「投資依存症」投資って病気なの? 感想・ネタバレ

「投資依存症」投資って病気なの? 感想・ネタバレ

どんな本?

『投資依存症』は、投資が一種の依存症であり、リスクを伴う行為であることを警告する一冊である。著者は、投資をギャンブルに例え、多くの人々が「貯蓄から投資へ」というスローガンに引き寄せられている現状を危惧していた。この本では、株式や投資信託のリスクが非常に高いものであり、特にバブルが崩壊した際に大きな損失を被る可能性が高いことが詳しく説明されている。

金融業者やメディア、そして政府がバブルの引き金を引く様子も描かれ、投資の裏にある危険な仕組みが明らかにされている。また、投資依存症がどのように広がり、多くの人々が破産に追い込まれるかについて、実例を交えながら解説している点が本書の特徴である。

投資に興味を持っている人や、老後資金を運用しようと考えている人にとって、この本は必読である。著者は「お金を自動的に増やすことはできない」というメッセージを通じて、読者に投資のリスクを理解し、慎重な判断を促している。

読んだ本のタイトル

投資依存症
著者:森永卓郎 氏

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あらすじ・内容

政府の「貯蓄から投資へ」の旗振りのもと、多くの国民が投資に夢中になっている。それは”投資依存症”という依存症の一種だ。アルコール依存症にしろ、麻薬依存症にしろ、覚醒剤依存症にしろ、一度罹患してしまうとその治療は極めて困難だ
誰かが止めないと、日本中に投資依存症が広がり、バブル崩壊にともなって日本中に破産者があふれてしまう。
投資依存症の感染力はとても強く、いまの日本は投資依存症の「パンデミック」前夜まで来ている。(本文より)

「投資とギャンブルは違うものだ」と考えている人は多いだろう。
しかし、投資の本質はギャンブル以外の何ものでもない。
老後の生活資金を、NISAを使って投資信託で運用しようとしている人は、老後の生活資金を賭けて競馬や競輪をやっているのと同じだ。投資の世界も競馬や競輪と同じで、結局はゼロサムゲームとなる。お金が自動的に増えていくことはありえないからだ。
そのことを本書で解説しよう。

投資依存症

感想

相変わらず森永卓郎さんの本は、呼吸が合うのか読みやすい。

依存症、自身の経験からするとカフェインかな?
今でも依存してるけど、一時期は手が震えるほどガン決まりした事もある。鼻血も出したな、、
本書ではギャンブル依存症のような『投資依存症』について書いていた。

『投資依存症』は、投資が危険な依存症の一種であることを警告する物であった。
著者は、日本政府が掲げる「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、多くの国民がリスクの高い株式や投資信託に手を出している現状を問題視していた。

特に、新しいNISA制度を通じて、多くの人が老後資金を投資に回しているが、これはギャンブルと同じリスクを抱えていると指摘している。
バブルのメカニズムや金融業者の役割、そしてメディアや政府の扇動がどのようにバブルを引き起こすかが具体的に説明されていた。
また、投資依存症がいかに強力で深刻な問題であるかを、ギャンブル依存症と比較しながら解説していた。

この本を通じて、投資の危険性が非常に分かりやすく説明されていた。
「投資はギャンブルと違う」と考えていた人々に対して、著者はその誤解を正すべく、投資の本質がゼロサムゲームであることを強調していた。

特に、金融業者が常に利益を確保している現実や、一般の投資家がバブルに巻き込まれて破産するリスクについても触れていた部分は印象深かった。
さらに、SNS型投資詐欺の実例が紹介され、投資がもたらす危険が現実の問題として迫ってくる感覚を味わった。

この本は、単なる経済解説書ではなく、読者に対して「投資から手を引くべきだ」という強いメッセージを伝えている。
読み終わったあと、投資を軽視せず、慎重に考える必要性を強く感じた。
また、著者の平易で親しみやすい文体が、難解なテーマを理解しやすくしており、投資について深く考えるきっかけを与えてくれる一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他ノンフィクション

