小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 番外編」 感想・ネタバレ

小説「魔導具師ダリヤはうつむかない 番外編」 感想・ネタバレ

Contents
  1. どんなラノベ?
  2. 読んだ本のタイト
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 同シリーズ
  6. その他フィクション
  7. アニメ
  8. 備忘録

どんなラノベ?

は、甘岸久弥 氏によるライトノベルで、転生者である主人公ダリヤ・ロセッティが主人公。
ダリヤは魔石や魔物の素材、魔力を使った加工でアイテムを作る『魔導具師』の家に生まれ、婚約破棄されたことをきっかけに自身の商会を立ち上げ、数々の便利なアイテムを生み出して行く。

また、このシリーズはコミカライズもされており、『魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~』というタイトルで連載されている。
さらに、TVアニメ化も決定。
この物語は、ダリヤのものづくりと、彼女を取り巻く人々との交流を描いている。

KADOKAWAanime
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読んだ本のタイト

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 番外編
著者:甘岸久弥
イラスト:駒田ハチ
キャラクター原案:

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あらすじ・内容

登場人物たちの知られざる一面を収めたシリーズ9巻と10巻を繋ぐ番外編!

『魔導具師ダリヤ』シリーズの登場人物、各々のサイドストーリーを収録したドラマあふれる番外編、第一弾!
ドリノやランドルフたち隊員の、友情と日常を切り取った「魔物討伐部隊編」。
イヴァーノやフェルモの過去と、彼らが抱く熱意が語られる「商人と職人編」。
グラートやジルド、オルディネ王国貴族たちの恋愛模様を描く「王国貴族編」。
ダリヤの友人ルチアやイルマの、ほっこり甘いエピソードが詰まった「友人編」。
グイードとヨナス、水の伯爵家の隠れた一面を覗く「スカルファロット家編」。
各々が若き時代の悲喜こもごもが繰り広げられる「王国学院生編」。
書籍限定の書き下ろしを加え、三十篇超の物語を収録した豪華な一冊!!
『魔導具師ダリヤ』シリーズの9巻と10巻を繋ぎ、作品世界が広がる珠玉の物語!

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 番外編

感想

本編で描かれたキャラクターたちの日常や背景が、短編集形式で綴られている。

各話はダリヤ・ロセッティやその友人たち、そしてオルディネ王国の騎士たちを中心に展開され、彼らの日常のほっこりとしたやり取りや、時には心温まるエピソードが描かれていた。

物語は、ダリヤの職人としての生活や彼女が関わる人々の生活が描かれ、魔導具師としての彼女の才能や人柄が周りの人々に影響を与えていく様子が綴られる。

ダリヤの周囲には、彼女と同じく職人生活を送る友人や、騎士団の仲間たち、さらには貴族たちも登場し、彼らの日常生活や彼らを取り巻く小さな事件が、軽妙な筆致で描かれる。

各話ごとに異なるキャラクターが主役となり、その人物の背景や内面が深く掘り下げられる。例えば、騎士ドリノのエピソードでは、彼の誠実さや勇気が描かれ、彼が騎士として成長していく過程が描かれる。

また、服飾師ルチアの話では、彼女のファッションに対する情熱や、彼女を取り巻く人々との関係が描かれる。

短編集の魅力は、主要キャラクターたちのさまざまな側面が浮かび上がり、彼らの人間関係や成長が多角的に描かれる点にある。

ダリヤや彼女の友人たちが直面する様々な課題や、彼らがそれらを乗り越えていく過程を通じて、彼らのキャラクターをより深く理解することができた。

また、各話には、友情や恋愛、家族関係といったテーマが織り交ぜられ、登場人物たちの日常生活の中にある小さな幸せや、彼らが直面する挑戦が描かれる。

これらのエピソードを通じて、ダリヤや彼女の周囲の人々の人間性がより豊かに描かれ、読者に温かい気持ちを与えてくれる。

物語の結末では、ダリヤや彼女の友人たちがそれぞれの場所で新たな一歩を踏み出し、彼らの未来に対する希望が描かれる。

ダリヤは魔導具師としてさらに成長し、彼女の周囲の人々もまた、自分たちの人生において重要な一歩を踏み出す。

これらのエピソードは、彼らの人生の中で起こる大小さまざまな出来事が、彼らを成長させ、人生を豊かにしていくことを示している。

最終的に、「魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 番外編」は、登場人物たちの成長と彼らが築いていく関係性に焦点を当てた作品である。

ダリヤを中心に展開される物語は、彼女の周囲の人々との絆が深まっていく様子を描きながら、彼らが直面する様々な課題やそれに対する彼らの対応を通じて、人生の多様な側面を浮き彫りにする。

この短編集は、登場人物たち一人一人の小さな物語が織りなす、大きなテープストリーのような作品であり、それぞれのエピソードが持つ独自の魅力とメッセージが、読者に多くの感動や気づきを与える。彼らの物語を通じて、友情や愛、家族の絆の大切さが再認識され、人生のさまざまな場面で感じる喜びや悲しみ、挫折や成功が描かれていた。

ダリヤや彼女の友人たちが共に過ごす時間の中で見せる、強さや優しさ、勇気や葛藤など、彼らの内面の豊かさに触れることができる。

そして、彼らの日常の中に潜む小さな発見や、人生を楽しむためのささやかな秘訣が、物語を通じて伝えられる。

本編で描かれた世界をさらに深く掘り下げ、登場人物たちの新たな一面を見せることで、ダリヤの世界にさらなる色彩を加える。

読後には、彼らの日常に寄り添った温かい気持ちと、彼らとともに過ごした時間の記憶が心に残る作品であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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同シリーズ

