小説「千早ちゃんの評判に深刻なエラー 2」感想・ネタバレ

小説「千早ちゃんの評判に深刻なエラー 2」感想・ネタバレ

どんな本?

「千早ちゃんの評判に深刻なエラー」は、アクターノイドと呼ばれる人型機械を操縦して任務をこなす未来的な世界を舞台にしている。この世界では、企業や個人がアクターノイドを使い、さまざまな依頼を遂行しており、戦闘や運搬、警備といった仕事が日常的に行われている。技術が発達し、アクターたちはこの機械を駆使して、現実世界においても仮想的なバトルに身を投じるような仕事環境が広がっている。

物語の主人公、千早は、平凡な生活を送りたいと願いながら、アクターとしての仕事を始めた。しかし、彼女が引き受ける依頼はいつも波乱に満ちており、次々とトラブルに巻き込まれてしまう。千早は戦闘を避けたいのに、なぜか戦闘の渦中に入り込んでしまうことが多く、周囲からは「劇場型戦争屋ボマー」として誤解され、思いもよらぬ評判が立ってしまう。

本作は、彼女がその誤解された評判と戦いながら、平穏を取り戻そうとする姿を描く。テンポの良いストーリー展開の中で、シリアスな場面とコミカルな場面が交錯したものがである。

どのキャラクターも真剣に考え、次なる一手を指すのだが、、
「ふひっ」とテンパった千早が全て御破算にしてしまう。
誰も幸せにならない素敵なストーリー!

読んだ本のタイトル

千早ちゃんの評判に深刻なエラー 
著者:氷純 氏
イラスト:どぅーゆー  氏

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あらすじ・内容

最凶のボマーが往く、痛快×異世界コメディ第二弾!

今日も働く根暗なぼっち少女・千早ちゃん。不運にも行く先々で現地生物や外部勢力との闘いに巻き込まれる彼女は、その悉くを振り払っているだけなのだが……。そのせいで戦闘依頼ばかりが優先表示されるようになってしまった! 
「がんばってるだけなのに……なんでぇ!?」
平和な依頼を求め苦心する千早ちゃんの傍らで、突如『新界』に現れた劇場型戦争屋のボマー(千早ちゃん)について調査を始める勢力も出てきて……。
史上最凶ボマーの受難はまだまだ続く――!?

千早ちゃんの評判に深刻なエラー2

感想

これは確かに深刻なエラーだ。
誰も幸せになってないw

『千早ちゃんの評判に深刻なエラー2』は、就職に失敗し孤独に生活する少女・千早が巻き起こす痛快コメディの第二弾。

千早はただ平穏に暮らしたいだけであるが、行く先々で不運にも戦闘に巻き込まれてしまう。

彼女自身は戦いを避けているつもりが、その結果、手榴弾を投げて爆発させる羽目になり、「ボマー」として恐れられるようになった。
さらに、政府や他の勢力からも注目され、千早の受難はますます深まっていく。

「なんでぇ!」と涙目で嘆く千早の姿が、利権紛争に巻き込まれる中でコミカルに描かれている。

この作品は、平和を求める千早の意思とは裏腹に、彼女の行動が周囲に大混乱を引き起こしてしまうという展開が非常に面白い。
千早はただ目の前の事に頑張っているだけなのに、戦闘に巻き込まれた結果、手榴弾を使って事態を混乱させる姿は、某歴史的なドラマの名探偵がどこへ行っても事件に遭遇するのと同等に感じた。

しかし、彼女は周辺から探偵ではなく「ボマー」として扱われ、次々に紛争を悪化させる人物として誤解されていく。

特に今回は、千早が政府の工作員とまで誤解され、さらに危険な存在として狙われるという展開が加わり、緊張感が増していった。

それでも、千早は一貫して「なんでぇ」と嘆きながら、戦いたくない思いを抱き続ける。
そのギャップが面白い。

この作品の魅力は、千早が直面するトラブルがどんどんエスカレートし、本人の意思とは全く関係なく巻き込まれていくのが魅力的である。

ますます彼女の不幸と利権を求める欲の皮の突っ張った連中の不幸がどこまで続くのか気になり、次の巻が待ち遠しく感じている。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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千早ちゃんの評判に深刻なエラー
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千早ちゃんの評判に深刻なエラー 2

その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

兎吹千早は夏の暑さの中、冷房の効いた地下室で柔軟体操をしていた。彼女はアクタノイドのオペレーターとして「新界」で作業を行い、洞窟に巣食う凶暴な獣、ドロダコと遭遇していた。千早は慎重にアクタノイドを操作し、獣の動きを見計らって逃げ出そうとしていたが、ドロダコの正確な投石で頭部を破壊されてしまう。彼女は必死に状況に対応し、手榴弾を投げてドロダコを撃破した。

千早は戦闘を避けたいと思っていたが、結果的にまた戦闘に巻き込まれてしまったことに嘆き、引きこもりながらもアクターとしての評価が上がることに不安を抱えていた。コミュ障である千早は、他のアクターとのやり取りも苦手で、すれ違いざまに慰められた時もまともに返答できず、自己嫌悪に陥ってしまう。

