どんな本?
「嘆きの亡霊は引退したい 〜最弱ハンターによる最強パーティ育成術〜」は、槻影 氏による日本のライトノベル。
この作品は、ファンタジーコメディジャンルに属し、なろう系小説として連載されている。
物語は、世界中に存在する宝物殿と、そこに眠る特殊な力を持つ宝具に焦点を当てている。
富、名誉、そして力を求めて、危険を顧みずに宝物殿を探索するトレジャーハンターたちが大暴れする時代を描いており。
主人公のクライ・アンドリヒは、「嘆きの亡霊」のパーティーリーダーとして所属しており、同時に「始まりの足跡」のクランマスターも兼任。
彼はハンターレベル8でありながら、才能もやる気もなく、凡庸な存在。
一方、ティノ・シェイドはソロとして「始まりの足跡」に所属しており、ハンターレベル4に上達しています。彼は「嘆きの亡霊」に入ることを目指しており、クライの後輩として彼を慕い「ますたぁ」と呼ぶ。
この作品は、ライトノベルとして小説家になろうで連載されているほか、GCノベルズ(マイクロマガジン社)からライトノベルとして刊行され。
メディアミックスとして漫画化もされており、2024年にはテレビアニメ化も決定している。
読んだ本のタイトル
嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~ 3巻
著者:槻影 氏
イラスト:チーコ 氏
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あらすじ・内容
その男――稀代の英雄か、 それともただの人か。
10桁以上という巨額の借金の存在が明らかになったクライ。さすがに趣味の宝具購入を控える決意をしたものの、その直後にどうしても欲しい宝具がオークションに出品されることを知ってしまう。宝具を入手するために必死に金策に走るクライだったが、アークを始め皆から断られてしまう。 しかし「あの《千変万化》が欲しがっている宝具」という風評が事態をとんでもない方向へ導いて……!?
嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~ 3
感想
今巻も勘違いが勘違いを呼び、クライを敵視しているハンターは一時的には暴利を貪ったが、後々には不利益を被る。
巨額の借金を背負った主人公、クライの苦悩から始まる。
趣味である宝具の購入を一時休止する決意を固めたものの、クライは欲しい宝具がオークションに出品されることを知り、金策に奔走することになる。
しかしながら、アークをはじめとする周りの人々からの支援を断られてしまうが、シトリーが借金させてくれるとクライに言う。
クライはさらに、シドリーへの借金が膨れ上がってしまう。
シトリー曰く、解決策は結婚しね預金を同じ口座にしたら相殺されるらしい。
一方で、「《千変万化》が欲しがっている」という噂が立ち、事態は予想外の方向へと進んでいく。
クライは、この噂を利用して宝具を手に入れようとするが、彼の計画は周囲の勘違いにより、思わぬ方向へと転がっていく。
魔術師の妹、義妹のルシアはクライの行動を背後で支えつつも、彼の無計画さに頭を悩ませており。
クライの周囲では、宝具を巡る騒動や、地方から来たレベル7のハンターたちとのやりとりが繰り広げられる。
中でも、ある宝具のオークションを巡っては、クライのナチュラルな煽りやシトリーの策略が光る。
クライが「呪いの肉面」という宝具を高額で手に入れようとオークションに入る場面でクライマックスを迎えるが、、
まさかの展開になってしまう。
この宝具を巡る一連の騒動は、クライの運の良さとシトリーの詐欺師としての腕前を示すものとなる。
最終的には、クライの借金問題は解決せずに終わるが、彼の周囲の人々の誤解と勘違いにより、彼の伝説はさらに色濃くなっていく。
本巻では、クライが意図せず周囲を振り回しながらも、彼らに成長の機会を与えている様子が描かれる。
味方はクライの神算鬼謀に慄きながらも崇拝し、敵対者は心折られるか、より敵愾心を募らせる。
最弱のハンターでありながら、最強のパーティを育成していくクライの物語は、笑いあり、時には感動もありの展開で楽しませてくれる。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
プロローグ
探索者協会帝都ゼブルディア支部で開かれた会議では、ノト・コクレアの違法実験に関する報酬と後始末について議論された。参加者は協会の高官、遺物調査院のメンバー、第三騎士団、および多数のハンターだった。会議は主に報奨金の配分と押収物の取り扱いに焦点を当てていた。すでに解決済みの事件の規模が当初の想定を超えていたため、報酬の見直しが必要とされていた。
話し合いの中で、特にシトリーが押収物の一部に興味を示し、それらを買い取ることになる。しかし、クライはその物の実態を理解せず、軽い気持ちで引き受けることになる。この会議の場では、ハンターたちが互いに意見を交わし、最終的に押収品の処理方法が決定された。
会議後、クライは受付の人気者であるクロエ・ヴェルターと会話することになる。クロエはガークさんの姪であり、彼女との交流からクライは自身の知らない情報を得る。その中で、「豪雷破閃」のアーノルド・ヘイルという他国からのハンターが帝都に来たことが話題になる。
クロエ・ヴェルターは、探索者協会の受付として多忙な日々を送っている。トレジャーハンターの世界に深い憧れを抱きながらも、最終的にはハンターとしてではなく、探索者協会の職員としてその世界に関わる道を選んだ。彼女には実力があり、ハンターとしても成功できた可能性が高いが、探索者協会で働くことに大きなやりがいを感じている。
