どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
この物語は、猫猫(マオマオ)が、皇太后からの要請で、先帝の遺体が腐らなかった原因を調べる場面から始まります。
調査を深める中で、猫猫は先帝のトラウマやその背後の暗い歴史、そして先帝の幼女趣味の理由を知ります。
先帝は、成熟した女性を避け、幼い女児しか受け入れることができませんでした。
その背後には、強大な力を持っていた先帝の母、前の皇太后が関与しているようです。
次に、物語は猫猫と壬氏の舞台は北へ移ります。
二人は国の要人である子昌や、高順の息子、馬閃との出会いを経て、壬氏を狙う敵と直面します。
猫猫と壬氏は、多くの試練を経ながらも、無事に宮中に戻ることができるのでしょうか?
壬氏の正体については、まだ明らかになっていません。
読んだ本のタイトル
#薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~(12)
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者:#倉田三ノ路 氏
原作:#日向夏 氏
キャラクター原案:#しのとうこ 氏
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あらすじ・内容
先帝と皇太后の秘密、そして壬氏の…!?
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 12
「先帝の骸が腐敗しなかったのは、私が”呪い”をかけたせいか」──皇太后から驚愕の依頼を受けた猫猫(マオマオ)は、「呪いの正体」に辿り着く! 先帝が晩年を過ごしたという建物で、すべての謎を解き明かすことに!! 真相を知った皇太后は想い出す、先帝と出会いし遠い昔を──
そして新章突入、久しぶりに壬氏(ジンシ)の侍女という立場に戻ることになった猫猫。壬氏のお供として向かった先は……!? 超絶ヒットノベル、コミカライズ第十二弾!!
感想
『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 12』は、猫猫が後宮の奥深い謎に挑む物語です。(本人は望んでいません)
皇太后からの驚きの依頼により、先帝の遺体が腐敗しなかった謎を解明し始めた猫猫は、その原因を壬氏が子供の頃に持っていた小石をきっかけに突き止めます。
そして、皇太后の回想を通して、先帝の過去が明らかにされます。
先代の皇太后の影響なのか、彼は女性への恐怖心を抱いていました。
それが彼の幼女趣味の原因となったことが語られます。
その結果、幼い頃に現皇帝を身ごもり、帝王切開で出産しました。
その手術を施した猫猫の養父、羅門は罰として後宮から追放され、さらに足の骨を抜かれました。
先帝の幼女趣味の結果、誰も幸せにならなかった。
しかし、皇太后のことを思っていたようで、先帝が残した絵にはメッセージが込められていました。
新章の冒頭です。
猫猫の所有権を巡って壬氏と玉葉妃の掛け合いの場面が始まります。そのやり取りは読者にも楽しみを提供します。
今回は国の要人である子昌に招待され、壬氏の下女として北の避暑地へ行くこととなった猫猫。
目的は北州での狩りへの参加。この狩りは子昌が主催し、高順の息子・馬閃も壬氏の護衛として参加します。
しかし、その中で新たな謎や事件が発生し、猫猫はその解明のために奔走します。
壬氏が食事や飲み物に何かを盛られることから始まります。
その毒味役として食べる猫猫。壬氏が食べることを拒むので、馬閃が代わりに食べ、顔を真っ赤にして鼻血を出して倒れます。
それを何とも思わず食べ続ける猫猫。
宦官で特定の部分が無い壬氏の身体を狙う者たち。
その意図が理解できないと感じ、深く考えるのを止める猫猫。
猫猫は壬氏の真の正体や、彼と皇帝、そして羅門との関係の深さを少しずつ理解していきます。
しかし、彼女はそれを意識的に無視し、彼らとの関わりを続けます。
