小説「魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 9」感想・ネタバレ

小説「魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 9」感想・ネタバレ

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どんな本?

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~』は、甘岸久弥 氏によるライトノベルで、転生者である主人公ダリヤ・ロセッティが主人公。
ダリヤは魔石や魔物の素材、魔力を使った加工でアイテムを作る『魔導具師』の家に生まれ、婚約破棄されたことをきっかけに自身の商会を立ち上げ、数々の便利なアイテムを生み出して行く。

また、このシリーズはコミカライズもされており、『魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~』というタイトルで連載されている。
さらに、TVアニメ化も決定。
この物語は、ダリヤのものづくりと、彼女を取り巻く人々との交流を描いている。

読んだ本のタイトル

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 9巻
(英語名:Dahlia in Bloom: Crafting a Fresh Start with Magical Tools
著者:甘岸久弥
イラスト:駒田ハチ
キャラクター原案:  氏

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あらすじ・内容

炎龍や氷龍のウロコに月光蝶の結晶、希少素材でダリヤが作るものは!?
スカルファロット家武具部門と協力し、開発を重ねる女性魔導具師のダリヤ。
ダリヤは魔物討伐部隊相談役として認められ、彼女の叙爵が正式に決定する。
そんなある日、王城魔導具制作部を見学する機会に恵まれたダリヤは、制作部長、副部長同席のもと、月光蝶を使用した魔導ランタンへの付与を体験することに。
「美しい付与は、カルロに似たのだな」
父から受け継いだ技術、そして彼女自身の人柄で多くの人を引き付けていくダリヤを前に、ヴォルフは彼女を守りたいという気持ちを強めていくのだった。
そんな二人を見守る周囲は、ダリヤが叙爵前のお披露目で舞踏会に参加することを好機とばかりに、ヴォルフの背を押そうとあらゆる手を画策するが――!?
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、二人の気持ちが動きだす第九弾、開幕!

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 9

感想

『魔導具師ダリヤはうつむかない 』は、ダリヤの成長を通じて、魔導具師としての彼女の技術は周囲から高く評価されており、彼女の提案やアイデアが新しい可能性を開く場面が何度も描かれている。

彼女の物語はまだまだ続くが、この9巻は彼女がどのようにして自分の運命を受け入れ、それを乗り越えていくかを見事に描いていた。

魔導具師としても人としても成長を続けるダリヤの姿は、強く印象に残っている。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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王立高等学院編

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その他フィクション

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フィクション あいうえお順

アニメ

PV

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式
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OP

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式

ED

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備忘録

鶏団子と太白ネギのスープ

ダリヤ・ロセッティとヴォルフレード・スカルファロットは親しい友人であり、仕事仲間でもある。
ダリヤは魔導具師であり、魔石や魔物の魔力を利用して日常生活に根ざした魔導具を作成している。
彼女は転生者であり、前世は日本で家電関連の会社に勤務していたが、その思いを今世に生かしている。
一方、ヴォルフは王城騎士団の一員であり、黒髪金目の美青年で、多くの女性からの注目を集めている。
彼らは一緒に食事をしながら親交を深め、互いの過去や未来について語り合う。
特に、ヴォルフは庭園についての知識が乏しいことを認めつつ、花の種類を増やすことに興味を示している。
彼らは来年の夏に市場で辛い細ネギを探しに行くことを約束し、さらに親密な関係を築いている。

魔導書と魔物討伐部隊のローブ

商業ギルドのロセッティ商会で副会長のイヴァーノが、オルランド商会から届けられた白い布包みを開封する。
中には大きめの革箱と書類の束が含まれていた。
書類の一枚目には、ダリヤの元婚約者であるトビアス・オルランドからの手紙が添えられており、魔導書のコピーとダリヤへの伝言が記されていた。
革箱の中には、トビアスが書き写した魔導書が薄紙に包まれて入っており、ダリヤはそれを感慨深く確認した。
書類の残りはイヴァーノに渡され、それには希少素材の入手先や加工業者の連絡先リストが含まれており、商業活動に利用することになった。
ダリヤは魔導書を自分しか開けないように設定した後、商会の今後の業務についてイヴァーノに指示を出した。
その後、ダリヤは王城の魔物討伐部隊棟へ向かう準備をするが、彼女は商会の副会長としても様々な重要な業務をこなしていることが強調されている。

ダリヤ、ヨナス、マルチェラは魔物討伐部隊棟の会議室に移動し、魔物討伐部隊長のグラートやランドルフらと合流した。
ランドルフの使用している大盾の確認が行われ、その盾には深い傷がついていたが、衝撃吸収材には破損がなく、実用化が一歩前進した。
その後、ダリヤたちはグラートの執務室に招かれ、新しく誂えられた「相談役」用のローブが渡された。
このローブには魔法耐性を高めるための五重付与の魔法が施されており、非常に高価で貴重な素材「銀赤」が使われていた。
また、ダリヤとヨナスには男爵の叙爵が発表され、彼らの功績が認められた。
この叙爵により、彼らは今後、王城内での地位が向上することになる。

