小説【治癒魔法】「治癒魔法の間違った使い方 5巻」感想・ネタバレ

小説【治癒魔法】「治癒魔法の間違った使い方 5巻」感想・ネタバレ

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どんな本?

治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜』は、くろかた 氏による日本のライトノベルで、イラストはKeG 氏が担当。
この作品は、2014年3月から「小説家になろう」で連載が始まり、2016年3月から2020年3月までMFブックス(KADOKAWA)から刊行されました。第2回ライト文芸新人賞で佳作を受賞している。

物語のあらすじは、主人公のウサトと彼のクラスメイトであるカズキとスズネが異世界に召喚されるところから始まる。
カズキとスズネは勇者として呼ばれるが、ウサトはただ巻き込まれただけだった。
しかし、治癒魔法を発現したウサトは「救命団」という部隊に配属された。
この救命団は、治癒魔法で自身の傷を癒しながら身体を鍛え、戦場を駆け回って負傷者を治療する脳筋集団。

このライトノベルはメディアミックスとして、九我山レキ 氏による漫画版が『月刊コンプエース』(KADOKAWA)で2017年6月号から連載されている。
2022年10月時点で、電子版を含めたコミックスの累計部数は200万部を突破。
また、スピンオフコミカライズとして『治癒魔法の間違った使い方 〜誘いの街・レストバレー〜』がカクキカイ 氏による作画で、『FWコミックスオルタ』で2023年8月から先行配信で連載が開始。
さらに、2021年8月15日にはアニメ化が発表され、2024年1月から放送予定。

読んだ本のタイトル

#治癒魔法の間違った使い方 ~戦場を駆ける回復要員~ 5
著者:#くろかた 氏
イラスト:#KeG  氏

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あらすじ・内容

甦った邪竜! ウサトの運命やいかに!?
書状渡しの旅の道中、ゾンビに襲われていた少女・ネアを助けたウサトたち。だが、それはネアが巧妙に仕組んだ罠だった!!
ネクロマンサーと吸血鬼、二種族の血を引くネアの能力で、一時は護衛の騎士・アルクが敵の手中に落ちてしまうが、ウサトは相手にやさしい無慈悲な攻撃「治癒投げ」で仲間を取り戻すことに成功する。
しかし、ネアはかつて“勇者”に倒された古の魔物・邪竜を復活させウサトに反撃を試みる。かつてない強敵にウサトはどう立ち向かうのか。そして戦いの末、追い詰められたネアはとんでもない行動に出るのだった――。
お待ちかねのシリーズ第五巻、なんと今回は我らが救命団団長・ローズの過去にスポットを当てた初の特大書き下ろしも収録。
“治癒魔法の間違った使い方”が生まれた瞬間を刮目せよ!!

治癒魔法の間違った使い方 ~戦場を駆ける回復要員~ 5

感想

この巻では、ウサトが邪龍という強大な敵との戦いに直面し、彼の力と決意が試される。

物語は、ウサトが自分の力を十分に理解せず、手加減なしの強力なパンチをヴァンパイヤとネクロマンサーのハーフのネアに操られたゾンビ達を吹き飛ばす場面から始まりまる。

ウサトは邪龍に全力で攻撃を仕掛けるが、厚い鱗とアンデットの特性によって、その攻撃は効果が見えてこない。

普通ならこの辺りで心が折れてしまうのに、ウサトは飄々と、かつ、強烈に邪竜を殴り紡げる。
彼は邪龍の弱点が心臓にあると悟るが、猛毒に侵された危険な内部に突入することは死を意味していた。

そんな絶望的な状況の中で、ウサトの仲間であるアマコと協力して、毒の中を突破して邪竜を討伐する。
そこで、邪竜の心臓に刺さっていた前勇者の剣を手に入れる。

そうして、邪竜を討伐したウサトたちの冒険に新たな仲間が加わる。

ネアという少女は、吸血鬼とネクロマンサーのハーフで、過去の行いと孤独に苦しみながらも、ウサトたちに反抗し続け。
最終的にウサトはネアに対して慈悲を示し、彼女に新たな機会を与えることを決めた。
しかしネアは、ウサトに執着して彼との間に不穏な契約を結ぶ。

その後、ウサトたちはネアによって引き起こされた騒動の後始末に取り組む。

ネアは村人の記憶から、自身の記憶を全て消し。
変身能力でフクロウの姿となり旅に同行するのだが、、
彼女の自己中な性格とアマコとの絶え間ない喧嘩に悩まされながらも、サマリアールという国に到着。

街では奴隷制度の現実に直面し、ウサトはアマコを慰めるなど、国に入った早々に嫌な気分となる。

そして、急にアマコとネアが突然姿を消し、ウサトとアルクは彼らを探しに行こうとするだが、、
彼女達が逃亡した理由、サマリアールの王がウサトとの面会を望んでいることを知らされる。
この不意の要求に疑念を抱きつつも、ウサトたちは王との面会に向かう。

総括

物語はウサトが邪龍との壮絶な戦いに挑む場面から始まりまる。
彼の力と決意が試される中で、新たな仲間ネアとの関係も深まっていきます。

この巻では、社会人として忙しい日々を過ごしながらも、少しの隙間時間で異世界の冒険に思いを馳せることができた。
特に印象的だったのは、ウサトが直面する諸々の困難に対する対応だった。

当初の彼はただの治癒魔法使いだったのだが、救命団団長、ローズから施された修行によって肉体と精神の限界に挑む戦士へと変貌。

ウサトの困難に直面しても脳筋な行動が、日々の仕事で感じるストレス解消への一役となった。

また、新たな使い魔ネアの加入による変化は、仕事のチームで新しいメンバーが加わった時の状況と重なり、共感を覚えたが、、
ネアほど酷くはなかった。
ネアの存在がウサトたちの関係性や冒険にどのような影響をもたらすのか?

物語の中でウサトが邪龍の弱点を見つけ出し、仲間と共に危険を乗り越えようとする様子は、どんなに困難な状況でも解決策を見つけ出すことの重要性を教えてくれた。

また、ネアとの複雑な関係性は、過去の過ちや誤解を乗り越え、新たな関係を築くことの大切さを示唆している。

総じて、この巻はアクション満載でありながらも、キャラクターたちの内面的な成長や人間関係の複雑さを丁寧に描いており、少しの息抜きと勇気をもらえる作品だった。

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最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

救命団ノ掟  
白服の心構え

一、己の治癒魔法を過信するべからず
一、どのような状況でも心を強く持つべし
一、救うと決めたら、その足を止めるべからず

第一話  災厄再誕!  その名は邪竜!!  の巻ま

ネアの策略と邪竜の出現

ウサトたちは旅の途中、ゾンビに襲われていた少女ネアを助けた。しかし、彼女は単なる村娘ではなく、ネクロマンサーと吸血鬼の血を引く魔物であった。ネアの罠により、アルクまでもが彼女の支配下に落ちたが、ウサトたちは何とか彼を救い出し、ネアの戦闘手段を封じることに成功した。

しかし、ネアは最後の切り札を残していた。それは、全長十五メートルを超える漆黒の邪竜であった。片翼、隻眼のその竜は、紫色の毒霧を漏らしながらウサトたちの前に立ちはだかった。その姿は、ネアの館で手に入れた手帳に記されていた邪竜そのものであり、ウサトは一瞬体を硬直させたものの、すぐに逃走を決断した。

撤退の試みと毒霧の脅威

ウサトはアマコをブルリンの背に乗せ、気絶しているアルクを担いで即座に撤退を試みた。しかし、邪竜は彼らの動きを封じるように大きく息を吸い込み、紫色のヘドロ状の毒霧を吐き出した。その毒は森の木々を瞬く間に枯れさせ、辺りには強烈な悪臭が立ち込めた。

ウサトは即座に治癒魔法で毒を無効化したものの、アマコは毒の影響を受け、顔色が青ざめていた。彼はアマコとアルクに治癒魔法を施しつつ、毒の影響を避けるために安全な場所へ移動しようとした。しかし、邪竜は館の周囲を覆うように毒を撒き散らし、逃げ道を完全に封じてしまった。

決意と対決の開始

邪竜はウサトを見下すような目で睨みつけ、その視線は以前リングルの森で戦った蛇のものと酷似していた。ネアは高らかに笑いながら邪竜にウサトの捕獲を命じた。逃げ場を完全に塞がれたウサトは、アルクとアマコをブルリンに預け、自ら邪竜と対峙する決意を固めた。

邪竜は咆哮を上げながら地を這い、巨体を揺らしながらウサトに迫った。その動きは緩慢だったが、腕を振るう威力は凄まじく、一撃でも当たれば即死しかねない攻撃であった。ウサトは必死に回避しながら攻撃の隙を探ったが、邪竜は連続で腕を振り下ろし、強烈な風圧が彼の接近を阻んだ。

ネアへの反撃

ウサトは邪竜の動きを見ながら、ネアに向かって叫んだ。邪竜が暴走しているように見えたため、本当に彼女が制御できているのかを問い詰めた。ネアは自信満々に、彼女のゾンビは命令に絶対に背かないと断言した。

ウサトはその言葉を聞き、即座にネアの顔面に向けて治癒魔法弾を投げつけた。見事に直撃したネアは悲鳴を上げながら館の屋根へ落ち、その瞬間、邪竜の動きが止まった。ウサトはその隙を見逃さず、拳を握りしめ邪竜へ向かって突進した。

