小説【治癒魔法】「治癒魔法の間違った使い方 1巻」感想・ネタバレ

小説【治癒魔法】「治癒魔法の間違った使い方 1巻」感想・ネタバレ

次巻

どんな本?

治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜』は、くろかた 氏による異世界を舞台にしたファンタジー小説で、イラストはKeG 氏が担当。
主人公は治癒魔法の使い手でありながら、その力を戦闘や他の目的に応用することで、独自の道を切り開いていく。物語は、彼が仲間とともに冒険し、成長していく様子を描いている。
この作品は、2014年3月から「小説家になろう」で連載が始まり、2016年3月から2020年3月までMFブックス(KADOKAWA)から刊行されました。第2回ライト文芸新人賞で佳作を受賞している。

主要キャラクター

  • ウサト (兎里 健):主人公。治癒魔法の使い手であり、その力を戦闘や他の目的に応用する。
  • ローズ:リングル王国救命団の団長。治癒魔法使いでありながら戦闘能力も非常に高く、かつては騎士団の大隊長を務めていた。
  • スズネ(犬上鈴音):ウサトの学校の生徒会長で、才色兼備の人物。勇者として異世界に召喚され、王国の騎士隊に所属し、雷の魔法を操る。

物語の特徴

本作の特徴は、治癒魔法という一般的にはサポート的な能力を、戦闘や他の目的に積極的に活用する点にある。また、主人公の成長や仲間との絆、ユーモラスなやり取りなどが物語を彩り、読者を引き込む要素となっている。

このライトノベルはメディアミックスとして、九我山レキ 氏による漫画版が『月刊コンプエース』(KADOKAWA)で2017年6月号から連載されている。
2022年10月時点で、電子版を含めたコミックスの累計部数は200万部を突破。
また、スピンオフコミカライズとして『治癒魔法の間違った使い方 〜誘いの街・レストバレー〜』がカクキカイ 氏による作画で、『FWコミックスオルタ』で2023年8月から先行配信で連載が開始されている。
さらに、2021年8月15日にはアニメ化が発表され、2024年1月から3月に放送された。

2024年8月に二期制作決定の発表があった。

読んだ本のタイトル

#治癒魔法の間違った使い方 ~戦場を駆ける回復要員~ 1
著者:#くろかた 氏
イラスト:#KeG  氏

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あらすじ・内容

異世界を舞台にギャグありバトルありのファンタジーが開幕!
平凡な高校生のウサトは、帰り道に偶然出会った生徒会長のスズネ、クラスメイトのカズキと共に、突如現れた魔方陣に飲み込まれ、異世界へと転移してしまう。
三人は魔王軍から王国を救うための『勇者』として喚び出された――が、勇者としての適性を持つのはスズネとカズキだけ。ウサトはただ巻き込まれただけだった!
しかし、ウサトにレア属性の『治癒魔法使い』の素養が見つかったことで事態は一変。救命団団長を名乗る女性、ローズに拉致され、強制的に救命団に加入させられてしまう。
そこでウサトを待っていたのはコワモテの同僚たち、そして「治癒魔法の間違った使い方」を駆使した地獄の訓練の日々だった――。
常識破りの“回復要員”が繰り広げる、ギャグありバトルありのドタバタ異世界ファンタジー、堂々開幕!

治癒魔法の間違った使い方 ~戦場を駆ける回復要員~ 1

感想

『治癒魔法の間違った使い方 ~戦場を駆ける回復要員~ 1』は、異世界に巻き込まれた主人公ウサトの奮闘を描いたファンタジー作品。

ウサトは、偶然にも生徒会長のスズネ、クラスメイトのカズキと一緒に異世界に転移し、そこで魔王軍から王国を救うための「勇者」として召喚された。

しかし、勇者としての適性はスズネとカズキにしかなく、ウサトは単に巻き込まれただけだった。

しかし彼には、レア属性である「治癒魔法使い」としての素養があることが判明し、救命団団長のローズによって救命団に強制加入させられてしまう。

そこでウサトは、コワモテの同僚たちと共に「治癒魔法の間違った使い方」を駆使し、過酷な訓練に打ち込むことになる。
過度な運動で疲労した筋肉を治癒魔法で癒し。
長時間の訓練で疲弊した身体を治癒魔法で癒す。
ただ、心は癒せないので其処は我慢。
もし、気が緩んだら鬼より恐ろしいローズからの折檻が待っている。
いや、その兆しが見えたローズに踏まれて、脚を通して治癒魔法を注がれて強制的に疲労を抜かれ動けるようにされてしまう。

どれだけ叫ぼうが、どれだけ懇願しようがローズのスパルタ訓練から解放されない。
唯一の解放は気絶。
でも、それは次なる地獄の入り口でもあった、、
ある程度、救命団の訓練に慣れたウサトにローズは森の中でのサバイバルを強要させ。
さらにグランドグリズリーを狩って来いと命じられる。
ローズ曰く、あの訓練を生き抜いたウサトはグランドグリズリーくらい狩れるらしい。

嫌がるウサトをローズは、森の奧部に投げ込んで森から出てこないように見張られていた。
そして、ウサトは黒いウサギ(ウサトを監視してるローズのペット)を相棒にしてグランドグリズリーを狩ろうするのだが、その前に蛇が襲って来た。
蛇を撒いて、グランドグリズリーを狩ろうと思ったら蛇がグランドグリズリーを倒し。
グランドグリズリーの子供、ブルーグリズリーが両親の死を悲しんでいるのを見て。

子供のブルーグリズリーのため仇を討つと決意したが、蛇と戦う前に蛇がブルーグリズリーの子供を襲っている場面に出会し。
ウサトはブルーグリズリーを助けるため蛇と戦うが負けそうになり。
其処にローズが介入して蛇を討伐して終わる。
そして、子供のブルーグリズリーを連れてウサトは王国へ帰還。