魔導具師ダリヤはうつむかない

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魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~6 巻
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魔導具師ダリヤはうつむかない   ~今日から自由な職人ライフ~ 8
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魔導具師ダリヤはうつむかない   ~今日から自由な職人ライフ~ 9
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魔導具師ダリヤはうつむかない   ~今日から自由な職人ライフ~ 番外編
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魔導具師ダリヤはうつむかない   ~今日から自由な職人ライフ~ 10

王立高等学院編

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魔導具師ダリヤはうつむかない ~王立高等学院編~ 1

その他フィクション

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フィクション あいうえお順

アニメ

PV

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式
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OP

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式

ED

TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式

備忘録

魔物討伐部隊編

プロローグ  魔物討伐部隊の乾杯

オルディネ王国騎士団の魔物討伐部隊は、任務を終えた後『黒鍋』という食堂で食事を楽しんでいる。
この食堂は、元魔物討伐部隊員である副店長が経営しており、騎士達がよく利用する。

ダリヤ・ロセッティ、魔導具師兼ロセッティ商会の商会長は、この集まりの一員として参加している。彼女は魔物討伐部隊の相談役でもあり、偶然と縁が重なってこの場にいる。

今回の討伐対象は、港の倉庫に出没した巨大鼠だった。巨大鼠は魔物の一種で、その大きさは猫や夜犬ほどにもなり、餌によってはさらに大きくなることがある。

今回、巨大鼠が王蛇の抜け殻を食べていたことが判明し、それが大きくなる一因となっていた。その結果、高級品である一角獣の角や防水布も被害を受けた。

巨大鼠の駆除方法として、夜犬による見回りが計画されている。ダリヤは転生者であり、前世の経験と現世の出来事を比較しつつ、騎士達の会話に興味を持ち、話を聞き続けている。

オルディネ王国騎士団の魔物討伐部隊は、任務成功後、『黒鍋』での食事会を楽しんでいる。

ダリヤ・ロセッティ、魔導具師およびロセッティ商会の商会長も参加しており、騎士達と交流している。

この場には、ヴォルフレード・スカルファロットもおり、彼は王国の美青年として知られ、多くの女性からの好意を一身に受けている。

一方で、恋文にまつわる話が展開され、高等学院時代の思い出や諺、恋文の意味について話し合われる。
ダリヤとヴォルフの間には、親密ながらも恋愛とは異なる種類の絆が築かれていることが示されている。

諺「アップルパイは初恋の人と食べたものが一番おいしい」を巡る話題では、若い頃の思い出の美化について言及され、時間とともに変化する教育内容や告白のスタイルが語られる。

騎士達は、学生時代の勉強や討伐任務での経験についても語り合い、実際の魔物と教科書の記載の乖離に言及する。
また、愛情表現の変遷や恋文の話からは、時間と共に変わる人々の関係や感情が浮かび上がる。

