漫画「月が導く異世界道中 15」感想・ネタバレ

漫画「月が導く異世界道中 15」感想・ネタバレ

どんな本?

月が導く異世界道中』は、あずみ圭による異世界ファンタジー作品であり、漫画版第15巻が発売されている。

物語の概要

高校生・深澄真は、月読命と女神によって異世界に召喚されますが、女神の身勝手な理由で世界の果てに追放されてしまう。
真は商人として活動しながら、異世界での生活を切り開いていく。

主要キャラクター
• 深澄 真(みすみ まこと):主人公。異世界に召喚された高校生で、商人として活動しつつ、強大な力を持つ。
• 巴(ともえ):上位竜「蜃」であり、真の第一の従者。真の記憶から時代劇を好む。
• 澪(みお):「災厄の黒蜘蛛」と呼ばれる魔獣で、真の第二の従者。食欲旺盛で、真に忠誠を誓う。

物語の特徴

本作は、異世界召喚という定番の設定ながら、主人公が女神に見放されるというユニークな展開が特徴。また、商人としての活動や、多種多様なキャラクターとの関係性が物語に深みを与えている。

出版情報
出版社アルファポリス
発売日:2025年02月28日発行
関連メディア:本作はライトノベル、漫画、アニメなど多岐にわたるメディア展開が行われている。

読んだ本のタイトル

月が導く異世界道中 15
著者:木野コトラ 氏
原作:あずみ圭 氏
キャラクター原案:マツモトミツアキ 氏

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あらすじ・内容

累計500万部到達! 亜空でツィーゲで大忙しの夏休み!!
ロッツガルド学園は夏休み真っ盛り! 主人公・真(まこと)の教え子たちはレベル上げの修行のため街の外へ合宿に繰り出す。生徒たちのやる気に触発された真も夏休みの目標を立て、多忙な合間を縫って鍛錬を始めて……!?

月が導く異世界道中15

感想

学園都市ロッツガルドの夏とジンたちの遠征

ロッツガルドは世界中から学生が集まる学園都市である。本校と分校の生徒たちの間には明確な格差があり、本校生は分校生を見下し、分校生は本校生に嫉妬していた。この関係は長年続き、学園の理念とはかけ離れた状態になっていた。

ジンたちは識の助言を受け、レベル上げの遠征を計画した。出発準備を進める中、レンブラント姉妹の装備が中堅冒険者レベルのものであることが明らかになり、彼女たちの家の財力がうかがえた。一方で、ダエナは家族のために転移陣を使用したことで金銭的に余裕がなかった。

出発直前、転移陣の建物で分校の生徒たちと衝突した。彼らはジンたちのレベルを尋ね、自分たちの方が高いことを誇示した。しかし、ユーノは迷いなく「私たちが強い」と言い放った。この発言に激昂した分校生は魔術を詠唱し、戦闘態勢に入った。

ジンの圧倒的勝利と遠征の開始

ユーノの提案により、ジンが一人で相手をすることになった。分校の剣士たちはスキルを使おうとしたが、ジンは一瞬で接近し、抜刀を阻止して戦闘不能にした。後衛からの矢や魔法もことごとく防がれ、分校の生徒たちは全員倒された。ジンは彼らの未熟さに呆れ、仲間たちとともに転移陣へ向かった。

遠征では、ライドウの指導を受けた成果が明らかになった。ジンたちは魔物との戦闘で圧倒的な強さを見せ、わずか一日でレベルを大幅に上げた。しかし、湖畔で出会った亜竜に苦戦し、再び自分たちの未熟さを痛感することになった。

この戦いの最中、謎の少女が現れ、竜を一瞬で拘束し討伐した。彼女は「コモエ姫を怒らせると危険」とだけ言い残し、姿を消した。この出来事を通じて、ジンたちはさらなる強者の存在を知り、自分たちの限界を思い知らされた。

狼と熊の脅威とアガレスの敗北

森の調査隊は未知の脅威に遭遇し、戦士アガレスが先頭に立って戦った。しかし、敵は圧倒的な力を持ち、隊は壊滅状態に陥った。彼は以前真から聞いた「狼と熊」の警告を思い出し、この二体がただの獣ではないことを悟った。

狼の咆哮は竜の威圧を超え、アガレスの動きを封じた。さらに、巨大な熊が姿を現し、彼の攻撃をものともせず、一撃で意識を奪った。狼が「その者は我が赦しを与えた者」と告げたことで、熊は攻撃をやめた。こうしてアガレスは辛うじて生還し、調査隊は「狼と熊に遭遇」との報告を上げた。

