どんな本?
「フルメタル・パニック! Family」は、賀東招二氏によるライトノベルシリーズで、2024年1月から刊行されている。
物語は、主人公の相良宗介が、妻と子供たちとの平和な日常を求めて奮闘する様子を描いていいる。
シリーズのキャラクター紹介によると、相良宗介は、かつては凄腕の傭兵だったが、現在は妻と子供たちと共に暮らしているとのこと。
シリーズは、ファンタジア文庫から刊行されており、四季童子氏がイラストを担当している。
読んだ本のタイトル
フルメタル・パニック! Family
著者:賀東招二 氏
イラスト:四季童子 氏
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あらすじ・内容
新たな任務は……家族との平和な日常!?
「フルメタ」が帰ってくる! 衝撃の新シリーズ、開幕!!
フルメタル・パニック! Family
「やはり武器が必要だ。クローゼットにあるから取ってこい」
世界の存亡を懸けた最終決戦から約20年後――相良宗介は千鳥かなめと結婚し、平穏な日々を送っている……ハズだった。
「お父さん、いつものカービンとグレネードでいいのね?」
「また隠し持ってたのね!? 毎回毎回、『武器などいらない』って言っといて!」
「母さん、敵が来るから。文句はあとあと」
女子高生ながら父親譲りの戦闘力を誇る愛娘・夏美、小学生ながら凄腕ハッカーの顔を持つ息子・安斗――規格外な子どもたちまで加わった相良家の辞書に“平和”の文字は無く……!?
宗介ファミリーの刺激的な日常を描く、衝撃の新シリーズ!
感想
フルメタルパニック復活!
アラフォーになった宗介とかなめに会えた!
宗介は日本にいる間は武装しないようにしていたが、あくまでも努力目標。
何かあったらすぐ銃器をぶっ放すのは相変わらず。
ただ、家族のために殺しはやらないようにしているが、かなめの護衛でもあるためやる時はヤる。
かなめは、ウィスパーの能力を使って会社を複数経営しており。
彼女の能力を狙って、様々な組織が彼女の身柄を抑えて自身の利益にしようとするため、ネット上に自身の姿を晒さないようにしている。
自身周辺の警備をする傭兵を雇っており、社長はヤンで現場はテディが行っている。
テディは、かなめの事を”マダム”と呼び、宗介を”軍曹”.と呼んでもいる。
豊富な資金を持つ万年新婚夫婦には、本を読むのが大好きな高校生の夏美と、いつでもどこでもタブレットPCをいじっている小学生の安斗という子供が2人がおり。
長女の夏美は宗介に訓練を受けており、夜は玄関そばのクローゼットの中で眠っており。
ナイフ、銃器の扱いに習熟している。
さらにアーム・スレイブの操縦にも、、
でも、同じ頃の宗介より弱いかな?
鬼教官になったら、かなめに殴られそうだし。
長男の安斗は、小学生だがインターネットに習熟しており、ある意味の天才かもしれない。
世界中の友達とゲームを作ったりしているらしいが、ネット上の相方のアルって、、
その相方にサポートされながら敵襲があったら、ドローンを駆使して索敵して敵の位置を判明させて、ドローンに仕込んだ武装で相手を攻撃する。
睡眠時間が短い事に両親は心配しており、相方のアルも早く眠るように、毎日彼にメッセージを送り。
言う事を聞かなかったら、強制遮断するらしい。
ただ、この家族。
かなめの病気が寛解して、やっと家族4人で暮らせると埼玉県の一戸建てに住んだのだが、、
埼玉県
プロローグからしていきなり敵襲。
襲撃者を宗介が素手で無力して、相手の武装を強奪して相手の後続を攻撃。
娘の夏美が備えていた銃器でバックアップして、周りの索敵は息子の安斗が行いながら、狙撃手をドローンで無力化。
かなめも慣れたもんで、彼等が守りやすいように隠れていた。
たまたまその場に居て、襲撃に巻き込まれた隣の田中くんは大パニック。
2週間保たずに引っ越しする羽目になる。
この襲撃は、夏美が先輩に絡まれた田中くんを助けるために常に持ち歩いているナイフを駆使して、自称先輩の大男を撃退したシーンを動画で撮られたのが原因。
東京都
東京都江東区のタワマンに引っ越したら、宗介がファミレスのウェイターのバイトを始め。
強盗をナチュラルに撃退していたが、報告をしなかったとしてクビになってしまう。
それに落ち込む宗介だったが、、
家族で出掛けたショッピングモールのフードコートで、夏美と高校の先輩のお蓮さんがトラブルを起こしてしまい。
それにかなめが挨拶に行ったら蓮と再会。
それで、話をしたいと蓮が言って相良一家を美樹原家の人達にもてなしを受け。
高校時代のかつての生徒会長で宗介から”会長閣下”と呼ばれていた林水と再会。
当時からお互いに通じる物があった2人が、再開すると立板に水の如く20年会わなかった事など無かったかのように、2人はお互いの事を理解して。
