どんな本?
“言語化する技術”を言語化した三宅夏帆さんに感謝を!
『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』は、推しについて語る際に、自分の感情や思いをうまく言葉にできない人に向けた指南書であった。
この本では、推しの魅力を効果的に伝えるための具体的なテクニックや方法が紹介されている。
著者は、推しへの愛情や興奮を単なる「やばい!」という言葉で終わらせず、自分なりの言葉で伝えるためのコツを解説していた。
読者は、SNSや日常会話で推しを語る際に、どのように他人に共感されるか、あるいは新しい視点を提供できるかを学ぶことができる。
また、推しの魅力を伝える際に感じる困難や不安を和らげるための心構えや、他人の意見に惑わされず、自分の感情をしっかりと表現するためのアプローチも解説されている。
「推しについてもっと上手に語りたい」と思っている人にとって、この本は大きな助けとなるかもしれない。
読んだ本のタイトル
「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
著者:三宅夏帆 氏
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あらすじ・内容
好きな本・映画・舞台・ドラマ・アイドルを語りたい人の必読書
16万部突破『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』でバズり中の著者が教える文章術!
あなたの「推し」はなんですか?
お気に入りのアニメ、本、漫画、映画。
応援しているアイドル、声優、バンド、YouTuber。
大好きな舞台、コンサート、ライブ。あるいは、スポーツや釣りなどの趣味も、推しに入るかもしれません。
本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。
SNS発信・ブログ・ファンレター・友人とのおしゃべり・音声配信などの発信方法ごとに、自分だけの言葉で感想を伝える技術を教えます。
推し語りには、語彙力や文章力が必要だと思われがちですが、それは間違いです。
必要なのは、自分の感想を言葉にする「ちょっとしたコツ」だけ。
そのコツさえ知れば、あなただけの言葉で好きな作品の素晴らしさを語れるようになります。
ここでは特別に、少しだけそのコツをお教えします!
コツ① 自分の感情を一番大切にする
コツ② 妄想をこねくり回して、感想を生みだす
コツ③ よかったところを細分化するだけで、あなただけの言葉になる
これって一体、どういうことなんでしょう…?
本書を読めば、特別な才能や技術がなくても、あなたの感動を自分の言葉で語れるようになります。
感想
読者感想を書いてる自身。
1日1感想と思って書いてるが、何かルーティン化しつつ書くのが苦になってないのは良いのだが泥縄になってる気もしている。
そんな状態の自身に、その本は凄く刺さった。
『「好き」を言語化する技術』は、自分の「推し」についてうまく言葉にできない人にとって、非常に役立つ一冊である。
特に印象的だったのは、語彙力や文章力がなくても、自分の感情を正確に言葉にするための「コツ」があるという点であった。
著者が提案する「自分の感情を大切にすること」「よかったところを細分化すること」「他人の感想を先に見ないこと」といった方法は、どれも実践的であり、これまで漠然とした感想しか書けなかった私にとって大きな気づきとなった。
感想を書く際、特にSNSやブログなどで発信する際には、他人の言葉に流されがちであったが、本書を読んでからは、自分の感情をより深く掘り下げ、自分だけの言葉で表現することが大切だと感じた。
また、推し活を通じて自分自身の感情や価値観を再確認し、それを記録することで、自分の「好き」を守り続けることができるというメッセージも心に響いた。
さらに、感想を書くための準備や修正の重要性についても詳しく書かれており、文章の完成度を高めるためには、何度も書き直すことがプロとアマチュアの違いだという言葉が印象に残った。
修正を楽しみながら、自分の言葉を磨いていくプロセスが、推し語りの楽しみをさらに深めていえるのだろか?
