どんな本?
いずれ魔王と勇者の戦いが世界の命運を決める。そんなRPGゲームの世界へ転生したことを思い出した貴族の子息ヴェルナーは、本来名前も出ずに死を迎えるモブ。理由は魔王軍による王都襲撃だろう。そう判断したヴェルナーは悲劇を回避するため、前世の知識と知恵を総動員して生き残る術を模索する。
1巻のあらすじより引用
ゲームの知識で己を鍛え、勇者マゼルと親友になり……迎えたゲーム開始イベント『魔物暴走(スタンピード)』。勇者(しんゆう)のいない戦場で、誰も気付かなかった魔物の狙いを阻止し獅子奮迅の活躍を見せたヴェルナーは、ゲームの歴史をも変えることに――!?
読んだ本のタイトル
魔王と勇者の戦いの裏で 2 ~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~
英語タイトル:Reincarnated Into a Game as the Hero’s Friend: Running the Kingdom Behind the Scenes
著者:#涼樹悠樹 氏
イラスト:#山椒魚 氏
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あらすじ・内容
転生したゲーム世界で、魔王軍襲撃によるデッドエンドを回避すべく奮闘するモブ貴族のヴェルナー。
魔王と勇者の戦いの裏で 2 ~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~
ヴェリーザ砦の戦いから王都へ帰還するも、彼に休む暇はない。勇者マゼルのパーティーメンバーが集い始めるなか、ヴェルナーは魔物に滅ぼされた隣国の難民を護送する任務へ就くことに。更には前世の知識を活かして王都の水不足解消にも一役買い、八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せる。
一方、奪われた砦に巣くう魔族(ボス)を打ち倒したマゼルら勇者パーティーは、いよいよ魔王討伐の旅へと出立。勇者とモブ、それぞれの戦いは次の舞台(ステージ)へ――
伝説の裏側で奮闘するモブキャラの本格戦記ファンタジー、第二幕。
プロローグ
ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトがヴェリーザ砦からの救出撤退作戦を終えた後、翌日から活動が始まる。彼は重臣へ報告し、王太孫の相談に乗り、マゼルたちと話し合う。その後、自宅である伯爵邸を訪れ、救護所で負傷した労働者や兵士たちの治療状況を確認する。ヴェルナーは救護所でエリッヒ・クルーガーと話し、彼にさらなる協力を依頼する。また、部屋の人々に銀貨を渡し、秘密を守るよう頼む。夜には父から兵を率いることを命じられる。
一章
ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトは父親から兵を率いることを命じられ、トライオット国の魔軍による攻撃後、難民がヴァイン王国に流入することを予測し、国境で難民の警備と出迎えを担う。クナープ侯爵領が対応地点とされる。セイファート将爵と共に行動を開始し、ノルベルトの協力を得て、冒険者ギルドから斥候を雇う。王宮から地図を入手し、マゼルとルゲンツを招き、支援と協力を求める。ヴェルナーは伯爵家を出発し、王城へ向かい、騎士団との合同会議に参加し、トライオットの滅亡による難民問題を討議する。
二章
ヴェルナーは難民護送任務に関与し、兵士と騎士が護衛を行う。難民数と護衛数の不均衡に苦労しながら、様々な課題に対処する。また、アンハイムで発生した旧トライオット王国の貴族とのトラブルを解決する。彼は魔物の襲撃に備えて、斥候が発見した魔物を冒険者や傭兵団が迅速に退治するシステムを採用し、その指導と管理を担当する。夜間は兵士たちが鎧の手入れを行い、ヴェルナーは指揮官としての役割を果たす。難民をクナープ侯爵領に護送し、帰路は難民の速度に合わせる。
三章
ヴェルナーは王太子やマゼルたちの凱旋の翌日、騎士叙任式に出席し、新騎士たちの忠誠を見守る。式の後、フレンセンという執事補が彼の専任補佐として指名される。その夜、ヘルミーネが兄タイロンを訪ね、アンスヘルム・ジーグル・イェーリング伯爵令息と会話を交わす。翌
朝、ヴェルナーの屋敷にマゼルたちが集まり、ヴェリーザ砦奪還の功労者たちと話を聞く。フェリがヒルデア平原と砦の戦いに参加しており、戦いの経験談を共有する。最後に、フェリに飛行靴を渡し、ハーフェンの町への瞬間移動を試みさせる。
エピローグ
ヴェルナーが難民護送任務に関わり始めた頃、アーレア村では魔物の増加と凶暴化に対応し、村の塀を強化する作業が行われている。村長は兵士の派遣を領主に要請しており、その要請が遅れているとは知らされていない。アリー・ハルティングが家庭菜園で働く娘リリーと再会し、マゼルからの手紙を受け取り、家族はその手紙を通じてマゼルが無事であることを確認し、安堵する。その手紙には、マゼルが王都で冒険者や学生として活躍し、ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトが多くの人々を救ったことも記されている。夜、リリーは兄の手紙を読み、彼の健康と安全を祈りながら就寝する。
前巻からのあらすじ
勇者の親友が転生者。
最初は関わるつもりが無かったのに、なんだかんだと頼られたら断れない性格と大臣の息子という立場のせいで、平民で立場の弱い勇者の後ろ盾になってしまう。
勇者を配下に置いた王族は、今迄後ろ盾になっていたヴェルナーに勇者マゼルを子爵家の騎士にしたらどうだと言われたが、、
彼とは友人でいたいと言って拒否。
裏の意図としては、マゼルは王女と恋仲になって後々には彼女の夫になるのを知っており。
どの道マゼルは王族になり、その彼を部下にしていたという実績は、後々に面倒臭い関係になる。
それなら最初から上司と部下の関係にならないのが吉だと思っての行動だったりする。
その行動で、野心が無いと王族に評価されたが、、
そして勇者マゼルには仲間と共に良い装備を揃えるために、良い装備を売ってる街に買い出しに行くように依頼を出し。
勇者パーティー(予定)に商品の護衛依頼。
国軍の装備を充実させ、さらに勇者パーティーの装備も強化。
そして、国の仕事では魔族の侵攻に対応する。
何気に活躍してね?