子供のブルーグリズリーをブルリンと名付けて仲間にして、ブルリンを肩で担いでトレーニングするウサトが街で見られるようになるが、、

救命団の訓練だと知ると住民達は受け入れて、ウサトの奇行に慣れてしまう。

そして、終盤となり魔族との戦争にスズネ、カズキと参加する事となり。
ローズと共に最前線で味方の騎士達を癒す任務に就く。

次巻

最後までお読み頂きありがとうございます。

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説【治癒魔法】「治癒魔法の間違った使い方 1巻」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=889980276 小説【治癒魔法】「治癒魔法の間違った使い方 1巻」感想・ネタバレ

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備忘録

救命団ノ掟
戦場での心構え

一、救命団は人命の救助が最優先と心得るべし (*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
一、味方のみならず己の命も護るべし (*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
一、自己犠牲精神の勘違い野郎は殴ってでも退かせるべし は?((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

プロローグ

豪雨の中の停滞
午後になり突如として雨が降り始めた。天気予報を確認し忘れたため、折り畳み傘を持っていなかった。昇降口に置いていたはずの黒い傘も消えており、誰かが持ち去ったのだろうとウサトは推測する。仕方なく雨が止むのを待つことにしたが、雨は降り続け、やがて周囲の喧騒も収まり、静寂と雨音だけが残った。

平凡な日常への不満
ウサトは特別な才能もなく、平凡な学生生活を送っていた。友人もおり、成績も平均的、運動も苦手ではないが、何か物足りなさを感じていた。現実世界の単調さに飽き、非現実的な出来事が起こることを夢見ていた。しかし、その願いが叶うことはないと半ば諦めていた。

突然の出会い
雨宿りを続けていると、昇降口に男女二人が現れた。男子はクラスメートの龍泉一樹、高身長で端正な顔立ちを持ち、女子生徒に人気の生徒会副会長であった。女子は生徒会長の犬上鈴音、才色兼備で男子だけでなく、一部の女子にも人気があった。二人は雨宿りをしているウサトに気づき、傘を貸すことを申し出る。龍泉は親しげに接し、犬上も自然な流れで名前を呼び始めた。この出会いにより、ウサトは学校の中心人物たちと距離を縮めることとなった。

進路と悩み
帰路につく途中、犬上はウサトに進路について尋ねた。まだ明確な考えを持っていないウサトは曖昧に答える。一方で、犬上自身も進路が決まっておらず、何を目標にすればよいのか分からないと悩んでいた。完璧な生徒会長と思われていた彼女にも迷いがあり、それがウサトには意外に思えた。

異変の予兆
和やかに会話を続ける中、犬上と龍泉は鐘の音のようなものを聞いたと言い、耳を澄ませた。しかし、ウサトには何も聞こえなかった。不思議に思いながら足を止めると、足元に幾何学模様が浮かび上がる。それはまるでゲームや漫画に出てくる魔法陣のように脈打ち、光を放っていた。

異世界への転移
突如、魔法陣が強烈な光を放ち、ウサトたちは浮遊感と吐き気に襲われる。次の瞬間、視界が白く染まり、意識を失った。今まで平凡だったウサトの世界が大きく変わる瞬間であった。

第一話  巻き込まれて異世界!  の巻

目覚めた異世界
ウサトは冷たい床の感触で目を覚ました。周囲を見渡すと、豪華な大広間に王冠を被った男性と数人の老人たちがいた。彼らの服装や衛兵の鎧から、西洋風の宮廷のような雰囲気が感じられた。近くにはカズキと犬上鈴音もおり、三人が一緒に転移したことがわかった。

勇者召喚の真相
王座に座る男性はリングル王国の王、ロイドであった。彼はウサトたちが「勇者召喚」によって異世界へと呼び出されたことを告げた。この世界では魔王が復活し、戦争が続いており、異世界から戦いに適した者を召喚することで対抗しようとしていた。召喚の際に鐘の音が聞こえた者には勇者の素養があるとされていたが、ウサトには聞こえていなかった。そのため、彼は巻き込まれただけの存在であることが判明する。

帰還不可能な現実
異世界召喚は一方通行であり、元の世界に戻る手段は存在しなかった。カズキは怒りを露わにしたが、王も申し訳なさそうに説明し、必ず帰還の方法を探すと約束した。最終的にカズキは王の頼みを受け入れ、勇者として魔王討伐に協力することを決意する。犬上も反対せず、むしろ興味深げな様子を見せていた。

適性診断
ウサトたちは自身の魔法適性を調べることになった。カズキは「光の魔法」、犬上は「雷の魔法」という強力な適性を持っていた。最後にウサトが水晶に触れると、透明な緑色に輝いた。それを見た王国の魔法使いウェルシーは驚愕し、すぐに王のもとへ報告に向かった。

治癒魔法の持つ意味
ウサトの適性は「治癒魔法」だった。回復魔法を専門とする者は非常に稀であり、国にとって貴重な存在だった。しかし、その事実が明かされると、周囲の空気が一変する。王や側近たちは何かを隠そうとしており、ウサトが特別な存在であることを悟った。

ローズの登場
そこへ現れたのは、救命団の団長ローズ。彼女はウサトの適性を知るや否や、彼を自らのもとで鍛え上げると宣言し、強引に連れ去ってしまった。王や側近は必死に止めようとしたが、ローズの行動を制止することはできなかった。

救命団での新生活
ウサトが連れられたのは、城から離れた診療所兼訓練場だった。そこには屈強な男たちが揃っており、治癒魔法の訓練が行われる場所であった。ローズは彼に治癒魔法の厳しい訓練を課すと告げ、その日からウサトの過酷な修行が始まることとなった。

