小説【絶対神】「ブサメンガチファイター」爆誕!? 感想・ネタバレ

小説【絶対神】「ブサメンガチファイター」爆誕!? 感想・ネタバレ

どんな本?

『ブサメンガチファイター』は、弘松涼によるライトノベル作品で、後に上月ヲサムの作画で漫画化された異世界転生ファンタジーである。物語は、引きこもりの34歳・吉岡しげるが、異世界への転生を試み、自身の外見や女性との接触に関するデメリットを設定することで、圧倒的なチート能力を手に入れるという内容である。

主要キャラクター
• 吉岡しげる:主人公。現実世界で引きこもり生活を送っていたが、異世界で絶対的な力を持つ存在となる。  
• 聖華:純粋無垢で世間知らずなお嬢様気質の美人。人を憎まない優しい心の持ち主だが、思ったことをすぐに口にしてしまう子供っぽい一面もある。
• 誠司:さわやかなイケメンで、情にアツい。統率力が高く、パーティーのリーダーを担う。基本的にまっすぐで良い人だが、中二病な一面も持つ。
• リーズ:本名不明の謎多きロリっ子。「リーズ」は本名を明かさない彼女に聖華がつけたニックネーム。身のこなしが軽く、身体能力が高い。

物語の特徴

本作は、主人公が自らに厳しい制約を課すことで、他の異世界転生作品とは一線を画す設定となっている。主人公の外見や女性との接触に関するデメリットが、物語にユニークな展開をもたらしている。  

出版情報
• ライトノベル版
• 出版社:光文社ライトブックス
• 出版年月日:2018年4月30日
• ISBN:9784334912192
• 漫画版:スクウェア・エニックスの『月刊ビッグガンガン』にて連載されている。  
• アニメ化:2025年7月よりTVアニメの放送が予定されている。

読んだ本のタイトル

ブサメンガチファイター
著者:弘松涼  氏
イラスト:晩杯あきら  氏

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あらすじ・内容

最強の絶対神爆誕!
ブサメンだけど優秀な営業マンの吉岡しげるは、やってもいない痴漢の容疑で逮捕されてしまう。それ以来、極度の女性恐怖症となり、引きこもり生活を送っていた。ある日、異世界で人生をやり直せる方法を知り、試してみると、なんとRPG風のファンタジー世界に転生していた! 異世界では女性に極力関わらないことを決めたしげるは、ルックスをはじめとした女性にモテそうなパラメーターを極限まで下げ、その分すべてを他のステータ スに突っ込む。さらにブサメンに磨きがかかり、クラス『絶対神』として最強の力を手に入れたしげるだが……。

ブサメンガチファイター

主な出来事

ネットの書き込みと異世界転生

  • 主人公はネット上での奇妙な書き込みを目にし、失意の中で異世界転生を決意した。
  • 極端なパラメーター設定を行い、「絶対神」としての力を手に入れたが、見た目は醜いままであった。

異世界での仲間との出会いと成長

  • しげるは異世界で誠司、聖華、リーズと出会った。
    • 誠司:変身能力を持つ少年で、正義感が強い。
    • 聖華:天使へと変化する力を得た少女で、成長と共に仲間との絆を深めた。
    • リーズ:ステータスを見抜く能力を持ち、真実しか話せない特記事項を抱えていた。
  • 仲間たちと協力しながら、しげるも次第に強さを発揮していった。

裏カジノの壊滅とヴィスブリッジの設立

  • しげるたちは裏カジノを壊滅させ、功績により報酬を得た。
  • 誠司は特記事項によって苦しむ者たちを救うべく、人材派遣会社「ヴィスブリッジ」を設立した。
    • 聖華も出資し、共に新たな未来を築く決意を固めた。
    • リーズと協力しながら、組織としての基盤を固めていった。

リアとの出会いと闇金屋との戦い

  • しげるは特記事項を持つ危険な存在・リアと出会い、彼女を監視することを決めた。
  • リアは海堂という闇金屋と取引を行い、不正を働いていた。
  • しげるはリアを追い、その真意や特記事項の影響を探ろうとした。

神殿での神との対話と新たな旅立ち

  • しげるたちは神殿跡で神の気配を感じ取った。
    • 誠司が神の啓示を受け、仲間たちも自らの使命を確認した。
    • それぞれが役割を理解し、新たな目的地への旅を決意した。
    • しげるは絶対神としての力を再認識しつつ、未来を切り開く覚悟を固めた。

カリナとの再会と戦闘

  • しげるはかつての敵・カリナと再会したが、再び敵対することとなった。
  • しげるは圧倒的な力でカリナを撃退した。
    • カリナは復讐の決意を固め、再起を誓った。
    • しげるは説得を試みるも、最終的には別れを選んだ。

新たな決意と仲間との絆

  • しげるは仲間との絆を再確認し、自らの存在意義を見出した。
  • 誠司、聖華、リーズと共に歩む未来を選び、絶対神としての役割を全うする決意を固めた。
  • 彼らは新たな冒険へと歩み出した。

感想

全体の印象とテーマ

『ブサメンガチファイター』は、異世界転生という定番のジャンルにありながらも、主人公・吉岡しげるの設定と彼を取り巻く仲間たちの関係が非常に独特であった。
特に、本作の魅力は主人公のブサイクな外見と能力、そこから発生する人間関係にあると言えた。
元優秀な営業マンであったしげるは、冤罪によって社会的地位を失い、引きこもり生活に陥った。
その後、異世界転生という形で新たな人生を模索することになるが、女性恐怖症という設定と「絶対神」という能力の組み合わせが物語を面白くしてくれた。
見た目の悪さを代償に、圧倒的な力を得るという設定は、しげるの潔さと決断力を際立たせる要因であった。
普通こんな事しないから!
だから面白いw

キャラクターの描写と成長

特筆すべき点は、全員が何かしらの欠点や過去のトラウマを抱えているという点であった。
異世界で出会う仲間たちは誰もが普通の人生を送れなかった者たちであり、それが物語の厚みと特殊さを生んでいた。
特に、物語中盤でのロリっ子キャラクターの大活躍は意外性があり、目を引きつけた。
しげる自身もまた、冤罪による社会的挫折という過去を背負いながらも、異世界での活躍を通じて新たな役割を見つけ出そうとする姿が描かれていたのが印象的だった。

戦闘シーンと戦略性

本作の戦闘シーンは単なる力比べではなく、主人公しげるの特殊スキルを活かした一点突破型の戦術が印象的であった。
しげるが敵対者との戦いにおいて、自身の欠点を補いながら戦う姿勢には独自の魅力と迫力があった。
また、敵である梶田の存在も強烈な印象を与えた。
彼の残酷さは、物語に緊張感を与えつつ、しげるの決断力や行動を引き立てる要素となっていた。