邪竜への渾身の一撃

ウサトは全力で右拳を引き絞り、動きを止めた邪竜の胸部に向かって渾身の一撃を叩き込んだ。邪竜の黒い鱗を貫くような拳が炸裂したその瞬間、邪竜は低く呻きながら不吉な言葉を発した。

「ユウシャ、オナジ……コロス」

邪竜の声が響いた刹那、ウサトはさらなる戦いの幕開けを悟った。

第二話  絶体絶命!  恐るべき邪竜の力!!  の巻

邪竜との対峙と異様な感触

ウサトの拳が邪竜の胸部に突き刺さった。しかし、想像していた手応えはなく、まるで厚いゴムを殴ったかのような衝撃が吸収される感覚であった。ネアの魔術による鎧とは異なり、拳の力がまったく通じていない。彼の脳裏には、手記に記されていた「邪竜の堅牢な鱗には意味を成さなかった」という一文が浮かんだ。

邪竜の体は確かに劣化しているはずだったが、それでもウサトの攻撃を完全に無効化するほどの強度を保っていた。拳を引き抜こうとした瞬間、彼は拳を通じて不気味な鼓動のような感触を覚えた。さらに、視界の端で月明かりが遮られたことに気づき、上を見上げると、邪竜の生き残った片目が彼を見下ろしていた。

邪竜の意思と戦慄の視線

邪竜の目は、ただのゾンビとは異なる明確な意思を帯びていた。乾燥しひび割れた眼球がウサトを覗き込み、その裂けた口元はまるで嘲笑しているかのようだった。ウサトは金縛りにあったかのように動けなくなり、全身が危機感に包まれた。

このままではやられると判断したウサトは、強引に拳を引き抜き、自らの額を殴りつけることで意識を回復させた。荒療治によって眉間から顎にかけて血が滴ったが、すぐに治癒魔法で応急処置を施し、邪竜から距離を取った。

ネアの支配と邪竜の異変

邪竜は明らかに異常な動きを見せた。ゾンビであるにも関わらず、ウサトの背後に目を向け、得体の知れない言葉を呟いた。その視線の先には、ウサトの仲間がいる村があった。邪竜は村を見据えたまま、不気味な呻き声を上げる。

ウサトは邪竜を無視し、半壊した洋館へと向かう。しかし、彼の耳に不快な笑い声が響いた。邪竜は突如喉を大きく膨らませ、口元から毒の霧を漏らし始めた。ウサトは即座に危険を察知し、攻撃を回避しようとしたが、邪竜の狙いは彼ではなかった。

村への毒霧と阻止の決意

邪竜の狙いが村への攻撃であることを悟ったウサトは、全力で彼を阻止しようとした。彼は治癒魔法を込めた拳で邪竜の顎を殴りつけ、毒霧の放出を阻止することに成功した。しかし、邪竜の毒はウサトの体を包み込み、彼は激しい咳と吐き気に襲われた。

アマコの助言を受けながらウサトは回復を試みたが、邪竜の行動はますます異常になっていった。彼は破壊衝動の塊であり、村を襲うことに執着していた。ウサトはもはや逃げるという選択肢を捨て、邪竜を止める決意を固めた。

ネアの敗北と邪竜の真実

ウサトの指摘により、ネアは邪竜を操れていないことを認めざるを得なくなった。しかし、彼女は邪竜のゾンビ化を解除し、死体へと戻そうと試みた。紫の魔力が邪竜の体から抜け落ち、彼は再び動きを止めたかに見えた。

ネアは安心し、ウサトを捕らえようとした。しかし、次の瞬間、邪竜は突如として動き出し、ネアを鷲掴みにした。彼はニヤリと口を歪めながら言葉を発した。「枷は消えた。邪魔な魔力も消えた。邪魔な勇者も殺した。」

ネアは混乱しながら問いかけたが、邪竜は嘲笑いながら彼女を放り投げた。そして、彼の目は再び村を見据えた。

ウサトの復活と逆襲

絶望的な状況の中、突如として洋館の壁が吹き飛び、何かが飛び出した。槍の刃のような武器を携えた男が、邪竜の下顎へ強烈な一撃を叩き込んだ。

その男――ウサトは、血まみれになりながらも、鋭い眼光を輝かせ、邪竜に向かって叫んだ。「さっきのお返しだ!」

彼の姿を見たアマコは、思わず驚愕の声を漏らした。「こわっ!?」

血に染まり、異様なまでに剣呑な目をしたウサトが、邪竜との決戦に臨もうとしていた。

館の崩壊とウサトの決意

ウサトは瓦礫に埋もれながらも、なんとか意識を保っていた。天井は完全に吹き抜けとなり、空が見えていた。衝撃で右肩が脱臼していたが、彼はすぐに骨をはめ直し、治癒魔法で痛みを和らげた。大きな外傷こそなかったが、彼の心には不安が渦巻いていた。邪竜は単なるゾンビではなく、高い知能と圧倒的な力を持つ強敵であった。

逃げることも考えたが、もし自分がここで倒れれば、邪竜は次に村を襲うだろう。そして、その先には王国やルクヴィスがある。ウサトは、お守りを握りしめ、先輩やカズキのことを思い浮かべた。彼らと再び会うためにも、ここで負けるわけにはいかなかった。

邪竜の弱点を探る

邪竜と戦う方法を模索する中、ウサトはネアの書斎で見つけた手記を思い出した。そこには、先代勇者が邪竜の口の中に飛び込み、心臓を貫いたと記されていた。しかし、邪竜はゾンビであり、内臓が機能しているはずがなかった。それにもかかわらず、彼が殴った際に感じた鼓動が気になった。

もし、邪竜の体内にまだ機能する心臓が残っているのならば、先代勇者と同じ方法で倒せるかもしれない。確かめるために、ウサトは館からの脱出を決意した。

武器の発見と戦闘への移行

出口へ向かう途中、彼は崩れた鎧の傍らに落ちていた長大な槍、ハルバードを見つけた。試しに持ち上げると、それなりの重量があり、大男が使っていた武器のようであった。邪竜の相手にはこれくらいの武器が必要だと判断した彼は、それを肩に担いだ。

その時、館の外から激しい物音が聞こえた。窓から外を確認すると、邪竜がアマコたちを狙っているのが見えた。悠長にしている暇はないと判断し、ウサトは窓を突き破り、ハルバードを構えて邪竜に向かって跳躍した。

邪竜への攻撃と戦況の変化

ウサトはハルバードを横薙ぎに振り、邪竜の下顎に叩きつけた。鋭い一撃が直撃し、邪竜の歯が砕け、巨体が地面に倒れ込んだ。着地したウサトは、すぐにアマコたちの元へ下がり、無事を確認した。しかし、アマコは彼の顔を見て驚愕の表情を浮かべていた。

その間に邪竜は起き上がり、毒の霧を漏らしながら再びウサトを睨みつけた。敵意を剥き出しにし、「勇者」と呼びながら襲いかかってくる邪竜に対し、ウサトは治癒魔法弾をその目に投げつけ、視界を奪った。さらに、後ろ脚に蹴りを入れてバランスを崩させ、倒れた邪竜の胸部へと接近した。

邪竜の心臓の発見と戦略の変更

ウサトは邪竜の胸部に掌底を打ち込んだ。確かな手応えとともに、そこには明確な鼓動が感じられた。どういう理屈かは分からないが、邪竜の心臓はまだ動いていた。ならば、先代勇者と同じ方法で内部から破壊すれば倒せる。

彼は邪竜の口元へ向かい、体内に飛び込もうとした。しかし、突如として足に力が入らなくなり、バランスを崩した。過度の治癒魔法と戦闘で体力を消耗していたため、治療が追いついていなかったのだ。

邪竜はウサトの動きを見て、自分が過去に倒された戦術を察知したのか、激怒しながら口内に高濃度の毒を充満させた。これでは突入するのは不可能であった。ウサトは計画を変更し、ハルバードを拾ってアマコたちの元へ撤退した。

アルクの復活と共闘の決意

疲労困憊のウサトは、アマコとブルリンに邪竜の弱点を伝えた。だが、具体的な攻撃手段が思い浮かばなかった。そこで彼は、玉砕覚悟で再び口の中に突入する案を口にしたが、アマコに制止された。彼女の悲しそうな表情を見て、ウサトは自己犠牲の道を捨て、別の方法を模索することにした。

その時、背後からアルクの声が聞こえた。ブルリンを支えにして立ち上がった彼は、意識を完全に取り戻していた。操られている間も僅かに意識があり、状況を把握していた彼は、ウサトに一つの提案をした。それは、皆の力を合わせれば邪竜を倒せるかもしれないというものであった。

ウサトは仲間たちを見回した。アマコ、ブルリン、アルク。旅を始めて間もないが、彼にとってはかけがえのない仲間であった。彼らの協力があれば、必ず道は開ける。

「やりましょう。僕たちの力で、あの邪竜を倒します」

彼の決意にアルクとアマコが頷き、ブルリンも力強く吠えた。共に戦うことで活路を見出せるはずだ。ウサトは不敵な笑みを浮かべながら、再び邪竜を見据えた。

第三話  決着!  決死の一撃!!  の巻

邪竜との決戦

ウサトとブルリンは、邪竜を陽動するために二手に分かれて動いた。邪竜の攻撃を避けながら、二人は交互に攻撃を仕掛け、その巨体を揺さぶることに成功する。ブルリンの体当たりで邪竜の横腹を揺らし、ウサトはその隙に脚へ拳を叩き込み、地面に倒れ込ませた。邪竜は苛立ちながらも、ウサトを勇者と比べ、その劣等さを嘲る。しかし、ウサトは冷静に挑発を続け、邪竜の注意を引きつけた。

