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あらすじ・内容
増負担時代。給与の半分を税金等で持っていかれる! 今、家計を救うには?
税金や社会保険料で所得の半分近くを持っていかれている!
増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学
2021年度の負担を見ると、「租税負担28.7%」、「社会保障費負担19.3%」で、合計負担率は、48%まで増えている。しかし、庶民を救うべき政府は増税路線をひた走る。さらなる増税地獄がやってくる。国民全員が死ぬまで働き続けて、税金と社会保険料を支払い続ける納税マシンになる社会。われわれは、暮らしの発想の転換を急がなくてはならない。
本書では、現在の税金、社会保険制度を徹底的に検証。増税地獄の実態を明らかにする。そして、「家計大苦難」時代のサバイバル術をモリタクが伝授する。
感想
近年の日本の経済状況と、政府による増税や社会保険料の増負担に直面している国民の生活を深く掘り下げた本である。
著者は、2023年に物価が落ち着き、一時的なデフレが訪れると予測しつつも、その後の増税や社会保険料の増負担により、国民はさらなる経済的圧力にさらされることになると警鐘を鳴らしている。
第1章では、日本の国民負担率が48%に達している現状を明らかにし、消費税の増税や社会保障費の上昇などが国民の手取り収入を大幅に圧迫していることを指摘している。
政府の政策が、財政均衡主義に縛られ、消費税増税を繰り返すことで、国民の負担増と給付の制限を引き起こしていることが論じられている。
第2章では、税制と社会保険料制度の不平等さに焦点を当て、特に富裕層が庶民に比べて少ない税負担で済む仕組みがあることや、高級官僚や外資系投資銀行社員への退職金の税制優遇などが、社会の格差を拡大させていると批判している。
第3章では、消費税の増税が避けられない現状と、その税収の一部が法人税の減税に充てられていることを批判し、庶民の負担が増え、金持ちや大企業が恩恵を受ける構造が存在すると述べている。
第4章では、日本の財政が実は世界一健全であることを説き、政府の財政均衡主義の捨てがたきを提案している。資産と負債を考慮すると、日本は実質的に無借金経営をしているとし、政府の無用な増税政策が国民に不要な負担をかけていると主張している。
最終章では、住民税非課税という状態を目指して、トカイナカでの自給自足の生活や太陽光発電を活用した生活の可能性を提示している。さらに、自分で野菜を作ることの健康面や経済面でのメリット、趣味を楽しむことの重要性に触れ、税金や社会保険料に搾取されない生活を実現する方法を提案している。
おわりにでは、65歳での生活パターンの多様性について触れ、65歳まで働き続ける社会の実現可能性について議論している。
付録の童話では、増税の歴史とその社会への影響を象徴的に描き出している。
この本は、増税や社会保険料の負担増に直面している現代日本の国民に対して、経済的な圧力をどのように乗り越え、より良い生活を実現するかという解決策を提示している。
著者は、政府の政策や社会保障システムの不平等さに警鐘を鳴らし、それに対抗するための生活スタイルの変革を提案している。
具体的には、トカイナカでの自給自足の生活や、太陽光発電などを利用した持続可能な生活方法を通じて、国民一人ひとりが経済的な自立を目指すことを勧めている。
著者はまた、現代社会における消費税の増税とその影響、金融バブルの崩壊リスク、そしてそれらが国民生活に与える影響を詳細に分析している。
特に、消費税の増税が社会保障財源として利用されることの問題点、逆進性の問題、そして富裕層と庶民との間の税負担の格差を批判している。
さらに、本書では財務省の政策や財政均衡主義の問題点を指摘し、実質的な国の借金がないにも関わらず、増税を推進する政府の姿勢に疑問を投げかけている。
政府資産の売却や、より公平な税制の実現によって、国民の負担を軽減し、経済的に健全な社会を築くことが可能であると主張している。
最終的に、著者は国民が自分たちの生活を守り、豊かな人生を送るためには、政府に頼るのではなく、自分たちで解決策を見つけ出し、実行に移すことが重要であると結論づけている。
住民税非課税世帯を目指すこと、趣味や自分のやりたいことに時間を費やすこと、そして自分たちの手で食料を生産することなど、具体的な生活の工夫を通じて、経済的な自立を目指すべきであると提案している。
この本は、増税や社会保険料の増負担という重いテーマを扱いながらも、それに立ち向かうための実践的なアドバイスを提供しており、経済的に厳しい時代を生き抜くための指南書となっている。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
データは2022年の物だとの事。
はじめに
