小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 6 巻」感想文・ネタバレ

小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 6 巻」感想文・ネタバレ

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どんなラノベ?

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~』は、甘岸久弥 氏による ライトノベルで、転生者である主人公ダリヤ・ロセッティが主人公。
ダリヤは魔石や魔物の素材、魔力を使った加工でアイテムを作る『魔導具師』の家に生まれ、婚約破棄されたことをきっかけに自身の商会を立ち上げ、数々の便利なアイテムを生み出して行く。

また、このシリーズはコミカライズもされており、『魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~』というタイトルで連載されている。
さらに、TVアニメ化も決定。
この物語は、ダリヤのものづくりと、彼女を取り巻く人々との交流を描いている。

小説版は8巻漫画版は5巻まで刊行されている。

読んだ本のタイトル

#魔導具師ダリヤはうつむかない  ~今日から自由な職人ライフ~ 6
(英語名:Dahlia in Bloom: Crafting a Fresh Start with Magical Tools
著者:甘岸久弥  氏
イラスト: 氏

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あらすじ・内容

友の命の危機――魔導具師としてダリヤはどう立ち向かう!?

貴族との取引も増え、ますます活躍の場を広げていく女性魔導具師のダリヤ。
そんな彼女のもとを、友人の美容師イルマの夫であるマルチェラが訪れる。イルマが多すぎる魔力を持つ子供をその身に宿したことで「魔力過多症」となり、命の危機にあるのだった。しかし、子供を諦めるという選択をかたくなに拒むイルマを見て、ダリヤは友人として、魔導具師として、必ず二人とも救うと決意する。
築いてきた人脈、魔導具師としての技術、すべてをもってイルマを助けるための魔導具制作に臨むダリヤ。しかし、一筋縄ではいかぬその魔導具制作には、“彼女と似た性質の魔力を持つ”魔導具師の協力が不可欠だった。彼女が思い当たった魔導具師とは――。
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、決別と進歩の第六弾、開幕!

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 6

アニメ化

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式

前巻からのあらすじ

前巻

魔道コンロ導入で魔物がジビエ食材に見えて来た討伐隊の皆さん。

人間関係だと父親が急に亡くなって技術がまだまだ発展途上のヒロインに師匠が出来た!

師匠の家族は新しい嫁さんかと聞くのが、、

でも、師匠は馬に蹴られたくないらしいwそのイケメンの兄とヒロインが初めて面会。それを評価する従者、、

弟を凄く大切な兄からしたら、なかなかの高評価。

あとはスライム養殖場を視察、、

ヒロインと同種の人が仕切っているようでかなり凄い事になりそうだ。ブラックスライムは養殖出来るのだろうか?

感想

イルマが妊娠したら子供の魔力が強すぎて、イルマの身体が耐えられない状態になっていた。

原因は旦那のマルチェラの魔力が強過ぎたせいだった。
マルチェラは貴族が花街の娘に身籠らせた子供らしく魔力が物凄く強かった。

本来は魔力量に差がある夫婦では、妊娠すら出来ないはずだったのにイルマは妊娠してしまった。

マルチェラは子供を諦めて欲しいと言ったが、イルマは拒否して産むと言う。

そこでダリアは魔道具で何とかしようと師匠と共に魔道具を作成しようとするが、魔力の相性が良く無かった。

そこで白羽の矢が刺さったのがダリアを捨てた元婚約者。

その元婚約者と魔道具を作成してイルマは助かったが、、

魔力の多いマルチェラはダリアの護衛として商会に入る事になる。

ダリアの側に昔馴染みがさらに加わった。

次巻

最後までお読み頂きありがとうございます。

前巻 次巻

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その他フィクション

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フィクション あいうえお順

アニメ

PV

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OP

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備忘録

大鶏ソテーと部屋掃除

カルロは真夜中の作業場で一人酒を楽しんでいる。
この日、弟子としてトビアスの受け入れを決めた後、帰宅した娘ダリヤに彼を兄弟子として紹介した。
ダリヤは一瞬の間、競争心を覗かせたが、カルロは娘が魔導具師として成長していくことに期待を寄せる。
彼は二人の魔力が互いに協力し合い、光り輝く未来を願っている。カルロ自身も、彼らに追いつかれないように技術を磨く決意を新たにしている。
彼の目標設定は極めて高く、その厳しい修業は彼と彼の弟子たちに受け継がれていく。

ヴォルフとダリヤが食事の後、本屋で魔導具の本を買い、ダリヤの塔へ移動する。
本屋でダリヤは隣国の魔導具に関する書籍に興奮し、それをヴォルフに説明する。
塔に戻った二人は新しく購入した本を本棚に整理し、ダリヤはそろそろ四階の部屋を片付けなければならないと述べるが、それは彼女の亡き父カルロの部屋である。
ヴォルフは片付けを申し出るが、ダリヤは部屋に「男の浪漫」と称するものがあるため入りづらいと感じている。
カルロの死後、部屋はそのままにされていた。
ヴォルフが整理を引き受けると、部屋からは魔導具に関連するメモや設計案が見つかり、ダリヤに役立つかもしれないと彼は考える。
部屋の掃除を進める中で、ヴォルフはダリヤの幼少期に縫ったというハンカチを見つけ、それを大事にしまい込む。
この作業を通じて、彼はカルロと共通の趣味を持つことを知り、また、ダリヤの家族との絆の深さを感じ取る。

