小説「ありふれた職業で世界最強 7」感想・ネタバレ

小説「ありふれた職業で世界最強 7」感想・ネタバレ

どんな本?

『ありふれた職業で世界最強 7』は、白米良による異世界ファンタジー作品である。本作は、召喚された異世界で最弱とされた少年、南雲ハジメが己の力で成り上がり、絶望を希望に変えながら歩む姿を描いている。本巻では、物語の核心へと迫る展開が繰り広げられ、主人公たちの成長や絆がさらに深掘りされていく。

この第7巻では、主人公ハジメが仲間たちと共に旅を続ける中で、異世界トータスにおける最大の試練に挑む姿が描かれる。物語は、これまでの道中で得た仲間たちとの絆や、成長したハジメの内面をさらに掘り下げる内容となっている。登場キャラクターたちの葛藤や覚悟が描かれる一方で、軽妙なやり取りやユーモアも健在であり、緊張感と温かさが交錯する構成が印象的である。

本作の特徴として、主人公が圧倒的な力を持ちながらも、それを傲慢に使わず、仲間のために奮闘する姿勢が挙げられる。さらに、本巻では新たな敵との戦闘や、これまで明かされなかった謎の一部が解き明かされ、物語全体が一段とスケールアップしている。

『ありふれた職業で世界最強 7』は、主人公の成長物語でありながら、仲間たちとの絆や友情も丁寧に描かれている点が魅力である。また、主人公が最強でありながらも決して無敵ではなく、その強さの裏にある覚悟や苦悩が共感を呼ぶ要素となっている。読者にとって、冒険と共に登場人物たちの心情の変化を楽しめる一冊であるといえる。

読んだ本のタイトル

ありふれた職業で世界最強 7
著者:白米良 氏
イラスト:たかやKi  氏

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あらすじ・内容

神山での戦いを終え、リリアーナたちを伴い飛空艇“フェルニル”で帝都を目指すハジメ一行。
そこに同行する光輝は思い悩んでいた。なぜハジメは強いのに、力を“正しく”使わないのか、と。
その道中、帝国兵と戦うハウリア族と出会ったハジメは、魔人族と帝国兵に侵攻を受けたフェアベルゲンの現状を知ることに。
ヘルシャー帝国に向かったハジメは、“彼ら”の計画を知り……!?
「膳立ては上々。そろそろパーティーの時間だ」
――カウントゼロで奴らが動き出す。“最強”異世界ファンタジー、第7巻!

ありふれた職業で世界最強 7

感想

ハウリア族の激闘と成長
ハウリア族の驚愕の戦いぶりが主題となった本巻である。
ウサギ族とは思えないほどの猛者に成長したハウリアたちは、まさに戦場での狂気を振りまき、帝国兵や魔人族を撃退する姿は圧巻であった。
愛らしい外見とのギャップが読者に強い印象を与える、まさに一冊まるごとハウリア族の回であり、彼らの変貌には驚きと楽しみが溢れていた。

キャラクターたちの成長と関係性
ハウリア族が激戦を繰り広げる中で、ヒロインのシアや雫もまた物語に彩りを加えている。
雫は新たな立場を確立し、ユーモラスな場面で存在感を発揮していた。
シアとその家族も過酷な試練を経て、トラウマを克服し、勇敢に前へと進んでいる姿が描かれていた。
ハジメたちの仲間としての絆が深まる過程が印象的である。

異なる正義への視点
今回、勇者光輝の悩みも描かれている。ハジメの強さとその使い方に疑問を抱く光輝は、善悪や正義について深く考えるきっかけを得た。
ハジメが「正しい」とは異なる方法で力を使う姿に対し、彼がどう向き合っていくかが今後の物語に大きな影響を与えそうである。

次巻への期待
激動の展開と衝撃的なラストにより、次巻の内容に対する期待が一層高まった。
樹海の奥地や、黒幕の動きも気になる要素が増え、新たな戦いがどう繰り広げられるのか見逃せない展開が続く。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

魔人族の動揺と決意

• 魔人族の特務小隊は、樹海に進軍する最中、伝令からもたらされた情報に驚愕した。隊長ダヴァロスと副隊長セレッカは、同胞フリードの重傷報告と大迷宮【グリューエン大火山】放棄の知らせを受け、動揺する部下たちを落ち着かせた。フリードの敗北が信じ難いものの、敵の存在が予想以上に強大であることを実感させられた。

進軍の計画とダヴァロスの覚悟

• 【魔国ガーランド】から樹海へと向かったダヴァロス小隊は、樹海攻略に必要な戦力として強力な魔物を与えられ、陸路を慎重に進んでいた。各地での敗戦報告が続く中、ダヴァロスは士気を保つため、強敵に対する憤りと魔人族の栄光を誇示する気持ちを抱きつつ、樹海攻略を成功させる覚悟を決めた。

亜人族領域への接近と攻勢の決意

• 樹海内の進軍を続け、亜人族のテリトリーに近づいたことで、ダヴァロスは部下たちに戦意を高めるよう呼びかけた。王都侵攻や帝都破壊の任務も進行中であり、自分達も成果を持ち帰ることが必須であると部隊を鼓舞した。魔人族の誇りを守るため、全員が戦意を燃やして次の行動に備えた。

イレギュラーの影と未知の脅威

• ダヴァロス達は、樹海攻略が自分たちにとって最も確実であると信じていたが、イレギュラーの存在が迫りつつあること、さらには彼が鍛えた最強の兵士達が待ち受けていることには気づいていなかった。樹海は、彼ら魔人族にとって予想以上に危険な戦場となりつつあった。

第一章  ハウリア参上!

