小説「ありふれた職業で世界最強 9 」感想・ネタバレ

小説「ありふれた職業で世界最強 9 」感想・ネタバレ

どんな本?

『ありふれた職業で世界最強 9』は、白米良氏によるライトノベルシリーズの第9巻である。本作では、主人公・南雲ハジメたちが故郷への帰還の手がかりを得て、氷と雪に閉ざされた最後の大迷宮「氷雪洞窟」へと挑む。新たな力を携えた一行は、氷面鏡の迷路や奇怪な囁き声など、精神を蝕む仕掛けに直面する。特に、雫は自身の偽りの姿と対峙し、内なる葛藤と向き合うこととなる。本巻は、登場人物たちの内面描写や試練を通じた成長が描かれており、シリーズの中でも重要な位置を占める作品である。

読んだ本のタイトル

ありふれた職業で世界最強9
著者:白米良 氏
イラスト:たかやKi  氏

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あらすじ・内容

ついに故郷へ帰還する手がかりを得たハジメたち。目指すは【氷雪洞窟】――氷と雪に閉ざされた、極寒にして極限を成す最後の大迷宮。
新たな力を携え挑むハジメたちだったが、氷面鏡の迷路に加え、奇怪な囁き声に悩まされる。その仕掛けは一行の精神を着実に蝕んでいき――。
そんな極限状態の中で分断され、一人ぼっちとなった雫の前に現れたのは、偽りの自分。
自身を超える試練に臨む雫だったが、目を逸らしてきた真実を虚像に突きつけられ、心が決壊してしまい……!?
「南雲君、少し、疲れたわ。ちゃんと……守って……ね?」
内に秘めた自身に克己せよ。“最強”異世界ファンタジー、第9巻

ありふれた職業で世界最強 9

感想

今巻は、ついに【氷雪洞窟】という最後の大迷宮に挑む。
冷たく閉ざされた氷の世界と過酷な試練が、ハジメたちの内面に深く切り込む展開となっている。

氷雪洞窟の試練は、自分自身と向き合うものが中心であった。
雫が自らの偽りと対峙し、抱えていた不安や罪悪感に正面から向き合う姿は非常に印象的であった。
これまで皆のお姉さん役として頼れる存在であった彼女が、弱さを見せることで一人の少女としての魅力を感じさせた。
彼女が素直になれた瞬間は、多くの読者にとって感動的であったに違いない。

一方で、光輝の精神的な崩壊が進み、彼の内面に潜む闇がさらに浮き彫りになった点も興味深い。
彼の葛藤は物語に新たな緊張感を加えつつ、仲間との対比を強調していた。
光輝の存在が、ハジメやその仲間たちの絆の強さをより際立たせていたように思える。

また、雫が香織との友情を再確認し、二人が互いに支え合う場面は心温まるものであった。
特に、最後の女子会でのシーンでは、登場人物たちの絆がさらに深まったことが感じられた。雫がこれからどのように成長し、仲間たちと共に歩んでいくのか期待が膨らむ。

試練そのものは、これまでの迷宮と比べても格段に難易度が高く、各キャラクターの内面をえぐる仕掛けが多かった。
特に、彼らが自分自身の負の感情や過去に直面し、それを乗り越えようとする姿は見ごたえがあった。
また、今回の巻では前編後編に分かれており、次巻でのさらなる展開が非常に楽しみである。

全体として、本巻は登場人物たちの内面の描写が深く掘り下げられており、それぞれのキャラクターに新たな魅力を感じさせた巻であった。
次巻では、迷宮攻略の結末や、彼らの戦いの行方がどのようになるのか期待せずにはいられない。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

心の葛藤と願い

ヒーローの背中

主人公が感じたのは、自分の前に立つ人物がまるでお伽噺の中のヒーローのようだという感情であった。その背中は大きく、彼の鮮やかな紅色が目に焼き付いた。その姿に、思わず「反則だ」と心の中で呟くほどだった。

刻まれる感情の軌跡

彼の存在は、主人公の心の奥深くにさまざまな感情を刻んでいった。その温かさは春の風のようであり、心地よさは夏の日差しを遮る木陰に似ていた。また、冬の空気のような痛みや秋の夕暮れのような切なさも与えた。それらは甘くも苦く、単純には表現できない複雑な感情であった。

心の防壁と侵入者

主人公は自分の心を堅く固め、意地と笑顔でその深い部分を隠していた。しかし、彼はその防壁を簡単に超えてしまった。なんでもないかのように踏み込んでくる彼の姿に、主人公は腹立たしさや憎らしさを感じながらも、そこに抗えない自分を認めざるを得なかった。