アルフィオの恋文話は、夫婦間の深い絆を示しつつも、その恋文が将来的には家族の笑い話や恥ずかしい記録になり得ることを示している。

その中で、ランドルフはアップルパイとベリーのタルトを持ち込み、ドリノと共に食事を楽しむ。

会話の中で、子供時代の恋文の話が出るが、ランドルフはそれを否定し、エリルキアの諺「花のような初恋は成就しない」と述べる。

会話はさらに、恋文の経験や魔物討伐部隊の新人の話、ジスモンドと副店長サミュエルの会話へと移り、彼らの関係や過去の話が語られる。

ドリノは恋文よりも花やお菓子を好むと言い、友人たちと共にワインを楽しむ。

魔物討伐部隊のメンバーたちの中で、ルシュは恋人との関係が順調であることを明かし、部隊内での恋愛の話も出る。

ドリノは、進みの遅い恋を早くする魔法について神官に尋ねるが、「神に祈りましょう」という答えが返ってくる。

夜は騎士団と魔導具師たちの交流や思い出話、そして恋愛話で更けていく。

騎士ドリノと金目の友

ドリノは、自分がオルディネ王国高等学院騎士科の入学式に参加していることに驚いていた。

庶民出身である彼は、本来は王都の衛兵を目指しており、高等学院騎士科への進学は予定外だった。

しかし、氷魔法を持つなど魔力が高めであることから教師に勧められ、騎士科を受験することになった。

試験では、筆記と面接、そして組み手の実技試験があり、ドリノは特に組み手での試験官への奇襲が印象的だった。

面接では、「民を最も守っているのは誰か」という問いに対して、ドリノは魔物討伐部隊を答えた。

この答えは試験官を驚かせたが、結果的に彼は合格し、入学することになった。

入学式では、担任教師が組み手の試験官であることに気づくところで話は終わる。

高等学院での日々はドリノにとって予想外に楽しいものだった。

彼は庶民出身でありながら、氷魔法の才能を活かし、周りと友情を築いていった。

剣の実習では苦労しつつも、徐々に上達し、ヴォルフレード・スカルファロットという貴族出身の生徒とも実習で剣を交える機会があった。

ヴォルフレードに関する悪い噂が立つ中、ドリノは彼と実際に交流することで、そうした噂が全くの誤解であることを知る。

王城騎士団への道を選んだドリノは、魔物討伐部隊に配属され、ヴォルフレードやランドルフともっと深い絆を築く。

ドリノは、ヴォルフレードが孤独であること、そして彼の内面の弱さを次第に理解していく。

騎士としての訓練を通じて、彼らは真の仲間となり、互いの弱さを受け入れ合うようになった。

しかし、ドリノはヴォルフレードが抱える内面の問題を完全に解決することはできず、彼を助けるために誰か特別な人の力が必要であることを願っている。

魔物討伐部隊員と紫の二角獣

魔物討伐部隊員が初夏に紫の二角獣を討伐し、その精神的ダメージから一夜野営することになった。

紫の二角獣は敵の大切な人の幻覚を見せる性質があり、討伐によって隊員達は深い精神的苦痛を受ける。

このため、普段の任務完了後のような明るさはなく、隊員達は怒りや怨み、嘆きを吐露しながらワインを飲んだ。

ドリノは友人ヴォルフとランドルフが特に落ち込んでいるのを見て、彼らを慰めようとする。

隊員の一人、ルシュは自分が見た幻覚が実は魔物討伐部隊棟で働くメイドさんであることを話す。

ルシュは彼女に対して深い感情を抱いており、先輩隊員の助けを借りてメイドさんとの交際を始める。

メイドさんが飼う大きなトカゲ、タカラに関するエピソードも描かれ、ルシュがメイドさんとタカラとの関係を深めていく様子が語られる。

最終的に、ルシュはメイドさんとの関係をさらに深めることを決意する。

騎士ランドルフと白き魔羊

ランドルフ・グッドウィンは、オルディネ王国の王城訓練場で綿のような雲を見ながら、学生時代に参加した羊の毛刈りを思い出す。

貴族である彼は不参加も選べたが、羊の毛刈りに喜んで参加し、毛刈りの楽しさや羊のもふもふとした感触を楽しんだ。

彼は騎士より羊飼いが向いていたかもしれないと思いつつ、最近は羊牧場への見学を考え始めている。

ある日、訓練場に現れた白い魔羊を、ランドルフは優しく撫でて抱き上げる。
魔羊は身体強化魔法が使える羊型の魔物で、隣国の一部牧場で飼われている。

ランドルフは、魔羊を怖がらせずにゆっくり接近し、撫でてみたいと願い、魔羊が近づいてくると、撫でて抱き上げることができた。

王城警備隊員が魔羊「フランドフラン」を追ってきて、魔導具制作部三課から逃げ出したことが明らかになる。

フランドフランは魔羊で、ランドルフは彼女の毛艶が良く、よく世話をされていることに気づく。

警備隊員にフランドフランを優しく扱うように伝えた後、ランドルフは彼女を地面に下ろし、警備隊員に引き渡す。

フランドフランはランドルフとの出会いを特別なものと感じ、彼にまた会いに行くことを誓う。

フランドフランの脱走は続き、ランドルフは彼女を笑顔で迎えるようになり、『魔羊使い』という二つ名を得る。

王城警備隊がランドルフの居場所を尋ねるようになり、毎回ランドルフはフランドフランを三課に送り届けるようになる。

黒鍋副店長と二人の客騎士

黒い屋根と黒いレンガの三階建てで「黒鍋」と名前の入った店は、料理の美味しさとメニューの豊富さで人気がある。

副店長であるサミュエルは、かつて魔物討伐部隊に所属していたが、結婚を機に剣を手放し、店を継ぐことを決意した。
妻の父からの条件だったが、家族も含め、周囲はその決断を支持し、祝福した。

ある日、ヴォルフが店を訪れ、サミュエルは彼がかつての隊員仲間であることに気づく。

ヴォルフは、女性を伴って訪れることがなかったが、この日は赤髪の女性と一緒にいた。
彼女には赤牛のチーズケーキを、ヴォルフには好物のブラックペッパークラッカーをサービスとして提供した。

サミュエルはヴォルフの訪問をきっかけに、魔物討伐部隊への未練を感じつつも、自身の決断を再確認する。

妻との生活を選び、「黒鍋」を継ぐことに全力を注ぐ決意を固めた。

ヴォルフや他の隊員たちが再び訪れた際には、彼らの疲れを癒やすために最高の料理と酒で迎えることを心に誓う。

サミュエルは、隣国の婚礼料理であるハート型のミルクプリンをヴォルフとその女性に提供することを考えており、その反応を楽しみにしている。

ランドルフとアップルパイ

魔物討伐部隊の遠征からの休息日に、ランドルフは王都中央区にある焼き菓子が有名な喫茶店を訪れた。

一人での訪問に少し勇気が必要だったが、店内は落ち着いた雰囲気で、ランドルフはアップルパイとミルクティー、シュークリーム、キャラメルプディングを注文した。

彼は甘いものが好きであることを、性別に関係なく堂々と楽しむようになっていた。

隣国エリルキアでの留学時代、甘いものを公に好むことができなかったランドルフは、同じく辛いものを好む留学先の次女と秘密を共有し、喫茶店で甘いものを交換して食べる小さな幸せを味わっていた。

その経験がランドルフに、自分の好みを偽る必要がないことを教え、現在では王城騎士団内でも甘いもの好きを公言し、仲間内で甘いものを楽しむ文化が広がっている。

今回の喫茶店訪問では、自分の好きなものを堂々と楽しむことの幸せと、過去の小さな思い出が彼に心地よさをもたらした。

魔物討伐部隊員ジスモンドと卵料理

魔物討伐部隊の遠征地で、隊員たちは朝食を自分たちで調理することになっていた。

ランドルフは大猪の討伐中に受けた顎の傷のため、すべてをスープにして食べようとしていたが、周囲からの心配の声に応えて、神官エラルドに治療してもらうことになった。

ジスモンドは遠征用コンロの導入により、遠征の朝が変わったことを振り返り、バルトローネ家のグラートの護衛騎士になった経緯や、グラートが次期当主として魔物討伐部隊に入りたいと家族に提案した話を思い出す。

グラートの弟は、兄が魔物討伐部隊に入ることを支持し、自分が家を守ると言い出す。

ジスモンドは、弟が将来の侯爵家当主として適任であると認識しつつも、自身がその護衛騎士にならなくてよかったと安堵していた。

グラートは父から魔物討伐部隊に入ることを許されたが、王城騎士団に入るための試験を受ける必要があった。

筆記試験の準備のため、ジスモンドはグラートと共に勉強を始める。

グラートは騎士団試験に合格し、ジスモンドに対し、自分が魔物討伐部隊に行く間、家の騎士になってもらいたいと願い出たが、ジスモンドはこれを拒否し、グラートについて行くと決意する。

