どんな本?
『本好きの下剋上 第五部「女神の化身」』は、香月美夜 氏によるライトノベル「本好きの下剋上」シリーズの第五部。
この部では、主人公マイン(ローゼマイン)の成長と彼女が直面する様々な挑戦が描かれている。
特に、貴族院での生活と彼女が持つ特別な魔力が物語の中心になる。
この部では、ローゼマインが家族を失った子供たちを救うために奔走する様子や、貴族社会の中での彼女の立ち位置や役割について詳しく描かれている。
また、聖女伝説が広まり、神々のご加護を得る儀式でローゼマインの特別な魔力が示され、周囲からの注目が集まる様子が描かれている。
さらに、図書館に関する謎やローゼマインの宿敵であるゲオルギーネとの対立など、様々な要素が物語を彩る。
読んだ本のタイトル
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身XII」
著者:香月美夜 氏
イラスト:椎名優 氏
あらすじ・内容
「第五部 女神の化身」ついに完結!
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身12」
大人気ビブリア・ファンタジー最新刊!
古代の大規模魔術の成功と引き換えに、意識を失ったローゼマイン。フェルディナンドと魔力を繋ぎ、女神に断たれた記憶の海を辿ってゆく。
領主の養女として旅立つ以前、兵士の娘だったあの頃。大切に育ててくれた家族、愛してくれた彼ら――。下町の人々との思い出が蘇る。
「……みんな……大好き」
そして、始まる建領のための忙しい毎日。ユルゲンシュミット初の未成年領主の就任によって、図書館都市アレキサンドリアの歴史が幕を開ける。
「皆様に祝福を!」
全てを夢物語では終わらせないビブリア・ファンタジー完結!
大増書き下ろしに加えて、椎名優描き下ろし漫画「四コマ」「アレキサンドリア~ある晴天のバルコニーにて~」を収録!
前巻からのあらすじ
ローゼマインの身体に女神が再度降臨しようとして、フェルディナンドが妨害する魔道具を装備させていたせいで、神々がムキになって神気をローゼマインに注ぎ込んでしまった。
そのせいで、ローゼマインは神気で身喰い状態となってしまい。魔力を減らす事を積極的に行わないといけなくなった。
アーレンスバッハ改。
アレキサンドリアの領主となるべくローゼマインは荒廃している領地に祝福をドンドン振り撒く。
さらに海にも祝福を放って領民達は歓呼の声をローゼマインに捧げる。
さらにローゼマインの神の気に染まった魔力を狙って襲って来る魔物を護衛騎士達と共に、ローゼマインの魔力でチャージしては直ぐ放ってまたチャージするとドンドン討伐して行く。
そうして魔力をドンドン使うが、寝てしまうと神の気に染まった魔力が回復してしまうので、、
寝れない。
腹も減るが食べられない。
元々虚弱体質だったローゼマインには辛い状態。
まるで身喰いの時のようになって行って行く。
それでも魔力を使わないといけないローゼマインは、大規模な魔法を行使して魔力を早く消費する。
感想
本編が完結した。
大円団のハッピーエンドだった。
神が身体に降臨したせいで神気が溢れて、いつ身体が神気に耐えられず壊れてしまうかわからない状態になったローゼマイン。
身体に多大な普段が掛かる魔力枯渇をさせないと、神気が抜けないと知ったフェルディナンドはローゼマインに神気色々と使わせようと。
アレキサンドル全体を祝福する大規模な祝福を行使してローゼマインの中で満ちていた神気を使い果たし、神気の身喰い状態を解消するが、、
神気(魔力)切れはローゼマインの身体には負担なので、急いで魔力を補充する必要があった。
そのため、急いでフェルディナンドは自身の魔力でローゼマインに魔力を補充するが。
ローゼマインは全く目を覚さない。
記憶を繋ぐ魔道具を使用して、ローゼマインと繋がり彼女の意識を覚醒させたが、神によって封印された下町の家族の事をローゼマインは全く思い出せな状態だった。
その記憶を取り戻させるため、フェルディナンドの目線から見たローゼマインの下町の家族を彼女に見せるが、ローゼマインの記憶は戻らない。
徐々に過去に遡り。
ルッツとその両親のシーン。
その後に前世の記憶も混ぜて髪飾りの所まで記憶を遡って、やっとマインだった頃の記憶を取り戻す。
この記憶の遡行の時に時々出るフェルディナンドの記憶が苦々しく、親が心配してくれるルッツに羨望的になったりとフェルディナンドが心から信頼の出来る家族を熱望していた事も発覚。
そうして現実世界に戻って来たローゼマインとフェルディナンドだったが、、
突然フェルディナンドが平民のマインに戻るか、元アーレンスバッハで現アレキサンドルの女領主となってフェルディナンドを伴侶にするか、王族に頼んで別の男と結婚するか選べと言って来る。
恋慕という意味ではあまりフェルディナンドの事を思ってないと言うローゼマイン(別視点では無自覚なだけ)だったが、フェルディナンドが心から信頼出来る家族を持つ事を熱望している事を知ったばかりの彼女はフェルディナンドと婚約する事を決める。
そうして、ローゼマインはアレキサンドルの女領主となる事を決めるのだが、、
元々は中央で王族の婚約者となって王族になる予定で動いていたのに、紆余曲折あってアレキサンドルの領主となる事が決まった。
準備していた事が全て変更となり、エーレンフェストで色々と準備をしなおさないといけなくなった。
さらに、中央でもアーレンスバッハの礎の魔術を染めてアレキサンドルへと変えた事の手続きを領主会議で承認してもらわないといけなくなっていた。
その準備をアレキサンドルとエーレンフェストで行い。
領主会議では中位、下位の領主から未成年の領主(アウブ)となるのは反対だと言われ猛反発を受けていたが、アーレンスバッハの礎の魔術を染めた本人であり。
未成年だろうが実力で領地を奪った事は事実。
学生だから資格が無いと言う者には、ツェントになるための資格、グリトリスハイトを持っているためユルゲンシュミットの知識も充分だと証明したら。
反対していた領主は全員黙ってしまった。
そうして、アレキサンドルの領主(アウブ)となったローゼマイン。