リノンの誘拐とコモエの介入

市場で働くリノンは、街の案内をしていた。その最中、彼女は突然誘拐され、暗い路地へ連れ去られた。犯人たちはリノンの姉・トアに恨みを持つ者たちであり、計画的な犯行であった。

だが、その場に青い髪の少女が現れた。彼女は一瞬で誘拐犯を切り裂き、全員を倒した。その後、リノンを安全な場所へ連れ戻し、何事もなかったかのように日常の会話を続けた。コモエはリノンに「一緒に描かれた絵を描いてほしい」と頼み、二人は穏やかな時間を過ごした。

ライドウの修行と新たな魔力の研究

深澄真は魔力の物質化に関する論文を読み、自らの魔力を外部に放出する実験を行った。試行錯誤の末、術に外部の魔力を取り入れる方法を見出し、効率的な魔力運用を可能にした。しかし、研究に没頭するあまり、夜通し魔力を放出し続けていたことに気づかなかった。

巴と澪の声で正気に戻り、自身の体の異変に気づく。彼はさらなる修行を決意し、朝食を楽しみに家へ戻った。

その後、巴から調査隊の報告を受けた。狼と熊がただの野生動物ではなく、特別な存在であることを確認し、再調査の提案があった。しかし、真は不用意な敵対を避けるべきと判断し、自らが狼と接触することを決めた。

故郷ツィーゲの変化とレンブラント姉妹の帰省

レンブラント姉妹は夏休みをロッツガルドで過ごす予定だったが、父の頼みにより帰省することになった。久しぶりに訪れた故郷ツィーゲは大きく変貌しており、新しい建物が並び、街の活気も増していた。

一方、レンブラントはライドウのもとを訪ねた。彼の妻・リサも同行しており、ライドウが彼女を姉と勘違いしたことで喜ぶ場面もあった。その後、ライムとリサが対面し、過去の騒動について話し合った。リサは彼を許せないとしつつも、レンブラント商会の利益に貢献するよう命じ、空気を変えた。

ユーノは街の変化を確かめるため、一人で冒険者ギルドを訪れた。しかし、そこには二つのギルドが存在し、混乱することになった。

総括

本巻はトレーニングと地道な成長が中心のエピソードであり、大きな動きは少なかった。
ライドウの指導が生徒たちに確実な成長をもたらしている様子が描かれ、彼らの強さが実感できる内容であった。

リノンの誘拐事件では、コモエの戦闘能力が圧倒的であり、彼女の無邪気な一面とのギャップが際立った。
特に、巴の分体としての実力を見せつける場面は印象的だった。

また、狼と熊の存在が物語に深みを加え、真が彼らとの接触を決意する展開が今後の鍵となると感じた。

一方で、物語の進行はやや緩やかであり、原作の消化ペースが遅いと感じる部分もあった。

しかし、web版外伝のストーリーが導入されており、じっくりとキャラクターの成長が描かれており、今後の展開に期待が高まる巻であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

九十七話 クズノハ・ラディカリスツ

ゴテツでの食事と識の助言

戦闘後、学生たちはライドウと共にゴテツで食事をし、その場で今後の特訓について話し合った。識はジンたちにレベル上げを勧め、彼らはレベルアップのための遠征を計画することとなる。ライドウは彼らの熱意を感じ取りながらも、万が一に備え、監視役としてエリスを後ろに付けることを決めた。

学園都市ロッツガルドの夏

ロッツガルドは世界中から優秀な学生が集う学園都市であり、その活気は辺境都市ツィーゲとは異なり「現代の街に近い」と評されるほどであった。平和で豊かな環境が整っており、魔族との戦争の影響もほとんど感じられない。

しかし、長期休暇期間には多くの学生が帰省し、街の賑わいがやや落ち着く。この時期には普段見かけない分校の生徒たちが街を訪れ、本校の臨時講義を受けるために集まる。分校からの「昇格」を目指す者もいれば、単に本校の教育水準を体験したい者もいた。

本校と分校の間には明確なヒエラルキーが存在し、本校の生徒は分校の生徒を見下し、分校の生徒は本校の生徒に羨望と嫉妬を抱いていた。この関係は長年続いており、学園の理念とはかけ離れた状況になっていた。