ジスモンドはグラートの護衛騎士であることに誇りを持ち、二人は王城騎士団の試験に合格する。

ジスモンドの家族は彼がグラートの護衛騎士となることを祝福し、彼はグラートの護衛騎士としての役割を全うする決意を新たにする。

遠征では、彼らは数々の危険に直面し、共に困難を乗り越えていく。ジスモンドはグラートの隣で戦うことの意義を見出し、二人の絆はさらに強まる。

魔物討伐部隊の隊員たちは、遠征中の困難と死と向き合いながらも、団結と友情で支え合っていた。

ある遠征では、小鬼による伏撃で隊員が犠牲になり、グラートは犠牲になった隊員を魔剣「灰手」で焼いて、白い灰に変えた。

王城に戻ると、彼らの努力にもかかわらず、責められることが多かったが、隊員たちは酒場で亡き仲間を偲び、未来に向けて希望を語り合った。

グラートは魔物討伐部隊の改革を誓い、隊長になると様々な改善を実現させ、隊の環境を向上させた。

ジスモンドはグラートの忠実な護衛騎士として、彼の支えとなり続けた。二人の絆は深まり、彼らの戦いは、仲間たちと共に青空の下で笑い合える今につながっている。

ジスモンドは、自分がグラートの護衛騎士であることに誇りを感じ、彼を守ることに全てを捧げる覚悟をしている。

魔物討伐部隊員が眠れぬ夜に数えるもの

遠征先のテント内で、ヴォルフ、ドリノ、ランドルフの三人は眠れずにいた。

紅茶クッキーを食べた後に渋い紅茶を飲んでしまい、そのカフェインの影響で眠りにくくなっていた。

三人は眠りにつくために様々なものを数える方法を試みるが、効果はなかった。

ランドルフはブルースライムやレッドスライムを数える提案をするも、ヴォルフには魔剣を数えることが落ち着くと語られる。

結局、先輩騎士のアドバイスで、恋人や好きな人を思い浮かべることが良いとされる。

夜が更ける中、ヴォルフはダリヤの名を呟きながら眠りにつく。

ドリノは友人ヴォルフが夢に見るダリヤの姿に微笑みつつ、自身も愛しい人のことを思いながら眠りについた。

商人と職人編
プロローグ  商業ギルド長と副ギルド長

レオーネ・ジェッダ子爵は商業ギルド長であり、彼の妻ガブリエラは副ギルド長である。

レオーネは公務で二週間以上妻と離れることを非常に嫌がっている。

彼はガブリエラを「リラ」と呼び、愛情深く別れを惜しむ。

イヴァーノ、元商業ギルド職員で現ロセッティ商会副会長は、レオーネの留守中のスカルファロット家との商談を預かる。

レオーネの愛妻家ぶりは有名で、ギルド内でも周知の事実である。
レオーネはガブリエラとの時間を大切にするため、国からの要請も断り続けている。

ガブリエラもレオーネに負けず劣らず彼を愛しており、二人は相互に浮気をしないという神殿契約を結んでいる。

ガブリエラは、レオーネがいない間も彼を思って体型を気にするなどの努力をしており、レオーネが先に亡くなることへの懸念も話している。
イヴァーノは彼らの長寿と健康を祈る。

商人見習いイヴァーノと銀の腕輪

イヴァーノは一家の自死と家業の破綻により、全てを失った。

商人見習いとしての将来も断念し、唯一残された道は王都への逃避だった。
彼は恋人ロレッタと別れを選び、彼女に対しての謝罪として金を残し、一人で新たな人生を歩もうとする。

しかし、ロレッタはイヴァーノに同行することを決意し、王都行きの馬車で彼を待っていた。

イヴァーノが商業ギルド員としての安定した生活を捨てて、再び商人になる決意をする場面では、彼の夢に対する彼女の支持が明らかになる。

イヴァーノは、家族とともに王都で幸せに暮らしていき、自身が本当に望んでいた商人としての生活を取り戻そうとする。

小物職人見習いフェルモと銀の小箱

フェルモは小物職人の見習いとして、父の師匠にあたる白髪白髭の親方から学んでいる。

親方から一人前と認められ、実家に戻れるようになったが、自身の技術に満足していない。

ある日、橋の上で泣いている藤色の髪の女性、バルバラと出会い、彼女と共にクッキーを食べながら互いの悩みを話し合う。

バルバラはガラス職人の見習いで、フェルモと同じく職人としての道を歩んでいる。

バルバラの自宅でお茶を飲むうちに、フェルモが実は親方の自慢の弟子であること、そして親方がフェルモに高い期待を寄せていることが明らかになる。

この出会いをきっかけに、フェルモとバルバラは互いに支え合いながら職人として成長していくことになる。

副会長の算盤

ロセッティ商会の副会長イヴァーノは、高位貴族であるドラーツィ侯爵家の前当主からの手紙と金貨が入った革袋を受け取る。

この手紙は、商会の会長ダリヤが提供した携帯温風器への感謝と追加注文の依頼が記されていた。

イヴァーノは、貴族界の深い人脈を持つドラーツィ家との関係に頭を悩ませつつも、商会が拡大するにつれ、貴族との交渉が避けられない現実に直面している。

一方で、ダリヤは商会の新たな紋章として、特定の二人を象徴するデザインを提案し、イヴァーノはそのデザインの意味を理解しつつも、ダリヤとヴォルフの絆を尊重する決意を固める。

