小説「あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 4 (マリエルート)」感想・ネタバレ

小説「あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 4 (マリエルート)」感想・ネタバレ

どんな本?


『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 4』は、異世界の乙女ゲームの世界に転生した主人公リオンが、婚約者マリエと共に波乱に満ちた学園生活や政治的陰謀に立ち向かう物語である。
本巻では、聖女の怨念に取り憑かれたオリヴィアがホルファート王国を滅ぼそうと暗躍する一方、リオンたちは進級のため学園のダンジョン攻略を進めている。

本作は、乙女ゲームの典型的な設定を逆手に取り、男性キャラクターが強い立場で描かれるユーモアと皮肉が魅力である。リオンが婚約者マリエと共にダンジョン攻略に挑む姿や、オリヴィアの謎めいた行動が絡む複雑なストーリーが見どころとなっている。また、ジルクとクラリスの微妙な関係や、リオンの兄ニックスの領地経営といった要素も含まれており、物語に多層的な深みを加えている。

このシリーズは、乙女ゲームの世界を舞台にしながらも、主人公リオンが冷静かつ皮肉を交えた視点で事態を見守る独自のアプローチが特徴である。
緊張感とユーモアが絶妙に融合したストーリー展開が続き、ゲーム的な世界観を巧みに利用した新鮮な冒険が楽しめる作品である。

読んだ本のタイトル

あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です  4
#乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 外伝)
著者:#三嶋与夢 氏
イラスト:#悠井もげ 氏
キャラクター原案:#孟達

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あらすじ・内容

あの“マリエルート”まさかの書籍化!
大人気「モブせか」公式スピンオフ始動


「……どうして、こんなことになったのかしら」

オリヴィアの体を乗っ取った聖女の怨念はついに行動を開始。
ユリウスたちの庇護欲を的確にかき立てることで、ダンジョンでオリヴィアを縦穴に放り込んだ生徒たちを退学処分にまで追い込んでいく。
自身の派閥から退学者が出るという異例の事態にアンジェリカはユリウスたちとの対話を試みるが、五人に囲まれたオリヴィアの姿に感情が制御出来なくなってしまう。
一方、いざこざを知らないリオンとマリエは進級課題をクリアするためにダンジョン攻略を進めるのだが……? 
水面下で進行する復讐と絡み合う悪意、王国の行く末には暗雲が立ち込めていた――。

あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 4

感想


『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 4』【マリエルート】は、リオンとマリエが婚約したifの物語である。
聖女の怨念に取り憑かれたオリヴィアが、ホルファート王国の崩壊を目論む中、リオンとマリエは進級のためにダンジョン攻略に挑んでいた。

一方、オリヴィアに夢中にな五馬鹿たちや、それに振り回されるアンジェリカとクラリスが物語に複雑な感情とドラマを加えていた。

ファンオース公国が所有する魔笛を奪取したリオンは、自領が滅びないと確信した中でホルファート国の危機を外野から眺めつつ、微妙に関わり続けるという独特の立ち位置を保っていた。

今巻の中心は、ジルクとクラリスの関係に焦点が当てられ、ジルクの残念な一面――味音痴で審美眼が怪しい陰謀家――が描かれていた。
このユーモラスな描写が物語に軽快さをもたらしつつ、領地貴族と王家直属の貴族との軋轢を描く。
また、リオンの兄ニックス(首輪付き)が、ローズブレイド家の後ろ盾を得て子爵となり、領地経営に取り組む姿も描かれており、家族の物語も深みを増していた。

ダンジョン攻略の場面では、リオンとマリエは、マリエの友人3人の進級ため多くの貧乏貴族の男子達を巻き込んで攻略を進めていく姿が描かれていた。
一方で、オリヴィアが聖女の怨念に飲まれていく様子は、物語に暗い影を落とし、今後の展開に不安を感じさせる。
現在はリオンが外から冷静に状況を見守る姿は彼らしいが、次第に物語の核心に関わるようになっていくのが興味深い。

この巻は、リオンたちの日常と王家の地盤が崩れて行く物語が交錯し、ジルクとクラリス、ユリウスとアンジェリカの複雑な関係が描かれることで物語に一層の厚みが加わっていた。
特に、キャラクターたちの個性的な一面が強調され、彼らの成長と葛藤が描かれる点が印象的であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

ファンオース公国の王城にて、姉妹であるヘルトルーデとヘルトラウダは二人きりで過ごしていた。ラウダは姉のルーデに対し、公国の真実を知ったことを打ち明けた。ラウダは、これまで信じ込まされていた歴史が公国に都合の良いものだけであり、真実が隠されていたことを知って衝撃を受けた。

ラウダはルーデに対してその真実を共有しようとしたが、ルーデは彼女の話に興味を示さなかった。ラウダが語った事実に対して、ルーデは冷たく「愚かだ」と言い放ち、ラウダを拒絶した。さらには、ラウダが持ってきた本を暖炉に投げ込み、燃やしてしまった。

ラウダはその行為に対し泣き叫んだが、ルーデは冷淡な態度を崩さず、使用人たちが入ってくる中でラウダを突き放した。そして、「私たちが教えられた歴史が真実であり、それ以外を事実と認めるなら家族の縁を切る」と告げ、部屋を去った。

ラウダは姉に裏切られたと感じ、悲しみに暮れたが、ルーデは一度も振り返らなかった。

ファンオース公国の王城には、伯爵ゲラットのために豪奢な私室が用意されていた。彼は日々、自慢のカイゼル髭の手入れを欠かさず、仕事よりも髭の手入れを優先していた。私室には彼が狩猟した獣の剥製や高級家具が並んでおり、ゲラットはその環境に満足していた。