願う者と願われる者

ヴォルフとダリヤは夕食後、隣国の魔物図鑑を読んでいた。
彼らは魔物の特性や素材の使用法について知らなかった情報に驚き、隣国での魔物の利用が進んでいることを知る。
話に夢中になり、外が暗くなっても気づかなかった。
夜遅くに突然の来訪者があり、マルチェラが現れる。
彼は妻イルマが危篤状態にあることを告げ、イルマを助けるよう懇願する。
イルマは魔力過多症を患っており、彼女の魔力が強すぎる子供を妊娠していたために体がもたなくなっていた。
マルチェラは高い魔力を持っており、彼自身が貴族の血を引いている可能性があることが明かされる。
彼はダリヤにイルマを説得し、子供を諦めさせるよう頼む。
ダリヤはヴォルフに助けを求め、三人は神殿へ向かうことになる。

馬車で王都の北東にある神殿に向かった一行は、神殿本館に入る。
通常とは異なる入口から入り、特別な治療が行われる場所に案内された。
イルマはそこにおり、ダリヤは彼女と会話を交わした。イルマは重い病を抱えており、非常に弱っていたが、子供を産む意志を強く示した。
ダリヤはイルマに迷惑をかけたくないという彼女の考えを受け、支援を申し出る。マルチェラはダリヤとヴォルフに支援を依頼し、彼らはそれを受け入れた。
神殿での出来事は彼らにとって重要な瞬間となり、イルマの命と未来の子供の命がかかっていた。

ヴォルフは神殿でポーションを購入し、マルチェラに渡した。
神殿での診断によれば、イルマは子供をあきらめるか、治癒魔法を続けるしか選択肢がなかった。
ダリヤはイルマとマルチェラの両方を救う方法があると信じ、貴族の知識を求めることを提案した。
ヴォルフも貴族の家庭の助けを借りると言った。
二人はマルチェラとイルマに経済的支援を申し出た。
その後、ヴォルフとダリヤはそれぞれの方法で支援策を探求するために神殿を離れた。

ダリヤはオズヴァルドの屋敷で緊急の相談を行い、魔力過多症について話し合った。
オズヴァルドは、妊婦の魔力過多症に対応する特殊な魔導具の存在を認め、その製作が困難であることを説明した。
製作には希少素材と複合付与が必要であり、普通は貴族が事前に準備を行うものであると述べた。
また、その製作はダリヤとオズヴァルドの二人でなければ不可能であること、さらには関与すること自体がリスクを伴う可能性があることを警告した。
それにもかかわらず、ダリヤは友人を助けたいという強い意志を示し、オズヴァルドも協力を申し出た。
作業は徹夜になる予定で、ダリヤは必要な素材を用意し、オズヴァルドの助手として働くことを条件として受け入れた。

ヴォルフは王城に向かう馬車内で、兄のグイードと共にいた。
彼は魔力差のある夫婦について、特に妻側の魔力過多症の対処方法について相談を持ちかけた。
グイードは、多すぎる魔力を抑える魔導具が存在するが、その入手は困難であり、通常は事前に準備が必要だと説明した。
また、一時的な解決策として、魔導師による強化魔法を提案し、その日中に行動を起こすことを約束した。

しかし、グイードはヴォルフに警告も行い、他家の貴族問題に深く関わるリスクも指摘。
それでもヴォルフは友人を助けたいと強く願い、グイードは条件付きで支援を申し出た。
その条件は、マルチェラがスカルファロット家の騎士として仕えること、および未来の子供が家に「囲われる」ことだった。

最後に、ヴォルフがマルチェラに家の保護としての契約を提案し、グイードがその計画を受け入れる様子が描かれている。
また、この提案にはヴォルフと彼の友人たちに大きな変化がもたらされる可能性があることが示唆されている。

ヴォルフは神殿でマルチェラを呼び出し、彼にスカルファロット家に騎士として仕えることを依頼した。
この提案はイルマの命を守るためのものであり、マルチェラは驚きながらも承諾した。
また、ヴォルフは生まれてくる子供が高い魔力を持つ可能性があるため、将来的に狙われることを防ぐためにスカルファロット家で働くことを周囲に公言するよう求めた。

さらに、ヴォルフはマルチェラに対し、スカルファロット家とダリヤに従うという神殿契約を結ぶことも要求した。
これに対してマルチェラはすぐに同意し、ヴォルフとの友情が変わらないことを確認した。
最後に、ヴォルフはダリヤが魔導具作りに無理をしないようにマルチェラからの懸念に応える形で、ダリヤが魔導具師としての役割を全うするための支援体制が整っていることを強調した。