一方で、ドロダコとの戦闘で破壊されたアクタノイドの部品を回収し、黒字になるという思わぬ展開に喜ぶものの、千早は自分が報われていないと感じていた。そして、報酬を手にした彼女は「ヤケ酒」を試みることを決意し、社会人としての新たな一歩を踏み出す覚悟をした。

新界化学産業の代表である能化ココは、シトロサイエンスグループから送られてきたファイルを確認していた。このファイルには新界で注目される動植物や技術、さらには注意すべきアクターの情報が含まれていた。その中で、能化ココは「ボマー」というアクターの名前に目を止めた。ボマーは危険な劇場型戦争屋で、爆発物を多用して戦場で目立とうとする存在であった。

能化ココは、過去にボマーが新界化学産業の仮設ガレージを襲撃し、結果的に大きな金銭的損失を引き起こした経験があった。ボマーの活動やその危険性を理解しているのは自分だけだと感じ、シトロサイエンスグループがボマーの危険性を軽視していることに不安を抱いていた。また、ネット上でボマーの噂を広める書き込みにも不信感を抱き、誰かが意図的にボマーを目立たせているのではないかと考えた。

さらに、新界で活動する強力なクラン「がっつり狩猟部」が、オーダー系アクタノイドの襲撃で被害を受けたという報告を受け、事態の深刻さを感じていた。新界化学産業のクランはまだ訓練中であり、対応できる状況ではなかった。能化ココは、新界の混沌とした情勢に対処するため、武力だけでなく情報力も強化する必要があると強く感じていた。

千早はヤケ酒を買いに行く途中で、酔っぱらいの女性に絡まれてしまった。女性は明るく元気な雰囲気で千早を気に入り、千早は言葉も発せずにただ震えているだけだったが、「聞き上手だ」と褒められてしまう。千早は酔っぱらいの女性に絡まれ続け、逃げられないままガールズバーに連れ込まれそうになるも、途中で銃声と爆発音が響き、オールラウンダーの頭部が飛ぶのを目撃した。

女性はその出来事を笑い飛ばし、千早を引き続き引っ張って行った。その後、千早はなんとか部屋に戻り、酔っぱらい女に一晩中連れ回された疲労からか、もう気力もなくぐったりしていた。最悪の夜だったと振り返りつつも、結局その女性が誰であったのかも分からないままだった。

その後、酔っぱらい女から渡された一万円札を確認し、メモ帳の切れ端がポケットに入っていることに気づいた千早は、その紙に「獅蜜寧」という名前とパスワードのようなものが書かれているのを発見した。興味を持った千早は、アクターズクエストやインターネットで検索をかけるも、特に有力な情報は見つけられなかった。

千早はまた出かけた際に、あの元気な女性を見つけることができれば返せるかもしれないと考え、そのメモを財布に忍ばせた。

第一話

千早は新界資源庁が開発したアプリ「アクターズクエスト」で依頼を探していたが、戦闘絡みの依頼が多く、避けたいと思っていた。そんな中、戦闘が回避できそうなアクタノイドの回収依頼を見つけ、応募した。依頼当日、チームメンバーと共に現地に向かい、ドロダコという危険な野生動物に警戒しつつ、アクタノイドの回収作業を開始した。

フサリア、重甲兜、リーフスプリンターなどの他のアクタノイドと連携しながら、回収作業は順調に進んでいたが、千早は戦闘を避けたい一心で緊張していた。途中で、敵対的なアクタノイドが接近してくることが判明し、千早は突撃銃を構え警戒したが、接近してきたのは「がっつり狩猟部」という新界で活動するクランのメンバーだった。

しかし、その後、イェンバーという新界の獰猛な生物が南から接近しているとの報告が入り、チーム全体が緊張状態に陥った。がっつり狩猟部の協力もありつつ、回収作業は進行していたが、千早はオーダー系アクタノイドの襲撃を予期し、手榴弾を使用して自衛することを決意した。千早の判断により、敵の攻撃を一時的に回避したものの、イェンバーの群れに巻き込まれる危機が迫った。

最終的に、千早は敵のオーダー系アクタノイドに対抗しつつ、イェンバーの助けを借りて状況を打開しようとしたが、オールラウンダーの脚がイェンバーに踏み潰されて動かなくなった。千早はチームに回収を依頼し、作戦を終了することとなった。

千早は、オールラウンダーが回収されなかったため、二次被害の危険性を理由に弁償費用の請求を受けて落胆していた。即席チームが四割の負担を肩代わりしてくれたものの、今回の依頼で赤字となり、千早は貯金が減ることに悔しさを感じた。暗い気持ちを晴らそうとゲームをしようとするも、酔っぱらいに絡まれて買い物ができなかったことを思い出し、気分はさらに沈んだ。