ジン一行の出発準備

本校の北門近く、七人の学生が完全武装の状態で装備の点検を行っていた。彼らの目的はレベル上げであり、今回は識が提案したルートを使用することになっていた。

リーダーのジンが皆の体調を確認するが、誰もまともに返答しない。隣で書類を整理していたアベリアは、転移陣の使用許可や地図を確認しながら、ジンの呼びかけに無関心な様子だった。

姉妹であるシフとユーノは、戦闘とは無関係な会話をしながらポーチの中身を確認していた。彼女たちの装備は中堅冒険者レベルのもので、学生としては破格の質を誇っていた。資金力のある家の出身であることは明白であった。

ダエナは妻子を持つ唯一の学生であり、彼らの帰省のために転移陣を利用したため、懐事情が厳しくなっていた。イズモやミスラは彼をからかいながらも、レベル上げの準備を進めていた。

ようやく全員の準備が整い、転移陣へと向かうことになった。

分校の生徒との衝突

転移陣の建物に到着したジンたちは、勢いよく扉を開けて飛び出してきた分校の生徒と衝突した。ジンは特に問題なく体勢を立て直したが、相手の方はよろめき、にもかかわらず「気を付けろ」と怒鳴る始末だった。

ジンたちは分校の制服の刺繍を見て、相手が戦士育成校のロパ、魔術師育成校のマズル、精霊魔術育成校のブリトーの出身者であることを把握した。分校の生徒たちは本校の生徒であるジンたちを敵視しつつ、レベルを尋ねた。

ジンたちはライドウの指導を受けた影響でレベルの概念に対して鈍感になっていたため、イズモが無邪気に「全員四十台」と明かした。しかし、分校の生徒たちはこれを本校の落ちこぼれと解釈し、自分たちのレベルが五十台後半であることを誇示し始めた。

「どっちが強いか、分かんだろうが!」と挑発する分校生徒に対し、ユーノは純粋に「私たちだね」と答えた。これに怒りを募らせた分校生徒は、街中にもかかわらず魔術の詠唱を開始し、戦闘態勢に入った。

ジンの圧倒的勝利

ユーノの提案でジンが一人で相手をすることになった。分校の剣士二人がスキルの詠唱を始めたが、ジンはスキルを使わずに接近し、一人の柄頭を押さえて抜刀を阻止し、逆手で柄を顎に打ち込んだ。もう一人も顔を鷲掴みにし、地面に叩きつけて戦闘不能にした。

後衛から放たれた矢もジンの剣で容易く弾かれ、魔術の詠唱もことごとく妨害された。剣士だけでなく、斧や鈍器を構えた分校の戦士たちも瞬く間に倒され、術師たちの魔法さえも剣で斬り払われた。

戦闘が終わった頃には、分校の生徒たちは全員倒れ、呻き声を上げるばかりだった。

ジンは「こんな雑魚ども、疲れもしねえ」と呆れたように吐き捨て、仲間たちと共に転移陣へと向かった。

レベル上げの旅立ち

転移陣を通じて目的地へ向かうジンたちは、識が提案したルートでレベル上げを行う予定だった。彼らは、自分たちの実力が想像以上に向上していることに気付くことになるだろう。

しかし、その後訪れる湖畔での亜竜との戦闘が、再び彼らの自信を打ち砕くことになる。

この時、彼らはまだ知らなかった。自分たちを密かに見守る影が存在し、その存在が後に彼らの命を救うことになることを。

九十八話 エージェント・バナナ

レベル上げ遠征と新たな実力

アベリアたちはロッツガルド近郊の森林で狩りを行い、驚くべき成果を上げた。ライドウの講義を通じて身につけた戦術思考のおかげで、魔物との戦闘が以前よりも圧倒的に楽になっていた。戦闘中の判断力や動きの洗練度が向上し、まるで別人のような戦い方を見せるほどであった。

一日でレベルが八つも上がり、力の向上を実感する中で、彼らはライドウの講義が単なる拷問ではなく、確かな成長をもたらすものであったことを確信した。

湖畔での遭遇と未知の存在

遠征の終盤、彼らは湖畔で一匹の竜と遭遇した。予想外の事態に混乱しながらも戦略を練ろうとするが、竜の咆哮による威圧効果で誰一人として動くことができなかった。絶望が広がる中、突如として木の上から謎の人物が現れる。

白いパーカーに猫耳をつけたその人物は、軽やかに地上に降り立ち、不思議な言葉を口にしながら、竜を拘束する魔法を発動させた。湖面に展開された無数の魔法陣から氷の槍が放たれ、竜を一瞬で葬り去った。