特に、ガーク・ヴェルターの姪として、彼女は受付というポジションで、多くのハンターのサポートをしている。彼女はかつてハンターになる夢を持ち、訓練を重ねていたが、ハンターとしてではなく、探索者協会での役割を選んだ。この選択は簡単なものではなく、彼女自身も少しだけ後悔することがあるが、ハンターの活躍を間近で支えることに大きな満足感を得ている。
《千変万化》のパーティには特に興味を持ち、彼らの活躍を支えたいと考えていたが、リーダーが活動を控えるようになり、期待していたほどの関わりが持てなくなってしまった。しかし、レベル7のハンターであり、「霧の国」ネブラヌベスの英雄、《豪雷破閃》アーノルド・ヘイルの登場で、クロエは新たな刺激と興奮を感じている。アーノルドは彼女にとってまさに英雄のような存在であり、彼とそのパーティ《霧の雷竜》の探索者協会への訪問は、クロエにとって忘れられない経験となった。
トレジャーハンターになって5年以上経った主人公は、地位が高くなるほどトラブルが増え、そのトラブルがさらなるトラブルを引き起こすことを学んだ。特にレベル8のクランマスターとして、多くの困難に直面してきた。最近の会合で、これまでに起こった問題が一段落したと感じているが、副クランマスターやメンバーたちとのやりとりからは、常に新たな課題が生じていることが示されている。シトリーが持ち帰った幼体のマリスイーターは、特別な魔獣であり、シトリーと主人公には危害を加えないよう設定されているが、それ以外には危険性がある。また、シトリーは『異郷への憧憬』の指輪を主人公に贈り、これが二人の間の関係性や相互の信頼を象徴している。主人公はシトリーから多大な支援を受けており、その恩義を感じているが、同時に彼女に大きな借金も抱えていることを示唆している。
第一章
霧の国ネブラヌベスから来たアーノルド・ヘイルと彼のパーティ「霧の雷竜」は、帝都ゼブルディアにおいて受付の女性から十分な敬意を感じられなかったことに苛立ちを覚える。このパーティはアーノルドの勇名に惹かれた八人の男性から成り、彼らは過酷な故郷とは異なり比較的快適な帝都での新生活を始める。彼らは新参者として受け入れられるか、実力で地位を確立するかの選択を迫られ、力ずくで自分たちの存在を帝都に知らしめることを選ぶ。帝都のハンターたちに自らの実力を示し、敬意を得るために、アーノルド達は帝都での活動を開始しようとしている。彼らは帝都の高レベルハンターや多数の宝物殿に興奮し、実力を証明するために盛大に暴れることを計画している。
主人公が宝具のチャージに悩む中、ルシアの代わりにクリュスがチャージを担当することになるが、その過酷な訓練法によりクリュスをはじめとする魔導師たちが限界を迎える。シトリーは、ルシアが同じ訓練を受けて強くなったと主張し、クリュスとラピスは人間に負けじと挑むが、結果的に彼らも過酷な訓練の限界を体験する。エヴァが場を収め、主人公とシトリーはラウンジを追い出されるが、シトリーは全く反省していない。この一連の出来事は、宝具のチャージがいかに大変な作業であるか、また精霊人であっても人間の魔導師には及ばないことを示している。
ロダン家は、ゼブルディアで名高いトレジャーハンターの名門である。その始まりは、異星の神を討滅したソリス・ロダンにまで遡る。ソリスは皇帝からの爵位授与を辞退し、ハンターとしての謙虚さを理由に「勇者」の称号を与えられた。これ以降、ロダン家だけが勇者を名乗ることが許された。アーク・ロダンはその末裔で、若手ながら帝国最強のハンター候補として名が挙がることもある。《聖霊の御子》パーティの一員として、【白亜の花園】攻略の功績を讃えられ、サンドライン侯爵領で開かれた宴に出席した。侯爵からは専属ハンターとしてスカウトされるが、アークは自らの道を歩むことを選び、その提案を断る。サンドライン侯爵はアークに対し、帝国貴族が味方であることを伝え、グラディス卿と会うよう助言する。アークは自由を選び、競争相手として《千変万化》クライ・アンドリヒを認識しているが、クライはアークが想像するような競争心を持たない不思議な存在である。
ゼブルディアの名門ハンター一族、ロダン家の末裔アーク・ロダンが、帝都でハンターとして活躍している。
ソリス・ロダンから続くロダン家の歴史とアークの成長、帝国最強のハンターへの道のりが描かれている。アークは幼少期から一流のハンターとなるための教育を受け、若手ながらその才能を発揮し、帝国内で名を馳せる。アークの先祖ソリスは、異星の神に挑み、それを討滅し『勇者』の称号を得たが、爵位授与を辞退しハンターとしての生き方を選んだ。これ以降、ロダン家だけが勇者を名乗ることが許されている。アークもまた、高レベルの宝物殿を踏破し、若手ながら帝国最強のハンターの候補と目されるようになる。しかし、アークはまだ自らの目指すハンターとしての道を歩み続けており、貴族の専属ハンターとしてスカウトされるも、これを辞退する。アークは、自由を求めてハンターとしての冒険を続ける決意を固めている。
第二章