アーレンフェストでは契約魔法でお互い家族とは言えなかったが、アレキサンドルでは無効となったので、ルッツの成人の儀を行った後に、下町の家族の下に突撃。
驚く一同を横目にフェルディナンドを家族に紹介して、弟のカミルを可愛がれなかった分を取り返すためにベタベタしたりと大円団となって終わった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
アニメ
PV
同シリーズ
本好きの下剋上 シリーズ
兵士の娘
神殿の巫女見習い
領主の養女
貴族院の自称図書委
女神の化身
その他フィクション
備忘録
プロローグ
アレキサンドリアの礎の間には、多くの魔術具や薬の入った箱などが並び、古代魔術の復元が行われる準備が整えられていた。
ローゼマインとフェルディナンドは大規模魔術を成功させるため、盆状の魔石に手を置いて魔力を注ぎ始める。
魔力が溜まり、エアヴェルミーンの枝が虹色に染まると、全属性の光が天井へ向かって上がり、それぞれの属性の魔石が光を吸収していた。
この魔術が城を中心に展開されるため、貴族たちに知られることがなかった。
フェルディナンドは将来について考えることを止め、今に集中する。
ローゼマインは魔力枯渇を回避するため、魔力を魔法陣に注ぎ続ける。
また、彼女はエーレンフェストでの居場所を失ったが、自分の領地で礎の魔術を行う権利を手に入れた。
フェルディナンドは王命を逆手に取り、家族同然から本物の家族になる立場を得た。
この状況は神々に翻弄されているが、ローゼマインは明るい声で周囲の様子を見守りながら、フェルディナンドは彼女の魔力回復を恐れながら観察を続けている。
フェルディナンドはローゼマインに関する事情を詳しく聞き出すため、解毒薬と銀色の短剣や筒をちらつかせながら女神に交渉を行う。
英知の女神はフェルディナンドの魔力がローゼマインに対する影響を受けずに溢れる神々の力を管理することが困難であると説明し、ローゼマインが魔力枯渇の危険を冒すことなく神々の力を抑えるためには、フェルディナンドの魔力で彼女の魔力を染め直す必要があると述べる。
また、ローゼマインの失われた記憶を取り戻す方法についても議論されるが、確実な方法は提供されず、フェルディナンドは自身の魔力を使ってローゼマインの魔力を染め直すことを考える。これにより、ローゼマインは神々の力から影響を受けやすい状態を克服しようとする。
フェルディナンドとローゼマインは、大規模魔術の最中に困難な状況に直面している。
ローゼマインは魔力枯渇の危機に瀕しながらも、自身の魔力を維持しようとしており、フェルディナンドは彼女の意志を尊重しながら支援を試みている。
彼はローゼマインの体力が落ち込んでいるにも関わらず、魔法陣の完成を急ぐ。彼女が意識を失いかける中、フェルディナンドは彼女の手を握り、魔力を流し続ける。
緊迫した状況の中で、彼はローゼマインに回復薬を投与し、彼女の魔力を神々の影響から守ろうとする。
しかし、ローゼマインの状態は依然として危機的であり、フェルディナンドは彼女が完全に力を失わないように神々の力を返すための古代の方法を試みる。
彼は自身の祈りとローゼマインから受けた祝福を利用して、彼女に祝福を返そうとするが、成功するかどうかは未知数である。
記憶
ローゼマインは意識がもうろうとしている中で、口の中の甘さを感じている。
それはフェルディナンドによって魔力を染めるために飲まされた薬の影響だった。
フェルディナンドはローゼマインと意識を繋ぎ、彼女の記憶を取り戻す手助けをしている。
ローゼマインがフェルディナンドの魔力にほぼ染まっていることがわかり、彼は彼女に重要な人々の記憶を見せようとするが、ローゼマインにはそれが大事な存在であったかどうかすら思い出せない状態だ。
フェルディナンドはローゼマインが平民の家族問題にどれだけ関わっていたかを示す記憶を見せるが、ローゼマインはそれに対してあまり感情を覚えない。
フェルディナンド自身も家族に対する複雑な感情を持っており、その心情をローゼマインに伝えようとするが、彼女は自身の記憶と完全には繋がらない。
最終的に、ローゼマインは家族や過去の重要な人々との記憶が深い意味を持っていることを理解するものの、完全に思い出すことはできない。
ローゼマインはフェルディナンドとともに、彼の記憶を通じて過去を振り返っている。
彼女は自分が囲まれていた本に対する愛着を感じつつ、フェルディナンドには記憶の中で重要な場所や本に関連する場所へ行きたいと訴えるが、フェルディナンドはそれを拒否する。
代わりに彼はローゼマインが以前関わった髪飾りの制作について語り、彼女が髪飾りを作った初めのきっかけやその過程で彼女がどれほど家族や他人と深く関わっていたかを思い出させようとする。
ローゼマインは記憶を辿りながら、家族や友人との絆の深さを再認識するが、具体的な記憶ははっきりと思い出せないでいる。
フェルディナンドはローゼマインの記憶の断片をつなぎ合わせようと努力しているが、彼自身も複雑な感情を抱えており、彼女の家族との関係をどのように扱うべきか葛藤している。
彼はローゼマインが家族に対して強い愛情を持っていたことを理解していて、彼女がその愛情を適切に表現できていたか自問するシーンもある。
最終的には、フェルディナンドがローゼマインに対してもっと直接的な愛情の表現を求め、彼女が自分の家族にどれほど愛されていたかを再認識する過程が描かれている。
ローゼマインは、フェルディナンド、彼女の養父、および実の父母がいる神官長室で過去の記憶を振り返っている。
この記憶は、家族がトゥーリとともに神官長室に現れるところから始まる。
トゥーリはマインを見て喜び、彼女が無事であることを確認する。
マインの家族は、彼女が貴族の社会に入ることによって救われるという状況にあり、そのために家族は貴族に対する忠誠を示すことを強いられる。
マインは、攻撃を受けたのは自分のせいではなく、トゥーリが迎えに来なければ自分も危険にさらされていたと説明し、家族を守るために貴族になることを決意する。
その過程でフェルディナンドは、家族を引き離さなければならないという決断に悩み、罪悪感を感じている。