雲上の旅とフェルニル

八重樫雫の心情と景色の描写

雫は飛空艇「フェルニル」の後部甲板で、眼下の景色を眺めていた。重力石と感応石で造られたフェルニルは、驚くほどの速度で進み、心地よい風がそよぐ中、彼女は飛空艇の存在に驚きを隠せなかった。上空から見る太陽の光を手で遮りながら、まるで夢のようだと呟いた。

ハジメの飛空艇の登場とその反応

フェルニルは、ハジメが造り出した世界最大かつ最速の移動手段で、王都近郊でお披露目された際、彼は得意げに「旅の終盤で飛行系の移動手段を手に入れるのは常識だろう?」と述べた。しかし、そのドヤ顔に対して周囲の仲間は微笑み、驚愕と興奮が交じる反応を見せていた。王女リリアーナを含む同行者たちも、この高速飛行手段に驚愕し、遠く目的地へ短期間で到達できる状況に戸惑いを抱えていた。

光輝と雫の対話

その後、光輝が雫に近づき、フェルニルの驚異的な性能に感心しながらも、ハジメの行動に対する複雑な感情を語り始めた。彼は、ハジメが神を倒すのではなく、己の大切な人々を守ることに専念している姿勢に納得がいかず、自分なら世界を救うために力を使うと主張した。雫は、ハジメの持つ力が決意と覚悟によって得られたものであり、それを押し付けるべきではないと説いた。

ハジメの選択と仲間の理解

雫はさらに、ハジメがこの世界で行った救済の数々を光輝に伝え、彼の行動は大切な人を守るためのもので、決して他者に強要できるものではないと説明した。彼女の言葉に光輝は一部納得しつつも、完全には受け入れられずにいた。

進路の変更と緊張の高まり

会話の後、フェルニルが突如進路を逸らし始め、雫と光輝は事態を確認するために急いで艦内に戻ることにした。

帝国兵との遭遇と救出作戦

緊急事態の発生

ブリッジに集まった雫と仲間たちは、アーティファクトの水晶ディスプレイを通して、帝国兵に追われる兎人族の姿を発見した。雫は、シアの同族である兎人族が迫られる状況を目にし、事態の深刻さを察した。光輝は即座に救出を提案したが、ハジメは冷静に状況を見極めようとしていた。

兎人族の正体判明と攻防

ディスプレイに映し出された兎人族の女性がシアの知人であるラナとミナと判明し、緊迫感が増した。追いつかれたかに見えた兎人族であったが、突然反撃に転じ、巧妙な攻撃で帝国兵たちを圧倒し始めた。光輝たちはその予想外の展開に驚愕し、帝国兵が次々と倒れる光景に息を呑んだ。

ハウリア族の圧倒的な戦闘力

ラナやミナを含むハウリア族は、まるで訓練された精鋭部隊のように次々と帝国兵を倒していった。ハジメの指導の下、徹底的に鍛え上げられた結果であるとシアが説明すると、仲間たちはハジメの鍛錬の厳しさを再認識し、ハジメに呆然とした視線を送った。

ハジメの援護射撃

ハジメは遠距離から帝国兵の増援を一撃で狙撃し、さらに危機を脱するための援護を行った。その圧倒的な射撃能力に仲間たちは再び驚嘆したが、彼は無言で任務を遂行し続けた。その後、ハウリア族は無傷で帝国兵の全滅を完了し、救援された兎人族たちは歓喜の敬礼を捧げた。

亜人族との接触とハウリア族の再会

亜人奴隷の解放と再会

着陸したハジメたちを迎えたのは、ハウリア族の敬礼を決める一団と、大勢の亜人族の奴隷たちであった。亜人たちは恐怖と不安の表情を見せたが、ハジメは冷静に対応し、奴隷枷を外して解放することを決断した。亜人族の中には、森人族のアルテナもおり、彼女はハジメの助力に感謝を示した。

ハウリア族の「二つ名」ブーム

ハウリア族は再会の喜びとともに、各々が自らの二つ名を名乗り、誇らしげな態度を示した。この光景にシアは困惑し、ハジメも苦笑しつつ、彼らの過激な成長ぶりに驚いた。

亜人族の帰還と新たな道筋

アルテナとのやりとりとさらなる旅路

アルテナがハジメの冷淡さに一瞬動揺するも、彼は淡々と彼女の拘束具を外し、彼女と亜人たちを保護する姿勢を見せた。亜人たちと共に再び空の旅に出発する準備が整い、彼らはフェルニルで次の目的地へ向かうことになった。

魔人族と新種の魔物の襲来

パルによる事情説明と帝国の侵攻

ハジメたちはブリッジに集まり、パルから一連の事情を聞いていた。帝国がフェアベルゲンに侵攻したこと、そしてその背後には魔人族が関与していると報告を受けた。リリアーナは帝国が樹海の結界をどう攻略したのか疑問を抱いたが、亜人族との関わりについてはハジメに判断を委ね、黙って事態を見守った。

樹海での哨戒と新種の魔物との遭遇

その頃、兎人族であるパルとネアは、樹海で哨戒任務を行っていた際、異様な気配を感じ取った。彼らは身を潜めながら周囲を探ったが、新種の魔物たちに遭遇した。彼らは高速で移動し強力な攻撃を繰り出す蜂型や甲虫型の魔物に襲撃されたが、パルの狙撃による援護でどうにか逃走に成功し、フェアベルゲンへと急いで戻ることができた。

フェアベルゲンの防衛戦とハウリア族の決意

フェアベルゲンでは、新種の魔物による奇襲で多くの死傷者が出ており、フェアベルゲン自体が危機に瀕していた。報告を受けたハウリア族の族長カムは、フェアベルゲンを時間稼ぎに使い、自分たちの防衛準備を整えると宣言し、各小隊に指令を下した。ハウリア族は、かつて最弱とされた自分たちの力を示すため、敵に立ち向かう決意を新たにした。

戦士たちの防衛とギルの援護

フェアベルゲンへ避難する亜人族と警備隊の奮闘

南部の集落から逃れてきた亜人たちを守るべく、フェアベルゲンの第二警備隊長ギルたちは命を懸けて避難を支援していた。しかし、次第に増援を突破してくる甲虫型の魔物に対し、ギルたちの防衛線は苦境に陥っていた。ギル自身も負傷したが、兎人族のハウリア族による不意の援護で、命を救われた。