この物語は、猫猫が後宮の複雑な状況や人間関係を巧みに操りながら、真実を追い求める姿を描いており、その結末は次巻への期待を高めるものとなっています。
私がこの本で特に印象に残ったのは、皇太后の過去の回想の部分でした。
その暗く重い過去の描写は、胸が締め付けられるような感じにさせます。
猫猫と壬氏のやり取りは、物語の中の明るい部分として、非常に楽しかったです。
日常で、仲の良い同僚とのやり取りが楽しみである私にとって、その掛け合いには共感できました。
しかし、先帝の幼女趣味の背景や理由はショッキングで、少し重い気持ちになりました。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
四十六話 先帝の秘密
謎めいた部屋への訪問
皇太后の依頼で猫猫は先帝の時代に使用されていたという部屋を訪れた。その部屋は埃に覆われ、かつての居住者の痕跡が色濃く残っていた。猫猫は壁紙の裏に隠された絵に気付き、それが先帝の趣味であり秘密であったと推測した。絵の具には砒毒性のある雄黄が使われており、それが先帝の死因に繋がった可能性を指摘した。
女帝の影と先帝の真実
女帝は、先帝が皇帝としての器に欠けることを悟りつつも、彼を守るために権力を集中させた。部屋に残された絵や画材は、先帝の内面を象徴するものであった。猫猫はそれを口にせず、静かに部屋を出た。彼女は女帝の意図と先帝の苦悩を感じ取ったが、それを言葉にすることはなかった。
猫猫の報告と結論
猫猫は皇太后に対し、先帝の死因とその背景にある事実を伝えた。毒性のある絵の具が使用されていた可能性を示し、それが先帝の身体を蝕んでいたことを指摘した。皇太后は猫猫の言葉を受け入れつつ、自身の過去と先帝への思いを胸に秘めたまま、蒼穹を仰いで祈るような姿を見せた。
四十七話 黄衣の女
先帝との出会いと安氏の野心
安氏は妾腹の娘として幼い頃から後宮に送り込まれる運命を背負っていた。異母姉が中級妃となり、安氏も侍女として後宮に入った。ある日、先帝が異母姉のもとを訪れるが、その際、異母姉を押しのけ恐怖に震える先帝を目にした安氏は、野心を抱き近づいていった。後に先帝の寵愛を得た安氏であったが、その関係が変わるのは時間の問題であった。
安氏の苦悩と後宮での試練
安氏は男子を産むことで国母の地位を得たが、それまで幾度も命の危険にさらされた。女帝の庇護を受けたことで安定したものの、先帝の性癖や後宮の拡張により、多くの幼い娘が後宮に送られた。異母姉は嫉妬の果てに狂乱し、後宮を追われる。安氏もまた、先帝の恐怖の対象となり、その存在に苦悩しながら生きていた。
先帝の絵と毒の真相
先帝が残した絵には、幼い娘たちが描かれ、その中心には女帝らしき女性の姿があった。絵に使われた黄色い絵の具は、雄黄という毒性のある物質で作られていた。長年、この毒に触れていた先帝は身体を蝕まれ、死後も腐らず遺体が保存された。安氏はその絵を捨てたはずであったが、侍女が密かに隠していたと推測された。
壬氏との会話と過去の反省
壬氏が雄黄の石を見せたことで、安氏は幼い頃に壬氏の玩具を取り上げた記憶を思い出した。その行為が壬氏を早熟にし、大人にならざるを得ない環境を作ったことを悔やむ。壬氏は絵に描かれた女性が女帝であるか尋ねたが、安氏はそれに対し「知らない」と答え、過去に触れようとしなかった。
忠告と後宮の現実
最後に安氏は壬氏に忠告を与えた。「お気に入りは隠しておかないと、誰かに隠されてしまう」との言葉は、安氏自身の後宮での経験と苦悩から来るものであった。その一言を残し、安氏は自室に戻り、過去と向き合いながらも前を向こうとしていた。
四十八話 怪談
新しい侍女たちの到着
翡翠宮には新たに三人の侍女が加わった。猫猫は彼女たちに興味を持たず、顔と名前が一致しないと言った。桜花は猫猫が彼女たちと打ち解けるよう促したが、猫猫は庭の物置小屋を自分の部屋にしようとし、紅娘に咎められる。最終的に玉葉妃の許可を得て小屋を作業場として使うことになった。
桜花の誘いと夜の冒険