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Nonfiction

備忘録

まえがき

『非投資の教科書』の著者は、『転換の時代を生き抜く投資の教科書』を読んだことがきっかけで、本書を執筆する決意を固めた。
後藤氏の著作は、論理的で客観的かつ丁寧な経済解説で、読者を煽らずに投資の仕組みを伝える点が特徴であった。
著者はこの内容に感銘を受けながらも、投資に対する危険性を感じ、「非投資の教科書」を書く必要性を認識した。

後藤氏の著作は、直接的に投資を推奨していないにもかかわらず、多くの読者が投資に興味を持つ可能性があると感じた。
この状況が、著者にとって最も危険な部分であった。
著者は投資依存症のリスクを強調し、日本中に広がりつつある「投資依存症のパンデミック」を防ぐことが本書の最大の目的であると述べた。

また、著者はギャンブル依存症の例を引き合いに出し、投資依存症がいかに深刻な問題であるかを説明した。
株価が下落したとき、冷静な判断ができない人々がさらなる損失を招く「ナンピン買い」などの行動に走ることが懸念されていた。
著者は、投資の本質がギャンブルと変わらないものであると考え、投資による破産者が続出する未来を危惧した。

この文書全体を通じて、著者は投資依存症の危険性を訴え、それを防ぐために「非投資の教科書」を書く必要があると強く感じていた。

第 1章  
お金が自動的に増えることはない

多くの人々が「投資はギャンブルとは異なる」と理解していた。
ギャンブルはゼロサムゲームであり、誰かが勝てば誰かが負ける。しかし、投資はプラスサムゲームであり、全体のパイが増えると信じられていた。
ニューヨークダウや日経平均株価が長期的に上昇しているため、投資は老後資金を増やす手段と見なされ、多くの国民がそれに期待していた。

政府も「貯蓄から投資へ」を推奨し、2024年から新しいNISA制度を導入して投資を後押ししていた。
過去のデータでも、1970年から2024年までの間にニューヨークダウが49倍、日経平均株価が16倍に成長していたことが、投資の成功を裏付ける要因とされていた。

しかし、著者はこの理解が根本的に誤っていると考えていた。
投資はギャンブルと同じくゼロサムゲームであり、自動的にお金が増えることはないと述べた。
お金は労働のかたまりであり、増やす唯一の方法は働くことであると主張していた。

また、株式市場でお金が増えたように見える理由として、「格差の拡大」と「バブル」を挙げた。
強者の企業が弱者の企業から収奪することで、一部の企業だけが利益を上げていた。
また、バブルの影響も多くの人々に「投資でお金が増える」という幻想を抱かせていた。

著者は、日本経済が低成長期に入った1975年以降、大企業と中小企業の賃金格差、男女間の格差、その他あらゆる格差が拡大している現実を指摘していた。
この格差拡大は、大企業による中小企業や正社員による非正社員からの収奪が原因であると考えられていた。

地域間格差が拡大した原因として、地方での収入が減少し、若者が大都市へ移住する傾向が強まったことが挙げられる。
政府の農業補助金削減や公共事業縮小、輸入規制の緩和が地方経済を圧迫し、結果的に地方の生活が困難になった。
この流れにより、大都市では資産を増やす人々が存在する一方、地方では生活が厳しくなった。

投資に関しては、ギャンブルと同様に「勝つ人」がいる分だけ「負ける人」が生まれていると著者は主張した。
株価の平均値は、勝ち組の企業によって構成されているため、全ての企業が利益を上げているわけではない。
ニューヨークダウや日経平均も、実際には少数の勝ち組企業によって押し上げられているにすぎなかった。

また、労働者への報酬抑制が資本家の利益拡大の一因であり、ピケティの「r > g」という法則がこの現象を裏付けていた。
資本家は労働者から収奪することで利益を確保し続けてきたが、この方法には限界があると著者は指摘した。
労働者の報酬が抑制されすぎると、消費が減少し、企業の経営も立ち行かなくなるからである。