ハウリア族の戦術とフェアベルゲンへの希望

兎人族による機敏で的確な援護に驚いたギルは、自分の無力さを痛感しつつも、フェアベルゲンへの道を急いだ。彼の心には、ハウリア族の本来の力があることを目の当たりにした感慨が残った。

フェアベルゲンの危機と長老会議の決断

長老会議の危機感と撤退の提案

フェアベルゲンの長老会議では、最古参の族長アルフレリックが「国を捨てる」という撤退案を提案した。周囲の族長たちは故郷を離れることに強い抵抗を示したが、アルフレリックは生存を最優先にすべきと説いた。

ゴート団長の戦死報告と最終防衛線の決断

そのとき、狼人族の青年が、戦士団団長ゴートの戦死を報告に現れた。フェアベルゲンの防衛戦は最終ラインまで後退を強いられ、長老たちの退避が要請されたことで、アルフレリックは次世代の生存を確保するため、若い族員たちを優先的に脱出させることを決めようとした。

魔人族の真の狙いとアルフレリックの交渉試み

さらに、諜報員から、魔人族が「真の大迷宮」を狙っているとの情報がもたらされた。アルフレリックは、敵と交渉することで戦闘を避け、フェアベルゲンを守る策を試みることを決意し、自ら門へと赴いた。

魔人族との対峙と交渉の失敗

アルフレリックと魔人族ダヴァロスの交渉

アルフレリックは魔人族のダヴァロスに対し、フェアベルゲンが「真の大迷宮」の情報を提供することで戦闘の終結を提案した。しかしダヴァロスは亜人族を見下し、交渉を拒否。圧倒的な力で門を破壊し、フェアベルゲンに致命的な損害を与えた。

フェアベルゲン内の戦況と絶望的な状況

門を破られたフェアベルゲンの戦士たちは、魔人族と魔物の侵攻に抗しきれず、多くが倒れた。絶望的な状況下で、次第に戦士たちの希望も薄れていった。

ハウリア族の再登場と反撃の決意

レギンの懇願とハウリア族の決意

その後、フェアベルゲンの危機に駆けつけたレギンは、かつて敵対したハウリア族に助力を懇願した。カム率いるハウリア族は、フェアベルゲンを救うだけでなく「真の大迷宮」を守る決意を新たにし、戦場へ向かう準備を整えた。

ハウリア族の異様な戦意と魔人族への挑発

カムは魔人族に対して嘲笑を浮かべ、挑発的に姿を消した。ダヴァロスはこれに激昂し、全戦力を投入してハウリア族を討とうと決意する。冷静さを失ったダヴァロスと魔人族たちは、フェアベルゲンを捨て置き、カムの跡を追った。

魔人族撤退後のフェアベルゲンの安堵

魔人族が去った後、アルフレリックと残された長老衆は、思いがけずハウリア族によって救われたことを実感し、深い安堵の中で息を整えた。

濃霧の戦いとハウリア族の反撃

魔物と魔人族の損耗とダヴァロスの憤怒

ダヴァロスら魔人族は濃霧の中を進み、合流した生き残りの部隊と共に前進したが、二つの部隊が壊滅したとの報告を受けた。生存者はわずか六人となり、魔物も大幅に減少していた。ダヴァロスはこの作戦が、フェアベルゲンを囮としたものと知り、激しい憤りを感じた。

罠の発動と魔物の壊滅

魔人族が進む道中、敵の罠により次々と魔物が倒れ、ドライガやキュベリアなどが撃破された。樹木や糸で張り巡らされた罠が効果を発揮し、全方位からの攻撃が加えられた。魔人族は範囲魔法で対抗しようとしたが、敵の巧妙なトラップと塹壕により効果を抑えられ、さらに仲間が犠牲となった。

ハウリア族の巧妙な戦法

ハウリア族は濃霧を利用し、次々と魔物に奇襲を仕掛け、狙撃と小太刀による斬撃で敵を削り取っていった。ダヴァロスは「最弱の兎人族」と侮っていたが、巧妙に組み立てられた罠と精密な狙撃に苦しめられ、撤退を考えるようになった。

ダヴァロスとカムの対峙と策略

ダヴァロスはフェアベルゲンへの後退を考えるも、ハウリア族のリーダー、カムが現れ、挑発的な言葉で一騎打ちを提案した。ダヴァロスはカムを捕えれば状況を変えられると判断し、応じるが、カムは突然バック走で逃げ去り、狙撃によってダヴァロスが負傷する結果に終わった。

ダヴァロスの最期とハウリア族の勝利

矢で負傷したダヴァロスは、ハウリア族の催涙弾によって呼吸困難に陥り、戦闘不能となった。背後からカムの小太刀が突き刺さり、最期に首を刎ねられたダヴァロスは、樹海に潜む恐るべきハウリア族の力を悟りながら、命を落とした。

ハジメとハウリア族の再会と帝国襲撃の話

魔人族撃退の報告とハジメの戸惑い

ハウリア族のパルは、魔人族を撃退した成果を誇らしげに語ったが、ハジメは想像以上に戦闘力を増した彼らに困惑していた。ハウリア族の予想外の成長ぶりに、ハジメは苦笑し、シアも自分の家族の変貌に半ば呆れつつも、ハジメへの感謝を示した。

ハジメの称賛とハウリア族の歓喜

ハジメがハウリア族の戦略を称賛すると、パルをはじめとするハウリア族は涙を流して喜んだ。彼らは、ハジメの「地獄の訓練」に耐えた甲斐があったと感動し、全員で喜びを表現した。しかし、ユエが「不用意に褒めるべきではない」と忠告し、ハジメも彼女の言葉に同意した。

帝国の侵攻と新たな危機

魔人族との戦いが終わった後、樹海を燃やしながら帝国軍が侵攻してきた。帝国は人さらいを目的とし、亜人族をさらうために樹海を焼き払うという前代未聞の手法をとった。パルは、帝国が亜人奴隷を求めている背景には、未知の魔物による帝都の被害があることをハジメに説明した。

