どんな本?
「転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます」は、謙虚なサークル 氏による日本のライトノベル。
この作品は小説投稿サイト「小説家になろう」で2019年10月31日から連載され、2020年7月2日からは講談社ラノベ文庫より刊行されている。
物語は、血筋と才能に恵まれず非業(?)の死を遂げた凡人の魔術師が、強い魔術の血統を有する王国の第七王子に転生し、気ままに魔術を極める無双ファンタジー。
主人公のロイドは、前世の知識と記憶と魔術への執念を武器に、恵まれた環境で魔術を学び、自由気ままに生きることを選ぶ。
アニメ化もされており、2024年4月1日からテレビ東京系列などで放送されてる。
ロイドの無双ライフや魔術の研究、周囲の個性豊かなキャラクターたちの活躍が描かれている。
読んだ本のタイトル
転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 5巻
著者:謙虚なサークル 氏
イラスト:メル。 氏
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あらすじ・内容
サルーム王国の危機!?
日々魔術の研究に励むサルーム王国の第七王子・ロイド。だが、そんなサルーム王国に危機が迫っていた。大暴走――すさまじい数の魔物が暴走する危険な現象が起き、サルーム王国を目指しているのだ。王国の危機を救うべく、通常は前線で軍の指揮を執る第一王子と第一王女も帰還し大暴走を排除すべく部隊を編成し、その部隊の一つをロイドも率いることになる。だが、子どもと侮られたロイドの下に集まった兵士は数は少なく弱兵ばかり。だけど、魔術を応用して兵を増強し、さらにはロイドと関わったことのある心強い味方たちが集結して――! たとえ国がピンチになっても、魔術の研究は忘れない!? 大人気魔術ファンタジー、大暴走の第5巻!
転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます5
感想
何にも考えずに読める。
サルーム王国の第七王子、ロイドは、平和な読書生活を送っていたが、メイドから国が大きなピンチに陥っていることを聞かされる。この危機とは、魔物の大暴走で、兄のアルベルトから、国を守るためにはロイド一人では難しいと告げられる。そこで、飛行ゴーレムの開発や魔剣の製造、兵士の訓練など、国家としての準備を進める。
ロイドとアルベルトは、サルーム王国を守るために奮闘するサルーム第一部隊と第二部隊を目撃。これらの部隊は、国内外で名を馳せるサルーム最強の将軍、シュナイゼルとクルーゼに率いられていた。二人の帰還により、国の安全が保証される。
一方、ロイドはアルベルトの副官として任命され、魔物の襲撃に対抗するための軍事会議に参加。会議では、ロイドの提案によって、一万体の魔力兵を作り出し、国の防衛力を高めることに成功する。
その後、ロイドは山賊団の討伐という新たな課題に直面。
戦いの最中、ロイドは敵の一員である山賊団の頭領、夜王マルスと対峙。
しかし、ロイド軍の主力は山賊団の副将ビルスと対峙しており、囮を真っ当した彼女はアッサリと降参し、真の主力である夜王マルスが別の場所でロイドたちの本隊に迫っていることを明かす。
最終的に、マルスとの知恵比べの末、ロイドの勝利に終わる。
マルスはロイドに忠誠を誓い、山賊たちはロイドの隊に加わることとなる。苦戦しながらも山賊団を打ち破り、その頭目マルスを仲間に加える。
大暴走に対抗するため、ロイドはマルスやシルファ、元暗殺者ギルドのメンバーたちとともに戦いを挑む。魔物の群れには魔力兵や神聖魔術『光武』を装備した魔力兵が立ち向かい、勝利を収める。
また、タオ =ユイファの武術やクルーゼの戦術も大きな役割を果たす。
