どんなラノベ?
ゲームのラスボスを倒したら。
別の世界の邪神だったらしく滅ぶなら道連れだと自爆されてしまった。
そのせいで日本中の全ての電源が落ちて大停電が起きてしまう。
そのせいで様々な事情で田舎でスローライフをしていた大迫聡は死亡してしまった。
でも彼が気が付いたら森の中にいた。
そして、操作パネルのようなステータスが見えるので調べていたら、異世界の神からメールが来ていた。
そこには何が起こったのか簡単に説明されており。
オッサンは異世界の神に怨みを抱えながら街を目指して歩き出す。
読んだ本のタイトル
#アラフォー賢者の異世界生活日記 1巻
著者:#寿安清 氏
イラスト:#ジョンディー 氏
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あらすじ・内容
【朗報】40歳おっさん、ゲームの能力を引き継いで異世界に転生す!!
リストラに遭って以来、毎日畑の世話をしながら『ゼロス・マーリン』としてゲームにのめり込む日々を送っていた、無職のおっさん大迫 聡(40歳)。
アラフォー賢者の異世界生活日記 1
オリジナルの魔法を作り、名実ともにトッププレイヤーに上り詰めた彼は、ラスボスを難なく攻略するが、ログイン中に発生したある事故によりその生涯に幕をおろす。
独りぼっちで死んだと思われた彼だったが、気づくと大深緑地帯の真っただ中に立たされていた。異世界の女神によれば、彼はゲームのステータスを引継いで転生したということらしい。
大深緑地帯でのサバイバルを経て、元公爵の老人と知り合ったゼロスは賢者の能力を買われ、魔法を使えない少女の家庭教師を依頼されるが――!?
「僕は日々平穏がモットーなんですがねぇ……」アラフォー賢者の異世界生活日記開始!
感想
田舎でスローライフを営みネットゲームでボスの邪神を倒したら、異世界の神々から追放された本物の邪神だった。
邪神は、異世界の神から殺され事を願ってゲーム世界のラスボスにされてしまう。
そして、醜い姿にされて廃人ゲーマー達に殺されてしまった。
本物の神としての最後の意地で自爆し日本中が大停電が発生。
その結果、数十名が亡くなってしまう。
その1人、大迫聡ことオッサンゼロスはゲームをしていた姿とステータスを引き継いだ状態で突然覚醒した。
周りを確認したら、モンスター蔓延る森の中に放置されアイテムはあるが食料は皆無。
メールにこの世界の女神から経緯の説明があったが、、
あまりにも無責任なこの世界の女神に殺意を持ってしまう。
だが、まずは生きて魔獣蔓延るこの森(ファーフランの大深緑地地帯)を出なければいけない。
1人なので安心して寝る事が出来ない。
調味料が無いため、焼くだけの味気ない肉を貪りながらサバイバルを1週間。
完全に野生になっていたオッサンは遂に人に出会ったら、、
盗賊に襲われてたので何方が悪いの確認してから襲われる方を助ける。
そこから始まる大賢者ゼロスのストーリー。。
ちなみに、賢者が出て来るだけでも大騒ぎな世界。
そこに大賢者が降臨して来た。
それだけでも大騒ぎになるのだが、助けた人が引退したとはいえ元公爵家の当主だった人だったので権力者(息子)から隠す事に成功する。
助けた貴族の女子は魔法が使えず、彼女の持っていた教科書の魔法術式を見たら無駄が多く、術式を簡略化してそれを彼女に使わせたらアッサリと魔法を使えるようになり。
いままで使っていた教科書をゼロスに見せたら、術式の多数が無駄が多いと指摘して修正をしたら、、、
より小さい魔力で魔法が展開できる物になり、、
今まで使用していた教科書の価値が駄々下がる。
さらにゼロスの職業称号が大賢者と知ると貴族はゼロスを囲い込む事を模索するが、、
ゼロスは贅沢や栄光は求めておらず普通に暮らしたいと言ってるので、魔法が使えなかったセレスティーナの家庭教師をしてもらう事をお願いしたらアッサリと了承を貰える。
そしてオッサンは、公爵家のセレスティーナの家庭教師として屋敷に住み込む事になる。
そして、セレティーナを鍛えるのだが、、
セレスティーナは魔法が使えなかったせいで、魔法理論を猛勉強しており。
理論は完璧に覚えているので実践を重点的にさせるのだが、、
何故か鈍器のメイスを持たせてゴーレムとの模擬戦をさせる事になる、、
それがまた的確な教育だったらしくセレティーナの実力はメキメキと上がって行く。
だけどハードな訓練である事には変わりなくセレティーナには休養も必要であり、そんな時は暇なオッサンはタバコを求めて街をフラフラと歩いていたら。
腹を空かせた子供達にご飯を奢れと集られ、盗んだと言われて怒られるのも不憫なので子供達の保護者に渡すと言って養護院に行くと。
公爵家の長男のツヴェイトが、、
養護院で子供の面倒を見ている女性を権力にモノを言わせて口説いていた。
やってる事がゲスくて女性は嫌悪感を丸出し。
完全にフラれているのに、さらに粘着してくるからより悪化する。
それを仲裁に入ったオッサンにツヴェイトくんは公爵家の奥義の魔法を放つが、、、
オッサンは拳で奥義の魔法を完封。
あまりのショックに呆然としているとツヴェイトくんは学園で施された洗脳が解け、さらに父親と拳で語り合いたいをしたら完全に元に戻ってしまう。
そして、そんな騒動を他所に養護院の子供達はオッサンの持ってきた食い物を貪り食べていた。。
何気に逞しいw
そして、オッサンはセレスティーナとツヴェイトと護衛の騎士を連れて、オッサンがかつて彷徨った大緑地帯に実戦訓練にをしに行く。。。
え?何で森に戻るんだよ!!
