どんな本?
「ザイム真理教」は、経済アナリストである森永卓郎 氏による書籍。
この本は、日本の財政政策に対する批判をまとめている。
主な内容としては、財務省が宗教を通り越してカルト教団化していると主張。
そして、その教義を守る限り、日本経済は転落を続け、国民生活は貧困化する一方になると述べている。
また、森永氏は自身の実体験をもとに、「大蔵省(現財務省)の奴隷だった」と述べ、その実態をあばき、その教義を守り続けて転落し続ける日本経済と国民生活に警鐘を鳴らすという主旨の書籍となっている。
読んだ本のタイトル
ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト
著者:森永卓郎 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
やさしく、やわらかく、面白く、日本経済に警鐘を鳴らす本。
ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト
■それは信者8000万人の巨大カルト
「大蔵省(現財務省)の奴隷だった」という自身の実体験をもとに、
宗教を通り越してカルト教団化する財務省の実態をあばき、
その教義を守り続けて転落し続ける日本経済&国民生活に警鐘を鳴らす、森永卓郎による警世の書。
~旧大蔵省時代を含めて、財務省が40年間布教を続けて
きた「財政均衡主義」という教義は、国民やマスメディア
や政治家に至るまで深く浸透した。つまり、国民全体が財務省に洗脳されてしまったのだ!(本文より)~
感想
この本は、日本の財政と政策をめぐる暗部を描いたものである。
特に財務省を中心にした政策の問題点が深く掘り下げられており、国民に対する影響が詳細に解説されている。
著者の森永卓郎さんは、経済政策における「真実」を広めようとする熱意が感じられる。
特に財政破綻の危機感を煽りながら実際には国の資産も多大であること、また、財政支出の拡大が必要とされる現状を説く現代貨幣理論(MMT)への言及は、従来の財政観に対する一石を投じている。
本の中で、政治家が財務省の「教え」にどれほど影響を受けているか、また、その影響がどのように政策に反映されているかが示されている。
消費税の引き上げや、その他の財政政策がどれほど国民生活に悪影響を与えているかが、具体的なデータとともに紹介されている。
また、国民に不公平な負担を強いる現行の税制についても、詳細な批判が加えられており、読んでいて非常に考えさせられる。
感想としては、森永さんの文章は非常に明快であり、複雑な財政の問題を平易な言葉で解説しているのが印象的だった。
この本を読むことで、「国の借金=悪」という一般的な誤解がいかに根深いものかがよくわかる。
また、財務省がいかに強い影響力を持っているかも明らかになり、政治と財政の関係に新たな視角を提供してくれる。
一方で、森永さんの主張がいかにして広く受け入れられるかは、まだ不透明な面もある。
多くの人が既存の財政観に固執しており、その変革が容易ではないことが伺える。
しかし、この本は財政政策に疑問を抱いている人々には必読の内容であり、日本の経済政策に対する新たな議論を呼び起こすことだろう。
最後に、森永さんは読者に対して、自らの財政に関する知識を深め、より良い社会を築くために声を上げることを呼びかけている。
このメッセージが多くの人々に届き、日本の未来にプラスの影響をもたらすことを心から願う。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
その他の著者の著書
その他ノンフィクション
備忘録
第1章 ザイム真理教の誕生
私は大蔵省の「奴隷」だった
1980年に大学を卒業し、日本専売公社に入社した人物は、入社後すぐに本社の管理調整本部主計課に配属され、大蔵省からの予算獲得を担当した。専売公社は特別会計として運営されており、大蔵省から予算を得なければ活動ができないという制約があったため、主計課は大蔵省に対して絶対服従の姿勢を取っていた。特に予算編成期には、大蔵省の許可がなければ帰宅も許されず、夜遅くまで残業が続くこともあった。
主計課の仕事は、架空の実験装置などをでっち上げて予算申請を行い、大蔵省がこれを査定するという形式的な作業が多かった。予算編成のプロセスは形式的であり、自己査定によって予算の大部分が決まっていた。また、官官接待が頻繁に行われており、その中には許されないような過剰な接待も含まれていた。1998年には、大蔵省官僚が不適切な接待を受けていた事実が明らかになり、多くの官僚が影響を受けた。
この人物は、大蔵省との関係を維持することの難しさや、その中での人間関係の複雑さを経験し、後に「ミニ大蔵省」としての役割を担うことになった。この体験から、自分自身も官僚主導の体制に染まり、周囲の環境に影響されてしまったことを反省している。
石油ショックと財政再建元年
日本は1964年まで国債を発行しておらず、石油ショックを受けて1973年から国債発行が増加し、1980年代初めには大量の償還が必要となった。これが「財政再建元年」とされ、歳出カットと増税が必要とされた背景である。しかし、大蔵省は国債の償還に際して元本を返済することに固執し、借り換えや日本銀行による購入の可能性を見過ごしていた。
大蔵省の官僚は主に東大法学部出身で経済学の知識が乏しく、財政均衡の考えに固執していた。銀行の信用創造の例を引きながら、銀行が預金の何倍もの融資を行えるのと同様に、国も柔軟な財政政策が可能であると指摘する。にもかかわらず、現政権は財務省の「財政均衡主義」に基づき、基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げていると述べている。
宗教化する財政健全化