気分転換のため、千早は動画を見始め、新界産の果物「クレップハーブ」を使ったスイーツに興味を惹かれた。近所の洋菓子店で期間限定のケーキを販売していることを知り、千早は不安を抱きながらもケーキを買いに行った。予想に反してスムーズにケーキを購入でき、自宅に帰って食べた千早は、その美味しさに感動し、気分が明るくなった。

しかし、このケーキが期間限定であることを知った千早は、その販売終了を覆そうと決意した。ケーキの美味しさを普及させるために、クレップハーブに関する依頼を探し出し、遺伝子サンプルを増やすための依頼を受けることにした。千早はこれからも美味しいものを広めるため、意欲を燃やして行動することを誓った。

角原グループの代表である角原為之は、新界の最新地図を眺めながら部下の伴場と仕事を進めていた。伴場は発砲事件に関する後処理が終わったことを報告した。この事件は、新界開発区の歓楽街で発生した小競り合いが発展し、海援重工の依頼を受けたアクターと正体不明の盗賊アクター、野武士との戦闘データを巡るものであった。

角原は戦闘データを解析し、黒い鎧姿のアクタノイドが隠密能力で民間アクターチームを不意打ちし、弓矢だけで全滅させる様子を確認した。特に問題視されたのは、このアクタノイドの異常な反応速度であり、物理的に不可能なほど素早かった。海援重工は、このアクタノイドがAIによる自動戦闘を行っている可能性が高いと考えていた。

このAIが実用化されれば、新界のアクター不足が解消されるばかりか、アクターを超える戦力となる可能性があると角原は理解していた。そのため、海援重工がこのデータを強く欲しがっていることも納得していた。

最後に角原は、このAIが誰によって作られたかを伴場に問うた。伴場は、これがオーダーアクターによるものである可能性が高いと推測していた。

オーダーアクターは未登録の民間クランで、全員がオーダー系アクタノイドを操る技術者集団であった。彼らの機体は趣味的でピーキーなものが多かったが、技術力と戦力は日本最高峰に位置していた。メンバーは実名を公開せず、アカウントも非公開にしているため、クランの実情を把握しているのは代表のメカメカ教導隊長、大辻鷹美弥だけであった。

大辻鷹美弥は酔っ払った後、メモ紙をどこかに紛失したことを思い出したが、さほど気にせず笑っていた。副代表だった獅蜜寧(ガオライオーン)が残した機体が暴れているという連絡を受け、彼女はそれを壊すことを決意した。獅蜜寧は寿引退し、新婚旅行中であり、彼女が去る前に「その子を止めてあげてね」と意味深な言葉を残していたが、今になってその意味が理解できた。

大辻鷹は楽しそうに、この騒動を「お祭り」と見なし、オーダーアクターの代表として、その置き土産を破壊する準備を進めていた。彼女は銃を撃つことに喜びを感じるタイプであり、そのため世間からは「トリガーハッピー」と呼ばれていた。

新界化学産業の代表、能化ココは、部下から機体回収に関する報告を受けた。ロストした機体の回収を依頼したアクターが「ボマー」であり、野武士との遭遇戦が起こったことが判明した。回収したジャッカロープの記録から、野武士の位置が索敵技術で全く捉えられなかったが、ボマーは独自の判断で対応し、最適解を導き出していた。

能化ココは、この異様な行動に危機感を抱き、現役アクターである岩筋に意見を求めた。岩筋は、ボマーの行動が戦争を引き起こす意図を持っていると考察し、野武士との接触は偶然ではなく計画的である可能性を示唆した。能化ココも同意し、新界化学産業がボマーを通じて戦争に巻き込まれようとしていることを理解した。

さらに、ボマーが企業秘密のクレップハーブ採集依頼を匿名にもかかわらず受けていたことが判明し、能化ココは完全に戦争へ巻き込まれることを確信した。彼女は急遽、ボマーを仮想敵とした訓練を進めるよう指示し、いざという時に備えて戦う決意を固めた。

第二話

千早は海援重工から借りたオールラウンダーに保冷機能付きのバックパックを装備し、クレップハーブの新遺伝子群を探すため北へと進んでいた。新界資源庁のアプリを使用しつつ、クレップハーブの捜索をサポートしていたが、見つけるのは容易ではなく、依頼報酬をクレップハーブで受け取れたら嬉しいと思いながら作業を進めていた。

しかし、クレップハーブの群生地に到着すると、その場所はすでに戦闘の影響で荒れ果て、クレップハーブは全て枯れていた。戦闘による破壊の痕跡が周囲に残されており、他の群生地も同様に壊滅していたことに千早は失望したが、気を取り直し、静原山麓へ向かうことを決意した。

静原山麓は電波が届きにくい未開拓地域であり、クレップハーブがまだ手つかずで残っている可能性があった。川沿いを進みながら慎重に周囲を警戒していた千早は、静かな山間の沢に到着し、その美しい景色に感動した。クレップハーブを見つけられるかもしれないという期待を胸に、千早はさらに探索を続けた。