そして、大緑地帯は甘くなかった。
4日分の食糧を置いていた基地を襲われ、食糧の無い状態で4日間のサバイバルを強要される事になる。
そんな状態に笑顔になるオッサンは、、
他人を巻き込んで喜んでる。
このオッサンはマジでヤバイ。
次巻へ続く
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同シリーズ
アラフォー賢者の異世界生活日記シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ おっさん、死す
VRRPG「ソード・アンド・ソーサリスVII」は、最新のゲーム機器「ドリーム・ワークス」により、脳内シナプスと感覚同期を行う臨場感あふれる体感型RPGである。
高価ながらも多くのプレイヤーが熱狂し、その中で大迫聡は「ゼロス・マーリン」と名乗り、トップクラスの「殲滅者」として活動していた。
ゲームではスキルや装備のカスタマイズが可能で、魔法の作成が重要な要素となっている。
特に、「スペル・サーキッド」という術式により、プレイヤーは魔法を改造できる。
フィールド内の魔力を利用することで、威力を増大させる隠し要素が存在し、プレイヤーはこれを探求することで一部の魔法が非常に強力になる。
聡とその仲間たちは、自分たちで開発した強力な魔法を「魔法スクロール」として売ることなく、自らの楽しみのために使用し続けた。
その結果、彼らは他のプレイヤーから非難されることもあったが、気にせず独自の魔法を作り続けた。
元プログラム技術者の聡は、田舎で引きこもりの生活を送りながら、ゲーム内で「大賢者」として活動していた。
ストーリーモードのラスボスである邪神との戦闘では、彼らは独自の魔法と装備で圧倒し続け、最終的に邪神を倒した。
しかし、聡がログアウトしないままアイテムをチェックしていると、HPがゼロのはずの邪神が動き出し、呪詛の力を解放した。
この出来事により、日本全土の電力供給が停止し、数十名の国民が謎の死を遂げた。
この事件は電力復旧作業の陰で忘れ去られていった。
第一話 おっさん、異世界に転生す
聡はある日、突然自分が見知らぬ緑豊かな森の中にいることに気づいた。
その場所は地球ではない可能性が高く、未知の植物や二つの月が見える空が広がっていた。
彼は自分が何故そこにいるのか理解できず、さらに彼の身につけている装備がゲーム内で使っていた物と一致していることから、彼がゲームの世界に転移したと考えた。
しかし、それが現実のように感じられる状況に戸惑いを隠せなかった。
彼の身に起こったこの異常な事態に対して、彼は現実と夢の区別がつかず、混乱するばかりだった。
聡は魔力が尽きる前に何度も魔法をかけて飛び続けたが、町や村の姿は見つからなかった。
食料確保と野宿の必要性を考え、聡は狩りをすることにしたが、インベントリーには食料が見当たらず、調理する素材もなかった。
彼は狩りの経験がなく、問題に直面した。
しかし、スキルを利用して狩りを試みるも、使用した武器が強力すぎてウサギを爆散させてしまい、食糧調達は困難になった。
その後、スキル「手加減」を利用してウサギを瀕死の状態に追い込むことに成功し、なんとか食料を確保することができた。
さらに聡はゴブリンに遭遇し、彼らに追い詰められた。
ゴブリンの大群を前に、聡は強力な魔法「闇の裁き」を解き放ち、ゴブリンを一掃したが、その結果として環境破壊を引き起こし、自らの行為に苦悩することとなった。
最終的には、彼が落とした魔石を回収し、未知の自然法則と向き合うことになった。
聡は魔石を回収し、三時間後に清らかな湧き水の川に辿り着いた。
彼は狩猟の経験があるものの、解体は山田さんの手解きを受けただけであり、一人での解体作業に不安を抱えていた。
しかし、不思議なことに、フォレスト・ラビットが自分の記憶にない間に綺麗に解体されていた。
これにより、聡は自分の職業スキル「狩神」や「解体補正」が無意識のうちに発動している可能性を疑った。
彼の職業スキルは全て【神】のランクであり、その技術は常人の域を超えていた。
聡はこの技能が周囲からどのように見られるか、また孤独な生活を避けたいと考えていたが、強すぎる力に悩まされることになった。
聡は自分がどれだけの「化け物」であるかを自問しながら、食料を確保し続けたが、三食肉ばかりでは栄養が偏るため、他の食料源を探し続けた。
聡のサバイバル生活は苦労の連続であり、農家からの転職経験を活かして何とか耐え忍んだ。
しかし、彼が出会ったのは原住民ではなく、自分を餌とみなす魔物たちであった。
彼の日常は危険に満ち、孤独と戦いながら生活している現実に苦悩していた。
第二話 おっさん、テンプレに遭遇する
聡は長いサバイバル生活を経て、ようやく人工的に作られた街道に出た。
ファーフランの大深緑地帯を抜ける道中、多数の魔物との戦闘が絶えなかったため、彼の精神はかなり荒んでいたが、街道に出たことで安堵していた。
しかしどちらの方向に街があるか迷い、最終的に枝が倒れた方向を基に右方向に進むことに決めた。街道は粗末なもので、
石畳が敷かれているわけでもなく、雑草が生えており、雨が降れば川のようになる可能性がある。
それでも、彼は人との交流を望んでおり、友人ができることを期待していた。
街道を進んでいる途中、彼は川を見つけ、そこで体を洗い清めた。
食事は依然として肉だけであったが、清流での水浴びは彼にとって久しぶりの快適な時間であった。
その後、街道をさらに進み、道なりに進むと馬車が通り過ぎて行った方向に人の住む集落があると確信し、その方向へ向かった。
しかし、前方には盗賊のような男たちが商人を取り囲んでいる状況を発見し、彼は様子を見ながらどう行動するか決めることにした。
ファーフラン街道を進む馬車は、元公爵クレストンと孫娘のセレスティーナを乗せていた。
クレストンは隠居しており、孫娘のセレスティーナに対する愛情を持っていたが、彼女は魔法の才能に乏しく、家族からも冷遇されていた。
セレスティーナは、非正規の子であり、彼女の状況は家庭内での蔑視と迫害により厳しいものだった。
二人は街道を進んでいたが、途中で馬車が停止し、盗賊に襲われる事態になった。
盗賊たちは彼らを襲ってきたが、クレストンは魔法の短剣を使って抵抗しようとした。
しかし、短剣の魔力には限りがあり、盗賊たちの圧倒的な数に対処することが困難であった。そんな中、突然の魔法の介入があり、盗賊たちは倒された。
この介入者は、灰色のローブを着た魔導士で、無雑作に伸ばした髪と無精髭を持つ中肉中背の男であった。
聡は盗賊が道を塞いでいるのを見て、隠れて状況を観察していた。