彼は外国に派遣した密偵たちからの報告書を読みながら、魔笛を失ったことが公国にとって痛手であると考えていた。魔笛は数千から数万のモンスターを操り、さらには使用者の命と引き換えに巨大なモンスターを召喚できる力を持っていた。この魔笛を使って過去に敵国を撃退した記録が残されていたが、ゲラットには王家に対する忠誠心がなかったため、王族を兵器として利用することに躊躇いがなかった。

ゲラットは魔笛を失ったことを嘆きつつも、現在の現実に目を向けるべきだと考え、ホルファート王国から届いた手紙に興味を抱いていた。彼はその手紙が今後の大きな火種になるかもしれないと期待しており、楽しみにしていた。

第 01話  「食事会」

冬期休暇も終わりに近づき、新学期が迫っていた。リオン・フォウ・バルトファルトは旧オフリー伯爵領、現在のバルトファルト子爵家の領地に滞在していた。新体制下で領内統治の準備が進められ、リオンの兄であるニックス・フォウ・バルトファルトが新領主として奮闘していた。

ニックスは家族思いの兄であり、忙しい中でもリオンと婚約者のマリエ・フォウ・ラーファンを夕食に招いた。リオンは、ニックスが有力者との関係改善に努めるべきだと助言したが、ニックスはリオンに皮肉を込めた感謝を述べ、兄弟間の軽口が飛び交った。ニックスは新しい領主としての重責を感じていたが、彼の妻ドロテア・フォウ・ローズブレイドがその不安を和らげ、彼を支えると約束していた。

夕食の席では、マリエが煮込み料理に夢中になっていた。彼女はラーファン家での過酷な過去を語り、幼少期に食糧確保のために野草を食べ、やがて狩猟を学んでリスなどの動物を捕まえながら生き延びたことを明かした。その過酷な生活に同情したドロテアは、涙を流しながら彼女に肉料理を振る舞った。

リオンは、マリエの強靭な精神力に驚かされつつ、彼女を幸せにしたいと再確認した。彼は、彼女の過去がどれだけ困難であろうと、今後はその話を避け、彼女を守り抜くことを決意した。

第 02話  「三学期を前に」

ローズブレイド家での夕食を終えた後、マリエは客室に戻り満腹状態でベッドに飛び込んでいた。彼女が堂々とお腹を見せて寝転んでいる姿に、リオンは彼女が自分を男性として見ていないと感じ、少し悲しくなった。ドロテアがマリエの話に涙を流したことに驚きつつも、マリエは彼女を涙もろい人物だと感じていた。

リオンとマリエは、今後のことについて話し始めた。リオンは、乙女ゲームのシナリオにおいて三学期に大きなイベントはないと述べたが、マリエはそれでもオリヴィアの運命が国に影響を与えるかもしれないと考えていた。しかし、リオンはすでにラスボスの魔笛を回収したため、ホルファート王国の危機は回避され、ファンオース公国が戦争を仕掛けることはないと楽観視していた。

話が進む中で、マリエはオリヴィアの恋愛事情に興味を示し、複数の男性と同時に付き合うオリヴィアに対して疑念を抱いていた。しかし、リオンは彼女のそんな話に興味を持たず、女性には夢を見ていたいと語った。マリエは、ルクシオンにオリヴィアたちの関係を監視させて楽しむ計画を立てていたが、ルクシオンは現在、聖女の思念体の調査に集中していた。

そして、リオンは進級に必要な課題をまだ終わらせていないことを思い出し、マリエと共に焦ることとなった。ダンジョン攻略が終わっていない状況に、二人は留年の危機に直面していたのである。

学園の医務室のドアが勢いよく開けられ、息を切らした貴公子たちが入ってきた。ベッドに横たわっていたオリヴィアは、彼らに笑顔を向けて上半身を起こした。手脚に包帯を巻いた痛々しい姿であったが、ユリウス・ラファ・ホルファートとジルク・フィア・マーモリアが見舞いに訪れたことに喜んでいた。

ユリウスはオリヴィアの手を握り、彼女の無事を確認して涙ぐんでいた。ジルクもまた、オリヴィアの無事に安堵していたが、ダンジョン内での事故に疑念を抱いていた。彼はオリヴィアが優秀な回復魔法使いであることを知っており、医務室に運ばれるほどの怪我を負ったことに不審を抱いた。

オリヴィアは彼らの優しさに感謝しつつも、彼女の体には聖女アンの思念体が宿っていた。アンはホルファート王国を恨み、復讐を企んでいた。オリヴィアの姿を借りて、彼女はユリウスたちに泣きながら事情を説明し、ダンジョン内で襲撃されたことを語った。ユリウスとジルクは激しい怒りを抱き、犯人たちを追及しようと決意した。

しかし、アンは内心で彼らの言葉を嘲笑し、復讐の計画を進めていた。オリヴィアの姿のまま、アンは彼らの先祖に対する憎しみを燃やし、復讐の第一歩としてジルクを狙っていた。

第 03話  「冒険者の末裔たち」

ホルファート王国では、貴族たちの祖先が冒険者であったことから、冒険者という職業が非常に尊敬されていた。学園に入学する生徒たちも冒険者として登録し、授業や課題としてダンジョン攻略に挑むことが求められていた。ダンジョンは魔石や鉱石を産出する重要な資源地であり、課題の未達成は留年の危機を招くため、多くの生徒にとって避けられない問題であった。