クロエと名付けられた少年は、《嘆きの亡霊》の一員である若い男と試験のために剣を交えた。男は木剣を使いながらも、クロエの真剣を使った攻撃を打ち負かした。その技術は、様々な剣術流派の技を組み合わせたもので、クロエの持つ一つの流派の技術を超えるものであった。男は自分の方が強い理由を「多様な剣術を学んでいるから」と説明し、真の剣士は武器に依存しないと述べた。この一戦は、クロエにとって自身の技術と努力を否定されるような恐怖と衝撃を与えたが、同時に敗北からも学び取るべきだという男の姿勢から新たな認識を得た。この経験を経て、クロエはハンターとしての道を諦め、《嘆きの亡霊》の活動を受付として見守ることを選択する。一方で、ルーク・サイコルと名乗る男は、自らを《絶対神剣》と称したが、最終的には《千剣》という二つ名が与えられた。
クランマスター室でエヴァからレベル7のアーノルド・ヘイルについての報告を受ける場面である。エヴァによれば、アーノルドは雷竜を討伐して昇格したハンターで、その認定は霧の国『ネブラヌベス』の探索者協会によってなされたという。クランマスターは自身が関わらなかったにも関わらず、有能な事務員たちによって《始まりの足跡》クランが帝都でトップクラスのクランになったことに感謝し、エヴァには引退まで残ってほしいと思っている。
クランマスターは、かつてガークからアーノルドに関する忠告を受けていたことを忘れており、アーノルドの実力が見掛け倒しではなかったことに困惑している。リィズがアーノルドに手を出してしまったことを問題視し、アーノルドが今後どのような行動を取るか懸念している。雷竜の危険性について語りながら、最終的にはリィズに何か起こっても大丈夫だろうと自分に言い聞かせ、ガークに連絡することに決める。
エヴァに対しては、雷竜の話題でお腹が空いたと冗談を言い、平和が一番だと述べる。最後には照り焼きを食べに行くことにし、雷竜ではなく鶏肉であることを冗談交じりに言って、エヴァを安心させる。
ネブラヌベス出身で雷竜を討伐したアーノルド・ヘイル達《霧の雷竜》は、トレジャーハンターとしての成長のために新たな土地へと進出する。しかし、新たな地で不意打ちを受け、アーノルドは意識を失うほどの打撃を受ける。一夜明けて、彼らは再び探索者協会を訪れ、事件の処理を進めようとする。アーノルドたちは自分たちが攻撃を受けたハンターが帝都でも名の知られたハンターであることを知り、そのハンターの飼い主からの謝罪を受け入れる形となる。しかし、アーノルドたちの怒りは収まらず、帝都の支部長であるガークと対面する。ガークは彼らに対して、《千変万化》という名の強力なハンターからの依頼を伝える。依頼内容は、雷竜を捕獲してきてほしいというものだった。この依頼を受け、アーノルドたちは新たな挑戦に向かうことを決意する。
アーノルドたちが去った後、クロエは叔父である支部長ガークに先程の発言が適切だったか尋ねる。ガークはエヴァからの伝言を伝えただけだと答え、アーノルドたちの戦闘能力と威圧感を評価しながら、《千変万化》との衝突について心配する必要はないと述べる。彼は高レベルハンターとの喧嘩は避けるべきだと考えており、トラブルは解決できると自信を持っている。クロエはトレジャーハンターの世界の奥深さを改めて感じる。
《始まりの足跡》のクランハウスの三階には、錬金術師用の研究室がある。この広大な研究室は、クランに唯一の錬金術師であるシトリーの貢献によって整備された。シトリーは魔物の素材を高価で販売し、巨額の富を築いている。彼女の研究室は清潔で整頓されており、研究用の装置や本が整然と配置されている。ある日、クライが訪れると、シトリーは彼からの相談に応じ、ポーションの提供を申し出る。クライは、シトリーに以前の飲み会の代金を返済する。シトリーは、借金を返済するいくつかの冗談めいた提案をするが、クライはそれを受け入れない。最後に、クライは金策のためにエヴァに相談しようと決意する。
帝都の中心部に位置するトレジャーハンター向けの高級宿において、アーノルドは自身のパーティメンバーに向かって、周辺の情報収集を確認する。彼らの目的は、《千変万化》と呼ばれる、特別な能力を持つとされるハンターに関する情報を集めることにあった。このハンターは、冗談めかして雷竜の討伐をアーノルドたちに依頼した人物である。アーノルドたちは雷竜の討伐に成功し、レベル7に認定されていたが、この《千変万化》と名乗る人物からの依頼は軽視できないものであった。
《千変万化》は未来を見通す能力を持ち、レベル8というアーノルドを超える実力を持つハンターとされる。しかし、アーノルドとその仲間たちは、戦闘に関する具体的な情報がないことに疑問を抱く。アーノルドはこの情報不足が、《千変万化》が実は戦闘に特化していない可能性を示唆していると考える。特に、《千変万化》に関する戦闘の噂が全くないことから、彼が非戦闘職である可能性が高いと結論付ける。
アーノルドは自分がこの帝都では挑戦者の立場にあると感じ、《千変万化》に立ち向かう決意を固める。雷竜の討伐以来の挑戦に胸を躍らせ、パーティメンバーもこの決断に熱気を帯びる。《千変万化》が提出した雷竜の納品依頼については、正式な依頼ではないため、アーノルドはそれを無視する方針を決める。彼は、この帝都での存在感を示し、《千変万化》を見くびったことを後悔させることを誓う。
エヴァが、クラン「嘆きの亡霊」のメンバーであるクライの膨大な借金に驚愕する場面から物語は始まる。クライは宝具の購入によって借金が膨らんでしまったが、それを負担していたのは新メンバーのエリザではなく、シトリーだった。エヴァはクライがクランの運営費を使用して宝具を購入していたことに油断していたが、実際はシトリーが穴を埋めていた。クライはシトリーの好意に甘えていることを認め、エヴァとともに借金返済のために節約を決意する。