盗賊たちが商人たちを脅かしている様子を見て、聡は仕方なく介入を決めた。
彼の魔法攻撃は盗賊たちにとって未知であり、彼の存在を知らずに侮っていたが、聡は強力な雷の魔法で盗賊たちを一掃し、絶命させた。
戦闘が得意な聡は、その後も盗賊たちを迅速に制圧していった。
聡の突然の攻撃により、盗賊たちは混乱し、彼の能力の高さに驚愕した。
彼らは絶望し、逃げ出す者も出たが、聡は彼らを冷静に追い詰め、全てを制圧した。
その様子を見た傭兵たちは聡の強さに感嘆し、盗賊たちが散り散りになるのを追い、殲滅した。
最終的に、聡は周囲の人々に助けられ、街道は再び安全となり、商人たちは移動を再開した。
聡のこの行動により、彼はその地域で有名となり、その後の生活に大きな影響を与えることとなった。
公爵によって馬車に招待されたゼロスは、三日間の旅を共にすることを決めた。
馬車での旅の間、彼は公爵の孫娘であるセレスティーナと出会い、彼女が魔法を発動させることができない問題について議論することになる。
セレスティーナは魔法を使う才能が低いとされ、その理由を探るうちに、ゼロスは彼女が使用している魔法式に重大な欠陥があることを発見する。
彼はこの問題を解決しようと提案し、セレスティーナの魔法が使えるようになるための助けを申し出る。
ゼロスのこの行動は、彼と公爵家との間の新たな関係を築くことに繋がる。
第三話 おっさん、少女の悩みを解消す
馬車の中でゼロスは魔法式の最適化作業に取り組み、余分な部分を削除し、必要な部分を組み込んでいった。
そのプロセスはセレスティーナにとって新しい体験であり、彼女は驚きと興味で目を輝かせた。
ゼロスは、個人の魔力だけでなく自然界の魔力を活用するように術式を修正し、魔力の枯渇を防ぐ方法を提案した。
これにより、魔法の負担が軽減されることを説明した。
セレスティーナはゼロスが修正した簡単な魔法「灯火」を試すことになり、彼の指導のもと魔力操作のスキルを学ぶことに挑む。
この一連の出来事は、ゼロスがただの魔導士ではなく、高度な知識と技術を持つ者であることを示している。
ゼロスは馬車の中で魔法式を最適化し、セレスティーナはその指導のもとで簡単な魔法「灯火」を使うことができるようになった。
彼女は魔力のコントロールに苦労しながらも、この新たな能力を喜び、魔力操作の練習に励んでいる。
彼女の祖父クレストンは、孫娘が魔法を使えるようになったことに内心で喜んでいるが、彼自身は神を心から信じているわけではない。
ゼロスはセレスティーナのステータスを覗き見ており、彼女の魔力が枯渇しつつあることに気付くが、彼女は訓練に熱心である。
ゼロスはさらに教本の魔法式の改良を続け、セレスティーナの訓練が進むにつれて彼女のスキルも向上するだろうと考えている。
ゼロスは野営地でパンを見て感無量の涙を流す。
一週間森で迷い、生肉しか食べていなかったため、普通の食事に涙するほどであった。
周囲の人々は、彼が森でワイヴァーンを倒した話に驚愕する。
ゼロスがその強さを軽く言い流すと、さらに驚きが広がる。
彼の冒険と生活は、聞く人々にとって信じがたいものであった。
その夜、ゼロスは静かにパンを食べ、その日の食事は異常なほど静かなものだった。
翌朝、セレスティーナは魔力操作の訓練を始め、彼女には明確な学習と成長の意欲が見られた。
セレスティーナはゼロスを尊敬し、彼を「先生」と呼び、今後の指導を強く希望していた。
セレスティーナと騎士たちは、漆黒の体毛を持つ巨大な熊、ブラッド・ベアーに遭遇する。
ゼロスはセレスティーナに攻撃魔法を使用するように促し、自らのオリジナル魔法「天魔の祝福」を用いて彼女の魔法の威力を強化する。
その結果、セレスティーナは基本魔法「ファイアーボール」でブラッド・ベアーを攻撃し、その威力は普通ではないほどに強力だった。
さらに彼女は「エアーカッター」という風の魔法で熊を倒す。
この戦いによりセレスティーナのレベルは11まで上がり、彼女は魔法の威力に驚く。その一方で、彼女の祖父、クレストンは孫の成長に感動して涙を流していた。
第四話 おっさん、居候になる
三日間の旅の後、ゼロスはサントールの街に到着する。
この街は商人たちの交通の要所であり、難攻不落の要塞都市として知られている。
その歴史は戦火を乗り越え、侵略者たちからは「血塗られた都市」と侮蔑的に呼ばれているが、市民にとっては世界で最も安全な街である。
クレストンはここが自分の領地であることを説明し、隠居生活を送っていると話す。
ゼロスは政治的な権力抗争を避けたいと願っており、クレストンもそれを理解している。
セレスティーナは魔力操作の訓練に集中しており、その能力を高めている。
一方で、ゼロスは自給自足の生活と魔法の開発を望んでおり、クレストンは彼に土地を提供することに同意する。
ゼロスがゴブリンを殲滅し、多くの魔石を獲得した話も出る。
これらの魔石は高い価値があるため、専門店での売却が提案されるが、彼はそれを売り払うことを躊躇っている。
彼は魔導具の製作にも長けており、この才能が他の職人にとっては迷惑になる可能性があるため、製作したアイテムの販売を控えることを決意する。
馬車がサントールの街に入ると、門で簡単なチェックを受けるが、公爵家の家紋が刻まれているためスムーズに通過する。
この街は貿易の要所として栄え、厳重な防御で知られている。
ゼロスはこの街の規模に驚き、クレストンと政治や権力について話す。
クレストンは貴族として民を守る責任を感じているが、ゼロスは権力に固執する者の存在を嘆く。
街を進む馬車は森の中へ向かい、クレストンの別邸に到着する。
別邸は簡素な城のようで、周囲は自然に囲まれている。
クレストンはここで自給自足の生活をしており、ゼロスも農作業を手伝うことに興味を示す。
この地域は戦略的な位置にあり、商人には負担をかけず、税収を適切に管理していることが語られる。
クレストンは息子が権力に溺れることを心配しており、ゼロスは無闇に権力に関わりたくないと考えている。
屋敷に着いた後、セレスティーナとゼロスは荷物の運搬を手伝い、家庭教師としての話を進める。
ゼロスの過去と彼の技術について話が深まるが、彼の冒険譚にはセレスティーナが尊敬のまなざしを向ける。
最後に、ゼロスは屋敷の中へと入っていく。
ゼロスとセレスティーナがクレストンの屋敷に到着し、玄関ホールで簡素ながら品格のある装飾が施されているのを見る。
クレストンはゼロスを部屋まで案内するよう家臣に指示し、自らは仕事のために別れる。
セレスティーナはゼロスに感謝を示し、彼も家庭教師としての責任を感じながらも、彼女の未来は彼女自身の努力に依存すると語る。