財務省の若手官僚の半数は財政均衡主義に疑問を持っているが、省内でその意見を公にすることはできない。
表面的には財政均衡主義を支持することが求められており、それを口にすることで徐々にその思想に染まっていくという。
退官後も多くの官僚は財政均衡主義を続けて主張しており、野口悠紀雄氏や小幡績氏などの経済学者もこの例に漏れず、消費税増税を含む財政均衡へのこだわりを示している。
特に小幡氏は、MMTや国債の無限の発行可能性に対する誤解を正し、厳格な財政均衡を訴える立場を取っている。
また、財務省は教育プログラムを通じて、若い世代にも財政教育を施し、財政均衡の重要性を強調している。
このような活動は、官僚自らが直接説明を行う形で実施されている。
入信していく政治家たち
政治家に対する財務省の強力な布教活動が行われている。
野田佳彦元総理は、消費税増税反対の立場から政権を取ったが、財務副大臣に就任後、消費税増税派に転じた。
これは、財務省による継続的な布教活動、いわゆるマインドコントロールによるものである。
野田氏はその後、民主党代表として内閣総理大臣に就任し、消費税率の引き上げを含む三党合意を推進し、実行した。
この一連の変化は、財務省の政策を実現するための布教活動の結果とされる。
財務省は、財政均衡主義を政治家に強く植え付け、彼らを政策の推進者に変える力を持っている。
この影響は、野田氏に限らず、他の多くの政治家にも及んでいる。
第2章 宗教とカルトの違い
衝撃の授業
40年以上前、ある学生が大学で最も衝撃を受けた授業は、笠原一男教授の「日本史」だった。
この授業は通年講義でありながら、親鸞から日蓮までの鎌倉時代に焦点を当てたもので、宗教論が主な内容だった。
笠原教授は、日本の新しい宗教が時代の転換期に集中する現象を解説し、その原因を社会的混乱と生活困窮に求めた。
鎌倉仏教の創始者たちは、民衆の苦痛を和らげるために「念仏を唱えるだけで極楽浄土に行ける」と教え、現世の救済を説いた。
笠原教授は、このような教えが宗教による虚構の提供であり、それが許されるのは信者の幸福につながるからだと説明した。
また、太平洋戦争後に生まれた新興宗教や「エジソン教」など、信心があればどんな形態でも意味を持つことを指摘し、宗教団体がどのようにして信仰を抱かせるかについて語った。
教義はプラス方向の説教とマイナス方向の説教の組み合わせで構成され、これにより信者が現世での幸せを追求することが助けられると結論づけた。
カルトとは何か
40年以上前、ある学生が大学で受けた笠原一男教授の「日本史」授業は、鎌倉時代の宗教に特化した内容だった。
笠原教授は、鎌倉仏教の創始者たちが民衆の苦痛を和らげるために「念仏を唱えれば極楽浄土に行ける」と教えた背景について、その時代の社会的な混乱と生活の困窮を説明した。
教授は、現実の苦しみを和らげるために宗教が提供する虚構が許される理由を、信者の幸福につながるからだと解釈した。
教授はまた、戦後の新興宗教や「エジソン教」の例を挙げ、どんな形態の信仰でも信心が伴えば意味があると述べた。
宗教団体が使用する教え方には、プラス方向の説教とマイナス方向の説教があり、通常は前向きなメッセージを中心に後者を補足的に用いると説明した。
これにより、信者は現世で前向きに生きる助けとなると教授は指摘した。
第3章 事実と異なる神話を作る
巧妙な罠
財務省は、財政均衡主義という教義を持ち、日本の財政が破綻状態にあると国民に信じさせる神話を創り上げている。
この教義は、消費税率の引き上げを通じて社会保障費の増加に対処する必要があるという主張に基づいている。
公表されたパンフレットでは、国民が将来世代に負担を先送りすることなく、持続可能な仕組みを構築するための措置として消費税の増税を推進していると説明している。
パンフレットは、国の財政赤字が拡大しており、国債残高が増加していること、また将来的に財政破綻に至るリスクを強調しているが、実際には日本政府は大規模な資産を持っており、純粋な負債額は公表された借金総額のほんの一部であることが明らかになっている。
財務省の資料によると、国の資産負債差額は540兆円であり、これは日本の名目GDPとほぼ同等で、先進国においては通常の水準である。
しかし、財務省は資産を差し引いたネットの借金を見るべきだとの主張には反論しており、売れない資産が多いとしている。
それに対して、国の資産はリースバックや株式売却などの方法で実際には流動化可能であるとの指摘がある。政府が持つ資産の大部分は有価証券や不動産であり、これらは必要に応じて売却が可能であるため、財務省の見方に矛盾があることが示されている。
このように、財務省のカルト的な文化とその教義は、国民に過剰な危機感を植え付けることで政策を推進しようとしているが、その根拠となる財政の実態は、その主張ほど悲観的ではないというのが著者の主張である。
通貨発行益という巨大財源
発行者が新たに通貨を発行すると、その瞬間に利益を得ることができる。
この利益を通貨発行益と呼ぶ。
絶対権力者であれば、紙に金額を記し、印鑑を押すだけで、その紙を通貨として使用することが可能である。
この方法は、江戸時代の日本でも利用されていた。
江戸時代には、小判という貨幣が使われ、幕府は金の含有量を下げることで、貨幣の量を増やし財政収入を得ていた。
明治政府も、太政官札を発行することで財政資金を調達した。
近年でも、紙幣は単なる印刷物としてではなく、資産の裏付けがあり、日銀は資産を購入するために日本銀行券を使用している。
しかし、国債を日銀に引き受けさせることで発生する財政ファイナンスは、物価上昇、国債価格の下落、通貨価値の低下などの副作用があるため、特別の事由がない限り日銀による直接の国債引き受けは禁止されている。
太平洋戦争で物価に何が起こったか?
