシールド〉という明らかに間に合わせの装備を身に着けており、金欠の末にメイン装備を売却したことが明らかであった。ヒルデは恥ずかしさから周囲を睨みつけていたが、エルマたちに気づくと激怒し、再び五千万ゴルドを取り戻そうと迫った。
師匠〈黒き炎刃〉の登場
ヒルデの激怒する中、彼女の師匠である〈黒き炎刃〉ことカロスが現れた。彼はヒルデから話を聞いてエルマたちに会いに来たと言う。カロスは冷静な態度でエルマたちに状況を確認すると、すぐにヒルデの言い分が不誠実であると見抜き、彼女の頭を拳で打った。
カロスの謝罪とヒルデの嘆き
カロスは自らの監督不行き届きを認め、エルマに謝罪した。エルマはカロスの誠実さに気圧されるも、挑発に乗って決闘を受けた自分にも非があると感じ、謝罪を必要以上に重く受け止めないよう努めた。
五千万ゴルドの行方
カロスは「ヒルデのためにも、支払った五千万ゴルドは絶対に返さないでほしい」とエルマに告げた。これを聞いたエルマは、少しの戸惑いを覚えつつも、その言葉を受け入れることにした。
カロスの提案と不穏な兆候
酒場でのカロスの話
エルマとルーチェは、カロスに連れられて酒場へ移動した。カロスは冒険者ギルドでは話しづらい内容として、ラコリナ周辺で発生している魔物災害について語った。最近、新たに出現した〈夢の穴〉から魔物が溢れ出し、存在進化も頻発しているとのことであった。これらの異常事態に対し、カロスは独自に〈夢の穴〉を調査していたが、魔物溜まりの攻略に失敗したという。
魔物溜まりの脅威
カロスは、魔物溜まりという典型的な災害が新しい〈夢の穴〉で発生していると説明した。その〈夢の穴〉は〈嘆きの墓所〉と呼ばれ、アンデッド系の魔物が多いと推測されていた。本来、魔物溜まりが発生する条件は整っていないはずであり、この異常事態が一層不安を煽る要因となっていた。カロスは事態が悪化する前に早期攻略が必要だと判断し、ギルドに大規模依頼を提案していた。
エルマの不安と決意
エルマはカロスの話を聞き、魔物災害がラコリナ周辺だけでなく、世界規模で頻発する可能性に恐怖を覚えた。彼は、自身の〈マジックワールド〉での知識と経験が役立つ可能性を感じ、危険を承知の上で依頼への参加を決意した。ルーチェもエルマに同意し、共に挑むことを表明した。
〈嘆きの墓所〉への準備と勧誘
大規模依頼への参加表明
カロスは、エルマとルーチェの参加表明に安堵し、翌日にハウルロッド侯爵と面会して詳細を話す予定だと伝えた。一方、ヒルデも自らの意思で参加を表明したが、カロスはその突っ走りやすい性格を懸念していた。最終的に、慎重な対応が求められる依頼において、ヒルデが適切に行動できるかが課題として残った。
最後の決意
エルマは、大規模依頼の成功がこの世界にとって重要であり、自分にしかできない役割があると感じていた。彼の心には、この挑戦を通じて何か大きな変化をもたらせる確信が芽生えていた。
49話
〈嘆きの墓所〉への出発とヒルデの装備事情
大規模依頼への準備
エルマとルーチェは、カロス率いる二十人の冒険者たちと共に〈嘆きの墓所〉へ向けて出発した。集められた冒険者の大半がB級であり、C級も数人混じっていた。カロスの説得により、冒険者ギルドがこの規模の戦力を動員したことが伺えた。エルマはこの手厚い体制を見て、冒険者ギルドと都市ラコリナの連携の良さを改めて実感していた。
ヒルデの装備と師匠の対応
ヒルデは未だに〈黒鋼の鎌〉と〈ベアシールド〉を装備していた。彼女はカロスに武器を貸してほしいと頼んだが、「決闘の反省を忘れないため」として却下されていた。この装備では魔剣士のスキルを活かすのが難しいが、無理な戦いを避けるための配慮とも考えられた。
ヒルデの弟子入りの理由