この本を読んでからは、感想を書くことへのハードルが下がり、メモを取る習慣を再び取り入れるようになった。
推しについて自分の言葉で語ることが、推し活をより豊かにし、さらに自分自身の理解を深めるきっかけになると感じ実行して行こうと思う。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同著者の作品
その他ノンフィクション
備忘録
はじめに
読者には、何かしらの「推し」が存在しており、その推しに感動した際に、その魅力を他者に伝えたいという欲求を抱くものの、言葉が出てこない経験があったであろう。語彙力や観察力が不足していると感じ、言語化が苦手だと思うこともあったかもしれない。しかし、実際には語彙力や分析力ではなく、「自分の言葉をつくるコツ」が大切であった。
著者は、アイドルや宝塚を推し、フィクションに感動して言葉にしたいという強い欲求を持っていたため、自然と本の感想をブログに書き始めた。そして、現在では書評家として活動するに至った。彼女は多くの人々から、「推しについて発信するための言語化のコツ」を聞かれるようになり、その経験を基に本書を書いた。
現代では、SNSなどを通じて他人の言葉が容易に流れ込んできてしまい、自分の意見が曖昧になることが多かった。そのため、自分の言葉をつくる技術が重要であった。この技術を身につければ、推しへの解像度が上がり、他者に推しの魅力を伝えることができるだけでなく、自分自身の人生にも良い影響があった。
本書は、短文発信やブログなどの長文発信、友人との会話、音声配信といった様々な場面で、推しについての発信方法を解説し、読者が自分の言葉で推しを語るための手助けをすることを目的としていた。推しを語ることで、読者自身の「好き」の根源が明らかになるであろう。
・マジでそう願いたい。
第 1章
推しを語ることは、自分の人生を語ること
- 推しの語り方がわからない!
読者には、自身の「推し」について語る際、どのように表現すべきか悩むことがあったであろう。「推し」という言葉は、近年さまざまな対象に使われるようになった。好きなアイドルや俳優、アニメや本、さらには趣味そのものも「推し」に含まれることがある。そして、「推し」の魅力を他人に伝えたいという気持ちは多くの人が共有していた。しかし、その語り方については誰も教えてくれなかった。
日本の学校教育では、読書感想文を書くことを求められるが、その方法についてはほとんど教えられていなかった。
へ?((((;゚Д゚)))))))
「ありのままの感想を書けば良い」という信念に基づいて感想文が出されていたが、実際には感想文を書くための技術が必要であった。
た、確かに。😳
良い感想文を書くには、技術を駆使する必要があり、それは推しについて語る際にも同様であった。
著者は書評家として、推し語りのために必要な技術を数多く身につけていた。
それらの技術は、ファンレターやSNS、ブログなどにも応用できるものであり、推しについて語りたい人々にとって役立つものであった。著者自身も、ファンレターのネタに困ったことがなく、職業柄、鑑賞する対象の魅力を文章にする技術が自然と身についていた。
本書では、推し語りの技術について具体的な方法を伝え、読者が推しについて語る際に参考となるように構成されていた。推しについて語りたいが、語彙力やネタがなくて困っている人々にとって、本書は大いに役立つものであった。
- 感想は「自分だけの感情」が一番大切!
推しを語る際に最も重要なのは「自分だけの感情」である。しかし、それはただの「ありのままの感想」とは異なっていた。他人や周囲の影響を受けた感想ではなく、自分独自の感情を言葉にすることが重要であった。
あぁ、、そこか、、
多くの場合、人は既に世の中にある「ありきたりな言葉」を使いがちで、これを「クリシェ」と呼ぶ。
クリシェは感想や表現をありきたりにし、自分だけの感情を奪ってしまう。
具体例として、推しの漫画について「泣けた」「考えさせられた」などの言葉を使うと、そこで思考が停止してしまう。
これらの言葉は感想界のクリシェであり、これを避けることが重要であった。自分のオリジナルな感想を表現するためには、クリシェに頼らず、自分だけの感情や思考を大切にする必要があった。
世間や他人の言葉に流されず、自分の言葉を使う訓練を行うことで、独自の感想を言葉にできるようになる。推しについて語ることは、他人の影響を受けやすい分野であるが、自分のオリジナルな感想を守ることが大切であった。
- 文章に必要なのは「工夫しようとする志」
推しについて自分の感情を言葉にできても、それだけでは文章は完成しなかった。必要なのは「工夫」であり、特に「工夫しようとする意志」が重要であった。文章において、自分の感情が核となるが、その核を包む工夫がなければ他者には伝わらなかった。自分だけが読む日記であれば工夫は不要であるが、他者に伝えたい文章であれば工夫が必要であった。
工夫を施すことで、伝わりやすさが格段に向上し、文章の質が高まった。工夫することは面倒に感じることもあったが、自分が楽しめる範囲で行うことが大切であり、無理に完璧を目指す必要はなかった。推しについて語る際も、工夫の量が文章の完成度を決定し、文才よりも工夫の努力が重要であった。
伝わる文章は、書き手が「伝わるように工夫している」からこそ成り立っており、工夫の努力によって文章の質は大きく変わるものであった。読者に伝えたい気持ちを持ち、その気持ちを工夫で形にすることが、推しを語る上で大切であった。
- 読解力ではなく妄想力が必要!