魔導具師の兄弟子と吸魔の腕輪

ダリヤはオズヴァルドの屋敷から塔へ戻る途中で、商業ギルドに立ち寄り、イヴァーノに今回の事情を説明し、謝罪した。
マルチェラに関する個人的な事情も含め、魔導具の製作とそれが貴族によって引き起こされる危険、商会に与える影響について全てを伝えた。
イヴァーノはダリヤを非難せず、彼の留守を快く引き受け、イルマの無事を祈っていた。
その後、ダリヤは塔に戻り、作業着を着て必要な素材を集め、オズヴァルドの屋敷へと急いだ。

オズヴァルドの屋敷では、余剰魔力を引き出すための「吸魔の腕輪」の製作が決定された。
この腕輪は、魔力吸引、結晶化の防止、妊婦と胎児を保護する効果が必要とされ、複数の希少素材を用いることとなった。
また、腕輪には魔力排出機能も必要であった。

製作には、天狼の牙、コカトリスの嘴、一角獣の角、二角獣の角、バジリスクの爪が使用される予定で、特に天狼の牙はダリヤが持参したものが適していた。
ダリヤとオズヴァルドは、この腕輪の製作に取り組むことになり、成功の可能性は五分五分とされたが、失敗した場合の代替案も検討されていた。

ダリヤは、天狼の魔力注入において限界まで自身の魔力を用いた。
オズヴァルドも協力し、遂に天狼の牙が小さく丸い白銀の結晶体に変化し、腕輪に組み込まれた。
その後、ダリヤは疲労のために力が抜け、ヴォルフに支えられて休息を取ることになった。
彼女はイルマへの完全治癒魔法の可能性やマルチェラが騎士になるという提案についてヴォルフから聞かされ、
彼女の作業についても説明した。二人は短い会話を交わし、疲れからか会話は途切れがちだった。
休息後、ダリヤは再びオズヴァルドと一角獣および二角獣の角の魔力付与作業に戻ったが、彼らの魔力がうまく合わず、作業は困難を極めた。
結局、ダリヤはトビアス・オルランドを呼ぶ決断をし、オズヴァルドにその意向を伝えた後、状況に応じて適切な対応をとるよう助言された。

オズヴァルドの屋敷から塔に戻ったダリヤは、疲れを感じつつも朝食の準備をした。
ヴォルフにはブラックコーヒーとチーズトースト、目玉焼き、ソーセージを提供し、自分は甘いカフェオレを選んだ。
食事中にダリヤは自身の緊張の弱さを認め、食欲がないことを告げた。ヴォルフは彼女にも食事をするよう勧めたが、ダリヤは断った。
その後、ダリヤはトビアスの呼び出しについての計画を立て、イヴァーノとの相談や冒険者ギルドへの追加の素材要請など、次のステップを検討した。
カフェオレをこぼしかけたが、ヴォルフが迅速に対応し、彼女は疲れからポーションを勧められた。
ダリヤはそれを受け入れ、オルランド商会への訪問を計画したが、緊張のあまり休息を取ることに決めた。
ヴォルフも同じく休息を取ることにし、彼はソファで、ダリヤはベッドで眠ることになった。

仮眠後に準備を終えたダリヤとヴォルフが塔から出ると、イヴァーノが馬車で到着した。
イヴァーノはオルランド商会への訪問に同行すると申し出た。
彼はオルランド商会との業務提携があることを説明し、神殿契約についても触れたが、ダリヤはその契約の存在を初めて知った。
イヴァーノはダリヤを保護する意図で行動しており、彼自身の家庭に対する保護措置も語った。最終的に、ダリヤはイヴァーノに対して本音を共有することの重要性を強調し、彼もダリヤに対する忠誠と支援を確認した。
二人は互いに協力し合うことを改めて確認し、商会の重要な決定にはお互いが関与することで一致した。

ダリヤはオルランド商会の受付で、トビアス・オルランドに急ぎの魔導具制作を依頼するために現れた。
トビアスとの突然の対面では、ダリヤは直接自ら依頼の内容を説明し、トビアスはその依頼を受け入れた。
その場にいたトビアスの妻、エミリヤも同席することとなった。
ヴォルフが場を取り持ち、トビアスの家での作業待機を提案し、彼の礼儀正しい対応により、緊張していたダリヤは少し安堵した。
最後に、ダリヤはトビアスと共に作業を開始するために出発し、その際ヴォルフが彼女を支えた。

オズヴァルドの作業部屋の隣室には六人が集まり、簡単な自己紹介が行われた後、静寂が続いた。
ダリヤ、オズヴァルド、トビアスが作業部屋に入り、ヴォルフ、エルメリンダ、エミリヤは隣室で待機することになった。
作業部屋のドアは開け放たれ、声をかけることが禁じられた。

ダリヤとトビアスは、マルチェラとイルマのための『吸魔の腕輪』の制作に取り掛かった。
この腕輪の制作は難航し、試作品の防水布を用いた練習が行われたが、二人の魔力の差が原因で最初の試みは失敗に終わった。
トビアスとダリヤは作業中に口調を変え、以前のように互いに呼び捨てにすることで作業を進めやすくした。

彼らは再び一角獣と二角獥の角への付与作業に挑戦し、何度かの失敗と調整を経て、最終的には成功した。
付与された角は均一に魔力が入り、美しい虹色の輝きを放った。
成功の確認をオズヴァルドが行い、彼の厳しい目を通しても魔力の入り方が均一であると評価された。