リオンとマリエも例外ではなく、彼らもまたダンジョン攻略の課題に直面していた。冬期休暇中に攻略する予定だったが忙しくて実行できず、三学期中に達成しなければ留年の危機に立たされることを自覚していた。リオンはルクシオンの助けを借りて短時間で達成できると楽観していたが、マリエは友人たちのことを心配していた。シンシア、エリー、ベティという問題児たちは、授業にもほとんど参加せず、ダンジョン攻略にも意欲を見せていなかった。

マリエは、友人たちが留年してしまうことを危惧し、彼女たちと共に進級することを望んでいた。彼女たちは過去にマリエを助けた経験があり、それが理由でマリエは彼女たちを見捨てられなかったのである。リオンもまた、友人たちを進級させるために何とか協力する決意をしたが、シンシアたちのやる気のなさが最大の障害であった。

そんな中、リオンとマリエは放課後の教室でオリヴィアと貴公子たちが仲良く過ごしている姿を見て、二人の恋愛模様に対して複雑な感情を抱いていた。しかし、最終的にはリオンがマリエに対してふざけた言動を取った結果、彼女に痛い一撃を受けながらも、二人は恋愛方面が順調であることに安堵した。

リオンは男子寮で友人のレイモンドとダニエルに三人の女子生徒が退学になる可能性があることを話した。女性に優しいホルファート王国でも、学園を卒業できなければ貴族としての地位を失い、結婚対象からも外れてしまうため、二人はこの問題に大きく動揺していた。

リオンは、三人がやる気を見せず、強引にダンジョン攻略に参加させることが危険だと説明したが、ダニエルとレイモンドはリオンに解決策を求め続けた。二人はリオンの「卑怯な手段」を期待しており、リオンが拗ねると、彼らはグループの仲間を集めるために部屋を出て行った。

彼らの熱意に驚いたリオンは、思いがけず大きな支援を得られそうなことに気づき、これならば三人の退学を防ぐための力を集められると考えた。リオンは計画が順調に進むことを願いつつ、ダンジョン攻略が無事に終わることを望んでいた。

数日後、リオンたちは王都のダンジョン入口に集まっていた。男子生徒たちは、マリエの友人たちが退学にならないように必死になっており、特に三年生のルクル先輩が大声で激を飛ばしていた。彼らは婚活を意識し、ダンジョン攻略を女子生徒へのアピールの場として捉えていたため、異常な熱気に包まれていた。

リオンはマリエに、仲間たちがどうやってこれほど協力的になったのかと問われ、退学の危機を訴えた結果、彼らが素直に協力してくれたことを説明した。しかし、その熱意が空回りしないかとマリエは心配していた。

リオンはリーダー役を避けようとしていたが、ルクル先輩は男子生徒たちの間でリーダーを巡って争いが起こることを防ぐため、リオンにリーダーを任せることを決定していた。婚約者のいるリオンが、他の女子生徒にアピールする必要がないため、彼にリーダーを押し付けることが男子たちにとっても都合がよかったのである。

渋々リーダーを引き受けたリオンは、婚活に燃える男子生徒たちの扱いに不安を抱きつつ、マリエや三人の女子生徒たちを守りながらダンジョン攻略に挑むことになった。マリエも不安を抱えながら、シンシアたちの実力が未知数であることに疑念を抱いていたため、リオンは彼女たちの護衛を増やすことを決意した。

第 04話  「蠢動」

マリエたちがダンジョン攻略に向かっている頃、ブリタは仲良しの三人組と学園の食堂で昼食を取っていた。彼女たちは、マリエがダンジョン攻略のために授業を休んでいることについて話していたが、その際に彼女の世話好きな性格を指摘していた。特に、シンシアたち問題児三人組に対して、教師すら見放している中でマリエだけが世話を焼いていることが話題になった。

食事をしていると、食堂内が急に騒がしくなり、男子生徒が「退学処分が言い渡され、誰かが学園を追い出された」と大声で叫んでいた。ブリタと友人たちは、そんな噂は聞いたことがなく、驚いていた。通常、退学処分は慎重に行われ、噂が広がるのが普通だったため、この急な事態に彼女たちは混乱していた。

ブリタは、何か大きな事件が起こったのではないかと考え始めたが、ステファニーの騒動以上の出来事がない限り、急な退学処分は考えにくいと述べた。しかし、誰が退学になったのかは依然不明であり、新たな情報を持って駆け込んできた生徒を待つことにした。

アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブは、派閥に所属する貴族の子弟たちが退学処分を受けたことに動揺していた。彼女は取り巻きたちに事態の調査を命じ、自らも学園の職員に詳細を確認しに行った。教師から、今回の退学処分が王太子ユリウスの指示によるもので、ダンジョン内での殺人未遂が理由であることを聞かされた。証拠も揃っており、退学処分が妥当であると説明されたが、アンジェリカはその決定が急すぎると感じていた。

アンジェリカは退学処分が確定した生徒たちの愚行に憤りを覚え、同じ派閥に所属する者としての責任が重くのしかかっていた。学園内での評判が傷つくことを恐れながらも、彼女は自分の立場を守るため、事態の収拾に努めようとしていた。

オリヴィアの姿を借りているアンは、オリヴィアを殺害しようとした生徒たちが退学処分を受けたことを知らされた。彼女は自室で読書をしていたが、歴史書に不満を抱き、それを床に投げ捨てた。その後、エルフの専属使用人カイルが部屋に入ってきたが、彼の無礼な態度に対してアンは怒りを表に出し、強く叱責した。カイルは謝罪して部屋を去ったが、アンは彼の処遇をどうするか悩んでいた。その最中、オリヴィアの意識がまだ抵抗していることに気づき、手の震えを見て不満を漏らしたが、最終的にカイルを処分しないと決めた。ただし、彼を再び躾ける必要があると感じていた。