マインの家族は涙ながらにお互いに抱擁と約束を交わす。
フェルディナンドはこの家族の深い絆に心を痛めながら、マインが彼女の家族に対して感じる愛情を目の当たりにする。
最終的に、マインは家族に対する強い愛情を背景に、自分の魔力を使って家族を守る祈りを捧げる。
その過程で、彼女の記憶が回復し始め、過去の様々な出来事が繋がり始める。
フェルディナンドは彼女の安堵の表情を見て、自身も安堵の溜息を漏らす。
この記憶の再繋がりは、家族への愛情がマインにとってどれほど重要かを示している。
選んだ未来
ローゼマインは、記憶が一気に繋がり、頭が混乱している中でフェルディナンドに抱きしめられている。
フェルディナンドは通常抱きしめることが少ないため、この行動に戸惑うが、彼にも抱きしめられることで安心を求める。
しかし、フェルディナンドはローゼマインが抱きつこうとすると驚いて距離を置く。
ローゼマインは彼に対してもう少し抱きしめて安心させてほしいと頼むが、フェルディナンドはその要求に苦笑いしつつ応じる。
二人は物理的な接触を通じて互いに心の平静を得ようとするが、フェルディナンドは内心で不安と緊張を感じている。
彼は、ローゼマインが危険な状態にあったこと、彼女の魔力枯渇が生死に関わるほど深刻だったことを明かし、彼女が安定するまでの間、彼女の魔力を管理していたことを説明する。
ローゼマインは、フェルディナンドの努力と彼女に対する深い配慮に感謝しつつも、彼女が平民に戻りたいかどうかを問う。
フェルディナンドは、彼女が家族と一緒にいるべきだと考え、彼女が家族のもとに戻ることで幸せになると信じている。
最終的に、ローゼマインはフェルディナンドとの関係を深めることを選択し、彼の計画に従うことを決める。
フェルディナンドは彼女の決断を受け入れ、二人は新たな関係を築くことになる。彼女の決断は、彼女が家族と一緒にいたいという願望と、フェルディナンドに対する感謝と信頼のバランスを取ることから生まれる。
フェルディナンドはローゼマインに対して恋愛感情を求めているわけではなく、彼女との家族同然の関係を望んでいることを表明する。彼は外聞に左右されず、本物の家族としての情を得ることに価値を見出している。ローゼマインも、彼と同じく、心配することに自由があると理解し、フェルディナンドの提案に対して安堵感を覚える。
ローゼマインは、フェルディナンドとの関係が変わらなければそれで満足であると考えているが、彼女が魔石恐怖症に再び陥る可能性について懸念を示す。それに対してフェルディナンドは、ローゼマインが平民に戻ることによってもっと困難な状況に直面すると説明し、彼女が家族と再会することの難しさを認識している。
フェルディナンドは、ローゼマインの家族への帰還が難しい理由を問いただすが、ローゼマインは平民としての生活が現実的に困難であると回答する。彼女は、生活スキルが不足していること、平民の常識を知らないこと、そして魔力の問題を理由に挙げる。
最後に、フェルディナンドは、ローゼマインが彼と結婚することに後悔しないかと問いかける。この質問に対してローゼマインも同様の質問を返し、二人は相互に確認する。フェルディナンドはローゼマインに名捧げ石を返すことを拒否し、彼女の魔力が落ち着くまでの間、それを持つことが適切であると判断する。
フェルディナンドとローゼマインは礎の間から出たところで、側近たちに迎えられる。フェルディナンドは、ローゼマインの魔力が枯渇した後、意識が戻らなかったことを説明し、現在は心配ないことを伝える。側近たちも、古代魔術の再現について熱心に語る。
フェルディナンドはアンゲリカにローゼマインを預け、側仕えたちに対し、ローゼマインの回復と休養を最優先にするよう指示する。特に、回復薬を飲ませ、疲労の色が濃い彼自身も休む必要があることが強調される。
ローゼマインはフェルディナンドに神々に祈ることを提案するが、彼によって断られる。その後、アンゲリカに寝台へ運ばれ、リーゼレータが着替えを手伝う。側近たちは、神々の御力が消えたことを感じ取り、ローゼマインの平常な状態に安堵する。
忙しい日々
ローゼマインが朝起きると、気分は爽快であった。前日に婚約を了承し、予定が詰まっていることを知る。エントヴィッケルンの準備や婚約式、領主会議の準備など、読書の時間は取れないほど多忙である。フェルディナンドはローゼマインにエントヴィッケルンの急ぎの理由を説明し、孤児や被災者のために新しい住まいを急ぐ必要があると話す。
また、フェルディナンドは領主会議でローゼマインの正式な婚約者として必要な役割を果たすために婚約式が必要であり、ローゼマイン自身もこの準備に協力する必要があると指摘する。側近たちは、未成年のローゼマインが単独で領主会議に出席するのは適切でないとも述べる。
フェルディナンドはこの忙しい時期に前倒しで婚約式を行う必要性を説明し、その後、ローゼマインを領主執務室に連れて行く。そこで、フェルディナンドはエーレンフェストからエントヴィッケルンに必要な設計図を取り寄せ、その準備を進める。婚約式の準備に加え、エーレンフェストへの帰省と将来の任務の準備についても話し合う。
この繁忙期には、ローゼマインとフェルディナンドが互いに支え合いながら、多くの課題を乗り越えていく必要があることが強調される。
フェルディナンドはローゼマインと共に転移陣の間に到着し、寮を開くための準備を指示する。寮の鍵を開けるためにはアウブでなければできないため、ローゼマインが鍵を開ける作業を行う。この作業中、ローゼマインは魔石への恐怖を感じつつも、自らの力で魔力を流し込み、無事に転移陣を起動させる。その後、フェルディナンドはエーレンフェストとの連絡のために、騎士を転移陣の間に置く計画を立てる。
ローゼマインは転移陣を使って寮に移動し、そこで待機することになる。フェルディナンドは彼女にエグランティーヌに連絡を取るよう指示し、事前に準備した手紙を渡す。この手紙にはエントヴィッケルンの日程やその他の細かい情報が含まれている。
一連の出来事を通じて、フェルディナンドはローゼマインをサポートしながら、領主会議の準備と寮の運営に取り組む。この間、ローゼマインは新たな責任を果たしながら、自分の役割を確固たるものにしていく。
