どんな本?
『神統記(テオゴニア)』第2巻は、異世界ファンタジー作品である。主人公カイは、亜人種との戦いの中で前世の記憶を思い出し、この世界の「仕様」に気づきを得る。新たな力を手に入れたカイは、仲間たちと共に過酷な運命に立ち向かう。
主要キャラクター
- カイ:ラグ村の少年兵。前世の記憶を持ち、この世界の「仕様」に気づく。
- ジョゼ:ラグ村領主の娘で、加護持ち。アルビノで白髪赤目の美少女。
- オルハ:ラグ村領主の息子で、加護持ち。
- ヴェジン:ラグ村の領主で、土地神の加護持ち。
物語の特徴
本作は、異世界転生と前世の記憶をテーマに、主人公カイの成長と戦いを描くダークファンタジーである。人類、亜人、神々が交錯する独特の世界観と、過酷な運命に立ち向かう少年の姿が読者の興味を引きつける。また、前世の知識を活かした戦術や魔法の描写が他の作品との差別化を図っている。
出版情報
- 出版社:主婦と生活社
- 発売日:2019年5月31日
- ISBN:978-4-391-15280-7
- メディア展開:2025年4月よりテレビアニメが放送予定
読んだ本のタイトル
神統記(テオゴニア)2
漫画:青山俊介 氏
原作:谷舞司 氏
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あらすじ・内容
亜人種との戦闘中に迷い込んだ谷で、神の“加護”を得た少年・カイ。
内から沸き起こる谷への強い想いから、ラグ村と谷での二重生活を始める。
そんな中、ラグ村領主の娘・ジョゼにカイの持つ力がバレてしまう!?
カイの秘密を守るため、ジョゼが出した条件とは?
一方、谷には神の力を求める来訪者が現れて…。
「前世の記憶」に覚醒した少年が、亜人種らとの戦乱の世を駆け抜ける
異端ダークファンタジー第2弾!!
感想
カイは蜥蜴人との交流を深め、谷での立場を確立する。
村へ戻った彼は、白姫様との訓練や護衛任務に関わることとなる。
土地神の墓所掃除に同行し、古い碑文を読み解く中で、土地神同士の関係についての手がかりを得た。
しかし、その最中に灰猿人族が襲撃し、戦闘が発生。
カイは白姫様を守るため奮闘し、実力を示すこととなった。
その後、当主との模擬戦が行われ、カイの成長が認められた。
戦場での活躍により、仲間内の評価も変化し、次第に彼の存在感が増していく。
しかし、彼自身は目立つことを避けながらも、谷への関心を強めていった。
夜の訪問で小人族と出会い、彼らの請願を受けることになった。
そこで傷ついた少女アルゥエを助け、彼女との奇妙な関係が生まれた。
谷に定住する小人族の影響でカイの生活は変化し、新たな拠点作りを進めていった。
しかし、豚人族の襲撃が発生し、彼は戦う決意を固め。
戦闘の末、敵の指揮官を討ち取りにし、巨大な神石を手にすることになる。
力の選択を迫られたカイは、その神石を自身のものとし、さらなる成長を目指し。
谷を守る意志を持ちつつ、彼の旅は続いていく。
総括
物語は前巻の戦場から一転し、カイの新たな立場や人間関係に焦点が当てられた。
戦士としての評価が上がる一方で、彼自身は注目を避けながら動く。
しかし、その計算高さとは裏腹に、白姫様の護衛や小人族との関係など、次々と重要な立場へと押し上げられていく。
その流れが自然でありながら、カイの葛藤がしっかりと描かれている点が印象的であった。
特に興味深かったのは、小人族との交流である。
蜥蜴人や小人族といった亜人と関わることで、人族の視点だけでは見えなかった世界の構造が明らかになっていった。
土地神の加護や調停の神といった概念も含め、この世界が持つ独特の設定が少しずつ明かされていくのが面白い。
カイ自身も、その流れに巻き込まれながら、次第に異なる立場を意識し始めていった。
戦闘描写も相変わらず迫力があた。