仲間との連携と突破口の発見

戦いながらウサトは、かつてリングルの森で戦った蛇のことを思い出した。あの時の戦いと似ているが、今の彼には頼れる仲間がいる。ブルリンの背を踏み台に跳躍し、邪竜の喉元へ回し蹴りを叩き込むと、邪竜は毒を吐きながら苦しんだ。その姿を見たウサトは、勇者たちの力を思い浮かべ、今の邪竜がもはや脅威ではなく、ただのトカゲに過ぎないと確信する。怒りに駆られた邪竜は、ウサトを執拗に狙うが、ブルリンの一撃によって横へ吹き飛ばされた。

邪竜の弱点と決着の準備

邪竜はゾンビ化し、かつての耐久力以上の不死性を得ていた。しかし、ゾンビであるがゆえに特定の弱点があるとウサトは考えた。その時、アマコが彼を呼び、アルクの準備が整ったことを知らせる。彼の元へ駆け寄ると、アルクはハルバードに魔力を込め、刃を赤熱させていた。ウサトがそれを握ると、アルクは邪竜の体を貫く唯一の策を伝えた。炎の力を込めた斬撃で邪竜の鱗を斬り裂き、心臓を潰す。それが最後の手段であった。

毒霧の罠とアマコの支援

作戦を実行しようとした瞬間、邪竜は毒の霧を吐き出し、その姿を完全に覆い隠した。ウサトは毒の中へ突入しようとするが、視界を奪われることを警戒する。しかし、その時アマコが背中に飛びつき、自分がウサトの「目」となり、指示を出すと申し出た。彼は治癒魔法で自分とアマコを保護し、毒の霧の中を疾走する。アマコの指示に従い、邪竜の攻撃を回避しながら前進し、ついに毒の霧を突破した。

邪竜の最期と謎の刀

霧を抜けた瞬間、邪竜の巨大な尾が振り下ろされたが、ブルリンがそれを防いだ。その隙にウサトは一直線に突進し、ハルバードを邪竜の胸部に振るった。刃が燃え盛り、邪竜の鱗を焼き裂いた。しかし、一撃の勢いで刃が折れ、戦況は不透明となる。だが次の瞬間、邪竜の胸部に大きな亀裂が走り、真っ白な灰が溢れ出す。その奥には、血のように赤く鼓動する心臓が存在していた。

その心臓には一本の日本刀が突き刺さっていた。邪竜が生き続けた原因は、この刃にあったのではないかとウサトは直感する。邪竜が狂乱しながら吠える中、ウサトは心臓に突き刺さった刀を掴み、力の限りに引き抜いた。その瞬間、邪竜は動きを止め、全身が灰となって崩れ落ちた。

戦いの終結と疑問

邪竜の消滅を確認し、ウサトはその場に座り込んだ。アマコやブルリン、アルクも無事であり、戦いが終わったことを実感する。しかし、ウサトの心には疑問が残った。先代勇者は、なぜこの刀を邪竜に突き刺したのか。単に封印のためなのか、それとも別の目的があったのか。彼は手にした刃を見つめながら、解せない思いを抱いた。

しかし、邪竜を倒して終わりではなかった。この騒動を引き起こした張本人が、まだ残っていた。アマコに案内を頼み、ウサトは最後の決着をつけるために立ち上がった。

第四話  恐れていた未来!!  の巻

魔族の血統と孤独

ネアは吸血鬼の父とネクロマンサーの母の間に生まれ、両者の優れた能力を受け継いでいた。両親は彼女を愛し、多くを教えたが、彼らは人間に殺された。十歳の時、ネアは両親を失い、残されたのは母の蔵書と父が支配していた村、そして広大な館だけであった。復讐する相手もなく、彼女は長く嘆き続けた。しかし、一人きりの生活に耐えられず、父が支配していた村に記憶を操作して潜り込んだ。

人間社会での擬態

ネアは様々な形で村に溶け込み、何度も異なる役割を演じながら生き延びた。妹、姉、孤児、村を見守る存在として、彼女は約三百年もの間、人間の中で過ごした。その間に魔術を学び、知識を蓄えたが、単調な生活に飽き、刺激を求めるようになった。そして、異世界からの治癒魔法使いと予知能力を持つ少女に目をつけ、どんな手を使っても捕まえようと決意する。しかし、その目論見は邪竜の暴走によって崩れ去った。

敗北と自己嫌悪

邪竜との戦いの末、ネアは重傷を負い、動くことすらままならない状態になっていた。己の過ちを悟りながらも、彼女は父と母の末路を思い出していた。人間を弄びすぎた末に命を落とした両親と、自分が同じ道をたどっていることに気づき、虚無感に襲われる。邪竜の復活は計画通りだったが、その本質を理解していなかったことが誤算であった。邪竜は単なる操り人形ではなく、魂がこの世に縛りつけられていた存在だったのだ。

勇者の作為

邪竜の魂が封じられていた理由を考えたネアは、過去の勇者が関与していた可能性に思い至る。伝説の勇者は魔王すら封じた存在であり、魂の封じ込めなど造作もないことだったのかもしれない。しかし、それを確かめる術はすでに失われていた。結局、彼女の行動がもたらしたのは、村の危機と自身の破滅だけであった。自分の存在が不要であると感じた彼女は、全てを諦めようとした。

ウサトとの対峙

邪竜を倒したウサトたちは、館の奥へと進んでいた。疲労困憊のウサトは、それでもネアと話をするために歩みを止めなかった。階段を上り、彼らはボロボロになったネアと対面する。ウサトは彼女の状態を見ても動じず、冷静に問いかけた。ネアが邪竜を蘇らせたことへの怒りを露わにし、彼女の行為がどれほどの危険を招いたかを指摘する。

ネアの本心

ウサトは、ネアが村を盾にしなかった理由を問う。もし彼女が本当に非道な存在なら、村人たちを利用すれば容易にウサトを捕らえられたはずだった。しかし、ネアはそうしなかった。彼女が無意識のうちに村を守ろうとしていたことをウサトは見抜いていた。動揺するネアに対し、彼は村人たちを巻き込んだことの重大さを突きつける。ウサトの言葉に耐えきれなくなったネアは、彼の言葉を遮り、涙を流した。

ウサトの提案とネアの決断

ウサトは、ネアが人間の世界に戻り、村の娘として生きる道を示す。しかし、ネアは拒絶し、自分にはその資格がないと訴える。それでもウサトは、彼女がやり直せると説得を続けた。ネアは動揺しながらも、心のどこかでウサトの言葉に揺れ動いていた。しかし、その直後、彼女は驚くべき行動に出る。

契約の強制

ネアは突如として自らの喉に爪を立て、自殺を図ろうとした。だが、ウサトが咄嗟にその手を掴み、彼女の命を止める。これが、彼女の計画の一部であった。彼の血が付着した手を利用し、古き契約を発動したのだ。契約魔法の発動により、ウサトとネアの間に強制的な絆が結ばれようとしていた。

ウサトが抵抗しようとするも、ネアは執念で彼の手を握り続けた。そして、契約の光が館全体を照らし、二人の間に消えない魔法の刻印が刻まれたのだった。

第五話  新たな仲間!  使い魔はフクロウ!?  の巻

長い夜の終わりと村の出発

ウサトは限界まで戦い抜いた後、気絶し、目覚めたときにはテトラの家のベッドの上にいた。彼が眠っている間に、洋館は火を放たれ、黒く焦げた骨組みと燃えカスだけが残った。邪竜の亡骸も、ただの灰となって消えていた。

回復したウサトはアマコたちと村を出る準備を整え、村長のもとへ挨拶に向かう。村人たちは彼らの功績に感謝し、大量の食料を手渡そうとしていた。その厚意に困惑しながらも、ウサトは温かい見送りを受ける。しかし、彼の関心はただ一つ、ネアの存在が村から完全に消えたことだった。

消えた少女の痕跡

テトラは二十年前から一人で暮らしていたと語る。夫と娘を魔物に殺されて以来、ずっと一人だったという。ウサトはその言葉を聞き、ネアがどれほどの記憶を操作し、村の人々にとって「存在しなかったこと」になっているのかを理解した。

しかし、テトラは何かを感じ取っていた。「昨日になって突然家が広くなったような気がする」と言い、不思議そうな表情を浮かべる。その言葉を聞いたウサトは、彼女の記憶からネアが消えても、完全に存在の痕跡を消すことはできなかったのだと悟る。

新たな旅立ち

村の見送りを受けながら、ウサトたちは村を後にした。村人たちは誰もネアのことを口にせず、まるで最初から存在しなかったかのように振る舞っていた。彼らはネアに操られていた記憶すら持たず、ただ平和を取り戻したことに安堵していた。