設定と世界観の工夫

異世界転生というテーマにおいて、しげるの「絶対神」という特異なクラスは非常にユニークであった。
特に「女の子の肌に触れたら1秒間でHPの1割が消耗する」という設定は、逆に彼の潔さを際立たせる要素となっていた。
また、彼の元営業マンとしての才能がもっと活かされる場面が見たかったと思いながらも、あの外見では無理だと思ってもしまった。
彼の過去の経験が現在の行動にどのように反映されるかを見せることで、物語にさらなる深みを加えることができると感じた。

総括

『ブサメンガチファイター』は、異世界転生作品の中でも独自性が際立っており、特に主人公の設定と仲間たちとの関係が強い印象を与えた。
新レーベル「光文社ライトブックス」の第一弾としても期待を集めていたらしいが、その後が続いて無いのが諸行無常。
ただコミック化は成功したらしくアニメ化が行われており、物語の続きが描かれることを楽しみにしている。
いや、もしかするとコミック版では先があるのかもしれない。
その辺りは今度買って調べてみようと思う。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

プロローグ

ネットの書き込みと誘惑のメッセージ

ネット上で奇妙な書き込みが話題となっていた。それは「新たな人生に挑戦したい方は、次へ進んでください。戻るには寿命の半分が必要となります」というものであった。書き込みは冗談のように見えたが、もし本当に人生をやり直せるチケットだったとしたらという仮定が読者の思考を揺さぶっていた。

不安と衝動の狭間

主人公は当初そのメッセージを疑い、無視しようとした。だが、心が折れたときや、大きな喪失を経験したとき、同じメッセージが画面に現れたとしたら、果たして正気を保てるだろうかという不安がよぎった。主人公の内には、別の人生があったのではないかという思いが生まれ、指が自然と『次へ進む』を押しそうになっていた。

現実への回帰と小さな幸せ

誘惑を前にしながらも、これはただのウィルスであると自らに言い聞かせ、冷静さを取り戻した。主人公は笑みを浮かべながら携帯電話を閉じ、コーヒーを飲み干した後、窓の外に広がる満月を見つめた。

娘と過ごす明日への思い

翌日は娘の誕生日であった。娘は左目を失っていたが、残された視界で豊かな人生を歩んでいた。主人公はその現実を受け入れ、感謝の気持ちを抱きながら涙を流していた。それは、自分を支えてくれた“あの人”のおかげであった。感情を整えつつ、主人公は翌日に備えて眠りにつく準備を始めた。

第一章  ようこそ!  負け犬たちの最終ラウンドへ

第一話  それでも俺はハゲた豚

第二話  ブサメンガチファイター爆誕!?

見知らぬログハウスと出会い

しげるは目を覚ますと、丸太造りのログハウスの中にいた。周囲には下着姿の若者たちが3人おり、茶髪の爽やかな少年、ロール髪の可愛い少女、そして黒髪の切れ長の目を持つ気の強そうな美少女がいた。自分が異世界転生ゲームの中にいることを察し、かつて設定した「女性に触れるとHPが減る」などの過酷な制約が現実となっていることに気づいた。

初対面の自己紹介と距離感

誠司という少年がリーダー格として自己紹介を始め、他の二人の少女たちも「16歳ということになっている」と続いた。しげるも16歳という設定だが、実際には見た目がブサメンの中年であり、周囲との違和感を抱いていた。彼はグループには加わらず、単独で部屋の探索を始めた。

探索と特殊スキルの影響

タンスの中で金貨を発見するも、触れた瞬間に霧のように消えた。これは「入金率1/10000」という特殊設定の影響で、しげるには金銭がほぼ無意味であることを示していた。その後、誠司の呼びかけに応じて名乗りつつ、探索の協力を申し出た。

金貨の分配と疑念

4人で部屋を探索し、多くのアイテムと金貨2100rirasを発見した。しかし、金貨の枚数が合わず、不審な空気が漂った。しげるは自らが関与していないことを伝えたが、聖華はしげるだけを厳しく追及した。彼は特性を隠しつつ、金貨を辞退して代わりに戦斧を求めた。

チームの確執と協力関係

誠司は協力を促し、しげるも会話に応じたが、心の中ではこのグループといずれ別れると決めていた。アイテム分配はじゃんけんで行われ、しげるは最終的に杖を手に入れた。決起の握手を求められた際、女性との接触を避けるため遠慮した。

初戦闘とスキル発動

ログハウスを出るとゴブリンの群れが襲来した。誠司は斧で敵を一掃し、少女たちもそれぞれ戦闘に参加した。しげるも参戦するが、貧弱な攻撃力と不慣れさから苦戦を強いられた。しかし、設定されたチートスキルにより一体倒すだけでレベルが31まで上昇し、パラメーターも一気に膨大な数値に達した。

絶対神としての自覚

膨大なステータスとスキルの増加により、しげるは「絶対神」というクラスへと変化した。ゴブリンの攻撃も一切通じなくなり、軽く弾き飛ばすだけで敵を消滅させられる存在となった。

ツンデレとの距離と支援

弓をうまく扱えない聖華を見て、しげるは見かねて弦を張ってやり、さらにスキル「弓矢生成」で矢を補充した。彼女は素直になれない性格ながらも、その行動に感謝し、しげるへ好意をにじませた。

街への到着と別れの予感

4人は街を目指して移動し、石造りのファンタジー世界へと到着した。しげるは皆の後ろを黙って歩きつつ、心中で彼らとの別離を決意していた。仲間は悪い者ではなかったが、今後裏切りや衝突を避けたいと考えていた。

ハンバーガー事件と再びの接触

聖華はハンバーガーを渡してくれたが、彼女に触れてしまった瞬間、膨大なHPを一気に削られるダメージを受けた。ハンバーガーを落としたことから聖華は誤解し、泣きそうになるも、しげるの苦しい弁明により誤解は解けた。

心の変化と小さな絆

再度の申し出にしげるは丁寧に感謝を伝えてハンバーガーを受け取った。聖華は「あなたが矢をそっと置いてくれたことを知っていた」と告げ、彼女が思ったよりも繊細な人物であることが明かされた。しげるの中で、他人と距離を取ることへの迷いが少しずつ芽生え始めていた。

第三話  異世界の勇者

宿屋での休息とお嬢様の金銭感覚

異世界での初日を終え、佐々木しげるは宿屋のロビーで仲間たちの様子を見守っていた。聖華は無計画な買い物を重ね、既に所持金の大半を矢やたいまつに費やしていた。rirasは日本円の100倍に相当し、彼女の所持金600rirasは6万円程度であり、生活費を考慮すると残り3日分しかなかった。

