小説「ふつつかな悪女ではございますが」感想・ネタバレ

小説「ふつつかな悪女ではございますが」感想・ネタバレ

どんな本?

どんな本?

『ふつつかな悪女ではございますが』は、中村颯希 氏によるライトノベル。
正式名称は『ふつつかな悪女ではございますが~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』。
この作品は、才女と悪女が入れ替わる宮廷物語から始まり、爽快な展開が繰り広げられる。
主人公の黄家の雛女・玲琳は、朱家の雛女・慧月によって身体を入れ替えられ、さまざまなトラブルに巻き込まれていく。
小説版はまだ完結しておらず、最新巻では新章も開幕している。

読んだ本のタイトル

ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~
著者:中村颯希 氏
イラスト:ゆき哉  氏

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あらすじ・内容

WEBで大人気! 入れ替わり逆転中華ファンタジー!

『雛宮』――それは次代の妃を育成するため、5つの名家から姫君を集めた宮。

蝶々のように美しく、でも虚弱な姫、黄 玲琳は、周囲から嫌わて鼠姫と呼ばれる、朱 慧月に精神と体を入れ替えられてしまった!

慧月の姿になってしまった玲琳、今まで優しくしてくれていた人達から蔑まれ、最悪の環境におかれるのだが……。

「なんて健康な体でしょう! う、うらやましい……っ」

隣り合わせの”死”とずっと戦ってきた姫は、実は鋼のメンタルだった――!!

ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~

プロローグ:

乞巧節の夜、後宮の雛宮で女官たちが玲琳の刺繍を賞賛している。玲琳は特に才能があり、皇太子の尭明と親しい関係にある。この日、玲琳は他の雛女を圧倒するが、朱慧月によって欄干から突き飛ばされる事故が起きる。尭明と女官たちが玲琳を救出する。玲琳は意識を失い、目覚めると自身が牢獄にいることに気づく。記憶にない状況と冷たい女性の声に困惑する。

  • 玲琳、入れ替わる:

玲琳は牢獄に閉じ込められ、冬雪から厳しい非難を受けている。彼女は自分の体と魂が朱慧月と入れ替わっていることに気づくが、その事実を伝えられない。慧月は玲琳になりすまし、玲琳は慧月としての罪を背負わされる。玲琳は敵意と冷遇を受けながら、自分の真の強さを活かして立ち向かう準備をする。

  • 玲琳、処刑に臨む:

辰宇は残忍な獣尋の儀を執り行う準備をする。朱慧月が処刑される予定だが、尭明は彼女に無罪を問う。儀式中、突如獅子が倒れ、朱慧月の無罪が宣告される。尭明は彼女の無罪を認め、彼女の変化を見守る。

  • 玲琳、楽園に移住する:

玲琳は廃屋と化した元食料庫に移される。新しい環境で自由を感じ、新たな生活を受け入れる。辰宇と文昴は彼女の状況を確認し、彼女の変化に驚く。彼女は基本的な生活用品を要求し、それが提供される。

  • 慧月、現実を知る:

慧月は黄家の女官たちに愛されるが、自分の体調の悪化に苦しむ。彼女は尭明の寵愛を受けようと策略を巡らせるが、玲琳としての完璧な扱いを羨ましく思う。

  • 玲琳、女官を得る:

玲琳は朱慧月の体で新たな生活を楽しむが、彼女に対する申し訳なさを感じる。莉莉は玲琳に対して嫌がらせを計画するが、玲琳はそれを好意として受け止める。尭明と辰宇は親しく会話を交わし、尭明は特に黄玲琳に感情を抱く。

  • 慧月、焦る:

慧月は高熱に苦しむが、黄玲琳が常に高熱を抱えて生活していたことに気づく。彼女は適切な薬を見つけることができず、深刻な不安に苛まれる。

  • 玲琳、備える:

莉莉は玲琳が銀朱の衣を繕う姿に感動する。尭明は夜遅くまで政務に取り組み、朱慧月に対する評価の見直しを辰宇から提案されるが、尭明は玲琳への執着から厳しい態度をとる。

  • 玲琳、舞う:

中元節の日、金清佳は舞が下手な者に清水を振りかけるべきだと提案する。朱慧月が舞台に上がり、その技術と態度により尭明の支援を受けることに成功する。

  • 玲琳、弓引く:

朱慧月は破魔の弓を引き続け、その行動が黄玲琳の状態の改善に繋がる。尭明は彼女の献身的な行動に刺激され、自らも行動を起こす決意をする。

特別編 彼女と化粧:

文昴と辰宇は雛宮の廊下で会話を交わし、星や恋愛についての認識の違いを話し合う。尭明は玲琳への感情を反映し、彼女に対する複雑な感情を抱く。

感想

『ふつつかな悪女ではございますが』は、二人の姫君が入れ替わるファンタジー小説。
玲琳という美しく聡明ながら虚弱な姫と、慧月という見た目も性格も悪いと評される姫の物語。
慧月が嫉妬から玲琳と身体を入れ替え、玲琳は慧月として処刑されかけるが無罪を勝ち取る。

物語の舞台は、雛宮という場所で進行する。ここは、次代の皇后を育成するために設けられた宮であり、五つの名家から選ばれた姫君たちが妃としての教育を受けている。
玲琳は皇太子の尭明とも親しい関係にあり、彼女の美しさと才能には多くの人が憧れを抱いていた。
しかし、その玲琳が慧月によって体と心を入れ替えられ、玲琳は慧月の身体で生きることを余儀なくされる。

入れ替わった玲琳は、慧月としての生活を強いられ、雛宮の者たちからは蔑まれ、困難な状況に陥る。
しかし、元の玲琳が持つ鋼のような精神力でこれを乗り越え、周囲の誤解を解いていく。
入れ替わりによって、慧月の体を得た玲琳は、健康で丈夫な身体の恩恵を享受し、新たな楽しみを見出す。
一方、玲琳の身体に入った慧月は、虚弱な体と格闘しながらも、その美しさと地位を利用しようと策略する。

この物語は、見た目や初めの印象に惑わされることなく、一人一人の内面を見ることの大切さを教えてくれる物語であった。
そして、どんな困難な状況でも、前向きに努力し続けることで、周囲の人々との関係を改善し、真実を明らかにすることができるというメッセージが込められていように思える。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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同シリーズ

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ふつつかな悪女ではございますが

その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

乞巧節の夜、後宮の雛宮では、華麗に装飾された女官たちが玲琳の刺繍を賞賛していた。
玲琳は特に才能があり、皇太子の尭明とも親しい関係にあった。
雛宮は五家からの雛女たちが次期妃として育成される場であり、それぞれの家の力を競う場でもある。
この日、玲琳は彼女の美しさと才能で他の雛女を圧倒していた。
しかし、突然の事故が起き、玲琳は欄干から転落しかけ、尭明と他の女官たちが彼女を救助した。
朱慧月と呼ばれる女官が玲琳を突き飛ばしたと思われ、彼女はその場で気絶した。
事件の混乱の中、玲琳の卓越した才能と尭明との関係が再び確認された。

彼女は水滴が頬を打つ感覚で目を覚ました。不快感に襲われているが、これが普段と違う感じだった。
石の壁に囲まれた部屋に一人で横たわっていた彼女は、環境の変化に気づき、牢獄にいることに驚愕した。
記憶にない重い衣装を身につけていた彼女は、その状況が理解できずにいた。
突然、部屋に光が差し込み、女性の声が聞こえた。
馴染みのある声に安堵したが、その女性は彼女に対して冷たく接し、玲琳が彼女によって危害を加えられたと告げた。
この突然の告発に、彼女は困惑し、何が起こったのか理解できないままだった。

1.玲琳、入れ替わる

玲琳は、不本意ながら牢獄に閉じ込められ、冬雪と呼ばれる女性から厳しい非難を受けている。
彼女は朱慧月によって高楼から突き落とされたと誤解されており、その結果、体と魂が入れ替わってしまっていることに気づくが、この事実を伝えることができない状況にある。
冬雪は、玲琳を深く尊敬しており、玲琳と思い込んでいる朱慧月に対して、厳しい言葉を投げかけている。

慧月が玲琳になりすますことで、玲琳は慧月としての罪を背負わされる。
彼女は、自身が体験したことがないほどの敵意と冷遇を受けている。
さらに、彼女の言葉が発声できないように魔法がかけられており、自身の正体を証明することができない状況に置かれている。
これは、慧月が計画的に行った仕業であることが示されている。