そんな中、ウサトの肩に一羽の黒いフクロウが舞い降りる。そのフクロウは、どこか不自然なほど馴れ馴れしく彼の肩に止まり、鳴き声をあげる。

フクロウの正体

ウサトはフクロウの様子を見て違和感を抱き、それを逆さにして振ると、動揺したフクロウが人の言葉を発した。その声の主はネアであった。彼女は自らの意思でウサトの使い魔となり、契約を交わしていたのだ。

彼女は自らの家を燃やし、村の記憶を消し去り、完全に新たな生き方を選んでいた。使い魔契約は血を媒介としたものであり、一度交わされると容易には解除できない強固なものだった。

使い魔となったネア

ネアはフクロウの姿を解き、黒髪赤眼の少女の姿に戻る。彼女は以前のドレスとは異なり、動きやすい服装へと変えていた。ウサトは呆れながらも、彼女が本気で旅に同行するつもりであることを理解する。

ネアは契約の証を見せつけ、上機嫌にウサトを「ご主人様」と呼ぶ。その軽い態度にアマコが激怒し、彼女に強烈な蹴りを見舞う。取っ組み合いを始める二人を見て、ウサトは半ば諦めつつも、旅の道中が騒がしくなることを予感した。

新たな仲間と未知なる道

ウサトは邪竜の体内から発見した日本刀を手に取る。ネアは、それが勇者の遺した武器であり、今後何らかの役に立つかもしれないと指摘した。ウサトは刃物を扱うつもりはなかったが、念のため腰に差しておくことにする。

ネアは生と死を操る力を捨て、拠り所だった館も失い、新たな人生を歩むことを決めた。そして今、彼女はウサトの肩に乗る使い魔となった。

「お調子者の使い魔」

それが彼女の新たな在り方であった。

閑話  ウェルシーの報告

リングル王国への帰還と報告

ウェルシーはルクヴィスでカズキ、スズネ、ウサトを見送った後、リングル王国へ戻ることとなった。彼女にとって王国外への旅は珍しいことであり、同行した旅の間は騒々しくも楽しかったが、一人で帰る道のりは静かで寂しさが募った。

数日後、王国へ帰還したウェルシーは、国王ロイドへルクヴィスからの書状の承認を報告した。魔王軍との戦いにおいて隣国との連携は不可欠であり、ルクヴィスを通じた物資補給の体制が整うことに、ロイドと側近セルジオは安堵した。ルクヴィスは戦闘員が少ないため、彼らが前線に駆り出されることはなく、後方支援の要として重要な役割を担うこととなる。

ロイドはカズキたちの貢献を讃え、彼らの成長を喜んだ。しかし、異世界から召喚された彼らに国家の命運を託すことに、責任を感じている様子も見せた。王国のために戦い続ける彼らの努力に報いるため、次なる戦いに備え軍備を整えることを決意する。

ウサトの訓練と異変

ロイドはルクヴィスでの出来事についてウェルシーに尋ねた。彼女は言葉を濁しつつも、ウサトの行動を報告することを避けられないと悟る。そこで、カズキたちの力を示すために仕組まれた学園での戦闘試験について説明した。ウサトはハルファとの戦いで学園生徒に強い影響を与えたが、その後、ルクヴィスの治癒魔法使いであるナックを鍛えることになったのが問題だった。

ロイドは、ウサトがどのような方法でナックを鍛えたのかを尋ねた。セルジオは「ローズのような訓練をしたはずがない」と笑っていたが、ウェルシーは沈痛な面持ちで「大変なことになった」と答えた。

ロイドとセルジオの表情が凍りつく。ウサトがローズと同じような訓練を行ったという事実に、二人は信じられない様子だった。しかし、ウェルシーはさらに続ける。ウサトはナックを鍛える際、まるでローズのような恐ろしい笑顔を浮かべており、言動までもがローズに酷似していたのだ。

ウサトの成長と救命団の理念

ロイドはショックを受けつつも、ウサトが精神的に大きく成長した証だと受け止めた。ローズの荒々しい態度の奥には、誰よりも強い優しさがあり、彼女は戦場で多くの命を救ってきた。ウサトもまた、彼女の理念を受け継ぎ、確固たる信念を持っていることを理解した。

ウェルシーは救命団の存在について改めて考えた。かつてその意義が疑問視されていたが、実際には戦場で負傷者を助け、迅速に治療するという重要な役割を果たしていた。ローズはただ未来を見越して組織を作ったわけではなく、純粋に「人を救いたい」という想いから生まれたものだったのだろう。

ロイドはローズの真意について語ることを控え、「知りたければ本人に尋ねるといい」と言ったが、ウェルシーは彼女に直接聞くことはできそうにないと内心でため息をつく。

ナックの未来と救命団への加入

ロイドはウサトに鍛えられたナックのその後について尋ねた。ウェルシーは、ナックが自身を虐げていた少女ミーナと戦い、勝利を収めたことを報告する。ウサトの訓練によって彼は成長し、救命団の一員となることが決まったのだ。

しかし、ロイドとセルジオは、ナックが救命団でどのような扱いを受けるのかを心配し始める。ウサトですらローズの訓練には敵わないと言っていたことを考えると、ナックがどれほどの厳しい環境に置かれるのか想像がつかなかった。

ウェルシーとロイドは互いに視線を交わし、沈黙する。そして、同時に同じ結論に至る。「ナックの様子を見に行った方がよい」

救命団に新たな仲間が加わることは喜ばしいが、それと同時に、彼が待ち受ける過酷な運命を想像し、彼らは複雑な気持ちを抱いていた。

終わりと、始まりの物語

第一部  ナック、救命団へ

リングル王国への到着

ナックは商人の馬車に乗せてもらい、リングル王国へと到着した。初めて訪れる地に緊張しつつも、期待に胸を膨らませながら城門をくぐった。街は賑やかで活気に満ち、ルクヴィスとは異なり大人が多かった。貴族と平民の垣根がない自由な雰囲気の中、ナックは改めて自分の目的を確認する。

彼が持っているのは、ウサトから託された紹介状だった。救命団に入るためには、まず団長のローズを探し出し、手紙を渡さねばならなかった。そのために、ナックは街の人々に救命団の場所を尋ねることにした。

救命団の評判と周囲の反応

街の果物売りの男に話しかけたナックは、救命団の場所を聞こうとした。しかし、男は「診療所ではなく救命団を訪れる理由」をしきりに尋ね、旅の疲れで治療を求めているのかと勘違いしていた。ナックは勇気を出して、自分が救命団に入りたいことをはっきりと伝えた。

その瞬間、周囲の人々の動きが止まり、空気が一変した。商人や騎士、老婦人までもが次々と彼に詰め寄り、やめた方がいいと必死に止める。彼らは救命団を「英雄のような存在」としながらも、そこでの生活を「修羅の道」と称し、ナックが無謀な選択をしようとしていると本気で心配していた。

ナックは困惑しながらも、自分がウサトの紹介で来たことを告げた。すると、今度は驚きと共に周囲の雰囲気が一変し、彼への警戒は一気に和らいだ。ウサトが認めた者なら大丈夫だろう、という信頼感があるようだった。ナックはリングル王国の人々の温かさと、ウサトの影響力の大きさを実感することとなった。

案内人ウルルとの出会い

ナックが状況を整理していると、一人の少女が現れ、救命団まで案内すると申し出た。彼女はウルルと名乗り、元気にナックを歓迎した。道中、彼女はウサトとの関係を問われると、「友人のような存在」と説明し、彼の急成長について語った。

ナックは自分が救命団にふさわしいのか不安を抱いていたが、ウルルは「ウサトが推薦したのなら、彼にはそれだけの見込みがある」と励ました。ウサトが自分を認めてくれたのなら、自分もその期待に応えなければならないと、ナックは決意を新たにした。

やがて、緑に囲まれた静かな場所に木製の門が現れた。その門には「救命団」と刻まれていた。ウルルはここで別れを告げ、「次に会うときは仲間として」と言い残して去っていった。

救命団の門前での試練

ウルルが去った直後、ナックは突然背後から襟を掴まれた。振り返ると、そこには異様に顔の濃い二人の男が立っていた。彼らはアレクとミルと名乗り、最初は威圧的だったが、ウサトの紹介状を見ると態度を変えた。ナックは彼らに導かれ、救命団の宿舎へと向かった。

宿舎の前で待機していると、アレクとミルとは別方向から、一人の女性が歩いてくるのが見えた。彼女は銀髪に褐色の肌を持ち、団服を着ていた。その手には、引きずられている魔族の少女の姿があった。ナックは彼女がウサトの師匠であり、救命団の団長であるローズだと直感する。

ローズはナックの姿を一瞥すると、魔族の少女を芝生に放り投げ、「休め」と一言だけ告げた。少女は怯えながら従ったが、ナックの緊張はさらに高まる。

救命団団長ローズとの対峙

ナックは震えながらもローズに紹介状を差し出し、救命団に入りたい意思を伝えた。しかし、ローズはそれを受け取ることなく、突然ナックの額にデコピンを放った。その衝撃は凄まじく、ナックは後方へ吹き飛ばされた。

ローズは愉快そうに笑いながら、ウサトの訓練を受けたことを見抜き、「土台はできている」と評価した。そして、ナックに向かい「ウサトより優しくはない」と断言し、救命団は命を預かる場所である以上、一切の甘えは許されないと告げた。

ナックはその厳しさを理解しながらも、迷いなく救命団への入団を宣言した。どんな苦難が待ち受けていようとも、彼はウサトの推薦に応えるため、この道を進む覚悟を固めたのだった。