カム達の行方不明とハウリア族の決意

カムが帝国に向けて少数精鋭で出発したが、連絡が途絶えたため、ハウリア族は追加の部隊を派遣した。ハジメは、パル達に帝都での情報収集を続けさせつつ、樹海に囚われていた亜人族を樹海まで送り届けることを約束した。

帝国への進軍と樹海の被害

ハジメ達は樹海に到着し、帝国軍が樹海を焼き払った跡を目の当たりにした。香織は再生魔法で樹海を元に戻そうとし、見事に復元したが、その結果、樹海の霧も復活し道がわからなくなった。ハジメ達はシアの先導で樹海の奥へ進むこととなった。

【フェアベルゲン】での再会とアルテナの救出

ハジメ達は【フェアベルゲン】に到着し、破壊された都市の様子に驚いた。アルフレリック長老は孫娘アルテナの無事を喜び、ハジメに感謝した。ハジメも困惑しつつ感謝の言葉を受け入れ、今後の行動について話を進めた。

ハウリア族の再集結と帝都侵攻の決意

ハジメは、ハウリア族が帝都へ侵攻するための準備が整ったことを確認し、帝都への同行を決めた。シアも家族の安否を気にしつつ、ハジメの励ましを受け、決意を新たにした。ハジメ達はアルフレリックと別れを告げ、ハウリア族と共に再び帝都に向かうのだった。

第二章  反旗の雄叫び

【ヘルシャー帝国の首都到着】

ハジメ達は【ヘルシャー帝国】の首都に到着し、帝都が雑多で実用性を重視した建物や整備されていない路地に溢れている様子を観察した。街は緊張感に包まれていたが、帝都民たちは自由な雰囲気を楽しんでおり、各自がやりたいように振る舞っていた。

【ハジメと帝都民の衝突】

ハジメは美女達を引き連れていたため目立ち、帝都民からしきりにちょっかいをかけられた。その度に、ハジメは躊躇なく相手を叩きのめしていたが、周囲は暴力に無関心であった。

【帝都の戦士文化】

【ヘルシャー帝国】は実力至上主義の軍事国家であり、住民の多くが戦士であった。豪放で荒々しい気質が支配的で、シア達女性は帝都の雰囲気に嫌悪感を示していた。

【奴隷制度に対する苦悩】

帝都では奴隷制度が蔓延しており、亜人族が露店や道端で売買される光景が広がっていた。シアは檻に入れられた同族の子供たちを見て心を痛めていたが、ハジメとユエの慰めによって少し心が軽くなった。光輝もまた奴隷制度に強い反感を抱き、救いたいと感じていた。

【光輝の衝動とハジメの制止】

光輝は奴隷少年を虐待する帝国兵を止めようとしたが、ハジメが気づかれないように帝国兵を意識不明にした。ハジメは光輝に無謀な行動を慎むよう促し、周囲に迷惑をかけない範囲での行動を提案した。

【冒険者ギルドでの情報収集】

冒険者ギルドに入り、ハジメは【帝城】で囚われているカム達の情報を得ようとした。ギルドのマスターは、一升瓶の酒を飲み干すハジメの姿勢に感心し、カム達が【帝城】に拘束されていることを示唆した。

【帝城への潜入計画】

ハジメは、ユエと共に【帝城】に潜入しカム達の居場所を確認することを決意した。シア達は外で待機するよう指示を受け、夜の潜入に備えた。

【光輝達の陽動作戦】

ハジメは、光輝の暴走を防ぐために彼に陽動を任せた。光輝は正義感から亜人奴隷の解放に燃え、陽動に意欲を示した。ハジメは彼らに仮面を用意し、正体を隠して行動するよう指示した。

【仲間との絆と使命】

ユエと共にシアの家族を救うため、ハジメは決意を新たにした。光輝や雫、他の仲間もまた、それぞれの使命を胸に行動することを誓い、帝都での困難に立ち向かう準備を整えた。

【地下牢に囚われたハウリア族】

深夜、【ヘルシャー帝国】の帝城地下牢では、囚われたハウリア族が満身創痍の状態で怪我の自慢話を交わしていた。彼らは、過酷な尋問を受けながらも、帝国への抵抗と覚悟を貫き、最期まで挑発的な態度を崩さなかった。

【ハジメの救出作戦】

暗闇の中、突如ハジメの声が響き渡り、ハウリア族は驚愕した。ハジメとユエ、シアが光を灯して姿を現し、地下牢の魔法陣とトラップを巧みに解除し、ハウリア族を救出した。ユエの再生魔法により、彼らは完全に回復し、助けられたことに深く感謝した。

【カムの居場所へ向かう】

ハジメ達は族長カムの尋問が行われている部屋の情報を得て、その場へ向かった。厳重な警備を突破しながら進む中、部屋からはカムの荒々しい罵声が漏れ、尋問官たちが精神的に追い詰められている様子が伺えた。

【カムと尋問官の対峙】

部屋の扉を開けたハジメは、尋問官たちを一撃で気絶させ、カムを救出した。カムはボロボロの状態でありながらも威勢を保ち、ハジメ達の登場に驚きながらも礼を述べた。シアは、過激な言動のカムに呆れつつも、頭の治療が必要だと指摘した。

【脱出と新たな装備】

ハジメは、ハウリア族全員を空間転移用アーティファクト「ゲートキー」で安全な場所に送り、カムには新しい装備を用意すると伝えた。怪しげに笑うカムをゲートに押し込み、ハジメとユエも続いて脱出した。

【帝城侵入と陽動作戦】

ハジメ達が帝城に侵入した頃、帝都の夜には突如光が迸り、亜人奴隷が集められた地区にある帝国兵の詰所が攻撃を受けた。詰所の外壁は吹き飛ばされ、仮面を着けた四人の異世界チート達が、ハジメの帝城潜入を支援する陽動作戦を展開した。仮面レッドは、亜人奴隷の解放を求めたが、帝国兵には理解されず、あくまで陽動として帝国兵と戦闘を続けた。