玲琳は、彼女に与えられた身体の弱さにもかかわらず、実際には非常に強い精神力を持っており、状況に立ち向かう準備ができている。
彼女は自身の不遇な状況を逆手にとって、慧月が見落としている彼女の本当の強さを活かしていく。

2.玲琳、処刑に臨む

辰宇は獣尋の儀を執り行うことに苦々しい思いを抱えていた。
これは、容疑者を飢えた獅子と同じ檻に入れ、生き延びれば無罪、そうでなければ死罪とする非常に残忍な方法である。
この日、辰宇は、罪を犯したとされる朱慧月の処刑を行う準備をしていた。
彼女は高貴な態度で現れ、獣尋の儀が始まると冷静に対応し、周囲を驚かせた。

尭明は朱慧月に対する疑いを問いただし、彼女は自らの無実を主張した。
尭明は獣尋の儀を進行させるために辰宇に命じ、獣が彼女を襲う瞬間、朱慧月は動じることなく冷静であった。
しかし、獅子は突然倒れ、事態は予期せぬ方向へと進んだ。

獅子の死により、朱慧月の無罪が宣告され、獣尋の儀は意外な結末を迎えた。
この結果に対し、尭明は彼女の無罪を認め、引き続き雛宮での滞在を許可したが、彼女に対する警告も忘れなかった。
朱慧月は、この一連の出来事を通じて、自己の行動を見直し、変化を遂げたように見えた。

辰宇は、これまでの彼女とは異なる朱慧月の姿に、何か新しい一面を見出したかのように思い、内心で彼女を評価し直していた。

3.玲琳、楽園に移住する

玲琳が獣尋の儀を終えた後、彼女の部屋移動を手伝うために女官の莉莉が現れる。
莉莉は玲琳に対して敵意を隠さず、罰として玲琳が下級の住まいに移ることを告げる。
玲琳は状況を受け入れ、新しい住まいに案内される。
その場所は廃屋と化した元食料庫で、周囲の女官たちは玲琳の落ちぶれを嘲笑する。
しかし、玲琳はこの新しい環境に戸惑いながらも、自由に草をむしり、土に触れ、自立する機会に秘かな喜びを感じていた。
彼女はこの状況を新たな自由と成長の場と捉え直し、一人での生活に向けて心を新たにする。

辰宇は朱家の宮で監査を行うために訪れていた。
彼と文昴は、朱慧月が不当な扱いを受けていないかを確認するため、宮内を巡っていた。二人がたどり着いた場所は、草むらと朽ちかけた蔵で、朱慧月がこの場所で生活するよう命じられていた。
辰宇と文昴は、朱慧月が現れるのを期待していたが、そこにいたのは彼女のように見える女性が草をむしる姿だった。
彼女は、辰宇たちに対して慎み深く礼儀正しく振る舞い、自分で環境を整えようとしていることを語った。
この異常な状況に、辰宇は彼女が朱慧月本人であるか疑問を持ち、女性が以前とは変わっていることを感じた。
文昴もこの変化に戸惑い、彼女の行動が以前の朱慧月とはかけ離れていることに気づいた。
最終的に、辰宇は彼女が要求した基本的な生活用品を提供することに同意した。

莉莉は、朱慧月と一緒に食料を得るために、尚食長に懇願していたが、尚食長は朱慧月への不満から食料を渡すことを拒んでいた。
朱家での厳しい環境に苦しむ莉莉は、食料を確保しようと奮闘していたが、結局、食料は与えられなかった。
そこで彼女は他の宮へ行くことを決心するが、途中で金家の上級女官に出会い、金家の女官となる誘いを受ける。
その誘いには、朱慧月をいたぶることが条件とされていた。
しかし、朱慧月は廃屋で意外にも落ち着いており、自分で食料を栽培し、料理をしていた。
この状況に莉莉は驚くが、朱慧月の前向きな姿勢に心を動かされる。
最終的に、莉莉は自身の任務が困難であることを悟る。

4.慧月、現実を知る

黄玲琳として知られる慧月は、彼女の形を借りたまま、黄家の忠誠心溢れる女官たちによって愛され、甘やかされる生活を満喫していた。
しかし、彼女の体調は悪化し、熱が引かない中での応対に疲れを感じていた。
病床にあっても、女官たちは彼女の訓練を続けようと提案し、慧月はその過保護な対応に困惑していた。
実際、黄玲琳の体を持つ慧月は、彼女の努力家の性格を体感し、その重労働的な日常に圧倒されていた。
また、彼女は自分の状況を利用して、尭明の寵愛を受けようと策略を巡らせていた。
彼女は、玲琳が完璧な女として扱われるのを羨ましく思いながらも、その環境に自らが溶け込むことで、玲琳に対する復讐を果たそうと考えていた。