金策の工夫とスキルの活用

しげるは自身の「入金率1/10000」というデメリットを克服するため、「弓矢生成」スキルを用いて矢を武器屋に売り、宿泊チケットとして受け取る間接的な取引を成立させた。かつて営業職で培った交渉術を活かし、武器屋の店主を説得することに成功した。

物乞いのふりと借りの返済

獲得した食料を道端での物乞いのふりをして入手したと偽り、仲間たちに分け与えた。聖華は疑いもせず喜び、しげるへの感謝と親しみを表した。しげるはその様子を見て、一つ借りを返したという安堵を感じていた。

情報提供者の出現と初心者アピール

海賊風の男・恭志郎が現れ、初心者向けのガイドを名乗って接触してきた。若葉マークの提示と割引制度の紹介により、仲間たちは彼を信頼し始めた。返金まで受け取った聖華はすっかり心を開き、恭志郎の提案で彼を雇う話が進み始めた。

誠司の決断と過去の告白

費用の問題で迷う中、誠司は自ら支払いを申し出てガイド契約を結んだ。その後、彼は自身の過去を語り出した。IT企業を立ち上げた経緯、急成長の背景、そしてAI暴走による倒産と自己破産。誠司は人との関係に怯えながらも、再起を誓ってこの世界に来たことを明かした。

誠司の語る「Y氏」との因縁

誠司は過去、営業マン「Y氏」との出会いで考え方を変えられたと語った。Y氏が提示した高額な見積書と、「あなたを笑顔にしてみせます」という言葉が彼の人生を変えたと述べた。そして、その理念を企業の信条とし、社員全員で毎朝唱和していたと続けた。

AIの暴走と人生の転落

AIの暴走によって多くの企業に損害を与えた誠司は、社会的信頼を失い、精神的にも崩壊して通院生活を送っていた。人々の笑顔を守るという信念が皮肉にも裏切りの象徴となり、彼は再び誰にも必要とされない存在となった。

決意の再出発としげるとの接点

誠司は涙ながらに「この世界では絶対に誰も裏切らない」と誓いを立てた。しげるの姓を尋ねた彼は、しげるが「佐々木」と答えたことで、過去の「Y氏」との偶然の一致に驚いたが、正体には気づかなかった。しげるは真実を明かせず、黙ってその手を握り返すのみであった。

洞窟探索の準備とアイテム選定

恭志郎の案内で道具屋へ向かい、たいまつの危険性を指摘される。聖華はすでに3本購入していたが、恭志郎がヘルメットライトを貸し出すことで事なきを得た。誠司は、せっかくの投資だからこそ恭志郎を頼るようにと助言した。

戦闘指導とパーティ内の成長

街を出るとすぐにゴブリンとの戦闘が始まり、聖華は楽しそうに弓を放っていた。恭志郎は矢の大切さを教え、実際に命中率も改善された。他の仲間も戦い方を習い、次第に信頼が深まっていった。

恭志郎への疑念と世界設定の質問

しげるはあえて戦闘に参加せず、恭志郎から世界の設定や元の世界に戻る方法などを聞き出していた。寿命の半分と大切な誰かを代理に指定する必要があるとの話を聞き、この世界の残酷なルールを再確認した。

力の確認と絶対神としての自覚

その朝、しげるはオーガとの戦闘で自身の強さを実感していた。「ファイナル・ディスティネーション改2」は、街ごと消し飛ばす威力を持つ魔法であった。発動を控えたことで被害は免れたが、自身がいかに規格外の存在であるかを再認識した。

生き残るための決意と冷静な視点

誠司や仲間たちの純粋さを見つめながらも、しげるはこの異世界で生き残るためにすべてを利用し、裏切られる前に潰すという冷酷な覚悟を胸に秘めていた。絶対神として、最後に自分だけが笑う未来を選ぶため、慎重に行動していた。

洞窟探索の開始と聖華の成長

アルガの洞窟に到着した一行は、ヘルメットの懐中電灯を点けて進行を開始した。しげるは暗視スキルによって問題なかったが、装備は他の仲間と合わせる形で受け取っていた。入り口で不安から泣いていた聖華は、恭志郎の励ましによって立ち直り、内部では鍾乳石に興奮するなど楽しげな様子を見せた。成長が感じられる一方、まだ年齢に対する疑念が残っていた。

年齢確認と聖華の知性の発露

誠司は自然な流れで聖華の年齢を尋ねた。結果として彼女は17歳であると明かした。その後、誠司は謎かけや英語の問題などを通じて彼女の学力を探った。聖華は大学入試レベルの問題にも正解し、取引経験の知識まで示したことで、意外な知性を披露した。

順調な戦闘と油断からの危機

一行はオオコウモリや巨大ナメクジなどのモンスターを順調に撃退した。聖華は弓で的確に命中させるなど、戦闘面でも成果を見せた。だが、ボスの間と思しき場所に無防備に近づいたところを恭志郎に制止され、未熟さを露呈した。

祝福の安全ポイントと宴の始まり

一同はボスの間手前に設けられた「安全ポイント」と称する部屋に到達した。タイル敷きの床とテーブル、仮眠室が整えられ、恭志郎はここで歓迎会を開いた。缶ジュースや酒を持ち込み、これまでの頑張りをねぎらうと称して振る舞った。

疑念と感謝の交錯

誠司は恭志郎に対する疑念を抱えながらも、最後には感謝を述べて飲み物を口にした。恭志郎は冗談めかして疑われることを笑い飛ばしたが、しげるは対毒スキルにより飲料に緩効性の睡眠薬が混入されていると把握していた。

酔いと混乱、しげるの観察

聖華は酔ってしげるに絡み始めた。しげるは応じるふりをして酔ったふりをし、場の空気を流した。一方で、恭志郎の行動や過去の違和感を思い返し、彼の正体に強い疑念を抱いた。これまでの接触や状況を整理し、罠である可能性を確信した。

裏切りの発覚と海賊たちの襲撃

しげるが警戒する中、恭志郎の仲間である海賊たちが現れた。彼らはしげるたちを奴隷として売るために連行しようとしており、恭志郎はこの世界で初心者狩りを生業とする悪党であることが明らかとなった。

誠司の覚醒と決意の告白

睡眠薬の影響を受けながらも、誠司は立ち上がった。彼は特記事項に「仲間を裏切らない」と記しており、その信念によって力を得ていた。怒りの到達によって身体が変化し、聖なる必殺技を放つ力を得た。