願い: これ以上の守護は不要

最後に主人公は心の中で切実に願った。「これ以上、私を守らないで」と。彼の守る姿勢が、主人公にとってどれほど大きな影響を与えているかを知りつつも、それ以上踏み込まれることに耐えられないという想いを告げた。

第一章  最後の大迷宮

飛空艇の旅と新たな挑戦

雲海を越えて――飛空艇フェルニル

飛空艇フェルニルは、雲海の上を滑るように飛行していた。光を浴びて輝くその姿は、大空を泳ぐ巨大なマンタを思わせた。船内では、シアが窓に張り付いて景色を眺めながら感嘆の声を上げていた。彼女は雲海の景色が、かつて母の墓所でハジメと過ごした夜を思い出させると言った。その思い出に浸りながら、彼女は自然と微笑み、ウサミミを揺らしていた。

シュネー雪原の解説と新たな地

ユエは窓から外を見ながら、シュネー雪原について語った。そこは常に曇天と吹雪に覆われる極寒の地で、大迷宮の氷雪洞窟が隠された場所であった。ティオは、その雪原が解放者によって作り出された可能性を示唆した。ハジメは手元の導越の羅針盤を確認し、その精度に改めて感嘆した。羅針盤の機能によって目的地の距離感や方向が感覚的に分かることが、冒険を大きく助けていた。

仲間たちのアーティファクトの試用

フェルニル内では、ハジメが仲間たちに与えたアーティファクトの性能が語られていた。光輝は聖剣の改造について驚き、龍太郎は空中移動能力を楽しんでいた。鈴は新たなアーティファクトの力に感謝し、自分も戦える存在になったことを喜んだ。雫は自分の黒刀の改造を評価しながらも、聖剣の完成度の高さに驚嘆した。

氷雪洞窟への接近

フェルニルが目的地へと近づく中、視界は次第に吹雪に覆われていった。ハジメの冷静な操縦により、フェルニルは安全に着陸した。仲間たちは外の寒さに驚きつつも、エアゾーンのアーティファクトによって快適に行動できた。シアは雪を初めて目にし、大いにはしゃいだが、勢い余ってクレバスに落下した。ハジメは動揺する仲間たちを落ち着かせ、自分も谷底へ飛び降りた。

崖を越え新たな冒険へ

仲間たちはティオの助言と少々の圧力を受け、次々に崖から飛び降りた。最後には全員が無事に谷底へ到達し、氷雪洞窟への道を進み始めた。この地では、新たな試練と大迷宮の攻略が待ち受けている。仲間たちの結束と装備の力が、この極地での冒険を支える重要な要素となっていた。

氷雪の峡谷と愛らしき脅威

鈴の恐怖と仲間たちの対応

【氷雪の峡谷】で、鈴はノーロープバンジーの恐怖に泣きべそをかいていた。小柄な体を震わせる彼女に、雫や光輝たちが助け舟を出す余裕がなく、香織が「飴ちゃん」を手渡して慰めていた。しかしその対応は年配者のようで、鈴は少し不満そうだった。ティオは鈴の様子を見て罪悪感を抱きつつも、ハジメの冗談交じりの指摘により「生け贄にされる」という恐怖が新たに加わった。

シアの帰還とハジメの叱責

突如として谷底の氷壁が崩壊し、ドリュッケンを担いだシアが現れた。彼女は恥ずかしさを誤魔化すような態度を見せたが、ハジメの拳骨が炸裂し、危険地帯での軽率な行動を叱責された。叱られたシアは肩を落としたものの、ハジメにウサミミを撫でられて元気を取り戻し、ユエも彼女の残念さを懐かしむように撫でていた。

大迷宮への進路と不安定な氷のトンネル

羅針盤に従い、一行は三つに分かれた氷のトンネルの右の道へ進むことになった。天然のトンネルは寒風が吹き抜け、体感温度は極寒であったが、エアゾーンのおかげで進むことが可能だった。進路を確認しながら進む中で、シアのウサミミが反応し、氷柱の間から現れたのは一匹の白銀の子ウサギであった。

子ウサギとの遭遇とハジメの冷酷さ

現れた子ウサギは非常に愛らしく、雫は思わず歓声を上げたが、ハジメは容赦なく踏み潰した。その行動に、鈴や雫、シアが驚愕し、悲鳴を上げた。一方で、子ウサギは次々と現れ、仲間たちの前に集まったが、ハジメはアーティファクトを駆使して合理的に排除を続けた。