さらに、資本主義におけるバブルの存在が株価を押し上げてきたことも説明された。
バブルとは、労働価値を超えて価格が不当に上昇する現象であり、資本主義の歴史の中で何度も繰り返されてきた。
このメカニズムが、投資がギャンブルと同様にリスクをはらんでいる理由であると著者は述べた。

第 2章  
バブルはこうして生まれる

バブルが発生する理由は、人々が「今買えば将来値上がりする」と思い込むことにあった。
魅力的な投資対象が注目され、買い手が増え価格が上がり、その結果、さらに多くの人々が利益を得ようとして参入し、投機が広がるというメカニズムが働いた。

最初のバブルは1630年代のオランダで、チューリップの球根が投機対象となり、極端な高騰を見せた。
しかし、1637年に価格が暴落し、多くの人々が破産した。歴史的にバブルは繰り返され、100年後には「ヒヤシンスバブル」が発生した。

このバブル現象は欧米だけでなく、日本でも見られた。
明治時代にはウサギが投機対象となり、価格が高騰したが、ウサギ税が導入されるとバブルは崩壊し、多くの人々が損失を被った。

バブルの進化とともに、初期は実物の商品が投機対象だったが、時代が進むにつれ、金融商品が主な対象となった。
代表的な例としては、フランスでの「ミシシッピ会社事件」とイギリスでの「南海泡沫事件」があり、これらも最終的に株価が暴落し、多くの投資家が損失を被った。

また、1920年代のアメリカでは、技術の進展や大衆消費社会の確立など、好条件が重なり経済が好調を迎えた。
この時期、株価は大幅に上昇し、アメリカの経済繁栄は永続すると信じられていた。
しかし、この楽観的な見方がバブルを引き起こし、最終的には崩壊に至ったのである。

1929年、アメリカでは過剰な設備投資により産業の供給力が過剰になり、ついに株式市場が崩壊する事態を迎えた。10月24日の「暗黒の木曜日」と29日の「暗黒の火曜日」で株価は急落し、ニューヨークダウは1932年には最高値の約10分の1となる40.6ドルまで下がった。株価暴落のきっかけは、ゼネラルモーターズの株に大量の売り注文が入ったこととされているが、具体的な原因は明らかではなかった。

この暴落は瞬時に世界へと広がり、結果として世界恐慌を引き起こした。ジョセフ・ケネディは靴磨きの少年の話から市場の熱狂に気づき、暴落前に株を売却し財産を守ったというエピソードもある。また、投資家ウォーレン・バフェットも2000年のITバブル時に関連株に手を出さなかったため、大きな損失を避けることができた。

1929年の株価暴落は、世界中を大恐慌に巻き込み、株式市場に対する深い教訓を残した。著者は、現在の株式市場も1920年代のアメリカを超えるバブルの危機に直面していると指摘し、株価の理論的価値やバブルの原因について検証を進めた。

理論的には、株価は配当金を金利で割ったものであるが、完全競争市場では利益がゼロとなり、株式の価値もゼロになる可能性があった。企業の清算価値があるとしても、その純資産の57%程度が実際の残存価値であり、株価が大きく下がることは避けられないと示唆された。

最後に、著者はバブルを引き起こす主役たちに焦点を当て、バブルのメカニズムをさらに詳しく分析することを予告していた。

第 3章  
強欲な金融業者――バブルの真犯人 ❶

大きなバブルが崩壊すると、多くの投資家は破産に追い込まれるが、胴元(金融業者)は常に利益を確保していた。すべての投資は、結果的にゼロサムゲームであり、ギャンブルと同じ仕組みであった。ギャンブルが続く限り、胴元は確実に儲かり、払い戻し率が低いほど、胴元の取り分は膨らんでいった。

この仕組みは金融業界でも同じで、たとえば投資信託においても運用会社が信託報酬を受け取り続け、投資家が損失を被っても手数料は変わらなかった。運用会社は手数料を確保し続けるため、金融業者はギャンブルの胴元のように常に利益を得ていた。