謎の少女と新たな試練の予感

彼女は「コモエ姫を怒らせると危険」と謎めいた言葉を残し、湖畔から姿を消した。その間も学生たちは呆然とし、動けないまま事態の推移を見守ることしかできなかった。

今回の遠征を通じて得たものは大きかったが、それと同時に、彼らの知らない強者がまだまだこの世界には存在することを痛感する結果となった。ライドウの特訓に加えて、さらなる未知の試練が待ち受けていることを予感しながら、彼らはこの夏の出来事を決して忘れることはないと確信した。

森の警戒と調査隊の動き

広葉樹が生い茂る森の中で、調査隊の一員である戦士アガレスは、直感的に何かの存在を察知して足を止めた。調査隊の他の戦士たちも警戒態勢を取りつつ、慎重に進む。ハイランドオークによる開拓が進められているが、未知の生物や環境に対する警戒は怠れない。彼らは未知を既知に変えるため、探索を続けていた。

九十九話 カトンボあるいは無課金若様

突然の襲撃と圧倒的な力

アガレスの直感は的中し、ナニカが彼らを襲撃した。瞬く間に仲間たちは意識を刈り取られ、隊は壊滅状態に陥った。敵の爪痕が鋭く、圧倒的な速さで動く何者かがいた。アガレス一人がまだ無傷だったが、状況は絶望的であった。彼は、これほど強力な存在が単なる魔獣とは考えられず、以前遭遇したオオカミとは異なる強大な何かであると悟る。

森の脅威と真の警告

アガレスは、以前真から聞いた「狼」と「熊」に関する警告を思い出した。真は特に狼との交戦を避けるよう助言していたが、目の前の存在は、ただの獣とはかけ離れた力を持っていた。彼は自身の認識の甘さを痛感し、今ここでの戦闘は無謀であることを理解する。しかし、戦士として、何もせずにやられるわけにはいかないと覚悟を決め、槍斧を握り直した。

狼の咆哮と圧倒的な威圧感

突然、森に響く遠吠えがアガレスを襲った。その咆哮は彼の全身を貫き、身体の自由を奪った。狼の殺気は竜の咆哮をも凌ぐほどの威圧感を持ち、アガレスは自らが捕食者と被捕食者の関係にあると直感する。それでも、戦士としての誇りを捨てることなく、倒れた仲間たちを守るために立ち上がる決意を固めた。

熊の出現とさらなる絶望

狼が姿を消した直後、アガレスは別の存在に気づく。巨大な黒い毛並みの獣──熊が背後に立っていた。威圧感に圧倒されながらも、アガレスは体当たりを試みるが、熊は微動だにしない。逆に、無造作に振り下ろされた熊の一撃を受け、彼は意識を失った。致命傷こそ免れたものの、戦闘は圧倒的な敗北であった。

狼の介入と熊の撤退

意識を失ったアガレスを連れ去ろうとする熊に対し、再び狼の声が響く。「その者は我が赦しを与えた者」との言葉に従い、熊は渋々ながらもアガレスを解放し、森の奥へと消えていった。狼もまた姿を消し、調査隊の仲間たちが目を覚まし始める。こうして、アガレスたちは満身創痍の状態で森を後にし、「狼と熊に遭遇」との報告を上げることとなった。

翼人との模擬戦

模擬戦が始まると、翼人たちは空中戦を得意とし、雲を利用した奇襲や連携を駆使して戦った。しかし、真のブリッドの精度と威力の前では、彼らの戦術はほとんど通用しなかった。高高度からの攻撃も命中精度が低く、真にとっては容易に回避可能なものだった。特に問題だったのは、遠距離攻撃への耐性が皆無であり、ブリッドの直撃を受けた翼人が次々と墜落していったことである。戦闘の終盤、族長のカクンと補佐のショナが切り札として巨鳥への変身を行い、強化を施した突撃を試みた。しかし、真はそれすらも軽々と防ぎ、反撃で彼らを制圧した。

戦力評価と課題の指摘

模擬戦後、翼人たちは自分たちの戦力不足を痛感していた。真は彼らに対し、空を飛ぶ利点に頼りすぎ、攻撃手段の多様化や威力向上を怠っていると指摘した。加えて、防御が脆弱であるため、空に上がる際のリスクを見直す必要があると助言した。族長のカクンは、翼人たちも亜空の開拓や調査、戦力ランキングへの参加を希望したが、真は現状の実力では不適切であるとして許可しなかった。ただし、戦力強化のための訓練を推奨し、改善の余地があれば将来的な参加を検討することを約束した。