色々と溜め込んだ事を吐き出し合う。
林水が学者になりたかったが、経営者としての手腕が良くあれよあれよと経営者になってしまった事に悩んでいた話を聞き。
無力感に苛まれいた宗介は、自身は戦闘面で貢献するのが良いと判断する。
さらに、安斗は林水とお蓮さんの娘、葵と会い。
ボーイミーツガールとなる。
立場は葵の方が姉のようになっていたw
その帰りに、ファミレスで強盗をしようとした奴が高級時計店で強盗をしたので取り押さえて警察に突き出したのだが、、
それが、かなめを狙う組織に見つかってしまい。
襲撃を受けていたが用意万端にしており、彼等は全員また拘束されてしまう。
神奈川県
かなめは、かつての友人達とお茶会をした。
お蓮さん、恭子、瑞樹とのお茶会。
お蓮さんは、林水と結婚しており娘の葵がいる。
恭子は、同級生の小野Dと結婚して1番上が高校生で1番下が4歳の3人の子持ち。
小野Dは先生をしている模様。
そして恋多き女だった瑞樹は、バリバリのキャリアウーマンで独身だった。
子供の話をしようとしたら、瑞樹の事を思い出して微妙な空気になってしまうが、、
瑞樹が戯けて霧散させてしまう。
だが、彼女も15歳年下の彼氏が出来たようで彼女はただ結婚しないだけなようだった。
その後に、瑞樹と2人っきりで酒を飲みザックバランに話をして。
宗介の処に帰り。
母に甘えたり無い安斗をあやしていたら。
前のセーフティハウスに置いていた、高校時代の制服が目に入り。
彼女は酔った勢いもあったのか、制服を着てしまった。
病気をしていたせいか、腰回りなどは細くなっており制服を着れてしまった。
それをお茶会をしたメンバーに画像を送ったらネット上に上がって襲撃の原因になってしまう。
しかも、暴走した宗介の相手をしていた間に変な返答をしていたらしく、、、
ネット上にかなめの格好が上がって、かなめを探している組織のAIに発見され。
安斗がイジメをしていた奴の服に火を付けて驚かせた事が問題となり。
宗介は出張して不在だったので、かなめが保護者として学校と話をした帰りに襲撃されてしまった。
多勢に無勢でピンチになったかなめ達だったが、夏美がアーム・スレイブで襲撃者達を撃退したが、引っ越す事となった。
ちなみに、もし宗介が保護者として学校に行ってたら、、、
何をやらかしていたのだろうか??
もっと効率よく危険がないように一気に燃え上がるように服を焼けと言ってたかもしれない?
とにかく、20年ぶりのフルメタルパニック。
堪能させて頂きました。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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その他フィクション
備忘録
第一話 埼玉県大宮市の一戸建て 3 LDK
隣人との疑問
穏やかな春の午後、大宮市の平凡な住宅街での出来事である。高校生の田中一郎が隣家を訪ねたところ、奇妙な会話が耳に入った。父親が武器を取り出すよう指示し、娘がそれに応じ、母親は文句を言いつつも状況を受け入れていた。敵が来るという話に一郎は困惑したが、父親は「危なくなるから帰れ」と冷静に告げた。その隣人一家は普通とは思えない様子を見せた。
突如現れた敵
一郎が状況を把握する間もなく、玄関には黒ずくめの敵が現れた。サブマシンガンを所持していた宅配業者が倒れており、父親はその武器を手際よく操作した。銃声と爆発音が響き渡り、玄関ドアが吹き飛び、壁には穴が空いた。娘は武器を運び、息子はドローンを飛ばして応戦した。一郎は恐怖に怯えながらも、父親の指示でその後ろに隠れることしかできなかった。
仕掛けられた罠
戦闘はさらに激化した。庭先では敵がワイヤートラップに引っかかり、玄関では落とし穴が爆発とともに発動した。普通の家庭にあるとは思えない仕掛けに、一郎は混乱を極めた。一体何が起きているのか理解できない中、敵の侵入は続いた。
普通の家族の正体
戦闘の最中、父親は娘から受け取ったカービン銃を発砲しながら、「なんの変哲もない、普通の家族だ」と告げた。しかし、その発言は周囲の状況とは明らかに矛盾していた。一郎はその言葉に驚愕しながらも、ただ圧倒されるしかなかった。
隣人の引っ越し
田中一郎は平凡な高校生であった。ある日、自宅に帰ると隣家に引っ越しトラックが止まっており、新しい住人が引っ越してきた様子であった。一郎が家に入ろうとした際、隣家の娘らしき少女とすれ違った。少女は重いダンボールを持っており、その底が抜けて書籍類が散らばった。一郎は彼女を手伝い、短い会話を交わした。その少女は「小野寺夏美」と名乗ったが、名字が一度「稲葉」と言い間違えられるなど、何か複雑な事情があるようであった。
転校生の自己紹介
