どんな本?
『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』は、異世界ファンタジーの物語である。
物語の主人公は、ファルーン国の王子であるマルスである。
彼は城の食事に毒が盛られていることを恐れ、城を出て森でモンスターを狩り、その肉を食べる生活を送っていた。
ある日、彼は赤髪の美女カサンドラと出会い、彼女の弟子となる。
物語は、マルスがカサンドラの指導の下、剣術や魔法を学びながら、モンスターの肉を食べることで成長し、毒への耐性を身につけていく様子を描いている。
彼は徐々に力をつけ、王位を巡る陰謀に巻き込まれながらも、持ち前の勇気と知恵で困難を乗り越えていく。
物語の魅力は、ユニークな設定と多様なキャラクターである。主人公マルスの成長物語や、彼を取り巻く仲間たちとの絆、そして権力を巡る策略や陰謀が、読者を惹きつける。
剣と魔法の世界での冒険と、モンスターとの戦いが繰り広げられ、緊迫感と興奮に満ちた展開が楽しめる作品である。興味を惹かれる方には、一読の価値があると思える。
読んだ本のタイトル
モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 3
著者:駄犬 氏
イラスト:芝 氏
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あらすじ・内容
マルス様! 今あなたの聖女が参ります!
大陸最大宗派のマーヴェ教が新教義として「モンスターの肉を食べることの禁止」を発表した。
ファルーンの面々は当然ブチギレて戦争する気満々となるが、平和的に話し合いたいマルスは教国への訪問を決める。
同行したフラウやハンドレッドの「始まりの5人」たちが色々とやらかす中、現れたのはファルーンの悪逆非道な女性陣にはない魅力を放つ、美しく気品に満ちた雰囲気の聖女候補・マリアだった
感想
本書は、宗教と権力を巡る陰謀が渦巻く物語であった。
主人公マルスが、サウザンド達を狙い撃ちしたような教義変更に対して、平和的解決を目指してマーヴェ教国を訪れるが、そこで彼を待ち受けていたのは、野心に満ちた聖女候補マリアであった。
マリアは平民出身ながらも、自らの地位を確立するため、モンスターの肉を食べて力を得るという教義に反した事をしていた。
そんな彼女は、マルスが寄進してマリアを自国へ連れ帰るという好奇ににしたたかな行動を取る。
彼女は、治癒の力を民衆に示すために歌い踊るなど、自己アピールに余念がなく、その姿勢は一見してあざとかったが。
同時に彼女の強い野望を感じさせるものであった。
特に、ルイーダという先輩治癒師に対するライバル意識が描かれており、マリアのキャラクターがより立体的に浮かび上がっていた。
ルイーダはそんな彼女をあまり相手しておらず、いつものように効率的に治療をして居た。
また、マルスが何もしていないように見える場面が続く(本人的に)一方で、彼の周囲で状況が急速に進展していく様子が描かれていた。
その結果が、連合軍結成とマルスの信者による連合軍が内部分裂し、次第に瓦解していく様子は、マルスの影響力の強さを示唆しており、物語に緊張感を与えていた。
一方で、1巻のヒロインであり正妃のフラウのマルスへの愛の表現が描かれる場面は、非常に印象的であった。
彼女がマルスに対して抱く愛情の表現が独特であり、その愛情が彼女の行動を支えている様子が描かれていた。
フラウの行動は時に冷徹に見えるが、その背景には彼女なりの愛があり、その複雑さが物語に面白味を加えていた。
全体を通して、『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 3』は、新キャラの野心と策略が交錯する中で、各キャラクターの内面が巧みに描かれた作品であった。
物語の進行とともに、マルスがどのようにして騒動に巻き込まれるのか、その過程が非常に興味深く、次巻への期待が高まる一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件
同著者の作品
誰が勇者を殺したか
死霊魔術の容疑者
悪の令嬢と十二の瞳
その他フィクション
備忘録
PROLOGUE