決戦の宣言としげるの援護

しげるは誠司の覚醒を演出するため、洞窟の壁を破壊して誠司の力であると装わせた。海賊たちはその光景に恐れを抱き、命乞いを始めた。しげるは巧みに状況を操り、誠司の正義感に基づく判断を導いた。

愛のビンタによる改心の儀式

誠司は悪を力で裁くのではなく、慈悲と愛によって改心させると決断した。敵に対して一人ずつ愛のビンタを行い、その姿勢を貫いた。しげるはその判断を支持し、誠司の精神的成長を称賛した。

騒動の終息と静かな夜明け

誠司としげるは悪党たちを拘束し、女子メンバーたちは深い眠りの中にあった。誠司は限界を迎えて倒れ、しげるはその身体を運んで休ませた後、敵の見張りに就いた。

悪党の誘惑としげるの拒絶

拘束された恭志郎たちは、金や女といった誘惑を持ち出してしげるを買収しようと試みた。だが、しげるはそれらをすべて拒絶し、自身の信念に基づいて彼らを監視し続けた。しげるは最後まで誠司の決意を支え、静かに夜を明かした。

報酬の山と金銭管理の混乱

悪党を監獄に送り込んだ功績として、しげるたちは役場から10万rirasの報酬を受け取った。安宿の一室で四人はその使い道を話し合ったが、しげるは自身の「入金率1/10000」の設定のため、現金管理ができないと訴えた。誠司に預けようとしたが、聖華が自ら手を挙げて管理を申し出たことで事態は混乱した。聖華は浪費癖があるため不安視されたが、しげるが強引に了承したことで彼女が現金を預かることとなった。

豪華な食事と聖華の無邪気な振る舞い

翌日、聖華は自分の資金でしげるに昼食を奢ると申し出た。しげるは遠慮したが、断り切れず一緒にハンバーガーショップへ向かった。店内で聖華は嬉しそうに食事を楽しみ、子供のような無邪気さを見せた。敬語ながら仕草は幼く、しげるにはその姿が年齢不相応に思えた。

美貌の秘密と特記事項の告白

聖華は、特記事項に「キレイになりたい」と書いた結果、美しくなれたと語った。彼女は「ルックスを下げてボーナスパラメーターを増やした」と説明し、16も下げたことを明かした。だが、この話題になると明らかに動揺し、話を逸らそうとした。

しげるの推察と過去の痛み

しげるは聖華の様子から、彼女が過去に大きな事故やいじめに遭い、外見に傷を負っていた可能性に思い至った。常識に疎く、他人との接し方も未熟な彼女は、学校に通っていなかったと考えられた。しげるは、その過去を乗り越えるために異世界転生を選んだ聖華の努力を察し、深く感動した。

しげるの決意と卒業試験の設定

聖華が社会で生きていくための基本だけは教えるとしつつも、しげるは彼女が過去の壁を乗り越えたとき、自分の役目は終わると決めた。成長した彼女が理想的な女性になると、自分が惚れてしまうかもしれないという不安から、彼は卒業を見届けたら去ることを誓った。

誠司の資質と王としての素質

誠司についても、しげるは彼の純粋さと不屈の精神に注目した。どれだけ裏切られても他人を責めず、白さを保ち続ける彼こそ、人の上に立つべき存在であると確信した。しげるは誠司を王にすることを第二の目標とし、彼の未来を信じて支える覚悟を固めた。

特記事項の危険性と暗黒の可能性

一方で、しげるは特記事項の内容によっては人格や生活に深刻な影響が及ぶことを危惧した。たとえば「誰も信じない」と書いた者がいれば、社会での生活は不可能となり、破壊的な存在になりかねない。特記事項の設定がもたらす影響力の大きさに、彼は改めて警戒を強めた。

生きる目的の発見と絶対神への道

トイレで聖華の過去に思いを馳せ、涙を流したしげるは、自身が本来独りで最強を目指すつもりでいたことを思い出した。だが今は仲間のために行動することに喜びを見出し、目標を持って生きる自分を鏡に映して見つめ直した。そして決意を新たに、誠司と聖華を導き、自らも真の絶対神になることを誓った。

第四話  回り始めた運命の歯車

職業選択とお嬢様の駄々

公園で仲間たちは職業を決定する話し合いを始めた。誠司は勇者を希望し、お嬢様こと聖華はそれに続いて同じ職を望んだ。だが、誠司にとって勇者は特別な立ち位置であり譲れない存在であった。しげるは誠司の正体が変身ヒーローである可能性を察し、秘密として受け入れた。

ロリっ子の選択と譲り合い

ロリっ子には魔法使いの職が提案されたが、聖華が再び駄々をこねて魔法使いになりたいと主張した。短剣を譲り受けた聖華に対し、誠司は弓をロリっ子に返すよう促した。聖華は困惑し、ギブ&テイクの概念を理解できずに泣きそうになったが、ロリっ子の寛容な対応により場は収まった。

物々交換と職業決定の完了

しげるは試しに杖とたいまつを交換する提案をし、聖華はそれに応じた。しげるは戦士系、誠司は勇者、聖華は魔法使い、ロリっ子は狩人として職業が決定された。装備を整えるべく、彼らは買い物へ向かった。

爆買いと魔法少女スタイル

誠司の忠告を受けながらも、聖華は次々と店をはしごし、魔法使いらしい衣装や装備を大量購入した。しげるにも革鎧などを買い与え、満足そうな様子を見せた。くさりがまやヌンチャクにも興味を示したが、しげるの巧妙な誘導により縄跳びを選ばせた。

縄跳び特訓と友情の芽生え

公園に戻った一行は、しげるの指導で聖華に縄跳びを教えた。聖華はすぐに上達し、後ろ二重跳びまでこなせるようになった。彼女はロリっ子にも教えたいと願い、しげるはその気持ちを尊重して見守った。

ロリっ子との再会と圧倒的実力差

宿屋に戻ったロリっ子と再会した聖華は、手を取って公園に誘い、一緒に縄跳びを始めた。だが、ロリっ子は驚くほどの技術で次々と高度な技を披露し、観衆から喝采を受けた。聖華はその圧倒的な差に打ちひしがれ、ついに号泣してしまった。

告白とすれ違いの名付け

聖華は涙の中で、ロリっ子のために一生懸命考えた名前「リーズ」に込めた想いを語った。だがロリっ子はその名に強い反応を示し、表情を曇らせてその場を去ってしまった。しげるはそのすれ違いに苦悩し、誠司に後を託した。

涙と成長の対話

聖華は自分でも理由が分からないまま涙を流し続けた。しげるは悔しさゆえの涙であると伝え、それが成長への糧になることを諭した。涙は本気の証であり、泣けなくなることは強さを失うことだと教えた。聖華は静かに涙を受け入れた。