リオンたちがダンジョンに挑んでいる間、ルクシオンは聖女の思念体の調査を行っていた。思念体はルクシオンの移民船内で厳重に閉じ込められていたが、ルクシオンはその記憶を探ろうと質問を繰り返していた。思念体は抵抗し、過去についての質問に答えることを拒否し続けたが、ルクシオンは電流を流す装置を使って無慈悲に拷問を加えた。思念体は「リーアをこの場に連れてこい」と要求したが、ルクシオンはその要求を拒否し、再度過去についての情報を求め続けた。思念体は屈することなく挑戦的な態度を取り続けたが、ルクシオンは諦めることなく、思念体が話すまで攻撃を続ける決意を示していた。この拷問と質問の応酬は終わることなく続いた。

第 05話  「リオンとマリエのダンジョン攻略」

リオンたちの一行は、王都のダンジョン攻略を順調に進めていた。序盤の坑道は整備されており、魔石の光のおかげで明るく、比較的移動が容易であった。リオンはリーダーとして進行ルートを指示し、男子生徒たちは少々気を抜いていた。彼らは護衛を担当しながら、女子生徒たちにアピールしたいと考えていたが、マリエは男子たちの軽薄な発言に不満を抱いていた。

三年生が先頭を歩き、経験豊富な彼らに守られていることで、男子たちは安心しきっていた。しかし、マリエは油断を戒め、危険を軽視しないよう忠告していた。リオンたち一年生のグループは、普段から王都のダンジョン中層で活動し、生活費を稼ぐためにダンジョン攻略をしていたため、ある程度の経験を持っていたが、三年生に比べればまだ未熟であった。

進行中、モンスターの気配を感じたルクル先輩から進路を迂回するか直進するかを問われ、男子たちはモンスターを倒して女子にアピールするため、直進を希望した。リオンは彼らの希望を受け入れ、一年生たちがモンスターと戦う機会を与えることにした。

男子たちは女子生徒にアピールすることを熱望し、そのために全力を尽くす姿勢を見せた。リオンは彼らの情熱に応えつつ、マリエとの会話で彼女の過去の行動や友人関係について少々からかったが、結果としてマリエに小石を投げられることとなった。

一年生たちは武器を手にし、モンスターの集団がいる部屋に突入しようとしていた。上級生たちは余裕の態度で見守り、危険があれば助けるつもりでいた。ダニエルは上級生の態度に不満を漏らし、リオンも冷静に受け止めつつ、負け組扱いされることに耐えていた。しかし、リオンがつい本音を漏らすと、仲間たちから冷たい視線を浴びせられた。

その後、リオンは突入の合図を出し、前衛の男子たちが一斉に部屋に突入。モンスターたちに襲いかかり、戦いが始まった。ダニエルは勢いよく戦いに挑むも、すぐに囲まれそうになり、リオンとレイモンドがフォローに回った。レイモンドは無計画な突撃に不満を漏らすが、リオンはフォローに徹するよう促した。

リオンは自分の立場を考え、他の男子たちが目立つ大物モンスターと戦う間、回り込むモンスターを地道に処理していた。彼はリーダーとして自らも戦闘に参加し、仲間たちが活躍できるよう後方から支援していた。ダニエルはリオンの声掛けに対し、大声で返事をし、戦いは続いていた。

一年生男子たちがダンジョンで戦う姿を見守っていたマリエは、リオンの行動に不満を抱いていた。リーダーでありながら指示を出さず、小物のモンスターばかり相手にしているリオンが、マリエのリーダー像とはかけ離れていたからである。しかし、上級生たちはリオンの戦いぶりを高く評価していた。彼が集団の戦いやすさを優先して動いている姿に感心していたのである。

マリエの隣にいたシンシアも、リオンの立ち回りを冷静に評価していた。彼は自ら目立たず、周囲の活躍を支えているという見方をしていたが、シンシアはリオンが真面目に取り組めば、さらに上を目指せたはずだと感じていた。しかし、マリエはリオンが現状維持を好むタイプで、野心や上昇志向がないと理解していた。

シンシアはリオンの振る舞いを褒め、マリエに「いい男を捕まえた」とからかったが、マリエはその言い方に反発し、リオンから告白されたことを強調した。二人は軽く言い合いをしながらも、男子たちの必死なアピールを見守り続けたが、シンシアは特に興味を示す男子はいないと答え、マリエをからかい続けた。

モンスター討伐が終わり、マリエたちが部屋に入ってきた。リオンが壁際で休んでいると、マリエは飲み物を手渡しながら、彼の戦いぶりに不満を抱いていた。リオンは目立ちすぎないように小物のモンスターを相手にしていたが、それが気に入らなかったようである。リオンは、あまり目立つと他の連中に恨まれるため、控えめに戦うのが正解だと説明したが、マリエは不満げな表情を浮かべていた。

話題が変わり、マリエはダンジョン攻略の進捗について尋ねた。リオンはまだ一年生の課題すら終わっておらず、しばらくダンジョンに籠ることになるだろうと答えた。ルクシオンに手伝いを頼んだものの、忙しいという理由で断られ、自力でダンジョンを攻略することを決意した。

マリエは不満そうにしていたが、リオンは周囲の人々も自分の力で頑張っているのだから、自分たちも同様に努力すべきだと話し、例外があることを気にするなとマリエを励ました。