ローゼマインとフェルディナンドは城に戻り、領主執務室の奥にあるアウブ専用の調合室へ向かう。この調合室では、新しく認証のブローチや領地経営に必要な魔術具を作る際に使用される。調合室にはフェルディナンドとその側近たちのみが入室できるようになっており、ローゼマインはこの中で婚約式で交換する魔石を自ら調合することに決める。彼女は自分で魔石を染めることを選び、フェルディナンドはそのサポートを行う。ローゼマインは魔石恐怖症を抱えながらも、フェルディナンドの助けを借りて魔石の調合を進め、婚約式のための魔石に刻む言葉を考える。最終的には、「貴方のマントに刺繍をさせてください」という言葉を魔石に刻むことを決定する。この言葉は、ローゼマインがフェルディナンドに対して感じている愛情と尊敬を表しており、彼女の内面的な成長と自立を象徴している。
エントヴィッケルン
城でのエントヴィッケルンの準備が進められており、ローゼマインは主に領主の自室で執務を行っている。これは、不要な貴族の接近を防ぎ、警備上の理由からも安全な場所で作業するためである。また、ツェントの来訪日時に関する手紙が届いたことで、エグランティーヌからの了承の返事が必要となる。クラリッサはこの手紙の確認と署名をローゼマインに依頼し、その他の書類も確認している。ローゼマインはエーレンフェスト出身の側近たちとは異なり、ダンケルフェルガー出身のクラリッサが重要書類の確実な運搬を担当しており、戦闘能力もあるため、書類の安全が保たれている。
また、婚約式の衣装についての議論が行われ、ローゼマインは以前王族との会合で着用した衣装を使用することを決定する。これはエーレンフェストとアレキサンドリアの関係を象徴する衣装であり、その選択は婚約式にふさわしいと考えられている。
さらに、婚約式での求婚の言葉についても議論がされており、ローゼマインはフェルディナンドに対する自らの言葉を決定する必要がある。このためには歴史的な事例や聖典から適切な言葉を見つけ出すための読書が必要であるが、フェルディナンドからはそれ以外の活動にも集中するように求められている。これにより、ローゼマインは読書に没頭する時間が制限されているが、図書館の運営を自分の好みに合わせて行う許可が与えられているため、彼女はこの状況を受け入れている。
エントヴィッケルンの日は晴れており、ローゼマインと側近たちは朝から準備を進めていた。ローゼマインは女神の御力で作った金粉、街の設計図、礎の魔術に至る鍵を持っており、全てを確認した後で城から出発した。彼女は初めて創造の魔術を使うことになり、緊張していたが、鍵を使用して礎の間に入り、必要な儀式を行った。
礎の間で、彼女は設計図に基づいて城と貴族街、神殿と平民地区の一部を再構築することに集中し、フェルディナンドが設計した研究所と連結する巨大な円形図書館も建設した。この図書館は大英博物館閲覧室をモデルにしており、彼女はこの図書館での生活を楽しみにしている。
エントヴィッケルン完了後、ローゼマインは新しく設定された街を一人で眺め、その成果をフェルディナンドに報告するために紙飛行機を飛ばした。彼女は新しい図書館都市の実現を喜び、将来の展望に思いを馳せていた。
エグランティーヌの訪れ
エントヴィッケルンの終了後、ローゼマインは新しい図書館の本を整理する時間がなく、エグランティーヌの来訪と婚約式の準備に追われていた。エグランティーヌが来訪した日、ローゼマインとフェルディナンドは彼女を迎え、昼食後に婚約関係の話し合いを行う予定だった。この婚約の承認が終わると、貴族院の実技試験を含む一連の行事が続く。
エグランティーヌとアナスタージウスはエーレンフェストから到着し、エグランティーヌはその場で国境門を閉じた。ローゼマインとフェルディナンドは転移陣を使用して城へ移動し、ランチを終えた後は重要な会議へと移った。会議中、エグランティーヌはローゼマインとフェルディナンドに、アーレンスバッハの食文化がエーレンフェストによってどのように変化したかを説明した。
その後、エグランティーヌはローゼマインに対して、冬を早めたと誤解していたことを語り、これによって星結びの儀式を前倒しするかどうかを問うた。しかし、これは誤解であったため、ローゼマインは状況を説明し、フェルディナンドが事態を収束させた。
この一連の出来事から、ローゼマインとフェルディナンドの婚約が王命によるものであること、そしてレティーツィアの将来についても話し合われた。エグランティーヌとアナスタージウスは、ローゼマインの行動や決定に対して一定の理解を示しつつ、アーレンスバッハの過去と現在を反映させる形での対応を求めた。
ローゼマインは新たに完成したアレキサンドリアの街を騎獣に乗りながら上空から見た。この視察は、エントヴィッケルンが完了した城、図書館、研究所が中心の貴族街と平民の中心施設が集まる地域に限定されていた。まだ完全には完成していないため、残りのエリアの整備は徐々に進められる予定である。アナスタージウスは地図と照合しながら、ランツェナーヴェの館がかつてあった場所を確認し、エグランティーヌがその場所に転移陣が存在しないことを確認した。フェルディナンドが計画を調整し、実際の実行はローゼマインが行った。エグランティーヌは、フェルディナンドが図書館都市を設計したことに驚きながらも、二人が造り上げるアレキサンドリアを再訪したいと思っている。ローゼマインは、将来的には平民の地域も完成し、図書館が本で溢れ、さまざまな専門研究所が設立されることを夢見ている。エグランティーヌは国境門を開くためにグルトリスハイトを使用し、ローゼマインに再会を約束すると述べた。
婚約式
ローゼマインは婚約式のために春らしい衣装に身を包み、化粧と髪飾りが施された。式には多くの貴族が集まり、特にエーレンフェストからの来賓を前にして緊張を感じている。式はエーレンフェストの慣習を尊重する意味合いも込めて、アーレンスバッハの文化を反映した青いヴェールで執り行われる予定だ。ローゼマインはフェルディナンドとの婚約を自分とフェルディナンドの望みを叶えるためのものとして捉え、他の選択肢がないことを説明している。周囲は彼女の婚約に祝福を送るが、フェルディナンドとの関係を不思議に思う声もある。婚約は王命にも基づいており、ローゼマインはフェルディナンドを支え、彼の幸せを願うと約束している。また、式にはフェルディナンドの迎えにより転移陣を使ってエーレンフェストからの来賓が参加している。ローゼマインは自分がアウブになったことで生じる騒動に心を痛めつつも、フェルディナンドとの新生活に期待を寄せている。