一方、クランマスターであるクライは、宝具を磨くこと以外には特にすることがなく、宝具図鑑を眺めたり、体操を始めたりと現実逃避を試みる。その後、ティノと出会い、彼女と一緒に甘いものを食べに行く計画を立てるが、彼の借金問題に気づいたティノはそれに反対し、節約を提案する。ティノは、クライが宝物殿で宝具を探し、オークションで売ることを提案するが、クライはその提案に消極的である。
この間、ティノはクライのために借金返済に協力しようとするが、クライは彼女に自分の負担をかけたくないと感じている。クライは自分の無能さや、他人に依存する癖を反省しつつも、借金返済の具体的な解決策を見つけられずにいる。
そんな中、クライとティノはアーノルド・ヘイルとそのパーティメンバーと遭遇する。アーノルドは、以前のトラブルの報復を考えているようだが、クライはティノとのデートを楽しみにしていたため、事態の悪化を避けようとする。クライはアーノルドに謝罪し、事を穏便に済ませようと提案するが、ティノの煽りにより状況はさらに悪化する。クライはティノを守るために、アーノルド達との対決を避けるために逃走を試みる。
アーノルドは、偶然にも人通りの少ない横道でクライ・アンドリヒと遭遇し、彼が戦闘に不向きな様子に疑問を抱く。クライの隙あらば見せる振る舞いに対し、アーノルドは策略を疑うが、クライの意図が掴めず困惑する。クライが提案する広い通りへの場所変更を、アーノルドは有利な状況と捉えるが、その後のクライの挑発によって戦闘意欲を燃やす。クライの伴侶であるティノはアーノルドに立ちはだかり、クライへの忠誠から戦いを志願する。アーノルドとその仲間は、ティノが戦闘に出ることに驚き、クライが彼女の戦いを許可することにさらに驚く。ティノの戦闘への意気込みにもかかわらず、アーノルドたちは彼女の実力を過小評価し、クライの判断に疑問を持つ。
クライ・アンドリヒは、ティノとアーノルド一派の戦いを眺めながら、《始まりの足跡》の仲間を探していた。彼の狙いは、多数の仲間を連れてくることでアーノルドたちに対抗することだった。しかし、戦いが進む中でクライは仲間の助けを待ちながらも、戦いの行方に注意を払い、ティノの勇敢な戦いを見守っていた。アーノルドは、ティノの攻撃をかわし、圧倒的な力で彼女を地面に叩きつけた。クライは最終手段として、妹ルシア・ロジェによって強化された宝具『異郷への憧憬』を使う決断をする。この宝具には重力魔法が封印されており、クライはこれを解放してティノを助け、アーノルドたちを退ける覚悟を決めた。
クライ・アンドリヒは、アーノルド一派に対抗するため、妹ルシアによって開発された非殺傷の重力魔法『暴君の権能』を使用した。この魔法は、敵を無力化することができ、周囲に被害を与えない範囲内で発動する。ティノもこの魔法の影響を受けてしまい、クライは彼女を助け出す。戦いが終わり、クライはアーノルドとその仲間に対して、彼らが彼と戦いたければ、クランを構成する主要なパーティを撃破してくるよう条件を提示する。クライとティノはその場を離れ、ティノはクライに対し、名誉挽回のチャンスを求め、借金返済のために自ら宝具を持ち帰ることを申し出る。ティノの情熱的な要求に対し、クライは彼女の願いを受け入れ、もし成功すればご褒美を与えることを約束する。
リィズは、過去に一人の盗賊が生み出した《絶影》という戦闘技術を駆使して、クランハウスの地下訓練場で黒い金属人形を相手に激しい訓練を行っていた。この技術は、速さを命とし、拳や蹴りを幻影や魔物に対しても有効にするものである。シトリーはリィズの訓練を観察しつつ、データを取っていた。金属人形は『アカシャ』と呼ばれるゴーレムの模倣であり、非常に頑丈である。リィズは人形を繰り返し攻撃し、自らも血を流しながらも訓練を続けた。シトリーはこの訓練が貴重なデータになると考えていた。
リィズの訓練は、ただの人形を相手に素手で勝とうとする行為であり、シトリーは錬金術師として改善を考える必要があった。一方、ティノはアーノルドに立ち向かったが、最終的にはクライが『暴君の権能』という重力魔法で事態を収束させた。リィズはこの出来事に関して、ティノの成長を認めつつも、自分のプライドの問題として、さらに強くなることを望んでいる。
シトリーは、アカシャの再現には現金が不足しており、時間がかかることを示唆している。アカシャは技術的に優れていたが、リィズの訓練には不十分であり、シトリーはより強力な魔法生物の作成を考えている。最終的に、リィズはティノの成長を自分の功績とみなし、信頼とプライドの重要性を強調している。
第三章
ガークの姪であるクロエ・ヴェルターは、明るく美人であり、《嘆きの亡霊》のファンとして訪れた。彼女の来訪は、以前の社交辞令を真に受けたものだった。クロエは《嘆きの亡霊》の強さを尊敬しており、彼女自身もかつてはハンターを目指していたが、現在は探協職員として働いている。彼女はかつて《始まりの足跡》の入団試験に失敗したが、それでも現在の職に充実感を感じている。
クロエが不合格となった理由について彼女は疑問を持ち、クライにその理由を問う。クライは彼女の疑問に対して、クロエ自身がすでに答えを理解しているはずだと述べる。彼はクロエに、現在の彼女ならば間違いなく合格するだろうと伝え、彼女の現在の仕事を大切にするよう助言する。
実際、クロエが不合格になった理由は、試験当時彼女が未成年であったためであり、クライは未成年のソロハンターをクランに入れたくなかったためだ。クライはクロエがハンターを諦めたことを知り、申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、彼女が幸せそうであることに安堵する。