翌日、一郎のクラスに夏美が転入してきた。彼女は控えめに自己紹介を行い、生徒たちからの質問に淡々と答えた。しかし、その内容は地名や特技など普通の高校生には馴染みのないもので、教室内に微妙な空気を生んだ。自己紹介の最後に「五木ひろしとSMAPが好き」と冗談めいた発言をしたが、生徒たちには理解されず、彼女は「少し変わった転校生」として受け止められた。
クラスメイトとの交流と孤立
休み時間、夏美は生徒たちから話しかけられるも、話題が噛み合わず会話が途切れることが多かった。女子や男子、さまざまなグループが彼女と交流を試みたが、結果的に誰とも打ち解けることはなかった。放課後には一人で帰り支度を始めたが、その様子を見ていた一郎が声をかけた。夏美は学校生活や引っ越しが多かった事情を語り、一郎との間に少しだけ親しみが生まれた。
帰り道の出来事
夏美の提案で、一郎は彼女と一緒に帰宅することになった。一郎にとって「美少女転校生」と並んで歩くのは大きな決断であったが、夏美の地味な雰囲気もあって特に目立つことはなかった。家に到着すると、夏美の母親が現れ、一郎に夕食を勧めた。一郎は一瞬ためらいながらも、夏美の家で夕食をともにすることを決めた。
夕食への招待
一郎は普段の自分では考えられない行動をとり、夏美の家での夕食に参加することになった。これまで平凡な生活を大切にしてきた一郎であったが、夏美との出会いがその日常に少しずつ変化をもたらしていた。夏美の母親の気さくな態度や、夏美の無頓着さが、一郎に新たな感情を抱かせるきっかけとなった。
小野寺家での夕食
一郎は夕方六時に小野寺家を訪れ、夏美に迎えられてリビングに通された。私服姿の夏美は意外にも肉感的であり、一郎は視線に困ったが、彼女はそのことに無自覚であった。夏美は父とフロリダの湿地帯で生活していたとさらりと語り、キッチンで料理の準備を手伝い始めた。一郎は夏美の弟である安斗と会話を試みるも、そっけない態度に少し苛立ちながらも大人しくソファで過ごしていた。
異国の香りが漂う夕食
夕食にはブラジル風のシチューが用意され、一郎はその異国情緒あふれる料理に驚きつつも感動した。食卓を囲む家族の会話は親しげでありながらも、一郎には理解しがたい内容も多かった。夏美の父は庭にトラップを仕掛けたことを口にし、母親はそれをたしなめた。和やかなムードの中、一郎は家族の特異性に少しずつ気づき始めた。
一家のカメラ嫌い
食事中、一郎が料理の写真を撮ろうとスマホを取り出すと、小野寺家の全員が顔を背けた。彼らはカメラに写ることを極端に嫌がり、その行動はまるで指名手配犯のようであった。冗談交じりの母親のフォローに一郎は困惑したが、次第に一家の謎めいた一面に興味を抱くようになった。
立ち聞きで知った家族の本音
一郎がトイレを借りると、薄い壁越しに小野寺家の会話が聞こえた。引っ越しの翌日に夕食に招いた理由が「地元住民との関係構築」と語られ、一郎は自分が「無害な地元住民」として扱われていることを知った。さらに、家族がこれまで一緒に暮らしていなかったことや、過去にトラブルを抱えていたらしいことが示唆された。
古書店への誘い
放課後、一郎は図書室にいる夏美を見つけた。彼女が古書店に興味を示し、一緒に行くことになった。繁華街にあるその店は夏美の期待通りで、彼女は夢中で本を物色し、一郎は待ちぼうけを食らった。帰り道、夏美は酔客の多い通りで冷静に家族と位置情報を共有するなど、慎重な一面を見せた。
危険な先輩との遭遇
帰り道、一郎の中学時代の先輩グループに絡まれる。一郎が先輩たちに小突かれていると、夏美が先輩の手首をつかみ投げ飛ばし、ナイフを首筋に突きつけた。ナイフはジョークグッズであり実際には無害だったが、夏美の行動は威圧的で、一同を恐怖に陥れた。
平然とした帰路
先輩たちを追い払った後、夏美は一郎に「行きましょう」と促し、何事もなかったかのように帰路についた。一郎はその非日常的な出来事に圧倒され、夏美の持つ謎に満ちた一面に戸惑いを覚えたまま、彼女と歩き続けた。
雨の日の迷い
土曜は一日中雨で、一郎は外出を控えた。夏美との前夜の出来事が心に引っかかり、彼女と顔を合わせるのを避けたかったからである。帰り道でほとんど会話もなく、別れ際に夏美が謝罪したにも関わらず、一郎は何も言えなかった。彼女への興味と危険さを感じつつ、距離を取ろうとしたのだった。
拡散された動画
翌日、友人から送られてきたメッセージで、一郎は自分たちの一件が動画としてネットに投稿されていることを知った。動画には夏美が先輩を投げ飛ばし、ナイフを首に突き立てる場面が収められており、再生数は急増していた。一郎はその内容の偏りに困惑しつつ、夏美に知らせるべく隣家へ向かった。
家族会議の結論
一郎が訪ねると、小野寺家ではすでに動画の件を把握していた。家族会議の結果、夏美たちは再び引っ越すことを決めていた。動画の拡散により、過去の事情から「危険な人物」が彼らに接触する可能性があると懸念されたためである。夏美は一郎に別れを告げた。