ローブの礼を述べたダリヤは、スカルファロット家の馬車で王城から緑の塔まで送られた。
ヴォルフには後でお祝いに来るかとこっそり尋ねられ、ダリヤはうなずきで応じた。
緑の塔に着くと、ヨナスが魔封箱を運び、部屋での一連の作業を行うことになった。
マルチェラは馬車内で待機し、ヨナスが箱の内容を確認した。ヨナスは部屋のドアを半開きにし、不適切な状況を避けるために長剣を立てかけた。

ヨナスはダリヤに深い敬意を表し、共に男爵に叙爵されたことに対する感謝を述べた。
彼は自分の功績がダリヤによるものだと認め、何か恩返しをしたいと申し出たが、ダリヤは必要ないと断った。
彼女は自分もヨナスと共に仕事をしており、魔導具開発は共同の努力だと語った。

ヨナスはダリヤに何かお返しをしたいと強く願い、国からの支給金を提案したが、ダリヤはこれを辞退し、「借り」としておくことを提案した。
ヨナスはダリヤの要望に答え、彼女がお願いしたいことがあればいつでも相談に乗ることを約束した。

ヴォルフが約束通りに塔に訪れ、ダリヤに花束とお祝いの酒及び肴を贈った。
彼らは二階で夕食を共にし、ヴォルフはダリヤにさらに高級料理を提供したが、ダリヤは既にシチューを用意していたため、彼の要望でそれを追加することにした。
その後、王城の財務部長であるジルドから手紙と贈り物が届き、感謝の言葉が綴られていた。

食事中、ヴォルフとダリヤは遠征中の食事について話し合い、ヴォルフは野菜不足を補うためにダリヤの作った「緑の野菜ジュース」を試すことに興味を示した。
ダリヤは彼に次の遠征でこのジュースを持って行くことを提案し、彼はそれを受け入れた。

最後に、彼らは再びお祝いの酒で乾杯し、ダリヤの男爵への昇格を祝った。
二人は将来のプロジェクトについても話し合い、魔剣作りに挑戦することに決めた。

グイードとヨナスがスカルファロット家の執務室で離籍について話し合っている。
グイードはヨナスに対し、彼がスカルファロット家を離れない限り、騎士としての地位を保証する意向を示す。
ヨナスは、自身が離籍することで護衛できない場所が増えることに懸念を示し、それに対しグイードは王城での護衛体制に自信を持っている。
さらに、ヨナスの養子縁組や婚姻の話が進行中であり、その中でヨナスが魔付きであることにも触れている。
また、グイードはヨナスがスカルファロット家に大きく貢献していることを評価し、彼の将来に対してさまざまな可能性を探る。
この会話の中で、ヨナスの社会的地位や身分に関わる重要な決定が行われていることが明らかになる。

お祝いの品決め

ダリヤがイルマとマルチェラの家で昼食のバスケットを渡し、その場にはヴォルフ、イヴァーノ、ルチア、メーナも集まっている。
イルマは現在妊娠7ヶ月で、双子を妊娠しており、近いうちに神殿に移動する予定である。
マルチェラは、イルマの出産とその後の世話のために、仕事を一時的に休むことになっており、その間の職務は代理が務める。
一同はイルマの出産と子育ての準備について話し合っており、お祝いの品を決めている最中である。
ヴォルフからは幼児用の魔法暴発防止魔導具、イヴァーノからは沐浴用具と保湿油が提案される。
また、ベルニージからは山羊の乳の配達サービスが贈られることが明かされる。
出産に向けて、周囲は支援と喜びで溢れている。

黒犬と子狐と名呼び

オズヴァルドの屋敷にて、ダリヤとヴォルフがオズヴァルド、息子のラウル、そして第三夫人のエルメリンダと紅茶を楽しんでいる。
冬であるにも関わらず、屋敷の庭は緑豊かで、窓からその景色が見える。
イルマの出産祝いの品を決めた後、ダリヤとヴォルフはこの屋敷を訪れている。
ヴォルフとラウルが初めて対面し、礼儀正しく挨拶を交わしているが、会話の中でヴォルフがラウルを子供扱いしてしまう。
ラウルはヴォルフとダリヤの関係を尋ねるが、彼らはただの友人であることが強調される。
ダリヤはオズヴァルドにヨナスから得た赤いウロコを見せ、それが魔力制御の材料として適しているかを尋ねる。
しかし、ウロコが自然に剥がれたものでなく、ヨナスが自ら引き抜いたものであることが明かされ、エルメリンダは魔力を制御する難しさを指摘する。
最終的にはオズヴァルドが授業を始めることを宣言し、一同は作業場へと向かう。

ヴォルフが新しい紅茶を飲みながらエルメリンダと対話を交わしている。
エルメリンダは冒険者としての過去を語り、魔付きの仲間が暴走した経験を共有し、その危険性をヴォルフに警告する。
ヴォルフはそれに礼を述べる。エルメリンダはヴォルフに「エルメリンダ」と呼ぶことを許可し、彼も自分のことを「ヴォルフレード」と呼ぶように依頼する。
そして、エルメリンダはヴォルフとの剣の打ち合いを提案し、ヴォルフはそれに応じる。
打ち合いは、互いに強い対手としての敬意と興奮を感じながら進行し、エルメリンダがヴォルフに対人戦の不得手を尋ねる場面で終わる。