仲間たちの困惑と新たな挑戦への決意

ハジメの冷酷な行動に、特に光輝たちは「悪魔」と叫び驚愕していた。一方で、彼らは自分たちも氷雪の峡谷に潜む脅威に対応しながら、大迷宮の攻略に向けて気持ちを新たにする必要があった。険しい環境の中、一行は次なる試練へと進む準備を整え始めた。

最後の大迷宮【氷雪洞窟】への進撃

魔物の襲撃と「子ウサギ」の真実

ハジメたちは大量の子ウサギを殲滅しながら【氷雪洞窟】への進路を進んだ。仲間たちが子ウサギへの非情な対応に疑念を抱く中、ハジメは冷静にその魔物の危険性を指摘した。子ウサギたちは愛らしい外見とは裏腹に「熱を奪う」固有魔法を持つ危険な存在であり、接触すれば命を奪われる可能性が高いという。説明を受けた仲間たちはハジメへの批判を収め、次第に状況を受け入れていった。

鈴の新たな力と仲間たちの戦闘

進行中、暴風が通り抜ける危険なT字路に直面した。ここで鈴が新たに手にしたアーティファクト「双鉄扇」を用い、自らの力を証明する場面が訪れた。鈴は「聖絶・散」などの高度な結界術を駆使し、暴風を見事に分散させ、一行の進軍を可能にした。仲間たちはその成長を称賛し、鈴も照れくさいながら満足そうな様子を見せた。

神秘的な洞窟の入口と不意の襲撃

進行を続けたハジメたちは、ついに大きな亀裂が広がる神殿のような空間にたどり着いた。そこが最後の大迷宮【氷雪洞窟】の入口であった。しかし、休む間もなく洞窟から巨大な魔物「ビッグフット」が飛び出し、一行を襲撃した。全員が力を合わせて応戦する中、光輝、雫、龍太郎、鈴がそれぞれの新技を披露し、敵を撃破していった。

戦闘中の技術と心理の変化

雫は昇華魔法を駆使して「禁域解放」を発動し、神速の斬撃で敵を切り裂いた。一方、光輝は一瞬の動揺が原因で敵の逃走を許してしまい、仲間たちに助けられる場面もあった。敵は予想外の動きと高い戦術を持っており、彼らの滑らかなスケート技術に光輝たちは一時的に翻弄された。

戦闘の終結と仲間の成長

激闘の末、仲間たちは全員無傷で勝利を収めた。特に鈴の結界術は高く評価され、仲間たちから称賛を受けた。雫の戦闘技術もまたハジメから評価され、シアはその姿を見習いたいと意欲を見せた。一方で、光輝は敵の奇妙な行動に困惑しつつも、仲間との連携を再確認した。

最後の大迷宮攻略の決意

戦闘後、ハジメたちはいよいよ【氷雪洞窟】の入口に立った。一行はそれぞれの決意を胸に秘め、ハジメの掛け声の下、最後の大迷宮攻略に向けて一歩を踏み出した。その先に待つ未知の試練を前に、全員が静かな覚悟を固めていた。

氷雪洞窟の探索と戦闘の記録

珍妙な氷雪洞窟の発見

探索を進めたハジメたちは、【氷雪洞窟】に辿り着いた。この洞窟は、透明度の高い氷壁でできた奇妙な構造を持っていた。氷壁はうっすらと人影を映し出し、動くたびに影が走るような錯覚を引き起こした。この環境は、特に光輝や鈴といった未熟な者たちの警戒心を過剰に刺激し、緊張感が場を支配した。

一行は、この奇妙な環境での会話を通じて、緊張感を緩和する試みを行った。特に、雫の軽口と香織へのからかいが功を奏し、場の空気は若干和らいだ。ハジメもこれに同調し、狙いではないものの、光輝や鈴の肩の力を抜くことに成功した。

洞窟内部での異常気象

洞窟の通路を進む中、冷たい風と共に凍傷を引き起こす雪が舞い始めた。ハジメの指示で鈴が防御結界を展開し、雪の危険性を排除する措置を取った。しかし、龍太郎が結界の外にはみ出したため、顔に凍傷を負うという事故が発生した。香織の治癒によって事なきを得たものの、この状況が彼らの警戒心をさらに高めた。

また、氷壁の中に凍りついた遺体を複数発見。魔人族や冒険者と思われる死体は、洞窟の非日常性を強調し、一行に不安感を与えた。

氷壁の中の遺体と襲撃の始まり

ハジメたちは、氷壁に埋もれた死体を調査した。これらの遺体に魔力反応はなく、ハジメの判断で破壊したが、その後の探索では背後から聞こえる呻き声により、洞窟がただならぬ空間であることを再確認させられた。