クロエはクライ・アンドリヒに別れを告げた後、彼の言葉の意味を考え続けた。彼女は自己の成長を振り返り、探協職員として過ごした日々を通じて多くのことを学んでいた。彼女はかつての自分が甘かったと認識し、ハンターとしての道を選ばなかったことに対して新たな理解を得た。クロエは、自分が成長したことをクライに認められたと感じ、その事実に満足していた。しかし、アーノルドに伝えたクライの言葉が煽りだと感じ、それを伝える彼女自身もアーノルドの怒りを恐れた。アーノルドに「巨乳好き」というクライの印象を伝えると、その意外な言葉にアーノルドは怒りから一時的に解放され、混乱した表情を見せた。クロエはこの状況に恥ずかしさを感じつつも、伝言を伝えた後、自分の仕事に戻った。
アーノルドはクライ・アンドリヒからの挑発に怒りを感じながらも、冷静に対応を考える。彼はクライの攻撃が異常なほど強力であること、そして魔力が感じられなかったことから、ペンダントが宝具である可能性を疑う。アーノルドは直接戦うリスクを理解しつつも、クライの意図が不可解であることに困惑する。彼の挑発には何かしらの目的があると考えられるが、それが何であるかはわからない。エイは慎重に行動することを提案し、アーノルドはまず《黒金十字》と戦うことを決意する。彼らはクライの策略にはまっているかもしれないが、情報収集と行動を進めることで新たな道を見出そうとする。
レベル6認定のパーティである《黒金十字》とそのリーダー《嵐撃》のスヴェン・アンガーは、クライ・アンドリヒの言葉によって《豪雷破閃》との戦いを期待されていたが、戦意ではなく困惑を示した。スヴェンはクライに騙される形で不本意な状況に巻き込まれたことを明かし、クライの策略について警告する。スヴェンのパーティメンバーも、クライの振る舞いに対して消極的な反応を示した。アーノルドとそのパーティ《豪雷破閃》は、戦闘を期待していたが、《黒金十字》からの戦闘拒否とクライからの離反勧告を受ける。最終的にスヴェンはアーノルド達に飲食を奢ることで話を済ませようとし、アーノルド達はこれを受け入れることにした。
《星の聖雷》の精霊人メンバーはアーノルドの挑戦を受ける意向がなく、彼らがクライ・アンドリヒのクランにいるのは特別な理由があるためであり、恭順の意思はないことを明確にする。パーティリーダーであるラピス・フルゴルと精霊人の少女クリュスは、アーノルドに対し、彼らの挑戦を受けるつもりがないことを強調する。クリュスは、自分が忙しいことを理由に挑戦を拒否し、ラピスも精霊人の誇りを理由に退くわけにはいかないと述べる。
アーノルドとそのパーティ《豪雷破閃》は《星の聖雷》に挑戦を受けてもらうことができず、他の対象パーティも帝都不在であることを知る。結局、《始まりの足跡》のクランハウスに直接乗り込むが、そこではキメラが暴れる混乱が広がっている。
アーノルド達はこの光景を見て、クライとの直接対決を一時忘れ、情報収集と態勢整備に集中することにする。エイの提案により、装備のバージョンアップや資金稼ぎに注力する決意を固める。彼らは戦闘意欲を完全に失い、一時的にクライとの対決を見送り、宿に戻ることにした。
主人公はバイトを探しているところ、友人のリィズが訪ねてくる。リィズは以前、主人公が魔法も身体能力も低いにも関わらず、トレジャーハンターとしての日々を送っていることに触れ、一緒にバイトをすることになる。また、リィズは主人公に対し、ティノのことで何か言うことがあるのではないかと問いかける。主人公はリィズに感謝の気持ちを伝え、リィズは自分の訓練の成果を認めてほしいと望む。リィズが訓練したティノは、戦意に満ちており、主人公はリィズとティノの成長を褒め称える。
その後、主人公はティノが探索した【アレイン円柱遺跡群】から宝具を持ち帰ってくるのを待っていた。ティノが持ち帰った宝具は、見たことのない珍しいものであった。マーチスさん、老舗の宝具専門店の店主によると、その宝具は『高度魔導具文明』の代物であり、非常に稀であるという。主人公はその宝具に強い関心を示し、どうしても手に入れたいと考えるようになる。
グラディス伯爵の娘、エクレール様が訪れ、主人公とアークに厳しい言葉を投げかけるが、主人公は礼儀正しく対応する。エクレール様の訪問が終わると、主人公はアークとそのパーティメンバーに宝具の購入資金を借りようとするが、拒否される。アークのパーティメンバーからは金銭面での協力を得られなかったため、主人公は他の方法を模索することになる。
《千変万化》が金策に奔走しているという情報が帝都全域に広まる。その原因は、希少で高価な宝具を多数コレクションしていることが公然の秘密となっているためだ。特に《嘆きの亡霊》のメンバーが持つ宝具は、《千変万化》のコレクションから分けられた劣化品だという噂がある。借金してまで手に入れようとする宝具は、どのような力を持つのか、効果は不明だが、滅多に現れない希少な宝具であることは間違いない。この噂は、近く開催されるゼブルディア・オークションの話題と結びつき、多くの注目を集めている。
一方で、《霧の雷竜》のアーノルドは、《千変万化》についての情報が不足していることに悩んでいる。彼らの手に入れようとする宝具に興味はあるが、装備の調整などで資金が不足しており、手が出せない状態だ。また、彼らが探索したネブラヌベス付近の宝物殿で見つけた気持ち悪い宝具は、鑑定を拒否されるほどの曰くつきの代物で、価値があるかどうかはまだ不明である。