がっつり狩猟部の平泉率いる部隊は、戦場のど真ん中に無防備に登るオールラウンダーを望遠レンズで見つけ、混乱していた。彼らはそのオールラウンダーが囮であると考え、警戒していた。戦場は、海援隊との対決が続く場所であり、両者は野武士を目的として睨み合っていた。平泉は、この無防備なオールラウンダーが海援隊の策略であり、撃てばこちらの位置が暴露され、攻撃されるリスクがあると判断していた。そのため、部隊はその行動に慎重になりつつ、野武士が囮に釣り出されることを期待していた。

海援重工の部隊を率いるアクター然郷は、部下から報告されたオールラウンダーを確認し、困惑していた。オールラウンダーがあまりにも無防備で、囮だと思われたが、背負っているバックパックにより、まるでソロアクターが採集しているかのように見えた。然郷は囮の可能性を考えつつ、撃って位置が特定されるリスクを懸念し、対応に慎重だった。

その後、部下との会話の中で、「トリガーハッピー」と呼ばれる危険なアクタノイドが関与している可能性に気づき、索敵範囲を拡大するよう命じた。トリガーハッピーは重機関銃を乱射する狂気的なアクタノイドであり、然郷は彼の鹵獲が『野武士』を超える功績となりうると考えた。

だが、トリガーハッピーの存在を事前に知っていたかのように囮が用意されたことに疑念を抱きつつも、確信を持てずにいた。そしてその時、銃声が響き渡り、オールラウンダーが銃弾の雨を浴びる。然郷は、トリガーハッピーが本当に現れたことを確信したのである。

銃声が響き渡る中、千早はオールラウンダーを加速させ、その場から逃げ出した。重機関銃のような攻撃が続き、装甲が損傷し、彼女は山に逃げ込むが、十字砲火に晒されていた。バックパックが火を噴いたため捨てざるを得ず、包囲された状態で千早は泣きながら沢を登って逃げた。

その途中、戦場のど真ん中にいることに気づいた千早は、戦闘に巻き込まれぬように慎重に行動し、何とか逃げ切ることに成功した。しかし、オールラウンダーは肩装甲を喪失し、修理が必要な状態であった。

逃げた先で、千早はクレップハーブの群生地を発見した。それも、通常のものとは異なり、赤みを帯びた別種の可能性があるハーブだった。だが、バックパックを失っていたため、その場で持ち帰る手段がなく、千早は涙ぐみながらも、壊れた機体を使ってハーブを守り持ち帰ることを決意した。

戦場の混乱は極限状態に達していた。然郷は指揮を執りながら、すべてが一つのオールラウンダーの出現によって狂ったと感じていた。海援隊、がっつり狩猟部、そしてオーダーアクターの三つ巴の戦いが予想外の展開となり、然郷は特にがっつり狩猟部の混乱に疑念を抱いていた。

然郷は、オールラウンダーがトリガーハッピーを誘き出すための囮だと確信していた。しかし、がっつり狩猟部の動きが乱れ、統制の取れない攻撃が続いていた。一方で、海援隊もオーダーアクターの圧倒的な火力に混乱しており、数機のステルス機が存在する可能性により戦力を自由に動かせない状況だった。

どの勢力もオールラウンダーを邪魔者と感じていた。然郷はこの状況から、オールラウンダーがもしかすると第四勢力ではないかという仮説を立てた。しかし、その仮説も情報が多すぎることから現実的ではないと考え、混迷する状況に苦慮していた。

がっつり狩猟部を率いる平泉は、トリガーハッピーの銃撃による被害が続く中、撤退を検討していた。彼らの機体は軽量で省電力に優れていたが、オーダーアクターの高火力に対抗するのは困難であった。海援隊との睨み合いは続いていたが、状況はオールラウンダーの登場をきっかけに大きく変わった。

さらに、野武士が突如現れ、海援隊も混乱に陥った。平泉は、この機会を利用して、オーダーアクターと海援隊を乱戦に巻き込み、自分たちの作戦目標である野武士の鹵獲または破壊を目指すことに決めた。平泉は島津戦法を用いて、オーダーアクターの戦力を削りつつ撤退する覚悟を固めたのである。

千早はユグドラの静原山麓で、クレップハーブを守るために独自の戦術を展開していた。彼は、サイコロンの頭部を利用して戦場の様子を偵察し、手榴弾を詰めたオールラウンダーの手足を投擲して無差別に爆撃を行った。この爆撃によって、三つの勢力が混戦状態となり、混乱が広がった。通信状況も悪化し、戦場は混乱の極みに達したが、千早はその影響を感じることなく、ただクレップハーブを守ることだけを目的として行動を続けた。最終的に三勢力は戦闘の継続を諦め、撤退を余儀なくされた。