感想を書く際に、読解力や観察力は必ずしも必要ではなく、重要なのは「妄想力」であった。妄想力とは、自分の考えを膨らませる力であり、感想を書く上での土台となるものであった。推しについて「よかった」と感じた時、その理由を深く掘り下げていくことで感想が生まれる。そして、感想の正確性は必ずしも重要ではなく、自分の感情を自由に広げることが大切であった。
妄想力を駆使して、自分の思考を膨らませることができれば、感想を書くネタも次々に出てきやすくなる。正しさにこだわる必要はなく、まずは自分の感想を広げることが重要であった。
推しの魅力を語ることは、自分自身を理解し、他者の美点に気づく力を育むことであり、自分の人生を愛する行為でもあった。推しを語ることは素晴らしいことであり、楽しんで行うべきであるという姿勢が大切であった。次章では、具体的な方法が示されていた。
第 2章 推しを語る前の準備
- なんのために「推し」を言語化するの?
推しの素晴らしさを言葉にする際、感動をうまく言語化できないことは自然であり、それを恥じる必要はなかった。感動とは言葉にできない感情を指すため、「やばい」や「最高」といった簡単な表現に頼ることも、昔からの文化に通じていた。推しへの感情は大きく動くものであり、その瞬間を言葉で保存しておくことが重要であった。
「好き」という感情は、変わりやすく、時に揺らぐものである。推しや自分が変化する中で、好きであり続ける理由が見えなくなることがある。それでも、自分の「好き」を言語化し、記録しておくことで、その感情を保存できる。言葉で保存した「好き」は、自分の価値観や人生を形成する一部となり、推しへの愛が揺らいでも、その記録が自分の中に残り続ける。
さらに、推しの魅力を言語化することは、自分を語ることであり、他者にもその魅力を伝える手段となる。「好き」を言葉で表現し、他者と共有することで、新たな仲間を得る可能性もあった。したがって、自分の「好き」を信頼し、それを言語化して保存することが大きな意味を持っていた。
- スマホ時代の推し語り講座
推しに対する感想を言語化する際、最も重要なことは「他人の感想を見ないこと」であった。他人の強い言葉に影響されると、自分の感情や言葉を見失ってしまうことが多く、自分の「好き」を正確に言語化できなくなってしまう。特に現代のSNS時代では、他人の感想が容易に目に入るため、まず自分の感想をメモすることが重要であった。
感想を言語化するプロセスとしては
①感動した具体的な箇所を挙げる
②その感情を言語化する
③それを忘れないようにメモする
という手順が推奨された。
このプロセスを踏んでから他人の感想を見ることで、自分の考えを明確に保ち、他人の言葉に影響されずに感想を述べることが可能になる。
さらに、「ネガティヴ・ケイパビリティ」として、もやもやとした感情をそのまま抱えておく力を養うことも勧められていた。感情をすぐに白黒つけず、自分の感想をじっくりと深めることで、より正確で自分らしい言葉を見つけることができるとされた。
感想を書く際に大切なのは、自分の言葉で自分の「好き」を信頼し、他人の影響に左右されないようにすることであった。
- 言語化とは、細分化のこと
推しの感想を言語化する際に重要なのは、語彙力ではなく「細分化」であった。
感動した具体的なポイントを細かく挙げることが、感想のオリジナリティを生む要素となった。
たとえば、ライブの感想を書く際に「最高だった」と感じても、その「どこが」最高だったのかを具体的に思い出し、細かく書き出すことが大切であった。
具体例として、ライブでの曲順、MCの内容、ダンスの技術向上、衣装の可愛さなど、心を動かされた要素を一つ一つ挙げることで、感想はより明確になる。
そして、感動した点だけでなく、違和感を覚えた点も正直に挙げることが推奨された。このように、心に響いたポイントを細かく書き出すことで、他者とは異なる自分だけの感想を言語化することができる。
感想を細分化することで、語彙力がなくても十分にオリジナルな感想が表現でき、自分自身の感じたことを正確に伝えることができた。
- 感情の言語化には、パターンがある
感想を言語化する際の重要なプロセスとして、まず「よかった箇所の具体例を挙げる」ことが挙げられる。
そして、次にその具体例に対して「どのような感情を抱いたのか」をメモし、さらに「なぜその感情を抱いたのか」を説明することが推奨された。