また、バブルの崩壊で多くの投資家が破産する原因の一つは、借金をして投機に参加したことであった。金融業者は「レバレッジ」という手法を用いて投資家に大きな投資を促し、わずかな株価の下落でも破産を招く状況を作り出した。このレバレッジの構造は1920年代のアメリカや1990年代の日本のバブル崩壊でも見られ、投資家に大きな損失をもたらした。

さらに、近年では投資信託や不動産投資信託(J-REIT)にもレバレッジが組み込まれており、個人投資家が自覚しないままに借金を伴う投資を行っていた。相場が下落すれば、投資家は瞬く間に破産に追い込まれる可能性が高まった。

日本で最も給料が高い会社はゴールドマン・サックスや三菱UFJモルガン・スタンレー証券などの投資銀行であった。投資銀行は、企業の乗っ取りやリスクの高い金融商品の開発など、法規制のギリギリを狙った金融仲介業者であった。社員は高い報酬を得ており、年俸と退職金により税制上の優遇を受け、実際の報酬は表面上の額よりもはるかに高かった。

ゴールドマン・サックスの内部事情について、元社員が執筆した暴露本からも明らかになった。投資銀行では、空売りをはじめとした金融技術が活用され、相場の操作を通じて利益を得ていた。高額な報酬は得られるが、そこに社会的貢献や正義はなく、ただのマネーゲームであった。

また、著者は『リーマンの牢獄』という本を通じて、リーマン・ブラザーズの破綻や投資銀行の実態を明かした。投資銀行の三大業務は、企業の乗っ取り、高リスク商品である「仕組み債」の開発・運用、そして空売りによる相場操作であった。これらの業務がバブルや金融危機の引き金となり、特にリーマンショック時には大きな影響を与えた。

投資銀行の社員は高額報酬を得る一方で、豪奢な生活を送り、金遣いも荒かった。このような背景から、再び金融危機が訪れる可能性が指摘されていた。

ライブドア事件の背後には、堀江貴文氏(ホリエモン)と投資銀行リーマン・ブラザーズの関与があった。2005年、ホリエモンはニッポン放送株を大量取得し、フジテレビの支配を狙った。しかし、そのための巨額資金はリーマン・ブラザーズからの借入で調達された。リーマン・ブラザーズは、ライブドア株の空売りを行い、株価を操作して巨額の利益を得た。最終的にニッポン放送の買収は失敗したものの、リーマン・ブラザーズは数百億円の利益を上げた。

その後、ホリエモンは違法ではないが道義的に問題がある行動であったと認めている。彼は「合法的な範囲で最大限のリスクを取った」と述べ、資金調達の手段として行った行為を正当化した。リーマン・ブラザーズのスキームは違法かどうかは微妙であったが、彼らの行動は、利益を得るために倫理を無視する投資銀行の典型的な手法であった。

また、同時期に起きたSNS型投資詐欺でも、多くの人々が大きな被害を受けた。特に、偽の著名人を装った詐欺が横行し、投資家は高額な投資商品に誘導され、最終的には資金を失った。

イスラム世界では、金利を取ることが宗教的に禁じられている理由は、金融仲介業者が庶民から利益を巻き上げる構造にある。歴史的には、キリスト教でも同様の規制が存在していたが、ルネサンス期のイタリア・フィレンツェでメディチ家が教会に絵画を寄付することでその地位を高め、金融業者の地位が向上していった。

メディチ家は宗教画を通じて教会に取り入り、教会幹部や自身の姿を絵画に描かせることで、徐々に影響力を強めた。このように、カネの力で地位を高める手法は現代でも変わっていない。アメリカでは、金融業界が政治に巨額の献金を行い、リーマンショックの際も政府から救済を受けた。