ラウルとダリヤは魔羊の革の補強作業を行っているが、魔力の制御が難しく、オズヴァルドから指導を受けている。
一方で、ヴォルフとエルメリンダは、彼女の願いで剣の打ち合いを行っている。
エルメリンダは元上級冒険者で、ヴォルフは現役の魔物討伐部隊員として彼女と真剣な打ち合いを楽しんでいる。
しかし、剣の打ち合いは激しさを増し、エルメリンダは転倒して怪我をしてしまう。
オズヴァルドは心配してエルメリンダに声をかけ、場は緊張感に包まれる。
ダリヤはその様子を見て、ヴォルフとの間に生まれる特別な絆や彼との打ち合いを通じて見せる彼の異なる一面に憧れを感じている。

人工魔剣制作七回目 ~紅蓮の魔剣 ~

ダリヤとヴォルフはオズヴァルドの屋敷を後にし、魔剣製作に向かった。
その前に、エルメリンダにお見舞いのためポーションと花を贈る手配をした。
エルメリンダに怪我をさせたことに罪悪感を抱いているヴォルフは、兄のグイードと相談することに決め、その後で魔剣の作成に取り掛かる。
剣の柄に火の魔石をセットし、柄頭につけた房を引っ張ると炎が走る剣を完成させた。
彼らはこの剣を「紅蓮の魔剣」と命名し、その美しさに感動する。
この一連の出来事を通じて、ヴォルフは戦うことへの情熱を再認識するが、同時に魔導具師としての道にも興味を示す。
一方、ダリヤはヴォルフがエルメリンダとの打ち合いを楽しんでいたことに少し嫉妬しているが、その感情を隠している。

ヴォルフが自宅に戻り、夕食後に兄のグイードとその友人ヨナスと対面した。
グイードはヴォルフがエルメリンダに怪我をさせた件を確認し、それについて話し合う。
エルメリンダが元上級冒険者であり、現在は貴族の養女であり、男爵の妻であることが語られる。
エルメリンダの怪我の経緯と彼女の身分についての話が進む中、グイードは家族間の政略結婚と同盟の重要性についてヴォルフに教えた。

ヴォルフがエルメリンダに贈った見舞いの品が花であることが話題となり、花の選択が恋文のような意味合いを持つことが判明し、グイードは対応策を提案する。
さらに、彼らはヨナスが持っていた蒸留酒を飲みながら会話を続け、ヴォルフはダリヤによって作られた「紅蓮の魔剣」について説明する。
この剣は攻撃力は無いが、美しい炎を放つという特性がある。
ヨナスはこの剣に興味を示し、試しにその剣を使ってみることになる。
剣を使ったデモンストレーション中に、剣から炎が大きく伸び、その美しさと危険性が改めて確認される。

この出来事を通じて、グイードはヨナスへの叙爵祝いとして、同様の魔剣を製作する提案をヴォルフに頼む。
ヴォルフはこの提案に賛同し、ダリヤに製作の可否を尋ねることに同意する。
最終的に、魔剣が持つ美しさと機能についての議論が兄弟間で交わされ、兄はヴォルフにさらなる剣の製作を依頼する。

イヴァーノとメーナが緑の塔に到着し、重量のある素材を塔の作業場に運んだ。
マルチェラはスカルファロット家別邸で土魔法の学びと剣の稽古をしており、義足のベルニージと共に訓練している。
マルチェラが緊張して胃を痛めていないことを願っている。
一方、ダリヤはオルディネ王都に来るイシュラナの商会長との挨拶を準備しており、ジルドからのお披露目の打診にも対応している。
貴族に早めに顔つなぎをすることが勧められており、ディールス侯爵家での催しに参加することになった。
ジルドの招待にはイエロースライムのクッションを贈り返すことにしている。

メーナはダリヤを「華咲き誇る貴族」と評し、ダリヤは自分が変わっていないと反論する。
ヴォルフから届いたネリネの花は「楽しい思い出、幸せな思い出」という花言葉を持っているが、その意味を誤解される可能性がある。
ダリヤはヴォルフの好意的な意図を評価し、エルメリンダに贈られた花の意味を説明しようとする。
また、ダリヤは商会長としての責任を感じており、ヴォルフを支援するためにオズヴァルド先生のところにも何か贈り物をすることを決める。

商会での日常業務が続く中、ダリヤは自身の社会的な役割について考えを深め、周囲からの支援と理解に感謝している。

王城魔導具制作部見学

王城の魔物討伐部隊棟での会議に、ダリヤ、イヴァーノ、財務部長のジルドなどが参加している。
グラートを含む魔物討伐部隊のメンバーは、王城の調理人が作った緑の野菜ジュースを試している。
ジュースは野菜不足や体調不良の改善に有効であり、特にグリゼルダは既に飲んでおり、肌の健康にも効果があると評価している。
遠征の間に肌の問題が生じる隊員も多く、ジュースの導入について積極的な議論が行われている。