エーレンフェストからの来客との挨拶を終えたローゼマインは側近達と共に大広間に移動する。そこには多くの貴族が集まっており、特に旧ベルケシュトックの貴族が減った後でもその数はエーレンフェストよりも多かった。ローゼマインは新たなアウブとして皆の注目を集めながら壇に立ち、婚約式を迎える。フェルディナンドがアーレンスバッハの様式で仕立てられた衣装を身に纏い、式に参加する。儀式は王命による婚約の宣言から始まり、ローゼマインは感謝の言葉を述べつつフェルディナンドに向けて神様表現の感謝を表現する。しかし、ローゼマインは自分の意向に沿っているとは思えない部分に少々戸惑いつつも、暗記したまま進めるしかない状況に置かれる。式はフェルディナンドとローゼマインが魔石の交換で互いの約束を確認し合い、互いに深い絆を確認する場となる。フェルディナンドは魔石に「アレキサンドリアの領地ごと君を守る」という言葉を刻み、ローゼマインに対する深い愛と責任を示す。この言葉にローゼマインは感動し、涙が溢れるほどであった。式の最後はハルトムートが貴族達に対して正式に婚約が成立したことを宣言し、祝福を求める。
アウブの宣言
婚約式の終了後、ローゼマインは領主会議に出席する者への認証ブローチの授与を行う。このブローチは貴族院への出入りに必要であり、フェルディナンドが製作したものである。エーレンフェスト籍の側近達には、一旦回収してから改めて授与される。ローゼマインは、彼らの助力がなければ現在の地位には至っていなかっただろうと感謝の言葉を述べる。領主会議の準備に携わった側近達に感謝を表し、今後も協力を求める。次に、フェルディナンドが選別した文官や騎士団、ゼルギウスとフェアゼーレが選んだ側仕えたちへの授与が行われる。フェルディナンドは、信頼できる人物を中心に選んでおり、アレキサンドリアの側近も彼らから選ばれる。一方で、罠にかけたい相手に対しては補欠的な扱いをするとされている。これからも忙しい日々が続くが、ローゼマインは彼らに対し激励の言葉を送る。
研究所と図書館
フェルディナンドは婚約式を終えた直後に、エーレンフェストからの客人が控えている部屋でローゼマインに対して厳しい言葉を投げかける。彼は多くの貴族が祈りに参加できなかったことについて指摘し、ローゼマインもその事実を認めつつも、多くの貴族が予想以上に祈りに参加していたことに驚いている。フェルディナンドはこの場にいなかったため、ローゼマインがハルトムートが関与していた可能性を疑うが、彼はその場にいなかったため、何も止められなかったと反論する。このやり取りから、フェルディナンドも何らかの形で事態に関与していたことが示唆される。さらに、フェルディナンドはローゼマインの側近もこの結果に納得するだろうと述べ、側近たちはその言葉に納得の表情を見せる。この会話から、フェルディナンドとローゼマインが共に政治的な動きを行っている様子が伺える。
エーレンフェストへ
ローゼマインは図書館や研究所の見学を終えた後、自室でフェルディナンドから「エーレンフェストでやることリスト」を渡される。リストには既に聞いていた内容が含まれており、ローゼマインはエーレンフェストへの帰還について心配を表明する。フェルディナンドは、ローゼマインが中央の戦いのために短期間滞在する予定だったことを思い出させるが、実際には滞在が延長されている。フェルディナンドは、ローゼマインが新しいアウブの側近として他の領地へ移動することで周囲の受け取り方が変わることを指摘する。
また、ローゼマインはエーレンフェストでの図書館を自分の支所として保持する提案をするが、フェルディナンドからは傲慢で強欲だと断られる。彼は図書館を譲る場合、本の所有者も変わるため、ローゼマインが図書館の本を保持することは適切ではないと説明する。
フェルディナンドはさらに、ローゼマインにエーレンフェストの図書館の片付けと鍵の返却を求める。ローゼマインは図書館が減ることに悲しみを感じるが、フェルディナンドは彼女に婚約魔石をネックレスに加工するように指示し、それが必要であることを強調する。フェルディナンドは魔石のデザインを考慮するが、ローゼマインは特にこだわりがないと述べる。最終的に、ローゼマインはフェルディナンドに魔石の加工を任せることに同意する。
ローゼマインはフェルディナンドからネックレスに加工された婚約魔石を受け取る。この魔石はデザインが細かく、ローゼマインが恐怖を感じることなく着用できるよう配慮されていた。着け心地に違和感がなく、フェルディナンドの魔力が滲み出ているため安心感があった。ローゼマインは側近とともに転移陣を使用し、エーレンフェストへ向かう。フェルディナンドは彼女に、就任式までアレキサンドリアに戻らないよう命じる。これは領主会議で不要な干渉を避けるためである。ローゼマインはフェルディナンドが進める改革を邪魔しないよう求められ、勉強するよう指示される。エーレンフェストへの移動後、側近たちは新しい役割分担を話し合い、ローゼマインは安堵する。
メルヒオールが興奮して儀式の記憶を語るが、ローゼマインの記憶とは大きく異なる。メルヒオールによると、儀式は神秘的で成功だったとのことである。一方、ローゼマインは儀式に関する記憶が大変なものであったと感じている。エーレンフェスト防衛戦の影響で祈念式が遅れたが、順調に進んでおり、収穫も何とかなりそうだと話す。また、中央からアレキサンドリアへの行き先が変更されたことについて、ローゼマインはフェルディナンドから指摘される。彼女はその事実をベンノ達にまだ伝えておらず、フェルディナンドに言われるまでその重要性を理解していなかった。ローゼマインは、必要な手続きを経てアレキサンドリアへの側仕えの移動を計画している。
基本色の調合