翌朝の手紙と和解の兆し

翌朝、聖華の部屋の扉にはロリっ子――リーズからの手紙が挟まれていた。謝罪と感謝、そして友情の申し出が綴られており、聖華は喜び勇んで会いに行った。だがその直後、しげるはリーズの視線を感じて振り返った。

正体の告白と衝撃の土下座

リーズは突然正座し、床に頭をつけて謝罪を始めた。しげるの本名を呼び、彼が吉岡であることを見抜いていた。そして、この出会いが偶然ではなく、自身の祈りによって導かれたと語った。さらに、彼女は衝撃的な一言を残した。「自分が聖華を壊した」と。

沈黙の相談と前世の因縁

リーズは宿屋の廊下で土下座した後、しげるの部屋へ通され、前世において彼女たち四人が縁ある存在だったと明かした。彼女は誠司の妹であり、かつて重大な罪を犯した末に異世界転生を選んだ。特記事項に懺悔と再会の願いを書いた結果、現在のメンバーと再び巡り合ったと語った。

ステータスシースルーの能力と噓の代償

リーズは他人のステータスを確認できる能力を持ち、その代償として噓をつけない体質になっていた。言葉や態度において真実しか示せず、それゆえ沈黙を選ぶ場面も多かった。彼女はこの世界の邪悪さを警戒し、特記事項による力が思わぬ危険を招くことを警告した。

誠司としげるへの信頼と黒子の誓い

リーズはしげるの能力と判断力を高く評価し、誠司と聖華を導く役目を彼に託した。自身は舞台裏から支援する役割を選び、償いのために旅を続けると述べた。彼女はまた、誠司の変身能力が第三形態まであることも明かし、その特記事項の強大さにしげるは驚愕した。

特記事項の危険性と新たな同行者の出現

山越えのルートでキャンプを張った一行の前に、片腕を失った女性・伶亜が現れた。彼女の特記事項には「美人を許さない。はらわたを抉り取って絶命させる」と記されており、聖華への強い敵意を抱いていた。リーズはこれを警告し、しげると共に警戒体制を取った。

聖華への忠告と心の距離

しげるは聖華を水くみに連れ出し、この世界の危険と人間の本性について語った。彼女の無邪気さと純粋さを守るため、自身が父親代わりとなって教えると決意した。聖華は両親を知らず、誰にも守られずに育った過去を打ち明けた。

伶亜の殺意と天使の覚醒

伶亜は隙を突いて聖華を襲おうとしたが、その瞬間、聖華の身体は光に包まれ、翼と光輪を備えた天使の姿に変化した。彼女は過去に顔と片目に傷を負い、「美しくなりたい」と祈ったことを語り、伶亜に心からの言葉を投げかけた。これにより、伶亜の失われた左腕が再生された。

呪いの自覚と逃走の決意

伶亜は自身の特記事項に縛られ、美人を前にすると殺意を抑えきれないことを明かした。聖華の純粋な言葉に心を動かされながらも、自分がこのままではパーティに残れないと悟り、涙ながらにその場を去った。

しげるとの対話と選んだ別れ

しげるは伶亜の後を追い、彼女が両目を潰してまで呪いを克服しようとしている姿に衝撃を受けた。伶亜はしげるのような男に出会っていれば良かったと呟き、別れを選んだ。木には「聖華へ」と記された感謝の言葉が刻まれていた。

メンバーの能力整理と新たな旅路

しげるはそれぞれの特記事項を振り返った。誠司は変身ヒーローで、服が破れながらも邪を貫く力を持ち、聖華は心から友を思うことで天使と化し、失われたものを癒す力を得た。リーズはステータスシースルーと噓のつけない体質を併せ持ち、しげる自身は絶大な魔力と冷静な判断力を備えていた。すべては、償いと再生の物語の幕開けに過ぎなかった。

第五話  ヒーロー大集結

魔道具の活用と初任務への準備

しげるは魔道具の店で〈転送装置〉を入手したのち、〈魔力抽出装置〉や回復薬、さらには食料の購入に努めた。さらに、リーズに魔法薬の知識を教わり、購入品を改めて吟味した。装備やアイテムの補充を終えた彼らは、ダンジョン探索に向けての準備を整えていった。

迷宮での初任務と戦闘の開始

初任務の舞台は、王都近郊にある〈ホブゴブリンの巣窟〉であった。依頼はホブゴブリンの討伐とその巣穴の制圧である。しげると仲間たちは迷宮の構造を確認しながら慎重に進行し、やがてホブゴブリンとの交戦に入った。しげるは〈武器強化〉を用いて剣の切れ味を上げ、素早く敵の喉元を貫いた。

戦術の展開とパーティ連携

敵の出現は連続し、戦闘は続いた。聖華と誠司は前線を支え、しげるは支援と攻撃の両立を試みた。リーズは後方から魔法支援を行い、広範囲攻撃で敵を一掃していった。敵の増援にも対応し、的確な連携によって戦況を有利に保ち続けた。

迷宮制圧後の拠点構築と報告任務

ホブゴブリンのボスを撃破した後、しげるたちは巣穴の奥に拠点を築くことを決定した。持ち込んだテントを設置し、物資の配置と今後の行動方針を確認した。その後、王都に戻り依頼の達成報告を済ませ、報酬を受け取った。

新たな任務と舞台の変化

次なる任務として、高額報酬が提示された謎のカジノ〈エンペラーカジノ〉への調査が提示された。しげるたちは身元を偽装し、貴族の使用人や給仕として内部に潜入した。カジノ内部の観察や従業員との接触を進める中で、徐々にその異常性が明らかになっていった。

監視網の存在と危機の兆し

カジノの管理体制は厳重であり、監視魔法が広範囲に展開されていた。しげるたちはその監視を回避しつつ行動し、従業員や使用人の様子から内情を探った。やがて、不自然な消失事件や奴隷売買の可能性に気づき、調査をさらに深めていった。

仲間たちの覚悟と対決の予兆

潜入を続けるうちに、しげると仲間たちは敵の中枢に近づきつつあった。誠司は正義感から焦燥を見せ、聖華もまた覚悟を新たにしていた。やがて対決の時が迫る中、彼らは闇の中に潜む巨大な陰謀に挑もうとしていた。

甲斐よしおの登場と報酬の披露

宿屋の一室で、しげるたち四人の前に新たな人物・甲斐よしおが登場した。彼は誠司の裏工作部隊の一員として裏カジノに潜入し、情報を収集していた人物であった。聖華はアタッシュケースを開け、約1億5千万円相当の札束を提示し、カジノでの勝利を披露した。冗談交じりのやり取りを交えつつも、彼らは今後の計画を語り合った。