最終的に、ロイドたちは大暴走を食い止め、国を守り抜くことに成功する。戦いが終わった後、ロイドは自分の前世の死体がボスとして君臨するダンジョンを密封し、新たな実験場として活用することを決める。
サルーム王国は平和を取り戻し、ロイドは新たな冒険に向けて準備を始める。シュナイゼルとクルーゼ、そして新たに仲間に加わったマルスと共に、ロイドの物語はまだまだ続くことになる。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
ロイド=ディ=サルームは、サルーム王国の第七王子で、前世では貧乏魔術師であった。
現在は十歳で、王位継承権のない自由な立場を生かして魔術の研究に没頭している。
周囲からはあまり期待されていないが、魔術に関しては非常に熱心である。
ある日、城内での静かな読書生活の中、外での騒がしさに気づき、銀髪のメイド、シルファが兵士の訓練を行っているのを目撃する。
また、メイドのレンからサルーム王国が大規模な魔物の大暴走によって滅亡の危機に瀕していることを知らされる。
ロイドはこの情報に興奮し、魔物の大暴走を目の当たりにするために外に出ることを決意。
しかし、第二王子アルベルトから、ロイドが城を抜け出すことを見越して事前に追跡の魔術をかけていたこと、そして現在国が大暴走による危機に直面しているため、ロイド一人の力では対処できないことを告げられる。
アルベルトはロイドに国家としての準備として飛行ゴーレムの開発や魔剣の製造、兵士の訓練が進んでいることを伝える。
そして、ロイドとアルベルトは魔物の襲撃に直面し、城門の上で大量の魔物を目撃する。
大規模な魔物の襲撃により、サルーム王国が危機に瀕していた。
ロイドはこの事態に対処するため魔術を使おうとするが、突如現れた騎馬隊によって魔物が一掃される。
この騎馬隊はサルーム第一部隊と第二部隊であり、それぞれが巧みな戦術と強力な指揮官のもと、魔物を迅速に撃退する。
部隊の帰還により、城内の兵士や民からは歓声が上がる。
サルーム第一王子シュナイゼルと第一王女クルーゼがこれらの部隊の指揮を執っていた。
彼らはそれぞれサルーム最強の将軍と呼ばれ、国内外で名を馳せている。
シュナイゼルは防衛戦を得意とし、クルーゼは攻めの戦を得意とする。
二人はサルーム王国で高く評価されており、彼らの帰還は国の安全を再び保証することとなった。
ロイドとアルベルトは彼らを迎え、城へと戻ることになる。
クルーゼとシュナイゼルは、王城での食事を楽しんだ後、サルーム王国が大暴走の危機に直面していることを受けて戦略会議に参加する。
二人は魔宿体質を持ち、莫大な量の食事を必要とする。
会議では、敵の数が百万を超える大軍に対し、王国は最大で三十万の兵を集めることができる状況であることが明らかにされる。
様々な意見が交わされる中、戦略の検討が進められる。
ロイドは、当初会議から除外されそうになるが、シュナイゼルの意向で例外的に参加が許される。
会議は熱を帯び、三時間を超える長丁場になる。
グリモとジリエルが疲労を訴える中、ロイドは軍事魔術に関する会議の内容に興味津々である。
軍事魔術についての知識が飛び交い、ロイドはその簡略化された術式について学んでいる。
シュナイゼルは黙々と会議に臨み、ロイドは彼と兵棋で交戦する。
シュナイゼルの戦術に対してロイドは敗れるが、そのプロセスを通じて学びを深める。
会議が夜通し続けられたが、ロイドは途中でシルファによって休むよう促される。
翌朝、会議が終了したことを知り、ロイドはシュナイゼルの策略について知る機会を楽しみにしていた。
父王チャールズは、ロイドをアルベルトの隊の副官に任命することを告げる。大暴走という危機に直面し、サルームは有能な人材を惜しむ余裕がない状況である。
ロイドは自身が子供であることを理由に疑問を呈するが、チャールズはシュナイゼルがロイドを副官に推薦したことを明かす。