特に豚人族との戦いでは、敵の力強さが描かれ、単なる力押しでは勝てない戦場の厳しさが表現されていた。
戦術や判断力が求められる場面が増え、カイの立ち回りがより洗練されてきているように感じた。
神石の摂取による成長や、不可視の剣のような新たな力の発現があり、バトル面でも見どころが多かった。
一方で、日常パートの描写も良かった。
特にカイとアルゥエの関係性は、物語に温かみを加えていた。
過酷な世界観の中で、わずかに生まれる安らぎが、キャラクターの成長に繋がっているように思えた。
カイ自身の変化も感じられ、単なる兵士ではなく、谷を守る者としての意識が芽生えつつあった。
総じて、本巻はカイの立場や役割の変化が明確になる巻であった。
戦士としてだけでなく、異なる種族との関係を築き、谷の支配者としての片鱗を見せ始めた。
その成長がどのように物語に影響を与えていくのか、次巻以降も期待したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
10話
やがて蜥蜴人のリーダー「ゴレ」とカイの間で友好的な交流が生まれ、カイは谷の新たな住人として認められる形となった。
村への帰還と白姫様との出会い
谷での作業を終えたカイは村へ戻り、朝方に城館の井戸で白姫様と遭遇した。
白姫様は訓練中で、彼女の意外な一面を見たカイは少し驚いた。
二人のやり取りの中で、白姫様は「加護持ち」としての覚悟を語り、カイに訓練への参加を求めた。
最初は気乗りしないカイであったが、彼女の説得に折れ、翌朝から付き合うことを約束した。
11話
墓所掃除の選抜戦と護衛任務
ラグ村では、モロク家に仕える土地神の墓所を掃除するための「選抜戦」が行われていた。
特に白姫班の護衛役は人気が高かったが、カイは参加を見送るつもりであった。
しかし、白姫様からの逆指名により、彼は護衛役を務めることになった。
道中、白姫様は自らの力を誇りながらも、土地神の加護の衰えに悩む心情を吐露した。
廃村エダの墓所掃除
カイたちは白姫様の土地神「エダ」の墓所がある廃村エダへ向かった。
村の遺跡に眠る墓所は荒れ果てており、掃除のため地下通路を進んだ。
墓石を磨きながら、カイは碑文の一部を読み取ることに成功し、土地神同士の従属関係を示す内容を理解した。
しかし、それ以上の詳細を調べる機会は得られなかった。
12話
灰猿人の襲撃と白姫様の危機
掃除中に灰猿人が襲撃し、カイたちは急いで墓所を隠した。
戦闘が始まり、白姫様は自ら戦おうとしたが、灰猿人に狙われ窮地に陥った。
彼女を守ろうとした兵士たちも防戦一方となる中、カイは加護持ちの速さを活かし、背後から灰猿人の戦士を槍で仕留めることに成功した。
白姫様の危機とカイの救援
白姫様は灰猿人の戦士に囲まれながら、土地神の衰えた加護の中で奮闘を試みた。
しかし、その攻撃は震える槍と共に効果を発揮せず、敵の脅威に晒されていた。
カイは背後から灰猿人を槍で仕留め、白姫様を救出した。
間一髪の状況を乗り越えた白姫様は動揺しつつも、カイの実力に驚きながら礼を述べた。
兵士間の軋轢とカイの計算
白姫様の護衛を任された若い兵士たちは、カイの活躍に対して嫉妬と苛立ちを見せた。
しかし、カイはその反発を意に介さず、周囲に気を配りつつ戦場での立ち回りを計算した。
灰猿人を倒すことで手柄を仲間と共有し、無用な波風を立てないよう行動した。
戦場での実力差と神石の収穫
戦闘が終わると、兵士たちは倒した灰猿人から神石を回収した。
カイは手際よく神石を収集し、その一部を自らの成長に利用した。
神石の髄を食らい、力を高める行為は兵士間の実力差を広げる要因となっていた。
カイはその成長を楽しみつつも、周囲への影響を考慮した行動を続けた。
13話
ご当主様との手合わせ
灰猿人退治の話が広がり、カイの名声は村中に知れ渡った。
