どんな本?
『盾の勇者の成り上がり 27』は、異世界ファンタジー小説である。主人公・岩谷尚文は、異世界に召喚された四聖勇者の一人であり、盾の勇者として数々の試練に立ち向かう。第27巻では、新たな敵との戦いや仲間との絆がさらに深まる物語が展開される。
主要キャラクター
• 岩谷尚文:盾の勇者。冷静沈着で仲間思いの青年。
• ラフタリア:尚文の最初の仲間であり、信頼できる剣士。
• フィーロ:尚文に仕えるフィロリアル・クイーン。明るく元気な性格。
物語の特徴
本作は、異世界召喚や勇者といった王道のファンタジー要素に加え、主人公が盾という攻撃手段を持たない武器で戦う点が特徴的である。また、仲間との深い絆や成長、逆境からの立ち直りといったテーマが読者の共感を呼ぶ。さらに、アニメ化や漫画化など多彩なメディア展開も行われている。
出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• 発売日:2025年2月21日
• ページ数:164
• ISBN:9784046844897
• 関連メディア:アニメ第3期が2023年秋に放送された。
読んだ本のタイトル
盾の勇者の成り上がり 27
英: The Rising of the Shield Hero
著者:藍屋球 氏
原作:アネコ ユサギ 氏
キャラクター原案:弥南せいら 氏
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あらすじ・内容
新たな刺客の登場に、四聖勇者に命の危機…!?
ほかの世界から、尚文たち四聖の命を狙う刺客が襲いかかる!驚異的な強さの前に、尚文は仲間を守り切れるのか!?
感想
異世界の侵略者と尚文の戦い
本巻では、新たに登場した異世界の敵が異質な存在として描かれている。彼らは世界を滅ぼすことで経験値や技能を得るという、まるでゲームのような理屈で行動していた。その無機質な目的意識は、尚文のように仲間を守りながら戦う者とは対極にある。命懸けで戦う者と、戦いを遊びのように捉える者。その価値観の違いに強い印象を受けた。
マーダーピエロの正体と尚文の決断
これまで謎めいた存在だったマーダーピエロことセインの正体が明らかになった。彼女は自身の世界を滅ぼされた生き残りであり、異世界をさまよっていたのだ。その背景を知った尚文は完全には信用しないまでも、協力関係を結ぶことを選んだ。尚文は慎重に判断しながらも、必要とあらば手を組む柔軟性を持っている。敵味方の線引きを単純に決めず、状況に応じた行動を取る姿勢が印象的であった。
仲間たちの成長と新たな戦力
本巻では、尚文の陣営においても戦力の底上げが進んでいた。リーシアとエクレールは修行を経て実戦に適応し、特にエクレールは変幻無双流を習得しつつあった。また、アトラは覚醒を遂げ、前線で戦えるほどの力を示した。その圧倒的な戦闘能力は、フォウルをも驚かせるほどであった。一方で、どれほど戦況が厳しくなっても、ラフちゃんの癒しの存在感は変わらない。戦闘が続く中で、彼の仕草や反応が場の空気を和らげる要素となっていた。
剣の勇者・錬の転落と尚文の苦悩
錬が盗賊の首領として暗躍している可能性が浮上し、尚文は彼の変貌に驚きを隠せなかった。さらに、錬の持つ剣がカースシリーズに属していると推測され、その力が彼を蝕んでいる可能性も示唆された。尚文はかつての仲間である錬を敵として認識せざるを得ず、その状況に苦悩する。元の世界から召喚された勇者たちが、望まぬ形で対立してしまう流れは、物語の大きな転換点となっている。
物語の新たな局面と今後の展開
異世界の侵略者、剣の勇者・錬の暴走、そして尚文陣営の成長。本巻は多くの要素が交錯し、物語が新たな局面へと進んでいることを感じさせた。特に、異世界の敵が「死に戻り」のような能力を持っていることが判明し、彼らを倒すことが容易ではないことが明らかになった。尚文はその脅威に立ち向かうため、勇者たちの保護を優先する決断を下したが、今後の戦いがさらに過酷になることは避けられないだろう。次巻以降、彼がどのような戦略を取るのかが気になるところである。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
一0九話 襲撃
元康の奇行と奴隷たちの反応
尚文たちは旅の途中で元康に三度目の襲撃を受けた。元康は転移スキルを利用し先回りし、空中を舞う姿を何度も晒していた。奴隷たちはその異様な光景に悲鳴を上げ、元康の振る舞いに恐怖を覚える者もいた。尚文は彼を説得する機会をうかがいながら、馬車を走らせていた。
道中での不審者との遭遇
山奥を進む最中、進路上に小柄な男が立ちはだかった。彼は尚文の馬車が盾の勇者のものであるかを確認すると、突然「死ね」と叫びながら魔法の弾を投げつけた。尚文は防御結界で攻撃を防いだが、魔法の弾は爆発し、馬車の屋根が吹き飛んだ。敵の実力を見極めながら、尚文はフィーロとともに迎撃に移った。