ロイドはこの任命に内心で喜び、新しい軍事魔術の習得や実験の機会を楽しみにする。
アルベルトと共に作戦会議へ向かうロイドは、任命を受け入れ、自信を持って前に進む決意を固める。
アルベルト私兵隊の兵舎に連れられたロイドは、数十人が三百人ほどに増えた部隊を目の当たりにする。
アルベルトは最終的には二万人に増員する予定であることを明かす。
アルベルトは兵たちの前で演説を行い、彼らの士気を高める。兵たちは貴族の末子たちで、アルベルトは彼らの可能性を信じている。
さらに、サイアス =ロー =レビナントが副官として紹介され、兵たちからの信頼も厚いことが明かされる。
アルベルトはロイドとサイアスに各々五千人の兵を集める任務を与える。
サイアスはロイドに対して、兵を集めるための伝手があるか疑問を投げかける。
ロイドはアイデアを思いつき、自室に向かってサイアスを置き去りにする。
ロイドは、人間の兵士に代わる『影形代』を用いた魔力兵を作成することを考える。
これらの魔力兵は、魔力を固めて作り出され、シンプルな動作しかできないが、ロイドの提案によって細かな指令を出すことが可能になる。
魔力兵には神聖魔術で生成された『光武』を装備させ、実際の兵士と変わらない活躍が期待できるようにする。
ロイドは一万体までの魔力兵を操ることができ、魔力兵を操る術式に改変を加え、兵士たちが直接指令できるようにする。
グリモとジリエルは、この新たなシステムを試し、魔力兵を操る実践訓練を行う。
二人の反応は肯定的で、操作のしやすさと実戦における有効性を高く評価する。
最後に、ロイドはこの新しい戦力を部下たちにも伝える必要があることを思い出し、翌日に話すことを決める。
ロイドは、レンからアルベルト隊の兵士たちがサイアスの元に大半が移ってしまったと聞き、残った兵士たちを集める。
しかし、集まったのはわずかな数で、しかも体格や魔力に乏しい者ばかりであった。
兵士たちはサイアスが紹介する傭兵を安価で雇うという話に誘われ、彼の元に集まっていた。
レンはロイドの隊に参加したいと願い出て、ロイドは快諾する。
その後、ガリレアから、大陸門への道中に存在するという巨大山賊団の話を聞き、その頭領を軍師に迎える提案を受ける。
ロイドはこの提案に興味を示し、山賊団を討伐し、軍師として迎え入れる計画を立てる。
その後、ガリレアをはじめとする元暗殺者ギルドのメンバーや、アリーゼ王女、イド、さらにはサリア王女やイーシャ教皇など、ロイドを支持する多くの人々が集まり、ロイドのもとに結集する。
ロイドは魔力兵を一万体生み出し、これらを操れるようにする術を用いて、部隊を強化する。
皆からはロイドのこの行動に驚きと感嘆が寄せられる。
ロイドは、この大軍を率いて大暴走に対抗する計画を進め、サイアスの行動には不満を持ちつつも、自身の力で兵士たちを鼓舞する。
シルファからは軍師としての役割を提案され、またガリレアから夜王と名乗る山賊団の頭領を軍師に迎える提案を受け入れる。
ロイドはこれらの提案に賛同し、さらに多くの支援者たちと共に大暴走に立ち向かう準備を整える。
アルベルトの執務室での混乱の中、ロイドはサイアスと遭遇し、彼から挑発されるも、冷静に対応する。
サイアスは自分の部隊が兵力でロイドを上回っていると自慢するが、ロイドは既に一万二百五十人の兵を集めており、この報告に周囲は驚愕する。
サイアスの部隊は傭兵で構成されており、統制が取れていないことが判明する。
アルベルトはサイアスの行動を非難し、戦いが終わった後に審議に付すことを示唆する。
ロイドは、これから出立する準備が整ったことをアルベルトに報告し、シュナイゼル隊とともに大陸門へ向かうことになる。
出発時、ロイドたちを見送る人々の歓声を受け、シュナイゼルと対等に会話を交わすことで、ロイドの人徳と力を再認識する。