【仮面ピンクの恐怖】

仮面レッド達の攻撃が続く中、仮面ピンクは魔人族の精鋭部隊「仮面レンジャー」を装い、帝国に都市伝説「仮面ピンクの恐怖」を植え付けた。彼らはホラー風の警告を残し、裏路地に姿を消した。その結果、帝国兵の間で仮面ピンクの都市伝説が広がることとなった。

【ハジメの仲間達との再会】

ハジメ、ユエ、シアの三人は、ハウリア族と再会し、彼らの無事を確認した。シアは家族の無事に感動し、涙を流しながら感謝を述べた。ユエがシアを慰め、ハジメもシアのウサミミを優しく撫でることで、安心感を与えた。

【雫の怒りと決意表明】

その後、ハジメ達はハジメへの不満を抱いた雫と対峙した。仮面ピンクを装ったことでストレスが溜まった雫は、ハジメに対し怒りをぶつけたが、最終的にはハジメの巧みな対応により気を落ち着け、仲間としての連帯感を再確認した。

【カムの決意とハウリア族の覚悟】

カムはハジメに対し、ハウリア族の戦う意思と帝国に対する復讐の覚悟を語り、新生ハウリア族が帝国に宣戦布告する意志を明かした。シアはその無謀な計画に怒りを表し反対したが、最終的にカムは戦いに臨む理由を説明し、家族や同族の未来を守るための戦いであると説いた。

【ハジメの支援と帝城落とし】

ハジメはハウリア族の覚悟を認め、彼らに力を貸す決意を固めた。そして、帝城の制圧を目指し、ハウリア族が皇帝に対して恐怖を植え付けるべきだと宣言した。彼の叱咤激励を受けたハウリア族は、帝城落としに向けた熱意で満ち溢れ、仲間全員が戦いの準備を整えた。

【シアの安堵と信頼】

その後、ハジメはシアのそばに寄り添い、彼女のウサミミを優しく撫でながら励ました。シアは安堵し、ハジメに対する信頼を深め、彼のそばを離れず寄り添い続けた。

【夜明け前の静寂】

夜明け前の岩場に、早朝目覚めたハジメとユエが二人きりで座っていた。ユエはハジメの膝の上に横抱きで座り、二人は久しぶりの静かな時間を楽しんでいた。ユエは昨夜の出来事を思い出しながら、ハジメの首筋にキスをした。その理由として、シアを大切に思うハジメの姿勢に感謝し、彼に対する愛情が深まったと告げた。

【特別な存在への応答】

ユエはシアが「特別」であってもいいと考えていたが、ハジメは「特別」はユエだけだと明言した。ユエの困ったような表情に、ハジメは他の女性に対する関心を求められるのが気に入らず、無言で彼女の唇を奪った。二人はそのまま親密な時間を過ごし、東の空が白み始めた。

【仲間たちの乱入】

二人の静寂は、光輝がハジメを探しに来たことで破られた。ハジメはユエを抱き上げようとしたが、ユエに再び押し倒され、親密な時間が続いた。そこに光輝と、続けて雫や鈴、龍太郎らが現れ、状況に気づき硬直した。

【混乱する仲間たち】

さらにシア、香織、ティオが登場し、シアがハジメのもとに駆け寄って「参加」を申し出るが、ユエにたしなめられた。騒ぎが広がる中、ハジメはユエを抱き上げて立ち上がり、混乱を収束させるために他の仲間達をなだめて対応した。

【新生ハウリア族の朝】

仲間たちは慌ててその場を離れ、鈴と雫が顔を赤らめながら立ち去った。夜が明け、東の空に昇る朝日は新生ハウリア族の戦いの狼煙を象徴するものであったが、始まりはなんとも締まりのない様子であった。

第三章  王女の受難

【王女リリアーナの帝国訪問】

リリアーナは侍女や近衛を伴い帝都近郊に到着し、馬車で帝都へ向かった。帝国には王国の使者がまだ到着しておらず、彼女の訪問は予告なしのものとなった。リリアーナは事前に近衛を送り先触れを頼んだが、厳戒態勢下の帝都の様子に危機感を抱いた。リリアーナと侍女ヘリーナの会話は、帝国訪問の意図だけでなく、リリアーナを取り巻く複雑な状況も示唆していた。

【皇帝ガハルドとの謁見】

リリアーナは帝城に到着し、夕刻にガハルド皇帝との謁見が実現した。皇帝ガハルドは威厳ある姿と若々しい外見を持ち、リリアーナの訪問に興味を示していた。リリアーナは、王国で起こった事件の詳細を説明し、ガハルドは驚愕の表情を見せた。彼は信仰や神の存在についての真実に衝撃を受けたが、帝国の実力至上主義の視点から冷静に受け止めた。

【ハジメについての情報交換】

リリアーナはガハルドに南雲ハジメの存在と実力について説明した。ガハルドはその強大な力に驚き、特に個人で戦略級の能力を持つハジメが、もし帝国に脅威をもたらすならば無視できない存在であると認識した。しかし、リリアーナはハジメがこの世界に関心を持たず、支援も見返りも求めないと説明し、ガハルドに「触るな、危険」と忠告した。

【協議の内容と支援要請】

リリアーナは、帝国との協力体制を整えるための支援要請として、主に戦力の貸与を依頼した。ガハルドは、一個師団の提供を快諾し、リリアーナの安堵を引き出した。さらに、帝国と王国の関係強化を示すため、リリアーナと帝国皇太子との婚約話も進められ、帝国との強固な同盟が形成された。

【仮面の襲撃とリリアーナの窮地】

協議のさなか、リリアーナとガハルドは、帝国で発生した仮面をつけた謎の襲撃者について話題に上った。ガハルドは仮面達が亜人奴隷の待遇改善を訴えたことを奇妙に思い、さらに兎人族の異例な戦闘力に疑念を抱いていた。リリアーナは冷静な表情でやり過ごしたが、内心では光輝たち仮面の正体が暴かれかけていることに動揺し、冷や汗を流した。