感情の理由を考える際には、自分の体験や好きなものとの共通点、新しさを見つけることが有効であった。
感動を言語化する際、「共感」と「驚き」の2つの要素が重要であった。
共感は、自分の体験や好みに近いものに対して感じる感情であり、驚きは今までにない新しい要素に出会った時の感動を指す。
これらの要素を意識することで、感情をより詳細に言語化することができた。
また、感想を言語化するためには、自分の知っている元ネタが多いほど効果的であった。
多くの元ネタを知ることで、共感や新規性を見つけやすくなり、感想のオリジナリティを高めることができた。
一方で、初めて触れるジャンルでも、未知の驚きによる感動を抱くことが人生の楽しさの一つであった。
- 悪口の言語化は、案外難しい
ネガティブな感想を言語化する際のプロセスは、ポジティブな感想と同様に重要であるが、より難しいものであった。
特に「もやもやした違和感」や「嫌だと思った理由」を自分の言葉で説明するのは困難であった。
なぜなら、ネガティブな感情は自分のコンプレックスや過去の嫌な体験と結びついていることが多く、それを言語化するには内面を掘り下げる必要があった。
ネガティブな感想は「不快」と「退屈」の2つに分類できた。
「不快」とは、心がざわつき嫌な気持ちになる際の感情であり、その理由を探るためには、過去の嫌な体験や嫌いなものとの共通点を見つけることが効果的であった。
一方、「退屈」とは、特に際立った不快感はなく、単に面白さが感じられなかった場合であり、その原因として「どこがありきたりだったのか」を具体的に考えることが求められた。
また、感想を一般論で語らず、自分の感情に焦点を当てることが大切であった。
多くの人が共感できるような意見を述べるのではなく、自分の内面に基づいた具体的な感想を言語化することが、他人と区別された独自の感想を生む鍵となった。
- メモは孤独に自由にとるのが一番楽しい
感想を言語化するためには、まず「心を動かされた要素の細分化」や「感情とその原因の言語化」をメモとして残すことが重要であった。感想を書く前に、自分の言葉で感情を記録しておくことで、他人の意見に左右されずに自分の感覚を保つことができた。
メモを残す際には、あらかじめ自分なりのルールを決めることが推奨された。すべての要素をメモに残す必要はなく、特に気になった部分を選んで深堀りすることで、感想を書く際に役立てることができた。また、メモは他人の目に触れない非公開の場で行うことが推奨され、自分だけが見返せる場所で自由に感想を記録することが大切であった。
SNS時代では、他人の評価を気にして言葉を選んでしまいがちであったが、自分のメモとして感想を書き残すことで、より正直で自由な言語化が可能であった。そして、このようにして積み重ねたオリジナルな感想は、最終的に自分の価値観を形成し、推しに対する揺るぎない信頼へとつながるものであった。
第 3章
推しの素晴らしさをしゃべる
- 相手との情報格差を埋める
推しを語ることは一見簡単に見えて、実際には相手との情報格差や感情の共有の難しさが伴うものであった。
推しを語る場面では、相手がどれだけ推しについて知っているか、どんな印象を持っているかを把握することが大切であり、そのためにはまず相手との情報格差を認識し、埋めていく努力が必要であった。
推しを語る際、情報を伝えるプロセスは2段階に分かれていた。
第一段階では、推しに関する基礎情報を相手に伝え、相手の理解を深めること。
第二段階では、その上で本当に伝えたいこと、たとえばライブや作品の魅力を語ることが重要であった。
これにより、相手が話についていけるようになり、共感や興味を引き出すことができた。
さらに、相手に推しの魅力を伝える方法として、3つのパターンが提案されていた。
まず「相手の知らない情報を補足」することで理解を深めるパターン。
次に「相手の興味ある分野に合わせて」推しの魅力を伝える譲歩のパターン。
そして最後に「相手の興味のなさに言及」しつつ話を進める方法があった。
これらの方法を通じて、発信者は相手との溝を埋め、推しの魅力をより効果的に伝えることが可能であった。
また、このように相手との情報格差を意識することで、推しを語るだけでなく、面接やプレゼンなどさまざまな発信場面にも応用できるスキルが身につくと示されていた。
- 注釈をつけて語ろう!