この一連の作業は、互いに協力し合いながら、それぞれの魔導師としての成長と緊密な連携の重要性を改めて確認する機会となった。

オズヴァルドは、作業中の二人に向けて腕輪にバジリスクの金色の爪を取り付け、定着魔法を施した。
彼はまた、魔力を増幅させる赤い指輪を使用してバジリスクの爪に付与を行った。この指輪は、オズヴァルドの魔力を補うために使用された。
作業は、オズヴァルドが深刻な表情で続けたが、手からは血が滲み、ダリヤたちはその緊迫した様子に見入った。

魔力付与の過程で、オズヴァルドは痛みを隠しながら作業を続け、最終的には炎性定着魔法を使って腕輪の仕上げを行った。
作業が終了すると、彼は使用した指輪が使い捨てだったことを明かし、作業の技術的な説明を加えた。

その後、ダリヤは父カルロの遺した魔導書をトビアスに渡すため、箱から取り出した。
魔導書には、カルロからトビアスへの最後の手紙が含まれており、トビアスはその内容に感情的な反応を示した。
手紙は、トビアスとダリヤの未来へのエールと指示が書かれていた。
カルロは、二人が協力し合い、お互いを支えるように求め、トビアスには健康を気遣う言葉も添えられていた。

ダリヤは父カルロからの手紙を読み、感情が揺れ動いた。手紙は感動的な内容だったが、最後の追伸が彼女を唖然とさせた。
トビアスも手紙の内容に困惑し、ダリヤが姿絵の片付けを頼むと思いこんでいたカルロの勘違いについて語った。
このやり取りで、トビアスはダリヤの前に立つようカルロに言われていたことが明かされた。二人はカルロの遺言について議論し、互いの未来について考えた。

さらに、ダリヤはトビアスに紅金の買取を提案し、二人は過去の婚約やその解消について語り合った。
トビアスは自身の行動を反省し、ダリヤは彼に対する本音を明かした。
結局、トビアスはダリヤに感謝し、彼女も彼を許すことを決めた。

最終的に、二人はこれまでの関係を清算し、「さよなら」を交わして新たな道を歩むことを決意した。
この別れは、長い共有した時間の終わりを意味し、お互いに新しいスタートを切る機会となった。

作業部屋でダリヤとトビアスが魔導具の付与作業を行っているのを、ヴォルフとエルメリンダが隣室から観察していた。
ヴォルフは二人の作業の様子を見ながら、過去の関係性を思い返していた。
作業は一時は難航し、防水布作りでも失敗している様子だったが、二枚目の防水布は成功した。

その間、エミリヤも同じ部屋におり、トビアスとダリヤの息が合った作業を見て、自分が二人の間に割って入ったことに対する罪悪感に苛まれていた。
彼女は涙をこぼしながら、自らの位置について深く悩んでいるところをエルメリンダが慰めていた。

一方、ヴォルフは自身の感情を抑えつつ、ダリヤのことを気にかけていたが、トビアスとの過去の絆を認めざるを得ない状況にあった。
ダリヤとトビアスが共に過ごした時間とその深い結びつきに、ヴォルフは複雑な感情を抱いていた。

最終的に、エミリヤとエルメリンダは部屋を離れ、ヴォルフはダリヤとトビアスの会話が終わるのを待つ間、自分の感情を整理する時間を持った。
ダリヤがトビアスに向けた笑顔と言葉から、彼女のトビアスへの未練がまだ残っていることを感じ取り、ヴォルフはさらに心を痛めることになった。

トビアスはダリヤとヴォルフが『吸魔の腕輪』を持ち、神殿へ向かう中、オズヴァルドと共に作業部屋で素材の片付けをしていた。
作業完了後、彼は体調を崩し、強い酒を飲んで回復を図るが、その酒が魔力ポーションだったことを知る。
オズヴァルドとの会話で、トビアスは以前ダリヤを捨てて別の女性を選んだ理由について話すことになり、その選択が真実の愛に基づいたものだったことを認める。

その後、オズヴァルドはトビアスに対して、もし魔導具師としてさらに成長したいのであれば、彼がサポートを提供すると申し出る。
トビアスは自らの選択を後悔しているが、自分が選んだ道を歩む覚悟を再確認する。
最終的に、彼は妻との関係を改善するために、これからもっとコミュニケーションを取ることを決心する。

おやすみなさい、よい夢を

ダリヤとヴォルフがオズヴァルドの屋敷から神殿へ急いでおり、ダリヤは女性の病室でイルマのもとへ行き、彼女に『吸魔の腕輪』をつけた。イルマの具合はすぐには改善しなかったが、間もなく眠りについた。
スカルファロット家からの使いが訪れ、明日イルマに完全治癒魔法をかけることが告げられ、ダリヤは安堵した。
神殿を出た後、ヴォルフは食料を買い、二人は緑の塔で夕食をとった。
その後、スカルファロット家から送られた花の蜜酒を飲みながら、イルマの回復を祈り乾杯した。
二人は、これからのお祝いをどうするか話し合い、今回の出来事を振り返った。
夕食後、ヴォルフはダリヤをソファーに移動させ、彼女が快適に眠れるよう配慮した。
ダリヤが安心して眠る姿を見て、ヴォルフは友情の深さを改めて感じていた。