第 06話  「悲劇のヒロイン」

アンジェリカは、退学させられた生徒の一人に会うため、休日に王都の貴族の屋敷を訪問した。彼女は派閥の重鎮から頼まれ、その貴族の娘の言い分を聞くために出向いたのである。

応接室で女子生徒と向かい合ったアンジェリカは、彼女がダンジョン内で悪質な行為を行ったことを非難した。しかし、女子生徒は視線を逸らし、自分の行動を正当化し始めた。彼女は、自分たち貴族と平民は違うと主張し、王太子を誑かすオリヴィアを排除しようとした行為は正当であり、退学処分は酷すぎると訴えた。そして、復学のためにアンジェリカの助力を求めた。

アンジェリカは一瞬同情したが、女子生徒が越えてはならない一線を踏み越えたことを理解しており、助ける気にはなれなかった。彼女は、女子生徒に反省を促し、そのまま席を立った。女子生徒がすがりついてきたが、アンジェリカは「自業自得だ」と言い残して立ち去った。後ろでは女子生徒の泣き声が響いていた。

アンジェリカは、退学処分となった生徒に関する報告のため、王都にあるレッドグレイブ家の屋敷を訪問した。彼女は、派閥の重鎮である貴族からの依頼で、その貴族の娘の言い分を聞くために出向いたが、思わぬ批判を受けることになった。

兄のギルバートは、アンジェリカの行動を失態と判断した。退学者の行動を庇う必要はないが、父親が娘を復学させたいと願っていることを理解し、もっと上手く対応するべきだったと指摘した。アンジェリカは自分に権限がないと反論したが、ギルバートは形だけでも同情を示し、抗議する姿勢を見せるべきだったと説いた。

アンジェリカはユリウス王太子との対立を恐れていたが、ギルバートは形ばかりの抗議で良いと助言し、ユリウスと話す機会を持つよう勧めた。ギルバートの言葉に少し救われたアンジェリカは、兄の助言に従い、王太子との話し合いを決意した。

アンジェリカは、ユリウスと話し合うために学園の一室を借り、面会の場を設けた。しかし、ユリウスは仲間全員を連れて現れ、アンジェリカの思惑とは異なる展開となった。話し合いの中で、アンジェリカは退学処分が性急すぎたことを指摘し、ユリウスに注意を促そうとしたが、オリヴィアが突然泣き出し、平民であることへの差別的な扱いを訴えた。これにより、アンジェリカの感情が揺さぶられ、怒りが爆発してしまった。

ユリウスはアンジェリカの態度に失望し、彼女を責めながらオリヴィアを庇う立場を強調した。ユリウスは、学園でのオリヴィアの安全を優先し、退学処分が正しい決断であったと断言した。アンジェリカはユリウスに対する信頼を取り戻そうとしたが、彼はすでにオリヴィアを守ることに固執していた。

最後に、ユリウスの乳兄弟であるジルクは、アンジェリカに対して、学園生活の間はユリウスと距離を置くよう求めた。ジルクは、ユリウスがオリヴィアとの学園生活を楽しむことを望んでいると伝え、アンジェリカにとっての未来の結婚相手が今は彼女を避けているという現実を突きつけた。アンジェリカはその場で涙を流し、深い悲しみの中で一人残された。

マリエがダンジョン内で巨大な蜘蛛の巣に捕らわれ、仲間たちは彼女を救出しようと必死に戦った。ルクル先輩たちも苦戦する中、エリーが強力な魔法「サウザンドアロー」を放ち、蜘蛛を倒し、巣を破壊した。マリエは無事救出されたが、助け方に不満を漏らしつつも命拾いしたことを喜んだ。エリーの実力に男子たちは驚き、彼女を称賛したが、マリエはエリーが普段からその実力を発揮してほしいと感じていた。また、ベティがモンスターの糸を溶かす薬を持っていたことにも驚き、マリエは自分の友達の意外な実力に目を見張ったが、普段からもっと頼りにしたいと考えていた。

第 07話  「アトリー家のご令嬢」

アンジェリカがユリウスへの忠言をしたが受け入れられず、その噂が学園中に広まったことで彼女の立場はさらに悪化した。廊下では男子生徒二人がアンジェリカの失態について話し、彼女の地位が崩れることでオリヴィアに媚を売るべきだと考えるようになった。そんな彼らの前に、宮廷貴族のクラリス・アトリーが現れ、場所を考えろと穏やかに忠告した。クラリスはアンジェリカの問題に関わることを避けたが、彼女の婚約者ジルクが特待生と親しくしているため無視できなくなり、最終的にはアンジェリカに話を通し、問題に関与する決意を固めた。クラリスはアンジェリカが激情家であることを理解しつつ、彼女の面子を尊重しながら行動することにした。

アンジェリカたちはダンジョンの中層で強敵に遭遇したが、男子生徒たちはモンスターに苦戦していた。撤退を考えたリオンに対し、マリエは諦めず自らモンスターに立ち向かうことを決意した。彼女は巨大な熊のモンスターに魔力を込めた拳で攻撃し、驚異的な力で熊を倒し、さらに尻尾の蛇も引きちぎってしまった。マリエの圧倒的な強さに感服した男子生徒たちは彼女を「姉御」と呼び始め、彼女の指示に従ってモンスターを討伐した。リオンはリーダーであるはずなのに役割を奪われたように感じ、シンシアに慰められていた。