カロスは、自身がヒルデを弟子にした理由を語った。魔剣士は強力だが燃費が悪く、パーティーの方針と合わずに孤立することが多い。カロスは、無茶をして命を落とす未来が見えていたヒルデを放っておけなかったのだという。かつて自分も仲間との不和に苦しんだ経験があり、その反省からヒルデに手を差し伸べたのだと語った。
魔剣士の特性とカロスの過去
魔剣士が抱える問題点
カロスの話を聞いたエルマは、魔剣士が抱える問題点に納得した。魔剣士は強敵相手に活躍する一方で、道中の戦闘ではパーティーの負担が大きい。利益の不均衡が不和を生みやすく、冒険者として孤立することも多かった。〈マジックワールド〉でも魔剣士が孤立するケースは珍しくなかった。
カロスの苦労と成長
カロスは駆け出しの頃、仲間に恵まれず、不和や孤立に悩まされた経験があった。自分も焦りや無理解に苦しみ、他者を責めるばかりだったと振り返った。そうした過去があったからこそ、カロスは今、ヒルデに手を差し伸べられる余裕を持てたのだろう。
ルーチェの疑問とエルマの推測
ルーチェは温厚なカロスが荒れていた過去を想像できないと言ったが、エルマはヒルデをフォローするために少し大袈裟に語っただけではないかと推測した。カロスの穏やかな性格と人格者ぶりは、旅の中で一層際立っていた。
アンデッドとの遭遇と戦闘開始
エルマたち一行は〈嘆きの墓所〉へ向かう道中、〈夢の穴〉から溢れ出たアンデッドと遭遇した。腐敗した狼型魔物、マッドウルフ【Lv:52】が突進してきたが、エルマは冷静に対応し〈パリィ〉で攻撃を弾き、続けてルーチェが新たな武器〈毒蜈蚣の小刀〉で追撃し毒状態を付与した。動きの鈍ったマッドウルフは冒険者たちの協力で撃破された。
チーム戦の効果と魔物の撃破
冒険者が二十人と多いため、個々が役割を果たしながら効率的に敵を倒していった。戦闘は約半刻続き、結果的にその場にいた全ての魔物を殲滅した。エルマはこの戦闘でレベルが【62】から【64】に上昇した。
50話
新装備の性能と戦闘力の向上
新たな武器と防具の導入
エルマは今回の依頼に向けて新調した装備を揃えていた。主力武器である〈ミスリルの剣〉は〈破壊の刻印石〉を埋め込むことで攻撃力が【+46】に強化され、高い性能を誇っていた。さらに防具として〈黒鋼の鎧〉を新たに装備し、防御力を向上させていた。
装備による戦闘の影響
これらの装備により、エルマはマッドウルフのような敵に対して安定した戦闘を行えるようになった。特に〈ミスリルの剣〉の高い攻撃性能は戦況を大きく優位に進める要因となり、今回の戦闘での成果を支えるものとなっていた。
冒険者としての成長の実感
エルマは自らの成長を実感していた。重騎士特有の攻撃力不足は残るものの、防御力の高さと新装備の恩恵により、安定した戦闘力を発揮できる状態となっていた。今回の戦闘は、装備の力と冒険者仲間との連携が功を奏した結果であった。
毒小刀の効果と新たな仲間の登場
ルーチェの新武器〈毒蜈蚣の小刀〉の活躍
エルマはルーチェの新武器〈毒蜈蚣の小刀〉が戦闘で効果を発揮していることを確認し、彼女もその性能に喜びを隠せなかった。ルーチェは新武器の威力に燥いで少しダメージを受けたものの、戦闘での手応えを感じていた。
回復役メアベルの登場
そのとき、僧侶のメアベルが白魔法〈ヒール〉を使用しルーチェを回復した。彼女は人懐っこい性格で、まだC級冒険者でありながらも信頼できる雰囲気を醸し出していた。エルマとルーチェは自己紹介を行い、彼女との協力体制を築くことを決意した。
緊張を生む狩人ケルトの介入
ケルトの冷たい指摘と空気の悪化
狩人クラスのB級冒険者ケルトが、メアベルの回復行動について批判を口にした。彼は蛇のような目つきで冷淡に発言し、その場の空気を悪化させた。メアベルは気丈に謝罪したが、エルマはケルトの態度を咎め、戦闘では即座の対応が重要であることを主張した。
ケルトの真意と策略
ケルトの発言は単なる意見ではなく、回復役や前衛冒険者たちの行動を牽制するための策略であった。彼は場の主導権を握ることを目的に、わざと緊張を作り出していた。ケルトの行動は自分の利益を最大化するためのものであり、彼は戦闘でも弱った魔物ばかりを狙って経験値とアイテムを稼いでいた。