シュナイゼルの隊が先に出立し、ロイドたちは山賊の住む山へと向かうことになる。
北へ半日進んだ一行は、夜王率いる山賊団が住むビューネ山脈に到着する。
周囲の様子から、彼らの動きは山賊たちに既に知られていることが明らかになる。
ロイドは直接攻め込むことを提案するが、これには仲間から反対の声が上がる。
しかし、サリアとイーシャの神聖魔術による治癒で兵たちの疲れを取り除くことに成功し、ロイドもこの歌唱に参加する。
この魔術によって兵たちは元気を取り戻し、ロイドたちは山攻めを行う準備が整う。
酒の匂いが漂う部屋に、山賊団の部下が軍の攻撃を報告する。
部屋には黒髪を獣油で纏め、毛皮を羽織った女性ビルスがいた。
ビルスは城中に密偵を潜ませていることを明かし、サルームの兵が山を登ってくるのを、魔術で灯りをつけながら進んでいることに気づく。
ビルスは要塞化された山は簡単には落ちないとして、軍を後悔させると決意する。
山攻めが開始され、山の上空に神聖魔術『陽光』で作った灯りにより夜間も進軍が可能となった。
イドが指揮する部隊と元暗殺者ギルドのメンバーが中心のガリレアが指揮する部隊で攻め登り、総兵力は約三千百名。
戦闘が始まり、魔力兵の操作と本陣のロイドへの負荷が増大する。
ロイドは軍事魔術の書を利用して魔力の効率化を図ることに。
戦況は苦戦しており、山賊たちの巧妙な戦術により、イドとガリレアからの念話で危機的状況が伝えられる。
シルファが現場での指揮を志願し、戦場へ駆け出していく。
ビルスは部下からの報告を受け、満足げに自分たちが仕掛けた罠の効果を見ていた。
しかし、シルファが率いる部隊が罠の存在に気づき、それを破りつつあることを知る。
ビルスはこの状況に対応するため、自らが出陣することを決め、全員に出撃の命令を下す。
シルファが加わったことで前線が大きく進展し、罠を抜け川を渡れば山賊のアジトに到着する状況になった。
シルファからの念話で、敵が川で大規模な仕掛けをしていることが明らかになる。
恐らく全軍が待ち構えているとのことで、シルファは戦いに向かう。
シルファ率いるイド隊とガリレア隊が、ビルス率いる山賊たちと川を挟んで対峙していた。
橋はすでに破壊され、川の流れは速いため、直接渡ることは困難である。敵は弓矢を構え、攻撃の準備をしていた。
川上からレン、川下からバビロンが偵察に行くが、どちらも渡河に適した場所は見つからず、敵にも気づかれる危険があった。
シルファは考えた末、魔力兵を壁にして作戦を伝えることにした。
山賊たちは、ビルスの指示の下、魔力兵たちを矢で攻撃し始める。
シルファが指揮するイド隊とガリレア隊は川を渡り、山賊と戦闘を開始した。
シルファは巧みに敵の罠を回避し、ビルス率いる部隊と直接対峙する。
しかし、ビルスは降参し、実際にはこの戦いが陽動であることを明かす。
本当の敵、夜王マルスは別の場所でロイドたちの主要な部隊に迫っていることを示唆した。
シルファたちとマルス率いる山賊たちの戦いが続く中、ロイドたちは本陣で山賊の襲撃を受ける。
マルスが率いる山賊は少数ながらも魔力兵たちを翻弄し、ロイドたちを直接襲撃する。その時、異国の武術家、タオ =ユイファが登場し、マルスに立ち向かう。
タオは非常に高い戦闘能力を持ち、マルスが装備する魔剣の特性をものともしない攻撃で圧倒する。
マルスは高い戦闘能力を持つものの、タオの圧倒的な技術に敗れる。
この間、ロイドたちは山賊たちに襲撃されるが、タオの登場で形勢が逆転する。
ロイドはマルスに軍師としての協力を求めるが、マルスはこれを拒否。
しかし、教皇イーシャとの旧知の間柄が明らかになり、イーシャの登場で話が進展する可能性が示唆される。
また、マルスが北の帝国の軍師であった過去と亡命の事実が判明する。
マルスとの知恵比べの結末として、ロイドの兵棋の腕前と戦術がマルスを打ち負かす。