しかし、金融業界の本質は、昔から変わらず、庶民から利益を吸い上げる存在であり、エリートと勘違いされているが、その本質は「牛馬」と同じであった。

第 4章  
扇動する政府とメディア――バブルの真犯人 ❷

バブル発生時には、金融仲介業者や詐欺師たちが主導するが、メディアや評論家、政府も大きな役割を果たすことが明らかにされた。1920年代のアメリカでは、個人主義と消費が美徳とされ、大衆はバブルに酔い、株価バブルが形成された。しかし、実際に利益を得たのは富裕層と大企業であり、庶民が恩恵を受ける唯一の手段は株式投資だった。

バブル時には「新奇な技術や商品」が登場し、メディアや評論家がそれを煽ることで投資熱が高まった。これには1630年代のチューリップバブルや1920年代の自動車、家電製品バブル、ITバブルが該当する。これらは技術的には新しいものではなく、庶民は技術を正確に理解できず、幻想を抱いて過大な投資をしてしまった。

現代では、生成AIや半導体がバブルのテーマであるが、その見通しはバブルであると考えられる。歴史的に技術的優位が長続きしないことも示されており、生成AIがどれほど人類の生活を改善するかは疑問である。

また、バブル時のメディアや評論家は、成長が確実に保証されているともっともらしい見通しを流布し、大衆を扇動した。1980年代の日本のバブル崩壊前夜でも、エコノミストたちはバブルの兆候を認識せず、楽観的な見通しを語っていた。

2024年現在、エコノミストたちは依然として株価上昇を楽観視していたが、バブルの「満期」が近づいていることを示す指標がいくつか存在していた。例えば、シラー教授が考案した「CAPEレシオ」は、すでに25倍を超える期間が120カ月以上続いており、これは過去のバブル崩壊の前兆と一致している。また、ウォーレン・バフェットが考案した「バフェット指標」も200%に達し、割高な株価を示していた。

評論家たちはバブルの存在を認めず、長期・分散投資が安全であると推奨していたが、実際にはギャンブルと同様に、分散投資や長期投資が必ずしも利益を生むわけではなかった。特に、バブル崩壊後に損失を回復できるかどうかは不確実であり、資本主義が終わる可能性もあると指摘された。

また、過去100年間の企業創業の流れを振り返り、第一次世界大戦後の大転換期に多くの企業が誕生したことが示された。今回のバブル崩壊後にも、同様の構造転換が起こると考えられ、特に「SINIC理論」に基づく「自律社会」への移行が予測された。この社会では、人工知能やロボットが定型的な仕事を担い、人間は創造的な仕事に専念することが求められるとされた。

資本主義が行き詰まる理由として、マルクスは150年前に4つの要因を挙げていた。それは、①許容できないほどの格差、②地球環境破壊、③少子化、④ブルシットジョブの蔓延である。現代社会ではこれらの問題が顕著に表れており、特に格差や環境問題は深刻化している。地球温暖化により気温上昇が進み、少子化も先進国で進行している。さらに、労働環境の悪化が「ブルシットジョブ」を増加させている。

加えて、SNSを通じた投資詐欺も広がっており、企業の対応が遅れていた。特にメタ社が詐欺広告を放置していたことが指摘され、広告収入を重視する企業の姿勢が問題視された。政府は「貯蓄から投資へ」を推進し、新NISAを導入したが、国民は大きなリスクを背負うことになり、バブル崩壊後には老後資金を失う可能性もある。このように、国民全体が投資依存に陥る危険性が指摘された。

2025年に開催予定の大阪・関西万博の建設費が予算を大きく超え、国民の負担が増加していた。さらに、参加国の撤退やパビリオンの建設遅延により、万博への期待が低下していた。1970年の大阪万博と比べて、現代では情報通信技術の進展や技術革新の減少により、万博の意義が失われていた。

調査によると、多くの国民が万博に興味を示しておらず、入場者数も当初の予想を大きく下回る可能性が高かった。筆者は、万博の中止を提案し、リソースを被災地支援に回すべきだと主張していたが、大阪府市や国は万博を強行する構えであった。