治癒魔法使いの過酷な運命
同じ救命団の一員であるトングから、治癒魔法使いが戦場でどのような役割を果たすかを聞かされる。彼らは回復の要であるが、攻撃能力を持たないため狙われやすく、過酷な環境に置かれることが多いという。ウサトは自らの運命を理解しながらも、新たな力を得るために訓練に挑む決意を固めた。

第二話  地獄の始まり!!  の巻

ローズの訓練とウサトの日記

魔力の基礎と異世界の知識
ウサトはローズから日記をつけるよう命じられ、訓練の記録を残し始めた。初日の訓練は魔力の感知と放出の練習であり、意外にも難なくこなした。その後、この世界の知識を学ぶために分厚い本を渡されたが、勇者召喚により翻訳魔法が施されていたため、問題なく読めた。モンスターの存在や、多種多様な種族がいることを知り、異世界らしさに興奮したが、ローズの拳が即座にそれを鎮めた。

過酷な走り込みの始まり
二日目以降の訓練は、一転して過酷なものとなった。ローズは「脚を鍛えろ、死なないために」と告げ、ウサトを限界まで走らせ続けた。倒れるたびに治癒魔法で強制的に回復させられ、休むことさえ許されなかった。命乞いをしても、筋肉痛を治療されたうえで更に走らされた。

救命団の訓練と異様な環境
四日目には救命団の他の団員と訓練を行ったが、その様子は軍隊のようであった。全力疾走する団員たちの速度についていけず、ローズから「遅れている虫がいる」と言われた。五日目にはカズキと犬上がウサトを訪ねてきたが、彼の脚の状態を見た犬上は驚愕した。ウサトは、自分の訓練について「走っている」とだけ伝えた。

治癒魔法の習得
六日目、走り続ける中で、ウサトは手に緑色の淡い光が集まるのを発見した。彼の治癒魔力が発動し始めたが、それが今の状況で必要かどうか疑問に思った。七日目にはローズに不満を持って日記に書いたが、彼女に見抜かれ、更に厳しい訓練を課せられた。九日目には、治癒魔法の重要性を理解し、疲労を回復させながら訓練を続けられるようになった。

限界突破と洗脳の自覚
十日目、治癒魔法の効果により、ウサトは疲れを感じなくなった。しかし、日に日にやつれていく自分に疑問を抱くようになった。最初はカズキや犬上の助けになるために努力していたが、果たして平凡な自分が役立てるのかと迷い始めた。それでも訓練をやめるつもりはなく、最後までやり遂げると決意した。十一日目からは腕立て伏せが加わり、一日千回こなすことになった。ローズは満足げな表情を浮かべたが、ウサトはその態度に恐怖を感じた。

身体強化と異様な訓練風景
十三日目、ローズはウサトに重りを装着させ、更に負荷を増やした。十四日目には、訓練の合間にトングが弁当を盗み食いし、ウサトの怒りを買った。彼はこの二週間で走ることに慣れ、重りにも順応していたが、自身が洗脳されているのではないかと疑念を抱いた。

カズキと犬上の成長
一方、カズキと犬上は王城で訓練を続けていた。二人はリングル王国最強の騎士シグルスと優秀な魔法使いウェルシーの指導を受け、急成長していた。犬上は更に強力な魔法を編み出そうと考えていたが、王国の魔法にロマンが足りないと不満を抱いていた。

ウサトの異様な噂
セリア王女は、救命団についての奇妙な噂を耳にしていた。最近、新人が救命団の団員さえも音を上げる訓練を黙々とこなしているというのだ。犬上とカズキは、この噂がウサトのことではないかと危惧し、彼の様子を見に行くことを決めた。

訓練場での異様な光景
ウサトの訓練場を訪れた一行は、驚愕の光景を目にした。ウサトは背に巨大な岩を乗せ、腕立て伏せを続けていた。その岩の上にはローズが座り、指導をしていた。ウサトは舌打ちをしながらも腕立て伏せを続けており、明らかに以前の彼とは異なる姿になっていた。

ローズとシグルスの対立
怒りを覚えたシグルスは、ローズの胸倉を掴み、彼女のやり方を非難した。しかし、ローズは動じることなく、シグルスの籠手を握りつぶしながら「ウサトは私の右腕にする」と宣言した。彼女の異常な執着に犬上とカズキは戦慄した。

ウサトの変貌
その後、ウサトは犬上とカズキと共に昼食をとった。彼の体を確認した犬上は、短期間での驚異的な筋肉の発達に驚いた。治癒魔法を利用しながらの過酷な訓練により、ウサトは常人の限界を超える身体能力を獲得していた。

ウサトの覚悟
ウサトは、最初は辛かった訓練も、今では少し楽しくなってきたと語った。そして、自身がカズキや犬上の足手まといにならないため、訓練を続けると決意を示した。犬上はそんな彼の意志を尊重し、共に頑張ろうと誓った。

日常の一幕と新たな決意
突如、ウサトの弁当を持って現れたトングとウサトは取っ組み合いを始めた。犬上とカズキはその様子を見守りながら、ウサトがこの世界に馴染んでいることを実感した。カズキは刺激を受け、訓練を強化するため城へ戻ることを決めた。犬上はウサトを見つめながら、共に成長していこうと静かに誓った。