赤髪の女性剣士カサンドラは、目の前で大剣を構えていた。彼女は筋肉質で均整のとれた体を持ち、彫像のような美しさを感じさせた。彼女は戦いを挑んできたが、相手である彼は戸惑い、戦う気にはなれなかった。カサンドラは臨月を迎えており、すぐに出産が予想される状態であったが、それでも彼女は戦いを求めた。
彼はカサンドラの提案に驚き、必死に説得を試みたが、彼女は自信を持って戦いを続けた。カサンドラは、自分たちの子供に戦士の戦い方を体感させるために、この戦いが必要だと信じていた。
戦いが始まり、彼はカサンドラの強力な攻撃を必死に防御した。カサンドラは彼を圧倒するほどの力を持っていたが、彼は何とか耐え抜いた。そして、突然カサンドラは動きを止め、「生まれる」と言い残してその場を去った。
彼は、ようやく戦いが終わったことに安堵し、訓練場の床にへたり込んだ。彼の心には、戦いの緊張感とともに、カサンドラとの奇妙なやり取りが強く刻まれていた。
カサンドラは短時間で戻ってきた。彼女はしわしわの赤子を抱えており、その姿に変わりはなかった。通常、出産後は母親が疲労しているものだが、カサンドラにはそのような様子は見られず、彼女の剣聖としての強さが伺えた。むしろ、彼女を追ってきた女官たちが疲れ切っているように見えた。
女官たちはカサンドラに産後の安静を求めていたが、彼女はそれを無視し、赤子を彼に向かって放り投げた。彼は驚きつつも、赤子を優しく受け止めた。その子は母親に似た赤毛で、通常の赤子よりも力強さを感じさせた。赤子は泣かず、彼の指をしっかりと握り締めた。その娘は「ヒルダ」と名付けられた。
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she is a saint
1.バルカンへの旅
マルスは、カサンドラが出産後、娘ヒルダに非常に関心を寄せるようになったことに気づいた。カサンドラはヒルダに早くから訓練をさせようとし、マルスはこれを止めるために苦労していた。ヒルダを安全に育てるため、マルスは多くのメイドを雇ったが、カサンドラの厳しい性格のため、メイドたちはなかなか定着しなかった。この状況はしばらくマルスの悩みの種となった。
その間、マルスは他の妃であるシーラのもとに通うようになり、彼女との時間を過ごしていた。シーラとの会話の中で、バルカンという国に「ヤキニク」という美味しい肉料理があることを知り、マルスはその料理を目指してバルカンへ行くことを決意した。
移動手段として、マルスはワイバーンというモンスターを利用することにした。彼はカサンドラからワイバーンの調教方法を学び、自分の乗るワイバーンに「エア」と名付けて手懐けた。エアと共に、マルスは美味しいヤキニクを求めてバルカンへの旅を計画した。
マルスは、ワイバーンに乗ってバルカンに向かい、その乗り心地が快適であることを感じていた。バルカンの王都トラキアに到着した後、食べ物を買うために必要なお金を持っていないことに気づき、困惑していた。彼は通りを歩きながら、どうにかお金を調達しようと考えていたが、解決策を見つけられなかった。
その時、彼はバルカンの若者たちに声をかけられた。若者たちは彼をファルーンのマルス王であり、ハンドレッドの指導者ゼロスとして認識し、彼に対して敬意を示した。彼らはマルスを尊敬し、彼と戦いたいと願っていた。マルスは彼らの願いを聞き入れ、彼らと戦うことに同意したが、人目を避けるため、彼らの訓練場所に移動することを提案された。
マルスは戦いを受け入れ、若者たちを相手にしようとしていたが、この出来事がもたらす影響について考えを巡らせながら、戦いの準備を進めていた。
マルスはバルカンの若者たちに案内され、街外れにある屋敷に到着した。その屋敷はハンドレッド・バルカン支部の拠点であり、地下には広大な訓練場があった。マルスはそこで若者たちと順番に手合わせを行い、彼らに剣技や力の鍛え方について助言を与えた。全員との手合わせが終わった後、彼らはマルスにモンスターの肉を振る舞おうとしたが、マルスはヤキニクを期待していたため失望した。
マルスはハンドレッドの教えがバルカンに広がっていることを知り、バルカンの未来に懸念を抱いた。彼はハンドレッドの活動を秘密にし、国王の言うことに従うように若者たちに忠告した。その後、マルスはエアを呼び出し、何の成果も得られなかった一日を終えてファルーンに帰還した。
2.双剣の後継ぎ