千早は、最後の爆薬内包アクタノイドの腕を装填している最中に戦場が静かになったことに気づいた。しかし、すぐに黒いアクタノイドが猛烈な勢いで接近してきたため、千早は慌てて逃げようとしたが、相手があまりに速く、逃げ切れなかった。千早は即席で対抗策を試みたものの、敵機のスピードと攻撃力には太刀打ちできず、オールラウンダーは撃破された。

敗北した千早は、赤字を確定させられることに落胆したが、敵機のアクター、メカメカ教導隊長が話しかけてきた。教導隊長は、千早が戦場で無茶苦茶な行動をしたことを指摘し、三日後の午後五時に灰樹山脈エリア七に来るようにと告げて去っていった。千早は、その呼び出しに恐れを抱き、震えながら「不良の呼び出し」と呟いた。

千早は、オールラウンダーが大破し、多額の請求を抱える状況に直面していた。クレップハーブを守るために戦闘に介入したため、保険が適用されないことが判明し、百万円もの赤字を抱え込むことになった。恐怖を感じながらも、メカメカ教導隊長の呼び出しに応じることを決意し、灰樹山脈へ向かった。

現地で教導隊長と対面した千早は、予想に反して交渉を持ちかけられ、野武士の鹵獲を手伝ってほしいと依頼された。しかし、千早は断固拒否した。教導隊長はその決断を面白がり、対立しない形で協力することを提案し、交渉は平和的に終わった。結果として、千早は大きな損失を免れ、むしろ教導隊長から好感を得た。

千早は初めての友人らしき存在に戸惑いながらも、今後の野武士戦に巻き込まれることなく、平穏を維持することを目指していた。

メカメカ教導隊長こと大辻鷹美弥は、ボマーとの交渉が決裂したことを思い出し笑いながら、新たなアクタノイドの製作に取り掛かっていた。彼女はかつて金欠時に自作したアクタノイドを用い、ボマー専用のオーダー系アクタノイドを設計・製作していた。ボマーを実戦データ収集のために引き込みたかったが、交渉は失敗し、彼が提示した機体も断られた。

その一方で、クランの他のメンバーたちは口喧嘩を楽しみつつ設計に助言していた。オーダーアクターは技術者たちが自分の理想を追求する集団であり、互いに意見を戦わせながら技術を共有していた。

大辻鷹は、かつての副隊長ガオライオーンが製作した野武士との対決を期待していたが、ボマーが舞台ごと爆破する可能性を懸念していた。それでも「それはそれで面白い」と考え、彼女はサプライズを仕掛ける決意を固めながら、製作を続けた。

角原為之は、新界資源の密輸を資金源とし、外国の特殊工作員「マスクガーデナー」と取引していた。彼は部下の伴場から、ボマーに成りすました妨害活動が順調であるという報告を受け、満足していた。ボマーの名を広め、野武士鹵獲作戦への妨害を目的としていた。

その一方で、角原はシトロサイエンスグループとユニゾン人機テクノロジーの動向を注視していた。両者が手を組み、淡鏡の海にガレージを建設する計画を進めていたため、角原は既に占拠の指示を出していた。この占拠によって静原大川周辺の水運利権を確保し、海援重工の森ノ宮ガレージに対する戦略的な包囲網を完成させることが狙いであった。

第三話

千早は、依頼一覧を眺めながら、世間が荒れた情勢にげんなりしていた。特に野武士を巡って、がっつり狩猟部や海援重工、オーダーアクターといった勢力が捜索に人手を求めていた。野武士の捜索や討伐が盛んで、無関係のアクターたちも戦闘に巻き込まれることが増えていた。さらに盗賊アクターの闇討ちも発生し、治安が悪化していた。

特に危険視されていたのが、ボマーと呼ばれるアクターであった。彼は爆発物を多用し、野武士争奪戦に干渉しては姿を消す厄介者として知られていた。

千早は戦闘依頼が増える中、戦闘を避けるべく新界資源庁の測量依頼に目をつけた。未開拓地域の測量は手軽で、安全な沿岸部を選び、森ノ宮ガレージ近くの美しい海岸地帯での測量を決意した。高画質で画像解析に優れたサイコロンを借り受け、準備を整え、千早は心洗われる景勝地「淡鏡の海」へと向かうことになった。

千早は、サイコロンという高機能なカメラ搭載のアクタノイドを使い、新界の測量依頼を受けて平和に進行していた。サイコロンはその特性上、散歩するだけで地図が作成でき、千早は運動がてら依頼を楽しんでいた。景勝地「淡鏡の海」に到達し、穏やかな風景を堪能していたが、突然ブロック塀のある謎の施設を発見する。

調査を進める中で、施設から出てきたアクタノイド部隊と遭遇し、サイコロンに警告が飛んできた。その直後、突如として迫撃砲弾がサイコロンの近くに落ち、千早は敵と誤解され攻撃対象にされた。状況が急転し、千早は必死に逃げようとするが、サイコロンは攻撃を受け通信が途絶え、被害が確定した。

サイコロンの開発会社からのメールで、機体の破損について全額弁済を要求されることを知り、千早は赤字を避けるために焦りながら新たなオールラウンダーを借り受け、再び行動を開始することとなった。