感想
ヴェルナーの住む王国の隣国が魔王軍に敗退してしまった。
その戦禍から逃れるために多くの難民が国境に押し寄せて来た。
その難民を王都近くに誘導するために、貴族の私兵達も動員される。
子爵家の跡取りのヴェルナーは、そんな難民の護衛部隊の一部を指揮する事になるのだが、、
何故か進行の計画を任せられ、冒険者を斥候に出して魔獣を発見させて、冒険者達が魔獣を討伐。
冒険者を突破しても貴族達の私兵、騎士がいる。
ヴェルナー曰く。
護送船団方式。
その時の作戦立案。
さらに難民キャンプへの内政的な話を高級官僚達(父親含む)と協議しているヴェルナーは学生なのにベテランの官僚のように話について来る。
さらに今回はサイフォン式現象を利用しての王都近隣の開拓を提案して来る始末。
それが面白いと皇太子はより一層、ヴェルナーに仕事を振ってくる。
それに応えながらも何となく、国の中枢に食い込んで行ってしまうヴェルナー。
それでもこの世界はゲームの世界。
主役は勇者のマゼルである。
そのマゼルはヴェルナーの援助で新調した装備を身に付けて、占領された砦に巣食う魔獣を駆る。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
魔王と勇者の戦いの裏で魔王と勇者の戦いの裏で
その他フィクション
備忘録
プロローグ
ヴェルナーはヴェリーザ砦からの救出撤退作戦を終え、翌日は朝から忙しく動いていた。
重臣への報告後に王太孫の相談に乗り、マゼルたちと話し合った後、自宅である伯爵邸に立ち寄り、救護所に向かった。
ヴェルナーは負傷した労働者や兵士が治療を受けている救護所で、貴族や騎士とは別の施設で治療されている点を説明している。
彼はヴェリーザ砦の怪我人に話を聞きたくて救護所に訪れ、袋で寄付金を渡し、情報収集を行った。
救出撤退作戦では数十人の騎士や兵士を含む三桁の人数を救出したが、戦闘能力のある者は限られていた。
ヴェルナーは救護所で軽傷者から砦の内部情報や敵の詳細について質問し、クナープ侯のカスタマイズした砦の内部構造について聞き取りを行った。
彼は部屋の人たちに銀貨を渡し、秘密にしてもらうよう頼んだ。
その後、治療にあたっていたエリッヒ・クルーガーという人物に声をかけた。
ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトは救護所でエリッヒ・クルーガーと会話を交わす。
エリッヒは修道僧であり、回復魔法と戦闘の能力を持つ。
ヴェルナーは彼に負傷者の治療に対する感謝を述べ、エリッヒはそれに対して礼を言う。
ヴェルナーはエリッヒに砦が奪われた問題やクナープ侯の死後の扱いについて説明し、エリッヒの反応を観察する。
さらに、エリッヒが勇者パーティーのメンバーであるため、その知識や情報が重要であると判断し、彼に更なる協力を求める。エリッヒは協力を申し出て、宿泊している宿の名前を教える。
ヴェルナーは後日、友人との会談を設定し、彼を王都に留めることを計画する。その夜、ヴェルナーは父から兵を率いることを命じられる。
一章(隣国滅亡 ~水道と利水 ~)
ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトは、父親から突然、兵を率いることを命じられる。
トライオット国が魔軍に攻め滅ぼされ、その結果、難民がヴァイン王国に流入することが予想されているためだ。
トライオットの王都は強襲され、王族や騎士団がほぼ全滅しており、生存者はほとんどいないとされている。
この難民を受け入れずに放置すると、難民が暴徒化する恐れがあるため、ヴェルナーは国境での難民の警備と出迎えを担うことになる。
難民の受け入れは、トライオットと隣接するクナープ侯爵領が最初の対応地点であり、クナープ侯が戦没しているため、その責任はヴェルナーの家族に委ねられた。
ヴェルナーはこの重大な任務を遂行するため、セイファート将爵と共に行動することになる。
ヴェルナーは急速に変化する状況に対応するため、軍の準備を父親に任せ、ノルベルトの協力を得て冒険者ギルドから斥候を雇い、王宮から地図を入手する手配をする。
さらに、マゼルとルゲンツを伯爵家に招き、将来の支援と協力を求める。
この間にも、教育の重要性や郵便通信の困難さを説明するなど、さまざまな準備と対策が進められる。
ヴェルナーは伯爵家の執事に見送られ、夜間に館を出る。マゼルとルゲンツは建物を振り返りながらため息をつく。
二人はヴェルナーの行動や思考を理解するのが困難であることを認め合う。
特にヴェルナーは、この世界でのゲームの知識や前世の経験を基に行動しており、その行動基準が常識とは異なるため、他人からは理解しにくい。
また、マゼルたちはヴェルナーの活躍を聞き、彼の予測が正確であることに驚く。
ヴェルナーがゲームのストーリーをなぞっているとは知らないため、彼らにとってヴェルナーの行動は予言のように思える。
マゼルはヴェルナーに追いつく努力を続け、ルゲンツは彼の決意を軽く笑って受け入れる。
ヴェルナーの知らない事実として、彼の行動がマゼルの成長に影響を与えていることが明らかになる。
ヴェルナーの提案により、マゼルは自分の能力を伸ばすためにも、エリッヒ・クルーガーと会うことに同意する。
二人はヴェルナーの推薦に基づいてエリッヒと会う約束をし、その後のパーティー組成についても合意に達する。
ヴェルナーは早朝から王城へ向かい、騎士団との合同会議に参加する。
この会議は、トライオットの滅亡により発生した難民問題など複数の議題に関するものであり、様々な部門の代表者が出席している。