ジュースの保存には冷凍や氷の魔石が必要とされ、クラーケン製の袋の使用が提案されている。
王城魔導具制作部の副部長カルミネ・ザナルディは粉砕機の改良を提案し、グラートは遠征中の栄養補給としてジュースの試験導入を検討することに同意している。

ダリヤは、王城の魔導具制作部との協力のもと、魔導具の制作に関わることを望んでおり、具体的な作業について学ぶ機会を求めている。
会議の終わりに、ダリヤは魔導具制作部の施設を見学することになり、魔物討伐部隊としての役割をさらに理解する機会を得る。

カルミネがダリヤに魔導具制作部への同行を提案した際、ヴォルフが護衛として、ジルドが予算関連のため同行することになった。
ジルドは過去にダリヤとヴォルフが王城の礼儀作法で苦労していることを知り、フォローする意図があった。
魔導具制作部では、第一課が騎士団関連、第二課が生活関連の魔導具を担当し、第三課では学術的な魔導具研究が行われている。
カルミネは、人が自由に空を飛ぶ方法や、人の命令で動くゴーレムなどの研究が行われているが、実用化はされていないと説明した。
ダリヤは、これらの研究に心躍らせ、幻滅することなく参加した。

王城の魔導具制作部棟は広大な敷地にあり、馬車で移動された。
白い石造りの建物で、一課と二課にはそれぞれ赤と青の旗が掲げられている。
ダリヤたちはカルミネの案内で魔導具制作部を訪れ、カルミネは同じ名を持つ別の人物との混同を避けるために、彼らに名前で呼ぶよう求めた。
魔導具制作部の内部では自動開閉する扉や、作業室での様々な魔導具制作が行われていた。
近衛隊の盾には複数の魔法耐久が付与されており、一部の騎士の装備では高価な素材が使用されている。
ある魔導具師はブラックワイバーンの革を使って高品質の装備作りに挑んでいたが、素材の入手や加工には大きな労力が必要であるとされている。
ジルドはその装備が他のワイバーンを引き寄せるかどうかを心配し、カルミネはその可能性について検証が必要だと述べた。

ダリヤとその一行は、魔導具制作部の一室で義手と義足を見学し、ゴッフレード・グッドウィンと名乗る騎士と出会う。
この騎士は義手の改良を望み、風魔法を強化することで剣の速度を上げたいと願っていた。
カルミネはダリヤに義手の説明を試みる。
ゴッフレードは春までに復帰を目指し、自身の義手にさらなる強化を望んでいるが、魔導具師はその危険性を懸念している。
ダリヤは、義手のバランス問題を指摘し、健康な腕を義手に置き換える考えに反対する。
ゴッフレードは最終的に自身の訓練不足を認め、より一層の鍛錬を誓う。

王城魔導具制作部二課

ウロスを先頭に、一同は魔導具制作部二課へ移動した。
二課の構造は一課と似ており、受付と騎士の待機所が同様の配置であった。
緊張しながら二階に上がり、大きな魔導具を運ぶための引き戸が並んでいた。
カルミネは「温熱卓」について説明し、今年は警備担当も暖かく過ごせると話した。
その後、耐久試験などで泊まり込むことがあり、魔導具師たちは自力で「温熱座卓」を作成していることが明かされた。
商業ギルドとのやりとりや魔導回路の失敗話などが交わされた。

次に馬用給湯器の話が出た際には、馬を洗う際の労力を減らすために設計されており、王城魔導師たちには不人気な任務であることが話された。
ウロスは新人の教育が行き届かなかったことを認め、自身が直接指導することを提案した。
また、仮眠ランタンの開発とその使用についての説明がなされ、忙しい時期には非常に役立つとされた。

最後に、魔導具師たちはウロスの指導のもとで、月光蝶の翅の結晶化から付与の過程を見学し、ダリヤも実際に付与を体験した。
その結果、ダリヤは自身の魔力の限界を自覚しつつも、成果を出すことができ、ウロスとカルミネから一定の評価を受けた。
ダリヤは次回の訪問に向けて、さらに学び深めることを心に誓った。

ダリヤが部屋を出た後、他の魔導具師達は彼女が作成した丸ガラスを見て、その努力を称えた。
彼女の作品は色が薄かったが、それは魔力の限界に近いためであり、表面は艶やかで皺がなく、初めての試みとしては見事な仕上がりであった。
王城の魔導具師達の中で魔力の低いダリヤは、実作業よりも開発を指導する側が適しているという意見が交わされた。
また、魔力が低くても美しい魔力を持つダリヤを、魔力が高い者たちは尊敬し、彼女が高い魔力を持っていればもっとよい魔導具を作れると惜しんだ。

ウロスはダリヤに作業用手袋を贈ることを計画しており、これは彼女が一人前の魔導具師として認められ、新しい仲間として歓迎される意味合いが含まれていた。
しかし、時代の流れでその本来の意味は変わりつつあるとウロスは感じていた。
ダリヤの熱意があっても、持って生まれた資質には限界があることを示し、その事実を苦痛に思った。