白鳥率いるチームは、淡鏡の海仮設ガレージを攻撃していたが、予想外の事態に直面した。仮設ガレージ側は防衛体制を整え、さらに背後から森ノ宮ガレージの反応があり、挟撃される状況に陥った。特に厄介だったのは、ボマーと呼ばれるアクターが登場したことである。

ボマーは単機で現れ、その無策に見える動きで油断させ、巧みに罠を仕掛けた。白鳥たちは囮だと軽視して戦力を次々と投入するも、各個撃破され、最終的に迫撃砲部隊も壊滅させられた。白鳥は撤退を決意し、部隊を分散させて逃げようとしたが、ボマーの巧妙な作戦により、さらなる損害を被った。

ボマーは一見素人のような動きをしながらも、実際には高度な戦術を駆使して白鳥たちを圧倒し、彼らを撤退に追い込んだ。

ユニゾン人機テクノロジー代表の厚穂澪は、淡鏡の海仮設ガレージが突然迫撃砲で攻撃を受けたとの報告を受け、急遽本社に戻って対処した。サイコロンという機体が弾着観測に利用され、不正使用として操作権を剥奪されたが、状況は厳しかった。攻撃を受けた仮設ガレージの防衛はボマーと呼ばれるアクターが単独で行い、敵機22機を鹵獲するなど驚異的な戦果を挙げた。これにより仮設ガレージは無事であったが、ボマーの独断専行の行動が注目された。

ボマーは無関係のアクターとして行動し、仮設ガレージを防衛するために戦いに挑んだが、厚穂はこの行動に疑念を抱いた。彼は独自の戦略で行動しており、ユニゾン人機テクノロジーを利用し、彼らに戦闘記録を送りつけてきた。彼の目的は傭兵として自らの力を売り込むことだと推測されたが、厚穂はボマーを信用できない相手として扱い、敵対を避けるために報酬を提示することを決めた。

厚穂はボマーを制御するために目立つ機体を開発することを命じ、襲撃者の素性を調査しつつ、淡鏡の海仮設ガレージの完成を急いだ。

角原グループは淡鏡の海仮設ガレージ襲撃作戦で大損害を被った。指揮を執った白鳥は作戦の失敗を自らの判断ミスと認めたが、角原は作戦の前提が崩れていたことを指摘し、森ノ宮ガレージの介入やボマーの参戦で作戦は破綻していたとした。にもかかわらず、撤退を遅らせた責任は白鳥にあるとして、彼に厳しい対応を取った。

角原はボマーに関する情報漏洩の可能性を疑い、伴場とともにその背後関係を考察した。ボマーが海援重工やユニゾン人機テクノロジーと手を組んでいる可能性は低いと判断したが、情報提供を受けていると考えた。また、外国の工作員集団「マスクガーデナー」がボマーを通じて日本新界の資源を妨害している可能性が浮上した。

角原はこの状況を危険視し、ボマーを排除するために野武士の鹵獲作戦を展開することを決定した。

第四話

千早はアクターズクエストの依頼掲示板を確認し、戦闘系の依頼ばかりが並んでいることに不満を感じていた。彼女は平和な非戦闘系の依頼を探していたが、常時募集依頼が消えていたため、次に目をつけたのは甘城農業総合開発グループの依頼だった。この企業は野武士争奪戦には関与しておらず、植物や動物の調査といった平和な依頼が多かった。

千早は新界化学産業と共同で進められている定点観測の依頼を選び、準備を進めた。報酬は少ないものの、非戦闘系の依頼で時間給制のシフトを埋めることができたため、彼女は満足していた。しかし、現場に着くと遠くから銃声が聞こえ、戦場に巻き込まれてしまった。依頼内容に沿って環境を保全しつつ、戦闘の影響を防ぐため、千早はオールラウンダーを使ってワイヤーを張り、環境を守ろうとした。

プレッシャーを感じつつも、彼女は過去7か月にわたって続けられてきた業務日誌を無駄にしないため、戦場での困難に立ち向かう決意をした。

海援重工代表であり、クラン海援隊を指揮する海援吉俊は、野武士の討伐と回収を目標としていた。しかし、がっつり狩猟部との予期せぬ衝突により戦局は複雑化した。がっつり狩猟部は強力な勢力であり、代表のフィズゥが率いる一軍との戦闘は避けられなかった。

がっつり狩猟部は、野武士の有用性に気付き、商売敵である海援重工に野武士を渡さないために激しい抵抗を見せた。両勢力は激しい銃撃戦を繰り広げていたが、突然、海援隊の後方にワイヤーが張られていることが判明した。これにより、海援隊はがっつり狩猟部と共に包囲され、退路を絶たれる形となった。