今後の模擬戦の活用

翼人との模擬戦は、彼らの鍛錬の場であるだけでなく、真にとっても有益な修練となる可能性があった。特に、魔術の行使状態を維持し続ける訓練として適しており、ルトから学んだ修練法の一環として活用できると考えた。そのため、真は今後も翼人との模擬戦を継続することを決め、より実践的な訓練の場として利用することにした。

百話 なつやすみのもくひょう

魔力の研究と論文の考察

深澄真は、魔力の物質化に関する論文を夜ごと読み進めていた。論文によれば、大量の魔力を放出すると色を帯び、さらにごく弱い障壁を形成することがあるという。著者は、魔力が視認でき、触れる可能性があることから、物質化の理論を探求していた。真もまた、より多くの魔力を術に込める手法を模索しており、論文の内容を実験することにした。

魔力の外部利用の実験

真は自身の魔力を外部に放出し、それを直接活用する試みを始めた。通常、魔術は体内の魔力を消費するが、彼は周囲に放出した魔力を術に用いることで、内外の魔力を均等に活用できる可能性を見出す。試行錯誤の末、外の魔力も術の発動に寄与していることを確認し、この技術を発展させることを決意した。

夜通しの修練と異常事態

真は集中を切らさず、魔力の制御を続けた。次第に内と外の魔力の均衡が取れ、消費を抑えつつ威力を増す感覚を掴み始めた。しかし、気づけば夜を徹して実験を続けており、明け方になっても自覚がなかった。巴と澪の声で正気を取り戻した彼は、自身が一晩中魔力を放出し続けていたことを理解し、その危険性に気づく。

朝食と今後の修練の決意

巴と澪の案内で家へ戻ることになった真は、自身の疲労のなさに違和感を覚える。かつての虚弱な体を思い出し、鍛錬を怠ることの危険性を再認識する。そして、さらなる修行を計画しながら、澪が準備した朝食を楽しみに家路を急ぐのだった。

調査隊の報告と狼と熊の存在

深澄真は、朝食後に巴からの報告を受けた。それによると、ハイランドオークの調査隊がついに狼と熊に遭遇したという。隊長であるアガレスたちは、調査中にこれらの強力な獣と出会い、戦闘不能にされながらも命を奪われることなく退けられた。森には日本の動物が存在することもあるが、それらは異様に強く、ただの野生動物とは思えないほどの力を持つという。特に狼と熊は、この亜空においても特別な存在とされていた。

狼に対する真の特別な思い

真は、狼に対して特別な憧れを抱いていた。日本ではすでに絶滅したニホンオオカミは、彼にとって神秘的な存在であり、森の王のように感じられた。狼は単なる猛獣ではなく、信仰や文化の中で神聖視されてきた歴史がある。彼は、今回の調査隊の報告を聞き、遭遇した狼こそがまさにその「オオカミ」に相応しい存在だと考えた。そして、調査隊を殺さずに退けたことから、単なる獣ではなく、ある種の理性を持つ存在かもしれないという期待を抱いた。

狼と熊への対応策の検討

巴は調査隊の報告を受け、狼と熊の力を確認するため、自らが指揮をとって再調査を行うことを提案した。しかし、真はそれを却下した。アガレスたちは一度警告を受け、命を助けられていた。再び森へ足を踏み入れれば、それは警告を無視する行為となり、狼たちとの関係を悪化させかねないと考えた。さらに、狼は念話に近い方法で意志を伝えてきたようであり、無闇に敵対するのではなく、まずは対話の手段を探るべきだと主張した。

真の我が侭と巴の納得

真は、巴や澪ではなく、まず自分が狼と接触することを希望した。それは単なる我が侭であり、彼自身の特別な感情によるものだった。巴は不満げな様子を見せつつも、最終的には真の意志を尊重し、彼の計画を受け入れた。真は、自らの考えを実現するために準備を進めることを決意し、森の狼と熊に備える新たな術の開発に取り組むことを誓った。

百一話 これにていっけんらくちゃく

市場での案内

リノンは、訪れた男たちに市場の肉屋や酒場の場所を案内していた。彼らが街に来たばかりの冒険者であることを見抜き、慣れない土地で迷わないよう助言を与える。自身も長くこの街で似顔絵描きをしており、姉が冒険者であることを明かしながら、道案内は必要ないと断った。しかし、男たちの様子から以前とは街の様子が違うことに気づき、最終的に酒場が見える場所まで同行することを決めた。