第三話  過酷!!  リングルの闇!!  の巻

救命団での訓練と成長

ローズによって救命団に加入させられてから一ヶ月が経過した。その間に体は劇的な変化を遂げ、身体能力が向上した。日々の厳しい鍛錬の成果であり、走り込みや筋力強化を徹底的に行った結果、鍛え上げられた体を手に入れた。救命団は戦場で負傷者を救う役目を担っており、迅速な行動が求められる。戦場に放置された負傷者を運ぶには、相応の覚悟と力が必要だった。しかし、自ら進んで人を助ける覚悟がまだ持てず、心は現実についていけていなかった。目に見える成長があっても、戦場での実践を想像すると不安が募った。

新たな訓練の開始

ある朝、いつもの訓練とは違い、ローズに連れ出された。城下町へ向かう道中で、獣人の少女を目にし、その存在に驚く。リングル王国では亜人や獣人の入国は比較的容易だが、旅路には盗賊や人攫いといった危険が伴う。獣人たちは貴重な能力を持つことが多く、奴隷として売られることもあるという現実を知る。城下町を進み、門の前へ到着すると、ローズは迷いなく王国の外へ出るよう命じた。門を出た先に広がる森が、次なる試練の場となる。

危険な試練と森での孤独

ローズから渡されたのは大きなリュックサック。そして彼女は、グランドグリズリーを狩るまで帰るなと告げた。グランドグリズリーは百年以上生きたブルーグリズリーが進化した強力な魔物である。その言葉と共に、ローズは迷いなく主人公を森へ投げ飛ばした。激しく落下しながらも、なんとか着地に成功した。だが、そこには獰猛な魔物が潜んでいた。森の中ではグランドグリズリー以外にも様々な脅威が存在し、休息すらままならなかった。

謎の黒ウサギとの出会い

森の中で、小さな黒いウサギと遭遇する。負傷していたため治癒魔法で手当てすると、ウサギは懐いたように主人公についてきた。彼はこのウサギを気に入りつつも、共にいることが危険だと考え、離れようとする。しかし、ウサギは彼を先導するかのように森を進み、最終的にグランドグリズリーの住処へと導いた。観察を続けるうちに、森の環境や敵の動向が明らかになり、討伐の作戦を練ることとなった。

予想外の敵の出現

ある日、森で異様な魔物と遭遇する。それは異様な大蛇であり、通常の魔物とは異なる禍々しさを持っていた。ウサギですら恐れるその存在は、強力な毒を持ち、獲物を弄ぶように動く。慎重に距離を取りながら戦況を見極めるも、圧倒的な力を前に逃げざるを得なかった。その後も何度か蛇に襲われ、彼はこの蛇こそが最大の敵であると悟る。

決意と戦い

グランドグリズリー討伐を決意した矢先、彼が目にしたのは無残に食い荒らされたグランドグリズリーの死骸だった。その傍らには、同じく殺されたブルーグリズリーの姿もあった。これを殺したのは、あの大蛇に違いなかった。彼は自らの無力さに歯噛みしながらも、小熊の悲しげな鳴き声を聞き、復讐を誓う。敵は討たなければならない。そう決意した彼は、蛇との決戦に挑むことを決めた。

壮絶な戦いと勝利

翌日、ウサギを頼りに蛇の居場所を突き止める。そこで目にしたのは、傷ついたブルーグリズリーの子供と、それを弄ぶ蛇の姿だった。助けるために飛び出し、槍を突き刺して応戦する。蛇は強敵だったが、彼は執念で食らいついた。毒に侵されながらも、最後の一撃で槍を押し込み、蛇を討ち倒した。しかし、その直後、傷ついた蛇が再び動き出し、絶望が襲う。絶体絶命のその瞬間、ローズが現れ、蛇を一蹴した。

真実の発覚と帰還

ローズは黒ウサギが自らのペットであり、見張り役だったことを明かした。すべては彼の成長を見守るための計画だったのだ。そして、彼の戦いぶりを評価し、救命団の一員として正式に認めた。彼は小熊を「ブルリン」と名付け、共に救命団へ帰還することとなる。

救命団の一員としての決意

リングル王国へ戻り、彼は自らの役割を考えた。戦場で戦う勇者ではなく、救う者としての役割を果たすことを決意する。戦いではなく、救命こそが彼の使命だった。ローズもそれを認め、彼に新たな責務を託した。彼は、救命団の団員として仲間を救い、戦場を駆け抜ける覚悟を固めたのである。

第四話  ウサト、日常を往く!  の巻

ローズの決意表明と過酷な訓練

ローズに対して決意を表明した後、彼女から厳しい罰を受けることとなった。悪口を言ったことを根に持たれ、地獄の筋力トレーニングを課される。翌朝、昨晩の記憶を失いながらベッドで目を覚ますと、そこには同僚のトングが待っていた。軽い会話を交わしながら朝食を済ませ、食堂から果物を持ち出して馬小屋へ向かう。

ブルリンとの交流

馬小屋ではブルリンが待っていた。彼に果物を与えながら撫でることで、穏やかなひと時を過ごす。すると、ローズが現れ、不機嫌な表情でこちらを見つめていた。彼女はブルリンを訓練に参加させると言い出す。その決定に驚きながらも、ブルリンと共に訓練場へ向かうこととなる。

異常な特訓の開始

訓練が始まると、ローズはブルリンを担いで走るよう命じた。さらに重りを身につけることも指示される。実戦を想定した模擬訓練であり、ブルリンを要救助者として扱い、全力で走る必要があった。最初は順調だったが、四時間が経過する頃には体に異変が生じ、ついに力尽きて倒れる。ローズはそれが精神的ストレスによるものだと指摘し、慣れることが必要だと告げる。疲労回復の魔法を受けた後、午後の訓練へ備えることとなった。

城下町での訓練と出会い

午後の訓練では、城下町を走ることが課された。ブルリンを背負いながら人混みを縫って走るが、町の人々は彼の姿を特に気に留めなかった。それもそのはず、救命団の者がよく訓練で走っているため、見慣れていたのだ。途中、息を切らした男性が声をかけてくる。彼はオルガ・フルールと名乗り、救命団に所属する治癒魔法の使い手であった。