ウロスは部下達にダリヤのように一点の抜けもない魔力の制御を行う重要性を教え、完璧な補習講義を行うことを告げた。
ダリヤの父、カルロ・ロセッティはかつてウロスの後輩であり、優れた魔力制御を持つ魔導具師だったが、早くに亡くなったことが語られ、その技術がダリヤに受け継がれていることがウロスにとっては喜ばしいことだった。
彼はダリヤが王城魔導具師としての道を歩むことを惜しみつつ、彼女の更なる成長を助ける覚悟を固めた。

馬車の中でカルミネはダリヤに謝罪し、大型粉砕機についての話ができなかったことを残念がった。
ダリヤとヴォルフは感謝の気持ちを表し、カルミネはウロス部長からの贈り物として仮眠ランタンのレシピなどを提供した。
大型粉砕機の設計について、風の魔石を五つ以上使う提案がなされたが、ダリヤは魔力が足りないため大型の魔導具の制作はできないと述べた。
カルミネは自分の高い魔力値にもかかわらず、攻撃や治癒の魔法が使えないことを明かし、魔力値が高いだけでなく、それをどう使うかが重要であることを強調した。
ダリヤは自分の魔力が十と低いことを認め、カルミネから高く評価されるが、実際は父や兄弟子が作成したものと誤解されていることを訂正した。
また、カルミネはダリヤの住所を知っていることが明らかになり、過去にカルロから聞いたことがあると説明した。

ヴォルフはダリヤを緑の塔に送り届けた後、自分の屋敷に戻った。
彼はダリヤからの夕食の誘いを断り、鍛錬のためにヨナスと合流した。
ダリヤが抱えていた魔封箱にはカルミネからの贈り物が入っており、ヴォルフはその高貴な振る舞いに感心した。
カルミネは部下や他の職員に対しても丁寧で、高圧的な態度がなかった。ダリヤとの話が合い、共同で何かを開発できた可能性が高いとヴォルフは考えていた。
ダリヤの父カルロもその可能性を見越していたのかもしれない。
ヨナスとの鍛錬は厳しく、実戦向けの訓練に移行しており、ヴォルフは自分の技術向上を実感していた。
その日の訓練では、ヴォルフはヨナスに挑んだが、最終的には敗れた。その後、グイードが介入し、ヨナスの行動を止めた。
訓練後、ヴォルフはヨナスから「護衛者の後輩」として認められ、敬語を使わない関係になったことを喜んだ。

お披露目の打診と臨時の魔導具師願い

ダリヤは商業ギルド内のロセッティ商会で利益契約書や感謝の手紙に署名した後、イヴァーノがそれらを革箱に収めた。
これらは様々な関係者への報告と感謝を含む書類である。
送付先には複数のギルドや個人が含まれており、メーナとマルチェラが配達を担当することになった。
一方、ダリヤは過去二日間書類に署名する作業に追われ、新しいスライム関連魔導具の開発についても進展があったことが報告された。
これらの製品は防御用品や医療用品として幅広い用途に用いられる予定だ。

また、ダリヤには舞踏会への招待が届いており、男爵位授与前の披露目がテーマだった。
舞踏会では基本的なダンスを踊る必要があるため、彼女は以前から学んでいたダンスを披露することになる。
ジルドからの手紙には、ダリヤのドレスも用意されるとのことだが、ダリヤ自身はその準備に緊張している様子だった。
また、貴族の社交界の複雑さに苦労していることが伺える。

最後に、財務部での講義への参加も予定されており、これが彼女にとって大きな負担であることが示唆された。
そのため、効果的な胃薬が用意されている。

緑の塔にいるダリヤは、王城の魔導具制作部カルミネ副部長から大型粉砕機の仕様書を受け取り、その完璧な内容に感銘を受けた。
加えて、革の耐久性向上のための実験報告もあったが、問題が残っていた。
カルミネの能力と労働量に対してダリヤは心配を抱いていた。
また、南の島の魔魚のウロコが入った魔封箱も届けられ、その美しさに心躍るものの、使い道を考えると期待に胸が膨らんだ。

その日の夕方、ダリヤはヴォルフが訪れるのを待ちながら、スープを温める準備をしていたが、ブルースライムの飼育容器を開ける際にトラブルが発生し、スライムが飛び出し、スカートに溶解液をかけてしまった。
この事故により、スカートが部分的に破壊され、ヴォルフが到着した際には、ダリヤは急いで対応を余儀なくされた。
ヴォルフはすぐに彼女を助け、スライムを安全に保管した。
ダリヤはこの事件でヴォルフの紳士的な対応に感謝し、二人はこの小さな危機を乗り越えた。

ヴォルフは記憶の抹消に悩んでいたが、そのとき門のベルが鳴る。見ると、スカルファロット家の馬車で、ヨナスが下りてきた。
彼はダリヤに急ぎの相談があると言ったが、ヴォルフはそれを聞きながらスライムに溶かされたスカートが床にあるのを見て困惑する。ヨナスはスライムが問題を起こしたと聞き、状況を理解する。
さらに彼はスライムの瓶の問題についても話し、瓶を改善するためのアドバイスを提供する。