イーシャの仲介もあり、マルスは自分たちを捕えたシルファたちの行動を認め、ロイドに忠誠を誓う。
ロイドの戦い方は、マルスに「人を使い捨てにしない」という強いメッセージを送り、彼の過去と対比させて彼を説得した。
結果、マルス率いる山賊たちはロイドの隊に加わることになった。
マルスは参謀としてロイドの隊に参加し、彼の命令でのみ兵を動かすことになる。
シルファがマルスについて行き、代わりに指示を出す案が提案され、マルスはこれに同意する。
タオも登場し、シルファとのやり取りから二人の関係の深さがうかがえる。
最終的にタオとマルスを加えたロイドたちの一行は、大陸門へ向かう。
ビルス隊の腹の音が大きく鳴り、彼らが食事を望んでいることを示す。
しかし、シルファはまだ食事を取る時ではないとし、ビルス兵たちを制止する。
マルスはシルファの計画を理解し、食料を積んだ輜重部隊と本隊を切り離して進軍速度を上げ、補給は先の村で行う予定であることを推測する。
しかし、マルスはもし自分が敵将シュナイゼルであれば、その村に食料を残しておかないと述べ、それを聞いたロイドたちは疑問に思いながらも先へ進む。
半日後、目的地である村に到着した隊は、そこが焼き払われた無人の状態になっているのを目の当たりにする。
マルスはこれが敵将シュナイゼルの策略であり、食料を意図的に焼き払ったものと推測する。
ビルスとその兵たちは食料がないことに不満を表明するが、シルファとマルスはこの事態を事前に予見していたものの、意見をはっきりと述べることはしなかった。
シルファは今後は遠慮なく意見を述べるよう二人に促し、マルスとビルスはその提案に従う。
その後、マルスの指示で兵たちは山に突撃し、山菜や獣を多数確保する。
これにより食料問題を解決し、シルファが調理した料理を兵たちは大いに楽しむ。
シルファの調理能力と速さはレンやタオも驚くほどであり、最終的には保存食も作られる。
シルファの努力によって、隊は食料不足という危機を乗り越え、さらに結束を深めるのだった。
半日後、隊は大陸門に到着する。
アルベルトとサイアスが迎え、ロイドの隊が山賊を増員したことに驚く。
帝国最強の軍師と謳われたマルスがロイドの隊に参加していることにアルベルトは感心し、シュナイゼルはマルスの参加を千人力と評する。
ロイドはアルベルトに連れられて軍議に参加し、魔物の襲撃に対する配置計画を聞く。
クルーゼの部隊が先頭を担い、シュナイゼルが支援し、アルベルトの部隊が予備隊として待機する。
シュナイゼルは初手から全戦力をぶつけるリスクを避け、魔物の奇妙な動きに注意を払う。
会議後、魔物の襲撃が迫っていることが報告され、全員が戦闘に向けて気合を入れる。
戦闘が始まると、ロイドは魔道具を通じて戦場の様子を観察し、クルーゼ率いる第二部隊の活躍を目の当たりにする。
魔物の大群に対して大型ゴーレム「ディガーディア」が砲撃で支援し、クルーゼの部隊は魔物を一掃する。
しかし、グリモが魔物の死体が消失する現象に気づき、死霊魔術の可能性を指摘する。
魔物が死んだ後も復活し続けることから、戦闘は予想以上に困難になる。
シュナイゼルはロイドに指示を出し、倒れた魔物を炎で焼くことで復活を防ぐよう命じる。
サイアスがこれに割って入り、自身の部隊が魔術師が多く、特に炎魔術に長けているため、任務を引き受けたいと申し出る。
レビナント家の血筋から来る彼の能力に興味を持ったロイドは、サイアスと共に門へ向かうことになる。
ロイドはこの機会を通じてサイアスの血統魔術を間近で見ることを楽しみにしている。
ロイドたちはサイアス率いる魔術師の隊と共に大陸門へ向かい、戦場で倒れた魔物の死体を焼却する任務を引き受ける。
サイアスの隊は魔術師を中心に二千人ほどおり、ロイド自身は魔力兵含む五百人を連れ、さらにレンやビルス、山賊たち、そしてクルーゼを見たがっていたタオも同行する。