マルスはバルカンのハンドレッド支部の若者たちと出会い、彼らの背景や組織の浸透度を確認するための一連の対話を行った。ハンドレッドのバルカン支部のリーダーであるハルトや他の若者たちは、かつて家を継ぐことに疑問を抱いていたが、ハンドレッドの教えに従い、力こそがすべてであると信じて行動していた。
ハルトたちは、マルス(ゼロス)がバルカンのハンドレッド勢力を確認し、将来的にバルカンをハンドレッドの支配下に置くことを目論んでいると推測した。彼らは、マルスの指示に従い、ハンドレッドの存在を秘密にしつつ、国王に忠実な家臣として振る舞うことを決意した。若者たちは今後の計画を固め、バルカンでの力を蓄えることに専念する覚悟を固めた。
3.マーヴェ教国
マルスは、マーヴェ教が新たに発表した教義について対応を協議した。教義には、モンスターの肉の禁止や貴族の身分保護が含まれており、これがファルーンに直接影響を及ぼすものであった。ガマラスや他の関係者が議論する中、ニコルとカーミラはマーヴェ教国に対抗するための戦略を提案したが、マルスは平和的な解決を選んだ。
マルスはマーヴェ教国の教皇と直接対話し、誤解を解き、協力関係を築くことを決意した。彼はワイバーンを使ってマーヴェ教国に赴く計画を立て、これにフラウも同行することとなった。マルスは平和的な解決が最良であると確信し、その方針に基づいて行動することにした。
マルスとの会談後、ニコルはカーミラと通信し、マルスの真意を確認した。彼らは、マルスがマーヴェ教の新たな司教をファルーンに取り込み、その司教を新たな教皇として擁立しようとしていると考えた。彼の狙いは、宗教面からアレス大陸を支配することにあると理解した。
翌日、マルスはフラウや護衛と共にワイバーンでマーヴェ教国に到着した。都市の広場に着地すると、住民たちは驚いて逃げ出し、聖騎士団が出動したが、護衛たちは騎士たちを圧倒し、聖職者がマルスを教皇のもとに案内することになった。
4.教皇
マーヴェ教皇は、ファルーン王マルスが直接訪れるとは予想外であり、教皇は面会を決意した。教皇は新しい教義の撤回を求められることを懸念していたが、ファルーンの王は穏やかな外見で接触してきた。マルスは新教義への反論を述べ、モンスターの肉や使役の重要性、そして貴族の特権を廃止する必要性を強調した。しかし、外での騒ぎが続く中、マルスの部下たちは教皇の聖騎士団を制圧していた。
教皇はマルスの要求を受け入れ、新教義に罰則を設けないことを了承し、ファルーンに新たな司教を派遣することに同意した。ただし、司教の選定はマルスが希望する人材を選ばせるという条件が付けられた。教皇は、マルスの提案を受け入れるしかないと判断し、案内を開始した。
5.聖女
マルスはマーヴェ教皇との交渉を終え、聖堂に向かっていた。交渉中、外でフラウと他の部下たちが騒ぎを起こし、聖騎士たちを圧倒していたが、最終的に教皇は新教義の罰則を無くすことを了承した。聖堂では、フラウがマーヴェ神の石像に座り、アーロンたちが聖職者を威圧していたが、一人の若い女性聖職者、マリアが毅然とした態度で対応していた。彼女は強い魔力を持ち、「ヒーリングフィールド」の呪文で聖堂内の負傷者を一度に治癒した。この驚異的な力に騎士たちは感嘆し、彼女を「聖女」と呼んだ。
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マリアは聖堂で聖騎士たちを癒し、彼らに立ち退くよう命じた。その後、マルスは彼女をファルーンの司教に任命したいと提案したが、教皇は彼女が聖女候補であるため難色を示した。しかし、オグマの威圧や金貨3000枚の寄進によって、教皇は最終的にマリアを司教代理としてファルーンに派遣することを認めた。
その後、マーヴェ教国内部では騎士団長が教皇に抗議し、マリアを奪還するためにファルーンへ向かうことを決意。これにより、多くの聖騎士たちが団長に従い、聖騎士団を辞職してファルーン討伐軍を編成する動きが広がっていった。
7.聖女の内面 (お前もか)
マリアは平民出身でありながら、聖女候補として注目されていたが、彼女の力は12歳頃から伸び悩んでいた。そのため、噂に聞いた「モンスターの肉を食べることで魔力が増す」という話に従い、密かにモンスターの肉を摂取し始めた。これによって彼女の癒しの力は再び向上し、周囲からの評価も高まった。
