どんなラノベ?
ゲームのラスボスを倒したら。
別の世界の邪神だったらしく滅ぶなら道連れだと自爆されてしまった。
そのせいで日本中の全ての電源が落ちて大停電が起きてしまう。
そのせいで様々な事情で田舎でスローライフをしていた大迫聡は死亡してしまった。
でも彼が気が付いたら森の中にいた。
そして、操作パネルのようなステータスが見えるので調べていたら、異世界の神からメールが来ていた。
そこには何が起こったのか簡単に説明されており。
オッサンは異世界の神に怨みを抱えながら街を目指して歩き出す。
前巻からのあらすじ
メールにこの世界の女神から経緯の説明があったが、、
あまりにも無責任なこの世界の女神に殺意を持ってしまう。
だが、まずは生きて魔獣蔓延るこの森(ファーフランの大深緑地地帯)を出なければいけない。
1人なので安心して寝る事が出来ない。
調味料が無いため、焼くだけの味気ない肉を貪りながらサバイバルを1週間。
完全に野生になっていたオッサンは遂に人に出会ったら、、
盗賊に襲われてたので何方が悪いの確認してから襲われてる方を助ける。
そしてオッサンは、襲われてた公爵家の長女セレスティーナの家庭教師として屋敷に住み込む事になる。
そして、セレティーナを鍛えるのだが、、
そして、オッサンはセレスティーナと公爵家の長男ツヴェイトと護衛の騎士を連れて、オッサンがかつて彷徨った大緑地帯に実戦訓練にをしに行く。
え?何で森に戻るんだよ!!
読んだ本のタイトル
#アラフォー賢者の異世界生活日記 2巻
著者:#寿安清 氏
イラスト:#ジョンディー 氏
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あらすじ・内容
セレスティーナとツヴェイトを連れ、ファーフラン大深緑地帯に再び足を踏み入れたゼロス。訓練を終えた彼らは、盗賊に捕えられた人々を救うが、その中にはゲーム内で見覚えがあるアイテムを装備した少女の姿が――。
(以上、Amazonより引用)
感想
公爵家の連中が魅力的だw
女誑しだが、領地経営と商会の経営は凄腕で鳴らしているソルシテア公爵の現当主のデルサシス。
隠し子が何人居るか不明、、、
孫娘か可愛すぎてしょうがないが、他の男の孫はあまり興味がない先代当主のクレストン。
洗脳され異世界特有の恋愛症候群で大失敗したが、そのおかげで洗脳が解けてマトモに戻ったツヴェイト。
魔法の術式の欠陥で魔法が使えず落ちこぼれ扱いされていたが、オッサンの指導の下でメキメキ実力を上げているセレスティーナ。
そんなセレスティーナとツヴェイト兄妹。
護衛の騎士達とゼロスは一緒に大緑地帯の浅い地区に行ってレベルを上げるために1週間の現地訓練を実施する。
そしてオッサンは物凄く強いキマイラ(イラスト)を拘束して騎士達に討伐させてレベル上げを敢行。
「早く倒さないと拘束魔法が切れちゃいますよ」とヘラヘラと笑いながら、、、
騎士達を煽る。
実際は拘束魔法は解けないのだが、解けそうだと言って煽って必死にさせる所がオッサンのドS気質が垣間見える。
そして、順調にレベルが上がり疲れた身体を引きずって基地にしている岩場に囲まれた安全地帯に帰って来たら、、
残り4日分の食糧が魔獣達に食い荒らされていた。
しかも、食糧を巡って争いがあったらしく食糧の代わりに魔獣の死体が多く転がっている始末。
そして、その原因になった魔獣の群れをボロボロに疲れている騎士に変わってオッサンがアッサリと倒したが、、
食糧は皆無。
残り4日分の食糧を確保しないといけない。
戦闘によって食料(肉)を獲得、その血の臭いに釣られてモンスターが襲ってくる無限地獄が始まる。
オッサンは以前に彷徨ったトラウマのせいかゲラゲラと笑い出し。
「皆んなと不幸を分かち合おう」と大笑いしながら言う始末。
そして、何より恐ろしいのは男性の尻を狙う白い猿(クレイジーエイプ)達。
オッサンも1人で彷徨ってる時に半ケツにされて目の前に股間のスカイツリーを聳え立たせた猿が、、、
勿論、オッサンもトラウマを抱えており。
同じトラウマを負った騎士が複数人出来てしまう、、
「白い猿がーー!!!やめろ!!!!俺のズボンを下ろすな!!」と魘される騎士達が多数、、
さらには白い猿のボスを倒した際に。
元々猿はメスしか居ない種族だと判明。
スカイツリーを装備してる猿はメスからオスに変化した種類だったらしい。
そして、種族としてのマウンティングで弱そうなオス、ヒューマン種の男を襲いメスの時の名残で尻を狙うらしい、、
そんな男に天敵の白い猿の群れを1つ全滅させて多くの高級素材を獲得。
4日間のサバイバルで、騎士達は野生へと回帰しギラついたワイルドな戦士へと豹変するw
そんな彼らが生き残り、帰り際に盗賊達に襲われた商隊の死体を発見。
女子供はアジトに連れて行かれたらしく、オッサンが探索して盗賊のアジトに単独でフラフラと入って行って。
盗賊達とヘラヘラと会話をする。
盗賊は人質を盾にしているが、実験材料は死んでいても構わないと演技して。
時間を稼いでいる間に、騎士達は大緑地帯で手に入れた痺れ薬を使用して盗賊達を蹂躙。
「ヒャッハー!!汚物は消毒じゃ!!!!」と叫びながら盗賊を虐殺して行く騎士達。
助けられた人質の人達は騎士達の容赦のない戦闘スタイルにドン引きする。
そんな捕まった女性の中にオッサンと同郷の転生者イリスがおり。
オッサンはイリスと情報交換をすると、、
オッサンが有名なプレイヤーだと知って憧れの目を向けて何故か懐いてしまう。
そして、街に帰還したオッサンは普段の家庭教師に戻るのだが、、
セレスティーナとツヴェイトに魔法を教えていだが、彼等は学園に帰る時期になりオッサンは無職となる。
そして、侯爵家からマンドラゴラの栽培を教えた擁護院(絶叫教会)の側に家を建てて貰い、そこに住む事になる。
そして、イリス達と廃坑に行って後々に重要なキャラクターになるクリスティーナを助け。
大量の鉱石を獲得してホクホク顔になりながら街へと帰って行く。
その時に、擁護院の子供達にお土産を忘れないのがホッとさせてくれるが、、
子供達の遠慮の無いコメントが全てを台無しにするww
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同シリーズ
アラフォー賢者の異世界生活日記シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ おっさん、同情する
ファーフランの大深緑地帯は人間には過酷な環境であるが、多くの魔物が生息し、貴重な素材や鉱脈、薬草が豊富に存在する宝の宝庫でもある。
現代世界から転生した大迫聡、またの名をゼロス・マーリンは、助けたセレスティーナに魔法を教える家庭教師となり、彼女の実力をつけるため、この危険な森に再び足を踏み入れた。
護衛の騎士と共に進む彼らは、オークと戦闘後に「白い悪魔」に遭遇し、逃げ帰ってきた。
ゼロスは転生初日にこの森に落とされ、その恐ろしさを知っている。
二日目の朝、彼は平原の朝日を浴びながら清々しい気分を味わっていたが、やることがなく暇を持て余していた。
過去の生活では農業をし、ゲームを楽しむ日々を送っていたが、今は宿無しの無職である。彼は責任のある職に就くことを避け、自由にのんびりと生きたいと考えていた。
その時、夜勤明けの見張り番が「白い悪魔」クレイジーエイプに遭遇し、騎士たちは恐怖に慄いていた。
クレイジーエイプは騎士たちに襲いかかり、ズボンを脱がせるなどの被害を与えており、その恐怖は騎士たちに深いトラウマを残していた。
ゼロスは騎士たちに同情しながらも、清々しい朝が台無しになり、涙が止まらない自分に戸惑っていた。
第一話 おっさん、引率する
ファーフランの大深緑地帯は大陸の大部分を占め、魔物が多数生息する危険な地域である。
かつては統一国家があったが短期間で崩壊し、現在は小国が乱立している。