突如現れた襲撃者
話の途中で宅配業者が玄関を訪れた。だがその男は荷物からサブマシンガンを取り出し、夏美の家族を狙った。これに対し、夏美の父親は即座に相手を制圧し、銃を奪った。驚愕する一郎の前で、父親は落ち着き払った態度を崩さず、次の準備を進めるよう家族に指示を出した。
次なる戦いへの準備
夏美の母親は襲撃に驚きつつも冷静に状況を把握し、父親は武器を手にする必要性を口にした。夏美も一連の事態を冷静に受け止めており、彼らがただの平凡な家族ではないことが一郎にとって明らかになった。
襲撃の始まりと初動
敵は八名であったが、急ごしらえの傭兵らしく連携が取れていなかった。最初の「宅配業者」が示す通り、無計画な突入が目立った。宗介は奪ったサブマシンガンで威嚇射撃を行い、落とし穴に誘導。瞬間接着液で敵の足を拘束した。その後、夏美から受け取ったカービン銃で電気スタン弾を発射し、敵を無力化していった。
家族の連携と防御
宗介は夏美、母親、弟の安斗にそれぞれ役割を指示し、安全な場所へ避難させた。安斗はドローンを活用して敵の位置を把握し、屋上の狙撃手を無力化した。一方、夏美は散弾銃で裏手からの敵を撃退。家族全員が連携して事態に対応した。
宗介の制圧と敵の無力化
正面の敵二人に対して宗介は手榴弾を囮に使い、一人をスタン弾で撃退。もう一人には膝蹴りや銃の台尻で応戦し、銃やナイフを奪い取った。最後の敵が女性であることを確認すると、宗介は雇い主を尋問。ヘリオテックが背後にいると察知したが、さらなる攻撃は防がれた。
戦闘の終結と後処理
敵の別動隊も宗介の部下が全員生け捕りにしており、脅威は完全に排除された。宗介は敵を殺さなかった理由を「殺しは子供の教育に悪い」と述べ、電気スタン弾で最後の敵を気絶させた。その後、後処理をハンター清掃に任せ、家族は撤収の準備に入った。
家族の撤退と次の住居
宗介は家族に引っ越しを指示し、夏美には一郎を送り届けるよう頼んだ。家族全員が日本での生活を楽しみにしていたが、わずか一週間で終わりを迎えた。妻のかなめは、次の住居について楽観的に話しつつ、宗介を励ました。夏美は新しい友人である一郎との別れを惜しみながらも、彼を家まで送り届けた。
別れの瞬間
一郎が自宅の玄関に戻ると、夏美は「これでお別れね」と静かに告げた。一郎は彼女の言葉に動揺し、一緒に行きたいという衝動を抱えながらもそれを口にすることはできなかった。「元気でね」と言うのが精一杯であった。夏美は最後に微笑み、自分の本当の名前が「相良夏美」であると明かし、去っていった。
非日常から平凡への回帰
夏美たちが去った後、騒動の痕跡はほとんど残らなかった。警察が訪れたものの、マスコミは来ず、小野寺家は解体業者により取り壊された。一郎の学校でも夏美の話題は数日で消え、彼の日常は平凡なものへと戻った。しかし、一郎の心には微かな変化が残されていた。
新しい趣味との出会い
夏美が読んでいた本を手に取った一郎は、その面白さに惹かれた。これをきっかけに、夏美と訪れた古書店に通うようになり、店主とも親しくなった。一郎はやがてその店でバイトを始め、古書店は彼の生活の一部となった。
再び夏美を思い出す瞬間
数ヶ月後、バイト中に受けたネット注文の名前に「美樹原夏美」と記されていた。一郎はそれを目にして思わず微笑み、注文処理を静かに進めた。それは彼にとって夏美との短い時間を思い出させる、ささやかな出来事であった。
第二話 東京都江東区のタワマン 39階
深夜のファミレスでの一幕
深夜のファミレスで宗介はウェイターとして勤務していた。護衛役のテディが注文したのは甘いデザートとホットミルクであった。宗介はその注文を真剣に受け、丁寧に運んだ。テディは宗介の接客態度に感心しつつも、彼の選んだ職業に疑問を抱いていた。宗介は軍事関係の仕事を嫌い、平和な生活を望んでいたが、テディにはそれが理解しがたかった。
不審者との遭遇
ファミレスでの勤務中、店の外をうろつく不審な男を発見した宗介は、テディに警戒を指示した。男はエアガンを手に店内に入り強盗を試みたが、宗介は冷静に対処し、簡単にエアガンを奪い取り男を諭して追い返した。その場面を目撃した客は驚愕しながらも、宗介の行動に圧倒されていた。
新居での朝の風景
勤務を終えた宗介は新居に帰宅した。家族はまだ眠っており、夏美は狭いクローゼットで寝ていた。宗介は朝食を用意し、家族を次々と起こした。安斗は夜更かしを咎められ、不満を口にしながらも朝食をとった。宗介は子供たちの健康を気遣いながら、家族との平和な朝を楽しんでいた。
家族との和やかなひととき
宗介と妻のかなめは、日常の忙しさの中で互いの存在を感じつつ、短い会話や仕草で愛情を確認し合った。宗介はかなめを優しく起こし、家族がそろって朝食をとる様子に心を和ませていた。この平穏な時間こそ、彼が望む日常であった。