(ココは何も知らない人に向けるつもり)
推しについて語る際には、相手がどれくらい推しを知っているかや、どのような印象を持っているかを把握することが重要である。特に推しに関する専門用語は、相手が理解できるように丁寧に説明する必要があった。専門用語を使うことでコミュニティ内では情報が早く伝わるが、相手が推しを知らない場合には、説明をつけて情報格差を埋める努力が求められた。
スラングや仲間内で使われる言葉は情報伝達が速く、相手との共通認識を確認する手段であったが、推しを知らない相手に語る際には、言葉遣いや説明が必要となる。これは時間がかかり面倒だと感じるかもしれないが、推しを広めるためには避けられない過程であった。
筆者自身も、他者からの言葉で新たな興味を持つことができた経験があり、そのため、推しについて知らない人にも語りかけることの重要性を強調していた。推しを語ることは労力を要するが、いつか誰かにその魅力が伝わるかもしれないという希望を持ち続けることが大切であった。
- 音声発信メディアで推しを語るコツ
言葉がすぐに出てこない人は、日頃からメモを残すことで、後々自然に言葉が出やすくなるとされていた。
自分だけのメモや日記を通じて言葉を蓄積し、それが他人との会話にも役立つという。
特に他者との会話では、他人の言葉に影響されやすいため、まずは自分だけの言葉を持つことが重要であった。
また、不特定多数に向けた音声発信では、「ここを聞いてほしい」というポイントを強調し、話の緩急をつけることが重要であった。
これは授業やプレゼンでも同様で、聞き手にどこへ連れて行きたいのかを把握しておくことが求められた。
これにより、話し手が迷わず、聞き手の興味を引きつけやすくなった。
さらに、音声発信やSNSでの発信において、慣れが最も大切だとされていた。
初めは難しく感じるかもしれないが、試行錯誤を繰り返すうちに、自然と慣れ、発信が楽しくなっていくものだとされていた。
第 4章
推しの素晴らしさを SNSで発信する
- みんなの空気から自分の言葉を守る
SNSで推しについて書く際の最も重要なコツは「自衛」である。SNS上では他人の意見が簡単に目に入り、自分の意見を引っ込めたくなることが多い。しかし、推しと自分の関係に他人を介在させる必要はなく、自分の意見を守ることが大切である。
自分と異なる意見が渦巻くSNSでは、空気に流されず、意識的に自分の意見を発信することが重要であった。異なる意見を持っていることを自覚し、「みんなはこう思っているが、自分はこう感じた」という表現を加えると、他人にとっても受け入れやすい投稿になる。
推しに対する自分の言葉を持つことは、推しを好きでいる信頼につながり、他人の意見に惑わされずに自分の感情を守る鍵となる。推しとの関係において、他人の感情は関係がなく、SNS発信においても自分の言葉を守ることが何よりも重要であると強調されていた。
- 他人の言葉は自分に伝染させない
私たちは、日常的に接する言葉から無意識に影響を受けるものである。たとえば、誰かが「日本の未来はダメだ」と言えば、自分の未来まで否定されたように感じ、不倫に無関心だったとしても、否定的な言葉を繰り返し見聞きすることで不倫を許せなくなってしまう。言葉は伝染し、私たちの感情や考え方に大きな影響を与えるのである。
SNSにおいても同様であり、友人が好きなアイドルについて熱心に書いていると、そのアイドルに対して好意を持つようになったり、批判されている有名人に対して悪い印象を抱くことがある。こうした言葉の影響から自分を守るためには、二つの方法がある。一つは「他人の言葉を見ない」ことで、疲れているときにSNSやネガティブなニュースに触れないようにするのが賢明である。もう一つは「他人の言葉を打ち消す自分の言葉を持つ」ことであり、これは「私はそれは違う」といった自己主張を持つことである。他人の言葉と自分の言葉を区別し、自分自身の考えを大切にすることが重要であるとされていた。
- 推しを語りながら、自分を語る