ローゼマインはリヒャルダに淹れてもらったお茶を飲みながら側仕えたちと今後の予定を相談する。オティーリエに母にメッセージを伝えるよう頼み、他の側仕えたちとも連携を取る。エーレンフェストに戻ってからの彼女の活動は、図書館や神殿の荷物の整理や新しい領地の紋章の清書など多岐にわたる。側近たちがアレキサンドリアでの会議を終えて戻ってきて、ハルトムートがアレキサンドリアに残ることに驚く。クラリッサが調合や清書を担当することになる。
新しい側仕えを召し上げ、エーレンフェストからの側仕えと土地の基礎知識を共有するなど、ローゼマインは様々な事務を処理している。しかし、ハルトムートは領主会議での文官としての役割を果たすために、アレキサンドリアに留まる決断をする。
この文書は、ローゼマインがエーレンフェストに戻り、領主会議と新領地の準備のための調整を行っている様子を描いている。彼女は側近たちとの協力を通じて、新しい環境への適応と責任を進めていることがわかる。
ローゼマインがアレキサンドリアで作成した染料の試作品が、フェルディナンドとハルトムートから合格を得た。その指示に従い、ローゼマインは側近に依頼してエーレンフェストのマントを紺色に染め、クラリッサによる清書された領地の紋章と共にツェントに提出した。彼女はまた、領主会議に出席する貴族たちに配るための染料も大量に生産した。この一連の作業が終わると、新しい教科書を読む時間が取れるようになると喜んでいる。
アウレーリアの立場
ローゼマインがツェントへの提出物を完了させた後、アレキサンドリアから送られた教科書が解禁される。これらはレティーツィアが使用済みのもので、アレキサンドリアの地理や産業、動植物、年間行事などが記されている基本的な内容である。これを基に、ローゼマインとフィリーネは共に勉強することを決める。フィリーネはアレキサンドリアへの移動を控え、ローゼマインから教科書を借りて準備を進める。二人の間には何か特別な事情があるようだが、具体的な詳細は語られていない。
アウレーリアがヴェールを外した後、彼女の素顔に対する反応が描かれる。コルネリウスやローゼマインは驚かないが、レオノーレはガブリエーレの顔を知っており、過去のライゼガング家の悲劇を引き起こした人物としての印象が強いため、強く反応する。エルヴィーラはアウレーリアが過去に関わりのあった貴族と接触しないよう保護していることから、彼女の苦労を理解し、アウレーリアの周囲の反応に苛立ちを感じている。
アウレーリアは自身と家族の罰について語る。彼女の父と妹が重罰を受けることは避けられないが、アウレーリア自身は関与していないため、連座での罰は受けない。この事実に安堵し、エルヴィーラも安堵の笑みを見せる。アウレーリアは今後もエーレンフェストで平穏に過ごせることを願っている。
この一連の出来事は、アウレーリアが彼女の過去と現在の立場をどのように捉え、それにどう対処しているかを示しており、彼女の精神的な成長と対人関係の複雑さが浮き彫りになっている。
母の激励
ジークレヒトの面会を終えた後、レオノーレとコルネリウスはエックハルトから譲られた館を片付け、荷物を新居に運ぶ準備をしている。一方、ローゼマインはエルヴィーラと共に部屋へ移動し、今後の計画について話し合う。レオノーレとコルネリウスはこの夏に結婚を予定しており、アレキサンドリアで他の貴族から持ち込まれる縁談を断るためにも、星結びの儀式を早めに行う予定である。さらに、エルヴィーラはエックハルトとアンゲリカの婚約の話題に触れ、簡潔な文章で婚約が決まったことしか報告されていないと不満を表す。エルヴィーラはアンゲリカの両親とも話をつけており、彼らはすでに婚約に了承している。
ローゼマインとエルヴィーラは隠し部屋でお茶を飲みながら、エックハルトとアンゲリカの結婚について話し合う。エルヴィーラはローゼマインに対し、婚約魔石に刻まれた言葉の内容について尋ねるが、ローゼマインはそれを教えることを拒否する。エルヴィーラはフェルディナンドを幸せにするための物語を書くと言い、ローゼマインはエルヴィーラが物語を書くことについて不安を感じている。最後に、エルヴィーラはローゼマインに対して、自分自身が幸せになることが他者を幸せにするための第一歩であると助言する。
神殿の側仕え達
朝食後、エルヴィーラが手配した新しい衣装が届けられる。これはローゼマインがアウブとして領主会議に出席するためのもので、ボニファティウスの第一夫人の衣装も含まれており、リメイクされた。ローゼマインは昼食後に神殿へ出発し、移動の準備と商人たちとの面談を行う予定である。また、側仕えたちはローゼマインが過去に過ごした時と変化を感じ、彼女の成長を喜びつつも寂しさを隠せないでいる。エーレンフェストでの待遇は以前とは変わり、城での客人扱いが予想される。ローゼマインは、この館で受け入れられたことが貴族社会での自身の地位を確立する助けとなったと感謝している。彼女は神殿へ向かい、そこで新たな婚約者としての地位を確認し、神殿の改革計画について話を進める。
ローゼマインが孤児院を訪れると、灰色巫女たちに迎えられる。食堂には教材や玩具箱が備え付けられ、孤児院の環境は大きく改善されていた。そこで成人を控えたルッツの話が出るが、彼の移動を延期すべきかどうかローゼマインが考えている最中、デリアと目が合う。久しぶりの再会にデリアから話をしたいと言われる。デリアは以前の従属契約の書面を大事に持っており、何かあった際はローゼマインに頼りたいと話す。しかし、ローゼマインはそれを拒否し、ディルクがエーレンフェストの貴族となった今、デリアが勝手に契約を結ぶことは許されないと説明する。代わりにデリアが孤児院内部から支援することを提案し、デリアはその役割を受け入れる。
商人達との話し合い
ローゼマインは孤児院での話し合いを終え、メルヒオールの部屋へ移動した。メルヒオールは新たに神殿長として就任しており、ローゼマインは荷物を片付けるために彼の部屋に向かった。メルヒオールの側近であるカジミアールは、ローゼマインの側仕えたちの今後の予定について話し合った。予定には変更があり、一部の側仕えは新領地の神殿へ移動し、他は異動することになっている。