インフレの中、資源価格の高騰と円安が生活を圧迫している現状にあり、筆者は2023年1~3月期に物価が落ち着き、デフレが再来すると予測している。
しかし、それに伴い政府による増税や社会保険料の増負担が予想され、国民はさらなる負担増に直面することになり、経済の恐慌への入り込む可能性がある。
過去にも小さな恐慌は繰り返し発生しており、恐慌時には低賃金労働者や自称”勝ち組”も大きな影響を受ける可能性が高い。
著者は自身の家族で自産自消を進めるなどの社会実験を繰り返し、恐慌が来ても生活に困らないことを確認している。
太陽光パネルでの発電や畑での自給自足などを例に挙げ、エンタメ施設には行けなくなるかもしれないが、自分の好きなことに没頭できる生活を楽しんでいる。
また、恐慌が起きても影響を受けずに生活できる準備ができているとし、本書を通じて低コストで生きていける生活基盤作りの参考にしてほしいと述べている。
第 1章 重税国家ニッポン
■国民負担率は 48%まで増えている
日本では国民負担率が上昇しており、1970年度には24.3%だったが、2021年度には48.0%まで増加している。
この数値は、所得から税金や社会保障費がどれだけ引かれるかを示すもので、実質的に手取りの半分近くが国や自治体に徴収される現状を示している。
また、消費税の増税や復興特別所得税の創設、所得税や住民税の控除の圧縮など、税制面での変化が負担増に大きく寄与している。
社会保険の分野では、医療保険料の上昇、窓口負担の増加、年金の支給開始年齢の延長などが見られる。
特に、保険料の上昇にもかかわらず、給付はほとんど変わっておらず、負担は増える一方で給付は据え置かれるか削減される傾向にある。
介護保険制度の導入や障がい者福祉サービスの利用時の自己負担増も新たな負担となっている。
このように、税金や社会保障費の負担増は、国民にとって大きな負担となっている。
社会保険料と税金は事実上一体化しており、社会保険料は確定申告で所得から差し引ける点のみが税金と異なる。
政府は2004年に年金制度の賦課方式への変更を発表し、社会保険料の未納者に対して従来以上に厳しい態度を取るようになった。
この変更は、社会保険料を実質的に税金と同じものとして扱っていることを示している。
さらに、社会保険料の増加と給付の制限が強化され、日本は高い国民負担率を背負う重税国家となっている。
また、消費税率の引き上げは実質賃金の低下をもたらし、政府は財政均衡主義の教義に縛られた消費税増税を繰り返している。
これらの政策は、国民の負担増加と給付の制限を引き起こしており、経済的な苦境を深める可能性がある。
岸田総理は、2025年度にプライマリーバランスの黒字化を目指しており、そのために消費税率を再度引き上げる可能性が高い。
しかし、日本はすでに重税国家であり、政府の支出は教育や年金には充分に配分されていない。
実際、OECD加盟国の中で日本の教育への公的負担比率は下から2番目、年金の所得代替率では40位と低い。
一方で、高齢者の医療費自己負担が増加し、介護施設利用料の補助受けられる条件が厳しくなるなど、国民の負担は増え続けている。
政府は預貯金のある人々を切り捨て、老後の生活を賄うためには構造的なライフスタイルの改革が必要となっている。
消費税の増税は避けられず、岸田総理は2025年度にプライマリーバランスの黒字化を目指している。
しかし、財政出動を通じた国債の発行による経済支援は、ハイパーインフレや円の暴落を引き起こさず、経済に重大な影響を与えないことが過去の例から明らかである。
インフレは実際には富裕層にとって不利であり、庶民には影響が少ない。
生産性の向上が仕事の楽しさを奪うこと、資本主義が金銭的な格差を広げると同時に、仕事の喜びの格差も拡大させることが指摘されている。
エブリシングバブルの崩壊が近づいており、物価上昇の主な原因はウクライナ問題や円安ではなく、過剰な資金による投機である。
バブルとその崩壊は資本主義の宿命であることが強調されている。
現在のバブルには、あらゆる投資対象に波及しているエブリシングバブルであること、長期間続いていること、そしてバブルの規模が大きいことの3つの特徴が存在する。
シラーPERを基準に考えると、米国株は過去に例を見ない長期間のバブル状態にあり、これが崩壊した際の反動は極めて大きくなる可能性が高い。バブルの崩壊が近いとされる理由には、アメリカの金融引き締めとウクライナ戦争の終結が挙げられている。
金融引き締めにより投機資金の調達が難しくなり、戦争終結による原油価格の下落や兵器需要の消失が起こりうる。
正確な崩壊時期は予測が難しいが、著者自身は既に投資用の株式を処分しており、バブル崩壊後の強烈なデフレが恐れられる状況である。
資源価格の変動が物価に反映されるタイムラグが存在し、2023年初頭には消費者物価指数の上昇が止まり、その後下降すると見られている。
第 2章 不平等な税・社会保険料制度