屋敷は煉瓦と漆喰で固められた堅牢な建造物で、内装はシャンデリアや絵画で飾られており、実用的ながらも芸術的な印象を与える。
ゼロスは特別扱いされており、クレストンはゼロスの過去の苦労を称え、彼のこれまでの功績に対する過剰なほどの感謝を示す。
ゼロスは自分がただの家庭教師であると考えており、屋敷での過剰なもてなしに戸惑う。
一方で、セレスティーナと彼女の教育に対する期待は高く、クレストンはゼロスを非常に高く評価している。
その夜、ゼロスは贅沢な浴場でリラックスすることになるが、予期せぬ鉢合わせが発生する。
ダンディスがゼロスを浴場に案内した後、セレスティーナのお付きの女給に声をかけられる。
ダンディスはそのとき、セレスティーナが既に浴場を使用中であることを知らされ、女給とともに驚愕する。
浴場からはセレスティーナとゼロスの叫び声が聞こえ、二人の間には気まずい関係ができあがってしまう。
ダンディスと女給は泣くセレスティーナを宥めることになり、さらに興奮する他の者を説得する必要があった。
その日の夕食は味がしなかったとゼロスは後に述べている。
第五話 おっさん、かてきょす
朝食は決まった時間に部屋に運ばれ、食事の味は中途半端である。
昨日、予期せぬハプニングでセレスティーナの全裸を目撃したゼロスは、その後、彼女のお付きの者と共にその問題を宥めることになった。
ゼロスは魔法の家庭教師としてこの古城に滞在しており、現在の魔法に関する知識が低いことに気づく。
彼の使うオリジナル魔法は強力だが、製作方法には問題があるため、一部の高度な魔法を除いては、その技術を教えることができない。
また、かつての大戦で高度魔法文明が消失し、魔法に関する資料も失われ、文化水準は低下している。
現在の魔法は旧時代の模倣であり、大きな成果は上がっていない。
ゼロスはこの世界の情報を収集し、異世界に投げ込まれた状況に不満を感じながらも、セレスティーナの部屋を訪れる決心をする。
セレスティーナは昨日の出来事により、深く恥ずかしさを感じていた。
初めて成人男性を直視した彼女は、羞恥心に苦しみ、そのことをなかなか忘れることができなかった。
彼女の女給、ミスカはゼロスを冷血な人物として警告し、その行動が危険であることを強調した。
ゼロスが戦場を転戦して実験を重ねていた事実を、セレスティーナは正面から見ることができず、彼女は彼の優れた面に目を向けがちだった。
しかし、ミスカの言葉で彼の行動の裏にある冷酷さを感じ取ることになる。
そして、セレスティーナはゼロスに再び直面する時、彼の姿を思い出してしまい、授業は彼女の心が乱れた状態で始まるのであった。
ゼロスはセレスティーナに古い魔法関連の書籍から選んだ一冊を教科書として渡した。
この本は基礎理論が記されており、授業では魔法文字の認識から始めることになった。
彼は魔法文字が言葉であり、同時に回路でもあることを説明し、簡単に理解できると話した。
また、魔法文字の解読は言語によって変わるが、意味が分かれば単純であると説明した。
魔法式は物理現象を引き起こすための言葉を作り、それを魔法陣に当てはめるものである。
ゼロスはセレスティーナに、基本的な物理現象を理解しなければ魔法は作れないことを強調した。
彼はまた、自身の魔法式を紹介しながら、その複雑さと危険性についても警告した。
そして、魔法の危険性について議論し、強力な破壊魔法は多くの命を奪うため、権力者にとって魔法は欲望の対象になりやすいと指摘した。
授業を通じてセレスティーナは、魔法式の基本から破壊魔法の危険性に至るまで学び、ゼロスの教えに心酔していった。
彼女は戦うためだけの魔導士にはなりたくないと思いつつも、ゼロスの立場や哲学に強く影響された。
ゼロス自身はその力の危険性を認識し、他者に与えることのない態度を持っており、その姿勢は高潔であるとセレスティーナには映った。
座学を終えたセレスティーナは次の習い事の準備をすると述べた。
ゼロスは次回の授業で簡単なゴーレム製作を行い、それを使って実技訓練をすることを計画している。
ゼロスはそのゴーレムが比較的弱いため、派手に破壊しても問題ないと述べている。
セレスティーナは魔導士としての道を歩み始め、彼女はゼロスという大賢者を追い求め、最高の魔導士になることを目指す。
一方で、ゼロスは「ソード・アンド・ソーサリス」というゲームに対して疑問を持ち始めており、その疑問が何であるかを明確にするためにはまだ時間が必要であるとされる。
セレスティーナにとって、その日の授業は非常に濃密であった。彼女は魔法が使えない状態から始め、イストール魔法学院でトップの成績を収めるまでに至る。
しかし、魔法が使えなかったことで侮蔑される経験もした。
ゼロスとの出会いにより、魔法の危険性や未知なる世界についての理解を深める。彼は、セレスティーナに魔導士として自己を見つめ直す機会を提供した。
ゼロス自身は、魔法を人々の豊かな生活に役立てる可能性を探求している。
一方、学院は権力争いに明け暮れ、教育の質は低下し、派閥間の争いも絶えない。
教育者としては改革が必要であるが、現実は難しい状況にある。
クレストンは、ゼロスに対して魔導士としての責任を重く見るが、ゼロスは静かな生活を望んでいるため、その期待に応えることは難しい。
最終的には、ゼロスは庭での農作業に没頭する日々を送っている。
第六話 おっさん、実戦訓練を始める
セレスティーナに対する家庭教師としてのゼロスの二日目の授業は、庭でのゴーレムとの対戦であった。
ゼロスが呼び出したマッドゴーレムは、比較的弱いものであるが、彼は魔導士としての生存率を高めるために、近接戦闘の能力も必要であると説いている。
この訓練は魔導士が魔力切れを起こした際にも無力にならないためのもので、実戦での魔法の使用だけでなく格闘スキルも身につけることが目的である。
ゼロスは、魔導士が前衛職と協力して戦うことが理想的な戦い方であると指摘し、単なる砲台としてではなく、より戦略的な役割を果たすべきだと強調する。
この訓練はまた、セレスティーナの魔力の調整能力を養うためにも重要であり、実戦での生死を左右する魔力の残量を感覚的に把握する訓練でもある。
セレスティーナは魔法が使えなかったため、戦闘訓練は常に見学していたが、今回は自らが参加することになり、その事実に非常にやる気を見せていた。
ゼロスによって呼び出されたマッドゴーレムは容易に破壊できるが、ゼロスが失われた分を補充するため、戦いは続いた。
セレスティーナは果敢にマッドゴーレムを攻撃し、次々と倒していったが、訓練は次第に彼女を追い詰めることになる。
疲労から動きが鈍くなり、次第にゴーレムの攻撃を受け始める。