カジミアールはフェルディナンドとハルトムートによる引き抜きがあったことを知っており、神殿長室と神官長室での側仕えの人員不足を懸念している。ローゼマインは、以前の経験から神殿長業務を知る者が他にもいることを指摘し、新たな側仕えの選抜基準をフェルディナンド様と同じにすることを提案した。
また、ローゼマインは神殿の工房が孤児たちの自立の場であることを強調し、メルヒオールとカジミアールに彼らの収入を守るよう強く求めた。彼女はまた、孤児院と工房を守るために彼らの協力を求めている。
最後に、プランタン商会の新しい店主としてヤレスとミルダが紹介され、彼らは今後の神殿の会合に出席することになった。彼らの登場により、会場は忙しくなり、ローゼマインは迎える準備に取り掛かった。
ローゼマインはディモやヨハンと共に新しい工房や家について話し合った。各自で窓や扉の調整が可能であるため、ディモはアレキサンドリアでの仕事を検討し、ヨハンは金属活字の作業に集中することになった。ベンノは彼らに印刷機作りを最初の仕事として任せる計画を立てた。また、ローゼマインはアウブになることにより、事業計画が前倒しになったことを受け入れた。
ローゼマインはグーテンベルク達に早く移動してもらいたいと考えており、ベンノとのやり取りを通じて、移動日の調整を行っている。インク職人のヨゼフや馬車の手配が可能なディモ、ザックの家庭の事情も考慮しながら、全員が準備できるよう努力している。
最終的には、馬車や船の手配、護衛の問題についても話し合われ、ローゼマインは必要な手続きを進めていく。ベンノはローゼマインの要望に応じて準備を進め、アレキサンドリアでの事業拡大を目指している。
就任式の衣装と図書館の閉鎖
ローゼマインが教科書を読み込んでいる際に、リヒャルダに声をかけられ、就任式で着用する衣装を選ぶために本館への移動が促される。以前の婚約式で着用した衣装に愛着があり、それを再利用したいと考えていたが、リヒャルダやオティーリエには否定される。公式の場で同じ衣装を複数回使用することは王族としてふさわしくないとの判断からである。
衣装が届けられた部屋では、フロレンツィアとシャルロッテの衣装も並べられ、シャルロッテがローゼマインにグーテンベルクたちの移動の際の配慮に感謝を表す。特にユーディットが他領に出ることを禁じられていたが、エーレンフェストの配慮により護衛騎士が動けるようになったことを伝える。また、グーテンベルクたちを送った後、ゲルラッハの戦いの痕跡を確認するために領地の南境界線付近の視察を依頼する。
ローゼマインは新しい衣装を試着し、その技術に感銘を受ける。衣装の試着を終えた後、リヒャルダによって淹れられたお茶を飲みながら、次の領主会議で使用する盛装の確認に移る。フロレンツィアとの間では、将来的にエーレンフェストとアウブの良好な関係を示すために衣装をお揃いの雰囲気で合わせることが提案され、フロレンツィアはこの提案に喜びを示す。さらに、フロレンツィアはローゼマインに対して今後も自分らしく生きるよう励まし、ローゼマインもフロレンツィアに対して感謝の意を表す。シャルロッテとの関係を維持することも強調され、フロレンツィアとの心温まる一時が描かれる。
ローゼマインは朝食後、その日の予定を確認し、図書館の荷物運び出しのための手配をリヒャルダに依頼する。アレキサンドリア側で荷物を受け取るために、フェルディナンドの側近の必要性が認識される。ダームエルとフィリーネはアレキサンドリアへ不正書類の確認に行っており、ローデリヒは非常に忙しい移動の後、アレキサンドリアでの生活を始めている。
ローゼマインは側仕えたちに荷物の運び出しを任せ、自らは隠し部屋の片付けを行う。荷物は比較的少なく、早めに片付けが完了する。その後、図書館で荷物の最後の運び出しを行い、館を閉鎖する準備を進める。
ラザファムはフェルディナンドの側近として長年館を管理してきたが、フェルディナンド自身があまり館に滞在していなかったことから、彼にとっても館には特に楽しい思い出がない。最終的に、ローゼマインが鍵を閉め、館を閉鎖する。アレキサンドリアへの移動を前に、ラザファムは本の並べ替えを楽しみにしているが、ローゼマインは自分で行いたいと願っている。
エーレンフェストとの別れ
アレキサンドリアへの移動が完了すると、エーレンフェストの貴族たちが領主会議の準備のために寮への出入りを開始した。このため、ジルヴェスターからの命令で、ローゼマインは貴族院の寮で生活することになる。急な予定変更にもかかわらず、側仕えたちは準備に忙しく、リーゼレータとグレーティアはエーレンフェスト寮での準備を進めている。ローゼマインはジルヴェスターの指示に従い、裏事情に詳しくない貴族たちが集まる中、側近たちと協力してエーレンフェストの防衛を図る。また、藤色マントの側仕えたちがお茶会室に出入りすることを禁じ、エーレンフェストの貴族たちに状況を説明する必要があると感じている。荷物の準備が整い、リヒャルダはジルヴェスターの側仕えとしての役割に戻る。ローゼマインはリヒャルダの支えがあって今の自分があり、その別れが心苦しい。しかし、リヒャルダはフェルディナンドやユストクスがいるアレキサンドリアへの移動を安心して見送る。別れの時、リヒャルダはローゼマインに祝福を与え、新たな道を歩むよう励ます。
ヴィルフリート、シャルロッテ、メルヒオール、そしてその側近たちが転移陣の間で待っていた。ローゼマインは彼らと最後に話をできることを嬉しく思いながら一緒に歩いた。就任式前や領主会議でも会う機会があるが、今回は参加できない子供たちも見送っていた。メルヒオールはローゼマインにエーレンフェストにもう少し滞在するようお願いしたが、ローゼマインはそれを断った。メルヒオールは神殿長としての自身の不足を感じており、ローゼマインに対して尊敬の念を示していた。
ヴィルフリートはローゼマインが弟妹に甘いと不満を表したが、シャルロッテはメルヒオールが無理をしすぎないよう励ました。ヴィルフリートは寂しさを感じていると述べたが、ローゼマインは貴族院でも会えるため、それほど寂しくはないと反論した。