5.玲琳、女官を得る

玲琳は、朱慧月の体になったことで新たな生活を楽しんでいる。
朱慧月の体は丈夫で、農作業に没頭し、食事も美味しく感じるなど、健康的な毎日を過ごしている。
しかし、玲琳は朱慧月に対する申し訳なさを感じており、七日間の忌祓い期間が終わり次第、朱慧月との再会が予定されている。
一方で、莉莉は玲琳の嫌がらせを計画するも、玲琳にはそれが好意として受け止められてしまう。
二人の関係は複雑で、玲琳は自分が楽しんでいる新しい生活に満足しながらも、朱慧月の立場を考え複雑な感情を抱えている。

尭明と辰宇は異母兄弟であり、親しく会話を交わす。
尭明は皇太子として多くの人から恋慕されるが、そのために人間関係に退屈を感じている。
尭明が特に気に入っているのは、黄玲琳という女性で、彼女の病弱ながらも強い精神に惹かれている。
一方、辰宇は尭明によってかばわれながらも、政治的な駆け引きの中で生きており、尭明の愛情を受けている。

辰宇は、過去に家庭内での困難を乗り越えてきたことから、尭明から特別な感情を持たれている。
尭明は辰宇を利用して後宮の女性を試すが、辰宇はそれに応じつつも疑問を感じている。
尭明は黄玲琳に対して強い感情を抱き、彼女の病気のためにしばしば見舞いに行っており、辰宇にその手伝いを命じる。

この日も、黄玲琳の見舞いに関わる辰宇は、尭明との会話を通じて、彼の人間性や、後宮での女性たちへの対応を再認識する。
また、尭明は辰宇に対して、過去の朱慧月に対する行動を評価し、彼女の行動に対する自己の感情を明かす。
尭明は皇太子としての立場と個人的な感情の間で葛藤しながらも、彼自身がどのように人々と関わるべきかを模索している。

玲琳は自らが莉莉に対して十分な報いをしていないと自問し、落ち込んでいる。
莉莉は実直な女官でありながら、朱慧月から恨まれているが、玲琳と共に過ごすことで彼女の真心を感じている。
玲琳は、自分が莉莉に何も与えていないことを悔やんでおり、過去に死にかけるほど病弱だったため、女官に物品を与えることで報いてきたが、現在はそのような行動が取れないでいる。
一方で、莉莉は玲琳に強い不満を抱え、感情が爆発する。
その過程で、短刀を振り回し、玲琳に向かって暴言を吐く。
しかし、突然辰宇が現れて事態を収束させる。
玲琳はその後、朱慧月の言葉を用いて莉莉を落ち着かせ、状況を誤魔化そうとするが、辰宇はそれを疑い、事実を問う。
玲琳は冷静に対処し、莉莉が実際に行った行動を事実として伝えるが、辰宇はその言葉を疑っている。

辰宇と文昴は、玲琳の行動を不審に思いながらも、彼女が主張する状況を確認する。
玲琳は、莉莉に対する慈愛を示し、厳しい状況の中で彼女を気遣う。
莉莉が感情的になり、玲琳に対して攻撃的な言動をとるが、玲琳はそれを静かに受け止め、理解と支援を示す。
最終的に玲琳は、莉莉に対して温かく接し、彼女の行動を許す態度を取る。
この一連の出来事を通じて、玲琳は莉莉に対する真の配慮と支援を表現し、彼女の立場を強化する。
また、辰宇たちは状況に対する疑念を持ちつつも、直接的な行動を控える。

6.慧月、焦る

慧月は黄玲琳の身体で病を患い、高熱に苦しんでいる。
乞巧節から四日後の夜も、彼女は苦しみの中で唸り声を上げ、息苦しさを訴えていた。
周囲の女官たちからは、その熱がそこまで高くないと言われているが、慧月にとっては耐え難いものであった。
彼女は、これまで病弱な黄玲琳が、実はこのような高熱を抱えながらも普通に振る舞っていたことに驚愕する。
慧月は適切な薬を見つけることができず、孤独に苦しむ夜を過ごしている。
彼女は黄玲琳が調合した多種多様な薬に囲まれており、どの薬を服用すればよいかわからない状態である。
結果的に、慧月は深刻な不安と恐怖に苛まれ、孤独感を強く感じている。