その直後、通路全方向から大量の魔物が襲撃してきた。それらは死体のフロストゾンビで、再生能力を持つことが判明。フロストゾンビの脅威に怯える者もいたが、ハジメの指示と香織の分解砲撃によって場の危機を乗り越えた。

フロストタートルとの決戦

やがて、ハジメたちは巨大な空間に到達。そこにはボス級の魔物「フロストタートル」が出現した。その巨体と再生能力、さらに群がるフロストゾンビやフロストイーグルの連携は、一行にとって苛烈な試練であった。

ハジメの計らいにより、フロストタートルの討伐は光輝たちに託された。光輝は、自身の切り札である「神威」によってフロストタートルに致命傷を与えたものの、魔石を完全に破壊できなかった。最終的に雫が魔石を粉砕し、戦いを終わらせた。

戦闘後の余韻と光輝の内面

勝利の達成感が漂う中、光輝は戦闘で見せた自分の力に一瞬満足感を覚えたが、ハジメとの「差」を改めて実感。自分の無力感や焦燥感を心の奥底に押し込めるも、完全には拭えなかった。

その後、ハジメたちは通路の奥へと進む決断を下し、氷雪洞窟の更なる深部を目指して歩みを進めた。この冒険の道程は、誰かの心の中に暗い影を落としながら続いていった。

第二章  囁く声

大迷宮の迷路攻略

壮大な迷宮の発見

ハジメ達はフロストタートルの部屋から進み、壮大で複雑な迷路の全貌を目にした。迷路は全体で幅4キロ、奥行き1キロ以上の広さを誇り、雪煙のため先の様子が不明瞭であった。ハジメ達は、羅針盤の有用性に感謝しながらも、過去に迷宮を攻略した魔人族の将軍フリードを一時的に思い出した。

迷路入口での龍太郎の無謀な行動

階段を下り、迷路の入口に到着した一行。龍太郎は、迷路の上を飛び越えるという名案を思いつき行動を開始。しかし、大迷宮の罠が発動し、空間が歪む現象によって彼は氷柱の中に閉じ込められた。ハジメ達は迅速に対応し、香織やユエの協力で彼を救出。しかし、この騒動により龍太郎は衣服を失い、同伴者達から奇妙な目で見られる結果となった。

広大な迷路内での試練

迷路内に進むと、奇襲を得意とする氷の鬼「フロストオーガ」が出現。ハジメ達は効率的にこれを撃破。特にシアの華麗かつ苛烈な戦闘スタイルが目立ち、一行を圧倒した。一方で、迷路内の寒さや単調な景色が精神力を削り、メンバーの疲労が徐々に蓄積された。

一時休憩と天幕の設置

道中の突き当たりに広場を発見。そこでハジメは天幕を展開し、一行は疲労を癒すための休憩を開始。天幕内の快適さに驚いた光輝達は、束の間の休息に心を和らげた。一方で、ユエやシアはハジメに甘える姿を見せ、周囲の独身者達の心情をさらに複雑にした。

扉の謎とさらなる試練への準備

広場の突き当たりに荘厳な氷の扉が存在するも、開くための鍵となるアイテムが不明であった。ハジメ達は迷路攻略の続行を決定し、羅針盤を頼りに適切なルートを模索。これから始まるさらなる試練に備え、一行は慎重に準備を進めていた。

食事と迷宮攻略の鍵の収集

食事の準備と甘いひと時

天幕内では、シアが用意したエリセン産の新鮮な海鮮鍋の香りが漂い、一行の食事が始まった。ユエとシアはハジメに「あ~ん」と料理を食べさせるなど、甘い雰囲気を醸し出していた。一方、龍太郎と光輝はそれを直視せず、修行僧のような態度を取っていた。香織もまたハジメに「自分の料理の腕」をアピールし、ユエと小競り合いになる場面が見られた。

ティオの登場と雫の一喝

ティオがハジメに尽くす伴侶としてのアピールを始め、彼の股間付近から顔を出すという突飛な行動に出た。その後、香織とユエが食事中にも関わらず言い争いを続ける中、雫が凛とした声で「食事中」と叱責。一同がその迫力に震え上がり、場は一時的に落ち着きを取り戻した。

鍵の回収とフロストオーガとの遭遇

その後、ハジメは食事中にクロスビットを操作し、迷宮の鍵となる宝珠を遠隔で回収。ゲートを開き、宝珠を安全に手元へ移動させた。同時に宝珠の守護者である巨大なフロストオーガが出現したが、ハジメは置き土産として爆弾を残し、フロストオーガを排除した。