彼女は、アレキサンドリアに移動するにあたり、現状の環境が大きく変わることを認識していた。ヴィルフリートはローゼマインの移動が彼にとって安堵の理由であると述べ、ローゼマインはその言葉に同意した。彼女は、離れた領地へ行くことで兄妹としての関係に変わりはないと確信していた。
最後に、ボニファティウスが急いで見送りに来たが、ちょっとした誤解が生じ、アンゲリカが介入して事態を収めた。ローゼマインは彼の行動を嬉しく思いつつも、彼の強い感情に戸惑った。最終的に、ローゼマインはアレキサンドリアへの移動を前に、エーレンフェストでの思い出を振り返り、その場にいるすべての人に感謝の言葉を述べた。
就任式の朝
貴族院の寮に到着後、ローゼマインはライゼガング系の貴族達に挨拶をし、多目的ホールを訪れたが、彼女の立ち入りは制限された。彼女は自分と側近が持つ藤色のマントについて説明し、不快感を抱いている貴族への配慮が不足していたことを謝罪し、エーレンフェストに攻め込んだ者を側近に召し上げることはないと強調した。また、ライゼガングが食糧支援を行ったことに感謝を述べ、その貢献に対する公式なお礼を約束した。
この一連の説明後、ローゼマインは領主会議の準備に集中し、寮での過ごし方や将来の計画を見直した。領主会議当日には、就任式の準備として早朝から始動し、ベルティルデとオティーリエの支援を受けながら髪を整え、衣装を着用した。彼女の衣装は水色と青色で、アレキサンドリアとエーレンフェストの貴族の間で話題となっており、恋物語のような解釈をされていたが、これは偶然の一致であると彼女は説明した。
貴族院の寮に到着後、ローゼマインはライゼガング系の貴族に挨拶し、多目的ホールでの会議に参加しようとするも、入室が制限された。しかし、彼女は不快感を与えたことに対して謝罪し、エーレンフェストへの攻撃者を側近にすることはないと説明した。ライゼガングからの食糧支援に感謝し、公式のお礼を行うことを約束する。彼女のこの行動によって場の空気は和やかになり、その後、彼女は領主会議の準備に専念した。会議当日、彼女はベルティルデとオティーリエの支援を受けて就任式の準備を行い、水色と青色の衣装を着用。この衣装が恋物語のように解釈されているが、これは偶然であり、意図されたものではないと彼女は説明する。
就任式
ローゼマインは新領地の領主として就任式に参加しており、フェルディナンドにエスコートされていた。同行する側近は数が制限されており、護衛騎士四名、文官一名、側仕え一名が定められている。式の進行中、マグダレーナとトラオクヴァールが登場し、領主会議においてマグダレーナが第三夫人から第一夫人に昇格した背景が語られる。ラルフリーダは責任を取り、第三夫人に降格し、マグダレーナが新領地での支持を集めやすいため、第一夫人となることが選ばれた。ジギスヴァルトとナーエラッヒェの会話から、彼らの母親が第三夫人に降ろされたことに不満を抱いている様子が描かれるが、フェルディナンドはこれを統治者としての適切な判断と評価している。
ローゼマインが新領地のアウブとして公式に認められる就任式に参加していた。エグランティーヌのもとで式が進行される中、ローゼマインは紺色のマントを賜り、不満の声があがる中で自身の立場を堂々と主張した。未成年であるにも関わらずアウブに就けた背景には、シュタープの取得を未成年に許可する決定が影響している。エグランティーヌは、ローゼマインがアウブとして適任であることを強調し、フェルディナンドのサポートがあることも確認された。ローゼマインは公の場で自己の資格を力強く宣言し、新領地アレキサンドリアのアウブとして認められた。
エピローグ
ローゼマインが新領地アレキサンドリアで新しい社会的計画を推進しており、地元の人々からの人気が高い。ルッツは家族から離れ、アレキサンドリアで新しい生活を始めており、商人や職人としての地位を確立しつつある。成人式の日、彼は親元を離れて仕事の都合で早くアレキサンドリアに移住し、後見人としてベンノやマルクに送られた。この新しい都市での彼の人生は、ローゼマインの支援により比較的スムーズに進行している。
ルッツはベンノやマルクと共に成人祝いの食事を楽しみ、その後ギュンターの家でゆっくりとお茶を飲む。本来であれば、ローゼマインも成人式で祝福を受けるはずだが、彼女は貴族として新たな名前で再洗礼を受け、ルッツよりも一歳下となったため、成人式は一年半後になる。ローゼマインはアレキサンドリアで印刷業を展開しており、ルッツはその計画に関わることになるだろう。その後、突然の扉の開く音に一同は驚き、ローゼマインが突如として現れる。彼女は契約魔術がアレキサンドリアでは効かないことを利用し、家族に再会する。驚きと混乱の中で、ローゼマインはフェルディナンドとの結婚が決まっていることを明かし、家族と再会を喜ぶ。
カミルにはマインからの愛情表現に心の準備が必要であるとルッツは警告する。マインは父ギュンターとの再会に涙を流し、フェルディナンドの支援を感謝する。フェルディナンドは無表情ながらも二人の抱擁を見守り、エーファは感情的なマインをたしなめる。マインはフェルディナンドを家族に紹介し、彼女がエーレンフェストから帰ってきたことで、一同は喜びの中で成人式の準備を始める。トゥーリはマインの髪を結い、皆でマインの成人を祝う準備を整える。フェルディナンドは公私の区別を保ちつつも、マインの家族としての一面を受け入れ、家族の結びつきを深める。
トゥーリがマインの髪を結い上げた際、ギュンターは彼女の美しさをほめちぎり、家族としての喜びを表現する。フェルディナンドの評価は冷静であったが、ギュンターはその反応に不満を示す。しかし、フェルディナンドは静かに彼らの家族愛を称賛し、マインに対する守護の誓いを新たに表明する。その後、マインの成人と婚約を祝う家族の集まりは和やかで、フェルディナンドも家族の一員として受け入れられる。マインが婚約者であるフェルディナンドに対する感謝と愛情を確認し、彼女の幸せを家族が認める一幕があった。最終的には、マインは家族に別れを告げて壁の向こうに消え、次の訪問を約束する。
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