第四章
《千変万化》のクライが親友のシトリーに再び借金を申し込む。シトリーは現金が足りない状態であるにもかかわらず、クライの申し出に応じることを決める。シトリーが資産を分散管理していること、クライへの好意、及びクライのハンターとしての収入を信じているためである。シトリーは、クライに貸したお金について利子も返済期限も設けておらず、返済を特に急いでいない。クライが欲しいとしている宝具「転換する人面」のために、シトリーは研究を遅らせてでも資金を工面する覚悟を見せる。
その後、クライとシトリーは「転換する人面」の持ち主との交渉のため、帝都で最も有名な酒場「挑戦者の学び場」へ向かう。交渉の場所に到着すると、クライはそこにいるアーノルドとその仲間たちを見て足を止める。アーノルドとの過去の確執にも関わらず、シトリーは積極的に接近し、アーノルドに明るく挨拶する。シトリーの行動にアーノルドは不機嫌ながらも交渉に応じ、席を指し示す。
アーノルドは、交渉相手として予期せぬ《千変万化》とその同伴者、シトリーに遭遇する。《千変万化》は力ない表情をしており、悪い意味で得体の知れない印象を与える。隣のシトリーは静かなエネルギーに満ち、《絶影》に似た容貌だが、その態度は《絶影》と異なり静寂を保つ。《千変万化》がアーノルドに宝具の買取を求める中、アーノルドはこの交渉が普通ではないことを感じ取る。
アーノルドに預けられた宝具は、ネブラヌベスから持ち込まれた珍しい品であり、《千変万化》がこれを欲しがることにより、価値がある可能性が浮上する。しかし、シトリーの言葉により、アーノルドは交渉が単なるジャブであることを察知し、《千変万化》の動揺を感じ取る。
《千変万化》は宝具が「少し危険」であり、法的に使用が制限されていると述べる。アーノルドはこれを嘘と見抜き、《千変万化》の真意を読み解こうとする。最終的に、アーノルドは宝具を一千万ギールで売却することを決断する。この決断は、宝具に関わるリスクを避け、同時に《千変万化》の策略を逆手に取る戦略だった。
しかし、交渉の最中、他のハンターや貴族が介入し、宝具の価格は急速に上昇する。ある少女が一億ギールで宝具の購入を宣言し、酒場は一時のオークション場と化す。この展開はアーノルドにとって予想外であり、《千変万化》の真意が何であるか、さらに混沌とする。
クライは、ゼブルディアオークションで『転換する人面』と呼ばれる宝具を手に入れようとしていたが、グラディス伯爵の息女の乱入により計画が破綻し、一千万ギールでの取引が不可能になった。宝具を巡る騒動は思わぬ方向に発展し、エクレール嬢による最強の宝具との言及が意味不明であった。シトリーはクライのために結婚資金として貯めていた八億ギールを使用しようと提案するが、クライはその大金を受け取ることに躊躇う。エヴァは、クライが金銭管理にだらしなくなる原因をシトリーの態度にあると指摘し、借金の返済とシトリーの結婚資金の返却を固く約束する。最終的にクライは、『転換する人面』を手に入れることよりもシトリーのことを優先し、金銭感覚の問題を反省する。シトリーは宝具を手に入れるために様々な努力をすると強く言い、クライは彼女の暴走を何としても止めようと決意する。
ゼブルディアオークションの開催が近づき、探索者協会はいつも以上に混雑している。ハンターたちは宝具を集めたり、資金を増やすために依頼を探しており、ティノもその中にいた。しかし、ティノはオークションには興味がなく、他のハンターたちと同じように見られることに不満を感じている。そんな中、ルーダ・ルンベックから声をかけられ、ティノは彼女と話す。ルーダが持ってきたゴシップ誌には、ある高名なハンターが宝具を手に入れるために金を集めている記事があり、そのハンターはティノのマスター、クライだと思われる。しかし、ティノはその記事が間違っていると指摘する。クライは宝具入手の目処を立てており、借金の問題もないと説明する。ティノは、周囲がクライのことを心配するのが理解できず、彼の実力を信じている。ルーダはティノの話を聞いて安心するが、ティノ自身はクライのために少しでもお金を作ろうと考えていた。
クランマスター室で、シトリーとエヴァが激しい論争をしている中、クライは外野に置かれている状態である。シトリーはクライのためなら他国に拠点を移すことも厭わないほどの過激な提案をするが、エヴァはそれに対し商会との関係を悪化させるリスクを指摘する。クライは、今まで世話になった商会に圧力をかけることや、不正な手段を用いることに反対している。シトリーは出品者との再交渉や、競合のエクレール嬢をどうにかする方法を提案するが、クライはそれらの提案に否定的である。結局、クライは正々堂々と競売に臨むことを望み、シトリーも資金調達に専念することにする。クライはオークションが無事終わることを祈るのみである。
第五章
『マギズテイル』の宝具店に強盗が入った事件が発生した。犯人はハンター崩れの犯罪者パーティ《シャドウ・リンクス》であり、店には大きな物理的損害があったものの、人的被害はなかった。クライはこの事態を想定していなかったとし、シトリーは事前に対策を講じておけばよかったと反省する。事件は未遂に終わり、犯人は捕縛されていた。店主のマーチスはクライに対し、ティノではなくシトリーを連れて来たことを不満に思いつつも、状況を理解し、働き手としての手伝いを歓迎する。クライとシトリーは店の片付けを手伝う。