救命団への入団と歓迎会

ナックは救命団への入団を認められ、部屋と訓練着を支給された。その後、ミルから救命団の規則や方針について説明を受けた。見た目とは裏腹に、彼の説明は丁寧で分かりやすかった。

その日の夜、アレクの計らいでナックの歓迎会が開かれた。しかし、集まった団員たちは皆、体格がよく威圧的な雰囲気を放つ者ばかりであった。彼らの大柄な姿に圧倒されるナックを見たアレクは、「顔面凶器共」と冗談混じりにたしなめたが、団員たちはそれに反発しつつも席に戻っていった。

魔族の少女フェルムとの出会い

ナックが食堂で緊張していると、一人の褐色肌の少女が現れた。彼女は魔族であり、角を持つ特徴的な外見をしていた。ナックが彼女のことを「ローズのデコピンで吹き飛ばされた人」と言ったことで、フェルムは激昂し、ナックに詰め寄った。しかし、ナックはウサトから「彼女は悪い魔族ではない」と聞いていたため、特に恐れることはなかった。

フェルムはウサトがナックにそのようなことを言っていたことを知ると、顔を赤くして悔しがったが、ナックは特に気にせず席へと向かった。

食堂での出会いと救命団員たち

食堂には多くの料理が並べられており、ナックはアレクの料理の腕前に感心しながら席に着いた。そこへ、彼を救命団まで案内したウルルと、彼女の兄であるオルガが現れた。二人は治癒魔法を専門に扱い、普段は街で診療所を運営していることを説明した。

食堂の席が次第に埋まり、最後にローズが姿を現した。彼女が席に着くと、食堂は一気に静まり返り、団員たちは厳粛な態度で彼女の言葉を待った。ローズは簡潔に「新しい仲間が増えたことを祝え」と言い、それを合図に食堂は歓喜の声に包まれた。

救命団員たちの入団経緯

食事が進む中、ウルルの提案で団員たちの自己紹介が始まった。アレクは飯屋の店長を殴って解雇され、路頭に迷っていたところをローズに拾われた。トングは格闘家としてリングル王国に訪れ、ローズとの戦いに敗れた末に救命団へ。ゴムルはチンピラ紛いの生活をしていたが、ローズに捕まり矯正された。グルドは商人の護衛をしていたが、騎士に魔物と勘違いされ、ローズに助けられた形で救命団入り。ミルは元騎士だったが素行不良で追放され、ローズに敗北し救命団へ。

フェルムは戦争中にウサトに捕らえられ、そのまま救命団に連れてこられた。彼女はウサトを敵視しているようだったが、団員たちは彼女の本心を見透かしていた。

ウルルとオルガの兄妹は、かつて仕事を探していたところをローズに誘われ、救命団に加入した。二人は診療所を開き、治癒魔法を活かした活動を続けている。

ナックの過去とウサトとの出会い

ナックも自身の過去と、ウサトとの出会いについて語った。幼馴染であるミーナに虐げられ続けていたが、ウサトに助けられ、厳しい訓練を受けた。訓練は過酷を極め、時には逃げ出しそうになったこともあったが、ウサトの叱咤によって踏みとどまることができた。ミーナとの決闘では恐怖に打ち勝ち、最後には彼女を倒すことができた。この経験を経て、ナックは自らの道を決意し、救命団に入ることを決めたのだった。

ナックの話を聞いた団員たちは、ウサトが徐々にローズに似てきていることを再認識した。彼の訓練方針や豹変ぶりは、すでに救命団の誰もが恐れる存在となっていた。

ローズによる新たな訓練の開始

ナックの訓練内容を聞いたローズは、ウサトのやり方を認めつつも「今後は自らが訓練を見てやる」と宣言した。ナックだけでなく、フェルムも一緒に訓練を受けることとなり、フェルムは絶望的な表情を浮かべた。

ウルルはローズに、なぜ治癒魔法を使った訓練法を編み出したのかを尋ねた。ローズは幼少期、辺鄙な村で育ち、そこでグランドホーンという魔物に支配される日々を過ごしていた。村の大人たちは恐怖に屈し、抵抗することなく魔物に食料を提供していたが、ローズはそれを許せず、怒りのままに体を鍛え始めた。

訓練の方法は単純で、走り、殴り、蹴ることを繰り返し、痛みに耐えながら鍛え続けた。無意識に治癒魔法を使っていたことで、身体の回復が追いつき、結果的にこの独自の鍛錬法が生まれたという。

ローズの過去と強さの証

ローズは長年鍛え上げた身体をもって、ついにグランドホーンを討ち取った。その証として、その皮を剥ぎ、団服として身に纏っていた。ウサトの白い団服も同じ素材で作られており、それは彼女の強さと誇りの象徴であった。

ナックは改めて、自らがこの救命団で生き抜かなければならないことを実感した。彼は新たな訓練に挑む覚悟を固め、今後の過酷な日々に備えることとなった。

第二部  大隊長ローズ

救命団の静寂と新たな訪問者

救命団を訪れる者はほとんどいなかった。それは、リングル王国の住民が救命団員を恐れ、畏敬の念を抱いているためである。また、救命団の手を借りるほどの重傷者が滅多に現れないことも理由の一つであった。負傷者がいても、診療所のオルガとウルルの元を訪れれば済む話であり、救命団そのものを頼る必要はなかった。

しかし、その日、一人の少年が救命団を訪れた。名はナック。ウサトの紹介でここへ来た十二歳の少年であった。

団長ローズの思案

団長室の椅子に背を預け、ローズは灯る蝋燭の炎を見つめながら、救命団の変化を思案していた。団員が増えることは喜ばしいが、十二歳の少年が加わるとは予想もしていなかった。それでもナックには確固たる意思があり、入団を頑なに望んでいた。

救命団創設当初の小規模な組織から、今や十人の団員を抱えるまでになったことを思うと、驚きを禁じ得なかった。

そんな折、団長室の扉が控えめにノックされた。誰が来たのか察したローズは、そのまま室内へ招き入れた。現れたのはブロンドの髪を後ろに結った優男、オルガであった。

オルガとの対話

オルガは、ウルルが今夜は救命団に泊まると決めたことを理由に、心配で残っていたと告げた。彼はナックの様子を見守るつもりのようだった。

ローズはオルガの観察力を改めて感じながら、彼の訪問の理由を尋ねた。オルガは、夕食の席でローズが思い詰めているように見えたため、話し相手になれればと考えたのだという。ローズはそれを否定し、ただの気のせいだと一蹴したが、オルガの言葉には鋭いものがあった。

彼女が治癒魔法を用いた訓練法を編み出した過去を語った際、ローズ自身も無意識に何かを考えていたことに気付いていたのかもしれない。

ナックの問題点

話題はナックへと移った。オルガはローズに、彼がどう見えたかを尋ねた。ローズは「成長途中」と評し、基礎はできているがいくつかの問題を抱えていると指摘した。

ローズはウサトが書いた紹介状をオルガに渡した。オルガが目を通すと、そこには「ナックは一時、他者への治癒魔法が使えなかった」と記されていた。その記述に眉を顰めたオルガは、これは精神的な要因ではないかと推測した。

ローズは「慣らしていけば問題はない」と断言したが、それ以上に懸念しているのは、ナックがまだ十二歳であるという事実だった。未熟な体に過度な訓練を課せば、成長を阻害する恐れがある。

オルガは、意外にもローズがナックの身体を気遣っていることに驚いた。ローズは、無茶な訓練で団員の体を壊すようなことはしないと述べたが、ウサトに対しては明らかに厳しい指導をしていた。その理由を問われると、「あいつは別だ」と即答した。

ウサトと過去の部下の重なり

ローズはウサトについて、「奴は決して折れないし、誰にも屈しない」と語った。彼女自身が間近でウサトの訓練を見てきたからこそ、その確信があった。

そして、ウサトには「かつての部下にそっくりなところがある」と続けた。オルガがその意味を尋ねると、ローズは「昔の私の部下のことだ」と答えた。

その言葉にオルガの表情が固まる。彼はローズが騎士だったころの話を知っていたからだ。ウサトの行動や姿勢は、ローズが過去に率いていた部下たちと重なる部分があるのだという。

過去の回想の始まり

ローズは自身の過去を語ることを決めた。彼女が「大隊長のローズ」としてどのようにして「救命団のローズ」へと変わっていったのか、その経緯を話し始めた。

かつて、彼女はロイド王から「大隊長」という肩書きを与えられたが、その地位に馴染めるとは思っていなかった。しかし、王の信頼に応えるため、力を振るうことに迷いはなかった。

十二歳でグランドホーンを単独討伐したことで、自身の強さを求め続ける道に入った。十五歳で村を出て修行の旅に出た彼女は、リングル王国にたどり着き、そこで騎士たちと戦った。その圧倒的な強さを示した彼女に、王は「民のために力を振るってはくれないか」と語りかけた。

当初は嘲笑っていたローズだったが、王国の人々との交流を通じて、その言葉の意味を理解し、騎士団に入ることを決めた。そして数々の功績を積み重ね、ついに二十歳で大隊長にまで上り詰めた。

魔族の出現と王の指示

大隊長になって半年が経った頃、王は緊急の会議を開いた。近頃、平原付近で魔族の目撃情報が相次いでいるという。襲撃はされていないが、何かを企んでいる可能性があるとして、警戒が必要と判断された。