莉莉が帰ってこないことに心配する玲琳は、黄家の女性らしく過保護で世話焼きな性格である。
彼女は莉莉が安全であることを願いつつ、自身も莉莉と共に行動したかったが、莉莉に止められた。
莉莉の主張にはわからない理由が含まれていたが、玲琳はその理由を深く考えつつ、自分の肌の手入れを思い出していた。

玲琳は金清佳が尭明に気に入られるために朱慧月を罰しようとした事実を知り、驚いた。
彼女は自身の見る目に疑問を持ちながらも、自分が過去にどれほど世間知らずだったかを悟る。
自分の健康を気にしてばかりいた過去を振り返り、現在は比較的健康な体であることに感謝しつつ、自分の行動を皇后に見られたらどう思われるかと心配する。

一方で、慧月は自分の体がどうにかしてほしいと願い出る。
玲琳は慧月の状態を落ち着かせるために呼吸の指導を行い、適切な薬を使って彼女の状態を改善させる。
その後、慧月は玲琳の体が弱すぎると非難するが、玲琳はそれが自分の日常だったと説明し、入れ替わりによって楽しく過ごしていることを伝える。
このやり取りから、慧月と玲琳はお互いの状況について新たな理解を深める。

慧月は玲琳に対して自らの境遇を星に例えられ、内心でその矛盾に苦笑する。
しかし、彼女はその言葉に感情が動かされ、涙を堪えるほどであった。
玲琳は慧月に対して、過去に不快な思いをさせたことについて話し合い、謝罪することを提案するが、慧月は冷たく断る。
彼女は自身が愛される一方で、玲琳が嫌われることを願い、その状況を楽しみにしている。

慧月は自身が不遇の日々を送ってきたことを思い出し、親からの愛情を受けずに育ったこと、そして周囲からの冷たい視線を浴びてきたことを述べる。
彼女は玲琳が皆から馬鹿にされることを願い、その現実になることを唱える。

一方で、莉莉が帰ってきて、玲琳との再会を果たす。
莉莉は待ち合わせ場所で誰とも会えずに帰ってきたことを報告し、玲琳はその状況を鷲官の介入がないことから安全であると分析する。
莉莉はその解釈に安堵するが、玲琳は莉莉と金家との間での決着がつかなかったことから、自らが積極的に関与することを宣言する。
莉莉はその戦闘的な態度に驚くが、最終的には玲琳の決意を受け入れる。

このやりとりを通じて、玲琳と莉莉の関係性が深まり、莉莉は玲琳が自らの敵を討つ意志を持つことに心から感謝する。
彼女はその暗闇の中で、自分を守ってくれる玲琳に対して、感謝と喜びの涙を流す。

7.玲琳、備える

莉莉が起きると、主人が銀朱の衣を繕っているのを目にする。
この行為に莉莉は感動し、主人の優しさと変化に心を動かされる。
主人は莉莉のために衣を繕い、季節の美を詠う詩を諳んじている様子であった。
この優しい行動は、莉莉にとって主人がどれだけ変わったかを示すものであり、彼女はこの変化が続くことを祈る。

翌朝、莉莉は主人が早起きして衣を繕っていたことを知る。
主人は莉莉に銀朱の衣を完成させ、それを着ることの意義と喜びを語る。
この行為により、莉莉は自分自身に自信を持ち始める。

しかし、莉莉は自分が銀朱の衣を着る資格がないと感じ、主人にその衣を返そうとする。
しかし、主人は莉莉の言葉を誤解し、彼女が銀朱にふさわしいと信じて更なる鍛錬と準備を進めることを提案する。

尭明は夜遅くまで政務に取り組んでおり、中元節の儀の準備も含めて多忙を極めていた。
彼は非常に有能で、疲れを知らず政務をこなしている。
その夜、彼は文官たちと共に作業を終え、部下たちが散っていくのを見守る。

辰宇は尭明に女官の刃傷事件について報告し、朱慧月が事件で女官を庇ったことを述べる。
尭明は皮肉を交えつつ、朱慧月の行動を疑い、彼女の過去の行いを批判する。
しかし、辰宇は朱慧月が変わろうとしていると信じ、彼女への評価の見直しを尭明に提案するが、尭明は玲琳への過度な執着と関連して、朱慧月に厳しい態度をとる。