オルガとの会話

オルガは自身が後方支援を担当していること、妹と共に診療所を運営していることを語る。また、自分の体を治療するのは苦手であるとも明かした。別れ際、彼はローズのことを嫌わないでほしいと頼む。その言葉に対し、すでに嫌ってはいないと伝えた。ローズの厳しさの中にも不器用な優しさがあることを、彼は理解していた。

城内での訓練と犬上との再会

その後、城へ向かい訓練場を探す。城の門では守衛にブルリンの同行を許可され、敷地内へ入ることができた。訓練場に到着すると、そこには犬上の姿があった。彼女はウサトの背負うブルリンに驚きながらも、興味を示す。しかし、ブルリンは初対面の彼女に対して警戒し、触らせようとはしなかった。

犬上との会話と訓練の再開

ウサトは犬上としばし談笑し、カズキが魔物との実戦訓練のため王国外へ出ていることを聞く。さらに、彼女が必殺技の開発に取り組んでいることを察するが、犬上はそのことを明かそうとはしなかった。最後に訓練に戻ることを告げ、ブルリンを背負って走り去る。彼の成長を見届けた犬上は、少し名残惜しそうにその背を見送った。

第五話  ウサト、再び森へ!  の巻

叩き起こされた朝

数日が経過した朝、主人公は突然蹴り落とされる形で目を覚ます。襲撃者は腕を組んだローズであり、無言で着替えを命じる。彼の混乱をよそに、ローズは即座に部屋を去っていった。着替えを済ませ、宿舎の出入り口に向かうと、ローズから小さなリュックを投げ渡される。事情を尋ねると、勇者の訓練に同行するようロイド王からの通達があったことを告げられた。同行する相手は勇者スズネであり、これは彼にとって初めての正式な任務であった。

出発の準備

門へ向かう道中、主人公は愛馬ブルリンを迎えに馬小屋へ向かう。だが、なかなか起きないブルリンを背負う形で宿舎を後にすることとなった。城下町を進み、門の前へ到着すると、そこには犬上先輩と二人の護衛が待っていた。彼女に同行することを伝えられた主人公は、ローズから治癒魔法の重要性について念押しされる。彼女は治癒魔法の有用性を認めながらも、それを過信しないよう勇者スズネに忠告した。

旅の始まりと予想外の展開

出発後、護衛二人が先頭を歩きながら周囲を警戒する中、犬上先輩はブルリンを触りたがり、主人公に軽くいなされる。しかし、先輩は隙をついて触れようとし、結果的にブルリンに押しつぶされかける事態に発展した。彼女を救い出し、軽い治癒魔法を施しながら旅は続く。その道中、目的地である「猛獣の穴倉」の近くへ向かうことを護衛の一人が説明する。目的地までの道のりは比較的安全であるとされていた。

盗賊との遭遇

平原地帯を歩いていると、大勢の盗賊が砂煙を上げながら接近する。護衛の二人が迎撃態勢をとる中、犬上先輩は突如として雷撃を放ち、一人の盗賊を瞬時に無力化した。その威力に盗賊たちは動揺しつつも、リーダーが動揺を払拭し、攻撃を仕掛けようとする。しかし、次の瞬間、赤毛の猪フォールボアの群れが突如として現れ、盗賊のリーダーを吹き飛ばした。

突如の危機と川への転落

フォールボアの突進によって戦闘は混乱に陥る。主人公は犬上先輩を守るために身を挺し、突進を受け止めたものの、その勢いで共に宙に投げ出される。結果として川へ落下し、急流に流されることとなった。川の先には滝が待ち構えており、必死の抵抗も虚しく、二人は滝つぼへと落下してしまう。

森での生存戦略

意識を取り戻した主人公は、滝つぼの岸辺で目を覚ます。犬上先輩も無事であったが、二人はリングルの森の奥深くへと迷い込んでしまった。彼は森の危険性を説明し、夜の行動は避けるべきだと提案する。簡易的な野営地を設け、犬上先輩の雷撃によって食料となる魚を確保した。火を起こし、濡れた服を乾かしながら、彼らはこの世界に対する思いを語り合った。犬上先輩はこの世界での自由を強く感じ、帰るつもりはないと明言する。主人公はその決意を受け止め、彼女と共にこの世界で戦う意思を固めた。

森の脱出と猿の警告

翌朝、森を抜けるべく移動を開始するが、途中で毒を持つベノムモンキーの群れに遭遇する。主人公が警戒を促すも、犬上先輩は無邪気に子猿へ手を伸ばし、結果的に指を噛まれるという事態を招いた。幸いにも即座に治癒魔法で解毒し、先輩をなだめながら進むこととなった。数時間の慎重な移動の末、彼らはようやく森の出口へ到達する。

帰還と王国の異変

森を抜けた二人は、守衛たちによって無事保護され、王国へ帰還する。王は彼らの無事を喜び、ローズを含む重臣たちは安堵の表情を見せる。しかし、王国周辺の異変が報告される。フォールボアの異常な行動と平原地帯の異様な静けさが、魔王軍の接近を示唆していた。

魔王軍の影とローズの決意

王国の大広間では、ローズとシグルスが緊迫した会話を交わしていた。ローズは魔王軍の動向を探るため、境界線付近へ向かうと決意を示す。しかし、彼女の言葉の端々には、過去の苦悩が滲んでいた。かつて彼女が率いた部隊は全滅し、それ以来、彼女は「死なない部下」を求めるようになったという。その理想に最も近い存在として、彼女はウサトに強い期待を寄せていた。