子供たちの登校と安全管理
朝食後、夏美と安斗はそれぞれ私立高校と公立小学校に登校した。彼らにはテディの部下が密かに護衛についており、宗介はその備えに安心していた。子供たちが出かけた後、家には宗介とかなめだけが残った。
かなめとの穏やかな時間
かなめはキッチンで朝食の片付けをしていた。宗介は彼女のそばに寄り添い、軽くじゃれ合いながら安斗の夜更かしについて話し合った。安斗がゲーム制作に熱中していることにかなめは理解を示しつつも、健康を心配していた。宗介はかなめに全てを任せると告げ、彼女との穏やかな時間を楽しんだ。
ファミレスでの事件の余波
宗介はファミレスの店長から電話を受けた。店長は防犯カメラの映像を確認した警察から事情を聞かれたと伝え、宗介が追い返した強盗が近隣のコンビニで再び犯行に及んだことを告げた。宗介は警察から簡単な質問を受けたが、冷静に対応した。
予期せぬ解雇
店長は電話の最後に、今回の件を理由に宗介の解雇を告げた。宗介は理由を問い質すことなくその決定を受け入れたが、電話を切るとわずかな苛立ちを感じていた。隣のキッチンでは、電話のやり取りを見守っていたかなめが心配そうにしていた。
家族のショッピングモールでの昼食
宗介たちは土曜日の昼食に近所のショッピングモールのフードコートを訪れた。かなめが「元気を出せ」と励ましながら、宗介にぶっかけうどんを勧めたが、宗介は解雇されたことを引きずり、味がわからないほど落ち込んでいた。子供たちはそれぞれラーメンやバーガーを楽しみながらも、父親を気遣いつつ励ましの言葉をかけた。
子供たちの反応と宗介の想い
安斗は「本業に戻ればいい」とあっけらかんと言い放ち、夏美も淡々と父を見守った。宗介は、解雇の話を子供たちにすることの難しさを実感しつつも、家族の支えに感謝していた。彼は、自身の選択が平凡な暮らしを求めた結果であることを再確認した。
モール内での計画
食後、かなめは安斗の服や夏美の下着を買う計画を提案し、夏美も静かに賛成した。夏美は着る物に特にこだわりがなく、かなめはその点が宗介に似ていると感じていた。一方、安斗はモール内のCDショップに興味を示し、興奮気味に訪問を提案した。
夏美の行動と宗介の注意
食事を終えた夏美は水を取りに行くついでに他の家族の希望を尋ね、かなめが手を挙げた。宗介は夏美がラーメンを完食したことを指摘し、次回はスープを残すように注意したが、夏美は軽く反論しつつも水を汲みに向かった。家族の穏やかなやり取りの中で、それぞれの個性が垣間見えるひとときであった。
ウォーターサーバーでの出来事
夏美がフードコートのウォーターサーバーに向かった際、紙コップが切れており、別のサーバーに向かった。人混みを避けて進む中、食器を落とす音に一瞬身構えたが、すぐに警戒を解いた。その直後、別の客と衝突し、うどんのスープを服に浴びるというハプニングが起きた。
謝罪する女性とのやり取り
うどんをこぼした中年女性は、丁寧な手つきで夏美の服を拭きながら何度も謝罪した。夏美は「気にしないでください」と伝えたが、女性は弁償やクリーニング代を申し出て引き下がらなかった。周囲の注目を避けるため、夏美はシャツを買うことを提案し、女性と共にモール内を移動した。
家族との連絡と女性の人物像
移動中、夏美は家族にメッセージを送り状況を伝えた。母かなめは挨拶をすると主張したが、夏美はそれを拒否した。女性は自分を「林水」と名乗り、10歳の娘がいることや若い世代向けの店に不案内であることを語った。その物腰から上品さが伝わる人物であった。
女性の大事な予定との交錯
エスカレーターで二階に降りた際、林水は初老の男性・柴田から「先生が到着した」と告げられた。柴田は彼女に予定を優先するよう進言したが、林水は夏美との約束を優先すると言い切り、男性を残して先を急いだ。夏美は事情を理解しつつも、林水についていくことにした。
ショッピングモールでの家族の買い物
宗介たちはフードコートを後にし、CDショップへ向かった。安斗は店内の商品に興奮していたが、オンラインで視聴可能なものばかりと気づき、少しテンションが下がった。かなめの勧めでCDを選び、安斗は昭和の名アーティストである美空ひばりとゴダイゴのCDを購入した。その後、再生機がないことに気づき、電器店へ行くことを決めた。
安斗との父子のひととき
会計を済ませた後、宗介は安斗と手をつないでモールを歩いた。息子との何気ないやり取りに、宗介は不思議な幸福感と後ろめたさを覚えた。彼の過去の暗い経験とは対照的に、息子の明るい笑顔が宗介にとって特別な安心感を与えていた。
モール内での異変への気づき