それを聞いたご当主様は、カイの実力を確かめるべく模擬訓練を提案した。
カイはご当主様との立ち合いで見事な防御と一撃を見せたものの、最後には膝蹴りを受けて倒れた。
しかし、その戦いぶりはご当主様に高く評価され、彼自ら鍛えることを約束された。
予想外の昇進と新たな挑戦
ご当主様からの評価は、カイが最上位の兵士グループに加わることを意味していた。
帳尻を合わせようと手を抜いたつもりであったカイであったが、逆に頭角を現し、さらなる成長の機会を得ることとなった。
彼はこれからの訓練に向け、新たな挑戦を受け入れる覚悟を決めた。
ご当主様からの称賛と仲間たちの反応
カイはご当主様に評価され、仲間たちから祝福を受けた。
しかし、その中には追い抜かれたことへのやっかみや「案山子役」を励ます皮肉も含まれていた。班のリーダーであるマンソからは、近い内に実力を試す旨を告げられ、カイの村での立ち位置は確実に変化を続けていた。
谷への訪問とカイの計画
夜、カイは谷へ向かうことを決めた。治癒魔法で負傷を隠し、包帯を外してこっそり兵舎を抜け出した。
村を抜け、50ユルドの距離を走り抜けたカイは、バーニャ村を経由して森へ進入した。
彼は蜥蜴人族の縄張りを避け、谷へ最短ルートを探しながら進んだ。
谷への突入と新たな発見
カイは岩場や大木を巧みに利用し、驚異的な速度で谷へ到達した。
谷を見渡していたカイは、対岸に見慣れない小人族の群れを発見した。
彼らは谷底に向かって泣き叫び、何かを捧げた様子だった。
カイは状況を確認するため、群れに近づいた。
14話
小人族の請願と「調停の神」
小人族の長老ポレックは、カイを「調停の神」と呼び、追われた土地を取り戻すための仲立ちを請願した。
カイは関わるつもりはないと一蹴したが、谷への侵入者を防ぐため、仕方なく彼らの「捧げ物」を確認することにした。
谷底での邂逅と治癒魔法の行使
谷底に降りたカイは、血まみれの小人族の少女「アルゥエ」を発見した。
彼女は転落による重傷を負っていたが、カイは治癒魔法を用いて彼女を応急処置した。
魔法の力に感動したアルゥエは、カイに感謝しつつも、自分を「いらない捧げ物」として差し出そうとした。
少女の拒絶とカイの決断
アルゥエは自らの価値を否定し、カイに執拗にしがみついた。
最終的に、彼女は自殺を試みるが、カイに止められる。彼はアルゥエを肩に担ぎ、小人族のもとへ返すため谷の崖を登り始めた。
時間が限られる中での予期せぬ事態に、カイは苛立ちながらも冷静に行動した。
バレン杉を使った小屋作り
カイはバレン杉を輪切りにし、それを縦に切ることで板材を作った。手作りの壁で囲いを完成させたが、屋根や床の作り方に苦労し、村で建築を学ぶ必要を感じていた。一方でその不完全な小屋は秘密基地のようで、彼を少し満足させた。
アルゥエとの再会
眠りから覚めたカイは、小人族の少女アルゥエが小屋の中にいることに気付いた。彼女は「神に捧げられた」と主張し、帰る場所がないと言った。カイは彼女を追い返そうとしたが、最終的に彼女を受け入れることにした。
15話
アルゥエの働き
アルゥエは小人族手製の道具を使い、火を起こし、簡易なかまどで食事を用意した。彼女の手際の良さにカイは感心し、食事の美味しさに満足した。アルゥエは「神様のお世話をする」と言い、積極的に行動を始めた。
小人族の新たな生活
小人族は谷の縁にテントを張り始め、カイに「谷で暮らしてもよいか」と尋ねた。カイは谷に入らなければ構わないと許可を出し、彼らは新しい生活を始めた。その光景を見たカイは、自分も移動可能なテントを手に入れることを考えた。
新たな関係と出発
朝日が差し込む中、カイはアルゥエに「出かけてくる」と告げた。帰りたくなれば自由に帰っていいと伝えたが、アルゥエは涙ぐみながら「帰らない」と答えた。その姿にカイは彼女の決意を感じつつ、出発した。