尭明は玲琳が以前攻撃された事件に強い感情を持っており、朱慧月に対する不信感を隠せない。
彼は玲琳の安全を第一に考え、朱慧月に対して優しくする余裕がないと感じている。
辰宇は尭明の葛藤を理解し、やがて会話は終了する。尭明は玲琳への強い感情を認めつつも、自身の感情を抑えきれずにいる。

8.玲琳、舞う

金清佳は中元節の日に雛宮で他家の顔ぶれを見渡していたが、彼女にとっては興味を引くものがなかった。
金家は経済を支え、芸術を育成してきた一族であり、清佳自身も芸術家肌の人間であった。
彼女は美を極めることを求め、その日出席した人々には失望していた。

清佳は特に皇太子詠尭明と黄玲琳に注目しており、二人の美しさと存在感に惹かれていた。
しかし、朱慧月が黄玲琳を高楼から突き落とした事件により、彼女の計画は狂わされた。
清佳は朱慧月を深く憎んでおり、彼女が雛宮に居残ることを後悔させようと決意していた。

中元節の儀で、清佳は舞が下手な者に清水を振りかけるべきだと提案した。
彼女は特に朱慧月が下手であると考え、彼女が恥をかくのを楽しみにしていた。
しかし、朱慧月の出番が最後になったため、彼女は舞台に上がる前に不利な状況に置かれていた。

尭明と辰宇は参内を見守りながら、朱慧月の参加について話し合っていた。
尭明は彼女がどのような態度で登場するかを注目していた。
彼は、朱慧月が黄玲琳の件で無罪とされたにも関わらず、まだ彼女に対する怒りを抱いていた。

儀式が始まると、清佳は朱慧月が場にふさわしくないと発言し、彼女に座る場所を与えなかった。
しかし、朱慧月はそれを受け入れ、他の参加者と和やかに交流を試みた。
これに対して尭明は少し戸惑いながらも、彼女の態度に感心した。
最終的に朱慧月は皇太子としての尭明からの支援を受けることに成功し、彼女の立場は少し改善された。

清佳は中元節の儀を主催しており、参加者を見渡していたが、特に朱慧月の姿に困惑していた。
朱慧月は以前とは異なり、非常に美しく、自信に満ちた態度を見せていた。
これまでの劣等感や感情的な反応が見られず、その変化に清佳は戸惑いを深めていた。
朱慧月がこのような風格を持つとは思わなかったため、清佳は自分の感情を抑え、儀式を進行させることに集中した。

儀式では、参加者たちがそれぞれ舞を披露し、朱慧月は薬玉を提供して好印象を与えた。
清佳自身も舞を披露し、尭明から高い評価を受けた。しかし、朱慧月が提供した銀細工と真珠の簪に対して、清佳は驚きと静かな感銘を受けた。
この出来事は、朱慧月が自分とは異なる方法で影響力を示していることを清佳に認識させた。

朱慧月と金清佳の前で緊張していた莉莉は、朱慧月が礼儀正しく主張する場面に遭遇した。
金清佳の女官たちが朱慧月を侮辱しようとするが、朱慧月は冷静に対応し、清佳に対しても敬意を払う態度を示した。
これにより、場の雰囲気が変わり、朱慧月が以前の自分とは違う成熟した態度を見せた。
それに応じて、金清佳も朱慧月の主張に耳を傾け、彼女の変化を認めざるを得なかった。

清佳は朱慧月が舞う機会を与えるが、技術的な問題で舞台の杖が壊れる事態が発生する。
しかし、朱慧月はこれを乗り越え、巧みに舞を披露し、見る者を魅了した。
彼女の舞は豊穣の女神を満足させるほどの美しさであり、観客はその演技に感動する。
朱慧月の成長と変化が、彼女がただの問題を抱えた雛女から、自信に満ち、自立した個性を持つ人物へと進化したことを示していた。

朱慧月が舞いを披露した後、その優雅さと技術に会場は圧倒され、尭明も含む多くの者が感動し、言葉を失った。
尭明は特に、朱慧月に対して新たな感情を抱くことに戸惑いを覚えた。
その舞により、尭明は国宝級の褒美を超えるものを朱慧月に提供しようと決め、自らの装身具を差し出した。