ヴェルナーは会議での議題の優先順位を理解しつつ、難民問題に特に注目する。彼は難民の受け入れとその後の対応について緊張感を持って取り組む。
また、難民の状況について詳細な情報が共有され、男女比や難民の総数などが話し合われる。難民の数が多いため、食料や水の確保が大きな課題となっている。
ヴェルナーはこれらの議題に積極的に参加し、彼なりの知識を活かして対策を提案しようと努力する。
その後、王都近郊で難民を一時的に保護する計画が進められるが、永続的な解決策についてはまだ決定されていない。
ヴェルナーは貴族間の議論に疑問を感じつつも、自身が提供できる意見や知識で会議に貢献しようとする。
ヴェルナーは、王城での会議において、実験を行い、水路を利用した水の輸送方法を示した。
彼が使ったのは、瓶とチューブを使用した実験で、これにより水が高い場所から低い場所に自然に移動する現象を説明し、これを水道橋への応用が可能であることを示した。
この実験により、水路がいっぱいになれば水は同じ高さに達しようとし、それが水道橋の原理として機能することを証明した。
その後、ヴェルナーは黒板に簡易的な図を描き、さらに詳細な説明を加えて、水道橋を通じて高いところへ水を送る方法を提案した。
彼の提案は興味を引き、会議の参加者から質問が出され、ヴェルナーはそれに対しても迅速に回答した。
最終的に、セイファート将爵はヴェルナーの提案に感銘を受け、工部大臣や水路局長官にこの件を報告し、さらなる議論のために午後にもう一度集まることを決定した。
これにより、ヴェルナーは予期せず重要なプロジェクトに関与することとなった。
ヴェルナーは王城で難民対策の打ち合わせに参加していたが、実験に関連して将爵と共に国王陛下、王太子殿下、工部大臣、水路局長官が待つ会議室に呼ばれる。
そこで、彼がデモンストレーションした水の逆サイフォン現象を用いた水路システムが、王都の水不足解消のために考慮されることになる。
ヴェルナーの技術が注目され、王都の水不足という重要な問題に対する解決策の一環として提案される。
王都が直面している水不足の問題は深刻で、特に王都の水源管理には魔道ポンプが利用されており、その整備は宮廷魔術師隊の日常業務の一部となっていることが明かされる。
この状況下でヴェルナーの提案が王族や首席官僚から関心を引き、彼の技術が王家によって公式に支持されることになる。
会議はヴェルナーの提案に基づいて進行し、彼の技術が水道橋の設計にどれほど応用可能かについてさらなる検討が命じられる。
ヴェルナーは突然の注目と責任の重さに圧倒されつつも、王都の水問題解決に向けて自らの知識と技術を提供することを承諾する。
二章(難民護送 ~護衛と迎撃 ~)
ヴェルナーは難民の移動を伴う護送任務に関与しており、彼らの周囲を兵士と騎士が警護している。
難民の人数が五千人に対して護衛は合計で千二百人となっており、その数は当初の計画から半数に減少している。
これは、正規軍の多くが王都近郊での水道橋建設に従事しているためである。
難民は主に肉体労働に慣れていない町住まいの人々であり、移動速度が遅く、食糧の供給も大きな課題となっている。
ヴェルナーと他の護衛兵たちは、移動中に難民からのさまざまな要求に対応しつつ、必要に応じて厳しい措置を取る場面もある。
また、ヴェルナーは馬に乗る技術が未熟であるため、長時間の騎乗は彼にとって苦痛である。
彼は護送任務を通じて自らの乗馬技術を向上させようと考えているが、それには不満も抱いている。
護送中、ヴェルナーは他の護衛と共に難民グループの安全を確保しながら、様々な課題に直面している。
彼らの護送任務は、単に人々を安全に目的地に移動させるだけでなく、難民の健康や安全に関わる多くの細かな問題にも対処する必要がある。
ヴェルナーは国境の町アンハイムで、亡命した旧トライオット王国の貴族とのトラブルを解決した。
酔った貴族たちが若い女性騎士に無礼な振る舞いをしており、彼女を助けるためにヴェルナーが介入し、問題を抑え込んだ。
ヴェルナーは彼らに対して強硬な態度を取り、必要に応じて国外追放すると告げ、彼らが反論できない状況を作り出した。
その後、問題はミーネたち女性騎士隊との協議を経て収束し、彼女たちはヴェルナーの行動を高く評価した。
この一件で、ヴェルナーは旧トライオットの貴族たちを現地の領主であるクナープ侯爵領に残すことで、彼らがさらなる問題を引き起こすことを未然に防いだ。
ヴェルナー自身はこれを大したこととは考えておらず、むしろ先行く道の心配をしていたが、彼の冷静な対応は周囲からの信頼を築く結果となった。
ヴェルナーは女性騎士隊と頻繁に接触し、その指導と管理を担当している。
彼の戦術は、斥候が発見した魔物を冒険者や傭兵団が迅速に退治するというものであり、このシステムは効果的に機能している。
魔物に遭遇した際は、その発見者に近い冒険者が対処し、報酬は撃退したグループに支払われる。
このプロセスはヴェルナーが取り入れたもので、彼はこの新しい戦術により、地元の冒険者や傭兵団と連携を深めている。
ヴェルナーの部隊は騎士が少なく、他の貴族家からは批判もあったが、彼は効果的に指揮を執り続けている。
また、彼の部隊には女性騎士が多く、これは彼女たちが特定の役割を果たしているためである。
女性騎士たちは一団として行動し、問題発生時には本陣へ連絡を行う役割を担っている。
夜営地の設営には、先行部隊が大枠の区割りを行い、本隊が到着してから実際の設営作業を行う。