やがて、マルスがマーヴェ教国を訪れた際、マリアは彼の前で力を発揮し、ファルーンの司教代理に任命された。マリアはこれを機に、さらに力をつけ、教団内での地位を固めることを計画していたが、マルスに連れられて急遽ファルーンへ向かうことになった。
8.ファールンの聖女
マリアは、ファルーン王国に到着し、王都の活気ある雰囲気に驚いた。彼女は王城で快適な部屋を与えられ、従者のアニーと共に新しい生活を始めた。しかし、マリアが期待していたモンスターの肉は提供されず、これを不審に思ったマリアは、マルス王に直接頼み込んでモンスターの肉を食べる許可を得た。
その後、マリアはマルス王から癒しの力を求められ、闘技場に赴くことになった。そこで彼女は重傷者を治癒するという試練に挑んだが、周囲の反応は彼女の期待とは異なり、あまり驚かれることはなかった。彼女は自身の力を見せつけたが、闘技場の僧侶であるルイーダが簡単に回復魔法を使う姿を見て、彼女の実力に驚かされることになった。
9.聖女の野望
マリアはファルーンに到着した後、闘技場での治癒活動に従事した。彼女は初めて蘇生の魔法を目の当たりにし、ルイーダの卓越した能力に驚いたが、その後、自身の地位を確信し直した。その後、マリアはモンスターの肉を食べることを続け、強力な毒にも耐性を示したことがマルスに報告されたが、マルスはこれに不信感を抱いた。
マリアは、実はファルーンに来る前からモンスターの肉を食べていたことをマルスに告白し、自らの野望を語った。彼女は、癒しの力を伸ばし、教皇の座を狙うためにファルーンの後ろ盾を得たいと考えていた。マルスは彼女の野望に困惑しつつも、一応話を聞く姿勢を見せたが、マリアのあまりにも大胆な提案に対して内心で辟易していた。
capture.2
kill mars kill
10.マルス暗殺計画 1
マーヴェ教の新教義は罰則がなくなり形骸化したが、聖女候補のマリアがファルーンの司教代理として着任したことで、イーリス国とバルカン国はマーヴェ教国に抗議した。しかし、教国側からの断固とした拒絶により、両国はそれ以上の行動を取れなかった。そこで、両国はキエル魔道国のマトウ師を交え、マルス王を暗殺または誘拐する計画を立てた。
イーリスとバルカンの影の組織が集まり、ファルーンでマルス王を狙うことを決定した。彼らはファルーンに影が存在しないことを利用し、転移魔法を使ってマルス王を古代遺跡に閉じ込める計画を進めた。この計画には、各国の影の者たちが命を賭ける覚悟があり、ファルーンの邪悪な帝国化を阻止するために命を懸ける決意が固まっていた。最終的に、異なる国の影の者たちが一致団結し、マルス王に立ち向かうことを決意したのである。
11.マルス暗殺計画 2
マルス王は最近、城の外を散歩する習慣を持つようになっていた。城内では妃たちやフラウの実験による厄介ごとが多く、彼にとっては息抜きが必要だったのである。ある日、散歩中に若い女性から助けを求められたマルス王は、彼女に導かれて民家に入ったが、そこには罠が仕掛けられていた。
民家の中で、複数の男たちと女性に取り押さえられ、マルス王は魔法陣による転移魔法で別の場所へ飛ばされた。目を覚ました彼は、古代遺跡の最深部に転移されたことを知る。周囲には冒険者たちが倒れており、彼らからこの遺跡の出口が破壊されていることを聞かされた。どうやら、彼をここに閉じ込めるための計画であったようである。
マルス王はこの状況に疑問を抱きつつも、遺跡からの脱出を考え始めた。しかし、その矢先に彼の前に現れた光が、物語の次の展開を予感させた。
マルス王を古代遺跡に封じ込めようとする計画が進行していた。イーリス国をはじめ、複数の国から集まった10名以上の精鋭たちは、遺跡の最深部まで到達し、そこで転移魔法を使い、マルス王を遺跡に閉じ込めることに成功したかに見えた。
しかし、マルス王は転移直後、遺跡内でフラウという白い女性と再会し、彼女の助けで無事に帰還した。フラウはマルス王と特別な契約を結んでおり、彼の視覚を共有し、いつでも彼のもとに転移できる能力を持っていた。これにより、計画は失敗に終わり、マルス王は無事に元の場所に戻ってきた。
計画に加わっていたヴィオレッタは、絶望的な状況に直面し、マルス王が無事に戻ってきたことに驚愕し、彼に対して叫び声を上げた。
12.マルス暗殺計画 3
マルス王はフラウの転移魔法により、無事に古代遺跡から戻った。ヴィオレッタという少女に出迎えられたマルスは、彼女をファルーンの城で雇うことを提案し、彼女もこれを受け入れた。