朱慧月はその褒美を受け取った後、すぐに話を元の問題に戻そうとしたが、清佳がまだ戸惑っている中、朱慧月は自らの女官が不当な扱いを受けたことに触れ、清佳から謝罪を引き出すことに成功した。
さらに、朱慧月は簪を盗まれたという女官についての情報を求めたが、清佳はその女官が存在しないことを明かした。

この混乱の中、朱慧月は黄玲琳の看病を志願し、自身が治療に有効だと主張したが、尭明は彼女の提案を拒絶した。
その後、皇后が朱慧月に破魔の弓を引くことを命じ、これが彼女の誠意を試す行為であると説明した。
尭明は絹秀の提案に従い、朱慧月が玲琳の看病をする許可を与えることに同意した。

9.玲琳、弓引く

莉莉は朱慧月が弓を射続ける様子を見守りながら、彼女に食事と水を勧めたが、朱慧月はこれを無視して射続けた。
彼女は破魔の弓を引き続けており、この弓は非常に重く、彼女の家系とは相性が悪かった。
朱慧月は黄玲琳のための薬草を煎じ、黄麒宮に届けた後も弓を引き続けていた。
監視のために訪れた女官たちは、朱慧月の姿に感銘を受け、その場を去っていった。

朱慧月は莉莉から食事を促されたが、贖罪の意味を込めて弓を射続けることを選んだ。
その後、辰宇と文昴が現れ、朱慧月がこれ以上弓を引かなくてもよいと告げた。
しかし、朱慧月は黄玲琳が完全に回復するまで弓を引き続けることを決意していた。
辰宇は彼女の手が傷ついているのを見て、彼女を説得しようとしたが、朱慧月は続けることを決意していた。

最終的に、黄玲琳の熱が下がり、意識を取り戻す兆しが見えたため、辰宇は朱慧月に弓を引くのを止めるよう再び説得した。
朱慧月は心配性の女官たちの反対を押し切り、自らの意志で困難を乗り越えようとした。
彼女は病から回復したことで得た健康と力を享受し、以前は感じられなかった生活の喜びを噛み締めていた。

矢が的の真ん中に命中した際、玲琳は喜びを表現し、さらに弓を引き続ける決意を示した。
その後、遠く黄麒宮からの歓声が聞こえ、黄玲琳が意識を取り戻したことを知ると、玲琳は感動で瞬間的に痛みを忘れた。
しかし、その感動が一時的であったことを自覚し、体の限界を感じ始めた。
彼女は長時間の活動による疲労を感じ、過信していた自己の体力の限界を自覚する。
最終的に、体の痛みと疲労に耐えかねて気絶した。

尭明は本宮の寝室で、雛宮の状況についての情報を待っているが、報告はなく、彼は不安と絶望を感じている。宦官は報告が遅れていることを尭明に伝えるが、尭明は自らが何もできない現状に苛立っている。彼は玲琳の危篤状態を知ると、状況の重大さから本宮に戻されたが、自身の無力さに苛立ちを隠せない。尭明は、自分が国を継ぐ存在でありながら、実際には何もできず、保護されているだけの存在であると感じている。

宦官からの報告によると、朱慧月は破魔の弓を引き続けており、その姿勢が尭明を驚かせる。
朱慧月は黄玲琳のために長時間弓を引いており、その行動は徐々に黄玲琳の状態の改善に繋がっているようだ。
この報告を受けて、尭明は自身も何か行動を起こすべきだと感じ、禁域の紫龍泉から水を汲みに行く決意をする。
尭明は宦官に指示を出し、準備を進める。
彼は朱慧月の献身的な行動に刺激され、自らも行動を起こすことで何かを成し遂げようと決心する。

玲琳は、射場で倒れた後、朱駒宮蔵の寝床に横たえられ、意識を回復している。彼女は自分がどこにいるかと自分の体調を確認し、莉莉や他の者たちが自分の世話をしてくれたことに気づく。玲琳は手当てされた傷を確認し、痛みに苦しむが、その痛みを受け入れる。彼女は涙を流し、安堵の感情を感じている。

玲琳の回復を見届けた冬雪は、彼女が本当に玲琳であることを確認し、感情を露わにする。玲琳の状況と痛みに対する彼女の心の動きを詳細に描写し、彼女が経験した一連の出来事によって感じた感情の深さを表現している。