他人と同じ意見を持つことに悩む人がいるかもしれないが、SNSは多くの人と共感し合うことを楽しむ場であるため、同じ意見を恥じる必要はない。それでも他人と異なる意見を持ちたいなら、自分のメモや日記を活用することが重要である。他人の感想を見る前に記録した自分の感想や、自分だけの着眼点が、オリジナルな言葉を生み出すための鍵となる。
推しについて語ることは、結果的に自分自身を語ることでもあった。なぜその推しを選んだのか、どうしてその推しを好きになったのかを考えることで、自分についても深く理解することができる。推しについて言葉にすることで、自分の人生や好みを肯定する手助けとなり、推しとの出会いがより特別なものとなる。
推しを語ることは、単なる消費行動にとどまらず、推しの魅力を能動的に発信することで、推しをより深く楽しむ手段でもあった。自分の言葉で推しについて語ることが、いつか自分自身を喜ばせる瞬間につながるはずである。
第 5章
推しの素晴らしさを文章に書く
- 伝えたいことが伝わるのが、うまい文章だ
文章を書く際、特に長文を書く前に行うべき重要なことは2つである。①想定読者を決めること、②伝えたいポイントを明確にすること。この2つは、文章のゴールを設定し、書き始める前に方向性を固めるために重要である。文章は、読者に伝えたい内容がしっかり伝わることが目的であり、そのゴールを達成するためには、文章を書く前に読者と伝えたいことをはっきりさせておくことが大切である。
まず、読者を具体的に想定することで、文章の指針が決まる。読者がそのテーマについてどの程度知識があるのかによって、説明の量や内容が変わるため、推しの情報を知らない読者には前提を説明する必要があり、既に知っている人にはその説明を省いてもよい。
次に、伝えたいポイントを一点に絞ることが重要である。書いているうちに、何を伝えたいのか分からなくなることが多いので、伝えたい内容を具体的に一点に定めておくと、文章がぶれることを防げる。また、書いているうちに新しい発見をすることもあり、その場合はゴールを調整してもよいが、伝えたいことが不明確なまま進めると、文章全体が散漫になる可能性が高い。
最終的には、文章を書く目的に応じて、工夫を凝らし、読者との距離を詰めることが求められる。他人に伝えたいことがあるなら、適切な工夫が必要であるが、自己満足のための文章ではその必要はない。どの程度工夫を取り入れるかは、文章を書く目的次第であった。
- 一番重要で、一番難しい「書きだし」
文章の書き始めは重要であるが、完璧さを求めすぎず、まず書き始めてから修正するのが効果的である。書きだしは、後で修正できる前提で、一番良い部分を最初に持ってくるのが理想的である。書き出しに苦労する場合、以下の4つのパターンが有効であった。
(5つあるが4つの方がしっくりきた。)
1. “紹介したい要素についての説明から始める”方法
推しや映画のよかった場面を具体的に描写し、その場面について自分が感じたことを丁寧に説明する。特に、全体的な感想よりも一つの要素に絞って細かく書くことが効果的であった。
2. “自分語りから始める”方法
自分の体験と作品の共通点を語り、その体験を通じて推しの魅力を説明する。これにより、読者との共感を生みやすくし、その後の文章に引き込むことができた。
3. “文脈から始める”方法
推しや作品を大きな文脈に位置づけたり、他のジャンルとの共通点や新規性を指摘することで、読者の興味を引きやすくする。この方法は、ファンならではの視点を強調するために効果的であった。
4. “問いから始める”方法
問いかけから文章を始め、疑問に対する答えを解説する形で展開する。この手法は書き手自身が迷わず進める利点があり、読者の興味も引きやすいが、多用には注意が必要であった。
これらのパターンを活用することで、効果的な書き出しが作成でき、読者にとって魅力的な文章に仕上げることが可能であった。
- いったん最後までラフに書き終えよう!