【光輝一行の突如の来訪】

翌朝、リリアーナのもとに光輝たち勇者一行が正面から彼女を訪ねてきたとの報告が届いた。リリアーナは驚き、侍女たちと共に急ぎ彼らを迎える準備を始めた。ガハルドと光輝たちの謁見を阻止すべく、リリアーナは光輝達を自分の応接室に案内するよう指示し、彼らが新たな混乱を引き起こさないよう手を尽くす覚悟で行動した。

【帝城の厳重な防備と光輝たちの挑戦】

【ヘルシャー帝国】の帝城は、幅20メートル近い水路と堅固な城壁に囲まれ、魔法的な防衛措置も施されていた。水路には魔物が放たれ、跳ね橋でつながる正門には厳しい入城検査が実施されており、不法侵入はほぼ不可能であった。光輝は、帝城を脱出させたハウリア族の作戦を思い出しながら、ハジメの力量に改めて驚嘆していた。

【入城許可証の代わりに「勇者」の証明】

帝城の門前で入城検査を受ける光輝たちは、許可証を持たず「勇者」のステータスプレートを見せることで入城を許可された。門番たちは驚きつつも、神の使徒である光輝を疑うことはせず、リリアーナ姫への訪問を理由に帝城へ通した。

【第三連隊隊長グリッドとの対峙】

待合室にて第三連隊隊長グリッド・ハーフが光輝たちを出迎えた。グリッドはシアに注目し、彼女が行方不明の部下たちに関与しているのではないかと嫌味を込めて質問した。シアは一時、過去の記憶に囚われたが、ハジメとユエの支えにより平静を取り戻し、毅然とした態度でグリッドを無視した。

【ハジメの冷静な対処とグリッドの挑発】

グリッドがさらにシアに対して侮蔑的な発言を続けると、ハジメは冷静にグリッドを「下っ端」と呼び、言い争いを一蹴した。グリッドは怒りに燃えつつも、その場では手を出せず、部下に案内を命じてハジメたちを見送ることしかできなかった。ハジメたちは、背後からの敵意ある視線を意に介さず、帝城への道を進んだ。

【リリアーナの叱責とシアの不安定な心】

リリアーナは、ハジメ達が突然帝城に現れたことについて冷たい声で事情説明を求めた。リリアーナの詰問に対して、ハジメはシアの不安定さを理由に応じていたが、その実、シアは家族を奪ったグリッドへの殺意を抑えるために心を乱していた。ハジメとユエは、シアを落ち着かせるため優しく接し、リリアーナ達にその事情を話したことで一同は悲痛な表情を浮かべた。

【帝国への訪問目的とハジメの無関心】

リリアーナが仮面騒動の真意や謁見について詳しく尋ねるも、ハジメは「夜になれば分かる」と適当な返答に終始した。無責任な態度にリリアーナは落胆し、最終的に諦めざるを得なかった。ハジメの軽薄な態度にもかかわらず、他のメンバーは彼の事情を理解しており、リリアーナの失望に寄り添うことはしなかった。

【ガハルドとの謁見と覇気の衝突】

ガハルドとの謁見は、ハジメの「素の姿」を見たいという帝国皇帝の意向により、緊張感溢れる場となった。ガハルドは帝城での厳重な監視体制の中、ハジメの力や態度を試し、無礼講で進行させた。ハジメは軽く挑発を受け流しつつも、彼の異常な能力について簡潔に説明したが、供与の意思がないと断言した。

【リリアーナと皇太子との婚約発表】

ガハルドはリリアーナと皇太子の婚約発表を兼ねたパーティーを開くと告げ、驚愕する光輝達を後に部屋を退出した。リリアーナは国の安定のための結婚であることを淡々と説明し、王族としての責務を果たす覚悟を示した。光輝は納得がいかず不満を漏らしたが、リリアーナは王女としての立場に基づく決断であると冷静に対応した。

【光輝の葛藤とハジメの警告】

光輝はリリアーナの結婚に異を唱え続けたが、ハジメは政治的な問題に素人が口を挟むことではないと忠告し、状況を見極めるように釘を刺した。最後に、パーティーの準備に向かうハジメ達の姿を見送りながら、光輝は思いを巡らせ、リリアーナの未来に対して複雑な感情を抱いていた。

【リリアーナの婚約パーティーへの準備】

リリアーナは、ヘリーナと帝国側の侍女達と共に婚約パーティーのためのドレス選びに集中していた。帝国の侍女達は、彼女の姿を称賛し、その美しさを花の妖精のようだと讃えた。リリアーナは、たとえ政略結婚であっても皇太子妃としての役割を果たす覚悟を持っていたが、内心には消し去れない不安とわずかな憧れがよぎった。

【皇太子バイアスの突然の来訪と暴挙】

準備が整った後、突然、皇太子バイアスがリリアーナの部屋に無礼にも押し入ってきた。リリアーナが礼儀を持って注意するも、彼は粗野で横暴な態度で侍女や騎士たちを部屋から追い出した。リリアーナが残ると、バイアスは彼女を玩具のように扱い始め、暴力的に彼女に迫った。

【リリアーナを救った金属の蜘蛛】

バイアスに押し倒され危機に陥ったリリアーナのもとに、突如として金属でできた蜘蛛が現れた。蜘蛛はバイアスに毒を注入し、彼の意識を奪った。リリアーナは、蜘蛛が南雲ハジメによって送り込まれた救援であることを察し、彼に感謝の念を抱いた。救われた喜びを胸に、リリアーナは涙をこらえながら自らを奮い立たせた。

【ハジメの作戦準備と仲間の支援】

謁見を終えたハジメは、帝城内で計画を遂行するために集中していた。彼の周囲では、ユエやシア、ティオらが見守り、彼の努力を労った。彼らはパーティーを機に一世一代の勝負に臨む覚悟を決め、仲間としての絆を確認した。シアもまた、家族の未来が懸かった計画の成否に不安を覚えつつも、仲間たちの温かい支えを受け、笑顔を浮かべて覚悟を新たにした。