特別編  彼女と化粧

中元節の儀を控えた夜、文昴と辰宇は雛宮の廊下で会話を交わしている。文昴がほうき星を指摘すると、辰宇もそれに気づく。かつては凶兆と見なされていたほうき星も、現在では瑞兆とされ、人々に穏やかに見上げられるようになっている。文昴はほうき星に対する昔の考えを皮肉り、辰宇は彼の軽口をたしなめる。文昴は辰宇の無感情さを指摘し、辰宇は星は単なる星であると冷静に述べる。

文昴は、辰宇が他の鷲官からどのように見られているかを説明し、辰宇はその話を面白くないと感じる。二人は星や恋愛についての認識の違いを話し合う。文昴は辰宇に恋愛についてのアドバイスをしようとし、辰宇はそれに対して消極的な反応を示す。

文昴は恋愛を促すために辰宇に口紅を差し出すが、辰宇はそれを拒否する。文昴の解釈によると、口紅を贈ることは求愛の行為であるとされるが、辰宇はその意味に反発し、最終的に口紅を文昴に返してしまう。辰宇は自身の行動の矛盾に気づかずにいる。

尭明は寝室の窓からほうき星を見上げ、深い溜息をつく。彼の心に浮かんだのは、星の名を持つ朱慧月ではなく、彗星を瑞兆と見なすであろう少女、黄玲琳であった。玲琳は、汚れたものでも美を見出すことができる人物である。尭明は彼女に贈るつもりの口紅を見つめながら、彼女との出会いを思い返す。その出会いは、彼が十五歳のとき、母とともに黄家を訪れた際に始まった。当時、尭明は女性に対して懐疑的で、人々が自分に媚びることにうんざりしていた。しかし、玲琳の堂々とした態度と純粋な美しさに心を打たれる。

宴の席で、玲琳の舞が披露された際、尭明は彼女の神々しい姿に圧倒され、彼女への感情が変化する。玲琳が化粧品に興味を示した際、尭明はそれが虚飾に興味があるわけではなく、彼女が美を通じて周囲に喜びを与えようとしていることを理解する。尭明は、玲琳に自然な色の化粧品を多く用意することを約束し、彼女との絆を深める。

彼は彼女が自分に心を開いてくれることを願い、玲琳は次第に彼に対して自然体で接するようになる。しかし、彼女の素顔に触れたいという自分の願いに対して、尭明は複雑な感情を抱く。彼は玲琳が自分だけのものであることを望みながらも、彼女の弱さを受け入れることに苦悩する。

黄家の女官たちは、回廊を通る度にほうき星に祈りを捧げる。彼女たちは、重病で寝台に臥せる主人、玲琳の回復を願っていた。しかし、筆頭女官の冬雪は、他の女官たちが仕事を休む理由にならないと注意を促す。冬雪は玲琳のために冷たい水を取りに行くように命じた。

冬雪は玲琳の忠実な女官であり、彼女の回復と幸せを心から願っている。冬雪自身も玲琳に対して深い尊敬と愛情を持っており、彼女の病状に一喜一憂する。周囲からは冷静で感情を表に出さない「氷の筆頭女官」と見られがちだが、実際には玲琳のことを深く案じ、彼女の笑顔を見るたびに安堵と感謝の気持ちを抱いている。

一方、冬雪は自身の職務に誇りを持ち、厳格に自己管理を行っている。彼女の心には、玲琳が完全に回復し、元気な姿で儀式に参加できることを願う思いが強い。しかし、現実には玲琳の病状が心配され、彼女の健康が最優先されるべきであると冬雪は理解している。

冬雪の心の内には、玲琳への深い忠誠心と共に、彼女の病弱さに対する不安と心配が絶え間なく存在している。彼女は玲琳が健やかに日々を送れるよう、祈りを捧げ続けることで、その責任と使命を全うしようとしている。

玲琳は朝の陽光の下で化粧を終え、女官の莉莉に呼ばれる。莉莉は玲琳の変わり果てた姿に驚き、玲琳の化粧技術を称賛する。玲琳は褒め言葉に気を良くし、二人は梨園を抜けて雛宮へ向かう。周囲の環境が整備され、道も清掃されていた。空は鮮やかな青さで、彼女たちは雛宮へと進んでいく。玲琳はこの後の出来事に気づかず、上機嫌で歩みを進める。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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