ヴィオレッタは、最初は計画に参加した仲間の復讐を果たすため、城内での任務を利用しようと考えていたが、カサンドラのメイドに任命される。そして彼女は、強制的にハンドレッドの一員となり、過酷な訓練を受けることになった。彼女は自分が世界で一番不幸な人間だと感じていたが、どうにかその状況に適応するしかないと覚悟を決めた。
マルスがヴィオレッタのことを思い出し、彼女がカサンドラのもとで働いていることを知った。マルスは彼女がうまくやっていることを願ったが、その一方で、イーリス、バルカン、キエル魔道国の三国会談では、マルスの暗殺計画が失敗に終わったことが議論された。
マトウ師はフラウがマルスを転移させて救出した可能性を示唆し、三国は次なる策を講じることを決定した。バルカン王は自国の戦力に自信を持ち、1年後に連合軍を組んでファルーンを攻撃する計画を立てたが、その決定が自身の運命を左右することになった。
13.聖女の日常
マリアはモンスターの肉を食べて自らの回復魔法の技術を磨くことを誇りとしていた。彼女は、自身の強化と聖女としての地位を確立するために、苦しみを伴う訓練を続けていた。闘技場では、観客を魅了するために、歌と踊り、さらに魔石での演出を取り入れ、派手なパフォーマンスを行っていた。
マリアは自らの地位を高め、最終的にはマルス王を手中に収めて世界を支配することを目指していた。彼女の行動は、自己顕示欲と野心に満ちたものであり、周囲の人々を利用して自らの地位を確立しようとする姿勢が強く見られた。
capture.3
all for the king
14.連合軍
マリアがファルーンに来てから1年が経ち、彼女は内面的には野心家であったが、司教代理としての役割を果たし、臣下からの評判も良かった。しかし、マリアを巡って問題が発生し、聖騎士団が彼女を奪還するために聖戦を宣言した。イーリス国やバルカン国、キエル魔道国がこれに呼応し、マリアを巡る対立が激化した。
ファルーン側では、フラウとキーリが魔導士団との戦いに備え、シーラがバルカン国との交渉に当たることとなった。マリア自身は、自らの信者たちと会談する際に話を誇張する計画を持ち、最終的にはマーヴェ教国とイーリス国をも手中に収める野心を抱いていた。
マルスは、彼女を利用して戦力を削ぐことを許可し、戦いに向けて準備を進める決意をしたが、マリアの存在に対して複雑な感情を抱えていた。
15.最強の魔導士
マトウは、キエル魔道国の大賢者でありながら、聖女奪還軍に参加していたが、彼自身は高齢のため、幻影を通じて指揮を執っていた。彼はファルーンの王国と対峙することに迷いを抱いており、その背後にいるフラウやキーリの存在を警戒していた。キーリはかつてマトウが追放した血縁者であり、ファルーンに加担してモンスターを操る危険な存在であった。
マトウはキエル魔道国の結界に異変を感じ取り、幻影を通じて状況を確認した。彼は国に戻り、モンスターが暴れているのを目撃した。マトウは魔法でモンスターを撃退したが、裏切り者が内部に潜んでいることに気づいた。
その後、マトウはフラウと交戦するが、フラウは転移して逃げ去った。さらに、ゲートを占拠していたモンスターたちを倒すも、弟子たちは皆殺しにされていた。キーリが近くにいることを知ったマトウは彼女を探し出そうとしたが、突然意識を失った。
キーリは、キエル魔道国の大賢者マトウを暗殺し、その隠し部屋を発見した。彼女はフラウたちが結界を破り、ジャミングを発動させた後、別動隊を率いてゲートを占拠し、モンスターを魔道国に引き込んでいた。キーリは魔法の痕跡を追ってマトウの隠し部屋を探し当て、彼を短剣で殺害した後、残る魔導士たちの始末を計画していた。また、発見した魔導書をフラウに献上することに喜びを感じていた。その後、キエル魔道国の魔導士団と連絡が途絶え、イーリスの騎士たちが調査に訪れたが、誰一人発見できなかった。
16.バルカンにて
ガライは、自領に侵入者の気配を察知して目覚め、剣を手に庭園へ向かった。侵入者は娘のシーラと彼女の護衛で、彼女はマルスからバルカンの処理を任されていた。シーラは懐妊しており、マルスがバルカンを彼女の子供に継がせようとしているのではないかと考えた。ガライは、ファルーンの力とシーラの決意に触れ、王に従うべきか、それともファルーンの支援を受けるべきか悩んだが、最終的にシーラと協力することを決意した。シーラはガライの協力を得るため、他の二家とも連携を取ることを提案し、ガライもそれを了承した。そして、ファルーンの一行はガライの邸宅を拠点とした。