エルフたちはこの森に隠れ、外界と接触を避けている。
転生者のゼロス・マーリンはセレスティーナに魔法を教えるため、この森に再び足を踏み入れた。
二日目の探索中、彼らは魔物キマイラに遭遇した。
ゼロスの捕縛魔法で動きを封じ、騎士たちは泣きながらも戦い抜きキマイラを討伐した。
ゼロスは彼らの訓練を兼ねて捕縛魔法の時間を偽り、騎士たちを鍛える計画を持っていた。結果、騎士たちは戦闘技術を向上させた。
その後、トロールとの戦闘でも騎士たちは善戦し、最終的に勝利を収めた。
セレスティーナはゼロスのオリジナル魔法を得るために訓練に励み、ツヴェイトもそれに感化されていた。
一行が陣地に戻ると、魔物の襲撃により食料が荒らされていた。
ワームが他の魔物を捕食しており、騎士たちは疲労困憊の中で新たな脅威に直面していた。
アーレフはこの状況を不利と判断し、戦力不足に悩んでいた。
第二話 おっさん、現実逃避する
ファーフランの大深緑地帯での探索中、ゼロス・マーリンと騎士たちは襲撃を受けた拠点に戻ると、ワームが他の魔物を捕食している現場を発見した。疲労困憊の騎士たちは戦う余力がなく、ゼロスがワームを一掃した。
彼は手際よくワームを倒し、その後解体作業に取りかかった。騎士たちはゼロスの戦闘技術に驚嘆し、彼を称賛した。しかし、彼らの食料がほとんど残っておらず、飢えに直面することになる。ゼロスはこの状況を楽しんでいるかのように見え、騎士たちは不安を感じた。
ゼロス自身も過去にサバイバル生活を経験しており、その経験から騎士たちに対してもサバイバル精神を植え付けようとする姿勢を見せた。彼の態度に騎士たちは戸惑いながらも、今後数日間を乗り切る決意を固めた。
二日間、騎士たちはファーフランの大深緑地帯で過酷なサバイバル生活を送っていた。
食料を確保するために森へ入り、魔物を倒しては調理して食べる生活を続け、次第に野性に目覚めた。
彼らはウルフやゴブリンを倒し、オークも撃退するほど野蛮になり、食料確保のために戦い続けた。
この森の過酷さを身をもって知り、騎士たちは生き残るために闘争本能を剥き出しにし、過剰なまでの反撃を加えるようになった。
襲い来る魔物に対して容赦なく立ち向かい、彼らの目は危険な光を帯び、食料を確保することだけを目的に戦い続けた。
ゼロスは、騎士たちが野生に適応したことを喜び、かつての自分と重ね合わせて満足げに笑う。
彼もまた、この森でサバイバルを続けて獰猛な本能を呼び覚ましていた。
アーレフを始めとする騎士たちは食料を奪った魔物を追跡し、殲滅を誓った。
騎士団は野性を剥き出しにし、好戦的な姿勢を隠さず、敵を追跡し続けた。
ツヴェイトの冷静な意見も届かず、この森では純粋な暴力と本能が支配する世界であった。
クレイジーエイプは岩場に住み、23匹の群れでボスを中心に序列が存在する。
その中で、雄雌の中間的な個体や、巨大な雌のボス「クイーン・アリエネコンガ」が見られた。
このボスは進化形であり、異種族交配が可能である。ゼロスは、クレイジーエイプが特定の状況で雄に変態することを推測した。
騎士たちは奪われた食料に怒り、クレイジーエイプの群れを攻撃することに決定。
彼らは迅速に準備を整え、セレスティーナの閃光魔法「フラッシュ」でクレイジーエイプを視覚的に混乱させ、麻痺と毒の煙を使って一斉に攻撃を開始した。
アリエネコンガは強力な攻撃を繰り出し、騎士たちを吹き飛ばすが、ゼロスの「光の縛鎖」で捕縛される。
ゼロスはさらに「神の祝福」で騎士たちを強化し、彼らは一斉に攻撃を仕掛ける。
騎士たちは、強化された力でアリエネコンガを倒すべく、獰猛な笑みを浮かべて攻撃に移った。
第三話 おっさん、あの時を夢に見る
アリエネコンガを拘束している間に、周囲のクレイジーエイプを倒し、奪われた食料を取り戻すため騎士たちは苛烈な攻撃を加えた。
戦闘中に新たなクレイジーエイプが戻ってきたが、アリエネコンガへの攻撃も同時に進められた。
しかし、硬い皮膚により魔法攻撃の効果が薄く、アリエネコンガは強酸の攻撃を放つ。
アーレフとツヴェイトは剣技で攻撃するも、アリエネコンガの皮膚は硬く致命傷を与えられない。
ゼロスは騎士たちのレベル上げを優先し、自身の介入を控えたが、アリエネコンガが「凶暴化」してしまい、さらに手強くなった。
ゼロスは「雷神轟雷球」でアリエネコンガを内側から焼き尽くし、騎士たちのために戦いを終わらせた。
アリエネコンガが倒れた後、今度は巨大な赤い狼「レッド・グリード・バトルウルフ」が現れ、騎士たちを囲む。
他の狼型魔物も加わり、騎士たちは再び戦闘に突入した。
ゼロスは「白銀の神壁」でレッド・グリード・バトルウルフのブレス攻撃を防ぎ、「断頭斬」で頭部を切り落とす。
騎士たちは他の狼型魔物と戦い続け、最終的に勝利を収めたが、疲労困憊となる。
ゼロスは回復魔法を施し、夜の見張りを引き受けた。翌朝も彼らは焼肉を食べることになった。
ゼロスは夢を見ていた。それは彼がこの世界に来て三日目の夜の出来事である。
朝から魔物に襲われ続け、空腹に苦しみながら戦い続けていた。
食料は奪われ、香辛料も賞味期限切れ、塩もないため、味のない焼肉を食べる羽目になった。
川辺でリザードマンに襲われたため、岩場で一夜を過ごしていた。
疲れ果てて眠っていたゼロスは、微かな気配で目を覚ますと、自分のズボンを下げようとする白い体毛の猿、クレイジーエイプと目が合った。
驚いたゼロスは悲鳴を上げ、異常な習性を持つ魔物の存在を理解する。
以降、彼は魔物を返り討ちにし、無差別に襲いかかるようになった。
ゼロスは貞操と生存を守るため、鬼となり、弱肉強食の世界で生き延びることを決意した。
敗者には語る権利も、貞操の行く末を決める権利もないと悟ったのである。
昼頃、ゼロスは煙草をふかしながら騎士達の作業を見守っていた。
魔物の毛皮や骨、牙が広がり、食用に向かない肉はツヴェイトが魔法で焼却していた。
セレスティーナも同様の作業をしていたが、現在は魔力回復のために休息中であった。
マンイーターとの戦闘から、さらに五回の魔物襲撃があり、騎士達の表情には疲労が見えた。
拠点周囲の壁はなく、騎士達は迎えの馬車を待っていた。馬車が到着し、騎士達は喜びを隠せない。
「この辺の魔物は奥に生息する奴らよりも弱い」とゼロスが言うと、騎士達は驚いた。大深緑地帯の外れであるここは、魔物の強さが比較的低く、奥の魔物の強さの三割程度であることが判明した。
ゼロスがこの森の奥地で一週間サバイバル生活をしていたことを知った騎士達は、彼が彼らの不幸を楽しんでいた理由を理解し、同情の目を向けた。
アーレフの指示で騎士達は荷物を積み込み、地獄のようなこの地からの脱出を心から喜んだ。
迎えの騎士達は、真新しかった鎧に傷が刻まれた彼らの姿に驚愕したが、過酷な戦いを潜り抜けて無事に生還したことを知る由もなかった。
騎士達は手早く荷物を纏め、魔物の襲撃に備えて急いで撤退の準備を進めた。
三十分後、騎士達は様々な思いを胸に、この地から逃げ出すように撤退した。
馬車に揺られる騎士達の心は軽やかである。彼等は終わりなき戦闘から解放され、今は安全な土地へと向かっていた。
サントールの街への道程は二日で、騎士達は馬車の中でぐっすりと眠っていた。
大深緑地帯では昼夜問わず魔物が襲撃し、精神的にも肉体的にも疲弊していたため、安らぎを感じていた。
自然界の過酷な環境は人間が変えることはできず、騎士達は生還を果たしたことで安心感に浸っていた。
馬車はゆっくりと進み、休憩地点である川辺に差し掛かる。
しかし、そこで見たものは壊れた馬車と商人達の遺体であった。
おびただしい血の跡と無数の死体があり、盗賊に襲われた痕跡が見られた。
アーレフは周囲に野盗が多いことを嘆きつつ、近くに盗賊が潜伏している可能性を示唆する。
使い魔を利用して空からの捜索を開始し、盗賊達の姿を上流に発見する。