オリヴィアはユリウスたちと堂々と過ごすようになり、周囲からの嫉妬や憎悪を受けつつも、それらを利用して挑発を続けていた。しかし、ジルクが選んだお茶やお菓子が酷すぎて、オリヴィアはそれに苦しんでいた。ユリウスたちもジルクの趣味に付き合う必要はないと諭すが、ジルクは自分の選択に自信を持ち続けていた。

その場にクラリスが現れ、ジルクとの婚約を示すような発言をし、オリヴィアに対しても婚約者のいる男性と過度に親しくしないよう警告した。オリヴィアは、クラリスの冷静で強い性格と洞察力に警戒しつつも、ジルクへの感情を疑いながら冷静に彼女を分析していた。

クラリスが公然とジルクに忠告した出来事は、瞬く間に学園中に広まり、彼女の評判は一気に上がった。一方でアンジェリカの評判はさらに悪化し、彼女が解決できなかった問題をクラリスが片付けたように見えたため、生徒たちからの信頼を失っていた。アンジェリカ自身もクラリスの手腕を評価しながらも、自分にはできなかったことに悔しさを感じていた。

その後、アンジェリカは校舎の渡り廊下で、ダンジョン攻略から戻ってきたリオンとマリエの楽しげな様子を目にした。彼らの明るい日常会話がアンジェリカには眩しく映り、ユリウスと同じような関係を築けなかった自分を情けなく感じていた。彼女は内心、彼らの関係を羨ましく思いながら、顔を背けて歩き去った。

第 08話  「宮廷貴族と領主貴族」

マリエはダンジョン攻略から戻り、学園でオリヴィアがジルクと二年生のクラリスとの間で三角関係になっているという噂を聞いて驚いていた。ブリタたちからの話では、オリヴィアがクラリスに婚約者であるジルクと親しくするなと公然と注意されたとのことで、この出来事は学園中で話題となっていた。オリヴィアは一時的に大人しくなったものの、裏ではクラリスから圧力をかけられていたという噂も流れていた。

また、オリヴィアがジルクに絞っていないとの話にマリエは驚き、彼女がまだ貴公子たち全員と接触していることを知った。これに対してマリエは、オリヴィアが急に恋愛に目覚めたかのような印象を持ち、彼女の行動を調査する必要性を感じていた。マリエはリオンに頼んで、ルクシオンの力を借りて状況を詳しく調べようと考えていた。

マリエはオリヴィアの恋愛事情が気になり、リオンにルクシオンの協力を頼むよう説得した。リオンは乗り気ではなかったが、マリエの熱意に押されてルクシオンに連絡を取った。しかし、ルクシオンは「オリヴィアの恋愛が国に影響しない」という理由で協力を拒否し、代わりに調査道具を用意することを提案して通信を切った。この結果、マリエは不満を感じつつも、リオンと共に自力で調査することを決意した。

ルクシオンは、リオンからの低優先度の依頼を断った後、捕らえた思念体への尋問を再開した。思念体はリオンを「リーア」と誤認し、再び彼に会いたいと懇願していた。ルクシオンは思念体の持つ情報に興味を持ち、尋問を続けることを決めた。思念体は、自分が「リーア」に会えるなら全ての情報を提供すると提案し、ルクシオンはこれを受け入れた。そして、ルクシオンが新人類の兵器に関する映像を見せると、思念体はその一つに反応し、自分たちが手に入れた魔装に似ていると語った。ルクシオンは詳細な情報を引き出すため、さらに尋問を続けた。

マリエはルクシオンの力を借りられなかったものの、自分たちの力で調査を続けると決心した。彼女はルクシオンが提供した高性能な道具を使おうとしたが、リオンが「盗撮」にあたるとして反対し、最終的に道具を使用することを断念した。代わりに、噂を直接聞き回ることにし、二人は街に出ることにした。

マリエは情報通の女子たちに接触しようとしたが、リオンのナンパ風のアプローチは失敗しかけた。マリエが話に割り込み、クラリスに関する噂を確認しようとしたが、女子たちはクラリスの裏での行動を否定し、彼女を信頼していた。噂が食い違うことに気づいたリオンは、さらに詳しく調べる必要があると判断し、親戚に話を聞くことを提案した。マリエはこれに嫌そうな顔を見せたが、調査を進めることにした。

第 09話  「卒業式の後」

リオンとマリエは、クラリス先輩に関する噂の真相を探るため、ディアドリー先輩を訪ねた。ディアドリー先輩は、卒業パーティーのためにドレスを準備していたが、リオンたちの質問に快く応じ、クラリスに直接会わせることを約束した。アトリー家の屋敷に到着したリオンたちは、クラリス先輩と面会した。クラリス先輩は、噂されている陰湿な行為を否定し、特待生に対する嫌がらせは事実無根だと主張した。彼女はジルクとの船旅を計画しており、その準備に忙しい様子だった。ディアドリー先輩もクラリスの一途さに驚きながらも、二人はアンジェリカとも話し合いを持つことを提案した。

クラリス先輩は、ジルクへの強い思いを抱きながらも、アンジェリカに対しても直接話をする意向を示していた。一方で、マリエはクラリス先輩に対して複雑な感情を抱いている様子であった。

面会が終わり、リオンとマリエは学園へ戻る途中、クラリス先輩の印象について話していた。マリエはクラリスが重い性格だと感じ、一途な愛が過剰であると指摘した。一方、リオンはクラリスの献身を肯定的に捉えたが、二人の見解は分かれた。また、陰湿な噂についても調査を進めるが、クラリス先輩が嫌がらせをしているとは考えにくいと結論づけた。