ヨナスはヴォルフにダリヤの安全を確認するように助言し、ダリヤが怪我をしていないかを緊急に確認するよう促す。
ダリヤは無事であったことが確認され、ヴォルフは安堵する。
ヨナスはダリヤとヴォルフの関係について考え、彼らが恋愛関係に発展する可能性について思案するが、それが彼の言葉に通じていなかったことに気づく。

最終的に、ヨナスはダリヤが戻ってきたことを聞き、彼女の側にヴォルフが留まることを望んで、状況を受け入れる。
また、スライムが再び問題を起こすかもしれないことを考え、青いスライムに話しかけながら対応を検討する。

ダリヤは自室で厚手のワイドパンツにエプロンを重ね、慌てずに夕食準備に取り掛かった。
ヴォルフがポーションを持って駆け上がってきたが、ダリヤは無事だったと伝えた。
その後、ヨナスが突然訪れて、氷龍のウロコを使って「氷蓮の短杖」を作成することを提案された。
ヨナスは、侯爵となるグイードへの祝いの品として、短杖を作ることをダリヤに依頼した。

ダリヤは短杖作成には自信がなく、また所持魔力の不足も懸念されたが、ヨナスは攻撃用ではなく、記念品としての短杖を求めていた。
提案されたデザインは、シンプルで氷の魔石を使うものだった。
護衛目的としての機能も考慮され、一時的な防御用にも使用可能なデザインが検討された。

最終的に、短杖の素材として珍しい月狼の骨が提案されたが、ダリヤの魔力では付与が難しいため、他の魔導具師に作業を依頼することになった。
ヨナスはサプライズプレゼントとしての要素を重視し、グイードに知られない方法でプロジェクトを進めようとした。

イヴァーノは商業ギルド内のロセッティ商会の部屋で、ジルドから舞踏会の参加予定者一覧を手に入れた。
招待状は予め出席の意志を確認した上で送られるもので、招待者は主に高位貴族から成る二十三組だった。
ジルドは招待状の準備に少なくとも一ヶ月を費やしていたことが明かされる。
ヴォルフと共に参加者一覧を確認し、ダリヤは知人が多く含まれていることに安心感を覚えた。
また、イヴァーノが非公式の呼び方でフォルトと交流していることや、その他の貴族との親密な関係も語られた。

イヴァーノとヴォルフはダリヤの舞踏会でのパートナーとしての役割について話し合い、グイードが別の会に参加するため、ヴォルフが代理を務めることになった。
ジルドの了解を得て、公式にはグイードとして登録されるが、実際にはヴォルフがエスコートをする。
ダンスの練習についても話され、ダリヤとヴォルフは二人での練習を決めた。
舞踏会の前にはレオーネに会うための商会での面談も控えている。

イヴァーノはこの出来事を日記に記録し、ダリヤのお披露目がスムーズに進むことを願っている。
彼は副会長としての職務も念頭に置きつつ、舞踏会の成功を祈っていた。

商業ギルド長の部屋で、ダリヤとヴォルフはレオーネに対して座っていた。
ヨナスからの依頼について議論が行われ、氷龍のウロコを月狼の骨に付与する作業が話された。
これは高い魔力を持つ者にしか可能ではないため、高額な料金が設定される。ダリヤは依頼のお見積もりを受ける。
レオーネは料金を下げる代わりに、ダリヤの叙爵時に妻のガブリエラを女性付添人として指名することを条件とした。
レオーネはこの機会にガブリエラに新しいドレスを贈りたいと考えており、ダリヤはその提案に同意した。

レオーネはダリヤの披露目会の準備についても触れ、ダリヤに新しいドレスを贈る口実としてこの依頼を利用しようとしている。
彼の計画には、ガブリエラには内密に事を進め、年末までにドレスの候補を吟味することが含まれている。
レオーネはダリヤの能力について評価しつつ、彼女が外見上の感情を隠すのが苦手であることを指摘し、これに関しても言及があった。

この会話から、レオーネが高い魔力を持ちながらも、商業ギルド長としての職務に専念していること、また彼が依頼に対してどれだけ真剣に取り組んでいるかが伺える。
ダリヤとヴォルフは、レオーネの提案に感謝しつつ、彼の技術と献身に深い尊敬の念を抱いている。

レオーネはソファーに座っている自分を見送る二人を見つめていた。
彼は彼らが持ち込んだ魔導具制作の依頼について思いを巡らせていた。
依頼されたのは、月狼の骨に氷龍のウロコを付与する短杖と、ミスリルと紅金で作られた片手剣に炎龍のウロコを付与するものである。
これらの素材は希少であり、組み合わせとしても興味深いものであった。

過去には、商業ギルドの階下でカルロ・ロセッティが亡くなったという痛ましい出来事があった。
カルロはレオーネの親しい友人であり、彼の高等学院時代の後輩だった。
レオーネは学生時代、生活のために魔導具研究会に参加し、売れる魔導具を作る技術を学んでいた。
カルロは魔導具師として熱心であり、彼から多くのことを学んだ。

レオーネはカルロが亡くなった後、彼の娘ダリヤが魔導具師として、そして商会長として才能を花開かせているのを見て、彼女が父親に似てきたことに感慨深いものを感じていた。
ダリヤが魔導具と素材に情熱を注ぎ、開発に没頭している様子は、カルロと非常に似ていた。