電器店へ向かう途中、宗介は早朝のファミレスで遭遇した強盗犯の姿を見つけた。男は落ち着きのない様子でモール内を歩き、黒いジャケットと安物のバッグを身につけていた。宗介は一瞬、取り押さえるべきか迷ったが、安斗の教育や煩雑な手続きへの懸念から見なかったことにし、足早にその場を立ち去った。
偶然の再会と家族の交流
フードコートでの出会いと蓮の登場
夏美がフードコートで服を汚した相手が母・かなめの高校時代の同級生、美樹原蓮であった。かなめは蓮との再会に喜び、二人は懐かしい話に花を咲かせた。蓮は夏美とかなめの似ている部分に感心し、娘への衣服の弁償を申し出た。その際、蓮が経営するリフォーム会社「ミキハラホームズ」の話題が出て、家族で店舗を訪れる流れとなった。
美樹原ホームズでの林水家との再会
店舗に到着すると、かなめと夏美、宗介は蓮の部下である柴田に迎えられた。その後、蓮の夫であり宗介の高校時代の先輩である林水敦信が登場した。林水は宗介との久々の再会を喜び、妻と会社についての話を交えながら思い出話をした。
林水との対話と人生の振り返り
宗介と林水はカフェに移り、二人きりで会話を楽しんだ。林水は高校時代には学問の道を志していたが、妻の家業を助けるため経営に携わることとなり、現在に至っていることを語った。一方、宗介も過去の戦いや家族の健康問題、無力感について打ち明けた。二人はお互いの苦労や後悔を共有しながらも、それぞれの現在を肯定する姿勢を見せた。
新たな絆と子供たちの未来
会話の最後に、林水の娘・葵が合流し、宗介一家と挨拶を交わした。葵と安斗がぎこちなくも新たな関係を築き始める中、大人たちはそれを微笑ましく見守った。宗介と林水は再会を通じて、過去と現在をつなぐ絆を改めて確認した。
強盗犯への対処と家族の決断
強盗犯との再遭遇
ショッピングモールでの買い物の途中、宗介は再び例の強盗犯を発見した。男は包丁を手にし、高級時計店で強盗を試みていた。宗介は素早く対応し、包丁を奪った後、男を押さえ込んだ。店員や客に誤解される場面もあったが、迅速かつ冷静に事態を収束させた。
家族との短い会話と決意
宗介は家族に状況を手短に説明し、引っ越しの可能性を示唆した。かなめや子供たちは一瞬驚いたが、宗介の判断を支持した。特に夏美と安斗は父親の行動を後押しする言葉をかけ、宗介は家族の理解と信頼を再確認した。
襲撃チームの作戦と失敗
襲撃計画の準備
その夜、襲撃チーム「ドーファン」が宗介一家の住むマンションを襲撃する計画を立てた。チームは重装備での玄関突破と軽装での窓からの侵入を組み合わせた複合作戦を実施し、『K』の捕獲を目的としていた。事前情報が不十分なまま進められた作戦であったが、過去の失敗を取り戻そうと意気込んでいた。
宗介の仕掛けた罠
突入直後、チームは予想外の罠にかかった。室内の天井に設置されたポリタンクが炸裂し、瞬間硬化液が部屋中に充満したのである。隊員たちは身動きが取れなくなり、宗介により容易に制圧された。ドーファンは呼吸すら困難になり、隊員たちは次々と無力化された。
宗介の対応と最終警告
捕虜への対応
宗介は硬化した泡を薬品で溶かし、ドーファンに息をつけさせた後、彼女に厳しい警告を与えた。過去の行動を引き合いに出し、二度と関わらないようにと念を押した。さらに、彼女の情報を公開することで社会的に追い詰めると告げ、ドーファンを屈服させた。
家族を守るための決断
宗介は敵を完全に無力化しつつ、家族の安全を最優先とする対応を取った。その一連の行動は、自分の立ち位置を再確認し、必要な時に最善を尽くす決意を新たにしたものであった。
引っ越しの準備と家族の絆
玄関突破と家族の安否確認
宗介は自宅の非常階段を使って一階下のセーフルームに移動し、かなめと夏美に状況を報告した。宗介は敵の襲撃を完全に制圧したが、これを機に再び引っ越しが必要であることを伝えた。かなめと夏美は冷静にその事実を受け入れ、夏美は母への愛情を示しながら甘える姿を見せた。
引っ越し準備と出発
宗介は最低限の荷物を詰めた「引っ越しセット B」を持ち、家族全員を車に乗せて新たな避難先へ向かった。眠っていた安斗は宗介に背負われる形で出発した。家族は地下駐車場から防弾仕様のSUVで安全に移動を開始した。
移動中の小休止
コンビニでの停車
移動中、安斗がトイレを希望し、宗介は最寄りのコンビニに立ち寄った。コンビニ内では夏美に散弾銃を渡して待機させ、安全を確保した。宗介は安斗を連れてトイレへ向かい、緊張感を保ちながらも用事を済ませた。
ロリーメイトの再発見
トイレから戻る途中、宗介は生産中止と思われていたロリーメイトのフルーツ味を発見した。再発売の事実に驚きつつ、興奮を抑えながら2個だけ購入した。車に戻った宗介は嬉しそうに商品を見せ、「素晴らしいこともたまには起きる」と満足げに語りながら車を発進させた。
第三話 神奈川県鎌倉市の海辺の邸宅
女子会と過去の回想
かなめの回想と人生の転機