光輝たちの反応と迷宮攻略の議論

ハジメの効率的かつ大胆な鍵回収方法に、光輝たちは強い違和感を覚えた。特に光輝は「迷宮攻略は正々堂々と行うべき」と主張したが、ハジメは「効率が最優先」と返答した。このやり取りを経て、次の鍵の回収は分担して行うことが決定された。

今後の鍵回収の方針

ハジメは残りの二つの宝珠の位置を確認し、光輝たちのチームとユエたちのチームにそれぞれ任せる方針を提案。一行はそれぞれの役割を理解し、引き続き迷宮攻略に挑む準備を整えた。

氷迷宮の試練:囁き声と心の迷宮

鍵の回収と扉の開放

光輝たちのチームが、迷宮内で緑色の宝珠を回収して合流した。一同は三つの宝珠を扉のレリーフにはめ込み、鮮やかな光の演出とともに巨大な扉が開かれた。その先に広がるのは、完全に鏡で覆われた氷の迷路であった。一行は警戒しつつ足を踏み入れた。

囁き声の干渉と仲間の動揺

鏡の迷宮を進む中で、光輝が最初に「囁き声」を聞いたと主張し、他の者には聞こえないことで動揺を見せた。雫も後に同様の声を聞き、次第に他の仲間にも影響が広がる。囁き声は各々の心の奥底を揺さぶる内容であり、それが迷宮の試練の一環であることが明らかになった。

心の声とそれぞれの葛藤

囁き声は、各人の過去の後悔や深層心理に触れるものであった。ユエはかつての裏切りの記憶、シアは家族の喪失、ティオは迫害の過去に直面し、香織は嫉妬心を自覚させられた。しかし彼らは、それぞれの経験を糧にして自らの心を制御し、前へ進む決意を新たにした。

ハジメの強靭な意志

ハジメは囁き声に対して動揺を見せることなく、自らの「目標に集中する」考え方を貫いた。過去や不安を放置しながらも、それに囚われることなく進む姿勢が仲間を鼓舞した。特に光輝は、ハジメの精神の強さに衝撃を受けつつも、自分の弱さを突きつけられて苦悩する。

ユエの決意と仲間の団結

囁き声が示唆する裏切りの恐れに対し、ユエは「ハジメを逃がさない」と宣言することで不安を払拭した。その妖艶な振る舞いは一時的に場を乱したが、シアや他の仲間が介入して秩序を保った。この出来事を通じて一同は、心の揺らぎに向き合いながらも、迷宮の試練を乗り越えるために結束を深めた。

試練の本質と前進

囁き声が個々の心を試すものであり、それが迷宮攻略の要となる試練であることが明らかになった。一行は囁き声の干渉を受けつつも、心を乱されず迷路の奥へと進む決意を固め、試練の最深部へと向かい続けた。

第三章  感情の矛先

小学校での回想と学芸会の役決め

雫は教室の窓から校庭を眺めながら、自分の疲れを感じていた。放課後のHRで、小学校最後の学芸会の配役が決められていた時、親友の香織からお姫様役に推薦され、驚き戸惑った。劇の内容はお姫様と騎士の物語であり、香織の強い押しにより、雫は心の中で嬉しさを感じながらも返事を躊躇していた。しかし、クラスメイトたちの意見は雫が騎士役に適しているという方向に動き、最終的に雫は騎士役を引き受けることを決めた。これに対し、香織は不満を露わにし、三日間口を利かなかったものの、雫から離れようとはしなかった。

迷宮内での精神的試練と仲間の葛藤

雫は迷宮内の小部屋で短い眠りに落ちた後、不安や焦燥に苛まれる悪夢を見て目を覚ました。彼女はこれまで頼られてきた記憶や自身の負担に押しつぶされそうになり、自分の存在意義を問い続けていた。その中で、謎めいた白い人影と出会い、彼女の心に刻まれるような言葉を投げかけられる。この経験が、雫の中でくすぶっていた不安をさらに深めた。

一方、仲間たちも迷宮の囁き声による精神的負荷に苦しんでいた。特に光輝は、囁き声に誘導される形で仲間に攻撃を仕掛けるという深刻な影響を受け、動揺を隠せない。雫を含む他の仲間たちは、精神的な疲労と囁き声の影響に対抗しようとするが、状況は次第に悪化する。

大迷宮の試練と光輝の異常

迷宮の終着点に到達する前、一行は強力な防御と攻撃能力を持つフロストゴーレムとの戦闘を強いられた。囁き声の影響で、光輝と他の仲間たちは意識せずに仲間を攻撃する状況に陥り、連携が乱れる。ハジメは冷静に状況を見極め、必要最低限のサポートを行う一方で、彼らに自主的に試練を克服させるべくあえて距離を取った。