ゼロスは、この訓練を通じて、魔導士としての迅速な動きと状況判断の重要性を教え、同時にセレスティーナの限界を引き出そうとしていた。
訓練は彼女にとって厳しいものであり、数の暴力に負けずに戦うことの重要性を実感させた。最終的には、ゴーレムを倒しながらも完全な安全を確保できず、訓練の困難さを痛感することになった。
ゴブリンを使用するより、ゴーレムを使った方が予算面で効率的であるが、その生成は高レベルの魔導士に限られ、魔力の枯渇が問題となる。
また、派閥争いが激しく、協力が得られない状況の中で、イストール魔法学院は予算の大赤字に悩まされている。
ゼロスと話す中で、攻撃魔法の多様な応用可能性が指摘され、魔法の有効利用を提案する。
しかし、魔導士間の対立や、効率の悪い教育システムが問題とされており、実際的な魔法の応用が求められている。
教育に対する改革の必要性が浮き彫りにされ、ゼロスは魔法の教育改革に対して消極的であるが、国の方向性を変える可能性を示唆している。
第七話 おっさん、街に出る
異世界での生活を二週間経過したゼロスは、街の様子や通貨について未だ知らなかったため、街への訪問を決意する。
普段はセレスティーナの家庭教師を務め、公爵家の別邸で農業や読書、騎士との交流に明け暮れていたが、実際にこの世界で生活するためには現地の民の暮らしを理解することが重要であると感じていた。
彼の街へ行く理由の一つは、煙草を購入したいからだった。
ソリステア大公爵家の別邸から街まで三十分程かかり、街は巨大な防壁に囲まれた要塞のような場所であった。
街は商業区や工業区、居住区があり、交通の要所として賑わっている。
この地域は山賊や河賊などの犯罪者が出没する危険が伴うため、治安維持のために傭兵ギルドが活動している。
異世界での生活を開始して2週間が経過したゼロスは、街の様子や通貨を知らないため、街を訪れることを決意する。
彼はこの世界での生活を理解し、街で煙草を買うために必要な金を作るため魔導具店へ向かうことにする。
この街は道が整備されており、案内板もあるため、初めて訪れる者でも比較的容易に目的地を見つけることができる。
ゼロスが目指した魔導具店は、商業区と工業区の間に位置し、一目で異様な外観が目を引く場所にあった。
店は黒く染められ、不気味な装飾が施されており、店の前には人形の生首や山羊の頭部の剝製が飾られているなど、一般的な商店とはかけ離れた雰囲気を放っていた。
店内では、ゼロスが持参した魔石の買取を依頼するが、店員は彼を疑い、盗んだのではないかと非難する。
しかし、ゼロスはこの魔石を正当に獲得したことを主張し、彼が公爵家の世話になっていると明かすと、店の態度は一変する。
最終的に魔石は高価で買い取られ、ゼロスは無事に必要な金を手に入れる。
彼の持つ魔導士としての力量や経歴は、店員や店長にとって驚くべきものであり、交渉の結果、彼に対する評価は一気に変わった。
ゼロスは異世界で市場を覗くことで、この世界の物価が非常に安いことに気付く。
百ゴルで一か月生活できるほどだが、鉄などの金属価格は高く、その理由は鉱山が魔物の生息地に多く位置しており、採掘が困難であるためだ。
このため、鉱山の数が限られ、運送料も含めて金属価格が高騰している。
一方、陶器なども高価で、多くの家庭では木製の食器が主流となっている。
鉱物資源のバランスは商人ギルドが管理しており、国によっては自国内に鉱山がある場合もあるが、食料不足になりがちな国もある。
商業ギルドにとっては戦争や盗賊は大きな問題であり、戦争は商売の対象が減少するため嫌われている。
現在は平穏が続いているが、内乱の可能性もあるとのこと。商人との会話から、ゼロスは国内情勢を理解しようとしていた。
養護院の位置がクレストンの別邸からも見える場所にあることが判明し、新市街や旧市街からは離れた位置にあることから、子供たちを育てるには不便であるとゼロスは感じた。
この世界には奴隷制度が存在し、特に孤児は奴隷として売り飛ばされるリスクが高い状況である。
非合法な奴隷売買が行われていることもあり、ゼロスはこれに強い否定的感情を持っている。
そんな中、養護院の近くでクレストンの孫と見られる貴族青年と騎士たちが現れ、ゼロスはまた厄介事に巻き込まれる可能性に直面する。
深い溜息をつきながら、穏やかに暮らしたい一心で状況を見守ることにする。
第八話 おっさん、人の恋路に口を出す
ソリステア公爵の子息であるツヴェイト・ヴァン・ソリステアは、養護院である教会前でシスターと口論していた。
彼は粗暴で問題児として知られ、イストール魔法学院の二大派閥の一つ、ウィースラー派に属している。
ツヴェイトは祖父クレストンの後を継ぎたいと考えており、そのためにはあらゆる手段を使って目的を達成しようとしている。
彼は養護院で働くシスター、ルーセリスに一目惚れし、彼女に熱烈な求愛をしているが、彼女からは拒絶され続けている。
ルーセリスは養護院で育ち、その地で育ててくれた人々に恩返しをしようと決意している。
ツヴェイトの行動は彼女にとっては迷惑であり、彼の行動がエスカレートしていくことにより、彼女の対応も冷たくなっていった。
ツヴェイトはルーセリスを孤立させるために養護院を分割するという行動に出たが、これは彼女をさらに遠ざける結果となった。
おっさんと子供たちの会話が終わりかけると、ツヴェイトが介入してきた。彼はおっさんを侮辱し、その上、おっさんに対して火球魔法を放った。
しかし、おっさんは容易に魔法を消滅させ、ツヴェイトと彼を支える騎士たちに対して優位を保ちながら圧倒した。
さらに、おっさんはクレストンの知り合いであり、この事実はツヴェイトにとって非常に都合が悪いことであった。
ツヴェイトは悪辣な行動に反省の色を見せず、感情に任せた行動が元で災いを招きかねない状況を自ら作り出してしまった。
最終的に、おっさんは彼の行動に対して厳しく対処することを決め、その場で彼を拒絶した。
ルーセリスは、目の前の魔導士、ゼロスが魔法を素手で打ち消す様子に驚きながらも違和感を感じていた。
彼女が持つ【魔力察知】スキルがゼロスの魔力を感じ取れなかったのは、彼の魔力が強すぎるためであった。
ゼロスは魔力が感じられないことを認めつつ、魔力察知が勝手に発動することに苦労していることを明かす。
ルーセリスはゼロスに対して視線を気にしながらも、彼の行動や発言に困惑する。
おっさんはルーセリスの反応を楽しみながらも、彼女の美しさについて言及し、男性からの注目が多いことをほのめかす。
ツヴェイトと護衛の騎士たちは、ゼロスとのやり取りで面目を失い、彼が実際には自分たちより遥かに強いことを認識してしまう。