メアベルの対応と冒険者の逞しさ
メアベルの気丈な反応
メアベルはケルトの態度にも動じず、むしろ回復を後回しにして牽制する策を笑顔で提案した。彼女は経験に基づき、狩人クラスの弱点を理解しながら、冷静に対応する方法を心得ていた。
51話
仲間としての協力の意思
メアベルはエルマとルーチェに改めて協力を申し出た。エルマは彼女の強かさと逞しさを感じ取り、この世界で生き抜く冒険者たちの知恵としたたかさを再認識した。これからの探索において、信頼できる仲間としてメアベルの存在が大きな力になると確信していた。
〈嘆きの墓所〉への到着と班分け
墓場の雰囲気と〈夢の穴〉の入り口
冒険者たちは鬱蒼とした森を抜け、ようやく〈嘆きの墓所〉の入り口に到達した。そこには古びた墓石が乱立し、中央に虹色の渦が浮かぶ〈夢の穴〉が存在していた。周囲の不浄なマナが〈夢の穴〉を形成したと思われ、ただ立っているだけで気が滅入る場所であった。
カロスによる作戦説明
冒険者たちは四人ずつ五班に分けられ、異なるルートで進みつつ奥で合流するという作戦が説明された。カロスは事前の調査結果や冒険者たちの情報を基に地図を用意しており、調査の後に〈夢の主〉ナイトボーンを討伐する計画を立てていた。ナイトボーンは【Lv:70】と高レベルだが、参加者の実力を考えれば倒せる範囲であった。
班分けとケルトとの再会
各班の編成とエルマの班
班分けの結果、エルマの班にはルーチェ、メアベル、そして狩人ケルトが含まれていた。経験豊富なケルトが加わることで安定感が増したものの、彼の性格が懸念材料であった。ケルトは早速上から目線の発言を行い、余裕ある態度で班を仕切ろうとしていた。
メアベルの対応とケルトの態度
メアベルはケルトを立てつつも皮肉を込めた言葉で、彼の言動を牽制していた。彼女の巧妙な対応にエルマとルーチェは感心しつつ、少し不安を感じていた。一方でケルトはメアベルの皮肉に気付く様子もなく、満足げに班の指揮を引き受けていた。
現場での緊張感と期待
今回の大規模依頼は、熟練冒険者と新人たちが混在する班で進行されることになった。エルマは自分たちの班におけるケルトの態度やヒルデの行動を見ながら、無事に〈嘆きの墓所〉を攻略できるかを不安視しつつも進むしかなかった。
〈嘆きの墓所〉内部の不気味な光景
神の悪夢に満ちた空間
冒険者たちは〈嘆きの墓所〉に足を踏み入れ、不気味な石造りの通路や彫像、十字架に囲まれた異様な雰囲気を目の当たりにした。ゲーム時代には見慣れた光景であったが、現実となった空間には異質な存在感が漂っていた。ルーチェはその不気味さに怯えつつも、ギルドからの曖昧な指示に困惑していた。
メアベルの冷静な指摘
メアベルは、冒険者たちが学者ではないことを指摘し、ギルドが期待しているのは調査した情報を伝える程度だと冷静に説明した。この言葉により、ルーチェも幾分か落ち着きを取り戻した。
ケルトの支配的な態度と魔物の襲撃
ケルトの指示とエルマへの批判
ケルトはエルマに対し、前衛としての役割を強く求め、回復役メアベルを守るように命じた。しかし、その指摘は防御力の低い自分を守らせる意図が明らかであり、エルマは不満を抱えつつもその場を収めようとした。
マミーラーナとの戦闘
突如現れたアンデッドの魔物マミーラーナに対し、エルマたちは即座に戦闘態勢に入った。マミーラーナはアンデッド特有の高い耐久力を持つ厄介な敵であったが、エルマの〈影踏み〉や〈シールドバッシュ〉、ルーチェの素早い動きが功を奏し、連携を取りつつ戦況を維持した。
ケルトの狡猾な立ち回り
ケルトは自身の利益を優先し、メアベルの魔法使用を制限した上で自ら距離を詰めて攻撃を繰り返した。狩人としての卓越した技量を見せる一方で、彼の行動はパーティー全体の利益ではなく、個人の経験値とドロップアイテムを稼ぐ目的が明らかであった。