自慢の友達

ダリヤは三日後、神殿を訪れていたが、ヴォルフは王城での勤務のため同行できなかった。
ダリヤは前夜、酔いつぶれてしまい、ソファーで眠ってしまったということを、朝に気づく。
神殿でマルチェラからイルマの回復に感謝され、イルマ自身も完全治癒魔法によりすっかり元気を取り戻していた。
その魔法は副神殿長のエラルドによって施され、イルマはその治療を喜んでいた。
イルマから、彼女が双子を妊娠していることを知らされ、二人はこれからの準備と育児の大変さを想像しつつも、今は幸せな気持ちでいっぱいだった。
ダリヤとイルマは互いに感謝の言葉を交わし、友情を確認しあった。

父としての選択

マルチェラとイヴァーノは、オズヴァルドの屋敷を訪れ、礼を述べた。
彼らは蠍酒二ケースと森大蛇の干物を贈り物として持参し、オズヴァルドとエルメリンダはこれを感謝して受け取った。
会話の中で、オズヴァルドはトビアスについて言及し、彼の技術を高く評価していることを示した。
イヴァーノは、オズヴァルドがダリヤだけでなく、トビアスも商会に取り込むことで、リスクを分散しようとしていると理解した。
また、オズヴァルドは将来的に息子が魔導具師として成長することを支援するために、地元の有能な魔導具師を近くに置きたいと考えていた。
オズヴァルドの計画としては、多くの魔導具師を支援し、連携して彼の商会の将来を保証することにある。

マルチェラはオルランド商会の前でトビアスと再会し、彼に感謝の言葉を伝えた。
トビアスは、マルチェラの感謝に謙虚に応じ、過去の行動について言い訳をしなかった。
マルチェラは、トビアスに対して失望していたが、彼の行動について理解しようとした。
しかし、トビアスはマルチェラに対し、距離を置くよう求めた。
彼は自分と関わることがマルチェラやその家族に危険をもたらすかもしれないと考えていたためである。
二人はお互いの将来について真剣に考え、現在の立場を理解しつつ、将来再会することを望んだ。

幕間 姿絵の行方

ヴォルフは、亡きダリヤの父カルロから受け継いだ姿絵について悩んでいた。
兵舎に持ち込むと目立つため、結局自室のクローゼットに隠しておくことに決めた。
鍵をかけ、メイドには部屋の出入りを禁じた。
兄のグイードとヨナスが訪ねてきた際、ヴォルフはこの姿絵の存在を打ち明けた。
グイードはヴォルフの悩みを解決するため、魔導具で保護された特別な本棚を提案し、ヴォルフはそれに感謝した。
また、グイードからは、彼が何かあった場合に備えて、この本棚の管理をヴォルフに依頼する話が出た。
二人はこの秘密を共有し、より絆が深まったと感じた。

商会保証人と新商会員

商業ギルドにて、ダリヤとイヴァーノはジルドファン・ディールスからの速やかな手紙と書類に圧倒されていた。
ジルドは、マルチェラがロセッティ商会に加わるにあたり、新たな保証人として迅速に役目を果たし、その対応に二人は疲労感を覚えていた。
続いて、マルチェラとメッツェナ・グリーヴが訪れ、メッツェナが商会に加わることを提案し、彼が運送ギルドを辞める理由を説明した。
イヴァーノは、グリーヴを商会員として迎え入れることを快く承諾し、マルチェラが彼の保証人となることを確認した。
二人はロセッティ商会の新しいメンバーとして歓迎されることになった。

魔石焼き芋と銀刀魚の塩焼き

窓の外から屋台の少年が「秋のお芋」と呼びかける声が聞こえてきた。
ダリヤは財布を持ち出て、少年からサツマイモを購入した。
少年は彼女の顔を褒め、おまけを与えた。
買い物の後、少年は魔法で声を拡散し、近隣の女性たちも買いに出てきた。
ダリヤは塔に戻り、サツマイモを味わいながら、ヴォルフの訪問を受けた。彼もまたサツマイモを持参しており、二人で一緒に食べた。
その後、銀刀魚(サンマ)を屋上で焼く計画を話し合い、ヴォルフは子供の頃の苦い思い出を共有した。
ダリヤは彼を励まし、大人として再挑戦することを提案した。

塔の屋上でダリヤとヴォルフは焼きサンマを楽しんだ。
レモン水割りを作りながら、銀刀魚の焼ける匂いにヴォルフは若干動揺したが、食べ始めてすぐにその美味しさに満足した。
様々な調味料を試し、特に大根おろしとレモンの組み合わせを気に入ったようだ。
ダリヤはヴォルフに焼き魚のほぐし方を教え、彼はそれを楽しんだ。
その後、彼らは焼きトウモロコシを食べ、ヴォルフはその甘さに驚いた。
食後、月見酒を楽しむ中でヴォルフは少し酔い、家族についての個人的な感情を語った。
ダリヤは彼を励ます言葉をかけ、ヴォルフは感謝の意を示した。
最後に、彼らは食事の素晴らしさを再確認し、楽しい時間を過ごした。