レオーネはこれらの依頼を受け、高魔力での付与を行う予定であるが、細かい魔導回路の描画は自分ではできないため、他の協力者を求めるかもしれないと考えていた。
彼はこれを機に、かつての友人や魔導具研究会の仲間に再び接触することを検討している。

水ギョウザと氷

ダリヤとヴォルフは緑の塔の一階の作業場に入った。
そこでは、以前より大きな四角いガラスケースに入ったブルースライムがいた。
ダリヤによると、このガラスケースは非常に丈夫で、彼女が乗っても壊れないとのことだった。
イデアという人物がスライムのケースを新しいものに交換してくれたらしい。
その後、ダリヤは野菜や果物の切れ端をスライムに与えており、その日の朝にはリンゴの皮を与えていた。

二人はダンスの練習をする話に移り、ダリヤは屋上か庭での練習を提案したが、この時期は少し寒いとも述べていた。
練習を第三者の立ち会いのもとで行うことにし、ヴォルフが自宅で見てくれる人を手配すると言った。
ダリヤはガブリエラに紹介されたダンス教師に習ってからヴォルフと合わせることを決めた。

その日の夕食はギョウザで、ヴォルフは包む作業を手伝うことになった。
彼らは台所で包みながら雑談を楽しんだ。
また、ダリヤはヴォルフに仮眠ランタンを作ることを考えていた。
これは、彼がより良く眠れるようにとの配慮からだった。夕食後、二人はライ麦のウイスキーで乾杯し、ギョウザを味わった。
ダリヤは、ヴォルフが好むであろう食事を用意していたが、これが彼を緑の塔に縛り付ける「罠」ではないかと冗談を言った。
彼らは食事を楽しみながら、お互いの健康や将来についても気遣いあった。

食後に冷たくなった酒を飲む様子と、氷魔法を用いたアイディアについての会話が描かれている。
氷魔法で即座に冷やすことができるマドラーの可能性が議論されるが、費用の面から実現は難しいと結論付けられる。
さらに、酒を冷やすための「冷却盆」や魔導具についても言及され、魔物討伐部隊員たちがいかに早く飲むかが語られる。
この会話は、二人がお披露目に出席する緊張感と、それに際する彼らの個性と心情を映し出している。
また、ダリヤとの未来について、魔導具作りの助手として彼女をサポートしたいという想いが語られるが、最後には酔いが回ったことを自嘲する形で締めくくられる。

スライム成形の靴と見習い騎士

薄曇りの日、ダリヤと護衛のマルチェラは王城の魔導具制作部棟に訪れていた。
多くの隊員が演習に出ている中で、ベルニージらと遭遇し、新たに試作されたスライム成形の戦闘靴を見せられる。
これらの靴は軽くて動きやすいと評価される。
さらに、レオンツィオ・ランツァという老騎士が登場し、彼が使用する魔導義手「風掴み」のおかげで再び槍を扱えるようになったこと、そして孫を抱き上げることができた喜びをダリヤに伝える。

会話中、レオンツィオは魔物討伐部隊員として再び活動を望むが、ベルニージによってその障害となる再入隊試験の話が出る。
また、ベルニージから革新的な鎧の話が持ち上がり、彼と他の騎士たちはその斬新なデザインと機能に興味を示す。
この鎧はワイバーンの特徴を模しており、強化魔法が施されている。
しかし、グラート隊長は忙しく、まだその鎧を着る機会がなかったという。

カルミネが会議室に入り、スライム成形の戦闘靴をダリヤに紹介する。
靴はブルースライム、イエロースライム、各種薬品を混合した廃棄革で作られており、防水性と軽量性に優れているが、内部の蒸れが問題となるため、乾燥中敷きの使用が必須である。
材料表と結果一覧が提供され、製品の詳細な実験結果が示されている。
一方、カルミネは、靴の製造を全て王城内で行う提案をするが、ダリヤは既存の工房との協力を継続することを主張する。
彼女は職人の技術を生かすことの重要性を強調し、共同作業の継続を提案する。
その結果、カルミネはダリヤの意見を受け入れ、職人を招いての共同作業が決定される。

閑話  靴工房と職人の女神

ダレッシオ工房では代々、王城騎士団や魔物討伐部隊の戦闘靴を製作してきたが、最近は困難な状況が続いている。
ある日、工房の主であるサンソル宛に王城から手紙が届く。
手紙には王城魔物討伐部隊長と王城魔導具制作副部長からの名で、王城への招待が記されていた。
サンソルは招待を受け入れ、最初の日付で訪れることを決める。

サンソルは、靴づくりに関して苦労し、自身の未熟さを感じていたが、父との買い物中に目撃した魔物討伐部隊員の合同葬を通じて、自らの役割と道を見出す。
彼は魔物に対抗できない自分ができることとして、隊員の足を守る丈夫な戦闘靴を作る決意を固める。
それが彼にとっての戦いであり、その後、工房長として工房員を率いて魔物討伐部隊員の葬儀を見送るようになった。