迷宮の最終エリアと次なる挑戦

最終的に、一行は迷宮のゴールにたどり着いたが、その過程で各自の精神的弱さと試練への耐性が試された。ハジメは仲間たちの選択を尊重しつつ、迷宮を進む姿勢を崩さなかった。彼らの前には荘厳な門が現れ、さらなる挑戦が待ち受けていることを暗示していた。

雪煙の試練と分断された仲間たち

分断と香織の奮闘

仲間たちは突如として発生した雪煙により分断された。香織は仲間の安否を確認しつつ、自らを守るために銀翼を展開した。襲い来る熱線を防ぎつつ、現れたフロストゴーレムと対峙することとなる。香織はフロストゴーレムの動きに翻弄されつつも、自らの分解能力を活用し、一撃でゴーレムを消滅させる策を実行した。結果として、試練達成を認められた香織は、ユエの重力魔法の助けを得て試練を突破したが、その後、ユエから厳しい視線を浴びせられることとなった。

雫の戦いと内なる葛藤

一方、雫はフロストゴーレムの攻撃を受けながらも、技と判断力を駆使して戦闘を続けた。彼女は自身の遠距離技が味方に向かってしまう状況に苦悩しつつも、最後には自身の昇華魔法を用いてゴーレムを撃破することに成功した。戦闘後、彼女は自らの孤独と内面の葛藤を感じつつも、香織に癒されながら前へ進む決意を新たにした。

鈴の粘り強さ

鈴は、自身の結界能力を駆使してフロストゴーレムを超高熱の空間に封じ込める戦法を取った。精神力と魔力を極限まで使い果たしながらも、鈴の決意は揺るがなかった。彼女は持てる力を全て発揮し、遂にゴーレムを撃破することに成功した。

龍太郎の脳筋戦法

龍太郎はフロストゴーレムと素手の殴り合いを展開。回避を諦めた彼は、ひたすら耐え抜き、ゴーレムを撃破するという荒業を成し遂げた。しかし、満身創痍の状態で倒れ、香織に引きずられながら治療を受ける羽目となった。

光輝の苦悩と限界突破

光輝は限界突破を発動し、自らの力を最大限に発揮してゴーレムを撃破。しかし、その代償として精神的に疲弊し、ハジメに対する複雑な感情を抱えるようになる。その冷たい視線と自嘲的な態度は、今後の展開を暗示するものだった。

再集結と次なるステージへ

試練を乗り越えた一行は、雪煙が晴れ、光の門が現れる中で再集結した。光輝の強い要望もあり、休息を取らず次なるステージへと向かうこととなった。それぞれが抱える思いを胸に、物語はさらに進展していく。

第四章  本当の心

ハジメと虚像の試練

分断と鏡の道

ハジメは雪煙の試練によって仲間と分断された。周囲には氷鏡面の通路が広がり、自身の姿が幾重にも映り込む奇妙な環境に置かれた。通路を進む中で、足音や映り込む自分の姿が心に問いかけてくるような感覚を覚えた。辿り着いた先には巨大な氷の柱、まるで樹木のように見える「氷樹」がそびえ立っていた。

自分自身との対話

ハジメは氷樹に映る自分の姿を見つめ、普段気にしていなかった自身の外見を改めて意識し、恥じらいと自己認識の痛みを覚えた。そこに現れたのは、自分を模した「虚像」のハジメであった。虚像は、自らの本質や弱点を突きつけるような問いかけを投げかけてきた。

虚像との戦闘

虚像はハジメの「負の感情」や「矛盾」に訴えかけながら、同時に実力を持って攻撃を仕掛けてきた。戦闘は互いに全く同じ動きを繰り出す合わせ鏡のようなものとなり、完全に拮抗した。しかし、ハジメは戦いの中で自らの動きや癖を修正し、徐々に虚像を圧倒していった。

試練の本質と克服

虚像は「負の感情を乗り越えなければならない」という試練の本質を主張し、ハジメの抱える恐怖や不安を容赦なく突きつけた。しかし、ハジメは「負の感情を抱えながらも、それを振り切って進む」という信念を貫き、虚像の主張を受け流した。そして、「自分の弱さを直視しつつ、それでも前に進む」ことが、ハジメの在り方であると示した。