太平洋戦争時とその後の日本では、1947年には1935年比で物価が109倍に上昇し、年平均物価上昇率は43%に達したが、ハイパーインフレとは言えるレベルではなかった。物価は1950年には下降し始めた。
日銀が保有する国債は500兆円程度であり、悪性インフレに至る心配はまだ遠いとされている。
アベノミクスの政策で金融緩和、財政出動、成長戦略の三本の矢が進められ、安倍元総理は金融緩和によるインフレターゲット2%を目指した。
これにより、国債を年間80兆円購入し、物価上昇率2%を達成する政策が実行された。
この政策は高インフレや為替・国債の暴落を招かず、経済学者に大きな衝撃を与えた。
MMT(現代貨幣理論)は、インフレ率が目標を超えない限り財政支出を拡大しても良いと提案しており、これは従来の財政均衡主義を否定するものだ。
しかし、MMTには「財政支出の中身の議論を行っていない」という批判があり、経済にとって必須な支出に重点を置くべきとの主張がある。
MMTが日本で受け入れられるかは、インフレ率が低い現状を鑑みると、問題があるとされる。
通貨発行益の活用については、雇用創出プログラムへの使用が提案されているが、政府による雇用保障は効果的でないとの声もある。
そのため、通貨発行益は減税に回す方が良いとされており、消費税の引き下げや撤廃が優先課題とされている。
日本経済突然死論
通貨発行益を活用することが無駄遣いを増やし、日本経済を破壊するという議論は弱いとされている。
国の予算は政府の提案に基づき国会で審議され、無駄遣いが認められれば政権の支持率が下がるため、公的支出が必要な教育や年金分野で財政に余裕があれば国民生活を改善する政策を実施できる。
一方で、財政破綻の危機論者は、日銀が国債を直接引き受けることで円の暴落や金融市場の混乱を招くと警告している。
しかし、金融市場全面停止などの極端な事態は実際には起こりにくい。
オーストラリア準備銀行が債務超過になった事例では、市場は中央銀行の債務超過に対して大きな反応を示さず、中央銀行の支払い能力に問題がないことが示された。
このような事例から、日銀も同様の状況であっても、債務超過による直接的な影響は受けないと考えられる。
また、ギリシャの財政危機事例を見ると、国債利回りの急激な上昇はゆっくりと進行したため、日本でも同様に状況の変化が徐々に進むため、政策の調整には十分な時間が取れるとされている。
隠ぺいに走った財務省
プライマリーバランスは、政府の歳入と国債費を除く歳出との間の収支を示す指標である。
日本政府は2025年度にプライマリーバランスの黒字化を目指しているが、新型コロナ対策費により、2020年度には特別な給付金の支給で大幅な赤字が発生した。
実際のプライマリーバランスの赤字は公表されていないが、内閣府の資料によると、2020年度の赤字は80.4兆円、2021年度は31.2兆円であった。
これは税収を大きく上回る規模であり、岸田政権下での赤字削減が示されている。
また、新型コロナによる財政出動にもかかわらず、日本を含む世界中で金融市場や経済に大きな問題は起きておらず、ハイパーインフレや国債・為替の暴落も発生していない。
これは、財務省が示す「ワニの口」の図として用いられる税収と歳出の関係が、まだ対処可能であることを示している。
2020年度末の国の広義の借金は前年比で102兆円増加しており、国債発行額は109兆円であったが、これによる直接的な経済的影響は見られなかった。
消費税を引き上げ続ける
2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた際、財務省は消費税の収入を社会保障の安定的な財源として次世代に引き継ぐための手段と位置づけ、その情報をホームページで公開している。
財務省は消費税の国際比較も掲載し、日本の消費税率が低いことを示しているが、アメリカでは連邦レベルでの消費税や付加価値税がなく、一部地域には小売売上税が存在するという情報は脚注に小さく記されている。
しかしながら、消費税を社会保障の主要な財源とすることには批判もある。
特に、財務省が安定性や世代間の公平性を理由に挙げているが、消費税はすべての消費者が負担するため、実質的には現役世代や高齢者にも大きな負担がかかる。
日本の社会保障は本来、社会保険制度に基づいて労使折半の原則に則っているため、消費税による負担はこの原則とは異なる。
これにより、企業が社会保障負担から逃れることを意味し、これが消費税増税に対する根本的な問題とされている。
第4章 アベノミクスはなぜ失敗したのか
消費税引き上げがもたらした悪循環
第二次安倍政権下で開始されたアベノミクスは、金融緩和、財政出動、成長戦略という三本の矢を掲げたものだった。
この政策は物価上昇率をマイナスからプラスに転換し、労働市場にも一定の改善をもたらしたが、消費者物価上昇率を2%に持っていく目標や、物価と賃金の好循環を生むことは成功しなかった。
その原因として、金融緩和は実現したが、財政出動が不十分であったこと、特に消費税率の二度の引き上げが経済の悪循環を引き起こしたとされている。
岩田規久男氏は、デフレからの脱却のためには、政府と日本銀行が協調してリフレ政策を採用すべきであり、財政政策においては赤字を急がずに現状維持し、財政を緊縮的に運営しないことが重要だと提唱している。