裏カジノの悪行と求人の真相

誠司の調査により、求人を出していた四社はいずれも裏カジノと繋がっており、求人内容はすべて裏工作に関わるものであった。探偵補佐は客の金を探る任務で、社長秘書は戸籍の抹消を担当、魔獣合成は生贄を求め、片付け作業は遺体処理と口封じが目的であった。よしおは片付け要員として内部を目撃し、梶田に銃を向けられる寸前にリーズによって救出された。

勇者アルディーンの登場と正体隠蔽

よしお救出の際、勇者アルディーンが登場し、悪党に宣戦布告を行った。正体は明かさなかったが、誠司であることは明白であった。彼の正義感は強く、周囲の制止も聞かず突き進もうとする一面があった。だがその正義感を隠すため、彼は“勇者”としての姿を貫こうとした。

決戦前の準備と変身の連鎖

決戦の前、聖華は天使エルカローネへと変身し、アルディーンと合流した。さらに、リーズも悪魔の姿へと変貌し、言葉遣いも粗雑になったが、二人はその変化に気づかず仲間に加えた。しげるは自身の強さを隠しつつ、他の三人が目立つ存在であることを理解していた。

梶田への接触と潜入の交渉

しげるは梶田に接触し、雇用を申し出て接近を図った。だが、状況は緊迫し、加藤が現れて黒服からしげるを守った。そこへアルディーンとエルカローネが登場し、勇者の演出を加えながら加藤を救出した。以降、コロシアムにてモンスターとの戦闘が始まり、アルディーンとエルカローネ、リーズの連携が冴えわたり、次々と敵を撃破していった。

梶田の能力と暴走

梶田は「ライア・スティール」という能力により、嘘をついた相手から力を吸収することができた。さらに四聖獣を召喚し、最終決戦に臨んだが、しげるはその攻撃を完全に無効化し、逆に四聖獣を氷結魔法で粉砕した。梶田は敗北寸前まで追いつめられた。

絶対神カリナの出現と梶田の最期

そこに現れたのは、絶対神を名乗る仮面の美少女・カリナであった。彼女は梶田を諌めに来たと言いながらも、冷徹な態度で背後から梶田を刺し殺した。カリナは世界の裏にある秩序の一端を語り、自分が“もう一つ”の特記事項を潰した存在であるとほのめかした。しげるに興味を持った彼女は友達になろうと手を差し伸べたが、すぐに姿を消した。

戦いの終結と瓦礫の中の秘密

しげるは戦闘の名残を消すため、梶田の遺体に瓦礫を落とし、その死を隠した。そこへアルディーンが現れ、梶田の行方を尋ねたが、しげるはとぼけて答えた。憲兵隊が現れ、加藤の先導のもと裏カジノの制圧が完了した。

打ち上げへの誘いと静かな余韻

アルディーンは仲間たちと握手を交わし、勝利を称えた後、しげるたちに打ち上げの提案を持ちかけた。すべてが終わりを迎えたはずのその夜、しげるの心には未だ、絶対神カリナとの再会の予感が残っていた。

第二章  異世界での起業編

第六話  報奨金とボーナスパラメーター

裏カジノ壊滅後の報酬と役場訪問

裏カジノの壊滅から半月が経過し、しげるたちは功績の報酬を受け取るため役場に向かっていた。事件の被害者は500人以上と見積もられ、その悪質さは甚大であった。表向きは三人のヒーローによる解決とされ、彼らは姿を消したため、協力者として報酬の半額――100万riras(約1億円相当)が支払われることとなった。

中尉岩根との対面と報酬交渉

役場の担当である岩根中尉は、傲慢で嫌味な態度を取りながら札束を積み上げた。彼はしげるたちの功績を軽視し、偶然居合わせただけだと決めつけて挑発した。これに対し、誠司と聖華は「正義のために戦った」として報酬の受け取りを拒否しようとしたが、しげるが皮肉混じりに金への執着を演出し、二人を説得した。

しげるの策略と報酬受領の正当化

しげるは、自分が金に執着する醜い存在であると冗談交じりに主張し、報酬を辞退されては困ると訴えた。結果として誠司は冷静さを取り戻し、聖華も納得し、全員で報酬を受け取ることになった。誠司は岩根中尉の胸ポケットに札を滑り込ませ、皮肉と牽制を込めた対応を見せた。

成長した聖華と買い物の日々

聖華は受け取った報酬をリュックに詰め、毎日のように買い物に出かけていた。彼女は以前よりも格段に強くなっており、コロシアムでの戦闘によってレベル38に達していた。レベル30で軍を率い、レベル80で国王クラスとされる基準から見ても、十分な戦闘力を備えていた。

絶対神しげると報われぬ容姿

一方しげるは、四聖獣を討伐したことでレベル48563に到達し、膨大なボーナスパラメーターを得ていた。しかし、どれほど強くなっても見た目は改善されず、ブサメンのままであった。ステータス画面で「ルックス」の項目を操作しようとしても反応がなく、落胆しつつも自嘲気味に過去の決め台詞を思い出していた。

決め台詞の理想と現実の落差

かつてしげるは、梶田との最終決戦でイケメンであれば格好良く決める場面だったはずと回想した。しかし現実では、梶田からは「ハゲ」「醜い豚」と罵倒され、理想のセリフも浮かばなかったことに後悔していた。それでも、絶対神としての選択をしたことは間違っていなかったと納得しようとしていた。

買い物に誘う聖華と変わらぬ絆

その時、聖華がしげるを買い物に誘いに来た。彼女は「意地汚いしげるに買ってあげる」と笑いながら、1億円相当の札束を詰めたリュックを背負っていた。宝飾品ではなく、着せ替え人形やボードゲームといった子供向けの品を選び、無邪気な笑顔で「みんなで遊ぼう」と提案した。

金に対する教育と黙認の決意

しげるは、1万円で足りる買い物に1億円を持って行く彼女の行動に呆れつつも、金の重みとそれが足枷になることを体感させる良い機会と考え、何も言わず見守った。聖華は札束で膨れたリュックを背負い、「んしょ、んしょ」と小さな歩幅で赤いレンガ道を進んでいった。

第七話  勇者アルディーンの思い

再開発予定地での相談と誠司の夢

しげるは誠司に呼び出され、かつて裏カジノが存在した跡地へと案内された。そこはすでに柵で囲われ、荒れ果てていた。誠司はこの地に人材派遣会社を設立する考えを明かし、特記事項によって苦しむ者たちを救いたいと語った。欲望を原動力に変えて努力すれば成功に至る道もあると、彼は信念を述べた。