最後の決着

最終局面でハジメは虚像を圧倒し、完全に撃破した。試練の一部である虚像は消滅する間際にどこか満足げな表情を浮かべていた。戦いの後、ハジメは自らの手を見つめ、これまで乗り越えてきた道のりを振り返る。そして「どんな未来であろうと喰らいつく」と決意を新たにし、不敵な笑みを浮かべながら次の道へ進んでいった。

雫の試練と虚像の対峙

分断と孤独

雫は光の門を通り抜けた直後、仲間と分断された。薄暗い氷面鏡の一本道で一人きりになり、自らの孤独と心細さを痛感した。守られる立場ではなく、常に守る者であろうとしてきた自分の弱さに愕然としながらも、気を奮い立たせて進むことを決意した。

氷樹との出会いと虚像の出現

一本道を進んだ雫は、やがて広間にそびえる氷樹に辿り着いた。その根元に立つ人影を仲間と信じて駆け寄ったが、そこにいたのは自身の「虚像」だった。白い雫と呼ぶべき存在は、夢で見た姿そのままで、雫を不気味な微笑みで迎えた。

虚像との戦闘開始

虚像は、八重樫流刀術を完全にコピーした技を駆使し、雫を圧倒した。鍔迫り合いや高速戦闘の中で、虚像は次々と技を繰り出し、雫を追い詰めた。雫は黒刀を振るい応戦するも、虚像の圧倒的な実力と冷徹な戦術の前に徐々に追い込まれていった。

心の深奥を突かれる

虚像は雫の過去や心の奥底に秘められた感情を容赦なく突き、言葉の刃で雫の心をえぐり続けた。剣術への葛藤、光輝への複雑な想い、親友・香織への罪悪感などが次々と暴かれ、雫の精神は徐々に崩壊していった。

戦況の悪化

虚像の言葉によって動揺を深めた雫は、戦闘においても次第に劣勢に立たされた。身体的なダメージが蓄積し、動きが鈍る中、虚像はさらに力を増していった。心の動揺は、戦力差を広げる原因となり、雫は完全に追い詰められた。

雫の絶望と涙

虚像は最後の一撃を振るおうとし、雫はついに自分の弱さを認め、助けを求める言葉を口にした。守る者であろうとし続けた彼女が初めて見せた弱音だった。しかし、虚像はそれを冷酷に切り捨て、止めを刺そうとした。

救いと再起の兆し

虚像の刃が雫を貫こうとする刹那、見覚えのある金属の義手が現れ、白刀を掴んで凶刃を阻止した。雫の背後には彼が立っており、彼の存在が絶望の淵にいた彼女に光をもたらした。

ハジメの救出と雫の覚醒

奇跡的な救出

雫は絶体絶命の危機に瀕していたが、突如現れたハジメに救出された。ハジメは義手の「振動破砕」を用いて虚像の白刀を粉砕し、さらにクロスビットを駆使して虚像を足止めした。雫は自分を支えるハジメの温もりに触れ、現実なのか夢なのか分からず戸惑ったが、奇跡的な状況を少しずつ受け入れ始めた。

回復と再起

ハジメは宝物庫から取り出した神水を雫に無理やり飲ませ、彼女の体を完全に回復させた。雫は安堵の涙を流し、ハジメに感謝しながらも、自らの弱さを痛感していた。ハジメは彼女に「リベンジマッチ」を提案し、虚像に再び挑むよう促した。

雫の動揺と覚悟

雫はハジメの提案に一時は戸惑い、虚像の圧倒的な力に対する恐怖心を見せた。しかし、ハジメは彼女の心の強さを信じ、彼女自身の持つ大切な想いを思い出させた。雫は家族や仲間、親友の香織との温かい思い出を胸に、自分が守ってきたものの価値を再認識した。

仮面ピンク・マークⅡと自信の回復

ハジメは雫を鼓舞するため、再び仮面ピンク・マークⅡを提案したが、雫はそれを拒否。代わりに「仮面などなくても勝てる」と宣言し、彼女の自信が徐々に回復した。ハジメはその様子に安堵しつつ、彼女に励ましの言葉を贈った。

虚像との決着

覚悟を決めた雫は、虚像との一騎打ちに挑んだ。虚像の挑発を受け流し、彼女は自らの全力を込めた一撃で虚像を両断した。虚像は満足そうな表情を浮かべながら消え去り、雫は遂に自身の試練を乗り越えた。

新たな道とハジメへの想い

試練を終えた雫はハジメの助けを借りて新たな道を進むこととなった。雫は心の中で香織や他の仲間たちへの想いを再確認し、自分の素直な感情と向き合う決意を固めた。ハジメに対する恋心を自覚しつつも、親友への配慮と自分の想いの間で揺れる心情が描かれた。