イヴァーノはダリヤの支持を得て、彼女が決めた道を支えることを選び、商会の一員として、また副会長としての役割を全うしようとしている。

王国貴族編
プロローグ  侯爵のお揃いのハンカチ

グラート、魔物討伐部隊長の執務室で、彼の友人であるジルドが不備を指摘してくれた書類を受け取り、ジスモンドが訂正を行っている。

この間、グラートとジルドは紅茶を飲みながら、二日後の飲み会の約束をする。

ジルドは王都の港の拡張計画に取り組んでおり、忙しい中、疲れを感じているようだ。

ジルドのハンカチには妻のティルが刺した青い鳥の刺繍があり、グラートも同様に妻のダリラから刺繍入りのハンカチをもらっている。

二人は昔、個人的な付き合いを断っていたが、互いの妻を通じて関係が修復され、今では再び一緒に飲むことができるようになった。

しかし、二人とも妻から飲みすぎに注意されており、その共通点に笑い合う。
二人のハンカチがお揃いであることを護衛騎士が指摘し、グラートとジルドはそれに苦笑いする。

侯爵令嬢ティルと流れ星

ティルナーラは、夜中に起きて流れ星に願いをかけたが、望みは叶わなかった。

彼女は貴族の少女でありながら、自分を『小熊』と称し、細く美しい他の少女たちと比べて劣等感を持っていた。

子供交流会で他の子どもたちと上手く交流できず、特にダンスでは他の男の子の足を踏んでしまうことから、自信を失っていた。

しかし、主催家の長男ジルドファン・ディールスにダンスを誘われ、彼とのダンスを通じて自信を少しずつ取り戻していく。

ティルナーラが成長するにつれ、彼女に縁談が舞い込むようになるが、彼女はジルドファンとの婚約を望んでいた。

ディールス家からジルドファンとの婚姻の打診が来た時、彼女はすぐに受け入れる。

母からは侯爵夫人としての重責と苦労を教えられ、覚悟を問われるが、ティルナーラはその道を選ぶ。

婚約後、二人は忙しい中でも交流を深め、ティルナーラはジルドファンにふさわしい人間になるため、精一杯の努力を誓う。

ティルナーラの物語は、自己受容と成長、そして愛する人との絆を深める過程を描いている。

彼女は最初は自分の外見にコンプレックスを持っていたが、ジルドファンとの関係を通じて自信を得て、将来の役割に向けて成長していく。

侯爵子息ジルドの婚約

ジルドは父から結婚を考えるように言われるが、自身は学業と将来の騎士団員としての訓練に忙しく、結婚を急ぐつもりはなかった。

しかし、父と祖母からティルナーラ・ラヴァエル嬢を勧められ、ジルドは彼女について肯定的に語る。

ティルナーラはジルドの花の贈り物に礼状を返した唯一の少女であり、彼が特別に考えていた存在だった。ジルドはティルナーラとの結婚を決意し、彼女が第一夫人となることを望む。

両家の話し合いの結果、ティルナーラとの婚約が決定し、ジルドは婚約の贈り物としてイエローサファイヤの腕輪を選ぶ。婚約後も、二人は学業に忙しく、会えるのは月に数回のお茶会や昼食会のみであった。

ジルドはティルナーラに近況を報告するカードを定期的に送り続ける。

ティルナーラがデビュタントを迎えると、ジルドは彼女に薔薇の花束とカードを贈るが、カードの内容に苦悩する。

友人グラートの提案にも悩みつつ、最終的には自分の感情を込めた文面でカードを送る。

そのカードには、「我が生涯最愛の人へ」と書かれ、彼女に自分のことを「ジルド」と呼ぶようにと頼む。ティルナーラからの返事には「ティル」と書かれていた。

侯爵子息グラートの結婚

グラートは魔物討伐部隊員であり、バルトローネ侯爵家の次期当主の座を弟に譲ろうとするが、弟はこれを拒否する。

グラートは自分には当主としての能力がなく、また、自身の人間性や過去の問題行動が婚姻相手選定を難しくしていると感じている。

その一方で、ジルドの従妹であるダリラ・リーズヘッドと結婚することになる。ダリラは幼い頃からディールス家で育ち、グラートに対して長い間片想いをしていた。

結婚が決まると、グラートはダリラに対して真摯な愛情を抱くようになり、彼女の幸せを第一に考えるようになる。

ダリラもまた、グラートとの結婚を心から望んでいる。二人の結婚準備はスムーズに進み、ジルドもこの結婚を支持するが、グラートに対してダリラを大切にするよう厳しく言い渡す。

グラートは魔物討伐の任務に就く中で、ダリラとの未来を大切に思い、彼女を幸せにするために生きることを誓う。

前公爵夫人アルテアの貴族教育

アルテアは、ヴォルフレード・スカルファロットに貴族教育を施している。

ヴォルフレードは、彼女の亡き親友ヴァネッサの息子であり、ヴァネッサに非常に似た外見と性格を持っている。

アルテアとヴァネッサは、初等学院で出会い、親友となった。ヴァネッサは騎士を目指し、最終的にはアルテアの護衛騎士となったが、結婚して水の伯爵家のレナート・スカルファロットの第三夫人となり、若くして亡くなる。