王は「魔族は人間より膂力が上であり、並の騎士では太刀打ちできない。正面からの戦闘は避けよ」と指示を出した。

その後、広間を後にしたローズは、大隊長のシグルスと意見を交わした。魔族の動きについて意見を求められたが、ローズ自身もその意図を掴めずにいた。

副隊長アウルとのやり取り

会議後、ローズは副隊長のアウルと遭遇した。彼女は快活で、部隊の精神的支柱ではあったが、おしゃべりが過ぎる性格であった。

アウルは魔族の動きを気にしていたが、ローズは今はまだ動くべきではないと判断した。しかし、彼女が気軽に「魔族が攻めてきたら倒せばいい」と発言したことに対し、「侮りは死を招く」と諭した。

その後、アウルの態度の緩みを感じたローズは、部隊全員の訓練を監督することを決定し、彼女を驚かせた。

悲劇の始まり

ローズは自身の過去を回想しながら、かつて率いていた部下たちのことを語った。彼らは皆、優秀でありながらも問題児揃いだったが、共に数々の困難を乗り越えてきた。しかし、ある日、王からの任務が彼女たちの運命を大きく変えることになる。

その任務こそが、彼女にとって、そして部下たちにとって「終わりの始まり」となったのだった。

ローズは苦い記憶を抱えながら、語り続けた──。

第三部  副隊長アウル

魔族の調査任務

ロイド王から、ローズとその部隊に特命が下された。それは、リングル王国から離れた森「リングルの闇」で目撃された魔族の調査であった。最初の警告から一週間が経過し、新たに判明した情報によれば、魔族は三十人ほどの規模で魔物を襲っているという奇妙な行動を取っていた。

この事態により、一部の商隊が王国への訪問を拒否し始めたため、ロイド王は魔族との交戦経験を持つローズとその部下たちを調査へ派遣することを決定した。

部隊の準備と作戦の指示

部隊の宿舎に戻ったローズは、任務の詳細を説明した。食堂にはローズを含め八人が集まり、それぞれが意気込んでいた。彼女は、魔族の動向を調べ、可能ならば撃退するという目的を明確にし、万が一に備えた準備の重要性を説いた。

その後、出発日時や装備、役割分担について指示を出し、部下たちは威勢よく応じた。アウルが隊員に注意を促すと、彼女の不用意な言葉のせいで隊員たちの怒りを買い、乱闘が始まる。ローズはそれを一瞥しながら静かにため息をついた。

そんな中、ローズの前に黒い毛並みの魔物、ノワールラビットのククルが跳んできた。かつて旅の最中に飼い始めた魔物であり、今では良き相棒である。優れた探知能力を持つククルを連れていくことも考えたが、今回は魔族が魔物を襲っているという情報から、彼を危険にさらすべきではないと判断した。

部下たちが騒ぐ中、ローズは自身が前線に立つことを告げ、部下たちに援護を任せると宣言した。これにより士気は一気に高まり、部隊は確かな信頼関係のもと、準備を進めていった。

リングルの闇への出発

部隊は早朝に出発し、リングルの闇の近くにベースキャンプを設営した。魔族捜索の準備を整えながら、武器の点検と作戦の最終確認を行った。捜索開始は翌日の早朝であり、長期戦になる可能性もあるため、万全の準備が求められた。

夜になり、部下たちが休息を取る中、ローズは交代の時間まで火の番をしていた。焚き火に木の枝をくべながら、眠っている部下たちを見回す。驚くほど無防備に眠る彼らの様子に、彼女は呆れつつも、どんな状況でも動じない精神力の強さを再確認した。

すると、焚き火の近くに一人の影が現れた。アウルであった。彼女は寝ているふりをして、ローズと二人きりになる機会をうかがっていたようだ。

アウルの疑問

沈黙の後、アウルは「なぜ自分を副隊長に選んだのか」と問うた。ローズは「なんとなく」と返すが、アウルは納得できず、より具体的な理由を求めた。彼女は自分が部隊の中で特に優れた能力を持っているわけではなく、他の経験豊富な騎士の方が適任だったのではないかと悩んでいた。

ローズは、アウルが副隊長に相応しいと確信して選んだことを伝えた。彼女が報告書の作成や武器の申請などの事務作業をこなしていることも、その証拠であった。さらに、いずれは隊長の座を譲る可能性もあると話した。

アウルはそれを拒絶し、「自分が隊長になったら部隊が混乱する」と強く主張した。彼女にとって、ローズは唯一無二の隊長であり、代わりはいないと思い込んでいた。

仲間の信頼

ローズは「変化を受け入れられなければ、前に進めない」と諭した。そして、アウルが思う以上に部下たちから信頼されていることを指摘した。彼女の明るさと頑固なまでの前向きな姿勢が、精神的な支柱となっていることを伝えた。

アウルはようやくその意味を理解し始めたが、背後からニヤニヤとこちらを見つめる部下たちの視線に気づき、顔を赤くした。実は、彼女が悩みを打ち明ける様子を、仲間たちは最初から見守っていたのだった。

からかわれながらも、アウルは仲間の信頼を実感し、彼らの笑い声の中で少しずつ自信を深めていった。ローズはそんな光景を静かに眺めながら、彼らの成長を見届けることこそが自分の役割であると改めて認識した。

隊員たちが笑い声を響かせる中、ローズはふと呟いた。

「いつか……」

彼らが本当の意味で大人になり、それぞれの道を進む時が来るだろう。その日が訪れた時、彼女はこの部隊の成長を心から誇りに思うのかもしれない。

魔族の痕跡と不穏な気配

早朝、太陽の光が差し込み始めたころ、ローズの部隊はリングルの闇に入った。森の奥深くへ馬を進めたが、そこには奇妙な静寂が広がっていた。普段なら聞こえるはずの魔物の気配がまったく感じられなかった。ローズはその異常さに気付き、アウルとともに警戒を強めた。

可能性として考えられるのは二つ。魔族がこの森で何かをしているか、あるいは強力な魔物が現れたかであった。後者であれば、グランドホーンやグローウルフといった凶暴な魔物の仕業である可能性が高かった。

ローズが馬を降り、森の地面を調査すると、木には深く刻まれた爪痕、地面には血痕が残されていた。それはまるで、誰かがグローウルフと交戦した痕跡のようだった。さらに、周囲には多数の足跡が残されており、戦いは集団で行われたものであると推測された。

魔族との遭遇

部隊は足跡を追跡し、ついに魔族の集団がいる平原へとたどり着いた。そこでは、魔族たちが血にまみれたグローウルフを檻へと運び込んでいた。その光景にローズは警戒を強めた。

そんな中、魔族のリーダーと思われる男が、こちらの存在に気付き、静かに振り向いた。彼の名はネロ・アージェンス。彼は軽装でありながら、両腕に手甲を装備し、血塗られた剣を握っていた。その姿から、彼が熟練の戦士であることは一目瞭然であった。

ローズは、魔族が何を企んでいるのか問いただしたが、ネロはその目的を明かそうとしなかった。彼は、ある目的のためにこの依頼を受けたとだけ語り、ローズたちをここで生かして帰すつもりはないと宣言した。

戦闘の開始

交渉は決裂し、戦いが避けられないことが明らかとなった。ローズは部下たちに指揮を託し、自らはネロと対峙することを決めた。彼の実力を見極め、危険な相手であると判断したのだ。

ネロは風の魔法を駆使し、身体能力を強化して戦う戦士だった。その動きは常人のそれをはるかに凌駕し、剣術も一流であった。ローズは接近戦に持ち込むべく猛攻を仕掛けたが、ネロの風の加護による防御と高速の回避能力により、決定打を与えられなかった。

ネロの剣撃を避けつつ、ローズは強烈な蹴りを繰り出し、彼を森の奥へと吹き飛ばした。部下たちとの戦闘に巻き込まないために、彼との一騎打ちの場を移す狙いがあった。ネロもそれを察したかのように、森の中で決着をつける構えを見せた。

激戦の末の決断

森の中で、ローズとネロの戦いは熾烈を極めた。互いに攻撃を仕掛け、風の刃と肉弾戦が交錯する。ネロは竜巻を作り出し、ローズを閉じ込めようとしたが、彼女は治癒魔法を駆使して強行突破した。その果敢な行動に、ネロは驚きを隠せなかった。

激しい攻防の中、ローズは風の鎧をまとったネロの防御を突破し、強烈な一撃を叩き込んだ。だが、ネロもまた簡単には倒れず、なおも戦い続ける意志を見せた。

しかし、戦いの最中、ネロはある決断を下した。彼は勝負にこだわるのをやめ、戦闘の目的を変えたのである。それは、ローズの部下たちを人質にすることでもなく、ただ一方的に相手を殺すという単純な選択であった。

その時、ローズは悟った。彼ら魔族と自分たちの間には、決定的な覚悟の違いがあったのだと。ローズとネロの戦いは、単なる実力の競い合いではなく、どちらがより強い意志を持つかを試されるものであった。

そして、その決断こそが、最も残酷な結末をもたらしたのだった。

第四部  悲劇と再起

決着の兆し

戦いが続く中、ローズの拳がネロの顎を捉え、彼を空高く殴り飛ばした。ネロは剣を盾にして衝撃を和らげたが、それでも地面に叩きつけられる。ローズはすかさず追撃を仕掛けたが、ネロの反応は鋭く、彼の剣の柄が拳を阻む。結果として、ネロは部下たちが交戦する戦場の中心へと落下した。