ワイヤーを仕掛けたのは、かつて海援隊を襲撃した「ボマー」である可能性が高く、海援吉俊は事態の深刻さを認識した。さらに、がっつり狩猟部が山を下って撤退を始め、その背後にはオーダーアクター代表のトリガーハッピーが現れた。三勢力が入り乱れる混戦となり、海援隊はさらなる注意を強いられることとなった。

がっつり狩猟部の代表であるフィズゥ(雅楽川淳)は、軽量化され静粛性に優れたオールラウンダー改造機で戦場を駆けていた。彼と彼の仲間は、がっつり狩猟部、海援隊、そしてオーダーアクターとの三つ巴の戦闘に巻き込まれていた。特に困難な状況は、フィズゥたちが海援隊とオーダーアクターの両者に挟まれる形となったことであった。

その中で、フィズゥは海援隊の動きに疑念を抱いた。海援隊が野武士に向かって移動を開始し、通常の戦術とは異なる動きを見せたからである。この不可解な動きに対してフィズゥは、背後に何らかの策略があると考えた。

さらに、彼の仲間が報告した「ワイヤー陣」の存在が、状況をさらに混乱させた。海援隊やオーダーアクターが設置したとは考えにくく、フィズゥは「ボマー」という名で知られる謎のアクターが介入している可能性に気付いた。ボマーは、海援隊とがっつり狩猟部を戦わせ、戦局を操作しようとしているとフィズゥは推測した。

この状況を受け、フィズゥは戦術的に後退し、海援隊との一時的な協力関係を築くことを決断した。彼は海援隊に背中を預け、オーダーアクターに対抗する方針を仲間に伝えた。また、フィズゥは海援重工からの共闘提案を受け入れつつ、条件として損失分を補填するよう要求することにした。

最終的に、フィズゥはワイヤーを仕掛けたボマーの策略に気付きながらも、その正体や目的を掴むことはできなかった。彼は、この危険なアクターの背後にいる勢力が何者なのかを知りたいという思いを抱きつつも、目の前の戦いに集中せざるを得なかった。

オーダーアクター代表である大辻鷹は、戦場でがっつり狩猟部と対峙しつつ、彼らが海援隊と一時的に協力している状況を見て楽しんでいた。しかし、彼は弾薬の残量を気にしながら、がっつり狩猟部との戦闘後に控える海援隊と野武士との戦いについて考慮する必要があった。

大辻鷹は、自ら先陣を切りトリガーハッピーで斜面を駆け下り、がっつり狩猟部に攻撃を仕掛けた。その過程で、がっつり狩猟部が散開戦術を取らず、海援隊の背後を守っているかのように見えたことに疑念を抱く。さらに、がっつり狩猟部の背後にはワイヤー陣が張られていることが判明し、その原因が「ボマー」である可能性が高いと判断した。

ボマーは、ワイヤー陣を使って戦況を操ろうとしていると見られ、オーダーアクターたちはこの状況に対して警戒を強めた。特に、ボマーが単独で野武士と対峙し、鹵獲する可能性があることが懸念されていた。大辻鷹は、ボマーを封じ込めるためにがっつり狩猟部を全火力で追い払う作戦を決定し、仲間に指示を出して戦闘の方向性を固めた。

千早はワイヤー陣の後方に陣取り、戦場を見守っていた。オーダーアクターたちと迷彩仕様のアクタノイド集団が激しく戦い、迷彩集団はオーダーアクターの圧倒的な火力により崩されていった。千早は、その様子を見ながらも、どちらかが勝利してくれれば、自分が見つかるリスクが減ると考えていた。

戦闘が進む中、千早は海援重工のアクタノイド「キーパー」が破壊されるのを目撃し、その激しさに驚いていた。野武士が戦場に乱入し、オーダーアクターたちと交戦する様子を見て、千早は自分には手が出せないと感じていた。

その後、野武士が千早のいる山の中腹に向かって進み、トリガーハッピーとともに接近してきた。千早は逃げるしかないと判断し、オールラウンダーを操作して逃走を試みたが、追い詰められた。

最後の瞬間、千早は野武士の動きを止める「停止コード」が書かれた紙を思い出し、それを叫んだ。奇跡的に野武士は動きを止めたが、直後に自爆シークエンスが開始され、千早のオールラウンダーは巻き込まれてしまった。

第五話

千早は、貸与されたオールラウンダーを失い始末書を書きながら、戦闘中の出来事を振り返っていた。依頼そのものは無事達成されたが、オールラウンダーが大破したため、新界化学産業に始末書を提出する必要があった。千早の張ったワイヤー陣が効果を発揮し、観察対象や定点カメラには影響がなかったが、オールラウンダーは完全に破壊され、オーダーアクターに回収されてしまった。

戦闘中、千早はトリガーハッピーに追い詰められ、さらに野武士を押し付けられる形になった。千早が「パス」と言われた際に野武士の停止コードを口にした結果、野武士は自爆し、オールラウンダーも木っ端みじんになってしまった。この戦闘記録が新界化学産業にも送られているため、千早は自分の責任だと感じ、強いストレスを感じていた。