アルテアは、ヴァネッサが生前に見せた強い騎士としての意志をヴォルフレードにも見て取り、彼に母親と同じ道を歩むことを願っている。

ヴォルフレードの教育を手助けする一方で、アルテアは彼が独自の道を見つけられるよう、見守る姿勢をとっている。

ヴァネッサの思い出を大切にしながらも、アルテアはヴォルフレードが直面するであろう貴族社会の困難に備え、彼に適切なアドバイスを与えている。

アルテアは、ヴォルフレードが必要とするときはいつでも支援を惜しまないという姿勢を見せつつ、彼の自立を促すバランスを取っている。

ヴァネッサへの深い愛情と尊敬の念を胸に、アルテアは彼女の息子であるヴォルフレードの未来に寄り添い、見守り続ける決意を新たにしている。

悪友とカマスの干物

ジルドとグラートは、遠征用コンロでカマスの干物を焼きながら、冷えた東酒で乾杯している。

グラートは遠征から帰ってきたばかりで、ジルドの財務部長室に無遠慮に現れた後、彼の屋敷で夕食を共にしている。

二人は干物を焼きつつ、森大蛇の討伐話や遠征用コンロの新しいモデルについて話す。

グラートが森大蛇の心臓について言及すると、ジルドは財務部長としての視点からコメントを返す。

一方で、グラートは遠征で得た森大蛇の肉を干物にしたと語り、ジルドはその話に興味を示す。

会話はダリヤ・ロセッティの話題に移り、彼女を養子にしたいというグラートの考えが明かされる。

ジルドはそれをヴォルフレードへの婚姻話と勘違いするが、グラートはダリヤの心意気に魅力を感じていると説明する。

二人はダリヤの叙爵の話や、彼女のバックグラウンドについても話し合う。

話はジルドとティルの婚約話に転じ、グラートはジルドがティルを選んだ理由を尋ねる。

ジルドは彼女以外考えられなかったと答え、グラートはそれを聞いて驚く。

しかし、その後すぐにコンロの干物が焦げ始めるトラブルが起き、二人はそれに慌てて対処する。最終的には焦げた干物から無事な部分を選んで食べることにし、その味を楽しむ。