地に倒れたネロを見た魔族たちは動揺したが、彼はすぐに立ち上がり、自嘲気味に笑った。ローズの部下たちの実力に驚きながらも、彼はある事実を語り始めた。それは、魔族が人間との戦争を計画しているということ、そして、その戦争の障害となるローズたちを排除する必要があるという考えだった。

魔族の狂気と死闘の激化

ネロの言葉により、魔族たちの様子が変わった。彼らは狂気に駆られ、戦いの目的を変えたのだ。もはや生き延びることではなく、敵を道連れにすることが彼らの目的となった。防御を捨て、命を投げ出しながらローズの部下たちへと襲いかかる。

彼女の部下たちは、次々と致命傷を受けていった。ローズが彼らを助けようとした瞬間、ネロが彼女の前に立ち塞がる。彼の剣が振るわれ、ローズの右目が斬られた。視界の半分を奪われ、さらに治癒魔法を無効化する魔剣の効果により、傷を治すこともできなくなった。

戦況は悪化の一途をたどった。ローズは混乱し、戦場を見回すも、すでに部下たちは満身創痍だった。そして次の瞬間、彼女の前にアウルが飛び出し、ネロの剣を受け止めた。

アウルの最期とローズの怒り

アウルは、ローズを庇って深い傷を負った。彼女の血が地面に広がり、ローズの目に映る。意識が朦朧とする中、アウルは穏やかな笑みを浮かべながらローズの名を呼んだ。彼女の最期の言葉は、「隊長の部下として戦えて、幸せだった」。

ローズは治癒魔法を試みたが、魔剣の呪いによりアウルの傷は癒えなかった。彼女は次第に意識を失い、ローズの腕の中で静かに息を引き取った。

怒りと絶望がローズを支配した。彼女は激情に駆られ、ネロへと向かう。魔剣を素手で掴み、血まみれになりながらも何度も拳を振るった。ネロを殴り飛ばし、彼の体を地面に何度も叩きつける。その執念にも似た怒りは、彼女自身の肉体を限界まで追い込んだ。

戦いの終焉と虚無

ネロはついに戦意を喪失し、魔族の少女に支えられながら戦場から姿を消した。ローズは彼を追おうとしたが、彼女の体はすでに限界を迎えていた。地面に膝をつき、血に濡れた手を見つめながら、彼女は何もかもを失ったことを痛感した。

戦場には、彼女の部下たちの亡骸だけが残されていた。彼らは最後までローズを信じて戦い抜いたが、その信頼に応えることはできなかった。

過去の清算と新たな道

ローズは、部下たちの遺体をリングル王国へと運び、彼らの家族の元へ返した。その後、彼女は大隊長の座を辞し、一人孤独に過ごした。王国の者たちは彼女を責めることなく、むしろ感謝の言葉を伝えたが、それが彼女の心をさらに締め付けた。

一ヶ月が過ぎ、彼女は宿舎の片隅で自分を責め続けた。生きる目的を失い、復讐すらも自分を納得させる手段にはならなかった。彼女は死を考えたが、それすらも安易な逃げであると理解していた。

そして、彼女はある決意を固めた。あいつらの死を無駄にしないため、もう二度と同じ過ちを繰り返さないために──。「誰も死なせない組織」を作ることを。

未来への歩み

新たな戦いが訪れる。その時、彼女は今度こそ仲間を守れるように備える必要があった。そのために、戦場を駆ける治癒魔法使いを育てることを決意する。強く、折れない精神を持つ者を探し出し、鍛え上げることで、かつてのような悲劇を繰り返さない。

そして、その答えに辿り着いたのが、ウサトという少年だった。最初はただの子供だと思っていたが、彼の資質を見極めた時、彼女は確信した。彼こそが、自分が探し求めていた存在なのだと。

ウサトの成長を見届けたローズは、彼の存在が自分をも救ったことを理解した。そして彼女は、彼の未来を信じ、彼が無事に帰還することを願いながら、静かに夜空を見上げるのだった。

第六話  到着!  祈りの国サマリアール!!  の巻

旅の喧騒と新たな仲間

ネアを仲間に加えての旅は、騒々しくも賑やかなものとなった。彼女は落ち着きがなく、ドジを踏むことも多かったが、次第に旅に慣れていった。ただ、お喋りな性格だけは変わることなく、旅の途中で異世界の話を聞きたがった。

ウサトは嫌な予感を抱きつつも、異世界の吸血鬼の話をでたらめに脚色しながら語った。その内容にネアは驚愕し、自分との違いに動揺した。ウサトが真実を明かすと、ネアは怒り狂い、彼の頭をつつこうとしたが、使い魔契約による制約で硬直し、逆に自滅した。

ネアとアマコの小競り合い

ネアの失態を見たアマコは、「鳥頭」とぼそりと呟いた。これにネアは過剰に反応し、アマコへと突撃するも、彼女の冷静な対応により簡単に返り討ちにされた。何度も挑むが、同じ結果となり、ウサトは呆れつつも見守るしかなかった。

結局、ネアはウサトの肩に戻り、彼の使い魔としての特等席を確保した。しかし、旅の途中で彼女の正体がサマリアールの人々にどう認識されるかという問題が浮上した。人型の魔物であるネアは、亜人と誤解される可能性があり、最悪の場合、奴隷と勘違いされる危険性もあった。

サマリアールでの問題とネアの対応

ウサトはネアの存在がサマリアールで問題にならないかをアルクに尋ねた。彼の見解では、使い魔であるなら問題はないが、人型の魔物は珍しく、亜人と見なされるかもしれないということだった。そのため、ネアは基本的にフクロウの姿でいる必要があった。

ネアはこれを「当然よ」と得意げに語ったが、ウサトは彼女の変身が容易に解けてしまうことを懸念していた。特に、アマコに投げられるだけで元の姿に戻ってしまうようでは、街中でのトラブルは避けられそうになかった。

城への謁見と留守番の決定

王城での謁見の際、アマコとネアを別行動させることが提案された。アマコはしぶしぶ納得したが、ネアは断固拒否した。しかし、ウサトが「鶏肉」の話を持ち出すと、彼女は怯え、あっさりと了承した。

アルクやアマコはウサトのやり方に慣れている様子だったが、ネアは驚愕し、彼の異常さを訴えた。しかし、結局はウサトの指示に従うこととなった。

ネアの自慢と現実

話題が変わり、ネアは自身の魔術について語り始めた。彼女は「拘束」「耐性」「解放」の三つの魔術を会得しており、特に解放の呪術を誇らしげに語った。だが、その習得には四十年を要し、ウサトは人間の視点からその長さに唖然とした。

さらに、ネアは解放の呪術が魔術師には必須の技術だと説明したが、ウサトはこの世界の魔術がほとんど衰退していることを思い出した。彼女がそれを知らないことに気付き、ウサトは真実を伝えることを躊躇した。

目的地サマリアールの到着

ネアが得意げに自慢する中、ウサトの視線の先に城壁に囲まれた街が見えた。そこには高くそびえる城と塔があり、サマリアールの目的地であることが分かった。ネアの騒動を経ながらも、ウサトたちはようやく次の目的地に辿り着いたのであった。

第七話  不穏!  ウサトを知る王!!  の巻

サマリアールへの到着と不審な対応

ウサトたちは「祈りの国」と呼ばれるサマリアールに到着した。ルクヴィスとは異なり、今回はウサト一人でサマリアールの統治者に書状を届けなければならなかった。

城門へ向かい、守衛に通行の許可を求める際、アマコには外套のフードを被らせ、ネアには人間の姿に変えさせた。そして、ブルリンをウサトの使い魔として扱うことで、街への入国が許可された。守衛はブルリンを厩舎へ預けるよう指示したが、リングル王国からの使者であるにもかかわらず、国に来た目的を確認しなかったことが不可解だった。

ウサトは守衛が自分のことを知っていたのではないかと疑問を抱いたが、アルクは「魔王軍の動きが各国に広まっているため、救命団の活動も知られている可能性がある」と推測した。しかし、治癒魔法が不信感を持たれやすい魔法であることを考えると、その評価は不確かだった。

ネアの適応と旅の疲れ

ウサトは旅の間、ネアの問題行動を警戒していたが、何事もなく入国できたことに安堵した。彼女は生まれて初めて外の世界を旅するため、慣れない環境に不安を抱えているはずだった。

だが、実際のネアは陽気な様子でウサトを急かし、そんな彼女を見たウサトはため息をついた。彼女の世話をする責任を感じていたものの、当の本人は旅を楽しんでいるようにしか見えなかった。

リングル王国への報告

ブルリンを厩舎に預けた後、ウサトは次の行動をアルクに確認した。すると、まずリングル王国へ到着の報告をする必要があると言われた。遠く離れた王国にどうやって連絡を取るのか疑問に思うウサトに、アルクは「送り宿フーバード」を案内した。

サマリアールの街並みを進むと、ひときわ目立つ塔があり、その上部には銀色の大きな鐘があった。街には魔具が多く並び、日常生活に密着した道具として売られていた。

奴隷制度との遭遇

市場を歩いていると、アマコが突然ウサトの袖を強く握った。彼女の視線の先には、鉄製の首輪をつけた少年の姿があった。少年は明るい表情をしていたが、ウサトは異世界の厳しい現実と向き合うことになった。