ゼロスはこの際ツヴェイトの行動を批判し、彼にこれから厳しい責任が待っていることを示唆する。
事件後、ゼロスはルーセリスに案内されて養護院で夕食をとり、子供たちと共に楽しい時間を過ごす。
彼はその後、気楽に別邸に戻るが、ツヴェイトの【洗脳】状態をすっかり忘れていた。
第九話 おっさん、養護院に畑を作る
デルサシス公爵邸で、クレストン老、ツヴェイト、デルサシスの三人が会談していた。
ツヴェイトは父の客人を知らずに戦いを挑み、秘宝魔法を使用して敗れるという醜態を晒した。
この魔法は一族が秘密にしていたものであり、それを使ったこと自体が問題であった。
彼の行動の理由は、彼が好意を持つ女性が他の男と親しくなる可能性を恐れたためであった。
デルサシスとクレストンはツヴェイトの行動を非難し、公爵家の恥と認識していた。
会話の中で、彼らはゼロスについて話し合い、彼が大賢者であることを知ると驚愕した。
ゼロスは魔法の教育にも独自の方法を持ち、教育内容を改良していたことも語られた。
デルサシスはツヴェイトの振る舞いに失望しつつも、自身のプライベートと仕事の区別を明確にし、女性関係も適切に扱っていることが描かれていた。
一方、ツヴェイトは父の女性遍歴にプレッシャーを感じていた。
ゼロスとセレスティーナが再び養護院を訪れていた。ゼロスは養護院の広い裏手を活用し、畑を作る計画を提案していた。
彼は魔法の実験として、子供たちに農業をさせることを考えており、魔法は戦うためだけのものではないと説明していた。
ルーセリスは、神官たちが持つ神聖魔法の観点から、魔法に対する認識が異なっていたが、ゼロスは治療魔法を例に出して、神聖魔法も魔導書と同じ原理であることを解説した。
これにより、神聖魔法も一般の魔法と同じ分類であるという事実を明らかにした。
その後、ゼロスは地面を操る魔法「ガイア・コントロール」を使って、手早く畑を作り出した。
この魔法で地面を整地し、畑が完成すると、周囲を壁で囲い安全を確保した。
これにより、子供たちは農作業を通じて自立する重要性を学ぶことになる。
この一連の出来事を通じて、ゼロスは魔法の実用性と、それが如何に人々の生活を支えるかを示し、魔法の新たな可能性を探求していた。
しかし、その便利さが戦場での悪用を招くリスクもあり、ゼロスはその点に懸念を抱いていた。
最終的には、ゼロスが自らの魔法の使い方に対して責任を持ち、魔法教育を推進していることが強調されている。
マンドラゴラは高価な薬草であり、漢方や魔法薬の素材として高い需要があるが、希少である。
引き抜く際に発する声には即死する効果はないが、強い罪悪感を呼び起こすとされる。
魔物が食べることで繁殖が抑えられており、森では大量に増えることから、雑草同様の生命力を持つ。
ゼロスは養護院の子供たちにこの種を植えさせることで、彼らの自立と生活の向上を促しているが、子供たちはその提案に不満を示す。
しかし、ゼロスが岩を砕く力を見せると、子供たちは彼の言うことに素直に従うようになる。
その日、ルーセリスは子供たちの教育に対する複雑な感情を持ちながら、セレスティーナとの友情を深める。
ゼロスの導きにより、養護院では薬草栽培が始まり、経営の改革へと繋がることとなる。
第十話 おっさん、教え子が増える
セレスティーナはメイスを使ってマッドゴーレムを次々と撃破していく。
その動きは単調で予測しやすく、ゴーレムの攻撃を巧みに回避する。
ゼロスは増援として新たに三体のゴーレムを生成するが、セレスティーナはそれらを迅速に倒し続ける。彼女は戦闘訓練に順応し、マッドゴーレムの動きを完全に読み切る能力を磨いていた。
彼女はイストール魔法学院で優秀な成績を収めたが、実戦経験はほとんどなかった。しかし、観察と分析を通じて高い戦闘技術を身につけている。
戦闘中、マッドゴーレムは時折予測不能な攻撃を仕掛けるが、セレスティーナはそれらをも巧みに対処する。
彼女は無詠唱で身体強化魔法を発動させ、ゴーレムの捕縛から力強く脱出し、残る敵を一掃する。
これにより、彼女の戦闘能力が実戦レベルに達していることがゼロスに認められるが、彼女を実戦に参加させるためには保護者であるクレストンの許可が必要である。
クレストンはセレスティーナの安全を極度に心配し、彼女の護衛に大規模な師団を用意しようとするが、これが過剰であるとゼロスは指摘する。
結局、セレスティーナの装備製作はゼロスの補助的加工を経て、専属の職人に依頼されることで決着する。
セレスティーナの異母兄、ツヴェイトは公爵家の跡取りとされていたが、一人の女性のために危険な魔法を使用して謹慎中である。
彼が訓練されている別邸に来た理由は、祖父クレストンによる鍛え直しのためである。
ツヴェイトは十三歳で家系の継承魔法を継ぎ、後継者として認められていたが、その魔法は体術で無効化され、彼の自信は打ち砕かれた。
さらに、その魔導士はルーセリスの養護院を訪れ、ルーセリスと親しげに会話しているのをツヴェイトは遠くから見ていた。
ツヴェイトが驚いたのは、魔法の才能がないと言われていたセレスティーナの戦闘訓練での変貌である。
彼女は戦闘訓練に真剣に取り組み、積極的に近接戦闘を行っていた。
この変化はゼロスという大賢者の指導によるもので、ゼロスは多数のゴーレムを巧みに操る能力を持っていた。
ツヴェイトは、自分の常識を遥かに超えるゼロスの魔力量と能力に圧倒され、自身の未熟さを痛感する。
また、彼はゼロスの魔法操作の秘密に興味を持ち、その技術を学ぶことに関心を示していた。
ツヴェイトは自己の未熟さを痛感し、ゼロスに鍛え直しを懇願した。
彼の所属するウィースラー派は攻撃魔法を専門とし、魔導士の神髄を攻撃に求めるが、ゼロスに従うことは派閥からの離反を意味し、裏切りと見なされる可能性がある。
ゼロスの魔法操作の技術は、ツヴェイトの理解を超えていたが、彼は自身の経歴や過去の過ちを明かし、ツヴェイトに魔導の神髄は孤立して研究を深めることにあると語った。
ツヴェイトは英雄になることを目指していたが、ゼロスは英雄が政治的な道具に過ぎないと指摘し、真の功績は人々の役に立つことであると説いた。
結局、ツヴェイトはゼロスによる家庭教師としての指導を受けることにし、セレスティーナと共に実戦形式の訓練を開始することとなった。
二人はマッドゴーレムによる訓練中に苦戦を強いられたが、それもまた彼らの成長過程の一部であった。
第十一話 おっさん、訓練後マンドラゴラを収穫しに行く
訓練内容が厳しさを増し、素早い攻撃をする細長いマッドゴーレムが取り入れられた。
この個体は機動力が高く、予測しにくい攻撃を仕掛ける。