女性と子供が人質にされており、騎士達は激怒した。
連続する戦いと過酷な生活に嫌気が差していた彼等は、盗賊への怒りを募らせ、殺意を隠さずに放出している。
ゼロス達は盗賊を見つけ出し、再び戦いの準備を始める。
彼等の眼には獰猛な輝きが宿り、かつての清廉潔白な騎士から、戦闘に狂った戦士へと変貌していた。
「総員、戦闘準備! 盗賊共をブッ殺すぞ!」の掛け声とともに、川原に鬨の声が響き渡り、騎士達は再び戦いに挑んだ。
送り迎えを担当する騎士達は、仲間が凶暴な戦士と化したことに戸惑いを隠せないが、川原の惨状を片付けるという重要な任務を果たすため、嘆きながらもその場を整理していた。
第四話 おっさん、同郷の者と邂逅する
少女、入江澄香はオンラインゲームをプレイしていたが、気付くと異世界の平原に立っていた。
彼女は記憶を頼りにステータス画面を確認し、異世界に転生したことを悟る。
メールには、この世界の神がゲーム内に邪神を封印し、その呪詛で多くの人々が死亡したと記されていた。
澄香は元の世界の体をベースに、ゲームのステータスを加えた形で蘇生された。
彼女は地球では孤立していたが、異世界での冒険に興奮し、装備を整えて街を目指した。
途中、ゴブリンを退治し、二人の女性傭兵と共にサントールの街に向かい、傭兵ギルドに登録した。
生活費を稼ぐために護衛依頼を受けていたが、商人の馬車を護衛中に盗賊に襲われ、捕らわれの身となる。
澄香、異世界での名はイリスは、商人一家が人質に取られ、脱衣を強要されている状況に直面し、純粋な殺意を抱く。
彼女は索敵スキルを使い、上空に使い魔がいることを発見。
魔導士が救援に来る可能性を仲間のレナに伝えるが、具体的な救援の時期は不明であった。
仲間であるレナは特殊な性癖を持ち、もう一人の仲間ジャーネは風邪でサントールの街に滞在中である。
護衛の傭兵は盗賊の襲撃で命を落とし、今は彼女達だけが残されている。
イリス達は救援が来ることを祈りつつ、盗賊に弄ばれる恐怖に直面し、ただ救いを待ち続けていた。
騎士団一行は三十分の追跡の末、盗賊のねぐらを発見した。
盗賊たちは河賊で、船を使って物資を運んでいた。
騎士たちは盗賊を討伐する決意を固め、敵地に攻撃を仕掛けることを決めた。
人質の女性や子供たちは盗賊に捕らえられ、女性は脅されて服を脱がされていた。
セレスティーナとツヴェイトも状況を見守り、盗賊たちの注意を引く策を考えた。
騎士たちは卑劣な手段を用いることも厭わず、盗賊討伐の作戦を練った。
過去には、騎士団の動きが盗賊に察知されることが多く、討伐が失敗することがあったが、今回の騎士たちは強化され、盗賊たちにとって脅威となっていた。
ゼロスが先陣を切り、騎士たちは盗賊を包囲し、殲滅する準備を整えた。
彼らの憎しみは深く、盗賊を全滅させる決意を持っていた。
盗賊たちを相手にする騎士たちは、すでに人間と魔物の区別がつかなくなりつつあり、彼らの攻撃を誰も止めることはできなかった。
騎士たちはこの一週間で凶悪なまでに強くなり、国家最強の精鋭部隊と化していた。
人間性の問題はあるものの、彼らの盗賊殲滅作戦は遂行された。
盗賊たちは川近くの洞窟の前で宴を開き、捕らえた女性や少女を物色していた。
家族を人質に取られた彼女たちは、羞恥心と屈辱に耐えながら服を脱がされていた。
盗賊たちは彼女たちを弄んだ後、奴隷商に売り払う計画を立てていた。
そこへ、ゼロスという魔導士が現れ、街への道を尋ねた。
盗賊たちはゼロスを闇魔導士と見なし、彼に女を譲るふりをして暗殺しようと企んだが、逆にゼロスに返り討ちにされた。
ゼロスは無詠唱で魔法を使い、盗賊たちを次々と倒していった。
ゼロスは盗賊たちが脅迫していた子供を人質に取ろうとしたが、ゼロスはそれを全く意に介さず、盗賊を次々と殺していった。
ゼロスの魔法により、盗賊たちは無力化され、最後には騎士団の突撃によって完全に制圧された。
盗賊たちは洞窟の前で収穫物を広げ、女性たちを辱めようとしていた。その時、ゼロスという魔導士が現れ、彼らに街への道を尋ねた。
盗賊たちはゼロスを怪しみながらも無害と判断し、彼を襲おうとしたが、逆にゼロスによって返り討ちにされた。
ゼロスは無詠唱で魔法を使い、盗賊たちを次々と倒していった。
その時、イリスとゼロスが互いにゲームに関連する用語を使い、同じゲームのプレイヤーであることを確認した。
しかし、その後突然オークが現れ、状況は更に悪化した。アーレフら騎士たちは、被害者を優先して撤退を決定し、盗賊たちは麻痺したまま残された。
盗賊頭は、オークに襲われ驚愕した。
オークは盗賊のズボンを強引に引き脱がし、その行動に盗賊達は混乱し理解を拒絶していた。
オークの雌が多種族の雄を襲うのは繁殖のためであり、雄の数が不足する際に起こることである。
オークの群れは繁殖のために移動し、必要な種を確保するために盗賊達を襲ったのだ。
盗賊達は、オークの繁殖の道具とされ、用が済むと殺され食料にされる運命にあった。
ゼロス達が撤退する際に聞こえた叫び声が彼等の最後であり、盗賊達の行方は誰も知らない。
力に頼る者が報いを受けるのは自然の摂理であり、救助者は存在しなかった。
第五話 おっさん、身の上話をする
ゼロス達は盗賊を討伐し、川原で一夜を明かすことにした。彼らは交代で見張りを行い、魔物の襲撃に備えていた。
ゼロスが焚火の傍で薬草の種を分けていると、同郷の者であるイリスが近づいてきた。
彼女はゼロスに質問があると言い、二人は会話を始める。ゼロスは自身が40歳であり、過去の職業について語り始めた。
彼はネット上のセキュリティシステム関係の仕事をしており、過去には姉にトラブルを引き起こされ会社を辞めることになったことを話す。
ゼロスはイリスの装備がファンシーなことに触れ、彼女はその理由を説明した。
二人はオンラインゲーム「ソード・アンド・ソーサリス」について話し、ゼロスはゲームのシステムに疑問を持っていたことを語った。
この世界のシステムがゲームと酷似していることに気づいたゼロスは、現実の世界そのものが何かに制御されていたのではないかと考えていた。
その後、ゼロスはイリスにこの世界で傭兵を続けるつもりかと尋ね、彼女は続けるつもりだと答えた。
ゼロスは相談に乗ると伝えたが、冗談交じりに彼女をからかった。
最後に、二人は正式に自己紹介をし、ゼロスは自分の二つ名「黒の殲滅者」について知る。二人の会話は、夜の静けさの中で続いた。
翌朝、ゼロス達はサントールの街へ向けて馬車で出発した。ゼロスは教え子のセレスティーナとツヴェイトに、広範囲殲滅魔法「闇の裁き」の失敗作である劣化版「賢者の石」を手渡した。劣化版でも複数の魔法をストックできる便利なアイテムであり、魔法スクロールの代わりにもなる。
ゼロスは、オリジナル魔法「白銀の神壁」を二人に説明し、その使い方と応用方法を教えた。
この魔法は防御障壁であり、形状を自由に変えられる上に、錬度が上がれば透明化や礫として撃ち出すことも可能である。
ただし、魔法の強度は個人の魔力に依存するため、高い錬度が要求される。
セレスティーナとツヴェイトは新しい魔法を試したくて仕方がなかったが、ゼロスは若さを羨ましく感じ、若返りの秘薬について考える。
秘薬には「時戻りの秘薬」と「回春の秘薬」があるが、それぞれに製作の難しさや副作用があるため、ゼロスは無理に若返る必要はないと考えた。
彼は現在のズボラな生活に満足しており、若返ることよりも今の自由な生活を楽しんでいた。
イリスは馬車の荷台からゼロスを見つめながら、彼の強大な力に驚嘆し、同時に彼を仲間に引き入れる方法を模索していた。
ゼロスは異世界で最強の魔導士と評されるほどの存在であり、彼女にとっても憧れの対象であった。
イリスは傭兵としての経験から、人を殺すことの迷いが命取りになることを学び、ゼロスのような強力な仲間の必要性を感じていた。