軽口と新たな始まり

雫とハジメの間で交わされた軽口は、雫の心を軽くし、彼女の成長を示すものとなった。雫は自らの髪を束ねる新たなヘアクリップをハジメに作らせ、その象徴とともに仲間たちの待つ未来へと歩みを進めるのだった。

番外編  真夜中のガールズトーク

星空の下の夜会と語られる過去

訓練の終わりと星空の下の語らい

雫と鈴は、ハジメに魔改造されたアーティファクトの習熟訓練を終え、疲労困憊の中で星空を見上げていた。翌日に迫る【氷雪洞窟】への突入に備え、二人は訓練の成果に満足しつつ、体力の限界を感じていた。その時、香織とユエ、シア、ティオが夜食を持って現れ、夜空の下で和やかなひと時を過ごすことになった。

女子会の始まりと和やかな雰囲気

夜食を囲みながら、女子会が始まった。香織が作ったスープを雫と鈴が堪能し、親友同士の絆が語られる中、和やかな雰囲気が満ちていた。一方で、光輝と龍太郎の状況にも話題が及び、二人の奮闘が語られた。

雫と光輝の関係性

会話の中で、シアが雫に光輝への気持ちを問いかけた。雫は「家族のような存在」として彼を見ていると語り、八重樫流の教えに基づき、身内として光輝を支えている背景が明かされた。しかし、光輝の幼馴染としての苦悩や複雑な感情が滲み出る一幕となった。

香織との過去と友情の絆

雫は、幼い頃に光輝の存在が原因で受けた嫉妬や苦境を振り返り、そんな彼女を救った香織との出会いを語った。香織の真っ直ぐな優しさと行動力が、雫にとって大きな支えとなり、彼女の生き方を変えるきっかけとなったことが明らかになった。

雫とハジメの印象

女子会の話題は次第にハジメの話へと移り、雫は彼に対する最初の印象を「変な人」と回想した。彼の独特な行動や性格が雫の興味を引き、次第に彼への理解が深まる様子が描かれた。また、香織に全くなびかなかったハジメに対し、当初は不満を抱きつつも、その芯の強さを感じ取るようになったことが語られた。

過去の秘められた思い出

雫は、かつての学校生活でハジメとのささやかな交流を思い出した。ある放課後、教室で眠るハジメを見つけた雫は、彼を起こして一緒に下校することに。彼の素直な言葉と態度に触れた雫は、彼の人間性や内面の強さに魅力を感じ、忘れられない思い出として胸に刻んでいた。

終わりに

夜空の下、雫たちの語らいは続き、それぞれの過去や心の内が明かされていった。彼女たちの友情や絆、そしてそれぞれが抱える思いが交錯し、次の試練に向けて心を新たにする時間となった。

真夜中の女子会と剣士の心

想い出の余韻と雫の言葉

雫は、ハジメとの想い出に浸るあまり沈黙を作り、皆の視線に気づき慌てて取り繕った。咳払いをしながら、「南雲君はとんでもなく強い人」と語り始めた。その言葉は召喚された後も努力を続け、どんな困難にも屈しなかった彼への賞賛であった。檜山たちがハジメを攻撃した理由も、彼の心の強さに嫉妬していたからだと雫は理解していた。そして、「私が知る中で一番心が強い人」と断言した雫の言葉は、皆を静かにさせた。

ユエとの会話と雫の信頼

静寂の中、ユエが雫に「守れるくらい?」と問いかけた。雫は微笑みながら、「香織を守れると思えるくらい」と答えた。その言葉には含むものもなく、全幅の信頼が込められていた。ユエはその笑顔に照れを見せ、場を和ませるために軽口を叩きながら香織と小さな口論を始めた。雫は、「ユエが香織を大切にしてくれて嬉しい」と感謝を伝え、さらにユエを照れさせた。

女子会の解散と雫への抱擁

真夜中の女子会はユエの号令で解散となり、一行はそれぞれの部屋へ向かった。その途中、香織が雫に抱きつき、「素直な雫ちゃんが一番好き」と告げた。雫は照れながらも、その言葉の真意を測りかねていた。香織は「自分で気が付くことが大事」とだけ言い、深い意味を残して雫から離れた。

迫る予感と気遣い屋の少女剣士

香織と別れた後、雫は胸騒ぎを覚えた。見てはいけない何かが迫っているような感覚に襲われたが、それを振り払うように頭を振った。香織の言葉の真意や自分の心の本当の姿にはまだ気づけないまま、雫は眠りに就こうとする。素直になれない気遣い屋の少女剣士が、その予感が意味するものを知るのは、まだ少し先のことであった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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