また、岩田氏は、名目成長率が国債の名目金利より大きければ、国債残高のGDP比は低下し、財政の持続可能性が維持されると論じている。
しかし、2020年のコロナショックにより、名目成長率が著しく低下し、ドーマー条件が満たされなくなった。
岩田氏によれば、コロナショックが収束すれば、名目成長率が再び上昇し、ドーマー条件が満たされるようになると予測されている。
一方で、アベノミクスの抵抗勢力により、経済成長と財政再建の両立が困難になり、消費税増税によって2%の物価安定化に失敗したとされている。
安倍元総理は気づいていた
安倍政権下での消費税率は、2014年4月に8%、2019年10月に10%へと引き上げられた。
この消費税引き上げは、民主、自民、公明の3党合意に基づいて行われ、安倍政権発足前の2012年6月に方針が確認されていた。
消費税法改正には景気弾力条項が設けられており、経済成長率が目標に達しない場合、税率引き上げの停止も含めた措置が取られる可能性があった。
2014年の消費税率引き上げ後、経済的影響が大きいと感じた安倍元総理は、2014年11月に予定されていた2015年10月の10%への引き上げを2017年4月に延期し、さらに2016年6月には2019年10月へと再延期した。
この延期は異例であり、財務省の強い影響力に対抗するため、官邸官僚のトップに経済産業省出身の今井尚哉秘書官を据え、財務省を抑え込む戦略が取られた。
しかし、2019年10月の消費税率10%への引き上げは予定通り行われた。
これには森友学園の問題が影響を与えたとされる。
この結果、安倍政権は経産省主導の官邸体制を強化し、政策推進において財務省の干渉を回避することが可能となったが、コロナ対策での失敗などもあり、今井秘書官が主導した政策は国民に評判が悪かったとされる。
国有地を二束三文で払い下げたのは誰か
2017年2月、大阪府豊中市にある国有地が森友学園へ格安で売却された問題が発生した。
この土地は鑑定価格9億5600万円から、地下のゴミ撤去費用8億1900万円を差し引いて、1億3400万円で売却されたが、実質的な販売価格は200万円に過ぎなかった。
さらに、この売却は周囲が目撃しないゴミの撤去作業と共に行われた。
また、森友学園が計画していた小学校は、当初「安倍晋三記念小学院」と名付けられる予定であったが、後に変更された。
この学園は極端な教育方針で知られ、塚本幼稚園での問題行為も問題とされている。
土地売却の決裁文書は、財務省により改ざんされたことが後に明らかになり、これにより佐川宣寿国税庁長官は辞任に追い込まれた。
この文書改ざんについて、大阪地裁は財務省が組織的に行ったと認め、改ざんの方向性を決定づけた佐川元長官に対して損害賠償が命じられた。
安倍元総理は、財務省の策略によるものではないかと疑念を抱いていたとされ、森友問題は彼の政治生命に影響を与えた一因である。
通貨発行益からみたアベノミクス
アベノミクスは金融緩和と財政出動を掲げていたが、消費税の引き上げという逆の政策を採用し、経済のデフレ脱却を阻害した。
本来であれば、金融緩和で生じた通貨発行益を財政出動、特に消費税の引き下げに充てるべきであった。
しかし、通貨発行益はすべて借金返済に使われ、2020年度末には日本の国の債務はほぼゼロに近い状態に改善された。
これにより、日本は名目上無借金の状態になり、国債金利が世界で最も低い国の一つとなった。
安倍元総理は『安倍晋三回顧録』で、財務省が過度に税収に囚われ、実体経済を顧みない姿勢を批判している。
安倍政権では、経済産業省出身の今井政務秘書官が強い影響力を持ち、これが財務省にとって不快であったと述べている。
安倍政権は消費税を二度引き上げ、税収を増加させたが、これが財務省にとって有利な政権であったとも指摘している。
再び財務省支配に戻った自民党政権
安倍総理が2020年8月28日に辞任を発表した際、財務省の官邸内での影響力が増すこと、そして日本が重税国家へと進むこと、日本経済の転落が加速することを確信していた。
安倍総理辞任後、今井秘書官が実権のないポストに異動させられ、財務省がかつての権力を官邸内で取り戻した。
その結果、消費税減税の可能性は消え、経済対策としての消費税減税が消費税の増税として、国民の負担増となって現れることが確実となった。
財務省はコロナ対策の補正予算にかかった費用を回収するために増税を画策している。
これが実行されれば、日本経済はさらに悪化するだろう。
榊原定征財政制度等審議会会長は、公債残高が増大していることを警告しているが、低金利の継続を当然視すべきでないとも発言している。
財務省は1990年代以降、財政緊縮を一貫して推進しており、その結果、日本経済は衰退の道を歩んでいる。
日本のGDP比率、賃金水準、一人当たりGDPは国際的に低下し続けており、財務省の緊縮政策がこれを加速させている。
第5章 信者の人権と生活を破壊する
ザイム真理教の脅し
第2章では、宗教とカルト教団の違いについて、信者の人権を侵害するような方法で献金を集めるかどうかが差異として述べられている。