文章を書き始めたら、最も重要なのは「書き終えること」である。完璧さを追求せず、まずは文章を最後まで書き上げることが大切であった。修正は後からできるため、内容が変でも構わないという意識で進めるとよい。書き終えるまでの目標は、ただ一つ「書き終えること」であり、途中の不完全さを気にせず、最後まで書くことが最優先であった。
さらに、書く際には「調べればわかることを長々と書かない」ことも重要なポイントであった。調べた情報をそのまま書くのではなく、読者に「興味を持たせる」ことを意識するべきである。たとえば、映画や作品について書く場合、詳しい背景情報を詰め込むよりも、興味を引きつける内容を簡潔に述べる方が効果的であった。
もう一つの注意点は「ありきたりな言葉を避けること」である。「最高」「やばい」「考えさせられる」といった常套句を使わず、具体的にどの部分が最高なのか、どのように「やばい」のかを言葉にすることが求められた。細分化して具体的に説明することが大切であった。
最終的に、これらのアドバイスは修正前提であったため、書き終えることが最優先であり、書き終えた後に細かい部分を修正すればよいとされた。
- 書けなくなったときにやること
筆が止まったときの対処法として、まず「書きだしがおかしいかどうか」を確認することが重要であった。
もし、広がりのない論点を無理に広げていたり、書きたくない要素から始めていたりする場合、書き進めることができないので、書きだしを変えることが推奨された。
別の書きだし方に切り替えることで、うまく進められる場合が多い。
それでも書けない場合は、再度推しに触れることが推奨された。
推しに触れることで、新しい発見があったり、書きたい内容が浮かんできたりする。
推しのライブや動画を見返すことで、再び執筆意欲が湧くことが期待できた。
また、自分の好きな文章を読み返すことも効果的であった。
理想の文章をブックマークしておくなどして、いつでもその文章を見直すことで、良い影響を受け、執筆が進むことが期待できる。
文章における「理想」を持つことは重要であり、書けなくなったときにその理想が助けになるとされている。
最終的に、どんな手を使ってでも一度書き終えることが大切であり、書き終わったときには、推しに対する愛情が文章に宿っているはずであった。
- 書き終わったら修正するクセをつける
文章を最後まで書き終えた後、修正が必要であった。
作家の森見登美彦氏は、「プロとアマチュアの違いは修正の数だ」と述べており、修正を繰り返すことで文章の質が向上する。
修正を前提に文章を書くことで、完成までのハードルが下がり、文章を書くことが楽になる。
修正をする際、想定読者に伝えたいことがしっかりと伝わるかを基準にし、別人になったつもりで読み返すことが重要であった。
文章の順番を変えたり、不要な部分を削ったり、見出しを付けることで、文章がさらに読みやすくなる。
具体的な修正方法としては、文章の順番を変えること、いらない文章を削ること、見出しをつけることが効果的であった。
例えば、最も印象的な部分を冒頭に持ってくることで、読者の興味を引きやすくなり、文章全体の印象が変わる。
また、不要な情報を削ることで、すっきりとした文章に仕上がる。
見出しを付けることで、読者は文章の構成を理解しやすくなり、全体の読みやすさが向上する。
修正が習慣化すれば楽しくなり、文章の改善が進む。
修正に時間をかけることで、他人に伝わりやすい文章を作ることができるため、修正作業は文章を書く上で非常に重要であった。
また、世の中の一般的な意見と違う内容を発表する勇気を持つには、文章をしっかりと修正し、自信を持てるまでブラッシュアップすることが大切であった。
修正を重ねた結果、発表することが楽しみに変わるとされていた。
第 6章
推しのすばらしさを書いた例文を読む
- プロの推し語り文を参考にしよう!