激しい戦闘と敵の実力
敵は剣を巧みに操り、フィーロの蹴りやラフタリアの斬撃を受け止めた。さらに、援護魔法を無効化する魔法を使い、ラフタリアの能力を低下させた。尚文は防御を固めつつ、仲間たちを支援したが、敵の魔法は速く、隕石を呼び寄せる攻撃まで繰り出した。尚文は即座に複数の盾を展開し、隕石の衝撃を受け止めた。
マーダーピエロの介入
戦闘が激化する中、突如としてマーダーピエロが現れ、敵の胸にハサミを突き立て、仕留めることに成功した。
謎の敵とマーダーピエロの正体
倒れた敵の遺体は淡い光を放ちながら消滅し、尚文はその異様な現象に驚いた。マーダーピエロは何かを説明しようとしたが、言葉がノイズ混じりで聞き取れなかった。彼女は尚文の肩に針を仕込み、監視していたことを明かした。それによって瞬時に駆けつけることが可能だったという。
マーダーピエロの過去と尚文の決断
マーダーピエロは自身が滅びた世界の生き残りであることを示唆し、その戦いの結果、各世界をさまよっていることを語った。尚文は彼女を完全には信用しなかったが、監視しつつ協力することを決めた。マーダーピエロは「セイン=ロック」と名乗り、尚文たちとともに行動することとなった。
セインの裁縫と村の警戒
セインは村の端で裁縫を始め、ぬいぐるみのようなものを作っていた。その様子を見ながら、尚文は元康、錬、樹の捜索が急務であると自覚していた。しかし、フィーロを執拗に追っていた元康すら行方不明になり、一週間が経過していた。異世界の敵による新たな襲撃に備え、村全体が警戒態勢を維持していた。さらに、尚文の領地内では盗賊が活発に活動しており、対処が必要な状況であった。
一一〇話 正式依頼
リーシアとエクレールの帰還
尚文が考え事をしながら歩いていると、修行に出ていたリーシアとエクレールが戻ってきた。二人はババアの指示で実戦経験を積むため、尚文の手伝いをすることになっていた。エクレールは表の変幻無双流を学び、リーシアは厳しい修行を経て少しずつ技を身につけていた。尚文は彼女たちの成長を評価しつつも、エクレールが領主代理の職務を疎かにしていることに呆れていた。
ラフタリアの実力と修行の課題
ラフタリアはグラスとの稽古の成果を活かし、スキルの強化を習得していた。しかし、眷属器の影響でエクレールやリーシアのような変幻無双流の技術は習得できなかった。尚文は彼女に修行を続けさせるべきか悩みつつも、目前に迫る戦いに備えなければならなかった。ババアも、ラフタリアが尚文の右腕としてさらに鍛錬を積む必要があると語っていた。
盗賊狩りと魔物討伐の計画
尚文は領地の治安向上を目的に、盗賊狩りと魔物討伐を計画していた。エクレールは本来その役割を担うべき立場であったが、尚文がその任務を引き受けることになった。彼はリーシア、エクレール、ラフタリア、フィーロを連れ、山間部での盗賊の活動を調査することにした。さらに、アトラとフォウルにも同行を命じた。
アトラの圧倒的な戦闘力
アトラは尚文の呼びかけに即座に応じたが、フォウルは彼女が前線に出ることに反対した。しかし、アトラはフォウルを軽く突き飛ばし、そのまま戦闘に参加した。彼女は変幻無双流の修行を受ける必要すらないほどの才能を持ち、レイザーバックの突進を指一本で止めた。そして、一撃で魔物を倒し、尚文を驚かせた。
盗賊狩りの開始とエクレールの葛藤
尚文は、魔物討伐を終えた後、本格的に盗賊狩りを開始することにした。彼は盗賊の財宝を領地の復興資金に充てるつもりであったが、エクレールはその行為に疑問を抱いていた。しかし、盗賊が奪った品の所有者を特定するのは困難であり、尚文は必要な処置だと説明した。エクレールは納得できない様子を見せながらも、最終的には尚文の判断を受け入れた。
一一二話 仮面の男
盗賊の捜索と部隊の編成
尚文たちは盗賊のアジトを探るため、山中で捜索を開始した。彼は仲間たちを二人一組に分け、フォウルとアトラ、ラフタリアとエクレール、フィーロとリーシアの組み合わせで探索を指示した。一方、尚文はラフちゃんを連れて一人で行動し、敵の習性に合わせた罠を張る作戦を取った。ラフちゃんは緊急時にラフタリアへ信号を送ることができるため、この作戦は有効と考えられた。
天木錬との遭遇
捜索を進める中、ラフちゃんが警報を鳴らし、突然現れた影が尚文を襲撃した。その正体は黒い仮面をつけた剣の勇者・天木錬であった。
錬は異様な雰囲気をまとい、尚文に向けてスキル「アサッシングソード」を放ったが、尚文の盾によって防がれた。続けざまに「ギロチン」というスキルを発動し、尚文を鎖で拘束しようとしたが、尚文は力尽くでそれを打ち破った。錬の攻撃は強力であったものの、尚文の防御を完全に突破するには至らなかった。
錬の逃走と盗賊の正体