レナはイリスの興味を恋愛感情と誤解し、イリスはその誤解を必死に否定する。
この世界には「恋愛症候群」と呼ばれる発情期が存在し、地脈の魔力が精神に影響を与え、特に魔導士が暴走しやすいという事実が明かされる。
この症候群は異性との相性を本能的に計測し、魔力と共鳴し合うことで強烈な性欲を引き起こす。
イリスはその可能性に怯え、自分がゼロスに対して恥ずかしい告白をしてしまうのではないかと悶々とした気持ちに苛まれる。
サントールの街への帰路で、イリスはこの新たな事実に戦慄しつつ、数日間悩むことになる。
第六話 おっさん、誘導する
騎士団の執務室で、騎士団長マーカス・ヴィルトンとアーレフ・ギルバートが会話を交わしていた。
マーカスはアーレフが率いた分隊が短期間で格を154も上げたことに驚愕していた。
アーレフは大深緑地帯で多くの魔物と戦い、生き延びたことを淡々と報告する。
マーカスは、報告書に記載されたレッド・グリード・バトルウルフの存在に驚き、その脅威を認識する。
バトルウルフは組織的に狩りを行う魔物で、騎士団にとって大きな脅威であった。アーレフは、他にも強力な魔物がいる可能性を示唆し、辺境の村々の被害について懸念を示す。
マーカスは、傭兵ギルドに注意勧告を出すことを決定。
クレイジーエイプの存在も問題視され、傭兵たちが高値で取引される【白猿の毛皮】を狙って大深緑地帯へ挑むことになるが、その多くは帰還しなかった。
後に傭兵ギルドの幹部が騎士団に助けを求めるも、マーカスはそれを取り合わなかった。
情報を信じなかった傭兵たちが悪いと判断されたのである。
ゼロスたちがサントールの街に戻って三日が経過。セレスティーナとツヴェイトは、ゴーレムを相手に戦闘訓練を続け、ストーンゴーレムを倒せるまでに成長している。
彼らのレベルと技量は大幅に向上し、死線を潜り抜けた経験がその動きに現れていた。
クレストンは二人の成長を見て、彼らを自身の派閥に加えたいと考えていた。
派閥に加わることで国の行く末に影響を与え、魔導士団と騎士団の対立を解消しようとしている。
ゼロスの再調整した教本が派閥の力を削ぐために利用され、ソリステア公爵家が販売を開始した魔法スクロールが市場で人気を博していた。
訓練中、セレスティーナとツヴェイトはストーンゴーレムとマッドゴーレムに苦戦しながらも『白銀の神壁』を駆使して戦う。
しかし、ストーンゴーレム・コマンダーの【アースクェイク】によって攻撃を受け、二人は泥まみれに。
ゼロスはその戦い方を評価しつつも、大深緑地帯のゴーレムの強力さを語り、彼自身がその危険な環境で生き延びたことに驚きを感じさせた。
訓練は終了し、二人は自分たちがまだ地獄の入り口にも立っていないことを実感する。
魔の森の恐ろしさを改めて感じながら、日課の戦闘訓練は終わった。
ツヴェイトは最近、挙動不審な様子を見せ、セレスティーナを見ながら溜息をつくことが増えていた。
彼の行動は、妹に対する恋慕と誤解されがちであったが、実際には彼女に過去の冷遇を謝罪したいという気持ちからだった。
彼はセレスティーナが魔法を使えなかった過去に対し、自身の家系の誇りから冷たくあたっていたが、実際には魔法式に原因があったことを知り、その罪悪感に苦しんでいた。
ゼロスはツヴェイトに謝罪の必要性を説き、彼を勇気づける。
ツヴェイトはゼロスの言葉に触発され、セレスティーナに謝罪する決意を固める。
ゼロスは彼に対して、誠意を持って過去の過ちに向き合うべきだと強調し、ツヴェイトはその言葉に従い、謝罪に向かう。
ツヴェイトの決意に応え、ゼロスはかつてのリーマン時代に培った言葉巧みな話術を用い、部下のやる気を引き出していた経験を思い出す。
ツヴェイトが自分の過去を清算し、新たな道を歩む決意を固めたことで、彼は行動を起こし始める。
セレスティーナはバルコニーで風を感じていたが、兄のツヴェイトが現れ謝罪の言葉を述べた。
彼は、公爵家の後継者としての誇りから、魔法が使えなかったセレスティーナに辛く当たっていた過去を反省し、頭を下げて謝罪したのである。
セレスティーナは、ツヴェイトの誠実さと一族への忠誠心を理解し、彼の謝罪を受け入れることにした。
ツヴェイトは、ゼロスの魔法の威力に驚きつつも、その力の危険性に対する責任を感じていた。
彼は公爵家の後継者として、民を守る使命を全うする決意を固めていた。
一方、セレスティーナは、魔法を使って民の暮らしを豊かにする道を目指している。
二人は異なる道を歩むことを確認し合いながらも、互いの覚悟を認め合った。
セレスティーナは、ツヴェイトが抱えていた貴族としての責任と民を守る決意に初めて気付き、自分の立場から逃げていたことを反省した。
彼女は、兄が軍務に就くことを理解し、自分自身もここでできることを探すことを決意した。
この日、二人は過去のわだかまりを解消し、新たな理解を深めたのである。
第七話 おっさん、自宅建築現場へ赴く
ゼロスは領主デルサシスと対面し、土地の権利書の受け取りについて話を進めた。
彼は、奥方二人の視線を感じつつも、営業モードで対応した。
デルサシスはゼロスに土地を提供する意向を示し、工事の進捗について説明した。
工事を担当するドワーフの職人集団は、期日よりも早く作業を進める腕利きの集団であったが、設計変更を受け付けず、注文主に厳しく対処する姿勢が特徴であった。
ゼロスは設計図を確認し、家の間取りについての意見を述べたが、ドワーフ達が設計を勝手に変更する可能性に困惑した。
デルサシスはゼロスに家の下見を提案し、職人達に意見を伝えるよう促したが、ゼロスは職人達との接触を避けたがった。
その後、デルサシスの奥方二人がゼロスに結婚の話題を持ちかけ、セレスティーナを引き取ってほしいと提案した。
ゼロスは丁重に断り、彼女たちがセレスティーナの現在の実力を知らないことを確認した。
彼は丁寧に礼を述べ、その場を退去した。
奥方達はゼロスに対して不信感を抱きつつも、デルサシスの一言で彼のことをすぐに忘れ、楽しい外出の準備に戻った。
デルサシスは、ゼロスを敵に回すことの危険性を理解しており、妻達の質問には答えなかった。
彼は、普段から巧みに妻達を喜ばせることで、複数の女性と良好な関係を保っていることが示された。
ゼロスはサントールの街を歩き、建設中の自分の土地に向かった。
現場では多くのドワーフが建設作業に励んでいた。
ゼロスが到着すると、ドワーフたちは建材の取り扱いで揉めており、柱をどこに取り付けるかで口論していた。
ゼロスは責任者のナグリと出会い、家の設計について話し合った。
彼は地下室を希望しており、ナグリはその要望に驚いたが、ゼロスの提案で【ガイア・コントロール】と【ロック・フォーミング】を使い地下室を作ることにした。
ゼロスは魔法を使って地下室の基礎を岩盤に変え、地下室を作り上げた。
ナグリはゼロスの魔法の技術に感心し、彼を建設業に誘ったが、ゼロスは研究者としての生活を優先したいと断った。
最終的にゼロスは臨時で手伝うことに同意した。
作業が進む中、ナグリはゼロスにドワーフの食文化やデルサシスの多くの愛人について語った。
デルサシスは「沈黙の領主」として知られ、商人としての手腕で裏組織を取り込み勢力を拡大していた。
ナグリはまた、ボロモロ鳥の貴重な肉を他のドワーフに食べられたことに怒り、殴り合いに発展した。
ゼロスはその様子を見て、ドワーフの逞しさと現場の厳しさを感じながらも、作業を続けた。
最終的に、ドワーフたちの殴り合いは明け方まで続いた。
第八話 おっさん、再び無職に……
ゼロスは部屋で魔導錬成の作業に取り組んでいた。
魔法陣を使い、ミスリルとマナライト鉱石を材料にして指輪と腕輪を製作中である。
魔導錬成は、金属などを自在に加工する高度な魔法技術で、魔法陣の起動と複雑な魔法式の刻印が必要となる。
ゼロスは魔法式を刻みながら、疲労と戦いつつも作業を続けた。