また、ザイム真理教は、不要な増税を繰り返し、国民の生活を破壊していると指摘されている。
図表8に示された国民負担率の推移から、2010年度の37.2%から2022年度には47.5%に上昇していることが示されており、国民の収入のほぼ半分が税金や社会保険料で取られている状態である。
江戸時代の年貢の増加と現代の国民負担率の増加が比較され、現代の高い負担率が国民に重大な影響を与えていることが指摘されている。
明石市の泉房穂市長やひろゆき氏など、この問題について発言した人々が引用され、特に高齢者が受け取る以上の年金と若者の高い負担率が問題視されている。
また、国民負担率の上昇は主に消費税率の引き上げによるものであり、その政策の必要性に疑問が投げかけられている。
日本は重税国家
国民負担率の国際比較では、2020年のデータに基づくと、アメリカが非常に低く、日本はイギリスよりやや高く、大陸欧州諸国は日本よりも高い負担率を示している。
しかし、大陸欧州では、社会保障や教育のサービスレベルが日本よりも高いため、負担率の高さには注意が必要である。
例えば、スウェーデンやドイツでは公立大学が無料で、フランスでは政府が大部分の学費を負担し、イギリスではスコットランド在住者には大学授業料が無料である。
2015年のOECD加盟国での教育機関への公的支出割合では、日本は34カ国中最下位であり、公的年金の所得代替率に関しても、日本は他の先進国に比べて低い。
例として、イギリス、ドイツ、アメリカ、スウェーデン、フランスの年金所得代替率が挙げられ、スウェーデンでは公的年金に加えて私的年金も存在している。
これにより、日本は社会保障や公的サービスの給付水準が低いにも関わらず、税金や社会保障負担が大きい「重税国家」となっている。
日本が重税国家に変貌するまで
日本がどのようにして重税国家に変貌したのかを解説している。
1988年度から2022年度にかけての主要な税負担増を整理している。消費税の増税が最も大きく、2022年度の国税分だけで21兆5730億円、地方税を加えると27兆6577億円に上る。
年金保険料率の引き上げも負担増の一因であり、厚生年金保険料率は12.4%から18.3%に、国民年金保険料は月額7700円から16590円に増加している。
復興特別所得税や所得税の控除縮小、配偶者控除の改定、老年者控除の廃止、相続税の基礎控除減額など、多岐にわたる税制の変更が行われている。これらの変更により、特に高齢者を含む庶民層への負担が増加している。
医療負担も増えており、サラリーマンの窓口負担が2割から3割に増額され、後期高齢者医療保険料も課されるようになった。
さらに、中所得の後期高齢者の医療費窓口負担は1割から2割に増額された。これにより、75歳以上の370万人が影響を受けると見込まれている。
なぜ日本は 30年間成長できなかったのか
勤労者世帯の経済負担が増加していることが分析されている。
1988年度と2021年度を比較すると、世帯主収入は12.5%増えたが、所得税や住民税、社会保険料の増加が著しく、税社会保険料負担は50.1%増えている。これにより、手取り収入の増加はわずか3.8%にとどまっている。
消費税率の引き上げも含めると、実質的な手取り収入は33年間で18万円減少している。この増税と社会保険料の引き上げが日本経済の成長を阻害し、消費の低下を招いていると指摘されている。
第6章 教祖と幹部の豪華な生活
厚遇される国家公務員
カルト教団の特徴として、信者からの高額な献金集めがあり、その生活を破壊しながら教祖や教団幹部は豪勢に暮らしている。
財務省の天下りポストの例として日銀総裁が挙げられ、これは財務省出身者と日銀プロパーが交互に就任するポジションとされている。
日銀総裁の年収は約3515万円であり、内閣総理大臣や国務大臣よりも高い場合がある。
財務省の天下り先は豊富であり、多額の退職金が支給されることもある。
さらに、国家公務員の平均給与は民間企業従業員の平均年収よりも高く、公務員給与の民間準拠が実際には民間の正社員にのみ焦点を当てられ、非正社員の待遇改善が反映されていないため、公務員給与は非正社員を含む国民全体の平均に合わせるべきだと主張されている。
これにより、公務員の給与を民間の平均年収に合わせれば、大幅な財源を捻出できるとしている。
国家公務員が迎える理想的な定年延長
国家公務員の定年年齢が、2023年から61歳に延長され、その後も2年ごとに1歳ずつ延長され、2031年には65歳になることが決定している。
これは、高年齢者雇用状況等報告によれば、65歳定年の民間企業が22%しかない中での大幅な優遇である。公務員は60歳で役職定年となりながら、その後も60歳時の7割の給与が支払われる。
さらに、多様な働き方が選べ、労働時間の減少分だけ給与が減る再任用も可能である。退職金に関しても、65歳での定年退職であっても、60歳以降の勤務年数が加算され、ピーク時特例により退職金が高額に計算される。
これにより、国家公務員の退職金の支給水準は非常に高く、2021年度の定年退職者の平均退職金支給額は2106万円に達している。
これは民間の平均退職金と比べても高い水準であり、国家公務員の退職金がさらに増加することが予測される。
国民年金延長は官僚のため?