このプロセスには時間がかかり、防衛と環境衛生のための準備が必要である。
ヴェルナーはこの複雑な管理を通じて、指導力と戦術的知識を発展させている。
ヴェルナーは夜間、兵士たちが鎧の錆を防ぐための手入れを行っている様子を語る。
鎧は汗や湿度で容易に錆びるため、夜ごとの丁寧なメンテナンスが不可欠である。
特に鎧の可動部が重要で、それが損傷すると翌日の行動に支障をきたすからだ。
貴族階級のヴェルナーは従卒による手入れが可能だが、一般兵士は自ら手入れをしなければならない。
また、魔法で錆びない鎧も存在するが、そのような装備は高価で一般兵士には手が出ない。
ヴェルナーはその夜、本陣に到着し、首脳部と合流する。
彼は陣営内部の巡回査察を担当しており、大規模な難民キャンプの管理には多大な労力が必要である。
風紀の乱れを抑えるためには厳しい罰も設けられており、問題行動を起こした者には「後ろ足の砂かけ」刑として、陣営のトイレ始末を命じる。
彼はまた、食料や飼料の消費、消耗品の管理にも注力している。
これには経理担当者が領収書のない経費を正確に記録し、国に請求する責任が伴う。
夜間は冒険者や傭兵からの報告を受け、魔物の発生状況や対応策についての情報を集め、次の日の行動計画を練る。
この綿密な管理と指導が、ヴェルナーの日常的な業務の一部である。
ヴェルナーは難民を管理下に置くため急ぎ足で行軍を進め、クナープ侯爵領に六日で到着したが、帰路は難民の歩く速度に合わせたため、はるかに時間がかかっている。
その間、魔物の襲撃や難民の小さなトラブルは発生しているが、致命的な事件は避けられている。
また、食事の調整や簡易裁判など、細かな調停が必要となり、彼はその対応に苦労している。
帰路の途中、馬に乗った騎士がフォーグラー伯爵領から緊急の報告をもたらす。
大量の魔獣が現れたという報告を受け、ヴェルナーを含む指揮官たちは急遽集まり、対応策を協議する。非戦闘員を多く抱える彼らは、適切な地形を見つけて防衛準備を整える必要があり、村を利用する案が出される。
しかし、村に全員を収容するのは不可能であり、戦闘ができる男性難民には迎撃への協力を求めることになる。
魔物の襲撃を回避するために、ヴェルナーは地の利を生かした防衛計画を提案し、セイファート将爵はそれを基本として承認する。
計画の具体的な部分をエンゲルベルト伯爵とクレッチマー男爵が担当し、ヴェルナーは斥候たちに敵の動向を探るよう指示する。
これらの一連の出来事はヴェルナーの指導能力と迅速な対応を必要としており、彼はその重責を果たすために奮闘している。
ヴェルナーは王国軍と共に夜間の陣を作りつつ、難民たちにもそれぞれの役割を割り振り、迎撃準備を進める。
難民の中には自ら積極的に協力を願い出る者もいるが、戦力になり得ない者には支援や準備の仕事を任せる。
この時、ヴェルナーは騎士たちに協力を要請し、高圧的な態度を避ける。
魔物の襲撃に備えて水を貯め、準備を急ぐ。
最小単位の隊を形成し、それぞれの長に従うよう指示を出す。
斥候として地形を調査し、可能な罠を仕掛けるための準備も行う。
一人の斥候が報告に戻り、ヴェルナーはセイファート将爵に状況を報告する。
敵の構成は多数の魔物で、中には牙を持つ羊がリーダーとしていることが判明する。
ヴェルナーは羊の攻撃によって眠ってしまう可能性を指摘し、接近戦を避ける戦略を提案する。
将爵と協議した結果、戦略が承認され、ヴェルナーに手配が任される。
彼は冒険者や傭兵を率い、地形を確認し準備を進める。
戦場での成功を保証はできないが、ヴェルナーは可能な限りの準備を行い、その指示に従って行動する。
ヴェルナーの行動や知識が一般的な貴族や騎士のそれと異なることについて、エンゲルベルトとセイファートが話し合う。
ヴェルナーの知識は冒険者に近く、集団戦の戦術を用いる点で騎士道精神とは異なる。
彼の興味が特定の分野に偏っており、その分野に関連する知識を集めて新しい計画を作り出す傾向があるが、興味のない分野には無頓着であるとセイファートは見ている。
ヴェルナーが社交に興味を示さないのも、彼の特異な興味の偏りによるものである。
セイファートとエンゲルベルトは、ヴェルナーのような個性的な人物をどのように評価し理解するかについて話し合い、魔物の群れとの遭遇が予想される状況での補給と戦力の維持について議論する。
ヴェルナーの提案した戦術が採用される中、セイファートはヴェルナーの独特なアプローチを型にはめずに活用するべきだと提案する。
また、今後の補給計画の調整について話し合い、周辺貴族領から購入することと、クナープ侯爵領の復興予算を兼ねての支援を進める方針を決定する。
エンゲルベルトは騎兵を率いる準備を進め、セイファートは全軍に敵の情報を通達するよう指示する。
王国軍が騎兵を使って魔獣の群れを誘導し、準備した罠の方向へ導いた。
エンゲルベルト伯爵が指揮を取り、魔獣を適切に誘導後、自らも騎士団指揮に戻る。
ヴェルナーが率いるツェアフェルト子爵隊とフォーグラー伯爵およびカウフフェルト子爵の隊が、魔獣の攻撃を迎え撃った。
魔獣たちは王国軍に突進し、軍隊は左右に分断されたが、進路上に設置された逆茂木が魔獣たちを大きく阻止する。
逆茂木によって多くの魔獣が貫かれ、停止させられた。
さらに、ヴェルナーが提案した拒馬も戦略的に設置され、魔獣たちはその上で貫かれる形となる。
難民から選ばれた大柄な男たちが、長大な槍で拒馬の反対側から魔獣を攻撃し、魔獣たちは拒馬と拒馬の間で動けずに助走もできない状態であった。