街の変化と冒険者への警告

男たちと共に歩く間、リノンは街の発展について語った。半年の間に建物が増え、門の拡張も二度行われており、店舗の配置も変化していたことを説明する。また、景気の良さが冒険者たちの油断を招き、実力に見合わぬ仕事に手を出して命を落とす者も多いと警告した。さらに、規則の緩みが見られ、賄賂によって門が開かれるようになっている現状にも触れ、注意を促した。

突然の誘拐

リノンが案内を終えた直後、男たちは突如として彼女を襲い、口を塞いで連れ去った。彼らの目的は明らかであり、リノンの身元を知った上での計画的な誘拐だった。彼女の姉であるトアへの恨みが動機である可能性が高く、男たちは素早く暗い路地へと消えていった。

謎の少女の介入

誘拐犯が隠れ家へ向かう途中、一人の青い髪の少女が彼らの前に立ちはだかった。少女は、男たちにリノンの目的を問いかけたが、相手は即座に抹殺を決定し、攻撃を仕掛けた。しかし、少女は一瞬で行動を起こし、先頭の男を真っ二つに切り裂く。さらに、別の男がリノンを担いだまま逃げようとするも、槍状の氷の刃で貫かれ、最後の一人も瞬時に凍りつかせて処理した。

リノンの救出と再会

少女はリノンを担ぎ上げ、そのまま彼女の仕事場へと戻った。拘束を解かれたリノンは涙ぐみながらも、助けてくれたのがコモエであることを認識し、すぐに感謝を述べた。コモエは、リノンが無事であることを確認すると、平然とした様子で会話を続けた。

友人としての会話

二人は事件のことよりも、日常的な話題へと移った。リノンは、自分もいずれは戦い方を学ぼうかと考え始めるが、コモエは「リノンの絵描きの才能の方が素晴らしい」と断言する。さらに、コモエは巴から教わった「エド語」や、真の影響で覚えた言葉について話し、リノンを困惑させた。

楽しいひとときと新たな約束

コモエはリノンに「若様(真)の隣に並んだ絵を描いてほしい」と依頼するが、リノンは真の素顔を見たことがないため、代わりに別の絵を描くことを提案した。コモエが「リノンと一緒に描かれる絵」を希望すると、リノンは戸惑いながらも了承し、二人は夏の夜を穏やかに過ごした。

夏期講習と帰省の決定

ジン=ロアンをはじめとする学生たちは、ライドウの臨時講義を受けながら、それぞれの戦闘スタイルを確立しようと研鑽を積んでいた。その中で、シフとユーノのレンブラント姉妹は、元々夏休みをロッツガルドでの補講と自己鍛錬に費やすつもりであった。しかし、ライドウが父レンブラントの頼みを受け入れたことで、二人は実家に戻ることを余儀なくされた。彼女たちは不満を抱えながらも、ライドウの助言を受け、環境の変化が成長につながる可能性を認識しつつ帰省を決意した。

変貌した故郷ツィーゲ

数日後、レンブラント姉妹は故郷ツィーゲに到着した。しかし、そこに広がっていたのは、彼女たちの記憶とはまるで異なる景色であった。街の中心部に続くレゾー通りこそ変わらなかったが、周囲の建物はほとんど新しいものに入れ替わり、人の数も大幅に増えていた。発展の勢いに圧倒されながらも、二人は執事のモリスと再会し、迎えられる。父レンブラントは急な商談で迎えに来られなかったものの、屋敷は以前と変わらぬままであると説明を受け、ようやく安堵した。

一方、レンブラントは真を訪ねてクズノハ商会へと訪問していた。
彼の隣には、レンブラントの妻、リサがいたがあの頃の面影しか知らない真はリサを姉妹の姉かと問うとリサは大喜びする。

直後、レンブラント邸からユーノが脱走したと報告があり、レンブラントは屋敷へ戻る。

その後、ライムとリサが対面してライムは以前の騒動の件を謝罪するが、リサは”心の底からは赦せないと”云う。
それにショックを受けたライムにリサは荒野に出てレンブラント商会に得をさせろと言って空気を変える。

冒険者ギルドの変化

屋敷を脱走したユーノは故郷の変化を確かめるため、単身で冒険者ギルドを訪れた。しかし、目の前には同じ看板を掲げた二つのギルドが並んでいた。混乱しながらも直感で左の建物に入った彼女は、すぐに異様な熱気と混雑に包まれる。そこは荒野専門のギルドであり、ユーノの目的とは異なる場所であったと気づき、改めてもう一つのギルドへ向かった。

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いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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