2022年10月、政府は国民年金の保険料納付期間を現行の40年から45年に延長する案を議論する方針を固めた。
2023年現在の国民年金は、満額で月額6万4816円であり、今後の少子高齢化の進行により、給付額が大幅に減少する可能性がある。
政府は国民年金給付額を少なくとも5万円台に維持するための対策を講じる予定である。
この延長により、国民年金の財政が12.5%増加すると計算されており、追加的な財政投資の必要はなくなる。
しかし、問題は大きく二つある。一つは、60歳で退職後の生活設計が変更されることで、多くの人の生活に影響を及ぼす可能性があることである。
もう一つは、国民年金の負担が不公平に一部の人々に偏ってしまうことである。特に自営業者やパートタイム労働者など、厚生年金に加入していない人々が影響を受ける。
さらに、将来的には国民年金保険料の納付を70歳まで延長し、それに応じて年金給付も70歳から開始する方向で制度が変更される可能性がある。
これにより、年金給付の現行水準を維持することが可能になるが、公務員の定年も同様に延長されることが予想される。
官僚バイアス
2022年、日本の出生数が前年より約4万人減少し、統計開始以来初めて80万人を下回った。
この減少に対応するため、岸田総理は2023年1月に「異次元の少子化対策」を宣言し、早急な子ども政策の強化を表明した。
具体的には、出産育児一時金の増額や児童手当の拡充、育児休業制度の強化などが予定されている。
しかし、問題は、結婚できない非正規社員の男性が多い現状で、出生率の低下の大きな原因が非婚化にあるとされていることである。
このため、少子化対策として所得格差の解消が必要であるにも関わらず、現在の政策ではこの点が十分に考慮されていない。
政府の子育て支援策は主に、高収入層や公務員に有利な政策が多く見受けられる。
例えば、ベビーシッター利用の補助があるが、これは富裕層や公務員に限られる。
政府は低所得者の所得向上よりも、子育て世代に資金を分配することで、短期的な票集めに効果を見出していると指摘されている。
このような状況が続けば、日本の少子化問題は解決しない可能性が高い。
第7章 強力サポーターと親衛隊
大手新聞社とザイム真理教の関係
ザイム真理教がこれまで明らかにされなかったのは、強力なサポーターとして大手マスメディアや富裕層、親衛隊として国税庁が存在していたためだ。たとえば、大手新聞は統計が発表されるたびに「日本の財政が厳しい状況にある」というメッセージを繰り返し報じている。特に2023年度予算の報道では、税収が過去最高であるにも関わらず、財政の厳しさを強調し、借金依存の状況を指摘している。
さらに、大手新聞社が東京都心の一等地に本社を構える土地を国から格安で払い下げられていた過去があり、これが財務省を批判しづらい背景になっている。また、消費税率が10%に引き上げられた際、定期購読の新聞には軽減税率が適用されたが、生活必需品である電気やガス、水道には適用されなかった。このように新聞が特別扱いされる理由は不明であり、これに関しても納得いく説明がなされていない。これらの事実が、大手新聞や関連するメディアがザイム真理教の教義を国民に広める一因となっている。
富裕層というサポーター
ザイム真理教のもう一人の強力なサポーターは富裕層である。富裕層は政治的な力を持っており、ザイム真理教が推し進める政策で恩恵を受けるからだ。
日本の所得税制は累進課税制度であり、所得が増えるほど税率が上がるが、所得が1億円を超えると負担率が急激に下がる。
特に、年間所得が50億円から100億円の層では、中低所得者よりも負担率が低い状況が生じている。
この問題は二つの理由から発生している。
一つは金融所得課税で、株式の売却益や配当などの金融所得にかかる税率が一律20.315%であるため、所得が増えても税率が変わらない。
もう一つは厚生年金保険料や健康保険料に負担の上限が設けられていることで、一定以上の所得ではそれ以上の保険料がかからないためだ。これにより、高所得者の保険料負担が事実上軽減されている。
この制度は、富裕層を優遇する結果となっており、所得再分配の機能が損なわれていると指摘されている。
退職金税制は誰のため?