猫猫は桜花に誘われ、夜に後宮北側の古びた棟を訪れた。紅娘の許可を得て、不安を抱きつつ同行する猫猫。古びた棟では、他の侍女たちが円陣を組み怪談話を楽しむ準備をしていた。参加者たちは小さな火を持ち、怪談が進むごとに火を消していく形式で始められた。
怪談話と猫猫の観察
一人目と二人目の話は平凡であったが、話す者の表現によって盛り上がりに差が見られた。隣に座る子翠は猫猫にするめを差し出し、猫猫はそれを音を立てないよう噛みながら話を聞いていた。桜花は怖がりながらも猫猫にしがみつき、首を絞めるほどの力強さを見せた。猫猫はこの場の娯楽性を認めつつも、自分には退屈だと感じていた。
中盤の語り手と雰囲気の変化
怪談が進むにつれ、語り手の表情や語り口が次第に緊張感を増していった。七人目の語り手が登場する頃には、部屋の光源は半分に減り、青白い顔が炎に照らされる光景が不気味さを一層引き立てていた。猫猫はするめを噛みながら、その光景をぼんやりと見つめていた。
禁忌の森と母子の悲劇
村には禁忌の森があり、呪われた地として恐れられていた。ある飢饉の年、幼い子どもが森に入り食料を持ち帰ったが、村の掟を破ったことで母子は孤立した。その夜、人魂が家に現れ、翌朝母子は死んでいた。村人たちは恐れ、その森をさらに禁忌の地とした。
肝試しの夜
桜花に連れられた猫猫は後宮の古びた棟で肝試しに参加した。参加者たちは各自怪談を披露し、話が終わるたびに火を消していった。雰囲気に引き込まれた他の侍女たちとは対照的に、猫猫は冷静であった。
子翠の語りと猫猫の推理
子翠は僧侶が怪異に巻き込まれる話を語り、会場を震え上がらせた。猫猫は、禁忌の森にまつわる話を基に、実際には毒茸が原因だったのではないかと推測した。母子が光る茸を収穫し、それを食べて命を落とした可能性を示唆した。
火鉢の異変と未解決の謎
肝試しの場では火鉢の不完全燃焼が起こり、参加者たちは体調を崩した。猫猫の迅速な行動で事態は収拾されたが、主催者の女官は忽然と姿を消していた。その女官が昨年亡くなった人物の怪談と似た話を語っていたことが判明し、桜花はさらに怯えた。
紅娘の告白と後宮の余韻
紅娘は、肝試しを企画した女官が先帝の御手付きであったことを語った。その話を聞いた猫猫と桜花は、女官が亡くなった後もこの催しが続いていることに違和感を抱いた。桜花はその夜、恐怖から猫猫と同じ寝床で眠り、猫猫は寝苦しい夜を過ごした。
四十九話 避暑地
広間での会話と猫猫の借用
玉葉妃の広間で猫猫は宦官の壬氏と対面した。壬氏は「数日間、猫猫を返してほしい」と依頼し、玉葉妃と軽妙なやり取りを交わした。猫猫は毒見役として重宝されており、壬氏は代わりの侍女を提案したが、妃は興味深げに猫猫にこだわる理由を問い続けた。最終的に猫猫を借りることが決まった。
移動中の馬車と子北州への道
猫猫は壬氏や護衛たちとともに北方の子北州へ向かう馬車に揺られていた。長時間の移動で尻が痛む猫猫は、移動の理由や歴史的背景を馬閃から聞かされた。子北州は避暑地として有名で、建国時代から続く高官の領地であるが、猫猫にとっては関心の薄い話題であった。
避暑地の到着と豪奢な屋敷
一行は避暑地の立派な屋敷に到着した。建物は美しい装飾と広大な庭を持ち、壬氏は最上級の部屋に宿泊した。猫猫は部屋の暑さに気づき、壬氏が暑さを避けるために窓を閉め切る理由を尋ねたが、詳細は壬氏から明かされなかった。
夕餉とすっぽん料理の余波
夕餉に用意されたすっぽん料理に猫猫は興味を示したが、壬氏や高順たちは毒ではなくとも体に負担のかかる料理として避けた。猫猫が平然と食べる様子に壬氏は驚いたが、馬閃は料理を試して鼻血を出し、倒れてしまった。猫猫は馬閃の介抱を手伝いながら状況を見守った。
宿泊の手配と静かな夜
馬閃の体調不良により壬氏は部屋を譲り、猫猫は一人で広い部屋を使わせてもらった。部屋には風呂も用意されており、猫猫は湯浴みを楽しんで移動の疲れを癒やした。静かな夜が訪れ、翌日の狩りに備えて一行は休息を取った。
アニメ
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