第1章で国民負担が増大していることが紹介されたが、さらに問題なのは負担が庶民に偏っていることである。
年間所得が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がっていく現象が確認されており、労働で稼ぐよりも金融所得が主である人々の税負担率が庶民よりも少なくなっている。
これは社会保険料に負担の上限があり、稼げば稼ぐほどその負担率が下がるためである。
金持ちが金融所得のみで収入を得ている場合、公的年金は国民年金となり、納める保険料は庶民と同様であるため、税制において不公平が生じている。
岸田文雄総理が掲げる「新しい資本主義」には当初、金融所得課税を含む公平な分配の理念があったが、投資家からの反対に遭い、政策は金融所得減税へと方向転換した。
さらに、高級官僚や外資系投資銀行社員のような高額所得者への退職金の税制優遇が存在し、これもまた富裕層への優遇を示している。
富裕層は様々な方法で税金を節約できる仕組みが用意されており、庶民からは税金を徴収する一方で、富裕層は負担が少なくなっているのが現状である。
超富裕層は庶民の1万倍のエネルギーを消費し、特にタワーマンション住民は莫大なエネルギーを使い、地球環境に悪影響を与えている。
これに対して、都会と田舎の中間地域である「トカイナカ」での生活が、環境に優しく、人間らしい暮らしを実現するための適切な選択肢とされている。
著者は、所沢市のようなトカイナカ地域に住むことの利点を強調し、都市部の過密化や富裕層による環境負荷の高い生活スタイルに批判的である。
また、税制面では、富裕層が相対的に少ない税負担で済む一方で、庶民は増大する国民負担の重圧にさらされていることが指摘されている。
特にタワーマンションに住むような人々は、不動産価値の変動や金利の上昇によって、経済的に脆弱な状態にあることが示唆されている。
このように、富裕層と庶民との間のエネルギー消費や税の負担における格差が広がり、現代日本においては江戸時代の「四公六民」を超える「五公五民」の状態になっていると警鐘を鳴らしている。
さらに、若者や現代人が経済的自立と早期リタイアを目指すFIRE運動についても言及し、その実現のための4%ルールを基にした生活費の計算に触れている。
年間生活費300万円を4%の期待リターンで運用することを前提にした場合、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を実現するためには、7500万円の資産が必要とされる。
節約や株高を活用してこの目標額を達成し、早期退職を果たす人もいる。
しかし、元本保証の金融商品で4%の利回りを得ることは現在の日本では困難であり、実現のためには株式などのリスクを伴う商品への投資が必要になる。
株式市場は不安定であり、バブル崩壊などで大きな損失を被る可能性もある。
特に老後には、投資による大きなリスクを避けるべきであり、年金生活で4%ルールを適用するのは現実的ではないと警告している。
第 3章 待ち受ける消費増税
消費税の増税は時間の問題であり、その税収のかなりの部分が法人税の減税に充てられている。
この動きは、庶民の負担を増やし、金持ちと大企業を減税することがセットで行われている。
消費税を社会保障財源にすることには、消費者だけが負担を強いられる逆進性と、富裕層が事実上消費税を負担しない状況があるため反対である。
インボイス制度の導入も、免税業者を排除する財務省の意図によるものであり、経済効率を低下させる。
消費税率を下げることは、欧州各国が実施しているように、経済や国民生活に対する危機的状況を改善する有効な手段であるが、日本では財務省や政治的理由により実現が困難である。
財務省の若手官僚は、緊縮財政が経済を悪化させることに気づいているが、上司に反論できない状況にある。
彼らは1980年代に確立された財政緊縮の教義を、善意で実施していると考えている。
しかし、この政策によって日本経済は成長の機会を逃し、税収も増加することなく、長期的な停滞に陥ってしまった。
財務省は、社会保障費の賄い方として消費税の増税を推進しているが、この理論は若手官僚の一部によっても問題視されている。
消費税の勉強会をどこでも開催するという財務省の姿勢は、ある意味でカルト教団のようだと批判されている。
経済の正常化と財政の健全化を目指す一部の経済学者の間で、金融と財政の同時引き締めが推進されているが、これはデフレ状態の日本経済には適さない政策である。
岸田総理は善意で、正しいと信じる政策を実行しようとしているが、その結果が懸念されている。
第 4章 日本経済は世界一健全
日本とドイツは、国の財務書類上の負債と資産を考慮すると、実質的には無借金経営をしている。
日本の場合、国の負債は1500兆円あるが、資産が1000兆円あり、純債務は500兆円である。
さらに、日銀が保有している国債の額が500兆円で、これを純債務と相殺すると、実質的な借金はゼロになる。