【パーティーへの出発】

ハジメ達は計画が順調に進んでいることを確認し、パーティーに臨む決意を固めた。光輝達もまた、その覚悟に感化され、全員がそれぞれの思いを胸に、婚約パーティーという舞台へと足を進めた。

第四章  帝国 VS最凶ウサギ

【暗闇の巡回と緊張感】

夜が更けた帝城の一角で、二人の帝国兵が巡回していた。松明の灯りを頼りに辺りを警戒していたが、雑談の合間に不穏な気配を感じる。しかし、仲間がいつの間にか姿を消し、巡回兵は恐怖に駆られた。直後に闇から現れた刺客に襲撃され、二人は音もなく排除された。

【ハウリア族の静かなる襲撃】

黒ずくめのハウリア族の一行が、暗闇に紛れて帝城内の見張り兵達を一人ずつ静かに制圧していった。彼らは、周囲の視線が逸れた一瞬を見計らって攻撃し、無力化を成功させた。どこからどう見ても兎人族と判別できる彼らは、無音の襲撃で次々と帝城内の要所を確保していった。

【煌びやかなパーティーと忍び寄る緊張】

一方、帝国の豪華なパーティー会場では、ハジメと仲間達が帝国貴族の注目を集めていた。ハジメは笑顔で貴族達と応対しつつも、耳の通信機から届く襲撃の進展報告を受け続けていた。周囲の注目はハジメの仲間であるユエ、シア、ティオ、香織ら美しい女性たちに集まり、彼らの存在感が会場の華やかさをさらに引き立てていた。

【リリアーナとバイアスの登場】

婚約を祝うパーティーの主役であるリリアーナとバイアスが会場に姿を現したが、リリアーナは漆黒のドレスを纏い、冷然とした態度を保っていた。バイアスとの不和が露骨に表れた二人の様子に、会場は微妙な空気に包まれた。

【ハジメとリリアーナの対話】

ハジメとダンスを踊りながら、リリアーナは彼への感謝と、内に秘めた不安を打ち明けた。彼女は心の奥底で救いを求めるが、ハジメは彼女の運命には干渉しないと冷静に応え、リリアーナに覚悟を促した。リリアーナはその言葉にわずかに慰めを感じ、最後に彼へ感謝の言葉を囁いた。

【襲撃の開始】

突如として会場が暗闇に包まれ、帝国貴族達が混乱に陥った。光を奪われた中で、ハウリア族が一斉に攻撃を開始し、会場内は悲鳴と恐怖で満たされた。貴族達は暗闇の中で次々と襲撃され、次第に会場は無力化されていった。

【ガハルドとハウリア族の対決】

暗闇の中でも驚異的な戦闘力を発揮するガハルド皇帝は、ハウリア族との死闘を繰り広げた。彼は敵の攻撃を次々と凌ぎ、猛然と反撃に出るが、最終的に体力が限界に達し、ハウリア族に敗北を喫した。この瞬間、帝国は最弱と見なしていた兎人族によって打ち負かされるという、歴史的な敗北を迎えた。

【パーティーでの異変とグリッド隊の焦燥】

時間を少し遡り、帝国軍第三連隊隊長であるグリッド・ハーフは、部下を引き連れて帝城内を駆け抜けていた。彼らは帝城地下の宝物庫を警備中、皇帝ガハルドの緊急召集命令を知らせる魔法具の反応を受け、急ぎ地上へと向かった。しかし、周囲の異様な静けさに不安を募らせながらも、グリッドは部隊に「陛下の元へ急げ」と指示を出した。

【シアとの対峙】

パーティー会場へ向かう道中、エントランスに差し掛かったグリッド隊は、兎人族の少女シア・ハウリアと遭遇した。美しい姿と無邪気な微笑みを見せるシアに対し、グリッドは一瞬足を止めるが、すぐに彼女を無視して進もうとした。しかし、シアの挑発的な言葉と不敵な笑みにより、グリッド達は彼女との戦いを避けられない状況に追い込まれた。

【シア・ハウリアの無双】

シアは圧倒的な力を見せつけ、次々と帝国兵を倒していった。手にした巨大な戦槌ドリュッケンを自在に操り、普通の兎人族ではあり得ない膂力と戦闘力で帝国兵を一掃。グリッドの指揮のもと兵士達は魔法を駆使し反撃を試みたが、シアの膨大な力と技巧の前に無力であった。彼女は笑みを浮かべながら、「ウッサウサにしてやんよ」と敵兵を相手に容赦なく戦い続けた。

【グリッド隊長の最後】

グリッドは最後の力を振り絞ってシアに挑むも、あっけなく倒された。シアの攻撃により彼は天窓を突き破り、夜空へと消えていった。残されたシアは、自身の力が失われた家族への報いになることを願いつつ、しばし瞑目した。

【シアの宣戦布告】

やがて、再びエントランスに新たな帝国兵が到着すると、シアは彼らに向かって冷静に宣戦布告した。「目の前にいるウサギは……想像を絶するほど強いですよ?」彼女の戦いは続き、帝国兵にとって悪夢のような状況が繰り広げられた。

【皇帝ガハルドの毒への苦悶】

パーティー会場で、皇帝ガハルドが毒による苦痛で声をあげた。ハウリア族の一人が倒れた皇帝に視力と聴力を回復させる薬を施し、交渉に備えさせた。その直後、ハウリア族のカムがガハルドに対して要求を突きつけ、彼の高慢な態度に対し冷静に忠告を下した。

【カムの威嚇と側近の犠牲】

カムは、会場のあちこちにスポットライトを当て、ガハルドの側近の首を無慈悲に刈り取ることで威嚇した。ガハルドは激昂しながらもその態度を崩さなかったが、カムは容赦なく彼に誓約を要求し続けた。

【誓約の首輪と要求】

カムはガハルドに「誓約の首輪」を装着させ、その誓約を魂レベルで守らせるアーティファクトであることを伝えた。カムは、奴隷の解放、樹海への不干渉、奴隷化の禁止、これらの法定化を誓約として提示し、ガハルドに誓約の言葉を要求した。