富裕層を優遇する税制の一例は退職金課税である。
退職金は、勤続年数に応じた控除額が大きいため、高額退職金を受け取る者にとっては特に税負担が軽くなる。
具体的には、退職所得控除と所得の2分の1に課税する「2分の1軽課」という制度が適用される。
この制度により、退職金の実質的な課税額が大幅に減少する。
例えば、勤続30年で2000万円の退職金を受け取った場合、退職所得控除により実際の課税対象所得は500万円に減少し、さらに「2分の1軽課」によって課税対象が250万円になる。
この結果、納める所得税は非常に少なくなる。
このような退職金の課税システムは、高額退職金を受け取る者、特に大企業の役員や高級官僚に有利であり、一般的なサラリーマンには影響が少ない。
1972年から1976年にかけて退職所得控除が約3倍に引き上げられたことで、多くの退職者が実質的に課税されなくなっている。
しかし、この制度が庶民の退職金には原則無税であるため、高額の退職金を受け取る富裕層を優遇している状態が続いている。
この問題は、退職金の分離課税と「2分の1軽課」制度の存在によって維持されており、税制改正によってこれらが撤廃されれば、富裕層の税負担が適正化される可能性がある。
富裕層の相続税回避方法
富裕層が豪邸の相続税を抑える方法の一つに、小規模宅地等の特例がある。
この特例により、土地の面積が100坪までの場合、評価額の80%が減額される。
ただし、これを適用するには条件があり、亡くなった人の配偶者や同居の親族、あるいは亡くなった人に配偶者がおらず、相続人が賃貸住宅に住んでいる場合などが該当する。
特に、親子が同居している大きな家は富裕層に多く、このような場合には相続税の大幅な減額が可能である。
例えば、都心の土地100坪が評価額100億円の場合、子どもが住んでいると相続時の評価が20億円になり、80億円が無税となる。
この制度は事業用地や賃貸事業用地にも適用されるため、富裕層は不動産の評価額を大きく減額し、相続税を抑えることができる。
このような税制の特例を活用することで、富裕層は節税対策を行い、大きな納税の回避が可能となっている。
富裕層は消費税をほとんど支払わない
ザイム真理教の教義は、税制上の不公平を是正せず、消費税の引き上げに重点を置いている。これは富裕層に有利なためである。
消費税は低所得者にとって負担が大きく、逆進性がある一方で、富裕層は経費を通じて消費税を実質的に支払わない場合が多い。
富裕層は自分の会社を通じて、事業に関する支出の消費税を仕入れ控除として取り戻すことができるため、消費税率が上がっても影響を受けない。
公平な税制を実現するためには、消費税を廃止し、すべての所得を総合課税することが望ましい。
しかし、日本では株式譲渡益などを分離課税する現行の制度が続いている。
これは、富裕層やエリート層に有利な措置であり、庶民は教団の集金のターゲットとしてしか扱われていない。
最強の親衛隊・国税庁
富裕層やエリートが財務省に逆らえない主要な理由は、国税庁が幅広い裁量権を持っているためである。
経費認定の基準は、国税庁の担当官の主観に左右されることが多い。
このような状況は、国税庁が企業に対して大きな影響力を持つことを意味しており、実際に経営が困難になるケースも存在する。
また、税務調査の厳しさから、一部の評論家は経費を一切計上せずに確定申告を行うなど、国税を恐れる風潮がある。
かつて民主党は、財務省から国税庁を分離させ「歳入庁」とする提案をしていたが、政権が財務省に屈服する形でこの案は立ち消えになった。
この背景には、国税庁に対する恐怖と、それによる批判の抑制が関連しているとされる。
第8章 岸田政権は財務省の傀儡となった
私が岸田総理の誕生を心待ちにしていたワケ
2021年9月、岸田文雄氏が自民党総裁に就任した。当初、岸田氏は総裁選で党役員の世代交代を訴え、「新自由主義と決別する」と宣言し、分配を重視する政策を提案したため、庶民的な政治が期待された。
しかし、岸田氏の過去の行動には既に疑問の余地があった。2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大に際して、自民党若手議員が消費税の減税を求める緊急声明を発表したが、当時の政調会長であった岸田氏はこれを退けた。
結果として、岸田政権下での政策は初期の公約から変化し、批判されることになる。
緊縮に舵を切った財政政策
2021年11月19日に岸田内閣がコロナ禍で低迷する日本経済の活性化のための経済対策を閣議決定し、財政支出は55.7兆円と報じられた。
しかし、実際の国費は43.7兆円で、さらに実際に補正予算に計上されるのは31.9兆円である。
この補正予算は前年度の補正予算と比較して58%減となり、実質的に経済対策の規模は縮小されている。