その後、ジルクはユリウスにクラリスの旅行計画について相談し、ユリウスはジルクを助けることを約束した。ジルクはクラリスの過剰な愛情表現に対し、彼女から距離を置きたいと感じていたが、その思いを隠し、ユリウスに上手く立ち回った。

一方で、オリヴィアは不穏な動きを見せ、奴隷商館に噂を流させるなど暗躍していた。カイルはオリヴィアの指示に従うも、何をやらされているのか理解できず、不安を抱いていた。オリヴィアは無表情で彼を諭し、秘密裏に進めている計画を匂わせた。

学園で卒業式が行われた後、三学年合同のパーティーが開催された。リオンはマリエと共にパーティーに参加し、そこで兄のニックスと話をしていた。ニックスは出世したことで周囲からの注目を浴びていたが、それに戸惑っていた。マリエは食事を楽しみながら友人たちと過ごし、パーティーの雰囲気を楽しんでいた。

その場でディアドリー先輩と再会し、彼女の卒業を祝ったが、突如としてクラリス先輩がアンジェリカに平手打ちを見舞う場面に遭遇した。クラリス先輩は、専属使用人に関する噂が流されたことに激怒していたが、その怒りは異常に過剰で、周囲に疑念を抱かせた。アンジェリカは反論せず、ただ俯いていた。

リオンとマリエは、この事件により生徒たちが二分されたことに気づき、事態が悪化するのを感じ取った。そこへジルクが現れ、クラリス先輩を止めようとしたが、クラリス先輩はさらに動揺していた。リオンとマリエは専属使用人の話に疑念を抱きつつも、クラリス先輩とジルクの関係や今後の展開に関心を持ち、クラリス先輩の出航前に話を聞くことを決意した。

アンジェリカとクラリスの騒ぎが起きた際、ユリウスたちはすでにパーティー会場を離れていた。オリヴィアはジルクのことを心配していたが、グレッグは彼が婚約者であるクラリスと仲が良いため、悪い結果にはならないだろうと楽観的に答えていた。

クリスは会場内の雰囲気に違和感を感じ、オリヴィアの安全を優先して外に連れ出していた。ブラッドは、宮廷貴族と領主貴族の間で噂が広がり、生徒たちが二分されたことが原因で緊張が生まれたと推測していたが、関わり合いにならない方が良いと警告した。

オリヴィアは貴族間の対立を理解できず、仲良くするべきだと単純な意見を述べ、ブラッドは彼女の素直さを好意的に受け取っていた。一方、ユリウスは貴族間の争いにうんざりしており、それをオリヴィアに打ち明けた。

オリヴィアは表面上、ユリウスを励まし、優しい人物だと称賛したが、内心ではユリウスに対して激しい憎悪を抱いていた。彼女は本心を隠しながら道化を演じ、復讐の機会を待っていたのである。

第 10話  「船旅の前に」

卒業式の翌日、アンジェリカはクラリスに叩かれた頬を押さえながら、自らの過ちを感じていた。クラリスに対して噂を広めたことが原因で、彼女は謝罪を決意していたが、一年生をうまくまとめられなかったことへの反省もあった。

取り巻きの女子たちは噂の出所を調べ、領主貴族出身の女子が商館で聞いた話を広めた結果だと報告した。クラリスが専属使用人を探しているという噂が誤解を生んだようだ。アンジェリカは取り巻きたちに、証拠がない限り軽率な行動を避けるよう厳しく諭し、彼女自身がクラリスに謝罪する意向を示した。

部屋を退室した取り巻きたちは苛立ちを見せ、宮廷貴族への敵意を強めた。特にクラリスに対する反感は根深く、彼女たちは報復を誓い合った。しかし、冷静な取り巻きもおり、無闇に喧嘩を売る形になってはならないと注意を促していたが、感情が高ぶった取り巻きたちの中で、その声はかき消されていた。

リオンとマリエは、アトリー家の豪華な飛行船が停泊している港へクラリス先輩を見送りに訪れていた。船に到着すると、クラリス先輩は彼らを船内に招き入れ、昨日の騒動について話をすることになった。クラリス先輩は、学園内の緊張が高まる中、アンジェリカの消極的な態度に苛立ち、限界を超えて平手打ちをしたと説明した。しかし、専属使用人の噂については否定し、周囲の優秀な人々に支えられているから必要ないと語った。

ジルクが約束の時間に遅刻していることに、クラリス先輩は心配し、ダン先輩が彼を探しに向かった。しかし、ジルクは特待生であるオリヴィアとの約束を優先し、クラリス先輩のもとには現れなかった。これにダン先輩は激怒し、ジルクへの報復を計画しようとしたが、クラリス先輩は涙を流しながら襲撃を止め、旅行をキャンセルすると決めた。

リオンとマリエはこの状況を深刻に捉え、ルクシオンの力を借りて事態の悪化を防ごうと決意した。

第 11話  「仮面の騎士」

リオンは、夜の王都を眺めながら、黒い衣装とフード付きのコートを身に纏い、ルクシオンと共に任務を遂行していた。ルクシオンは不機嫌そうに、リオンが呼び出したことに対して不満を漏らしていたが、リオンはクラリスたちが暴走する事態を防ぐために協力を求めていた。ルクシオンは襲撃を計画している集団を確認し、クラリスやその取り巻きが関与していないことを報告した。

リオンは、ユリウス、ジルク、オリヴィアが襲撃される様子を確認し、彼らを助ける決意を固めた。襲撃者たちは武装し、訓練された手練れだったが、リオンは仮面を着けた謎の騎士として現れ、彼らを救援した。リオンともう一人の仮面の騎士が襲撃者たちに立ち向かい、ユリウスたちを守った。リオンの巧みな戦闘技術と特注の装備で、襲撃者たちは次々に倒され、彼らの計画は失敗に終わった。