魔導錬成の結果、ゼロスは指輪と腕輪を完成させたが、自分には不要な装備であった。
ゲーム内での経験と現実の作業の違いに苦戦しながらも、最終的に魔導錬成が可能であることを確認した。
装備の使い道を考えていたが、途中で興味を失い、疲れからベッドに入り眠ってしまった。
ゼロスの行動は一見意味がありそうで、実際には無計画な部分が多い。
セレスティーナとツヴェイトは、イストール魔法学院の寮生活に戻るための準備をしている。
夏季休暇が終わるのを二人は憂鬱に感じている。
ゼロスから魔法や魔法薬調合を学び、充実した休暇を過ごしていたからである。
ゼロスの指導のもと、二人は低級ポーションを作れるまでに成長し、魔法の基礎も徹底的に学んだ。
イストール魔法学院の講師たちは、過去の魔導士の知識を継承することができず、魔法の研究は停滞していた。
歴史的に、多くの魔導士が邪神戦争や疫病で失われ、現在の魔法研究は基礎から再構築されている状況である。
特に、広範囲攻撃魔法の効率化は課題となっている。
クレストン老は、孫たちの成長を喜んでおり、ゼロスにソリステア家の秘宝魔法の効率化を依頼した。
ゼロスはその依頼を受け、秘宝魔法を改良したが、それによりクレストンは孫娘の求婚者に対する敵意をさらに強めた。
ゼロスは研究以外には関心を持たず、クレストンの狂気に巻き込まれないようにしている。
クレストンは孫娘を守るため、秘宝魔法を利用して有象無象を排除しようとしている。
セレスティーナとツヴェイトは、マンドラゴラの精神攻撃の記憶に苦しみながらも、ゼロスの指導のもと魔法薬の調合に励んでいる。
セレスティーナとツヴェイトは、ファーフランの大深緑地帯で魔物の襲撃により食料を奪われ、現地での調達を余儀なくされた。
ツヴェイトが持ち込んだ器材を使い、回復系の魔法薬を現地で生成するため、ゼロスは必要な素材としてドラック茸やケミカルリーフ、マンドラゴラを挙げた。
マンドラゴラの叫びが精神に大きな影響を与えることをゼロスは説明したが、二人はその恐怖をまだ理解していなかった。
狩りの途中でマンドラゴラを見つけ、三人は手分けして採取を開始。
すると、マンドラゴラは人の良心を責めるような叫び声を上げた。
ツヴェイトとセレスティーナはその叫びに心を打たれ、精神的に打ちのめされた。
ゼロスは教会での栽培経験から既に慣れており、平然と採取を続けた。
二人は精神的なダメージを受け、マンドラゴラの叫びに耐え切れず、最終的にギブアップ。
拠点に戻った時には精神的に疲弊し、虚ろな目で独り言を呟く状態に陥っていた。
ゼロスは、マンドラゴラの精神攻撃に完全に耐性を持つようになったため、教会での収穫作業を平然とこなしていた。
彼は、植物に対する感情の持ちようについて、他の生物を糧とすることと同様に割り切るべきだと主張。
生物を糧として生きる以上、偽善を排除し、素材として割り切る必要があると説いた。
マンドラゴラの叫び声の理由は未だ不明であるが、錬金術の学びには割り切って採取する能力が重要である。
素材を自分で調達できなければ、魔法薬を作ることは難しいからである。
ゼロスは、二人に中級の魔法薬「マナ・ポーション」の製作方法を教え、各錬金術師による微妙な配合の違いにも触れた。
また、魔力の管理や回復手段の重要性を強調し、過剰な水分摂取による戦場でのリスクについても説明した。
最後に、ゼロスは回復薬の成分を濃縮する方法を教え、「ゼロスおじさんの錬金術講座」を終了した。
二人は、充実した日々の終わりが近づく中で、学院に戻る準備を始めた。
充実した時間はあっという間に過ぎ去るもので、セレスティーナとツヴェイトもイストール魔法学院への復帰を翌日に控えていた。
彼らは早朝出発のため早めに眠りについた。
彼らはファーフラン街道ではなく、船でセザンの街まで行き、そこから馬車でスティーラの街へ向かうことになっていた。
帰りは風に左右されるため時間がかかるが、船は効率的である。
ゼロスは心の中で蒸気機関の導入を考えたが、技術改革が戦乱を引き起こす可能性を懸念し、黙っていた。
クレストンから学院に戻るよう説得されたツヴェイトとセレスティーナは、学院での学びに疑問を抱きつつも、その必要性を理解し始めた。
ゼロスは彼らに魔法の媒体である指輪と腕輪を与え、学院での使用感をレポートにしてほしいと依頼した。
さらに、ゼロスは二人に秘宝魔法の効率化と強化の宿題を出し、成功すれば最高の魔法媒体を与えると約束した。
これにより、二人はやる気を高め、課題に挑む決意を固めた。
翌朝、二人は意気揚々と学院に向かい、ゼロスは再び無職となった。
職を失った彼は、今後の生活について悩みながらも、新たな無職生活が始まるのであった。
第九話 おっさん、米を簡単に発見する
セレスティーナ達がイストール魔法学院に戻ってから三日後、ゼロスは新居への引っ越しを済ませた。
豊かな土壌を確認しながら、農作業に取り掛かり、次の仕事や趣味を考えていた。
ゼロスは多額の収入があるものの、無職であり、農業を趣味とするだけで満足していなかった。
彼は魔導士としての力を誇らず、技術チートも避けていた。
ゼロスは農業と土木作業のバランスを考え、ナグリから土木作業の手伝いを頼まれるが、彼は自分の能力を見せすぎないよう配慮していた。
彼は雑草とされる【ライスウィード】が米であることを発見し、米の栽培に挑戦することに決めた。
その後、彼は畑を区分けし、米の栽培に取り掛かる計画を立てた。
彼は米の栽培を通じて、味噌や醬油、日本酒の生産も視野に入れ、夢が膨らんでいた。
ゼロスの新たな目標は、米文化の復活であった。
ゼロスは、卵かけご飯を目指し、情報収集のため見習い神官ルーセリスに話を聞いた。
彼女は高級食材である卵に詳しくないが、卵を産む【ワイルド・コッコ】が獰猛で扱いにくいことを教えた。
ゼロスはこの鳥を闘鶏に例えたが、その凶暴さが伝わらず困惑した。
さらに、ゼロスは金属の採掘場所について尋ね、サントールの街から北に半日ほど行った場所に廃鉱山があることを知った。
彼は乾燥機を作るために必要な金属を求めてすぐに出発を決意するが、ルーセリスは心配する。
一方、子供達はルーセリスの恋心をからかい、彼女を追い詰めるが、彼等のやりとりは微笑ましい光景であった。
第十話 おっさん、廃鉱山へ向かう
ゼロスは、廃鉱山への情報を得るために近場の酒場を訪れた。
酒場には様々な人々が集まり、思い思いに過ごしていた。
ゼロスは、以前に盗賊から救ったイリスとその仲間のレナ、そしてジャーネに再会する。
彼らから廃鉱山の情報を聞き、ゴブリンやコボルト、ワーム、ゴーレムが出る危険な場所だと知る。
ゼロスは金属採掘のために鉱山へ行くことを伝えると、イリス達も同行することを提案した。
ジャーネは当初ゼロスに対して警戒心を抱いていたが、イリスとレナに説得され、最終的に同行を承諾した。
ゼロスは彼女たちと共に廃鉱山を目指し出発するが、道中でジャーネから警戒され続けることとなった。
ゼロスは、金属を採掘するため廃鉱山へ向かう途中、イリスたちと道中を共にした。
アーハンの村までの長い道のりで、イリスはゼロスが金属を何に使うのか尋ねた。
ゼロスは、米を保管するための乾燥機付きの小型サイロを自作する計画を語り、米がこの世界では雑草扱いされていることを説明した。
さらに、ゼロスは脱穀機の話を持ち出し、イリスがコンバインの製作を提案したが、ゼロスはその技術が戦争に悪用される危険性を指摘し、技術チートを行わない方針を示した。
話の流れで、ゼロスが現在無職であることが明らかになり、彼はかつて教えていた教え子のセレスティーナのことを少し気にかけつつ、広い空を見上げた。
デルサシス・ヴァン・ソリステアはソリステア公爵領の現領主であり、商業でも成功を収める人物である。
彼は二人の妻を持ち、民のために税金を投資して領地を発展させる一方、自身の商会で収益を上げ、その財力は他の貴族を凌ぐ。