【誓約を受け入れるガハルド】

カムの脅威に屈したガハルドは、苦渋の表情で誓約を受け入れることを決意。彼は帝国民に対しても宣言し、誓約の首輪が発動した。この誓約により、帝国は亜人の奴隷化を永久に禁止されることとなった。

【神の使徒と勇者の登場】

翌日、帝都での奴隷解放をスムーズに進めるため、ハジメは香織を「神の使徒」として演出し、光輝も「勇者」として登場させた。帝国民たちは神の使徒の降臨に驚嘆し、ガハルドの言葉に従って亜人奴隷の解放に賛同した。

【亜人奴隷たちの解放と感動の帰還】

亜人奴隷たちは解放され、巨大な船フェルニルで帰還するシアの呼びかけに応じた。彼らは涙を流し、喜びに満ちた声を上げ、故郷へ帰ることが実現した喜びに包まれた。

【新たな戦いの覚悟】

ハジメは、ハウリア族が帝国との誓約を守る限り、その監視と対応を続けることを宣言。彼はハウリア族の覚悟を称え、彼らが新たな戦いに備える道を見守る姿勢を示した。

エピローグ

【魔国ガーランドの敗北と絶望】

魔国ガーランドは、侵攻作戦の大敗北によって悲壮な静寂に包まれていた。人間族と魔人族の趨勢を賭けた侵攻作戦は失敗し、十万を超える魔物と精鋭たる魔人族兵士のうち、約九割が壊滅した。人々は暗い未来を口にし、王城に救いを求めるような眼差しを向けていたが、魔王からの発表は何もなかった。

【フリード・バグアーの自責と苦悩】

ガーランドの軍部最高司令官であるフリード・バグアーは、敗北の責任を痛感していた。戦闘で受けた傷すら自らを罰するには足りず、魔王が彼を罰しないことに対し死に値する罰を望んでいたほどであった。彼の執務室に、帝国と樹海からの報告が届き、彼は一縷の希望を抱いて耳を傾けたが、皇帝殺害は失敗し、作戦部隊も全滅したとの報告に愕然とした。

【魔王との対話と神託】

魔王の呼び出しを受けたフリードは、玉座の間で魔王と対面した。魔王はフリードの計画に誤りはないとし、全ては「イレギュラーな存在」によるものであると断じた。さらに、魔王は神託を伝え、神の使徒を遣わせることが示され、その力を存分に使うように命じた。フリードは神の言葉に興奮を抑えきれず、神意に従う決意を新たにした。

【神の使徒エーアストの顕現】

玉座の間に光の柱が降り注ぎ、神の使徒エーアストが現れた。彼女は無機質な碧眼を持ち、神の命令に従うことを宣言した。魔王は彼女を歓迎し、彼女の同胞であるノイントが討たれたことに言及したが、エーアストは問題ないと答えた。すると、同じ姿をした神の使徒たちが次々と顕現し、数百体にも及ぶ神の使徒が王城の前に整列した。

【神に選ばれし魔人族と新たな命令】

神の使徒五百体の力を目の当たりにし、フリードと魔人族は自分たちが神に選ばれし種族であると再認識した。魔王はフリードに新たな命令を与え、使徒たちと共に遂行するよう指示を出した。フリードはこの命令に従うことを誓い、再び戦いに臨む決意を固めた。

番外編  残された想い

【王都への道中とシモンの不満】

シモン・リベラールは王都への馬車の中で、孫娘のシビル・リベラールに対し不満を漏らし続けていた。彼は76歳の聖教教会の司祭で、王都行きを嫌がっていたが、シビルは彼の愚痴に堪忍袋の緒を切らし、強く注意した。シモンが王女リリアーナからの手紙で王都へ呼び出された理由が、新教皇への推挙であることもあり、彼の動揺は収まらなかった。

【王都への到着と逃走劇】

王都に到着したシモンは、シビルを巧妙な魔法で欺き、雑踏に紛れ込んで逃亡を試みた。彼は司祭服に隠していた家宝の「空間拡張バッグ」に逃亡用の道具を詰め込んでおり、街を歩きながら王都の復興状況を確認した。道中、教会崩壊の噂に触れたシモンは違和感を覚え、民の反応に疑念を抱く。

【民との交流と使徒・優花との出会い】

王都での出来事に戸惑うシモンは、不安定な状況で喧嘩に巻き込まれる民を救うため、魔法で落下物を防ぎ、周囲の注目を集めた。王都民の間でシモンが聖職者であることが広まり、彼は困惑しながらも、民の期待に応えることを一時断念しかけたが、その場に現れた使徒と呼ばれる少女・優花の助けを借りて状況を収めた。優花と短い会話を交わしたシモンは、彼女の悩みを聞く中で彼女の信念と恩人への恩返しの思いを知る。

【優花の悩みとシモンの助言】

優花は恩人に救われたことへの感謝と、自分の力不足を感じながらも、何かを返したいとの思いを抱いていた。シモンは彼女の思いを称賛し、生まれたての望みを大切にするよう助言した。優花はその言葉に勇気を得て、自分の気持ちを再確認し、シモンの優しい導きに感謝を表した。

【教皇の使命と真実の理解】

その後、シモンは王妃と王子、宰相との謁見に応じ、教皇推挙に対する答えを出す前に、総本山崩壊の真実を聞くよう求めた。彼は真実を知り、心を整理するために王宮の庭を散策した。そこで出会った愛子と呼ばれる女性から、彼女の悩みを聞き、彼女の信念と教師としての矜持に触れる。

【リベラール家の口伝とシモンの決意】

シモンは孫娘シビルにリベラール家の口伝を伝えた。「抗う者の子らよ。天を仰いで生きよ」との言葉に込められた祖先の思いを理解し、教皇としての使命を果たす決意を固めた。彼は人々の未来が自由な意思のもとにあることを願い、教皇職を引き受ける覚悟を示した。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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