財務省は政府が保有する資産は売却不可能であると主張するが、金融資産や不動産などは売却可能であり、政府資産の流動性は高い。
また、政府は為替介入やNEXCO各社の株式売却を通じて資金を確保することができる。しかし、財務省は財政均衡主義に固執し、必要ない増税を推進している。
日本の財政は世界一健全であり、財務省の財政均衡主義を捨てれば、国民はより幸せになる可能性がある。
第 5章 住民税非課税という最強の武器
高齢者にとって、老後資金を確保することは重要であるが、特に米国株への投資はリスクが高く推奨されない。
生活コストを年金の範囲内に収めることが、老後の幸せに繋がる。日本の賃金はG7国中で最下位に位置し、その背景には、高齢者、女性、外国人労働者の増加による労働力供給の拡大がある。
老後に無理な仕事をするより、自分のやりたいことを見つけ、それに時間を費やすべきだという考え方が示されている。
また、大都市での高コスト生活を避け、自産自消の生活や太陽光発電を活用することで、老後の生活コストを抑える方法が有効であると提案されている。
太陽光パネルは半永久的に発電を続けることができ、老後の家計支援に役立つと述べられている。
水の自給は理想的であるが、自宅の立地によって大きく左右される。
高台に位置する自宅では、深い井戸を掘ることが必要であるが、その保証はなく、低地では容易に井戸水が得られることもある。
自給自足の生活を進めることで、年金だけで余裕のある生活が可能になるが、これは都心では難しい。
太陽光パネルを設置することで災害に強い家庭を作ることができ、リモートワークの普及により、都心から離れた場所での自給自足の生活がより実現可能になっている。
住民税非課税世帯には多くのメリットがあり、自産自消の生活を送ることで得られる。
自分で野菜を作ることは健康的な生活につながり、食事と運動の両方の面で利点がある。
趣味を楽しむことで、人生が豊かになることが述べられている。
例として、50年以上にわたって収集したアイテムを展示する私設博物館「B宝館」が紹介されている。
東京や上海のような大都市はお金がある人にとって楽しい場所であるが、畑などを楽しむためには技術や知識が必要である。
B宝館は採算に乗っていないが、一度きりの人生を楽しむことが重要であると述べられている。
また、リモートワークの普及により、都会以外での生活が可能になっている。
教養を身につけ、自給自足の生活を目指すことが、税金や社会保険料に搾取されずに済む方法であると提案されている。
最後に、リゾート地に別荘を持つことの現実と、地方での暮らしの可能性が語られている。
富山県中新川郡舟橋村では、人口が過去30年で倍増しており、その理由は富山市で働く会社員の移住が挙げられている。
舟橋村では、村長の方針により、村民に畑が貸し出されており、プロの農家による指導もある。
また、村には大きな図書館があり、住民一人当たりの貸出冊数が全国で第一位になっている。
舟橋村での講演では、300人の定員が満席となり、村民との会話は経済に関しても高いレベルで行われた。
彼らは雨の日は本を読み、晴れた日は畑の世話をすることで、教養を身につけ、幸せに暮らしている。
舟橋村の人々は、ディズニーランドや三ツ星レストランはないが、農業と読書を通じて豊かな生活を送っている。
おわりに
今年65歳を迎えた著者は、同年代の同級生の中で、60歳台前半の生活パターンがいくつかあることに気づいた。
一番多いのは、関連会社などで再雇用される人で、次に、別会社に転職してフルタイムで働く人、そして少数ながら定年退職後に引退して悠々自適に生活する人がいる。
しかし、社会保障審議会が国民年金の保険料納付期間を40年から45年に延長する案を検討しており、これが実現すると、65歳までの保険料支払いが必要になる。
この制度改正は、特に無職や自営業、非加入のパートタイマーに影響を与え、多くの人に65歳まで働くことを強いる可能性がある。
政府は、より多くの人が厚生年金に加入できるように手を打っているが、結果的には大部分の人が65歳まで働くことになると著者は予測している。
著者は、これからの社会は、国民が死ぬまで働き続け、税金と社会保険料を支払い続ける社会になると警鐘を鳴らし、住民税の非課税限度までしか働かないことを増税地獄から逃れる方法として提案している。
付録の童話
お代官様と農民
本年から年貢が6割に増加するというお触書が高札に掲示されたことで、農民たちは生存が危ぶまれる状況に陥った。
代官所に訴えるも、農地拡大を勧められるが、新たに開墾された田は収穫量が少なく、農民たちは次々に飢え死にしてしまう。
しかし、僅かな田んぼを作り、山で山菜や獲物を得ることで生き延びた集落もあった。
この健康的な生活により長寿を得た彼らであったが、山菜税や猪鹿税の導入を代官が計画していることは知らなかった。
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