ラフタリアが援護に駆けつけ、錬に斬りかかったが、錬は「転送剣」のスキルを使用してその場から姿を消した。尚文は、錬が盗賊の首領である可能性を疑い始めた。さらに、捕らえた盗賊の一人が、かつて錬自身が捕らえた者であることが判明した。盗賊は、一週間前に何者かに助けられ逃亡しており、その首謀者が錬である可能性が高まった。尚文は、錬の行動がヴィッチと関係しているのではないかと推測した。
カースシリーズの考察と錬の目的
尚文たちは錬の剣がカースシリーズであると確信したが、その正体については不明であった。憤怒の盾と同じく、七つの大罪に関連するものである可能性が高く、尚文は「暴食」「強欲」「傲慢」「虚飾」のいずれかではないかと推測した。特に、錬の行動からは経験値への執着が見られ、それが「暴食」の要素と一致すると考えられた。また、盗賊を使って財宝を集めている点から「強欲」の可能性も示唆された。
セインの協力と新たな異変
尚文は、マーダーピエロことセインに協力を求め、錬のスキルを封じる役割を任せた。セインは快諾し、盗賊のアジトへ向かった。しかし、その直後、セインが驚愕の表情で戻ってきた。彼女が指差す先には、以前にセインが殺したはずの男が仲間を引き連れ、再び姿を現していたのだった。
一一三話 異世界侵略のメリット
不死身の敵との遭遇
尚文たちは、かつてセインによって倒されたはずの男が生きていることに驚いた。男は身代わりか分身の魔法を使った可能性があったが、実態は不明であった。彼とその仲間である鎖鎌を持つ大男は、四聖勇者を狙い、盗賊のアジトを探していたところで尚文たちと遭遇した。彼らの目的は錬を殺すことにあったが、尚文たちが相手になった以上、戦闘は避けられなかった。
アトラの冷静な判断
アトラは敵の実力を瞬時に見抜き、フォウルに撤退を指示した。フォウルは尚文たちの戦いに加わろうとしたが、アトラは「今の私たちでは足手まといになる」と冷静に制止した。尚文もその判断を支持し、アトラとフォウルは捕らえた盗賊たちの安全を確保するため、戦線から離れた。
異世界からの侵略者
尚文は敵の目的を探るため、対話を試みた。相手が四聖勇者を狙う理由は伝承に関わるのではないかと推測したが、敵はあっさりと目的を明かした。それは「他世界を滅ぼすことで経験値と技能を得る」というものだった。彼らは、異世界を破壊することで強くなれるシステムを利用し、意図的に侵略を繰り返していた。そして、彼らは自らの世界こそが「最強の世界」であると誇示し、尚文たちを見下していた。
戦闘の開始と敵の強さ
敵は戦闘を開始し、小柄な男がシャムシールを手に尚文に襲いかかった。しかし、ラフタリアとエクレールが迎撃し、一撃を阻止した。小柄な男は爆裂魔法を発動し、爆風でラフタリアとエクレールを吹き飛ばした。一方、大柄な男は鎖鎌を自在に操り、フィーロやリーシアと交戦。フィーロの蹴りが決まるかと思われたが、男は「アブソリュートシールド」と呼ばれる防御スキルを使用し、攻撃を完全に吸収した。
巧妙な防御と戦術の応酬
尚文は味方に援護魔法を掛け、フィーロとリーシアが敵の防御を突破できるよう支援した。フィーロは隠し持っていたモーニングスターを投擲し、リーシアのナイフと共に敵の障壁を破った。ラフタリアはその隙に「瞬刀・霞一文字」で小柄な男を斬ろうとしたが、大柄な男が身を挺して庇い、攻撃を防いだ。
敵の撤退と不穏な兆し
セインは敵の転移を妨害するため、糸で二人を拘束しようとした。しかし、小柄な男は魔法で糸を断ち切り、「転位光」を発動して姿を消した。尚文たちは悔しさを滲ませながらも、彼らの脅威を再確認した。敵は四聖勇者を狙い、さらに成長を遂げようとしている。そして、彼らには不死のような特性がある可能性が高く、その対策が急務となった。
勇者たちの保護
尚文は、まず三勇者の保護を最優先すべきと判断した。敵が成長する前に迎え撃たねば、状況はさらに悪化する可能性があった。
突然の異変と仲間たちの混乱
突如として衝撃のようなものが通り過ぎ、尚文たちの周囲で異変が起こった。ラフタリアやフィーロが違和感を訴え、特にフィーロは血走った目で尚文を見つめていた。ラフちゃんがフィーロの頬を蹴ると、彼女は正気を取り戻し、何事もなかったような態度に戻った。
元康と錬の対峙
尚文たちが現場に到着すると、元康が錬と鍔迫り合いをしていた。元康は「お義父さん」と呼びながら尚文に手を振り、錬の捕獲を試みていた。どうやら、彼は盗賊のアジトで隠れていたらしく、尚文たちより先に錬を見つけ、追い詰めていたのだ。錬は転移スキルで逃げようとしたが、なぜかスキルが発動せず、元康が「テンプテーションの力」によって封じていたことが判明した。
同シリーズ
盾の勇者の成り上がり
漫画版


























小説版

その他フィクション

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