実戦では予期せぬ状況が発生するため、このような訓練が必要となる。
ファーフランの大深緑地帯には多様な魔物がおり、生き残るためには迅速な判断と環境適応が求められる。
セレスティーナとツヴェイトは、魔物の知識を自分たちで学び、訓練を通じて実践的な技術を身につけていた。
彼らには暗殺者や盗賊のスキルはなく、知識と魔力操作で補う必要があった。
ツヴェイトはロングソードを使い、力任せにマッドゴーレムを倒している。
彼の戦い方は直情的で、感情に流されがちである。
対して、セレスティーナは慎重に戦い、一撃離脱の技巧を見せている。
二人の訓練を見守るゼロスとクレストンは、二人の戦いを観察し、彼らの問題点を指摘している。
特にツヴェイトは感情的になると問題が生じやすいが、戦闘訓練でそれを克服しようとしている。
一方、セレスティーナは冷静に戦うものの、決定的な一撃を放つことができないという課題がある。
この訓練は、実戦を想定したものであり、ゼロスは二人が実戦に対応できるように厳しい訓練を施している。
二人は訓練を通じて、実戦における様々な局面に対処する能力を養っている。
二人は、二時間の長時間戦闘訓練を経て、疲労困憊の状態にあった。
これが彼らにとっては初めての実戦レベルの訓練であり、戦場の過酷さを痛感した。ゼロスは、さらに彼らにマナ・ポーションを提供した。
このポーションは養護院で繁殖力の高いマンドラゴラを利用して作られたもので、速成されるその性質が畑を埋め尽くしかけたことから、成長が早すぎるものを間引いて製造された。
問題は、ポーションが酒瓶に入っていたことであり、これが外見上問題を生じさせる可能性があった。
クレストンは、セレスティーナとツヴェイトの装備についても話し合っており、実戦用の装備が近日中に完成する予定であったが、護衛として出動する騎士団の数について、彼の考えは非現実的であった。
老人は孫娘を守るためならば、どんな手段も厭わない姿勢を見せている。
ゼロスは戦闘訓練後、養護院を訪れていた。
そこではルーセリスがマンドラゴラに関する問題に悩んでおり、ゼロスは彼女を畑へと連れて行かれた。
畑では子供たちがマンドラゴラを引き抜いて楽しんでおり、引き抜かれたマンドラゴラは大きな悲鳴を上げていた。この悲鳴は非常に精神的な影響を与え、周囲を戸惑わせるものであった。
ルーセリスとゼロスは、この現象にどう対処すべきかで頭を悩ませたが、最終的には子供たちが指示された保管方法を実行し、養護院の財政にも貢献した。
しかし、マンドラゴラの悲鳴は畑での作業を困難にし、養護院は「絶叫教会」と呼ばれるようになった。
数日後の深夜、マンドラゴラの絶叫が静かな宵闇に響き渡る。
畑泥棒がマンドラゴラの悲鳴によって周囲に気づかれ、捕まえられる一幕がまたしても起こった。
これにより、周辺住民は泥棒を直ぐに捕縛できるよう体制を整えており、彼らから小さな金貨を収入として得ている。
ルーセリスは、ご近所さんたちが新たな獲物を待ち続けていることを知らない。
第十二話 おっさん、領主と会う
ツヴェイトには異母の弟妹が二人いる。一人は同い年の弟クロイサスで、十七歳である。
クロイサスは他人に興味を示さず、魔法研究にのみ興味を持っている。
ツヴェイトは昔から喧嘩腰であったが、クロイサスはツヴェイトには全く関心を示していなかった。もう一人の妹はセレスティーナで、父デルサシスが女給との間にもうけた子である。
セレスティーナの母は父親に追放され、その後病で亡くなる。
セレスティーナは祖父クレストンに育てられたが、彼女の存在は父の夫人たちには不快であり、ツヴェイトからも冷遇されていた。
ツヴェイトとセレスティーナは現在、家庭教師である大賢者から魔法を学んでいる。
ツヴェイトは、この教師のもとで学ぶことに新たな喜びと意欲を感じており、祖父が認めるほどの逸材である教師に強い憧れを持っている。教師の指導のもと、彼らは魔法の基礎から応用まで学んでいる。
この教育を受けることでツヴェイトとセレスティーナは大きく成長し、特にセレスティーナは以前の自分から大きく変わったと自覚している。
しかし、彼らの兄弟であるクロイサスは研究に没頭し、他の人々との関わりを避ける傾向にある。
ツヴェイトはクロイサスのような孤立した生き方に対して複雑な感情を持っているが、自分も強い魔導士として成長したいという願望を持っている。
翌日、ゼロスは孫娘を溺愛するクレストンに呼ばれて客用の応接間に来ていた。
クレストンは新しい装備をセレスティーナに渡したことでハイテンションだった。
彼が作らせた装備は非常に高価であり、彼の孫娘への愛情は過剰なほどだった。
しかし、その愛情が行き過ぎて、セレスティーナが嫁に行くことを認めようとしなかった。
クレストンは、セレスティーナが行き遅れることを恐れており、その対策として、ゼロスに嫁にもらうことさえ提案していた。
その後、セレスティーナが新しい装備を着用して登場し、装備の豪華さにゼロスは驚いた。
この装備には貴重な素材が使われており、クレストンは孫娘のためならばどんな代価も支払うと述べた。
この装備のためにかなりの金額を使い、無許可で宝物を売って資金を調達していた。これにより、彼の行動は横領に等しい行為であった。
その後、セレスティーナとツヴェイトの父である現領主デルサシスが登場し、クレストンの行動を非難した。
デルサシスはクレストンの暴走を叱り、この問題を解決するためにゼロスに報酬として土地を提供することを約束した。
この約束により、ゼロスは宿無しの状態から脱出し、新しい家と土地を得ることができることになった。
この一連の事件は、クレストンの無謀な愛情が引き起こした騒動であり、その後の清算が必要であることを示している。
また、ゼロスが新たな家を得るという結果につながったことで、彼の未来に新しい希望が生まれたのであった。
第十三話 おっさん、教え子達と危険地帯へ行く
ソリステア大公爵家の別邸では早朝から騎士たちが忙しく動き回っていた。
これは公爵家のご子息・ご息女を護衛し、魔物の生贄として使用するための準備である。
クレストン元公爵が手配した騎士たちは約十五名で、その任務は実戦経験を積ませることも含まれていた。
彼らの間では魔導士団と騎士団との仲が悪いことが明らかであった。
魔導士団は魔導士を護衛に回す気がなく、クレストンも実戦経験のある魔導士を確保できなかったため、護衛の質に不満を持っていた。
出発の準備が整い、クレストンは孫たちの安全を騎士たちに託した。
騎士団の隊長アーレフ・ギルバートとゼロスは、魔導士としての戦闘の重要性について理解を共有し、互いに協力することを約束した。