サンソルは厳しいチェックを受けた後、王城へ向かった。
彼は自作の革靴を履き、王城の魔物討伐部隊棟の会議室で、グラート・バルトローネ隊長とカルミネ・ザナルディ副部長と挨拶を交わした。
彼らは新しい戦闘靴について話し合い、最初は懐疑的であったサンソルも、靴の性能と価格についての説明を聞いた後、その価値を理解した。
王城魔導具制作部との協力を提案され、サンソルは自らの工房が技術を提供し、より良い製品作りに貢献することに合意した。
新しい靴の開発は、隊員のニーズに応じて進められ、サンソルはそのプロジェクトに全力を尽くすことを誓った。
彼はまた、ダリヤ・ロセッティとも協力し、互いに知識を共有しながら新しい戦闘靴の開発を進めた。

カルミネとサンソルが魔導具制作部の会議室で会話を交わしている。
サンソルはロセッティ会長への試作品ではなく完成品の贈呈を提案し、費用を自工房で負担する意向を表明した。
これに対して、カルミネは費用を部で負担することを提案し、周囲も同意した。
そこでウロス部長が色の提案をし、ワイバーンの割合を多めにした合わせ革の制作を進めることとなった。
革素材の確保が承認され、カットや縫い、底付けの分担が議論された。
ウロス部長は靴底の付与を自ら行うと宣言し、カルミネは最後の全体付与を引き受けることとなった。
作業分担の過程で活発な議論が交わされ、最終的には高性能な靴が完成する見込みである。
このプロジェクトに対する熱意が部内で共有され、作業に情熱を注いでいる様子が伺える。
翌年の春には、美しい紅の長紐靴がロセッティ会長に届けられ、制作関係者の間での小さな秘密が刻まれることになる。

友の仮眠ランタン

ダリヤは王城の魔導具制作部でスライム成形の靴の経過報告を受け、ダレッシオ工房との共同開発・制作が進行中であることを知った。
彼女はサンソルの挨拶と技術的説明を聞き、その知識に感心した。
その後、大型粉砕機の試作品を見学し、その性能と安全管理にも満足した。
カルミネから学ぶ姿勢に影響を受け、自らも学び続ける意欲を新たにした。
その日の夜、ダリヤは眠れずに、ヴォルフへの贈り物として仮眠ランタンをデザインしていた。
このランタンには特別な装飾を施し、催眠効果を付与する計画であった。
また、ダリヤは父から受け継いだ魔導書からランタン製作の技術を学んでおり、それを活用している。
彼女はいつかダリヤ園に行くことを願い、ヴォルフを誘うかどうかを考えていた。

番外編  父と娘の魔導具開発記録 ~食材刻み器 ~

カルロは台所で娘のダリヤが人参を切りながら指を怪我した際に駆けつけ、ポーションを取りに行こうとするが、ダリヤに止められる。
その代わりに、カルロは以前作ったが使われていなかった魔導具「食材刻み器」を取り出し、これを使って今後は安全に食材を刻むことを提案する。
この魔導具は、カルロが友人の屋台を手助けするために製作したもので、その操作と機能についてダリヤに説明を行う。
ダリヤはこの魔導具に興味を持ち、今後の料理での使用を楽しみにする。
このエピソードを通じて、カルロは娘の成長と自身の親としての役割について思いを馳せる。

カルロは商業ギルドの副ギルド長であるガブリエラと執務室で紅茶を飲みながら会話をしている。
体調が少し悪いことを感じつつも、ガブリエラとの久しぶりの一時を楽しんでいる。
彼は彼女との出会いを振り返り、彼女が結婚してからも夫婦でいることに感慨深く思っている。
ガブリエラの夫であるレオーネは外交官として忙しく、しばしば海外に出かけている。
カルロは自身の健康が衰えつつあることを感じており、魔力値の上昇による身体の問題に悩んでいる。
彼はガブリエラに、何か問題が起きた際には娘のダリヤを支えてほしいと頼む。
ガブリエラはこの提案に理解を示し、カルロの思いを受け止める。
カルロは友人たちや家族を気遣いつつ、自分の残り少ない時間をどう過ごすかを考えている。

カルロは商業ギルドの馬場でドミニクに呼び止められた。
ドミニクは公証人で、以前はカルロの家庭教師も務めていた近所の兄さんのような存在だ。
ドミニクの孫の肖像画が完成したと聞き、カルロは彼の自慢話を聞くために食事の誘いを受ける。
ドミニクの家で長い家族の話を聞きながら、酒と料理を楽しんだ。

その後、ドミニクはカルロに娘ダリヤについて母親のことを教えるべきかと問いかけた。
カルロはダリヤの母親であるテリーザとの関係が縁切りされており、ダリヤが混乱することはないと断言する。
カルロはダリヤが「天の愛し子」かもしれないと心配し、娘の安全を最優先に考えている。
ダリヤの才能についても話し、彼女が国に利用されることを恐れている。

カルロはダリヤがただの魔導具師として平穏に暮らせるように願っており、自分が父として、師匠としてどのような立場にあるかを自問している。
ドミニクにダリヤの将来についてもし問題があれば助けてほしいと頼む。
友人としての絆と互いの家族への思いやりが感じられる一幕である。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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