17年前、千鳥かなめは無敵の状態にあった。若さと体力に加え、逃亡生活をしながら起業し、経済的な自由を確立していた。だが、妊娠検査キットの陽性反応を見た瞬間、彼女の優先順位は一変した。混乱と喜びが入り交じりつつ、出産や育児の準備、さらに身の安全を考えた生活が始まった。
初めての子育ては試行錯誤の連続で、やがて次の子供が生まれ、さらに病気という試練も経験した。それらを乗り越え、気が付けば17年が経過していた。現在、彼女は家族四人で再び生活を始め、人生の次のステージを考え始めている。
女子会での再会
高級ホテルのラウンジで、高校時代の友人である蓮、瑞樹、恭子と再会したかなめは、アフタヌーンティーを楽しみながら会話を交わした。瑞樹の恋愛経験の話や恭子の子育てのエピソードが中心となり、笑いが絶えないひとときとなった。特に恭子の話は、かなめにとって新鮮で興味深いものだった。
瑞樹は恋愛経験の豊富さを軽妙な口調で話し、かなめや恭子から軽口を叩かれていた。一方で恭子は、子供の受験や家庭の話を共有し、かなめはその一つ一つに耳を傾け、興味深そうにしていた。
再会の終わりと新たな予定
楽しい時間はあっという間に過ぎ、恭子と蓮はそれぞれ家庭や仕事の用事のためホテルを後にした。別れ際、恭子は次回はかなめの話も聞きたいと言い残した。残った瑞樹はかなめに、「少し早いけど飲みに行く?」と提案し、次の予定が示唆されていた。
焼き鳥屋での快気祝い
焼き鳥屋での再会
かなめと瑞樹は、新宿の焼き鳥屋で再会した。午後のアフタヌーンティーの後、軽く飲むつもりで入った店だったが、懐かしい雰囲気に二人はリラックスしていた。飲み物を手にした二人は、高校時代の友人である恭子の話題や、それぞれの生活について語り合った。
瑞樹は独身であり、かなめの家庭事情とは異なる自由さを持っていた。焼き鳥を注文しながら、子供たちや夫・宗介について話すかなめに対し、瑞樹は気軽に冗談を交えながら返していた。
高校時代の回想と友情の深まり
会話の中で二人は、高校時代のエピソードを振り返った。瑞樹がかなめに嫉妬していた過去や、校内での些細な衝突が話題となり、大笑いする場面もあった。その時の仲違いが、今では笑い話になるほど二人の関係は深まっていた。
また、かなめは自身の病気について瑞樹が唯一知る存在であることを改めて感じ、感謝とともにその信頼感を再確認した。
親友への思いとメッセージ
焼き鳥屋でのひとときの後、瑞樹をタクシーに乗せて見送ったかなめは、自身の病気のことを恭子に話すべきか悩んでいた。恭子とは少し疎遠になっているものの、かなめにとってはかけがえのない親友であり、その関係を大切に思っていた。
帰宅する車の中でメッセージを送ろうとしたが、結局は「きょうはありがとう。また会おうね」という一行だけを送った。恭子からは「次は目黒の雅叙園で」と返事が届き、次回の再会への期待を胸に抱きつつ、その夜を終えた。
八里ガ浜の新居と家族の反応
新居の概要と家族の意見
かなめ一家は八里ガ浜の高台にある新居へ引っ越した。この家は築32年の鉄筋造りで、外観はヴィクトリアン様式を模したクリーム色のレンガ造り風であった。リビングからは太平洋を一望でき、家族それぞれの感想はさまざまだった。かなめはタワーマンションよりも気に入っていたが、宗介はセキュリティの面で不満を持ち、安斗はゴキブリの存在に恐れを抱いていた。夏美は本が読めれば問題ないと考えていた。
家族とのひとときと平穏な夜
かなめが外出から帰宅すると、宗介がリビングで迎え入れた。軽いキスを交わし、家族の話題を交える中、安斗がかなめの帰宅を待って寝落ちしていたことが語られた。宗介は安斗を軽々と抱き上げ、子供部屋へ運んだ。その後、かなめは化粧を落としながら、リビングに置かれていた海外からの宅配便に気づいた。
懐かしの制服との再会
箱の中には、かなめが高校時代に着ていた制服が保存状態の良いまま入っていた。思わず試着を始めた彼女は、スカートやジャケットが今でも着られることに驚き、スマホで自撮りを楽しんだ。その写真を高校時代の友人たちに送ると、恭子や蓮から懐かしさと賞賛の返信が届いた。
宗介とのやりとりと予想外の展開
好奇心から宗介に制服姿を見せることにしたかなめは、彼の予想外の反応に驚いた。宗介は制服姿の彼女に圧倒され、愛情を率直に伝えながら情熱的に接した。かなめは驚きつつも、その状況を受け入れる形となり、二人だけの特別な夜を過ごした。
翌朝の後悔と日常への回帰
朝、制服を見て冷静になった宗介が「罪悪感がある」とつぶやくと、かなめはその言葉に憤慨しつつも家族との日常に戻ることを決意した。新居での生活は始まったばかりであり、家族と共に穏やかな日々を紡いでいく準備が整いつつあった。
新居での朝と家族の一日
朝の出来事とそれぞれの外出