このエピソードは、ジルドとグラートの深い友情と、彼らの日常生活の一コマを描いている。

また、グラートが感じているダリヤへの尊敬や、ジルドのティルへの深い愛情も表れている。

友人編
プロローグ  魔導具師と服飾師のティータイム

ダリヤとルチアは、緑の塔の居間でお茶を飲みながら、ダリヤが王城へ行く際の装いについて相談していた。

お見合いと養子の話題が出るが、ダリヤの元へはもうほとんど来ておらず、商談が主となっている。

ダリヤの貴族後見人はグイード、次期スカルファロット侯爵で、見合いの話は彼を通している。

ルチアは仮婚約という選択肢を提案し、貴族社会の慣習について語る。

話題は魔導具の進化へと移り、最新のアイロン技術や、将来的には人が不在でもアイロンがけができる魔導具の可能性について語り合う。

ダリヤは前世の記憶を思い出しながら、センサーのような技術があれば魔導具の開発が進むと考えるが、ルチアからは怖い魔物を作らないよう注意される。

最終的に、ダリヤが開発した魔導具「五本指靴下」「乾燥中敷き」「微風布」などが服飾ギルドで大活躍する未来が示唆される。

この冬、ロセッティ商会の名前が服飾師たちの間で恐れられるようになるという展開になる。

美容師イルマの父と運送ギルドの運送人

イルマが両親に、お付き合いしたい男性、マルチェラ・ヌヴォラーリを紹介したいと言い出した。

マルチェラは運送ギルドで働く男性で、イルマは彼に惚れ込んでいる。

両親は最初、彼の身元や人柄を慎重に確かめることに。マルチェラは自身の厳しい生い立ちや、高い魔力を持つが結婚して子供を持つことが難しいと語る。

しかし、彼の誠実さやイルマの彼に対する強い思いを知り、イルマの両親は二人の交際を認める。

家族での夕食会では、マルチェラはイルマの家族から歓迎され、イルマの兄弟も彼を受け入れる。

家の猫も当初はマルチェラに警戒心を見せるが、後に和解してなつく。

最終的に、イルマとマルチェラの関係は、イルマの家族にも受け入れられ、彼らの未来に対する期待が高まる。

服飾師ルチアとオレンジマフィン

栗色の髪のロミーナは、久しぶりに服飾魔導工房で働くルチアに会い、痩せて見える服の相談を持ちかける。

彼女は最近、仕事の先輩とお菓子を食べに行く約束をし、その際に痩せて見えるような服を着たいと考えていた。

しかし、ルチアはロミーナに本当に自分らしい服装が何かを問い、彼女が本当に好きな明るい色の服が彼女にとって最適であることを気づかせる。

結局、ロミーナは自分らしくてかわいい服を選び、先輩とのデートは成功する。

後に、ロミーナから結婚式の服の相談を受けるルチアは、友人の幸せを祈りながら、自分の恋愛については考えないことにする。

服飾魔導工房長ルチアと昼食会

午前のお茶の時間に服飾ギルドのストック室前で、布管理担当の青年が小柄な緑髪の女性、ルチア・ファーノと話す機会を待っていた。

ルチアは見た目のかわいらしさとは裏腹に、仕事に対する真剣さや強さを持つ淑女である。

青年はルチアに憧れ、彼女とランチに誘う勇気を出すが、声が上ずってしまう。

ルチアはランチの誘いを受け、昼食を共にする。その場で青年は服飾魔導工房の皆と和気あいあいと食事をし、布についての質問に答えるなど有意義な時間を過ごす。

食事後、青年はルチアに異動を提案され、彼が服飾魔導工房へ異動することになる。

青年はこれを機にルチアと仕事をすることになり、ルチアとの距離を縮めるきっかけとなる。

服飾師ルチアとアーモンドクッキー

ルチアは友人のダリヤに微風布の納品報告として、アーモンドクッキーを差し入れる。

服飾魔導工房に異動してきた布に詳しいライネッケのおかげで、微風布の製造と管理が改善された。

ルチアは自分の服飾工房設立に向けた貯金が目標の五分の一まで貯まったことをダリヤに報告する。

一方、ダリヤは風龍や世界樹の素材に興味を示す。
ルチアはダリヤに、がんばった自分へのご褒美に欲しかった素材を買うことを提案する。

ルチアの護衛であるロッタに欲しいものを尋ねると、辛くない歯磨き剤を欲しいと回答される。

ルチアは最適な歯磨き剤を見つけ、ロッタに贈る。翌日、ロッタは笑顔を見せるほど感謝し、その笑顔が周囲に誤解を招くが、そのことは二人とも知らない。

スカルファロット家編
プロローグ  スカルファロット家主従の恋文話

スカルファロット家の執務室で、グイードは妻から贈られた刺繍入りのハンカチについて、お返しの相談をしている。

イヴァーノ・メルカダンテに相談することを決める。
護衛騎士のヨナスは、グイードが庶民のイヴァーノやダリヤ・ロセッティと交流があることに警戒心を持ちつつも、ダリヤへの恩返しをどうするか悩んでいる。

恋文の話題になり、グイードは自分の経験を語るが、ヨナスも過去にハンカチを受け取ったことがあり、グイードはそれに対する適切な対応を促す。

しかし、ヨナスは当時の相手の名前や家名を聞いておらず、後悔している。

グイードはもし再会したら名乗るようアドバイスするが、ヨナスは内心でその相手とはすでに仕事上で接触していることを思い、友には言えない秘密があると感じている。

スカルファロット家の騎士と報告書

スカルファロット家の護衛騎士たちは、四男ヴォルフレード様の護衛を任されていた。

任務中にヴォルフレード様が赤髪の女性と共に夜空へ飛び去る場面に遭遇し、見失ってしまう。

後に彼らが無事に戻ったことを確認し、邸に戻る。
護衛騎士たちは、ヴォルフレード様と女性の関係が発展する可能性を期待しつつも、彼らの初々しい様子について話し合う。

報告書の作成中、彼らはヴォルフレード様の幼少期と、彼の母が亡くなった悲しい過去を思い出す。

ヴォルフレード様が真心から笑う姿を久しぶりに見て、彼の幸せを願う一方で、報告書の完成には時間がかかることを感じていた。

護衛騎士ヨナスの熱い夜

スカルファロット家の護衛騎士ヨナスは、主から赤い布包み(中身はハイポーション)を受け取り、約束のデートへと向かう。

目的地は元子爵夫人で現男爵の女性、オルキデーアの屋敷。彼女は過去に夫と別れ、社交界から離れ、人目を避けて暮らしている。

二人は夜を通じて剣術の稽古を行い、お互いに強さを求める戦闘衝動を満たす。
グイードがヨナスに送ったのは酒ではなく、ハイポーションであったことが判明し、二度目の稽古に臨むことになる。二人は強くなるために、お互いを求めて戦い続ける関係であり、今夜もその熱は冷めることがなかった。

スカルファロット家四男とバスソルト

ダリヤからもらったグリーンローズのバスソルトを使用したヴォルフは、その香りに幼い頃の優しい記憶を思い出す。

スカルファロット家の庭での兄弟たちとの楽しい時間や、ファビオ兄に抱き上げられて蜂から逃げたことなど、忘れていた大切な思い出が蘇る。

しかし、兵舎の共同浴場ではバスソルトを使用することができず、一番端のシャワールームで代替する。

後に友人のドリノと交わる会話で、バスソルトの香りが自身とダリヤを同じ匂いにしていることに気づき、落ち着かない感情を覚える。

夜はドリノとランドルフの部屋で焼き菓子と干物を楽しむことになる。

王国学院生編
プロローグ  後輩と便箋

カークはヴォルフと共に貴族街の雑貨店で便箋と封筒を購入しに行く。

カークは婚約者に送る手紙の準備のため、便箋を選んでいる。
ヴォルフもダリヤに送るための便箋を探しており、カークのアドバイスを受ける。

文具コーナーで多種多様な便箋やインクを前にして、ヴォルフはダリヤに喜ばれる便箋を選ぶことに決める。

カークは、父から恋はマメさこそ正義と教わり、手紙の重要性を語る。
ヴォルフが選んだのは、美しい薔薇の透かし模様があり、薔薇の香りがする便箋だった。

ヴォルフはダリヤにこの便箋を使って手紙を書くことに決め、カークは先輩に対して内心で応援の気持ちを持つ。

学院生オズヴァルドと灰と銀

オズヴァルドの恋人を名乗っていた少女が、その関係が「罰ゲーム」の一環であったことを告白する。

一ヶ月間のお付き合いが嘘だったこと、そしてその嘘が悪戯の一部であったことが明らかになる。

周囲からの侮蔑と悪意に気づいたオズヴァルドは、貴族としての礼を尽くし、その場を去ろうとするが、少女から本心からの謝罪を受ける。

帰宅後、自分の立場や外見に対する劣等感と失恋の痛みに苛まれ、深く傷つく。翌日、体調不良を理由に学院を休むことを家族に告げるが、メイドのドナテラに見抜かれてしまう。

ドナテラの世話で「白の客室」で休むことになり、彼女の優しさに触れながらも、自身が変わらなければいけないと感じる。

オズヴァルドは、少女からの罰ゲームであった偽の恋愛関係を終え、白の客室で体調を崩していた。

ドナテラの世話で静養し、家族に心配をかける。食欲が戻らず、父に呼び出されて最近の出来事を話す。

オズヴァルドは家の不名誉になったと思い込むが、父は彼に非がないと告げ、問題を起こした者たちへの対応を検討する。

しかし、オズヴァルドは家族に迷惑をかけたくなく、自身の減量を口実にして家としての抗議を止めさせる。
結局、オズヴァルドは罰ゲームのことを乗り越え、健康的な体へ向けて前向きに歩み始める決意を固める。