クライはマーチスと宝具の話をし、クライが欲しいと思っていた宝具について、マーチスからの能力鑑定は不可能であるという結論を得る。それにもかかわらず、マーチスはクライを含む多くの人々がその宝具に過剰な期待を寄せていることを批判し、最終的にはクライがその宝具を欲しくないと感じていることを明らかにする。
この一連の騒動を受け、クライとシトリーはエクレール嬢に事情を説明するために話し合うことに決める。シトリーはこの際、彼らがどのように誤解されているかをエクレール嬢に理解してもらうための手伝いを申し出る。
エクレール・グラディスは、長く帝都を守ってきたグラディス伯爵家の一員で、帝国では最強の戦力とされるハンターを高く評価している。グラディス家は特に、ロダン家のハンターを尊敬していた。エクレールは一年前にアーク・ロダンと出会い、彼の強さと貴族らしい振る舞いに深い印象を受ける。エクレールはアークが彼女の期待を遥かに超える存在だと感じ、彼との出会いが彼女の中の憧憬を強くした。
クライとシトリーは、ある目的でグラディス家を訪れる。エクレールはアークのライバルと誤解されているクライに対して敵意を見せ、クライはその誤解を解こうとする。しかし、エクレールは彼らがアークに敵対していると誤解し、激しく反発する。
シトリーはエクレールに対して、彼女たちが訪れた真の目的はエクレールに「最強の宝具」の追求を諦めてもらうためであると説明する。シトリーは二億ギールを用意していると宣言し、エクレールにそれ以上の金額を集めることができるか挑む。これにはエクレールも驚き、シトリーの提案に戸惑う。
シトリーとクライは、グラディス家との間で宝具に関する緊張を高める。エクレールは最強の宝具をアークに与えたいという一途な思いを露にするが、シトリーの提案によって彼女の決意が試されることになる。
競売の日が近づくにつれ、『転換する人面』を巡る騒動は収まることがなかった。特に、グラディス家のエクレールがシトリーの挑戦を受けてからは、事態はより混迷を極めた。エクレールは父親に無理を言って資金を調達し、競売に挑む準備をしていた。その一方で、シトリーは結婚資金などを合わせて約九億と一千万ギールを集め、競売での勝利を目指していた。クライはこの競売騒動を楽しむことを決意し、競売終了後にはエクレールも招いてお祝いをすることを計画している。最終的に、彼らはこの競売を戦争ではなく祭りとして捉え、運を天に任せることにした。
グラディス家は領地が広くはないものの、ハンターを凌駕する騎士団が治安を保ち、宝物殿が財政を潤している。二億ギールはグラディス伯爵にとっても大きな金額であるが、エクレールが『転換する人面』を巡る競売で勝つためには必要な金額であった。父、ヴァン・グラディス伯爵はエクレールに、グラディス家の名誉のため、勝利するよう命じた。この命令は、エクレールが競売に勝たなければならない責務を強調している。
また、エクレールは父親から借りた金額をいずれ返す必要があること、行動には責任が伴うことを学ぶ。ヴェルズ商会からの追加融資も含め、最大で十億ギールの資金を用意することが可能であるが、その全額を使用すると返済が困難になることを警告される。
エクレールは、相手が自分に宣戦布告したように感じ、信じがたい情報に動揺する。しかし、戦の場での不意打ちの重要性や競売の情報戦の本質を理解し、父の期待に応えるために全力を尽くすことを決意する。この決意は、エクレールが競売で勝つためには何としても必要な準備と心構えである。
グラディス家は、ハンターを凌駕する評判の騎士団に守られ、宝物殿を頼りに財政を潤している。二億ギールの資金調達は、エクレールにとっても家にとっても大きな負担であるが、グラディス家の名誉と威信を守るためには必要であった。エクレールの父、ヴァン・グラディス伯爵は、エクレールに対して厳しい視線で勝利を命じ、家の名折れを避けるために戦うことを強調した。伯爵はこの金額を貸すだけであり、エクレールがいずれ返す必要があると明言し、グラディス家の血を引く者としての責任を説いた。
エクレールは、ヴェルズ商会から追加の融資を含めて最大で十億ギールの資金を用意できることを知らされる。しかし、競売での敗北を避け、確実な勝利を目指すためには、これ以上の資金調達も必要になる可能性があると説明される。モントールはエクレールに対して、競争相手が上限を正直に言うことはなく、特に《千変万化》とされる相手が策略に長けていること、またシトリー・スマートが優れた錬金術師であることを指摘し、二億ギールを超える資金が必要であることを強調した。これによりエクレールは、事の重大さを改めて認識し、確実な勝利と備えの重要性を認識する。
グラディス家は、騎士団に守られ財政を潤しているものの、二億ギールの金額は大きな負担である。エクレールは、父ヴァン・グラディス伯爵から厳しい言葉を受け、競売で勝利するよう命じられる。伯爵は、この行動には家族としての責任が伴うと強調し、エクレールに資金の返済を求めた。モントールからは、競争相手が上限を正直に言わない可能性やシトリー・スマートが優れた錬金術師であることを聞かされ、更なる資金の必要性を認識する。結局、エクレールは最大で十億ギールの資金を用意できるが、その返済には苦労することになるとの説明を受ける。確実な勝利を目指し、必要な備えをする決意を固める。
主人公は自身をダメ人間だと思っており、これまでに多くの失敗を経験してきた。特にハンターとしての活動中には運の悪さが顕著になり、周囲のサポートによって何とか乗り切ってきた。オークションで望んだ宝具『転換する人面』を落札できなかったことから、主人公は強い落胆と無力感にさいなまれ、自己嫌悪に陥っている。エヴァとシトリーはそれぞれ主人公を支え、慰めようと努めるが、主人公の気持ちは簡単には晴れない。