翌日、ガライはバルカンに残る七星剣の二家の当主たちと共に、密室でファルーンに加担することを決意した。ガライは、ファルーンが勝利する可能性が高いと見ており、その後に来る混乱の時期にバルカンを安定させ、さらには勢力を拡大する機会を見出そうと考えていた。彼はシーラとその子を次の王に据え、バルカンを守る計画を立てた。
一方で、ハルトたち次代の七星剣は既にファルーンの指導者ゼロスの指示を受け、バルカン王に忠誠を誓う振りをしつつ、密かに王城を占拠する準備を進めていた。ガライたちが王城に入ると、ハルトたちは既に王城を制圧し、父親たちに反旗を翻していた。
この日、バルカンでは反乱が成功し、王城の支配権が次代の七星剣に移り、同時に世代交代が行われた。ガライたちは、自分たちが裏切られたことを悟りながらも、ファルーンの力と策略に巻き込まれていった。
17.バルカンの王
義勇軍として集まった対ファルーン連合軍は、総勢5万を超える大軍であり、聖騎士団やキエル魔道国の魔導士団がその主力を担っていた。ファルーンに対する勝利が確実視され、各地から兵や傭兵が集まっていたが、キエル魔道国の魔導士団が突如として姿を消し、その結界が消滅したことで、連合軍に不安が広がった。
一方、ファルーンの軍勢はカーミラ率いるドルセン軍と合流し、決戦の準備を進めていたが、突然フラウがキエル魔道国を滅ぼしたと報告してきた。これはマルス王が意図していなかったことであり、彼は驚きを隠せなかったが、結果的に戦力の増強として受け入れた。また、シーラがバルカンの王都トラキアを制圧したという報告も入り、バルカン軍が撤退を始めることが明らかになった。
バルカン軍は急遽国へ戻ることを決定し、連合軍は瓦解の危機に瀕していた。バルカン王はイーリス王からの制止を無視し、自国を守るために撤退を選んだ。この撤退はファルーン王の策略によるものであり、連合軍の敗北が見え始めていた。
バルカン軍は自国に戻る途中、森の中でウォーウルフの大群に襲撃された。魔導士部隊が壊滅し、前方の木々が魔法で燃やされ、進路を塞がれるという状況に陥った。バルカンの王は退却を命じたが、雷帝フラウが現れ、強力な魔法を発動させた。黒い魔法陣から出現した棘状のものが王とその周囲の兵士たちの心臓を貫き、王は死亡した。
フラウはバルカン軍を取り囲む炎をさらに強め、生き残った兵士たちを焼き尽くした。わずかに生き残った者たちも、ウォーウルフによって仕留められ、バルカン軍は壊滅的な打撃を受けた。
18.決戦前
聖騎士団副団長のカイムは、5万人の連合軍を率いてファルーンからマリアを奪還しようと意気込んでいたが、ある日、マリアの首飾りと共に彼女の命が危険であるという手紙を受け取った。指示された森に向かうと、マリアが現れ、教皇が彼女をファルーンに引き渡し、それを口実にファルーンと戦う計画を立てたことを明かした。カイムは驚きながらも、マリアの言葉を信じた。
マリアは、ファルーンの王であるマルスが自分を教皇にしようとしているが、それが教皇に知られてしまい、命が危険にさらされていると訴えた。彼女はカイムに戦いを止めるよう求め、さらに、自分と親しい聖騎士たちには戦わずに生き延びることを約束して欲しいと頼んだ。カイムは迷いながらも、最終的にマリアの願いを受け入れ、戦いから退くことを誓った。
EPILOGUE
聖騎士団副団長のカイムが陣地に戻った後、マリアは黒の騎士団団長クロムとその配下が現れるのを見届けた。クロムはマリアの言動に疑念を抱いていたが、マリアはそれを軽く流し、陣地に戻るよう促した。彼女はマルス王の妃となり、イーリスを手に入れる野心を抱いていた。
一方、マルスは自身に迫る危険を感じつつも、その正体には気づかず、天幕で休んでいた。フラウは水晶玉を通じてその様子を見守り、マルスを世界一の王にするための計画が進んでいることに満足していた。
フラウは愛が何であるかを理解できない自分に悩みながらも、マルスに世界を与えることで彼への愛を示そうとしていた。彼女にとって、マルスの困惑した姿を見ることが愛の証であると考えていた。
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