門近くに到着し、第二部隊副隊長ケインに迎えられた彼らは、死霊魔術によって復活する魔物の死体の焼却に取り措く。
サイアスの隊は「火球」の五重詠唱を使い、ロイドは効率化した「火球」で迅速に死体を処理する。
その後、クルーゼ隊に追いつき、不死者の対策としてタオが「魂撃」という技を披露し、クルーゼもそれを見て即座にマスターする。
これにより、彼らはアンデッドとなった魔物を確実に倒す新たな方法を手に入れ、魂の器を破壊することで復活を防ぐ戦術を展開する。
クルーゼ隊の兵士たちはタオとクルーゼから学んだ「魂撃」を用いて、アンデッド化する魔物の死体を効率的に処理し、戦闘の効率を向上させた。
クルーゼ隊は士気が高く、クルーゼは功績に応じた褒美を与えることで知られており、これが兵士たちの高いモチベーションの一因であることが明かされる。
タオはクルーゼとの修行を望むことを褒美として要求し、ロイドもタオの真剣な姿勢に感動し、協力を申し出る。
その後、サイアスは山に陣取る第三部隊の支援に向かうことを決め、ロイドもそれに同行することを決める。
サイアスは、ロイドと一緒だと手柄を立てられないと不満を漏らしながらも、二人は山へと向かった。
移動中、タオがビルスに話しかけ、ビルスはロイドの能力を試す意図を示す。
戦場に近づくと、ビルスは戦闘中の部隊を発見し、山賊たちを率いて魔物の群れに突入する。
サイアスも参戦し、戦闘はすぐに終結する。
兵たちはロイドとビルスたちに感謝するが、本隊が撤退中であり、現在山の頂上で絶対防衛線を守っていることが明らかにされる。
フリーゲル隊長は絶対防衛線を死守すると声を上げ、ロイドたちの到着を歓迎する。
食事の後、フリーゲルは前線が下げられ、絶対防衛線まで押し込まれたことを説明する。
ビルスはフリーゲルに戦況を打開するための提案を求められ、結局、全軍を引くことを提案する。
フリーゲルと兵たちは驚愕するが、ロイドはビルスの提案を受け入れ、撤退を決定する。
ビルスによって駆り立てられる形で、ロイドたちは第三部隊を含めて深い渓谷にある絶対防衛線へ退避する。
この渓谷は、落ちたら上がってこれないほどの深さがあり、唯一の橋を渡り切れば、敵の追跡を振り切ることができる位置にある。
そこにはビルスが計画した、魔物を一網打尽にする作戦の舞台が設けられていた。
しかし、橋を渡ることにはそれなりの危険も伴い、ビルスは全員の安全を確保するために慌てる。
ロイドは魔力を用いて兵たちを浮遊させ、一気に橋を渡らせることで危機を回避する。
谷底への魔物の排除作戦は順調に進むが、空を飛ぶ魔物や跳躍力のある魔物が現れ、防衛線を脅かす。
サイアスはこの危機に対応するため、自身の血統魔術を用いて魔物に立ち向かう。
サイアスが苦戦する中、ロイドは自らの手でサイアスの魔術を強化し、魔物を一掃する。
その際、サイアスの血統魔術の真髄とその応用方法にロイドが気づく一幕もあった。
最終的に、彼らの活躍により渓谷の戦いは何とか持ちこたえられ、ロイドはシュナイゼルのもとへ戻ることにした。
シュナイゼルに対し、第四部隊の隊長であるガーフィールが支援を求めるが、シュナイゼルからは「耐えろ」という返答しか得られず、ガーフィールは不満を抱いて去る。
ロイドは、シュナイゼルに策がないわけではないと確認し、外で煙草を吸っているガーフィールにシュナイゼルの真意を伝えようとする。
しかし、ガーフィールはシュナイゼルが何か計画していることを理解しており、自身の行動を反省する。
一方で、ロイドは現状の戦闘に何か手を打つべきか悩むが、バビロンがマルスからの書状を持って来る。
書状には、ロイドが目立つことを承知の上で、ある作戦を提案していた。
ロイドはこの作戦が興味深く、実行に移すことに決める。
クルーゼと副隊長ケインは、戦場で魔物を倒し続けるものの、魔物の数は減らないと悩んでいた。
タオから学んだ「魂撃」技術を使ってはいるものの、戦闘は依然厳しい状況にあった。