オズヴァルドに偽の恋愛関係を持ちかけた事件に対して、ゾーラ家の家族は強い怒りと悲しみを感じている。

家族は、オズヴァルドを標的にした者たちへの対応策を冷静に計画している。

調査結果により、オズヴァルドへの嫉妬が事件の動機であることが明らかになり、家族はそれぞれの立場から、事件を引き起こした貴族たちへの対処を決定する。

さらに、ゾーラ家当主は、オズヴァルドの減量支援と情報操作を進めることを決意し、信頼するドナテラにその任務を委ねている。

家族は、オズヴァルドを支え、守ろうと団結して行動を起こす。

オズヴァルドは減量専門の医師の指導の下、食事量の調整や運動を開始し、徐々に体重を減らしていく。

食事内容の変更、運動習慣の導入、そして周囲の支援により、オズヴァルドの外見は大きく変わり、自信を持つようになる。

兄姉からの協力もあり、彼は身体的な変化だけでなく、社交的なスキルも身につけていく。

最終的に、オズヴァルドは高等学院入学前の祝いとして、ドナテラと共に歌劇を鑑賞することになる。

ドナテラはオズヴァルドの祖母を初恋の人として尊敬していることを明かし、彼女の強く優しい人柄を偲ぶ。

この経験を通じて、オズヴァルドは身体的な変化だけでなく、精神的な成長も遂げる。

高等学院の入学式前日、オズヴァルドは家族と共に夕食をとり、嘘の告白をした者たちのその後について話を聞く。

彼女たちはそれぞれ自分の道を歩み始めていた。彼女からの謝罪は受け取らず、適切な距離を保つことを決める。

入学式当日、快晴の中、オズヴァルドは新たな自分として学院生活をスタートさせる。

変わり果てた外見と貴族としての振る舞いで、初等学院の頃の自分からは想像もできないほど多くの同級生と交流を持つことになる。

嘘の告白をした少女にも適切な対応を示し、新たな友人としての関係を築くことに成功する。

こうして、オズヴァルドは「灰色子豚」という過去から「銀狐」と呼ばれるようになり、高等学院で輝かしい生活を送ることになる。

学院生ラウルと白い刺繍ハンカチ

金髪の少女からハンカチを受け取ったラウルは、そのハンカチが「あなたは私の初恋の人です」という意味を持つことを知りつつも、その気持ちに応えられない自分の心情を抱えていた。

その後、彼は自分の父オズヴァルドが経営する王都の魔導具店で、少女とその母を見送る。

この一連の出来事を通して、ラウルは恋愛に関する貴族としての礼儀を学びながらも、自分の心が浮き立たないことに気づく。

また、父の第三夫人であるエルメリンダとのやり取りの中で、彼女を「エル母様」と呼ぶ決意をする。

この決意は、ラウル自身が家族に対して抱えていた複雑な感情を乗り越え、新たな一歩を踏み出すきっかけとなる。

さらに、このシーンはオズヴァルドとエルメリンダの関係性にも影響を与え、ラウルの成長を示す重要な瞬間である。

高等学院魔導具科の学友

オルディネ王立高等学院の魔導具科に入学したダヴィデ・アルディーニは、自分が魔導具師になることを選択し、家族にその旨を伝えた。

魔力が少ないために、自分よりも魔力が多く成績も優秀な弟が当主になるべきだと考え、自分は家を出ることを決める。

高等学院での魔導具製作の実習では、隣の席に座るダリヤ・ロセッティという少女と友好を深める。

彼女は魔導具師の父を持ち、非常に優秀な魔導具製作技術を持っていたが、その技術が原因で一時的に孤立する。

しかし、ダヴィデの支援とクラスメイトの理解により、彼女は再びクラスの一員として受け入れられるようになる。

ダヴィデは、自分もダリヤも魔導具師としての道を歩むことを望み、お互いに成功を祈り合う。

卒業後、ダヴィデは魔導具工房で働き始め、ある日、ダリヤが設計した遠征用コンロの仕事を引き受ける。

ダリヤの名前を見て、彼女が成功していることを知り、彼は内心で彼女を称賛する。

魔導具師カルロと学院生ダリヤ

カルロは娘のダリヤと王都中央区の新しくできた評判の喫茶店で夕食を共にしていた。

ダリヤが高等学院で少し暗くなっているのを感じていたカルロは、ダリヤの学院生活について心配していた。

ダリヤの魔法付与の技術が高すぎることからクラスメイトに浮いてしまっていることを知り、カルロは怒りを感じたが、ダリヤからは実習が皆で教え合うようになったと聞き、安堵する。クラスの人たちとの関係も良好で、ダリヤは明日も同じ店にクラスメイトと行く予定だったが、カルロと来ることにした。

ダリヤはアルディーニ君というクラスメイトからも誘われたが、父と行くことを選んだ。

カルロはダリヤの将来について考えながらも、彼女が自分といることを楽しんでいると感じて幸せを感じる。

エピローグ  花の透かし模様の手紙

午後の日差しの中、緑の塔の前に馬車が止まり、配達人がダリヤに手紙を届けた。

手紙はヴォルフからで、彼が魔物討伐部隊の遠征から戻り、明日の午後に訪問することを尋ねる内容だった。

ダリヤはその場で手紙を確認し、訪問を受け入れる返事を配達人に伝えた。

その後、彼女は次の日の料理とお酒を考えながら塔に戻り、自室で再び手紙を開いて繊細な花の透かし模様と薔薇の香りを楽しんだ。

ヴォルフが彼女の好みを考慮して選んだことに感謝し、次に彼に送る手紙用に透かし模様のある便箋を探すことを考えた。

これまでの手紙は、彼女のクローゼットにある銀色の宝箱に大切に保管されている。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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