万博推進の背景には、カジノ建設のためのインフラ整備が隠されていた。カジノ建設に反対する声もあったが、財政収入のために大阪府市と国はギャンブル依存症の増加を容認する構造を作り出していた。

第 5章  
そして、あなたは熱狂する――バブルの真犯人 ❸

ナイーブな人々がバブルや詐欺に巻き込まれる原因について、筆者はその責任が彼ら自身にもあると述べていた。特にSNS型投資詐欺の被害者は、自分の欲望や無知から騙されたと指摘している。筆者は、自分が投資アドバイスを行うことが法的にあり得ないにもかかわらず、被害者たちは詐欺師の巧妙な言葉や偽情報に騙されたと述べていた。

また、詐欺師が提供する投資情報の多くはでっち上げであり、被害者たちは簡単に調べられる事実を確認せず、疑うこともなかったと指摘していた。さらに、人間は「安楽」と「快楽」という欲求に支配され、特に「快楽」を追求するあまり、不合理な選択をしてしまうことが多いと述べている。

筆者は、こうした状況に陥ることは誰にでもあり得ると警告し、人間の「快楽」への誘惑が詐欺やバブルを助長していることを強調していた。

人々が投資やギャンブルなどに依存する原因について述べられていた。この依存は、快楽を追い求める性質に根差していると説明され、特にSNS型投資詐欺の被害者にも責任があるとされた。著者は、詐欺師の投資アドバイスや情報は信用すべきではなく、被害者は自身の欲望や無知によって騙されたと指摘していた。

また、快楽には「安楽」と「快楽」という二つの刺激レベルがあり、多くの人が後者に強く引き寄せられると説明された。笑いや芸術、投資の世界でもこの刺激の変化が重要であり、人々は「快楽」に対する依存から抜け出すことが難しいことが強調されていた。

さらに、バブルや投機対象に人々が熱中する理由として、過去の成功体験や損失を取り戻そうとする欲望が挙げられており、これはギャンブル依存症と同じ構造であると述べられていた。

第 6章  
投資とどう向き合うか

文書では、新しいNISA制度の下で投資が広がる一方で、そのリスクについて警鐘を鳴らしていた。特に、著者は「今すぐ全ての投資から手を引き、預貯金に戻すべきだ」と強調し、バブル崩壊や円高による損失が大きくなる可能性を指摘していた。また、物価連動債や投資信託などの選択肢についても説明されたが、根本的に「お金を自動的に増やすことはできない」と断言された。

さらに、詐欺に遭った人々の実例が紹介され、その背後には「投資でお金を増やしたい」という欲望があるとされた。特に、詐欺師に騙された69歳の女性のケースを取り上げ、家や貯金を失った状況が描かれていた。

著者は、こうした事例を踏まえ、投資から完全に手を引くことが最善策であるとし、金融業界の危険性と詐欺の横行に警戒を促していた。また、詐欺被害に遭った人々が再び立ち直るためには、行政の支援を借りながら新たなスタートを切る必要があると強調された。

あとがき

2024年7月、日経平均株価が8営業日連続で下落し、わずか10日間で3608円も下がった。著者はその時点で「バブル崩壊が近づいている」と警鐘を鳴らしていたが、その後、株価は急回復し、日本社会に投資依存症が蔓延していることを実感したという。

著者は、政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、国民を投資に引き込もうとしていることに懸念を示し、老後資金不足を投資で補おうとする考えを危険視していた。また、政府の方針に対しても、投資依存症を広めているとして批判的な姿勢を見せていた。

著者は、安全な老後を過ごすためには、投資から手を引き、自産自消の生活を送るべきだと提唱していた。具体的には、大都市を離れて田舎に移住し、自給自足の生活を進めることを推奨していた。この考えは、彼自身が実践しているライフスタイルでもあった。

最後に、著者は投資依存症から抜け出し、明るい人生を取り戻すことが重要だと訴え、自身の経験と提言をもとに、読者が投資のリスクを理解し、健全な生活に向けて進むことを願っていた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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