また、魔導士団と騎士団の融合を提唱する【ソリステア派】を率い、資本力で他派閥に対抗している。
デルサシスは魔法スクロールの販売戦略を見直し、一度使うと消去される魔法スクロールを開発し、魔法紙をリサイクルして商売を成功させている。
この方法により、ソリステア商会は魔導士派閥陣営に経済的圧力をかけ、治安向上にも貢献している。
さらに、デルサシスは錬金術師を集めて回復薬を量産し、品質を安定させることで市場を掌握しようとしている。
敵対派閥の資金源を潰す計画を進めており、父クレストンの協力を得ながら魔法文字の解読方法を用いて派閥の力を強化するつもりである。
デルサシスは仕事の時間管理も完璧で、愛人の元へ向かう予定を持つなど、多忙な生活を送っている。
父クレストンはその行動に困惑しながらも、彼の成長を見守っている。
第十一話 おっさん、お節介を焼く
ゼロスと仲間達はアーハンの村に到着し、宿に泊まった翌朝、イリスがファーフラン大深緑地帯について尋ねた。
彼女はその地がどのような場所か興味を持っていたが、ゼロスはその危険性を知っていたため、ためらいながらも語り始めた。
彼はその地がいかに恐ろしい場所か、そしてそこでの体験がどれほど危険だったかを説明した。
これは、イリスが無謀な冒険に出ることを避けるためであり、彼はその地の恐ろしさを強調した。
異世界転生から五日目、ゼロスは深夜の森で魔物から逃げ続けていた。
彼は魔物に捕食されないよう警戒を続け、精神的に疲弊していた。
魔物は強くないが、倒すたびに別の魔物が血の臭いに引き寄せられ襲いかかってくるため、ゼロスは休む間もなく戦い続けた。
ある時、見えない敵の攻撃を受け、光学迷彩を使う魔物と判断したゼロスは、鋼をも貫く矢で攻撃し、その正体が巨大なカマキリ「デス・マンティス」であることを突き止めた。
デス・マンティスを倒すと、さらに巨大な「グレート・ギヴリオン」が現れ、ゼロスは恐怖と嫌悪感にかられながら逃げ続けた。
この追いかけっこにより、ゼロスは街道まで辿り着くことができたが、彼はそれを知らなかった。
ゼロスは、異世界の森で巨大な魔物と遭遇し、生死をかけた冒険を語った。
イリス、レナ、ジャーネの三人はその話を聞いて恐怖に震えていた。
特に巨大な魔物の存在に驚愕し、食欲を失った。
ゼロスは冷静に食事を続け、弁当の提案をし、彼女たちを落ち着かせた。
デス・マンティスの素材について話すと、二人はさらに驚き、昆虫を食べることに抵抗を感じていた。
ゼロスは昆虫食に抵抗がなかったが、特定の昆虫には生理的な嫌悪感を抱いていた。
彼の話により、彼女たちは自分たちの考えを見直すことになった。
アーハンの村の背後には三つの山があり、その一つに鉱山が存在する。
この鉱山はかつて金鉱で賑わっていたが、魔物の出現により鉱員が撤退し、現在は傭兵が採掘を行う場所となっている。
ゼロスとその仲間は村に到着し、翌朝鉱山に向かう準備をしていた。
そこで、若い傭兵が年上の傭兵に剣を奪われそうになっているのを目撃した。
ゼロスは剣の劣化を見抜き、その剣が危険であることを指摘。
さらに、自分の剣術の腕前を示しながら、少年に剣を返すよう促した。
その後、ゼロスは錬成魔法陣を使って剣を応急修理し、少年に返却した。
実は少年と思っていたその子が少女であることが判明し、女性陣から冷たい視線を浴びせられる。
ゼロスは気にせず、鉱山の採掘に向かい、仲間の行動を気にせず目的地を目指した。
第十二話 おっさん、廃鉱山に入る
アーハンの村の背後にある鉱山は、かつて金鉱で栄えたが、現在は魔物の出現により傭兵たちが採掘に訪れる場所となっている。
ゼロスと仲間たちは村に到着し、翌日、鉱山に向かう準備をしていた。
坑道内には青みがかった光が差し込み、意外にも明るかった。
ゼロスは前衛として配置され、仲間たちはそれぞれの役割を果たしながら進む。
途中でコボルトの気配を察知したゼロスは、仲間と協力して敵を撃退し、魔石を回収する。
彼らはこの鉱山がダンジョン化している可能性に気付き、最下層に向かうことを決意する。
ダンジョンは魔力が凝縮して生成される特殊な場所で、魔物を召喚し、人間を引き込むことで自己を維持する。
そのため、鉱山内の魔物は無尽蔵に繁殖し、スタンピードという現象が発生する可能性があることを理解する。
ゼロスは、平穏な生活を守るためにダンジョンの調査を進めることを決意し、仲間たちと共に最下層を目指す。
その過程で、ゼロスの実力が圧倒的であることが明らかになり、仲間たちは彼の能力に驚嘆しつつも信頼を寄せて行動を共にする。
坑道の先には広い空間が広がり、青い光が周囲を照らしていた。ゼロスは使い魔を使い、弓を持つコボルトが徘徊していることを確認した。
コボルトの数は少ないが、上からの弓攻撃は致命的になり得るため、ジャーネは大剣を準備し、前衛として戦うことになった。
ゼロスは飛行魔法を使い、コボルトを次々に撃破していく。
その様子を見たイリスたちは、ゼロスの戦闘力に驚愕した。
ゼロスはコボルトを殲滅しながら、仲間たちのレベル上げのために伏兵に備えて警戒していた。
やがて、コボルトの屍が塵に変わり、魔石を残して消えていく現象を目撃した。
これは鉱山がダンジョン化している証拠であり、ダンジョンが魔物や人間を吸収して成長していると考えられた。
アーハンの村の経済はこの廃鉱山に依存しており、ダンジョン攻略が村に影響を与える可能性があるため、ゼロスは慎重に行動することにした。
四人はそれぞれの目的のために先へ進む。ジャーネは剣のために、イリスとレナは魔石を集め、ゼロスは農機具や冷蔵庫の材料を確保するために鉱山の奥へ進んで行った。
クリスティン・ド・エルウェルはエルウェル子爵家の三女であり、父の後を継ぐため騎士を目指している。
彼女は剣の素材を得るため、騎士の従者と共に鉱山に赴き、採掘を試みたが、非力なため難航していた。
彼女の周囲には父の教えを受けた騎士たちが傭兵に扮し、彼女を守っている。
クリスティンが傭兵に絡まれていたところを魔導士が救ったが、その魔導士の技量と魔法で剣を修復する姿に騎士たちは驚愕した。
彼女たちは採掘を終え帰還の準備をしていたが、鉱山がダンジョンであることに気づいていなかった。
帰還の途中、クリスティンは罠にかかり、地面に吸い込まれてしまった。
騎士たちは慌てて彼女を救おうとしたが、罠の開口部は再び開くことがなかった。
第十三話 おっさん、やらかす
ゼロスたちは坑道を進み、魔物を倒しながら採掘可能な場所に向かっていた。
下層に進むほど魔物の数が増え、強くなっていたが、これは傭兵にとって経験値や収入の好機であった。
ゼロスが罠の発見を担当し、安全に進んでいたが、落とし穴などの罠に苦労していた。
彼らはビッグ・スパイダーと戦うかどうかを議論し、蜘蛛の魔石が貴重であるため戦うことにした。
ゼロスは以前、海外出張時にタランチュラや大百足を食べた経験があり、その話題で仲間たちは驚きつつも嫌悪感を示した。
ゼロスは酒によく合う味だったと振り返り、仲間たちはその想像に苦しんでいた。
最終的に、彼らは蜘蛛と戦わずに時間を浪費し、ビッグ・スパイダーは姿を消した。
これにより、女子三人は稼ぎ時を失い、ゼロスは恨まれることになった。
ゼロスたちは採掘場に向かう途中で金属音を聞き、進行方向に異変を感じる。
ビッグ・スパイダーの群れを見つけた三人は高価な素材を狙い、戦闘に挑む。戦闘中、他の傭兵たちがビッグ・スパイダーと戦っている場面に遭遇し、協力してこれを撃退する。
助けられた傭兵たちは騎士であり、クリスティンという人物がピット・シューターという罠に落ちて助けを求めていることを話す。
ゼロスは罠の蓋を調査するが、突如蓋が開き、穴に落ちる。彼の技量を信じた騎士たちは、ゼロスがクリスティンを救出するだろうと期待しつつ、迂回して救援に向かうことにする。