静寂の中、ローズは王の前を去る。その足音だけが、王国の行く末を暗示するかのように響き渡っていた。

第六話  決意の夜!!  の巻

魔王軍の進軍と橋の崩壊

魔王軍はリングル王国への侵攻のため、平原地帯の境界線付近で巨大な橋を建造していた。第三軍団長アーミラ・ベルグレットは、士気を高めるために声を上げ、兵士たちもそれに呼応した。しかし、黒い鎧を纏った騎士は彼女の気合いを「やる気がありすぎて鬱陶しい」と評し、上官に対しても無頓着な態度を見せた。

そこへ、魔族のヒュルルクが現れ、橋の建設状況について尋ねる。アーミラは「あと数刻で完成する」と答えたが、ヒュルルクは「今壊されたら大変なことになる」と不吉な予想を口にする。その直後、見張りの兵士が「前方から何か飛来してくる」と報告。次の瞬間、大木が作りかけの橋に直撃し、橋が無残に崩れ落ちた。

アーミラは対岸に立つ緑の髪の人影を見つけ、怒りを露わにする。それは、橋を破壊した張本人であるローズだった。

城下町での休日と診療所の訪問

ウサトは珍しく休暇を与えられ、城下町へ出かけることになった。ローズから渡された地図を頼りに進むと、人々からの視線を感じる。訓練着姿の彼が普通に歩いていることが珍しいらしく、救命団の印象が強く根付いていることを実感した。

目的地は白いレンガ造りの建物であり、そこがオルガの診療所「フルール診療所」だった。中に入ると、元気な少女ウルルと出会う。彼女はオルガの妹で、診療所の助手を務めていた。ウルルの案内で診療所の奥へ進むと、オルガが治癒魔法を使って患者を治療している場面を目にする。彼の魔法は透明さを残しつつ濃い緑色に輝き、治癒の波動が滑らかに広がっていった。その精密な技術に、ウサトは感嘆した。

治療を終えたオルガと会話を交わし、ウサトは診療所の仕事を手伝わないかと誘われた。興味はあったが、訓練があるため返事は保留とした。ウルルとの会話も弾み、診療所の雰囲気に親しみを覚えながら、彼は診療所を後にした。

獣人の少女と不可解な幻覚

診療所を出たウサトは、露店を見て回っていたが、突然狐の獣人の少女に腕を掴まれる。彼女は静かに「視えたのは貴方だけ」と告げた瞬間、ウサトの視界が暗転し、幻覚が広がる。そこには、戦場で血溜まりに沈むカズキと犬上鈴音、そして黒い鎧を纏う者の姿があった。

あまりの衝撃にウサトは動揺し、視界が元に戻ると、少女も汗を滲ませていた。彼女は「これは大きな貸し」と告げると、その場を去った。突然の出来事に恐怖を覚えたウサトは、宿舎へ逃げ帰り、布団に包まって震えながら考え込む。あの光景は本当に未来なのか、狐の少女は何者なのか。思考が混乱しながらも、直接彼女に会って問いただすことを決意した。

獣人の少女を追うも、行方不明

ウサトは狐の少女を探し回るが、どこにも見つからなかった。町中を駆け回り、大通り、露店、路地裏、王国の外へ続く門の付近まで探したが、どこにも彼女の姿はない。情報を求めて門番に尋ねるも、少女の目撃情報は得られなかった。

諦めかけたその時、背後からローズの声が響く。彼女はウサトを見つけ、強引に城へ連行することにした。戦争が近づいている中、ローズは彼に重要な話があると言い、そのまま彼を宿舎へ連れ帰った。

戦場での役割と新たな決意

宿舎へ戻ったウサトは、ローズから戦場での動き方について説明を受けた。序盤は治療拠点で待機し、負傷者の治療に専念すること。そして、最前線に出る際は、助ける人間を慎重に選ぶことが重要であると教えられた。

さらに、ローズはウサトに白い団服を渡した。それは救命団の正装であり、彼専用に仕立てられたものだった。試しに着てみると、丈夫な生地と軽さに驚き、着心地の良さを実感した。

その後、ローズはウサトの頬に手を添え、戦場では決して自分の命を軽んじてはならないと強く念を押した。自己犠牲を肯定するような行動は許されず、彼自身も守るべき存在であると断言した。ウサトは彼女の言葉の重みを感じ、自らの決意を新たにした。

最後に、ローズはウサトの額をデコピンし、再度釘を刺した。その直後、強烈な頭突きを食らったウサトは意識を失いかけたが、最後に見たのは、傷のある右目を押さえながら微笑むローズの姿だった。

目覚めとカズキの訪問

ウサトは目を覚ますと、自室のベッドにいた。隣ではトングがいびきをかきながら眠っており、壁にはローズから渡された団服が掛けられていた。自分をここへ運んだのはローズかもしれないと考えながら、彼女の頭突きが照れ隠しだったのかと疑問に思った。その時、窓の外から声が聞こえた。二階の窓にしがみつくカズキの姿を見つけたウサトは、驚きながら窓を開けると、彼を迎え入れるのではなく自ら飛び降りた。

宿舎の前で落ち合った二人は、ローズを起こさないよう、訓練場へ移動した。月明かりの下、カズキは王から戦争の開戦を告げられたことを話し始めた。犬上先輩はすぐに気を取り直していたが、カズキ自身は戦いが怖くて眠れなくなり、気づけばウサトのもとへ来ていたという。

カズキの不安とウサトの決意

カズキは、初めてモンスターと戦ったとき、足がすくみそうになったことを打ち明けた。戦いが現実になった今、魔王軍が本気で自分を殺しに来るという恐怖が抑えられなかった。しかし、王国の人々は彼に優しく、期待を寄せてくれた。そのことが、彼にとっては重圧となっていた。