ケルトの実力とパーティー内の緊張感
ケルトの戦闘能力と傲慢さ
ケルトはマミーラーナに素早く致命的なダメージを与え、実力の高さを示した。しかし、その行動は周囲への配慮を欠き、仲間との連携を損なうものであった。エルマはケルトの狡猾さと傲慢さに苛立ちを覚えつつも、彼の実力を認めざるを得なかった。
メアベルの観察と皮肉
メアベルはケルトの自己中心的な行動に気づきながらも、皮肉を込めた視線で彼を見守っていた。パーティー内の緊張感が高まる中、各メンバーはそれぞれの役割を果たし、戦闘を乗り越えた。
マミーラーナとの戦闘開始
戦闘の中での駆け引き
ルーチェがスキル「〈曲芸連撃〉」を放ち、一体目のマミーラーナを撃破した。これにより数の有利を得たが、ケルトはルーチェにトドメを奪われたことに不満を抱いた様子であった。その後、ケルトが前に出過ぎた結果、マミーラーナのスキル「〈毒液鉄砲〉」を受け、肩に負傷を負い毒状態となった。毒は持続的なダメージと素早さ低下を引き起こし、ケルトの戦闘能力を著しく損なった。
回復役メアベルとの衝突
ケルトは僧侶のメアベルに「〈ポイゾヒール〉」で毒の治癒を求めたが、メアベルは回復の効率と前衛の安全を優先してこれを拒否した。ケルトは懐柔を試みたが、メアベルは毅然として彼の提案を断った。メアベルは回復役としての矜持を持ち、仲間の安全を第一に考えて行動していた。
メアベルの策略と冷静な対応
メアベルはケルトの要求を一蹴しつつ、戦闘中も冷静に彼の行動を観察していた。過去に語っていた「ポーズだけ頭を下げて回復を後回しにする」方法を実践し、ケルトの要求をかわしながらも、自分の判断を貫いていた。彼女の冷静で逞しい姿勢は、ルーチェに感銘を与えたが、エルマはメアベルのしたたかな一面を認識し、彼女がケルト以上に厄介な存在である可能性を感じ取った。
52話
戦闘の終了とケルトの後退
戦闘の展開
エルマとルーチェが中心となり、残りのマミーラーナ三体を倒すことに成功した。毒状態に陥ったケルトが後衛に回ったことで、二人は動きやすくなり、全てのトドメを刺すことができた。ケルトは不満そうな表情を浮かべていたが、メアベルはそれを背後から笑顔で見送っていた。戦闘後、メアベルは二人のダメージ状況を確認し、軽く回復を促した。
異常なドロップ率
討伐後のアイテム回収で、三体のマミーラーナから「〈ゾンビ茸〉」がドロップした。エルマはその高いドロップ率に驚きを感じつつも、素材アイテムとして問題ないことを確認した。ケルトはその様子を妬ましげに眺め、苛立ちを隠せない様子であった。
メアベルとケルトの対立
ケルトは再びメアベルに接近し、和解の名目で彼女を懐柔しようと試みた。しかし、メアベルは「人の命を預かる身として、冒険者全体の安全を優先する」と強い態度で反論し、ケルトの提案を拒絶した。これまで冷静だったメアベルが感情を露わにしたことで、ケルトは動揺しつつも捨て台詞を吐いてその場を去った。
ヒーラーとしての矜持
メアベルは冷静さを取り戻すと、エルマに「ヒーラーは決して舐められない立場を守ることが重要である」と語った。舐められれば不利な状況が続き、戦闘や交渉において不利益を被ることになるため、ケルトのような人物には毅然と対応する必要があると説明した。エルマとルーチェは、メアベルの逞しさとヒーラーとしての誇りに感心し、改めて彼女を頼りにすることとなった。
チーム内の絆の深化
ルーチェは自分のドロップアイテムをメアベルに譲ろうと提案したが、メアベルは特別報酬があるため不要であるとし、気持ちだけ受け取ると述べた。その一言がルーチェを安心させ、チーム内の信頼がさらに深まった。エルマはメアベルの機転の良さと逞しさを改めて認識し、彼女との協力関係を大切にしようと決意した。
ケルトの不満と地図の不備