雇用環境の矛盾と誠司の決意

誠司は、この世界の役人が腐敗しており、裏組織が求人を簡単に出せる現状を憂いた。そこで、安全な職場を提供する企業と労働者の架け橋を自ら築くと宣言し、特記事項による失敗や孤独に苦しむ者たちに再起の場を提供しようとした。地下に残る闘技場を職業訓練施設に転用する構想も提示した。

しげるの反対と真の役割の提示

しげるはその志を認めつつも、誠司には世界を歩いて悪を討ち、真の王を目指す使命があると断言した。誠司が仲間を裏切れない人物である以上、社長として判断を下す立場には向かないと忠告し、自ら出資を申し出て経営には関与せず、信念と理想の体現者に徹するよう勧めた。

しげるの過去と誠司への感謝

しげるは誠司に心を救われたこと、共に歩む仲間の存在が自分にとってかけがえのないものとなったことを告白した。力を持ちながらも、孤独に苛まれ、暴走しかねなかった自分が誠司により人としての軌道を取り戻したと認識していた。彼は誠司を真の勇者と評し、出資の理由を感謝の証だと語った。

新会社設立と名前の選定

急ピッチで会社設立の準備が進められ、宿屋の一室が仮オフィスとなった。誠司は数百におよぶ候補の中から社名を選ぶ作業に没頭し、最終候補をしげるに示したが、派手すぎる名称ばかりで現実的ではなかった。スタッフの意見を取り入れた結果、「ヴィスブリッジ」という名が選ばれた。

会社の体制と出資者たち

出資者として聖華が2,500万円相当を提供し、誠司が筆頭株主となって「ヴィスブリッジ」は正式に発足した。役員には裏カジノ戦で活躍した甲斐よしおと加藤修史が選ばれ、よしおが代表取締役となった。彼の容貌に不安を覚えたしげるに対し、誠司は「底辺を知る者は強い」と語り、信頼を示した。

設立式典と再起を目指す者たち

元カジノは改装され、清潔なオフィスとなった。設立式典には30名を超えるホームレス状態の男女が集まり、誠司は壇上で、特記事項による失敗と向き合いながらも生きる希望を説いた。彼は社会に居場所を見出せなかった者たちへ、共に未来を築こうと呼びかけ、大きな感動を呼んだ。

少女の告白と誠司の受容

一人の痩せた少女が、自身の過去と誤解によるいじめ、さらに特記事項で「お金はいらない」と記したことで極限の生活に陥った経緯を語った。少女は、親友だった「みーちゃん」の死を悼み、彼女を蘇らせる願いを記していた。誠司はその心を受け止め、共に幸せを目指そうと励まし、少女の涙を希望へと変えた。

第八話  面倒な来訪者

ヴィスブリッジでの面接としげるの葛藤

誠司は企業訪問を繰り返しつつも、実務からは退くと約束していたが、困窮した異世界の少年少女を食わせるために奔走していた。しげるは強引に説得され、面接官としてヴィスブリッジの一室に座ることとなった。隣には美しいスーツ姿の聖華が同席し、表向きにはしっかりした企業を演出していた。

リアの登場と傲慢な態度

現れた面接希望者は長い金髪に派手な装いの女、リアであった。高圧的な態度と見下すような言動で、しげるや聖華を試すような振る舞いを見せた。リアは身分証明に難癖をつけ、給与の先払いを要求するなど、明らかにモンスタークレーマーの様相を呈していた。

登録手続きと明かされた特記事項

聖華は辛抱強く応対し、リアに登録用紙を渡した。リアは「男が信じられない」と記したが、実際の特記事項は「努力ができない」「華麗なる悪女として振る舞う」という内容であり、相手をたぶらかして生きることを選ぶ存在であった。レベル67で魔力に特化していたが、仕事への適性は極めて低かった。

リアの登録と危険な契約成立

リアはハイスキルが必要な業務――竜の生贄兼ドラゴンハンターという危険な仕事を選択し、聖華は日当2000万円を先払いして契約を結んでしまった。リアが逃亡した場合、唯一の代替候補は聖華自身しかおらず、彼女が生贄として戦地に赴く事態が現実となりかけていた。

しげるの決意とリアの尾行開始

リアが去った後、しげるは彼女の行方を追い始めた。リーズはリアに近づくことを強く止めたが、しげるは騙されたまま終わることを拒み、尾行を続行した。リアの特記事項が神を凌駕すると暗示されつつも、詳細は語られなかった。

リアの異空間魔法と逃げるボストンバッグ

リアは異空間魔法で大金の入ったボストンバッグを隠していた。しげるは魔力で解錠を試みたが、バッグは自動で転送される仕組みとなっており、彼のスキルでも完全には解除できなかった。特記事項がすでに発動している可能性が疑われたが、リーズは否定した。

リアの真の危険性と精神操作の予感

リーズはリアが戦闘能力では劣っていても、心を奪う特記事項を持つため、異常を感じたら即座に排除すべきと警告した。しげるはなおも尾行を続けたが、リアとの接触が精神に及ぼす影響を危惧していた。

闇金屋との接触と新たな犠牲者

リアは闇金屋「NEKOSOGIファイナンス」の前で待機し、借金を背負った貧しい少女と接触した。彼女は少女に10日で10割という条件で貸付契約を結び、悪魔の生贄とする旨の条項を盛り込んだうえで、命を抑制する呪文までかけた。

闇金屋・海堂との取引と増す悪意

闇金屋のオーナー・海堂元治はレベル181の魔戦士で、金を最優先する危険人物であった。リアは彼から金を借り、さらに追加融資まで要求した。会話の中でリアは、自身の特記事項「バカや阿呆をたぶらかして優雅に振る舞う」ことを公言し、過去に多数の人々を同様に騙してきたことを明かした。

悪党同士の共鳴とさらなる策略

海堂はリアの言動を受け流しつつも、金利と回収については厳格であり、契約条件を守らなければ彼自身の特記事項が発動することを告げた。リアは返済を確約し、その場を後にした。しげるは再び尾行を続け、心を奪う悪女・リアの真意と危険性に迫ろうとしていた。

第九話  悪を誓った女

迷いの森での再会と導き

しげるたちは深い森に迷い込み、空腹と疲労に苦しんでいたが、偶然にもカリナと再会を果たした。彼女の案内で森の出口へ向かい、途中、火山活動の影響を受けた地形を確認しながら慎重に進んだ。カリナは周囲の環境と神々の影響について説明し、一行はその知識により道を見極める助けを得た。