新保証人と子狐

魔導具店『女神の右目』の応接室で、オズヴァルドとダリヤが相互保証人の契約を交わした。
オズヴァルドはダリヤがゾーラ商会の保証人に、ダリヤはオズヴァルドがロセッティ商会の保証人になるという形である。
この契約は、双方の商会にとって有益であり、ダリヤにとっては、特に近い年齢の保証人がいることが将来的に助けになるだろう。

また、この日、オズヴァルドは妻フィオレをゾーラ商会の副会長に任命し、商会業務の一部を彼女に委ねることを発表した。
フィオレの新しい役割については、彼女が副会長としての職務を適切に遂行する能力があることを示している。

会議中、オズヴァルドの息子ラウルが父の健康を心配する場面があり、オズヴァルドはそれに対して厳しく対応したが、後にその反応を誤りであったと認め、息子に対して教育と父親としての時間をより重視する意向を示した。

この会合は、ダリヤとオズヴァルドの間での互いの支援と協力の強化、並びにフィオレの商会での新たな役割への移行を正式に確認する場となった。

帰路の馬車内で、ダリヤがイヴァーノにロセッティ商会の副会長および後継者になるよう依頼した。
この突然の要請にイヴァーノは驚き、その重大さについて詳細な説明を始めた。
ダリヤはこの提案が計画的であることを説明し、イヴァーノへの信頼を強調した。
イヴァーノは、商会長の権限と後継者指定が商会財産全体に及ぶことを懸念しつつも、最終的にこの役割を受け入れることに同意した。

ダリヤは、自分に何かあった際に商会が困らないようにとの配慮から、イヴァーノに後継者としての準備をするように求めた。
イヴァーノはダリヤの真意と成長を認め、共に商会を支えていくことを確認した。
この出来事は、二人が商会として共に成長し続けるための新たなスタートとなった。

新商会員顔合わせ

ロセッティ商会の会議室で、ダリヤとイヴァーノが、マルチェラとメッツェナに礼儀作法を教えていた。
練習中、ダリヤとマルチェラは緊張のために口調が崩れ、メッツェナは笑いをこらえていた。
礼儀作法の練習後、商会の事務手続きが行われ、マルチェラとメッツェナが保証人から外れる手続きが完了した。
二人には保証金に利益を加えた金額が支払われ、その額に彼らは驚いた。

その後、イヴァーノはメーナに部屋と宿の提供を申し出た。
メーナはロセッティ商会の正式なメンバーとして迎えられ、運送ギルド時代より高い給与を受け取ることになった。
また、彼が『雀』として活動していたことも明らかになり、イヴァーノはその活動を継続することを許可した。

この日の出来事は、商会メンバー間の絆を深めるとともに、彼らが共に新たなスタートを切る一幕であった。

イヴァーノが一人で部屋に残り、書類整理をしていた。
その中で、グイードから送られた羊皮紙を読み返し、メッツェナ・グリーヴについての情報を確認する。
メッツェナは親が不明で救護院出身、マルチェラの紹介で運送ギルドに入り、真面目で能力も高評価を受けている。ただし、金銭の使い道について嘘をつかれたことには意外な感じを持つ。
メーナは実際には、救護院出身者への援助に給与を使っており、これも一種の「交際費」と言えるが、彼が「自由恋愛派」という理由を前面に出すのは、おそらくは心象を悪くする意図だろうかとイヴァーノは考える。

オズヴァルドからのアドバイスを受け、メーナを商会員として育てることに意欲を感じているイヴァーノは、商人としての才能を伸ばせば大いに役立つ人材になると確信している。
身体的な能力も高く、社会的な灰色地帯も理解しているメーナのポテンシャルに期待を寄せつつ、これからの仕事の増加を前向きに受け入れていた。

沼蜘蛛討伐と遠征食

魔物討伐部隊が王都東の宿場街近くにある湖で大蜘蛛の討伐のために設営している。
ヴォルフは、ロセッティ商会の歓迎会と懇親会に参加したいと繰り返しているが、近くの友人たちは彼の発言に苦笑している。
ヴォルフは自主休暇をほとんど取っていないことが話題になり、友人たちはもっと休暇を取るべきだと提案している。
夕食は黒パンと干し肉であり、以前の遠征食を食べながら、明日の討伐作戦について話し合っている。
第二騎士団の副団長が、魔物討伐部隊の見学と援助の名目で参加しており、彼らがどの程度活動できるかが懸念されている。
夜は酒を交えた会話が続き、外では秋の虫が鳴いている。

湖近くで魔物討伐部隊と第二騎士団が合流し、沼蜘蛛の討伐に挑んでいる。
副団長は沼蜘蛛についての知識を披露し、討伐計画を立てるが、沼蜘蛛の水を吐く能力により予想外の展開になる。
沼蜘蛛が騎士団に襲いかかる中、部下を守るために副団長が行動するが、自分も蜘蛛に捕らえられそうになる。
この時、魔物討伐部隊の隊員が副団長を救出し、沼蜘蛛は迅速に討伐される。
事件後、副団長は魔物討伐部隊の副隊長と和解し、打ち上げに参加する。
これを通じて、第二騎士団員が魔物討伐部隊の遠征に定期的に参加することとなり、副団長はグリゼルダの人間性と戦闘能力を高く評価する。