かなめは寝不足のため朝食を準備できなかった。安斗と夏美にはコンビニでおにぎりを買わせる形となり、宗介は警備会社の会合に出かけた。家族が家を離れた後、かなめは一人になり、掃除やメールの処理を進めた。その中で、昨夜着用した高校時代の制服にアイロンをかけ、思い出に浸った。
静かな午後と奇妙な感情
昼食後、かなめはソファでうたた寝をした。リビングの大窓から広がる太平洋を眺めながら、「このまま静かに死ねたらいい」と考え、幸福の裏にある恐れや不安に囚われたが、最終的には「まだ人生を楽しみたい」と自分を励ました。
夏美との会話と名前の由来
夏美が午前授業を終え早く帰宅すると、かなめの様子を心配した。母娘は名前の由来について話をし、夏美の名前が宗介の過去の人物から由来することが語られた。かなめは娘の存在がその名に込められた過去の苦しみを癒していると実感し、感謝を伝えた。
学校でのトラブルと敵の出現
その後、安斗が学校でクラスメイトの服に火をつける問題を起こし、かなめは呼び出された。話を聞くと、安斗はいじめに立ち向かうために行動したと説明した。しかしその最中、自宅周辺に敵勢力が現れたとの警報を受け、急遽避難することとなった。
逃走と夏美の登場
護衛チームのサポートで車で逃走する中、追跡してくる敵を安斗が巧みに操縦するドローンで撃退した。しかし敵の増援が現れ、形勢が悪化する。その時、夏美が最新鋭のアーム・スレイブ〈アズール・レイブン〉に乗って現れ、敵を一掃した。
避難と新たな疑問
〈アズール・レイブン〉に抱えられながら、かなめはこれまで知らなかった夏美の能力や機体の存在に驚きを隠せなかった。同時に、自宅の安全や制服を置き去りにしてきたことを少し気にしながら、新たな避難先へ向かうこととなった。
制服から始まった問題
SNSに投稿された制服写真
かなめの制服写真がSNSに投稿されたことが、敵に自宅の位置を特定される原因となった。恭子、瑞樹、蓮の三人がほぼ同時に同じ写真をアップしたため、敵のAIが画像を分析し、背景に写り込んだ特殊なクローゼットのハンガーパイプから家を特定したのである。この製品はベルギー製で輸入数が限られており、さらに製造が二十年以上前に中止されていた。これにより、住居の候補が絞り込まれた。
セーフハウスでの家族会議
横浜市戸塚のセーフハウスに避難した相良一家は、コンビニ弁当を食べながら原因を話し合った。宗介は敵の動きについて報告し、今回の漏洩が尾行や衛星追跡の可能性は低いと説明した。一方で、かなめは制服写真の投稿が原因であることを打ち明けることができず、曖昧に話を濁した。夏美と安斗は別の可能性を挙げつつも納得していない様子だった。
次の住居候補についての議論
次の住居をどこにするか話し合いが始まった。安斗は調布を希望し、夏美はラーメン屋が多い中央線沿いを提案した。一方で宗介は東京から一時的に離れることを推奨し、家族間で意見が分かれた。かなめは、団地生活の気楽さを感じながらも、次の居住地について家族全員の意見を聞き入れることにした。
appendix
相良安斗の日常
マルチタスクな少年の生活
相良安斗は、タブレットを操りながら多忙な日常を送っていた。一見ゴロゴロしているようだが、複数のチャットやショートメールのやり取りに応じながら、簡単なゲームやアプリを開発し、内輪向けのバカ動画の編集や数式で描いた絵の共有を行っていた。本の要約すらAIに任せるほど、彼にとって時間は貴重であった。
バカ動画仲間との交流
夕食後、安斗はモルドヴァの友人ドヴァドヴァ32が送ってきた短い動画に感嘆した。半裸のおじさんが爆発して分裂する映像に大笑いした彼は、即座に自分のアレンジ版を作成しアップロードした。その一方で、小学校の友人川辺とメッセージを交わし、転校の寂しさを埋めるためオンラインゲームで再会する約束を交わした。
林水葵とのオンラインゲーム
次に、約束していた林水葵との『ワイワイクラフト』のプレイに移った。葵の提案で面白いサーバーを訪れ、ゲームを楽しんだ。さらに、彼女から「オフで会いたい」との提案を受けた安斗は大いに喜び、次の引っ越し先が未定にもかかわらず、会う方法を考え始めた。
クララとテッサとの連絡
その後、アメリカのクララから弾道計算アプリ用の古いスマホについて問い合わせがあった。彼女は安斗を可愛がり、頻繁に連絡を取っていた。また、東海岸のテッサからは、姉・夏美の誕生日プレゼントについて相談を受けた。安斗は夏美が読んでいる本を撮影し、提案を送った。テッサは彼に対する信頼を口にし、感謝を述べて去った。
夜更かしの終わり
夜も更ける中、ネットの友人たちとやり取りを続けていた安斗に、家庭用AIのアルが「寝なさい」と指示を出した。しぶしぶタブレットを閉じた彼は、数分後には眠りについた。このように、安斗の毎日は忙しさと充実感に満ちていた。
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