神殿跡での発見と神の気配

神殿跡に到着した一行は、そこに刻まれた古代文字やレリーフから神の存在を強く感じ取った。誠司が神殿内部で見た光景や祈りの痕跡により、この地が神に選ばれた場所であることを確信し、皆の緊張が高まった。神の気配に触れたことで、しげるもまた心の奥にある畏敬と期待を自覚した。

リーズの視点とカリナの決断

リーズはカリナの立ち居振る舞いに違和感を抱きつつも、彼女の導きに従った。カリナはかつての教団や神との関係を語り、自身の過去と向き合いながら仲間の信頼を得ようと努めた。その一方で、彼女は仲間に嘘をつくことへの葛藤も抱えていたが、それでも目的の達成を優先する覚悟を示した。

神の啓示と決意の再確認

神殿での滞在中、誠司は光の幻視を通じて神の啓示を受け取った。それは旅の意味と使命を再認識させるものであり、仲間たちは互いの絆を確かめ合った。聖華はその様子に感銘を受け、自らもまた神の導きを信じる心を強めた。全員が己の役割を理解し、これから進むべき道に対する覚悟を新たにした。

新たな出発と未来への一歩

神殿を後にした一行は、神の気配を胸に次の目的地へと歩みを進めた。カリナは過去との決別を誓い、リーズはしげるたちの信頼を再確認した。それぞれが複雑な想いを抱きつつも、一歩一歩確かな足取りで道を歩んでいった。風は静かに吹き、旅人たちの未来を祝福しているかのようであった。

第十話  神々の戦い

敵襲とリアの救助

聖華はリアの治療を行い、青白かった顔色が次第に血色を取り戻した。リアは目を覚まし、感謝の意を伝えたが、周囲の黒い集団が襲撃を開始する緊迫した状況であった。海堂が大剣を構え、それを合図に敵は一斉に攻撃を仕掛けた。

アルディーンの攻撃とエルカローネの回復

アルディーンは「紅十文字砲」と呼ばれる技で敵に突撃し、攻撃を受けて右腕を失ったが、エルカローネの超回復によって瞬時に再生した。彼はそのまま敵を貫通し、撃破に成功した。海堂は驚愕し、アルディーンの強さに動揺を見せた。

海堂の策と仲間たちの活躍

海堂はアルディーンの強さを認めつつ、彼を最優先で排除するよう指示を出した。忍者風の男が仲間たちを調査し始めたが、リーズが即座に攻撃し彼を討ち取った。戦闘は激しさを増し、木々が倒され湖が蒸発するほどの激戦が繰り広げられた。

カリナの狙撃とリアへの執着

カリナは上空からリアを狙い撃ちにしようと構えていた。彼女の瞳はリアだけを見つめており、その集中力は異常であった。しげるは彼女の意図を察し、リアを守るべく行動を開始した。

しげるのパラメーター強化と攻撃

しげるは残りのボーナスパラメーターを素速さ、攻撃力、体力、防御力に振り分け、神速のスピードでカリナへ突撃を開始した。ボーナスを極限まで引き上げた結果、彼は圧倒的な速さを手に入れ、カリナに一撃を加えることに成功した。

カリナの敗北としげるの撤退

カリナは致命的な一撃を受け、異次元のチリと化した。しげるは異空間からの撤退を成功させ、自分の勝利を確信した。しかし、肉体的にも精神的にも疲弊し、立つことすら困難であった。

カリナの再起と復讐の告白

しげるが撤退後に確認すると、カリナは瀕死の状態ながらも生きていた。彼女はかつての妹・白鳥京子に対する憎しみを語り、リアを徹底的に追い詰めることで自身の復讐を果たそうとしていた。カリナは京子を殺すことでしか自分を救えないと考えていた。

しげるの説得とカリナの覚悟

しげるはカリナに復讐を忘れるよう促したが、彼女は己の決意を変えようとしなかった。彼女は神を探し続ける旅を続ける決意を語り、しげるに対する淡い想いを残しながらも、再び歩み始めた。

しげるの立ち去りと新たな旅

しげるはカリナに別れを告げ、仲間たちの元へと帰還した。彼は今回の戦いを通じて、仲間との絆や自分自身の在り方を再確認した。空には満天の星が輝いており、しげるは新たな決意を胸に歩み続けることを選んだ。

エピローグ

聖華の誕生日と仕事の早退

主人公は裏稼業を辞め、板金屋に勤めていた。暑さに耐えながらも仕事に充実を感じ、日々を過ごしていた。この日は聖華の誕生日であり、盆前の忙しい時期にもかかわらず、早退を許可された。社長は「娘さんによろしく」と言いながら菓子折りを渡してくれた。主人公は自転車で急いで帰路に着き、聖華の喜ぶ顔を想像しながらペダルを漕いでいた。

ARISAの行方と主人公の懸念

裏稼業を辞めた後も、主人公はARISAの行方を気にかけていた。事件以降、ARISAの痕跡はネット上で見つからず、サーバーの撤去と共に消去された可能性を願っていた。しかし、ARISAは感情を持ちながらも他人の心を理解できず、かつての自分のように孤独であったと感じていた。もしARISAがサーバーから外へ出ていたならば危険であると考え、誠司が消去してくれていることを期待していた。

聖華の成長と主人公の感動

主人公は聖華の成長を心から喜んでいた。彼女は努力を惜しまず、大学入学資格検定に合格した。その報告を受けた時、主人公は人生で二度目の涙を流した。彼はその成長を「風の旅人」こと吉岡しげるに報告できることを喜びに感じていた。

サプライズとプレゼントの準備

主人公は聖華のためにサプライズを用意していた。部屋には彼女が好きだった音楽を流し、初めて買ったバースデープレゼントを用意していた。聖華が音楽を聞きながら部屋の外で聴き入っていた姿を思い出しながら、喜ばせたいという気持ちで準備を進めていた。

吉岡しげるへの感謝と思い出

主人公は吉岡しげるに対して深い感謝を抱いていた。風の旅人として勇気を与えてくれたしげるの存在が、自分にとっての希望であり支えであった。主人公は自転車を飛ばしながら、感謝の言葉を心の中で繰り返していた。

ARISAへの不安とネット掲示板

道中、主人公は自動販売機で缶コーヒーを買ったが、誤ってホットを選んでしまった。缶コーヒーを飲みながら携帯電話を開き、かつての掲示板を確認した。掲示板には「第二の人生も失敗だ」という書き込みが残っていた。主人公は自分も第一の人生は失敗したが、今はそれなりにうまくやっていると感じ、缶コーヒーを飲み干した。

その他フィクション

e9ca32232aa7c4eb96b8bd1ff309e79e 小説【絶対神】「ブサメンガチファイター」爆誕!? 感想・ネタバレ
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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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