ロセッティ商会の懇親会

ロセッティ商会の懇親会が港近くのレストラン「黒鍋」で開催されることになった。
参加者はダリヤ、イヴァーノ、フェルモで、フェルモは他の者より早く到着して準備していた。
彼はダリヤに感謝の言葉を述べ、自身の工房が立て直せたこと、妻が仕事に復帰できたことを彼女の支援のおかげだと伝えた。
フェルモは西区に家付き工房を建てる計画を話し、新たに六つの製品の共同名義の署名をダリヤに求めた。これにより、二人の利益は半々になる。
しかし、ダリヤは自分の貢献を謙虚に述べ、フェルモの提案に同意した。

その後、フェルモはダリヤに彼女の下で働きたいと申し出るが、ダリヤは彼を部下ではなく、職人としてのパートナーとして迎え入れることを望んだ。
フェルモはこの提案を受け入れ、二人は今後も共に働くことを確認し、新しい商会を立ち上げる計画を進めることになった。

マルチェラとメーナが少し改まった装いで部屋に入った際、他の者たちと和やかな会話が交わされていた。
ルチアも白からアクアブルーに変わるグラデーションのワンピースで登場し、皆から褒められる。
その後、フェルモとメーナの技術的な話題が展開され、フェルモが新しい製品の開発について話す。
ヴォルフが遅れて到着し、メーナと初めて会った際には彼の外見について少し失礼な発言があったが、和やかなムードに戻る。
会話の中で、フェルモが新しい商会を立ち上げることが決定し、そのお祝いとして乾杯が行われた。

乾杯後、薄切りの黒パンに山羊乳チーズの塩漬けが配られ、親睦を深めるために共有された。
続いて、テーブルには肉、魚介、野菜の揚げ物、ムール貝に似た貝のオーブン焼き、スモークチキン、ソーセージなど豊富な料理が並べられた。
赤白ワインや果物ジュースも提供された。
参加者には、クリームとトマトソースのパスタやオーブンで焼かれた肉団子と野菜が供された。
また、紅牛の子牛ヒレ肉ステーキが提供され、その上にはキノコソースがかけられた。
この料理は参加者から高い評価を受け、特に肉の柔らかさと味わいが称賛された。
食事が進む中、会話は様々な話題に及び、親睦が深まった。

来年の夏までに微風布を今季の百倍作るというルチアの発表があった。
ルチアは服飾ギルドの研究員たちの努力で微風布の使用期間が三倍に延びたことを話し、さらにはその生産を増やすために人員や設備の拡張を進めていると述べた。
また、王城向けの納品には爵位持ちが関わる必要があり、それが大変だとも話した。
服飾魔導工房では冬物と春物の準備も進めており、将来的にはデザイン性のあるアンダーウェアやランジェリーも開発したいとしている。
一方、ロセッティ商会では、靴乾燥機向けの大型倉庫が不足しており、これが話題になった。
また、ヴォルフの提案で、ロセッティ商会の書類置き場を彼の屋敷に設けることも提案された。
最終的に、服飾や魔導具に関する様々な話題が飛び交う中で、日常の雑談や親睦が深まる場となった。

幕間 黒の革手袋

マルチェラは運送ギルドの職員として働き始め、ある日、先輩のジュゼと共に西街道へ行くことになった。
荷物を運んでいる途中、ジュゼがぎっくり腰になり、マルチェラが馬車の手綱を取る。
しかし、暴れる馬のために馬車が横転し、マルチェラは己が死を覚悟した。
その時、彼は突然土魔法を発動させ、馬車を持ち上げて事故を免れる。

その後、ジュゼの助けもあり、二人は無事王都に戻る。
帰路でマルチェラは自分の未知の魔法能力について考える。
事故から回復後、彼は家族との関係について深く考え、自分の本当の出自に気づく。
彼の実母は彼を産んだ後に亡くなり、育ての父母が彼を自分たちの子として育てていた。
血のつながりを超えた家族の愛を感じながら、マルチェラはこの二人だけが自分の真の父母であると心から受け入れた。

マルチェラは騎士としてスカルファロット家の本邸に招かれた。
彼は自分が騎士としてここを歩く日が来るとは思っていなかった。
屋敷内は豪華で、彼は教育係の教え通り堂々と歩いた。本邸の奥にある客室で、彼を招いたグイードと会う。
グイードは親しげにマルチェラを歓迎し、彼にロセッティ商会への加入を祝う魔封箱を渡した。
中には高価なブラックワイバーンの手袋が入っていた。

グイードはマルチェラに、彼の実父に関する情報を持っていて、貴族としての生活を送るチャンスを提示するが、マルチェラはそれを断る。

彼は自分の家族が最も大事で、貴族としての生活には興味がないと説明する。
グイードはマルチェラに彼と家族の未来を保証し、彼がロセッティとヴォルフを守るために働くことを期待している。
マルチェラは全力で守ることを誓い、その場で拳と拳を合わせることで応じた。