始末書を送信した後、千早はメカメカ教導隊長からメッセージを受け取った。教導隊長は巻き込んでしまったことを謝罪し、共闘の報酬としてオーダー系アクタノイド「ジャグラー」を贈ると伝えてきた。千早はこの出来事に疲れ果て、カピバラぬいぐるみに顔を埋めて助けを求めるように呟いたが、ぬいぐるみだけが平和な顔をしていた。

大辻鷹は、ボマーからのそっけないメッセージを見て予想通りだと笑い、仲間に対して説明を始めた。ボマーが味方にならない場合を想定し、自衛隊の駐屯地近くに「ジャグラー」を配置しておいたという。これは、ボマーが高い諜報能力を持つことを見越しての行動であり、もしボマーが政府関係者であれば、ジャグラーを通じて大辻鷹の脅しを察するだろうという考えだった。逆に、民間の人物であれば自衛隊の索敵網に引っかかり、政府の目が向くという仕掛けである。

大辻鷹は、これによりボマーがオーダーアクターに喧嘩を売らないよう、また自衛隊と関われば政府の一員と確定するだろうと結論づけた。仲間からの質問にも答え、ボマーが自爆覚悟の危険な人物であることを認識していた。

大辻鷹はさらに、銃声を「声」と例え、音に意味がないことを説明しようとしたが、仲間にマイクオフを求められる場面も見られた。

新界化学産業の代表である能化ココは、ボマーによる一連の行動により各勢力からの苦情と問い合わせに対応していた。特に、ボマーが新界化学産業と関連しているのではないかという疑念が広がっていた。ボマーが行った妨害活動により、新界化学産業はオールラウンダー一機を失い、信用も失墜した。

能化ココは、ボマーが送った始末書から、彼もまた巻き込まれた側であることが記されているが、その行動のタイミングや状況は不審であった。加えて、ボマーが戦場で野武士の自爆コードを知っていたことで、新界化学産業との関係がさらに疑われていた。戦闘記録を公開すれば、新界化学産業がボマーとつながっているという疑いが強まる恐れがあり、公開することができなかった。

この状況に絶望していた能化ココに、ユニゾン人機テクノロジーの代表である厚穂澪が連絡を取り、連携の提案を行った。ボマーの動きに対抗するため、中小企業が連携して立ち向かうことが必要だと説かれたのである。また、厚穂は新界化学産業の会長である簾野ショコラを抑える役割も依頼した。

能化ココは厚穂の提案を受け入れ、ボマーに対抗するための連携を強化する決意を固めた。彼女は、新界化学産業としてできる限りの協力を申し出、ボマーに対して戦意を燃やしたのである。

伴場は、野武士の破壊を知り戦場へ急行していたが、自分の遅れがパワハラ角原にどのように叱責されるかを気にしていた。その途中、索敵用レーダーで未確認の機体を発見し、狙撃ポイントから確認したが、その機体は見たことのないデザインであり、オーダー系アクタノイドである可能性が高かった。伴場はリスクを避け、戦闘を避けることを決めたが、その後、自衛隊のアクタノイド部隊が未確認の機体に接近していることに気付いた。

自衛隊の部隊は高い練度を持ち、伴場の随伴機では太刀打ちできないと判断し、静かに撤退することを指示した。伴場はその機体が政府の隠し玉か、オーダーアクターのものかを推測し、政府とオーダーアクターが協力している可能性について考えた。もしその情報が角原に渡れば、政府や自衛隊に対して優位に立てる可能性があると考え、伴場は映像を角原に送信した。

新界資源庁の職員、虎合は自衛隊から届いたメールに驚いた。内容は、駐屯地近くで活動していた不審なオーダー系アクタノイドのアクターに関する個人情報の開示を求めるものであった。過去に同様のメールを見たことがなく、虎合は過去の資料を確認したが、同じような事例はなかった。自衛隊からの要求に対して、虎合は法的な手続きが必要であり、アクターの個人情報は簡単には開示できないと判断した。

アクタノイド事業に関わる人物は個人情報の流出を恐れ、特に新界資源庁ではその管理が厳格である。自衛隊の懸念も理解できるが、虎合は自己の出世や罰則のリスクを考慮し、断ることにした。結局、虎合は「正式な手続きを踏んでほしい」とメールに書き、依頼を拒否した。

エピローグ

千早は自衛隊のアクタノイド部隊に退去を求められ、心臓が高鳴る中で冷静さを取り戻していた。操作していたのは、新たに手に入れたオーダー系アクタノイド「ジャグラー」であり、その高性能に驚きながらも、狙われるリスクを考え、どこに保管すべきか悩んでいた。

千早は自衛隊の駐屯地近くの「和川ガレージ」にジャグラーを保管することを決め、正式に登録を行った。これにより、ジャグラーは政府の保護下に置かれたため、盗賊アクターも手を出しにくい状況になった。しかし、メカメカ教導隊長から「政府の犬」と非難され、恐怖を感じた千早は返信を控えることにした。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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