文章を書く技術を学ぶには、文章のプロがどのように推しを語っているかを参考にすることが効果的である。
本章では、プロの作家が推しをどのように描いているか、3つのパターンで紹介していた。
最初に紹介されたのは、詩人の最果タヒが「推しを見るファン(自分)」の視点で書いた文章である。
彼女は、自分の感情を最大公約数の言葉で表現し、推しを好きになることで抱える葛藤を巧みに言葉にしていた。
彼女の文章は、世間一般の定型文に疑問を投げかけ、自分自身の言葉で再解釈することが特徴であった。
これにより、読者は共感を覚えやすく、自分も同じように感じていたと気づかされる。
次に紹介されたのは、作家の三浦しをんが「推しを見るファン(他人)」を描いた文章である。
彼女はコロナ禍でのコンサートの風景を描写し、ファンの姿を通して推しの魅力を表現していた。
声を出せない状況でタオルを口に押し当てるファンの行動を描くことで、推しの輝きとファンの献身的な愛情を同時に伝えていた。
このようにファンの行動を描くことで、逆説的に推しの魅力が引き立つ手法であった。
最後に、阿部公彦がジェーン・オースティンの小説『説得』について書いた書評が紹介された。
阿部は、推しである作品の魅力を上品で親しみやすい文体で伝え、難解に見える作品を身近に感じさせていた。
彼の書評は、作品のテーマをわかりやすく解説し、読者に興味を持たせる工夫がなされていた。
これらの例文から学べることは、推しを語る際にはクリシェを避け、自分の言葉で再解釈すること、推しのファンの姿を描くことで推しそのものの魅力を引き出すこと、そして、難解に見える対象も親しみやすく伝える工夫が必要であるという点であった。
- 「お手本」の真似は、上達への近道
文章を上達させるためには、模倣が最も効果的であるとされていた。
推しの素晴らしさを伝える例文を紹介したが、それはあくまで参考例であり、各自が自分に合ったお手本を見つけることが推奨されていた。
文章を書きたいとき、または音声で発信したいとき、自分の好きな作家や話者のスタイルを模倣することで、その技術を学ぶことができる。
特に、お手本を持つことは、迷ったときに進むべき方向を示してくれる灯台のような役割を果たすとしていた。
真似をする中で、どうしても元のスタイルと異なってしまう部分が生じるが、それが自分の個性となると説明されていた。
また、最初から個性を強調しようとするよりも、好きなスタイルを真似ていく過程で自然と個性が現れると述べられていた。
そのため、まずは多くのお手本を探し、分析し、自分に引かれるポイントを見つけていくことで、自分なりの発信スタイルを確立していくことができるとされた。
おまけ
推しの素晴らしさを語るための Q& A
- 困ったときに読みたい Q& A
推しに関する発信がうまくいかないと感じるときの解決策として、いくつかの質問とその回答が提示されていた。
まず、他人に響く話術としては、相手に共感できる内容か、興味のある新しい情報を提供することが重要であるとされた。
また、SNSでの発信に自信が持てない場合は、自分の感情を深く掘り下げることが勧められ、自分だけの感想を持つことが推しへの理解を深めるとも述べられていた。
発信する際のオタク口調に対する不安には、相手の反応を意識し、スピードよりも確実に伝えることを優先すべきだとされた。
また、他人の発信にイラつく場合は、見ないようにすることで対処すべきだと提案されていた。
「好き」に理由がない場合には、好きになったエピソードやきっかけを語ることで、推しに対する理解が深まるとされていた。
そして、他人と感想が違ったり、同じであったりするときの不安には、発信を磨き上げることで自信が得られると強調されていた。
要するに、推しに関する発信には相手との共感や新情報を意識し、自分の感情を掘り下げて表現することが大切であり、発信を磨くことで自信がつくとされていた。
あとがき
著者は、推しについて語ることを通じて、健全な推しライフと発信ライフを送ることの大切さを述べていた。推しにまつわる辛いことや悔しいこともあるが、それでも推しを好きであることの素晴らしさを強調し、SNSでは他人との境界線を持ちながら楽しく推していくことが重要であると述べていた。
この本を書いた理由として、SNS上の強い言葉や攻撃的な言葉に影響を受けやすい現状に危機感を感じていたため、自分の言葉を作り出し、他人の言葉と距離を取ることが必要だと考えたからだとしていた。また、他人の言葉に振り回されるのではなく、自分の言葉を持つことが、推しへの理解や自己防衛につながると強調していた。
著者は、自身もまだ言葉の使い方に悩むことがあるが、今後も自分の言葉を磨き、他人と自分の言葉を分ける技術を身に着けていきたいと考えていると締めくくっていた。
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