ユリウスは仮面の騎士を見て、彼の正体に気づき始めていたが、リオンはそのまま任務を続けていた。

オリヴィアは、自分の計画が仮面を被った二人の乱入によって邪魔され、混乱していた。黒と白の仮面を付けた二人は、共に強者であり、オリヴィアの計画を挫折させた。さらに、オリヴィアの体を奪った思念体は、心の奥で抵抗するオリヴィアの意識に対しても苦しめられ、力を発揮できない状況に陥っていた。

一方で、リオンは仮面の騎士と共に襲撃者たちと戦うことになり、互いに口論しながらも次々と敵を倒していった。しかし、襲撃者たちは鎧を持ち出し、さらに強力な攻撃を仕掛けてきた。リオンは、状況を打開するためにルクシオンの支援を借り、アロガンツを使って戦うことを決断した。

リオンはアロガンツに乗り込み、敵の鎧を素手で打ち負かしながら情報を引き出すために捕らえようとした。ルクシオンの支援により、衝撃波を使って敵を無力化し、事態を収束させた。リオンは、襲撃者たちの背後にいる黒幕を追い詰めるため、さらに敵を捕らえることを決意していた。

ユリウスたちは、黒い仮面の男が鎧を2機引き連れて去った後も、残った鎧に追われていた。狭い路地でオリヴィアを守りながら逃げ続け、ユリウスは衛兵の到着を待ち望んでいたが、なかなか助けが来なかった。白い仮面の騎士も一緒に逃げながら、鎧に対して冷静に対処していた。

追い詰められたユリウスたちを救ったのは、黒い仮面の男だった。彼は巨大な鎧に乗り込み、敵を圧倒してユリウスたちを助け出した。白い仮面の騎士と共に襲撃者の操縦者を引きずり出したが、その操縦者は意識を失っており、2人はその状況に驚いていた。

その後、黒い仮面の男と白い仮面の騎士は言い争いを始めたが、駆けつけた衛兵たちに囲まれた。2人は協力して衛兵たちの包囲を突破し、闇夜に消えていった。ユリウスは衛兵に追跡を止めるよう指示し、彼らを見逃すようにした。その後、ユリウスはジルクの救護を依頼し、オリヴィアに優しく声をかけた。オリヴィアはユリウスの守りに感謝し、頬を赤らめていた。

第 12話  「絡み合う悪意」

リオンたちは実家に戻るため、王都の港で飛行船に乗り込もうとしていた。リオンは無事にオリヴィアたちを助けられたものの、自分が「仮面の騎士」として手配書に描かれていることに不満を抱いていた。ルクシオンの協力もあり、事件は解決したが、マリエはルクシオンが思念体の調査に夢中になっていることに呆れていた。リオンとマリエは和食を楽しみにしつつ、実家に向かう飛行船に乗り込んだ。

一方、オリヴィアは密かにフランプトン侯爵と会談していた。侯爵はホルファート王国の重鎮であり、オリヴィアは彼と手を組み、聖女としての地位を確立しようとしていた。侯爵はオリヴィアの依頼で襲撃者を送り込んだが、仮面の騎士に阻まれ失敗していた。それでもオリヴィアの聖女としての力を確認した侯爵は、彼女を全面的に支援することを約束した。

オリヴィアは表向きは感謝を示しつつ、内心ではフランプトン侯爵や周囲の人々を見下し、この国を切り崩していく決意を固めていた。彼女は聖女の力を利用し、自身の計画を進めようとしていた。

リオンとマリエは進級前に実家に戻り、バルトファルト領の港で珍しい「鮭」に似た干物を発見し、大喜びしていた。リオンは食べ方を考え、マリエは酒の肴にすることを楽しみにしていた。しかし、家に戻ると父バルカスの様子が妙で、何か問題があるようだった。バルカスはニックスからの手紙を見せ、王都で大臣職を務めるアトリー家の娘が王太子殿下を襲撃し、逮捕されたという大事件が起きたことを知らせた。

この事件により、アトリー家の大臣は更迭される可能性があり、王都が混乱するだろうとバルカスは心配していた。しかし、リオンはユリウス殿下が襲撃された日、クラリスたちが事件に関わっていないことを知っていたため、手紙の内容に強い疑念を抱いた。ディアドリー先輩の情報ではクラリスたちが犯人とされていたが、リオンは「こんなの絶対にあり得ない」と信じられず、困惑していた。

リオンとマリエは実家に戻り、バルトファルト領で鮭に似た干物を見つけて喜んでいた。しかし、リオンは父バルカスから手紙を受け取り、クラリスたちがユリウス殿下の襲撃犯として逮捕されたことを知り、驚愕した。リオンは無実のクラリスたちを救おうと考え、ルクシオンに助けを求めたが、彼は別の任務で忙しいため協力を拒否した。リオンはディアドリー先輩に詳細を尋ねる手紙を出すことに決めたが、解決策を見つけられず悩んでいた。

同時に、ヴォルデノワ神聖魔法帝国ではミアという少女が突如発生した青白い光と突風に驚いていたが、彼女の憧れる騎士に無事を確認され安心した。さらに、ルクシオンは海底に眠っていた新人類の兵器アルカディアを破壊し、この星を旧人類が戻ってくるために「より良い世界」に戻すという目標を抱いて行動していた。彼は結果を最優先にし、すべてを破壊してこの世界をあるべき姿に戻す決意を固めていた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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