イリスはゼロスの能力を信じて心配せず、仲間の解体作業を待つことにする。
ゼロスは【ピット・シューター】に落ち、滑り台式のトンネルを滑り下りた。
着地時に尻と背中を強打しながらも、クリスティンを探して歩き出した。
途中で断崖に出くわし、下にはサンド・ワームが蠢く広大な砂地が広がっていた。
ゼロスはハウリング・バットという蝙蝠が音波でワームを誘導していることを見抜き、クリスティンの安全を確保するためにこれらの蝙蝠を排除する必要があると判断した。
ゼロスは【煉獄炎】を発動して蝙蝠を焼き払い、生き残った蝙蝠は逃げ去った。
その後、飛行魔法【闇鳥の翼】を使い、蝙蝠が群れていた場所に向かって飛び立った。
彼はクリスティンがその場所にいると確信していた。
クリスティンは狭い足場を進んでいたが、手に無数の傷を負い、痛みに耐えながら岩の凹凸を摑んで進んでいた。
上空には蝙蝠が飛び交い、ワームが彼女を追っていたが、落ちたら危険だった。
彼女は絶望しつつも、岩棚にたどり着こうとしていたが、逆傾斜の岩壁に直面し進むのが困難だった。
途中で爆発音が聞こえ、上空から焼けた蝙蝠が落ちてきた。
クリスティンは限界に達し、落下し始めたが、ゼロスに救われた。
ゼロスはクリスティンを抱えながら飛行魔法で岩棚に降り立った。
彼は彼女が怪我をしていないか確認し、彼女を安堵させた。
クリスティンはダンジョンであることを初めて知り、ゼロスがワームを殲滅する計画を聞いて驚いた。
ゼロスは【煉獄炎焦滅陣】を発動し、膨大な熱量でワームを焼き払ったが、空間は灼熱の世界となり、急速に冷却するために追加の魔法を使った。
ゼロスはその魔法の威力に驚き、自分の力を過小評価していたことに気付いた。
クリスティンは彼の力を目の当たりにし、彼を「殲滅者」と呼んだ。ゼロスはこの二つ名に動揺しつつ、煙草を吸って気を紛らわせた。
第十四話 おっさん、テンションが上がる
ゼロスは広大な地下空間で金属のありかを感知し、鉱石を発掘していた。
広範囲殲滅魔法【煉獄炎焦滅陣】の熱で金属が融解し、比重の重い金属が結合して大量に確保できた。
ゼロスは鉱石を錬成し、インゴットをインベントリーに収納していった。
虹色に輝くヒヒイロガネやオリハルコンを発見し、クリスティンは驚愕したが、ゼロスは上機嫌で採掘作業を続けた。
彼の目的は乾燥機付きのサイロ、冷蔵庫、足踏み式脱穀機であったが、風呂釜も作れそうだと野望に燃えていた。
ゼロスは日本の料理文化を取り戻すことに強い意欲を示し、テンションが異常に高かった。
その採掘速度は非常に速く的確で、彼は一流の鉱員としても活躍できるであろう。
ゼロスは多くの鉱物を大量に手に入れ、そのテンションの高さはしばらく続いた。
ゼロスはクリスティンとともにダンジョンの最下層にいた。
彼は広範囲の魔法で金属を発掘し、目的の鉱物を手に入れた後、クリスティンと共に上階層へ戻ろうとした。
クリスティンは魔物と戦う力が不足しており、自信を持てないでいたが、ゼロスは飛行魔法で彼女を上階へ移動させることを提案した。
彼女は高所が苦手でためらっていたが、ゼロスは強引に彼女を抱え、飛行魔法で上昇を開始した。
飛行中、クリスティンは恐怖のあまり悲鳴を上げたが、ゼロスは無視して目的地へ向かった。
彼は自分の目的である道具製作を優先しており、その結果、クリスティンの高所恐怖症をさらに悪化させることとなった。
ゼロスとクリスティンは飛行魔法で上層階に到達し、地上に向けて進んでいた。
クリスティンは魔法が使えないと話すが、ゼロスは彼女に特別な魔法スクロールを提供し、彼女は簡単な魔法を成功させる。
ゼロスは彼女に魔法の基本を教え、クリスティンは次第に魔法の使い方に自信を持ち始める。
昼食中、ゼロスは彼女にマンティコアやワイヴァーンの肉を提供し、クリスティンは驚きつつもその美味しさを堪能する。
彼女はゼロスから貸与された強力な魔改造青龍刀を使い、ウォーアントを一撃で倒す。
結果、クリスティンのレベルは急激に上がり、体が適応するために意識を失う。
ゼロスは意識を失ったクリスティンを抱えながら、世間からの誤解を恐れつつも彼女を安全に地上へ戻すことを決意する。
彼は、世間体よりも人命を優先し、不名誉を覚悟で進むのであった。
騎士達はジャイアント・アントの群れに行く手を阻まれ、必死に戦っていた。
クリスティンの救出を目指していた彼らだが、状況は厳しく焦りが募る。
アリ達は巣を守るために攻撃的になり、騎士達は彼女を取り戻すために奮闘していた。
そんな中、後から追いついてきたイリス達が合流し、戦局は好転する。
イリスが放った魔法でアリ達を凍らせ、騎士達と共にアリを粉砕していく。
彼らは、アリが無尽蔵に繁殖するダンジョンの特性に危機感を募らせつつも前進を続ける。
その時、坑道が轟音と共に震撼し、ジャイアント・アントは一斉に逃げ出す。
騎士達が困惑する中、灰色ローブのゼロスがクリスティンを背負って現れる。
クリスティンはレベルが上がり気絶しているだけで無事であった。ゼロスは彼女を騎士達に託し、一息つく。
その間、レナとジャーネはアリを解体し、イリスは魔石を回収していた。
誰もゼロスの心配をせず、作業に没頭している状況に彼は少し寂しさを感じながら、鉱山を後にする。背後では楽しげな三人の声が響いていた。
第十五話 おっさん、さっさと帰宅する
クリスティンが目を覚ますと、そこは簡素な木造の一室であった。
周囲を見渡し、自分が今朝まで宿泊していた宿の一室だと理解する。
ウォーアントを倒してからの記憶がない彼女は、ゼロスがここまで連れてきてくれたと考え、お礼を言おうと起き上がるが、急速なレベルアップによる体の変調で立ち眩みを起こし、再びベッドに倒れる。
倦怠感で動けないため、お礼は明日にすることに決め、休息を優先させた。
毛布を掛け直して瞼を閉じると、食堂の賑やかな笑い声が聞こえてくる中、クリスティンは再び眠りに落ちていった。
翌朝、クリスティンは目覚めると即座に着替えを済ませ、部屋の外へと急いだ。
食堂に赴くと、傭兵達が朝食を摂っていた。
彼女は知人達の姿を確認し、自分が助かったことに安堵する。
騎士達はクリスティンの無事を喜び、彼女は助けてくれた人物について尋ねる。
騎士イザートは、魔導士ゼロスの姿が見えないことを確認し、女性達にゼロスの所在を尋ねた。
女性達は、ゼロスが昨夜のうちに村を出たことを告げる。ゼロスは「貴族に関わると面倒だから、早々に消える」と言い残して去った。
クリスティンはお礼を言えなかったことに落胆するが、騎士達は「魔導士は自己中が多いから気にしないことだ」と慰めた。
しかし、彼女はどうしてもお礼を言いたいと思っていた。
中年魔導士ゼロスは、既にサントールの街の門の前に辿り着いていた。
後にアーハンの村の廃鉱山はダンジョンと認定され、活気を取り戻すまでに数年を要した。
ゼロスの殲滅魔法攻撃により、ダンジョンは拡大を続け、多くの魔物と人々の戦いの場となった。
このダンジョンは後に「アーハンの大迷宮」と呼ばれることとなった。
サントールの街の酒場では、数名の傭兵が酒を飲み、ゼロスに脅された朝のことを憂さ晴らししていた。
彼らはゼロスの鑑定能力を疑い、ミスリルの剣の話も噓かもしれないと考えていた。
そんな中、黒いローブの魔導士が現れ、彼らに強くなる方法を教えると持ちかける。
魔導士はくすんだ黒い石が嵌め込まれたアミュレットを見せ、それに魔力を流すと力を得られると説明した。
傭兵達は試してみたところ、力が溢れてくる感覚を得た。
魔導士は他のアミュレットも渡し、仕事があると告げて去った。彼らはその後、酒場で朝まで馬鹿騒ぎを続けた。
酒場を出た魔導士は近くの路地で数人の男達と合流した。
彼らは軍事訓練を受けた危険な人物であった。
「作戦は成功した」と魔導士は告げ、後の作業を男達に託す。
男達は、「実験対象が自分達の運命に気づいていない」と同情するが、魔導士は「結果が出れば量産可能だ」と話す。