この戦略により、ミーネや他の女性騎士たちは魔獣を効率よく攻撃することができた。
ミーネは集団戦に慣れた様子を見せ、指揮を取りながら魔獣の動きを警戒して戦闘を進めていた。
王国軍は左右に分かれて展開し、魔獣の群れを生垣と拒馬で停止させた。
この混乱を利用し、魔獣たちが突入してきた方向から包囲攻撃を行った。
ヴェルナーは左翼の指揮をとり、敵を誘導しつつ、カウフフェルト子爵に前線指揮を任せた。
エンゲルベルト伯爵が率いる部隊は魔獣の列を側面から突撃し、魔獣の群れを切り分けた。
エンゲルベルト伯爵とヴェルナーの協力により、魔獣の群れは二方向から打撃を受け、迅速に王国軍によって排除された。
フォーグラー伯爵は右翼を指揮し、戦場での魔獣の動きを把握して本陣に報告した。
クレッチマー男爵は突撃を開始し、魔獣の群れを分断し、騎士団を投入して魔獣を一掃した。
魔獣の群れが拒馬で停止された状況を利用し、王国軍は魔獣を撃破し、戦場の制圧を進めた。
牙羊が群れのリーダーとして戦場の高所におり、騎士であるヴェルナーが牙羊に向けて矢を放つ。
矢は牙羊にとって大した傷にならず、ヴェルナーは囮として牙羊を誘導する役目を担う。ヴェルナーは馬で逃げるフリをして牙羊を追跡させる。
その後、ヴェルナーは槍を使用して牙羊を迎撃し、最終的には冒険者たちが加勢して牙羊を討ち取る。
冒険者たちが牙羊の首を切り落とし、その後で解体するようヴェルナーが依頼する。
彼らは魔獣から得られる可能性のある宝箱について話し合う。
事件後、ヴェルナーは牙羊の首を抱え、戦場への道を重い足取りで登り始める。
ヘルミーネが本陣にいて戦況を観察中、予期せぬ飛行物体に気付き、周囲の警護に警戒を呼びかける。
本陣の騎士と魔法使いは迅速に反応し、飛行型の魔物に攻撃を加える。
魔物は急降下し、鎌を振り回しながら抵抗を試みるが、王国軍に取り囲まれ、最終的には騎士たちに討たれる。
戦いはセイファートの冷静な指揮の下、魔物の群れを効率的に撃退する。
一方、魔物の群れは統率者の不在で混乱し、クレッチマー男爵とカウフフェルト子爵が魔物を圧倒する。
この騒乱の中でヴェルナーは独自に牙羊を討ち、その首を本陣に持ち帰る。
ヴェルナーの行動が王国軍の士気を高め、魔物を圧倒する重要な要素となる。
セイファートは後にヴェルナーの行動を評価し、彼の異才を認める発言を残している。
ヴェルナーと彼の軍隊が数百頭の魔獣を倒した後、肉を得るために大規模な解体作業が行われる。
多くの兵士や難民が参加し、食料としての肉を確保する。
解体作業では、慣れない難民も冒険者から指導を受けながら肉を切り出す。
解体された肉は、一部が料理され、兵士たちは久しぶりに肉の料理を楽しむ。
解体中には、魔獣の皮がほとんど利用されず、廃棄される。
解体場所からは魔物の遺骸も適切に処分され、街道の安全確保のために不要な部分は燃やされる。
また、ヴェルナーは個人的な調査のために、冒険者や文官に調査を依頼し、彼自身の費用で報酬を支払うことになる。
この期間中、ヘルミーネは魔族を発見し、その功績が認められる。
夜は引き続き現地で休息し、翌日は戦没者の葬儀と残された拒馬や逆茂木の処理が予定されている。
ヴェルナーは忙しい中、続く日々の計画と調整に追われる。
ヴェルナーが巨大な牙羊を倒した功績に関して、自身は興味を示さず、今後の任務と夜営の準備に集中している。
その態度は、難民の護送任務が未完了であり、引き続き魔物の襲撃の可能性があるため、妥当であるとミーネは認める。
彼女自身はヴェルナーの功績よりも広範囲な視点を持つヴェルナーの思考を評価している。
ミーネは女性騎士からの評価も高く、彼女に対する尊敬の言葉が多い。
一方で、ヴェルナーの貴族としての振る舞いは、一般的な貴族の態度とは異なり、難民に対しても平等に接するため評価されている。
ミーネは、民に対する貴族の態度について考えを新たにしている。
ヴェルナーとその仲間たちは、戦後の管理として魔物の残骸を適切に処理し、安全対策を施している。
その夜、ヴェルナーは戦場で調査した結果をマックスに伝え、魔物が人を食べると宝箱を生成するかもしれないという仮説を共有する。
これに対し、セイファート将爵への報告の準備を進め、情報の取り扱いには慎重になるようマックスに指示する。
ヴェルナーは王都に向かう移動を再開し、日々の食事について詳述している。
基本的には塩味の強いスープ、麦粥や硬パンなどの麦製品、少量の肉、チーズ、そして時折提供される干し果物が主である。特に硬パンは保存食としては優秀だが食べにくい。
また、麦の種類がパンの質に大きく影響していることが述べられている。
その後、ヴェルナーは本陣での食事が情報交換の場となっていることを示し、最近の魔獣襲撃以降の出来事を語る。
移動中は問題が少ないが、突然の呼び戻しによって本陣に戻った際、王都からの急使が伝えた事件によって難民護送対策首脳部が緊急会議を開くことになる。
この会議では、ある貴族が無謀な行動を取ったことが判明し、それに対する評価や反応が交わされる。
ヴェルナーはこの事態に対して、兵士や難民の安全を優先しつつ、状況に応じて王都に戻る可能性も考慮している。
また、彼は隊の意見を聞きながら、現状の情報不足を認めつつ、今後の行動計画を検討している。
ヴェルナーと副将マックスは夜営陣の設営と警備の手配について協議し、難民に賃金を払い協力を求めることに決める。
この時、クナープ侯の息子が愚かな行動を取ったことに対する不満が表れる。
騎士の立場から公に批判するのはタブーであるが、マックスはその点で繊細であることが示される。