アルゥエの奮闘と小屋の完成
カイの小屋はアルゥエによって改良され、より快適な居住空間へと変貌した。彼女は氏族の助けを借りず、独力で作業を行い、カイを驚かせた。カイはアルゥエの努力を評価し、小屋の新たな姿に満足した。
豚人族の襲撃と小人族の窮地
夜、小人族の集落が豚人族に襲撃された。彼らは土地神の恩寵を奪うため、小人族を狙っていた。カイは小人族を守る義務はないとしつつも、アルゥエの期待する眼差しに抗えず、行動を決意した。彼の中には、豚人族への怒りと、自身の谷を侵されたことへの不快感が募っていた。
戦いへの出発
カイは迷いを捨て、谷を守るために走り出した。その背中には、土地神の加護を受けた者としての強い意志と、自らの信念が宿っていた。
16話
豚人族との戦闘開始
カイは谷で小人族が襲われている現場に駆けつけ、豚人族の兵士を迎え撃った。
無手で挑むカイに豚人族は嘲笑したが、彼は巧みに敵の攻撃をかわし、手斧を奪って反撃した。
迅速かつ力強い攻撃により次々と敵を倒し、小人族たちを守った。
谷の危機とカイの決意
カイは豚人族の襲撃を通じて、谷の平穏が脅かされていることを痛感した。
彼は「血で躾けよ」との内なる声に従い、谷を守るために敵を殺す決意を固めた。
小人族への許可が豚人族を引き寄せる原因になったことを悔い、今後の侵入を防ぐための行動に出た。
ポレック老との共闘
小人族唯一の加護持ちであるポレック老が加勢し、豚人族の雑兵を一掃した。
老人の鮮やかな剣技は敵を震え上がらせ、カイに指揮官への道を開いた。
カイは老人の言葉を受け入れ、小人族と協力して敵を排除する決意を新たにした。
17話
豚人族指揮官との対決
豚人族の指揮官は加護持ちであり、威圧的な存在感を示した。
彼はカイと対峙し、降伏を申し出たが、カイはそれを拒否した。
戦闘は激しさを増し、カイは霊力を用いて「不可視の剣」を生み出し、指揮官の武器を破壊した。
18話
最終的な勝利と神石の獲得
カイは豚人族指揮官を仕留め、その身体から大きな「神石」を引き抜いた。
カイは谷を守るために戦い抜き、最後に神石を封印するよう内なる声に従った。
その決意と行動は谷と小人族に新たな秩序をもたらした。
巨大な神石の発見
カイは豚人族の指揮官を倒し、赤子の頭ほどもある巨大な「神石」を手に入れた。
ポレック老は、この神石が宿主を失い霊的保護を失った状態であると説明し、カイに早急に使用するよう促した。
カイは神石を霊力で封じつつ、その利用方法を模索した。
神石の活用についての選択
ポレック老は、神石を用いて他者に加護を与えることや、自らの力を高めることが可能だと助言した。
カイは信頼できる同族がいないことから、神石を自らの力に変える決断を下した。
土地を守る責務を感じ、カイはさらに強くなる必要性を理解した。
神石の摂取と力の解放
カイは神石を剣で割り、中の琥珀色の髄を食した。
19話
その味わいと力の感覚に驚嘆しつつも、完全には土地神の御霊を取り込むことはできなかった。
摂取後、カイの体は激しい熱を発し、力が全身を駆け巡るように変化した。
谷への帰還と仲間への信頼
消耗したカイは、谷へと戻る途中でアルゥエの祈る姿を目撃した。
彼女が自身に対する忠誠を示していることを感じ取り、信頼できる存在であると考えるようになった。
谷の湖水に身を委ねたカイは、アルゥエの迎えを受けながら思考を巡らせた。
麦と『ごはん』への憧れ
カイは目の前の麦種子を眺めながら、『ごはん』や『おにぎり』への憧れを抱いていた。中央の国でしか手に入らない贅沢品を想像しつつ、それが叶わない現実を受け入れた。仲間に促され、麦種子を運ぶ作業に戻った。
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