番外編  父と娘の魔導具開発記録 ~レインコート ~

ダリヤは父に完成したレインコートを見せる。
このレインコートは彼女が自らアイディアを出し、軽くて防水性のある布で作られたものである。
彼女は父と一緒に食堂でレインコートの完成を祝い、ビーフシチューで乾杯する。
ダリヤは子供の頃から父と一緒に魔物の素材を加工していたため、地元ではその家族が少し変わっていると認識されているが、ご近所さんからは理解を得ている。
ダリヤがレインコートに使った布はブルースライムから作られ、その開発過程で多くの試行錯誤があった。
父はダリヤの母を思い出しながら、娘が成長したことを幸せに感じている。

カルロは王城からの依頼を受け、王族専用の給湯器の改良品制作を依頼される。
彼は過去にも同様の修理を行った経験があり、今回も依頼を受け入れるが、それに関連して王城魔導具師の誘いを複数回断っている。
この依頼文には、もしカルロが断る場合は、若い魔導具師を紹介してほしいとの内容が含まれていた。
カルロは自身の後輩や信頼できる先輩にこの仕事を頼むことを考えるが、彼らの家族に迷惑が及ぶことを懸念して断念する。

彼は自分自身が最も適任であると判断し、王城に赴く。
そこで彼は、大型給湯器の修理という名目の下で、実際は防衛装置に近い水蒸気噴射機の修理を依頼される。
この装置は非常に高温であり、カルロはその軍事的利用可能性に懸念を抱く。
彼は給湯器の小型化や温度上昇の可能性について問われるが、武器としての利用には反対の立場を明確にする。

依頼人はカルロに子爵位を提示し、彼の承諾を得ようとするが、カルロはその申し出を断り、代わりに自分と自分の弟子が魔導具師として王城で働くことがないように求める。
さらに、彼の元妻の実家に国からの援助金を戻すよう要求する。
これらの条件について、公正な取引を望んでおり、公証人による文書を求める。

カルロの忠実な行動と彼の家族への深い愛情が、この文書を通じて表現されている。
彼は王城での更なる勧誘を断り、自身の価値観を守り続けることを選択する。

カルロが、王城で非常に高度で危険な付与魔法に挑戦する。
彼は熟練の魔導具師として、他の魔導具師たちが失敗した後、複雑で力を必要とする魔導回路の構築に自ら進んだ。
天狼の牙という難しい素材を使い、魔力ポーションを多量に消費しながら、限界まで自身の魔力を使い続ける。
カルロはこの危険な試みを通じて、自分自身と魔導具師としての役割を極限まで押し進める。
また、若い魔導具師カルミネと協力し、彼が経験不足であるにもかかわらず、一緒に作業を進めることで彼を支える。

この過程でカルロは、自分が魔導具師としてのみならず、父親としての責任と矜持を重く感じていることが明らかになる。
彼は自分の身体を犠牲にしながらも、将来的には娘が同じような危険に直面することを避けようとする。
最終的には、危険な試みが成功し、彼はカルミネとの友情を深め、彼を自分の家で迎え入れることを提案する。
カルロの行動は、彼の強い職人精神と親としての愛情が動機であることを示している。

オルランド商会長であるテオから飲みの誘いを受けたカルロは、彼との食事中に衝撃的な告白を聞く。
テオは自身の寿命があと一年しかないことをカルロに伝え、自分が亡くなった後の息子トビアスとダリヤの結婚を願っていることを話す。
テオはこの病気を知ってからダリヤとの結婚を望んでおり、彼女が不本意な貴族からの誘いを受けた場合、商会を利用してこれを阻止する計画も立てている。
カルロはテオの提案を受け入れ、もし悪い誘いがあった場合には、ダリヤとトビアスを他国へ送るという手段も検討している。

テオの告白はカルロに深い衝撃を与え、二人は互いの健康状態や未来について真剣に話し合う。
この会話は二人の深い友情と、お互いに対する深い信頼と尊敬が感じられる内容となっており、カルロはテオの提案を受け入れることで、彼の息子と自分の娘が将来的に支え合いながら生きていける道を選んだ。

春のある日、カルロは身体の不調を感じながらもダリヤとトビアスに向けて明るい声を振り絞る。
二人は商業ギルドへ素材を受け取りに行くと告げ、カルロはそれに合わせて食料品の買い出しも頼む。
しかし、カルロは自分の体調が悪化していることを隠し、二人に見送りをせずに部屋で魔導ランタンを調整する振りをする。
彼は胸の痛みを感じつつ、ダリヤとトビアスが自宅を出るのを見守る。

ダリヤとトビアスは親しい間柄であるが、恋愛感情は見られず、魔導具や素材の話題で盛り上がる兄妹のような関係を保っている。
カルロは彼らが結婚に進むことについて心配しており、もっと長く彼らを見守りたいと願っている。
彼は魔導具師として、また父親としての役割を十分に果たせなかったことを悔やみながら、彼らが互いに支え合い、幸せな人生を送ることを願う。
最後に、彼は二人が出ていく様子を見送り、彼らの幸福を心から祈る。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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