さらに王都に使者を送り、現状を報告しようとする計画も話し合われる。
ヴェルナーは、王都が魔物に襲われる可能性に対して具体的な計画を立て、それをセイファート将爵に相談する。
自身の提案が採用されるかは未知数であるが、将爵の名を借りて提案することでその可能性を高めようとする。
この話し合いは、ヴェルナーが魔物の脅威と向き合いながらも、難民や兵士の安全を確保するために戦略的な思考を続ける様子を描いている。
魔軍黒魔導士ベリスは王都近辺のヴァイン王国軍を見下しつつ、全軍に前進を命じる。
ベリスは死霊軍の圧倒的な数と力に自信を持ち、敵を軽視する姿勢を示していた。
しかし、王国軍の戦略と若い貴族たちの活躍はベリスの予想を裏切る形となる。
王国軍は凸陣形を取り、死霊軍との激突は朝早くに発生する。
王国軍の若い先鋒隊は死霊兵との戦闘において堅実な戦いを展開し、特にフュルスト伯爵家のタイロンが前線で目立つ活躍を見せる。
クフェルナーゲル男爵は全体を監督し、戦況に応じて的確な指示を飛ばす。
敵の死霊軍は王国軍の戦術に翻弄され、左右両翼が中央に押し込まれる形で戦列が崩れ始める。
ノルポト侯爵とシュラム侯爵の率いる王国軍の騎士団は死霊軍の側面を突き、死霊たちが振り向く前に敵列の中に突入する。
死霊軍は戦略的な行動を取る知性を持たず、王国軍の騎士団と歩兵隊によって効果的に攻撃される。
この戦いでは、ヴェリーザ砦での敗退後の活躍もあって、王国軍は死霊軍を効果的に撃破し、王都への脅威を排除する。
この勝利にはヴァイン王国の若い貴族たちの果敢な行動と戦術的な指揮が大きく貢献していた。
魔導士ベリスは、現在の戦況を理解できずにいた。
彼には軍指揮の経験がなく、王太子ヒュベルトゥスには素人と見なされていた。
魔族の戦い方は基本的に力の強い方が勝つ正面衝突であり、ベリスも魔王もこれを知っていた。
死霊軍が数で勝っているにもかかわらず、王国軍騎兵が左右両翼を切り崩し、側面からも攻撃を加えたことで、ベリスは状況を理解する間もなく混乱に陥った。
騎兵の動きにより、数の多い死霊軍が包囲され、ベリスは指揮をとることができなくなった。
ベリスが範囲魔法を発動させたものの、王国軍はそれに動じず、迅速にベリスの位置を特定し攻撃を集中させた。
ベリスは矢の雨に晒され、動けなくなり、状況はさらに悪化した。
彼の最後の抵抗も虚しく、マゼルによって討ち取られた。
一方、左右両翼からの傭兵と冒険者の攻撃も死霊軍を圧倒し、敵の隊列は崩壊し始めた。
特に目立ったのは、マゼルやルゲンツで、彼らは死霊兵を次々と倒して前進した。
最終的には、王国軍が戦場で勝利を収め、ヒルデア平原の戦いは圧勝で終えた。
その後、ヴェルナーは王都の商隊の安全な帰還と状況報告を受け、現地での難民対策や周辺警戒を続けながら、戦いの全容を把握した。
彼はゲームとは異なる現実の戦闘の複雑さと、情報通信網の重要性について考えを巡らせていた。
ヴェルナーは王都に到着し、難民を受け入れ担当者に引き渡した。
これにより、公的な任務は終了したが、彼自身の仕事はまだ多岐にわたっていた。
斥候や冒険者への報酬支払い、使用した物資のリスト作成などが残されていた。
ヴェルナーは王城内の父の執務室隣の部屋を借り、文書作業をしていた。
この場所は彼が伯爵家の代官として借りているもので、国の任務によるものだった。
翌日、父から次の指揮任務を告げられ、ヴェルナーはそれを受け入れた。
王太子のヴェリーザ砦奪還作戦が成功し、マゼルが敵将を倒したというニュースを聞いた。
次の日は市民の興奮を抑えるための凱旋式の準備に参加することになり、その準備に取りかかった。
凱旋式で市民、特に女性たちによる勇者への熱狂的な歓迎が予想され、ヴェルナーはその対応に追われることになる。
三章(周辺業務 ~職責と配慮 ~)
ヴェルナーは王太子やマゼルたちの凱旋翌日に騎士叙任式に出席した。
式は国の建国記念日に行われ、多数の新騎士が一度に任命される大規模なイベントである。
この日、庶民も出席できるが、主に貴族が参加する。
式では、新騎士たちが集団で忠誠を誓い、代表者のみが王から剣で肩をたたかれる形式で進行した。
ヴェルナーはまだ騎士ではなく、今後父の業務を補佐する予定である。
式の後、立食パーティーが開かれ、新騎士たちが主役となるが、ヴェルナーは裏方の仕事に追われる。
彼は料理の供給やワインの確認など、典礼大臣である父の補佐として多忙を極める。
また、フレンセンという執事補がヴェルナー専任の補佐として新たに指名され、今後の支援を約束する。
同日夜、ヘルミーネが兄であるタイロンを訪ねた際、タイロンが友人であるアンスヘルム・ジーグル・イェーリング伯爵令息と遊戯室で会話をしていることに気づく。
アンスヘルムの妻が亡くなったことについてヘルミーネがお悔やみを述べ、アンスヘルムはそれに感謝する。
ヘルミーネはその後、タイロンが父から呼ばれていることを伝え、アンスヘルムと二人きりになる。
アンスヘルムはタイロンが最近の出来事について不満を持っていることを明かし、ヘルミーネと会話を交わす。
ヘルミーネはヴェルナーのことを説明し、アンスヘルムはヴェルナーの優秀さに興味を示す。
タイロンが戻ってきた後、アンスヘルムは彼に依頼を引き受けたことを伝え、帰宅する。
アンスヘルムは自宅に帰り、部下にタイロンの虚栄心について語り、ヘルミーネから聞いたヴェルナーの話に興味を持ち、調査を依頼する。
アンスヘルムは隣国のワインを開けながら、ヴェルナーを利用できる可能性について考える。