具体的な政策では、特別定額給付金が18歳以下に限定され、給付額も大幅に減少している。また、GoToトラベルの補助も大幅に引き下げられ、中小企業への「事業復活支援金」は条件が緩和されたものの、支援額の上限は半減した。
これらの政策は、財政緊縮が一段と鮮明になった形で表れており、岸田政権の財政政策は厳しい財政緊縮へと向かっていることが明らかにされている。
税収を増やす方法はたくさんある
増税が避けられない状況であっても、一般国民の負担を増やさずに税収を増やす方法が存在する。
一つの例として、国外転出時課税制度が挙げられる。
現行の制度では海外に移住する際、持っている有価証券に課税されるが、暗号資産は含まれていない。
暗号資産を海外で売却すれば無税で済むため、この点を改め、相続税相当を課税することで1兆円を超える税収が見込めるとされる。
また、公務員の給与を民間水準に合わせることで、公務部門の人件費から2兆9000億円の財源を捻出可能である。
これらの方法を採用しないのは、財務省が防衛費の増大を理由に大衆増税の道筋を準備しているためだと考えられる。
爆発的に拡大した防衛費
岸田内閣が2023年度の予算案で防衛力強化という名目で防衛関連費を大幅に増額させた一方で、社会保障費を事実上カットしていることが明らかになった。
防衛費は前年度比で89%増となり、防衛関係費は10兆1686億円に上った。また、高齢者の医療負担増や国立病院機構からの積立金返納などを通じて、防衛財源への振り向けが行われた。
さらに、2023年度予算で財政引き締めが進行し、基礎的財政収支の赤字が前年度比で大幅に削減された。
このような財政政策は、消費税率の減税など他の社会支援策に資金を回せば国民生活の改善に寄与するはずであるが、政府は防衛費増額を優先している。
また、妊産婦への給付金に対する財源確保がされていない点も問題視されており、政府はこれを消費税増税の口実にしようとしている可能性がある。
国民の命より財政
岸田政権のコロナ対策の方針において、財政緊縮が強く反映されている。
2022年3月17日に、まん延防止等重点措置を多くの都道府県で終了させ、解除基準を大幅に緩和した。
この決定は、高水準の新規感染者数と病床のひっ迫が続く中で行われた。
また、厚生労働省は新型コロナの濃厚接触者の自宅待機期間を短縮し、外国人の入国制限を撤廃して全国旅行支援を開始した。
これらの政策は、経済活動の再開を優先し、感染症対策の緩和を進めたが、これにより日本は過去最大の感染波に直面した。
2023年3月13日には、マスク着用を個人の判断に任せ、5月8日からは新型コロナウイルスの法的な分類を下げることを決定した。
これらの措置は、財政健全化を目的とし、コロナ対策の規模縮小により、大きな財政負担の削減を図ったものである。
その一方で、多くの高齢者や基礎疾患を持つ人々の命にリスクを冒すこととなり、日本がかつて国民の命を最優先に考える国であったという価値観と矛盾していると指摘されている。
岸田総理の変節
岸田政権が「新しい資本主義」と称して打ち出した政策について、最初は分配を重視する経済政策として期待されていたが、その後、政策は変更され、金融所得課税から金融所得減税へと転じた。
ロンドンでの講演では、岸田総理がアベノミクスの継承を強調し、「資産所得倍増プラン」という新政策を発表した。
この方針転換は、特にウクライナ戦争の影響を受けて原発の再稼働が打ち出された背景もあり、政策の継続性と変化が見られる。
さらに、財政・金融政策においても緊縮路線が進められており、特に日銀の金融政策においては、金融緩和派の退任後、金融引き締めにシフトしていることが確認されている。
このような政策の転換は、日本経済に潜在的なリスクをもたらす可能性があると指摘されている。
また、岸田総理は経済や金融政策に関して自信を見せているが、過去の例と比較して、その自信が日本経済にとって必ずしも良い結果をもたらすとは限らないとの懸念が示されている。
特に、世界経済が低成長にある中での日本の政策方向性が問われている。
あとがき
本書の執筆動機は、日本国民が財政均衡主義から脱却し、その結果として国民生活が改善される必要性を理解してもらうためである。
しかし、ザイム真理教の影響が強い現状では、一般の意識を変えるのは難しいかもしれない。
著者は、国民が立ち上がり、変革を求めることを望んでいるが、現実は厳しい。
テレビ番組での経験から、財務省に解散命令を出すべきだと主張したが、賛同者はいなかった。
現政権のもとで言論の自由が制限されていると感じており、本書の出版も困難を極めたが、三五館シンシャだけが出版を引き受けた。
森永卓郎は、この本を通じて、日本で起きている事実を多くの人に知ってもらいたいと願っている。
Share this content:
コメントを残す