ウサトは戦うことを決意していると伝えた。自分はこの世界に巻き込まれた存在でありながら、多くの人々と出会い、道を示してもらった。だからこそ、彼らを助けるために戦場へ赴くのだと告げた。そして、その中にはカズキも含まれていると付け加えた。

カズキは俯きながら震えていたが、突然自分の頬を叩き、迷いを振り払うように「ウサトと犬上先輩を守るために戦う」と宣言した。自分が勇者としてどこまで戦えるか分からないが、友達であるウサトを助けたいと決意したのだった。

犬上鈴音の登場

カズキが城へ戻った後、ウサトは彼の決意に満足しつつ宿舎へ戻ろうとした。しかし、背後から犬上鈴音の声が響いた。彼女はすでにウサトとカズキのやり取りを見ていたようで、「いいものを見させてもらった」と感想を述べた。

ウサトは彼女の突然の登場にも動じず、眠いから後にしてほしいと答えた。犬上は、ウサトの反応がそっけないと不満げだったが、彼の態度を察しながら話を続けた。彼女はカズキの変化を喜びつつ、ウサトに「自分も戦ってほしくないのか」と問いかけた。

ウサトは、犬上とカズキは違うと答えた。カズキはまだ迷いの中にいたが、犬上はすでに戦う覚悟を決めていた。だから、自分が何を言っても彼女の考えは変わらないだろうと述べた。

犬上は「友達でしょ」と迫るが、ウサトは適当に相槌を打って流した。その態度に彼女は驚いたが、しばらく考え込んだ後、「ウサト君、少し攻略難易度が高すぎるよ」と冗談交じりに言い残し、城へ戻っていった。

戦争への準備と救命団の集結

翌日、王国全体に魔王軍の侵攻が告げられた。兵士たちは戦いに備え、民衆は不安を募らせる。王は、王国軍団長シグルスの指揮のもと、カズキと犬上先輩を先頭に平原で魔王軍を迎え撃つ方針を決定した。

その後、救命団の全員が食堂へ集められ、ローズが戦争への準備を指示した。ウルルは久しぶりに宿舎を訪れたらしく、懐かしげに周囲を見渡していた。トングたちにも気軽に挨拶しており、彼女の天真爛漫さが際立っていた。

ローズは救命団に対し、戦場での任務を説明した。二日後、王国軍と共に進軍し、平原に陣を築くことになる。特にウサトとウルルにとっては初めての戦争であるため、注意を怠らないようにと念を押した。

ブルリンとの遭遇とウルルの敗北

ウルルはウサトに対し、ブルーグリズリーの子供を見たいと頼んだ。断り切れず、ウサトは彼女を馬小屋へ案内した。そこでは、ブルリンが気だるそうに寝転がっていた。ウルルは目を輝かせながらブルリンに近づき、無邪気に抱きつこうとした。しかし、ブルリンは容赦なくウルルを藁の束へ弾き飛ばした。

ショックを受けたウルルを慰めるように、ローズのペットであるククルが彼女の肩へ飛び乗った。しかし、ウルルがククルに頬ずりしようとすると、ククルは即座にウサトの肩へ飛び移った。ウルルは呆然としたが、ウサトがククルを差し出すと、大人しく受け取った。

ローズの過去と救命団への想い

ウルルはウサトに、ローズがどれほど厳しい訓練を課していたかを語った。救命団が設立された当初、彼女の指導についていけず脱落する者が多かったという。ウルルとオルガはローズに誘われて入団したが、最終的には戦闘に参加せずサポートに回ることになった。

ウルルは、当時のローズが「何かに執着するように訓練を続けていた」と回想しつつ、現在の彼女は以前よりも穏やかに見えると話した。そして、「ローズさんはウサト君に期待している」と真剣な表情で告げた。

ウサトは「期待されるほどのことはない」と否定したが、ウルルは「ローズを嫌いにならないでほしい」と懇願した。ウサトはすでに彼女を嫌っていないと答え、ウルルは安堵の表情を浮かべた。

ローズの怒りとウサトの運命

ウルルとの会話を終えたウサトは、ローズの訓練について愚痴をこぼしながら宿舎に戻ろうとした。しかし、その背後から強い力で頭を掴まれた。振り向くと、ローズが怒りの表情を浮かべていた。彼女の肩にはククルが乗っており、どうやらウサトの発言を聞かれていたようだった。

「随分好き勝手言ってくれるな」と冷静な口調で言いながら、ローズはウサトの頭をさらに強く締め上げた。痛みに悶えるウサトを尻目に、ローズはウルルに「オルガが中で待っているから話を聞いておけ」と告げた。ウルルは「ウサト君、頑張って」と一言だけ残し、その場を後にした。

完全に見捨てられたウサトは、ローズに担ぎ上げられ、宿舎の中へと連れて行かれた。彼の運命はもはや逃れられぬものであった。

第七話  救命団として!  の巻

馬車での移動と会話

救命団は馬車に乗り、平原地帯へ向かっていた。ローズが手綱を握り、馬車内にはオルガやウルル、そして強面の隊員たちが座していた。馬車の前方ではリングル王国の騎士たちが進軍し、整然とした隊列を成していた。主人公はローズの隣に座ることになり、その静かな雰囲気に緊張しながらも、気になっていた魔族について尋ねた。ローズによると、魔族は異形の角を持つ亜人であり、人間を上回る身体能力と魔力を有しているという。

会話の流れの中で、ローズは主人公の成長を評価し、勇者召喚に巻き込まれたにもかかわらず強くなったことに驚いていた。また、主人公の治癒魔法の使い方が貴重であり、彼女の訓練に耐え抜いたこと自体が異常であるとも指摘した。彼女が考案した治癒魔法の運用は、誰でも習得できるものではなく、主人公が唯一の後継者であると語った。