翌日早朝、ヴェルナーの屋敷にマゼルたちが集まる。
ヴェルナーは前夜遅くまで書類仕事に追われており、朝食も自室で簡単に済ませていた。
彼の屋敷には複数の食事用部屋があり、貴族の館としては一般的な設備が整っている。
朝食後、集まったメンバー全員で挨拶を交わし、ヴェリーザ砦奪還の功労者たちを招いて話を聞くことになる。
フェリはヒルデア平原とヴェリーザ砦の戦いに参加しており、その経験談を共有する。
マゼルとルゲンツは、砦の戦いでドレアクスとその護衛の骸骨兵を倒したことを報告する。
一方で、ヴェルナーはマンゴルトについても言及し、彼の安否が未だ不明であることを明かす。
話の中で、フェリが戦いの際に黒い宝石を見つけたことが判明し、その宝石の詳細についても議論される。
最後に、ヴェルナーはフェリに飛行靴を渡し、ハーフェンの町への瞬間移動を試みさせる。
フェリの発言と同時に、彼らはハーフェンの町の近くにテレポートする。
この驚きの出来事に、ルゲンツやマゼルから詳細な説明を求められることになる。
フレンセンが門番の対応をしており、ヴェルナーとその仲間たちが外の酒場で会合を持つ。
彼らは突然遠方の町へと移動する飛行靴を使っており、その使用体験から議論が始まる。
フレンセンは飛行靴の存在に驚き、その出自と使い方について議論される。
ヴェルナーは飛行靴が古代王国の遺物であることを説明し、マゼルたちもその話に興味を示す。
さらに、ヴェルナーはマゼルたちが将来政治的な問題に巻き込まれる可能性を指摘し、その際に飛行靴を使って難を逃れることを提案する。
会話は、マゼルが養護施設出身であることや、彼らの今後の安全と関係性の深化に焦点を当てて進む。
マゼルはフレンセンとフェリに対して特定の依頼をし、ヴェルナーはこれを承諾する。
議論の中で、マゼルが家族との連絡を取りたいと願い出るが、それに関してはゲームの設定との違いに戸惑いを感じつつも、ヴェルナーたちはこの提案を受け入れる。
フレンセンは、酒場内で突然人が消えると騒ぎになると警告し、ヴェルナーは王都に戻ることを決定する。
この日の出来事は、飛行靴を使った移動が原因で小さな混乱を引き起こした。
ヴェルナーは王太子ヒュベルトゥスに呼び出され、学園の学生の半分が休学となることを聞かされる。
この措置は人手不足を補うためであり、学生たちが実際の勤務や治安維持に動員されることになる。
学園では、貴族科をはじめとする様々な専門科があり、それぞれが専門的な知識を学ぶ場であることが語られる。
また、王太子はマゼルを正式に戦闘に参加させることを計画しており、これにより他の貴族が彼に接触することが困難になる。
これはマゼルの行動が王家によって公認されることを意味し、彼の同行者には国から正式に報酬が支払われることになる。
ヴェルナーはこの新たな命令に対応するため、マゼルに状況を伝える準備をする。
さらに、王太子と将爵は、ヴェルナーに水道橋の建設護衛任務を依頼する。
この護衛任務は、建設現場の労働者を魔物の襲撃から守るためであり、ヴェルナーは任務を受け入れる。
また、難民問題についても議論が行われ、難民を有効活用するための様々な提案がなされる。
会話の中で、ヴェルナーは学生でありながら王家から直接任務を受け、王都の政治や社会問題に深く関与していることが明らかになる。
彼はこの重責を担いつつ、自らの立場と責任を熟考する。
ヴェルナーが退出すると、王太子ヒュベルトゥスと将爵セイファートがヴェルナーの評価について話し合う。
ヴェルナーは指揮官としての能力に優れ、戦術立案や魔物対策の提案で実行力も示している。
また、自ら情報を収集し王家に提供するなど、主体的な行動も評価されている。ヴェルナーの非利己的な姿勢も、国の為政者として好ましいとされている。
セイファートはヴェルナーが若くても高いポテンシャルを持っていると評価し、彼の成長を期待する一方で、ヒュベルトゥスはヴェルナーの任務における真面目さを特に高く評価している。
ヴェルナーの努力は、彼が提出した魔物出没の報告書からも明らかで、これが魔物対策の参考資料として利用されている。
セイファートとヒュベルトゥスはヴェルナーをさらに支援し、彼の成長を見守ることを決定する。
二人はヴェルナーの才能が無駄になることを避け、彼に適切な指導と機会を提供することを約束する。
ヴェルナーの家族はこの状況に苦笑いをするしかなかった。
ヴェルナーは王太子ヒュベルトゥスの前から退出した後、臨時執務室に戻り、待っていたノイラートとシュンツェルと対話を始める。
二人は騎士団の制服を身に着けており、ヴェルナーは学園で学んだ紋章学の知識を振り返る。
ヴェルナーは彼らに現状の確認を求め、魔王復活後の王国の状況について話を聞く。
騎士たちは、魔物の狩りを積極的に行いながら訓練を重ねており、市民は不安を感じつつも、表面上は平穏を保っている様子を報告する。
市場では手ごろな武器が品切れになり始め、一部の野菜や薬草が高騰しているとの情報も共有される。
これは王都の消費都市としての性格と、魔物の出没頻度が上がり流通が滞るためだ。
ヴェルナーはこれらの情報をもとに、王都の安全管理の問題を考慮し、上に提言することを検討する。
ヴェルナーは王城での業務を終えた後、フレンセンを連れて冒険者ギルドと養護施設を訪れる。
彼は冒険者ギルドで顔見知りの冒険者と談笑し、アーレア村への依頼を行う。
アーレア村では、マゼルの家族が宿を経営しており、ヴェルナーはその近況報告と村の様子を確認することを求める。
次に、ヴェルナーは養護施設を訪れる。