アマコの不安を察したウサトは、フードの上からそっと頭に手を置いた。彼女が緊張しているのは、自分が獣人であることがバレた場合の危険を意識していたからだった。

アルクは「以前はこのように奴隷が表立っている場所ではなかった」と説明したが、ウサトは「いずれ向き合わなければならない問題だった」と受け入れた。

フーバードと通信手段

目的の「送り宿フーバード」に到着すると、そこには青いハトのような魔物がリュックを背負い、飛び交っていた。これがフーバードであり、各地に手紙を届ける役割を果たしていた。

ウサトはこの仕組みに感心し、アマコからフーバードの特徴を聞いた。ネアはさらに使い魔契約について詳しく説明し、フーバードの契約が複数の人物で共有されていることを指摘した。

アルクが手紙を送って戻ると、ウサトに興味深い記事を見せた。それは犬上とカズキの活躍を伝えるもので、決闘トーナメントの本戦進出や魔牛討伐について書かれていた。その壮絶な内容にウサトは驚き、自分の戦いが取るに足らないものに思えてしまった。

鐘の音と祈りの国の異様な光景

突如、大きな鐘の音が響き渡った。サマリアールの人々は一斉に膝をつき、祈りを捧げ始めた。その異様な光景に、ウサトと仲間たちは戸惑った。

ネアは鐘の音に嫌悪感を示し、「気持ち悪い」と呟いた。ウサトは冗談めかして「鐘の音に浄化されそうなのか」と返したが、彼女はそれを否定した。鐘の音が止むと、人々は何事もなかったかのように元の生活に戻った。

アマコとネアの失踪

鐘の音が鳴り止んだ後、ウサトが仲間たちに声をかけようとすると、アマコとネアの姿が消えていた。犬上のようにどこかへふらふらと行ってしまったのかとも思ったが、サマリアールの特性を考えると、不安が募った。

ウサトがアルクに相談しようとした矢先、城から数人の騎士が歩いてくるのが見えた。彼らは明らかにウサトとアルクを目指していた。

騎士団長フェグニスとの対峙

騎士団長フェグニスと名乗る男がウサトに話しかけ、彼の名前と所属を正確に知っていた。ウサトはまだ城へも行っておらず、守衛にも名前を伝えていなかったため、この状況に不信感を抱いた。

アルクは冷静に状況を見極め、「アマコとネアは自らここを離れた」と判断した。彼女たちは、この騎士たちと遭遇すべきでないと直感し、先に逃れた可能性が高かった。

王との謁見への誘い

フェグニスはウサトに対し、「王ルーカス・ウルド・サマリアールが貴方と会うことを望んでいる」と告げた。この突然の展開にウサトは驚き、不安を抱いた。

アマコとネアが消えたこと。自分の素性を騎士団長が知っていたこと。そして、国王がウサトに直接会いたがっているという事実。

彼の初めての書状渡しは、予想以上に不穏な空気に包まれたものとなった。

閑話  邪竜が消えたその後

邪竜の死と魔王の驚き

魔王は邪竜の復活を知ってからしばらく経った頃、突如として異変を感じ取った。専属侍女であるシエルが問いかけると、魔王は「邪竜が死んだ」と告げた。しかし、正確には「本来あるべき姿に戻った」と表現すべきだと続けた。邪竜は魔素へと還ったのである。

本来であれば、邪竜はもうしばらく暴れ続けるはずだったが、予想よりも早く消滅したことに魔王は驚きを隠せなかった。彼は「邪竜が自然に朽ちることはあり得ない」とし、その死因は外的な要因、すなわち誰かが討伐したことによるものだと推測した。

勇者の関与の否定と魔王の探知能力

シエルは、邪竜を倒したのがリングル王国の勇者ではないかと考えた。しかし、魔王はその可能性を否定した。勇者は独特の魔力波動を持っており、魔王自身がそれを把握しているため、彼らが邪竜討伐に関与していないことは明らかだった。

シエルは疑問を抱いた。魔王は城から一歩も出ていないのに、どうして勇者の魔力を認識できるのか。魔王はそれに対し、魔力探知の能力を持っていると説明した。彼によれば、長距離の魔力探知は「星空の中から特定の星を見つけ出すようなもの」だが、特徴的な魔力を持つ存在は容易に探知できるという。特に竜のような強い魔力を持つ存在は、その位置すら把握できると語った。

邪竜討伐者たちの正体

魔王は邪竜を討伐した者たちの魔力を分析し、その場に五つの魔力反応を感知していた。死霊術師と吸血鬼の混血種、ブルーグリズリー、予知魔法を持つ獣人、炎魔法を扱う人間、そして治癒魔法を持つ人間である。

シエルはその構成を聞いて呆れた。まともなのは炎魔法使いだけで、他の四人は一癖も二癖もある者ばかりだった。彼女は冗談交じりに「サーカスのような戦い方で邪竜を倒したのではないか」と口にしたが、魔王は無表情のまま「面白い冗談だ」と返した。

異種族による戦いと魔王の興味

魔王は、邪竜討伐者たちが「種族の枠を超えた者たち」であることに関心を抱いた。彼の知る限り、人間は常に自らを種族の頂点と考え、他の種族を見下してきた。しかし、今回の討伐者たちは異種族が協力し合っていた。魔王はそれを「奇妙だが興味深い」と評した。

やがて彼は椅子から立ち上がり、遠くを見つめた。闇に包まれた広間の天井しか見えないはずだったが、その視線の先には何かを見据えているように思えた。

迫り来る戦乱の兆し

魔王は、「邪竜の目覚めは始まりにすぎない」と呟いた。邪竜の咆哮は大陸全体に響き渡り、数々の変化を引き起こすと予見していた。

禁忌の呪い、現世を生きる神竜とその血族、そして魔族自身にも影響を与えるだろう。魔王はこの変化を「面白いことになる」とし、これから始まる戦乱を確信していた。

彼の表情には、幼子のような無邪気さと、同時に恐ろしく圧倒的な闘争心が宿っていた。そして最後にこう断言した。「戦争だ。遥か昔に繰り返した闘争が、再び始まるのだ」。

その言葉にシエルは何も答えられず、ただ無言のまま魔王の言葉を受け止めた。魔王の声は、広間の暗闇に静かに響き渡った。

番外編  鏡合わせの決意

敗北と軍団長の地位剥奪

アーミラ・ベルグレットは、リングル王国との戦いでの失態により、第三軍団長の地位を剝奪され、一兵士へと降格された。しかし、それを恥じることはなかった。むしろ、後方で指揮を執るよりも、前線で剣を振るい、敵を討ち、仲間を鼓舞することこそが自分に相応しい戦い方だと考えていた。

魔王の言葉により、自らの役割を再認識した彼女は、次の戦いに向けて修練に励んでいた。今もなお、夜の闇に包まれた訓練場で剣を振るい続け、己を鍛え上げていた。

師匠との関係と超えるべき壁

アーミラには、超えるべき二つの壁が存在していた。一つは、魔王軍第一軍団長ネロ・アージェンス。風の魔法を操り、卓越した剣技を誇る彼は、あらゆる攻撃を受け流し、疾風のごとく戦場を駆ける戦士であった。アーミラにとっては師匠であり、目標とする存在であった。

もう一つの壁は、リングル王国の治癒魔法使い、ローズである。先の戦いで、彼女に敗北を喫したことが、アーミラの中に消えない闘志を燃え上がらせていた。

ローズとの初対峙と恐怖

アーミラが初めてローズと対峙したのは、彼女がまだ見習い兵士であった頃だった。その戦場で、師匠であるネロが瀕死に追い込まれ、仲間たちは尽く倒れていた。彼女は師匠を抱え逃げようとしたが、その背後から強烈な殺気を感じた。

振り向いた先にいたのは、這いずりながらも鋭い眼光でこちらを睨みつける人間――ローズ。その目に宿る憎悪は、アーミラがこれまで感じたことのないほど強烈なものであり、恐怖によって身体が動かなくなった。彼女は戦うことなく敗北を認め、師匠を連れて撤退するしかなかった。

この出来事は、彼女にとって屈辱であり、同時に新たな闘争心を抱かせる契機となった。

復讐ではなく闘争心

仲間の死に対する復讐心ではなく、ローズという存在を超えたいという強い意志がアーミラの原動力となった。師匠と同じく、ローズもまた超えるべき壁であり、己の未熟さを思い知らされる存在であった。

しかし、敗戦を機に彼女の視野は広がった。もはや個人的な雪辱のために戦うのではなく、魔族の未来のために剣を振るうことこそが、自分の果たすべき使命であると悟った。

戦士としての覚悟

アーミラは静かに息を整え、剣を上段に構えた。軍団長の肩書きを失ったことで、余計なことを考えず、純粋に己と向き合う時間を得た。次の戦いはさらに激しいものとなるだろう。

再びローズと戦場で相見えるかもしれない。しかし、その時は感情に流されることなく、魔王軍の一兵士として、純粋な闘争心を持って戦うつもりだった。

彼女は魔王軍の剣であり、魔族の未来のために戦い続ける戦士だった。迷うことはない。アーミラ・ベルグレットは、魔王軍の勝利のために、研鑽を積み続けるのだった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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