不正確な地図への不満
ケルトは〈夢の穴〉の地図の不正確さに苛立ちを隠せなかった。地図には不備が多く、道筋も複雑で特定の箇所を何度も巡るようになっていた。ギルドが急遽作成したため、正確性に欠けていたのが原因である。ケルトはこれを「遭難や挟み撃ちのリスクを高めるだけだ」と批判した。
最短ルートを選ぶ提案
ケルトは地図の指示を無視し、最短ルートで合流地点を目指すことを提案した。エルマはその方針が依頼の意図を無視していると指摘したが、ケルトは経験とレベルを理由に強引に押し切った。メアベルは「ある程度折れておくのが得策」とエルマに助言し、最終的にケルトの案を受け入れた。
方向感覚の混乱と迷走
最短ルートを進む中、ケルトの指示が右や左と迷走を繰り返し、方向感覚が乱れていた。行き止まりに辿り着いた際には、地図の誤りを激しく非難したが、自身の判断ミスも否めない状況であった。袋小路の壁には人骨が埋め込まれており、ルーチェは恐怖を漏らしたが、メアベルは平然と観察していた。
ギルドの責任と冒険者の証言
ケルトの混乱が露わになる中、エルマはギルドの地図不備が原因であることを指摘した。今回の地図は複数の冒険者の証言を基に作成されたが、不正確な情報が含まれていた可能性が高いと判断された。ケルトは眉間に皺を寄せて地図に修正を加えつつ、再び進路を立て直すことになった。
ルートの修正とケルトの苛立ち
ケルトは不正確な地図への不満を爆発させ、本来のルートへ戻ることを決断した。自ら先頭を進むも、すぐにエルマにその役割を押し付けた。怒りの中で冷静さを欠いていたケルトの様子に、ルーチェは「親近感が湧いてきた」と小声で漏らしたが、ケルトには聞こえてしまい睨まれる場面もあった。
53話
異形の剣士・パッチワークの登場
そのとき、不気味な姿の魔物「パッチワーク」が現れた。頭部がなく、三本の腕に剣を握るその姿は、異様で恐ろしかった。この魔物は〈嘆きの墓所〉の番人として知られ、広範囲感知能力で冒険者を追い回す存在である。行き止まりという悪条件も重なり、逃げ場がない状況となった。
ケルトの逃走
エルマが共闘を呼び掛ける中、ケルトは狩人スキル〈脱兎〉を使い、仲間を置き去りにして逃走した。ケルトは「一人でも多く助かるための行動だ」と言い訳をしながら去っていった。その態度にエルマたちは怒りと失望を覚えた。
54話
二体目のパッチワークの出現
逃げるケルトの前に、二体目のパッチワークが現れた。通常、〈嘆きの墓所〉には一体しか出現しないはずだが、魔物溜まりの影響により異常事態が発生していた。二体目のパッチワークは容赦なくケルトを攻撃し、彼を重傷に追い込んだ。この状況にルーチェは驚愕し、エルマは魔物溜まりが引き起こした異常性を再認識した。
ケルトの絶望とメアベルの拒絶
パッチワークに追い詰められたケルトは、必死に助けを求めた。しかし、メアベルは冷静に状況を分析し、ケルトの行動が信頼に値しないとして回復を拒否した。ケルトの行動がマナー違反ではあっても、罪として裁かれるほどではない点を指摘しつつ、エルマはケルトの助命が必要だと判断し、共闘を提案した。
ルーチェの機転とケルトへの忠告
エルマの指示でルーチェが二体目のパッチワークのターゲットを取り、ケルトを救援する形を取った。ルーチェはケルトに対して、次に逃げ出せば毒ナイフを使うと厳しく警告した。一方で、ケルトはパッチワークの強さに対する恐怖を繰り返し訴え、全員生還の可能性を疑問視した。
エルマの指揮と分担戦術
エルマは一体目のパッチワークを引き受けると宣言し、残る三人にもう一体を討伐するよう指示した。メアベルは懸念を抱きながらもエルマの計画を信じ、ルーチェたちの援護に向かった。エルマはパッチワークの攻撃を受け流しながら、的確にスキルを用いてその動きを封じた。
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