アーレフは戦場での魔導士の役割について語り、ゼロスはその考え方に賛同した。
一方、クレストンは孫のセレスティーナとツヴェイトに対する過保護な態度を見せ、騎士たちへの警告を発していた。
この行動は、孫への愛情が行き過ぎていることを示しており、彼の暴走が心配された。
最終的に一行はファーフラン大深緑地帯に向けて出発し、これからの冒険に備えた。
セレスティーナとツヴェイトは荷物を多く持っており、それぞれの興味と学びたい事に基づいて準備していた。
彼らの熱意は明らかで、ゼロスは魔法を使って荷物を整理することにした。
彼らの旅は学びと成長の機会であると同時に、ソリステア大公爵家としての役割を果たす試練であった。
馬車の中で、ツヴェイトはゼロスに疑問をぶつけた。
彼は、ゼロスが実力者でありながらなぜセレスティーナの家庭教師を務め、さらに権力者から土地を受け取るのか、その矛盾を指摘した。
ゼロスはこれに対し、住所不定無職の状態は望ましくないと述べ、働き家を持つことの重要性を説明した。
彼は権力者には協力しないが、未来ある若者に指導することは問題ないと考えている。
内心では、この国で胡散臭い中年と見なされがちな自分が安定した生活を築くのは難しいと感じており、家がほしいと切実に思っていた。
ゼロスの夢は、小さい家で温かい家族と共に畑を耕すことである。
馬車に揺られて約二日後、一行はファーフランの大深緑地帯の端、サフラン平原の一角に陣を敷いた。
騎士達はテントを張り、ゼロスは地系統魔法で岩の防壁を作成し、二人の弟子は周囲に溝を掘り落とし穴を設置していた。
この地域には主にゴブリンや草食の魔物が出没するが、稀に肉食の魔物も現れる。しかし、現在の戦力では大きな問題にはならない。
ツヴェイトはゼロスに対して、何をしているのか尋ねた。ゼロスは魔法紙に魔法文字を記し、使い魔を作る準備をしていた。
この使い魔は生物を使い魔にするのではなく、魔力で構築された人工の魔物を生み出すものであり、食費や世話の手間がない。
また、魔石を与えることで制限時間を延長し、偵察に便利な魔法具として利用できる。
その後、騎士達は戦闘準備を整え、敵として近づくオークの群れに対応した。
ゼロスは魔法と弓を用いて先制攻撃を行い、騎士達は迅速に反応して戦いを開始した。
この戦闘でセレスティーナとツヴェイトは、それぞれのスタイルで魔物と対峙し、成功裏に魔物を退けた。
この一連の出来事は、一行の実力を試すとともに、ゼロスの非凡な能力が再び証明される場となった。
彼らはこの経験を通じて、さらに成長していくことになる。
五人の仲間と共に戦うゼロスは、「殲滅者」と称され、その戦い方は一般の魔導士とは異なる。
生産職であることがあまり知られていない彼は、接近戦で敵を容赦なく斬り殺し、背後から敵を瞬時に仕留めることができる。
この戦いでは、ゼロスはオークを瞬殺し、騎士たちはレベルアップを果たす。
彼は毒や麻痺を使いながら、戦闘の訓練として騎士たちが経験を積めるよう配慮していた。
しかし、ゼロスが恐れる敵、クレイジーエイプの登場によって状況は一変する。
この魔物は通常の戦いではなく、異常な行動をとるため、騎士たちにとっては別の意味での脅威となる。
最終的に、ゼロスと騎士たちはこの大猿の前から全力で逃走し、なんとか無事に逃げ切ることができた。
ファーフランの大深緑地帯は、多くの危険な魔物が存在するデンジャーフィールドである。
一行は白い猿から逃れた後、野営陣地で早めの夕食を摂っていた。
焚火の前に並んだ騎士たちは、スープにパンを浸しながら食事を楽しんでいる。
ゼロスは一週間のサバイバル生活を思い出し、普通の料理が如何に幸せなことかを実感していた。
ツヴェイトは本を読みながら調合について学び、他の者たちは戦いの話で盛り上がっている。
しかし、恐怖体験をした者たちは青褪めた表情で静かにしている。
ファーフランの大深緑地帯での危険を知りつつも、彼らは今の安全な環境で食事を楽しむことにした。
夜が訪れると、危険な夜が始まることを知りながらも、食後には煙草を吸い、静かな時間を過ごしている。
短編 イリス、転生す
澄香は14歳の中学生で、非常に普通の家庭で育っている。
他の同年代の少女たちとは興味が合わず、交友関係も少ないため、しばしば「オタク」と見なされがちである。
彼女の興味はゲームやライトノベルにあり、特にオンラインゲームに夢中になっていた。ある日、彼女は異世界に転生するという体験をする。
この新しい世界で、澄香は自分が死亡し、異世界に転生したことを理解し、これを冒険の機会として捉えていた。
彼女は街を目指すべく行動を開始するが、サバイバル能力がなく、食糧確保に困難を抱える。
その上、攻撃型魔導士としての能力には限界があり、前衛職の不在が問題となる。
澄香は運良く村を発見し、夜が訪れる前にそこにたどり着いた。
村は小さく、モンスターから守るための防壁が周囲に張り巡らされていた。
村にはゴブリンの襲撃が続いており、澄香は村での宿泊と食料を提供する条件で、その撃退を申し出た。
彼女は魔導士としてゴブリンを容易に退治できる能力を持っていたため、村の人々は彼女の提案を受け入れた。
その夜、澄香はゴブリンの襲撃を食い止める戦闘に参加し、その能力を証明した。
村の防衛は激化し、外壁を越えようとする多数のゴブリンに対して、村人たちも武装して応戦した。
澄香の介入で、村は一時的に安全を取り戻すことができたが、ゴブリンの脅威は依然として続いている状態であった。
ゴブリンは決して愚かな魔物ではなく、戦略的な行動を取る知能を持っていた。
澄香は戦いに参加し、その魔法技術を駆使してゴブリンを効果的に撃退した。
しかし、上位種のゴブリンが現れると、村の防衛はさらに困難になった。
澄香は地形を利用した魔法で多数のゴブリンを一掃し、村人達と共に戦いを制した。
ゴブリンの死体は村人によって解体され、その際には魔石などの素材が回収された。
澄香はこの処理作業に参加せず、後の清掃作業を担当することとなった。
村での戦いが終わり、彼女は疲労と解体作業の残酷さに心を痛めながらも、一仕事を終えて宴に臨んだ。
ゴブリンの解体作業が続く中、村人達との交流を経て、澄香は少しのお金を手に入れた。
このお金で街へ行き、傭兵登録をする計画である。
彼女は村を離れて新たな冒険を求め、未知の世界を見てみたいと思っている。
サントールの街に向かう澄香は、新しい生活を始めるために名前をイリスに変え、馬車で旅を続ける。
この新たな生活の始まりに、澄香は希望を抱いていた。
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