そんな中、クルーゼが何かを察して戦場から離れる動きを見せ、ケインもそれに従う。
上空には人影が浮かんでおり、シュナイゼルもそれを認めつつ、兵たちを動かす決断をする。
シュナイゼルは防衛ではなく攻勢に出るよう命じ、帝国で生まれた幻の策を実行に移すことを決意する。
ロイドはマルスの作戦に従って、幻想系統魔術で大量の食料を作り出し、飢えている魔物の群れを惹きつけながら空中を飛行していた。
その目的は、魔物たちを戦場から離れさせることにあった。
この作戦により、魔物たちは食料に惹かれて集まってきた。
一方、シルファは空中の魔物を射落とし、ディガーディアは地上の魔物群を砲撃で殲滅していた。
ロイド自身も、実験時に魔力を込めた特殊弾を使用し、魔物を大量に撃退した。
さらに、シュナイゼルの指示で山が燃やされ、魔物の食料源を削ぐ作戦も行われていた。
これらの連携した作戦により、魔物たちを効果的に撃退していた。
ロイドが大陸門へ戻ると、魔物との戦いはほぼ終結しており、兵たちは残りの魔物を掃討していた。シルファに抱きしめられ、マルスが縛られているのを目にする。
シルファはロイドの無事を喜び、マルスは自身の策が成功したことに安堵していた。
シュナイゼルが登場し、マルスの縄を解いて、彼を称賛する。一方、クルーゼから、5年前に帝国を襲った大暴走についての話を聞く。
マルスはその事件で帝国を去った背景を持ち、シュナイゼルはマルスに対し、自分の元へ来ることを提案するが、マルスは断る。
シュナイゼルは、自分は将としての役割を重んじ、アルベルトを王位に推すことに関心があることを示唆する。
クルーゼとシュナイゼルは、長兄としての責任感からサルームの平和を守るために努力してきたことを語る。
そして、今回の戦いの反省点や、ロイドの戦力を十分に活用しきれなかったことを認めながら、今後の計画について軽く言い合う。
サルーム王国を襲った大暴走事件は終結し、関わった全ての者に恩賞が与えられた。
被害を受けた村々には補償金が支払われ、シュナイゼルは参加した者たちに特別な贈り物をした。
シュナイゼルとクルーゼは再び前線へ戻り、マルスとシュナイゼルから兵法書と軍事魔術の書がロイドに渡される。
タオとクルーゼの間で武術の手合わせが行われ、タオはクルーゼを尊敬する。ガリレアたちはロイドに感謝を述べ、サイアスは修行の旅に出る。
カタリナはロイドに冒険者ギルドへの再訪を強く願う。事件後、各人は新たな道を歩み始める。
サルーム王国の北に位置し、以前調査が断念された場所にあるダンジョンに、ロイドは再び足を踏み入れる。
このダンジョンはロイドの前世の死体が白骨化したものがボスとして君臨しており、ロイドがかつて行った死霊魔術の実験の結果である。
ロイドはダンジョンの最下層に到達し、巨大な扉を破壊して中に入ると、自身の前世の骨がボスとして待ち構えていた。
ロイドはこの骨を倒す代わりにダンジョンを密封し、自らの実験場とする決断を下す。
これにより、再び大暴走を引き起こすことはないと結論付け、ロイドはダンジョンから去る。
ロイドはダンジョンから戻る途中で、戦後も整然と行進するシュナイゼルらの兵たちを目撃する。
その兵たちが空を仰ぎ見て敬礼している様子に、ロイドは自身が見えているのではないかと冷や汗を流す。
しかし、シュナイゼルらの敬礼はロイドの『隠遁者』により隠れた姿が見えているわけではないと考えられる。
それでもシュナイゼルが微笑む様子に、ロイドは自身の動きが何らかの形で察知されている可能性を感じ取り、シュナイゼルとの距離を置くことを決意する。
その後、ロイドはサルーム城へと帰還し、戦いがあったことを感じさせない平和な日常が続いている様子を目にする。
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