橋の破壊と魔族側の焦燥

一方で、魔王軍第三軍団長のアーミラは橋の破壊によって進軍が遅れたことに苛立っていた。再建には時間がかかり、士気の低下が懸念された。黒騎士と呼ばれる戦闘狂の部下は戦闘を待ち望みながら、王国軍について尋ねた。アーミラは王国軍には「人攫い」と呼ばれる化け物がいると警戒を促したが、黒騎士はその存在を信じておらず、むしろ楽しみだと笑っていた。

王国軍の布陣と待機

王国軍は広大な平原に陣地を構え、救命団も拠点を設置した。主人公は特にすることがなく、退屈していたが、やがて王国軍の守衛であるアルクが訪れ、救命団の護衛を担当することを宣言した。彼の熱意に安心しながらも、主人公は戦闘への不安を拭えなかった。

その後、犬上先輩が現れ、新しい鎧について得意げに語った。鎧には雷撃魔法をサポートする機能が施されており、動きやすさを重視した設計となっていた。彼女は戦闘を前に高揚している様子を見せたが、カズキの介入によって強制的に作戦会議へと連れ戻された。

魔王軍の接近と戦闘開始

翌朝、王国軍は平原の先に魔王軍の影を確認した。兵士たちは士気を高め、シグルスの指示のもと魔法攻撃の準備を整えた。カズキと犬上先輩は共に戦いへと臨み、先輩は戦場に立つことへの興奮を隠さなかった。

魔王軍が突進を開始すると、王国軍は一斉に魔法を放ち、戦闘が始まった。広範囲の攻撃によって敵に大きなダメージを与えようとしたが、魔王軍側は幻覚魔法を用いて王国軍の魔法攻撃を誘導し、無力化した。その隙を突き、黒騎士と魔造モンスターのバルジナクが先頭を切って突撃し、多くの騎士を斬り伏せた。

黒騎士と人攫いの存在

戦場では黒騎士が圧倒的な力を誇示し、王国軍の騎士を次々と倒していた。戦いの最中、彼は敵を仕留めようとしたが、突如として負傷兵が姿を消すという不可解な現象を目撃する。これはアーミラが警戒していた「人攫い」の仕業であり、黒騎士はその存在に興奮を覚えた。やがて彼は戦場の奥で激しい雷撃を放つ者の姿を捉え、興味を持ってそちらへ向かっていった。

戦場での救命活動と最前線への出撃

一方、救命団の本部では次々と運び込まれる負傷者の治療に追われていた。ローズは救命団の役割を確認し、負傷者の搬送や治療の指示を的確に出していた。主人公も前線へ出ることを告げられ、準備を整えた。

ローズは主人公に「殺しはできないだろう」と問いかけた後、特別な技を伝授した。それは敵を無力化するための治癒魔法の応用技であり、彼の戦闘スタイルに最適なものだった。また、ローズは黒い鎧を纏った敵の存在を警告し、注意を促した。

戦場への突入と救助活動

主人公とローズは戦場へ駆け出し、彼は即座に負傷者を発見し、迅速に回復を施した。最前線では、魔族の兵士たちが猛攻を仕掛けていたが、主人公はその間を縫って負傷者を救助し続けた。攻撃を回避しながらも、一人でも多くの兵士を助けることが彼の戦いだった。

魔王軍の猛攻が続く中、彼は決意を新たにし、さらに戦場の奥へと走り出した。

番外編  スズネの手記

退屈な人生と名家の束縛

犬上鈴音は、これまでの人生を「面白くない」と感じていた。勉強もスポーツも難なくこなせる才を持ち、家庭環境にも恵まれていたが、すべてが充実しすぎていたことで退屈を抱えていた。他人の夢に羨望を抱きながらも、自身の未来に対する希望はなく、思考を放棄し、期待に応え続けるだけの人生に失望していた。

彼女は古い慣習に縛られた名家に生まれ、幼少期から勉強や習い事ばかりを強いられ、自由な遊びの経験すらほとんどなかった。親の命令に従い続ける操り人形のような人生に疑問を抱きながらも、抗うことを諦めていた。彼女の人生は約束された未来を待つだけのものだったが、それが彼女にとっての幸福とは言えなかった。

異世界への召喚と新たな自分

彼女が異世界へ召喚された時、最初に抱いた感情は喜びだった。この世界でなら、新しい自分を始められると期待し、過去の束縛から解放されたと感じた。しかし、彼女の隣にはウサトとカズキがいた。二人は異世界という未知の環境の中で、悩みながらも未来を切り開こうとしていた。その姿は、過去を振り切ったはずの彼女にとって、あまりにも眩しく映った。

カズキは戦いを前に苦悩しながらも、自分という存在を確立しようともがいていた。彼の成長を見守る中で、彼女は自身が変わることの難しさを再認識した。そして、ウサトは誰よりも早く自らの役割を見出し、迷いなく行動していた。その姿勢に触れることで、彼女は自分も変わりたいと強く願うようになった。

仲間との絆と決意

ウサトと森で話した時、彼女の心には不安が渦巻いていた。しかし、彼はそんな不安を気にも留めず、異世界への憧れを語り、彼女の存在を肯定した。偽りの名家の娘ではなく、この世界の「犬上鈴音」として認めてくれたことが、彼女にとって何よりも嬉しかった。

彼女は、ウサトとカズキにとっても、自分がかけがえのない存在でありたいと願った。そして、彼と誓ったように、自らの新しい居場所を守るために戦うことを決意した。彼女の世界には、もはや絶望は存在しなかった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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