男達も魔導士に任務を伝えるが、魔導士は「自分には他の目的がある」と答え、軽い足取りで去っていった。
彼は「利用されているつもりだろうが、目的に近づけるなら構わない」と独り言ち、闇に消えた。
残された男達も静かに闇に紛れ、路地裏には静寂が戻った。
ゼロスがサントールの街に戻ったのは、朝日が昇る時間帯であった。
彼は異常なまでに興奮しており、「乾燥機、脱穀機、冷蔵庫を作成する」などと考え、さらに精霊因子情報を使用した人工卵子作成についても思案していた。
特にハイ・エルフの情報を求め、畑の管理を助けるためにホムンクルスを作ることも考慮していた。
ゼロスは米の収穫サイクルに感嘆し、酒の製造に必要な麴の作成にも思いを馳せていた。
特に日本酒への執着が強く、「芳醇なる酒の園へ行く」と熱意を見せていた。
彼は酒を作るための機材を揃えることを最優先と考えており、徹夜で街道を走り抜けてきたせいか、思考が混乱していた。
街門に待機していた若い衛兵は、街の門前で独り言を呟くゼロスを見て怪訝な顔をしていた。
数人の衛兵がゼロスに近づき、「詰め所まで来て話を聞かせて欲しい」と求めた。
ゼロスは自分が疑われていると気付き、「見た目も行動も怪しい」と認識していた。
衛兵たちはゼロスを連行しようとし、ゼロスは「話せば分かる」と訴えつつ、朝食の要求までした。
最終的にゼロスは衛兵に連行され、三時間後に釈放された。
釈放時には、冤罪を理由にしっかりと朝食をご馳走してもらった。
ゼロスは帰宅途中、魔石を売るために魔導具店を訪れた。
店の外観が以前とは異なり、ファンシーな雰囲気に変わっていたため、入店を躊躇した。
かつてはホラー風の外観であったが、現在はメイド喫茶のような外観である。
彼が店に入ろうとすると、フリルの多いメイド服を着た店員クーティーが現れた。
ゼロスはクーティーに、店の外観が変わった理由を尋ねると、「店長の気まぐれで変えた」との回答を得た。
クーティーはゼロスを「泥棒」と揶揄しつつ、店長のベラドンナに報告した。店内はピンク色で、ぬいぐるみやレースのカーテンが飾られており、以前の普通の内装とは大きく異なっていた。
ゼロスは店長のベラドンナと話をし、魔石の買い取りを依頼した。
彼は大量の魔石を所持しており、ステータスに「自動回収」機能が表示されていたため、倒した魔物の魔石を全て回収していた。
この機能は彼がゲーム時の能力を引き継いでいることを示していた。
ゼロスはベラドンナに魔石を売り、少額の金を手に入れた後、揚げパンを購入し、煙草店で紙煙草を買った。
彼は携帯灰皿の必要性を感じ、ポイ捨てしていたことを反省したが、煙草はやめられなかった。
ゼロスは旧市街を歩きながら教会前を通り過ぎ、自宅へ向かう途中、教会裏手の畑で子供たちがマンドラゴラを収穫している場面に遭遇する。
子供たちは慣れた様子でマンドラゴラを引き抜き、その絶叫にも動じていなかった。
ゼロスに気づいた子供たちは彼に駆け寄り、お土産を求める。
ゼロスは揚げパンを手渡し、子供たちは喜んで教会へ戻った。
子供たちの言葉遣いに疑問を感じたゼロスは、ルーセリスに迎えられる。
「お帰りなさい」の言葉に感動しつつも、ゼロスは独り暮らしの寂しさを思い出す。
彼はルーセリスとの会話で心温まり、その後、自宅での準備に取り掛かるために別れを告げる。
ルーセリスはゼロスの無事を確認し、ほっと胸を撫で下ろす。
子供たちはルーセリスに恋のアドバイスをしつつ、彼女の反応を楽しむ。ルーセリスは子供たちの言葉遣いの悪さに悩み始める。
子供たちが不適切な言葉を覚えた背景には、周囲の大人たちの影響があった。
旧市街の教育環境が悪いことから、ルーセリスは子供たちの将来を心配し、教育改善に取り組むことを決意する。
短編 ルーセリスの一日
ルーセリスは早朝に市場で新鮮な野菜を購入する習慣がある。
夏場は特に食料の保存が難しいため、早起きが必要である。
教会裏の畑で野菜の収穫が可能になったが、現在収穫できる野菜は限られている。
薬草の収穫は安定しているが、マンドラゴラは料理には不向きであり、高価な薬草として取引されている。
市場から帰ると、教会でカエデというハイ・エルフの少女が木刀の稽古をしている姿があった。
彼女は凛々しい姿で、自己防衛のために稽古を続けている。
カエデはルーセリスが預かっている孤児であり、実は奴隷商に狙われることが多いハイ・エルフである。
彼女は剣士としての卓越した技量を持ち、悪人を斬る覚悟を持っている。
ルーセリスはカエデに、命の尊さを教えようとするが、カエデは弱肉強食の考えを持ち、自らを守るための覚悟を持つよう促す。
カエデは周囲の子供たちから学んだ知識を持ち、ルーセリスはそのことに悩んでいる。
教育の難しさを感じつつも、周囲の環境に影響される子供たちの将来を心配している。
ルーセリスは朝食後、教会で祈りを捧げ、街で奉仕活動を行う。
特に怪我人の治療を格安で行い、薬も調合するが、以前は薬草を購入できなかった。
次期領主の脅威も無くなり、生活が楽になったことに感謝していた。
彼女は孤児院で育ち、神官の恩返しのため見習い神官になったが、神を信じることはなく、人の善なる心を唯一の「神」として信じていた。
ゼロスに感謝しつつも、彼女は年上のゼロスに惹かれつつあるが、認められないでいる。
街での奉仕活動では、まず身寄りのない子供たちの治療を優先し、街の人々の治療も行っている。
ゼロスから神聖魔法と魔導士の魔法が同じだと教えられ、彼女の行動に遠慮がなくなった。
彼女の行動が四神教に知られたら異端者扱いされるだろう。
彼女はかつて世話になった老婆とも再会し、少しからかわれるが、急ぎ街を巡る。
新市街の宿の前で、親友ジャーネの仲間レナに出会い、ジャーネが風邪をひいたことを知らされる。
ジャーネの容態に驚きつつも、薬草を購入するために薬草店へ急ぐ。途中で転んだが、一刻も早く治療を行うために急いでいた。
ルーセリスは、薬草店で風邪薬の調合素材を購入中、必要な「リバーハンヘッドの肝油」が売り切れていることに気づく。
困っている彼女に、偶然居合わせたゼロスが声を掛けた。
ゼロスは、以前に乱獲したため肝油を大量に持っており、彼女に提供することを申し出る。
ルーセリスは、ジャーネの風邪症状についてゼロスに説明。
ゼロスは、魔物から人間に感染する可能性のある病気の兆候と指摘し、その場合、風邪薬では治らないと説明する。
この病気は発疹が出ると末期で、体が紫色になり壊死して死に至るという。
ゼロスは、治療薬として高価な赤い丸薬の錠剤を提供することを提案。
ルーセリスはお礼を申し出るが、ゼロスは在庫処分として気軽に薬を譲る。
感謝したルーセリスは急いでジャーネのいる宿「極楽亭」へ向かう。
途中で多くの人にぶつかりながらも、彼女は必死に急いでいた。
ルーセリスは「極楽亭」のカウンターでジャーネの部屋を尋ね、急いで向かう。
部屋で待っていたイリスは、ジャーネの容体に動揺していた。ジャーネの額や腕には発疹が出ており、肌は紫色に変色し始めていた。
ルーセリスはゼロスからもらった薬をジャーネに飲ませると、彼女はすぐに眠りについた。
薬の効果は即座に表れ、ジャーネの苦しそうな表情が和らいだ。
イリスはジャーネが魔物から傷を受けたことを説明し、その後の経緯を話した。
ルーセリスはゼロスが病気を特定し、無償で薬を提供したことに驚嘆する。
イリスはゼロスのような魔導士を「殲滅者」と呼び、その一団が強力な魔導士であることを語るが、ルーセリスはその通り名の物騒さに疑問を抱いた。
ジャーネはしばらく安静が必要であると判断され、ルーセリスが看病を引き受けることになった。
翌日、イリスとレナは商人の馬車の護衛任務でサントール街を離れることが決まった。
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