この施設は、貧民街に近い場所にある古い建物で、教会や貴族家、各種ギルドによって運営されている。
養護施設は地代の問題で追い出されそうになっており、ヴェルナーはその状況に対処しようと考える。
施設を訪れている間に、病気から回復したイルゼという少女と出会い、彼女から感謝される。
ヴェルナーは施設の継続支援を考慮し、貴族としての責任を感じている。
ヴェルナーは学生寮にいるマゼルを訪ね、彼の新たな立場と今後の任務について説明する。
マゼルの戦略的なアドバイスを提供しつつ、将来的な戦い方に関する心配も伝える。
その後、ヴェルナーは王室への提案書作成の準備に取り掛かり、フレンセンに協力を求める。
彼は書類作成の困難さを感じながらも、貴族としての責任と自らの使命を果たすことに集中する。提案内容を整理し、最終的な提案書を完成させることに努力を注いでいる。
ヴェルナーは夜中に鳴る鐘の音で目覚め、父と出会う。
鐘の音は緊急時を知らせるもので、恐らく火事を示している。
ヴェルナーは伯爵家執事のノルベルトに対応を指示し、自身も着替えるために寝室に戻る。
彼らの対応は、貴族としての義務と立場を示す行動である。
火事はツェアフェルト家と無関係であることが後に判明する。
ヴェルナーは、火事の夜を経て王宮への通勤中に火災の話題を耳にし、放火の可能性について考慮する。
彼は王都の安全と治安の重要性を考え、放火を含む犯罪の防止に取り組む必要性を感じている。
ヴェルナーは王城内の執務室にて、近隣の火事に関する調査を依頼する。
彼はマックスに指示して、ノイラートとシュンツェルにそれぞれ補佐役を付けさせ、火災現場の情報収集を命じる。
ヴェルナー自身は他の公務にも取り組みつつ、家臣の個人的な事情に関する対応も行う。
その後、ヴェルナーはノイラートたちから報告を受け、最近の火災が放火であることが判明し、彼はさらに調査を進めることを決定する。
火事現場へ向かうと、ヘルミーネ嬢とのやりとりがあり、ヴェルナーはその場で追加調査を実施。
最終的に、放火と見られる火事が馬の仲買人の家から始まったことが疑われる。
ヴェルナーはこの一連の事件が組織的な犯罪の可能性を秘めていることを示唆し、さらなる調査の必要性を感じている。
彼はこの事件に深く関与し、その解決に向けて積極的に行動を起こしている。
王都の一角で馬の仲買人たちが市を開く準備を進めていた際、近隣で騒動が起こり、貴族の家騎士団やその兵士たちが現れた。
法務の役人を伴った貴族の男性、バスティアン・ティモ・フュルストが特定の仲買人たちの逮捕を宣言し、スベン・ブラスクの逮捕も進行中であることを明かした。
名前が呼ばれた仲買人たちは、ブラスクの名前を聞いて動揺し、一部は逃走を試みたが、ヘルミーネによって阻止された。
ヴェルナーはこの現場を外から見守り、ヘルミーネの実力を確認した後、さらなる行動を検討している。
彼は自らの名前がこの事件と関連しないよう、注意深く行動を進め、事件の解決をフュルスト伯爵家に一任している。
この事件を通じて、馬の仲買商人たちが行っていた犯罪行為が発覚し、調査が本格化することになる。
馬仲買人たちが突如逮捕されたことにより、一部の男たちが急遽、王都を離れる計画を立てていた。
深夜に荷物をまとめ、数台の馬車を手配し、城門が開く朝一番に出発する予定であった。
彼らは衛兵団への「投資」が無駄に終わったことに不満を抱いており、ブラスクがフュルスト伯爵家によって逮捕された事実に苛立ちを感じていた。
夜間警備隊が現れると、彼らは混乱し、逃走を試みるが、効果的に抑え込まれる。
ヴェルナーはこの現場に偶然居合わせ、ドレクスラー子爵家が夜間警備を担当していることから、彼らの捜査への協力を依頼し、自らは影を潜めることにした。
ヴェルナーは後の尋問や調査には関与せず、ドレクスラー子爵家に全てを任せることを選んだ。
自然に形成された洞窟が猟師や冒険者の宿泊地として利用されている。
魔王復活後、さらに強力な魔物が現れるようになり、地方の冒険者が遠征の際にこの洞窟を利用することが多くなった。
ある日、若い冒険者の一団が洞窟に到着した際、前に来た人たちが残したゴミが放置されており、不満を漏らしながら彼らはその後始末を行った。
夜が訪れ、火を焚いて食料を調理する中、一団の斥候が洞窟の奥から出てきた巨大な足跡を発見した。
足跡の主が既に去ったと判断し、彼らはその場で休むことにした。
しかし、彼らが気づかなかった周囲の危険な兆候により、深夜に彼らは襲撃された。
ヴァイン王国ではこれが一都市消滅という大殺戮につながる大事件の序章となった。
エピローグ
ヴェルナーが難民護送任務に関わり始めた頃、王国各地での魔物の狂暴化により、個々の村で自衛の動きが活発化していた。
アーレア村では、魔物の増加と凶暴化に対応して村の塀を強化する作業が行われており、村の人々は魔物に対する恐怖を感じつつ生活していた。
村長は兵士の派遣を領主に要請しているが、この要請が遅れているとは知らされていなかった。
その日の夕方、アリー・ハルティングが家庭菜園で働く娘のリリーと再会し、兄であるマゼルからの手紙を受け取った。
家族はこの手紙を通じてマゼルが無事であることを確認し、安堵した。
その手紙には、マゼルが王都で冒険者や学生として活躍し、貴族の子息であるヴェルナー・ファン・ツェアフェルトが多くの人々を救ったことも記されていた。
夜、リリーは兄の手紙を読み、彼の健康と安全を祈りながら就寝した。
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