一方で、シトリーはオークションで手に入れたゴーレムに満足しており、新たな計画に興奮している。しかし、主人公は自分の失敗を挽回する方法を模索しており、『転換する人面』をアーク・ロダンから手に入れることを考える。アークとの交渉を決意し、エヴァにアークを呼び出してもらう。
アークとそのパーティメンバー、リィズも含めて、交渉の場に集まる。アークのパーティメンバーからは主人公に対する好意的でない視線が向けられているが、アーク自身はいつも通り友好的である。主人公はアークに対し、『転換する人面』の話が悪いものではないと伝え、交渉を始める。
グラディス家は、ハンターを凌駕する騎士団により治安が保たれ、財政も豊かであるが、二億ギールという額はエクレールが勝手に扱える金額を超えている。エクレールに対し、父親であるグラディス伯爵は、戦時でもない宝具のために《足跡》と争うのは避けたいが、退けば家の名が汚れるとし、勝利を命じた。モントールはエクレールに、資金の借り入れを約束したと報告し、手元には五億ギール、さらにヴェルズ商会からも五億ギールの融資が可能だと伝える。エクレールは相手が二億ギールで降参すると聞いていたが、モントールは競争相手が本当の上限を言うことはないと説明し、シトリー・スマートが優れた錬金術師であるため、用意できる金額は二億ギールを優に超えていると警告した。確実な勝利と備えの重要性を認識したエクレールは、競売の準備を進めることに決めた。
グラディス家は、ハンターより評判の高い騎士団で治安を保ち、宝物殿により財政を潤しているが、二億ギールはエクレールが自由に扱える額を超えている。グラディス伯爵は、戦時でもない宝具のために《足跡》と争うのは望ましくないが、直接対峙して退くことは家の名誉を汚すこととし、エクレールに勝利を命じた。モントールからは、自宅で使用できる五億ギールとヴェルズ商会からの追加融資五億ギールが可能であることを聞かされる。しかし、《千変万化》とされる男とその仲間の用意できる金額は二億ギールを遥かに超えているという情報を受け、エクレールは混乱する。エクレールは確実な勝利と備えの重要性を認識し、競売に向けて準備を進める決意を固めた。
グラディス家は、治安を騎士団が守り、宝物殿が財政を支えるが、二億ギールは大きな金額である。エクレールがこの額を自由に使えない中、グラディス伯爵は、戦時でもない宝具のために《足跡》と争うことを渋々承諾し、勝利を命じる。モントールからは、自宅での使用可能額として五億ギール、ヴェルズ商会からの追加融資としてさらに五億ギールが可能であると聞かされる。しかし、競争相手である《千変万化》とその仲間が用意できる金額が二億ギールを遥かに超えることを知り、エクレールは衝撃を受ける。結局、確実な勝利と備えの必要性を理解し、競売に臨む準備を進める。
ゼブルディアの貴族であるグラディス家は、ハンターに匹敵する騎士団によって守られ、財政は安定しているが、二億ギールの金額は家でも容易に扱える額ではない。エクレールは、競売で「転換する人面」を手に入れるために、父であるグラディス伯爵から厳しい言葉を受ける。伯爵はエクレールに勝利を命じ、競り勝つための支援を約束する。モントールからは、家で利用可能な資金が約五億ギール、さらにヴェルズ商会からの融資で追加の五億ギールが用意できると伝えられるが、競争相手が想定外の高額を用意していることを知り、ショックを受ける。しかし、エクレールは確実な勝利のための準備として、モントールの助言に従い、精神を奮い立たせる。
ゼブルディアのグラディス家は、治安を保つ騎士団の支援と宝物殿を通じて財政的に安定しているが、二億ギールの大金は容易に扱える額ではない。エクレールが家族に報告した後、グラディス伯爵はエクレールに勝利を命じ、必要な資金の調達を支援する。エクレールは、モントールから家が使用できる資金は五億ギール、ヴェルズ商会からさらに五億ギールの融資を受けられると聞かされる。しかし、競争相手が思っていた以上に資金を用意していると知り、驚愕する。競売の準備として、エクレールは必勝を期して戦略を練ることになる。
帝都の高級宿の酒場で、アーノルド達は二億ギールの大金を得た打ち上げを行っていた。この金額は、彼らにとっても大きなものであった。しかし、その幸運は《千変万化》の策略によってもたらされたもので、彼らは知らぬ間に《千変万化》とその一派に利用されていた。競売で高額で売れた宝具の取引から得た利益について、《千変万化》の一派は彼らに取り分を要求する。アーノルド達が高額で売れたことについては、自分たちの功績だと認識していたが、実際は《千変万化》の策略によるものであった。《千変万化》の一派は、アーノルド達が酒に毒を盛られていることを示唆し、解毒薬として「解毒薬」を一億一千万ギールで売ることを提案する。この状況に置かれたアーノルド達は、仲間の命と大金の間で選択を迫られることになる。
エピローグ
デスクに散らばる真っ白なジグソーパズルの破片に囲まれ、疲労感を感じつつも、エヴァと共に作業に没頭している主人公。ある日、放置してあった千ピースの白いジグソーパズルに挑戦を始めるが、外側を完成させた後は進捗が遅い。暇つぶしとして始めたが、頭を悩ませることとなる。しかし、エヴァの提案でアークが帰ってくる準備として、ハーブティー、チョコレート、ケーキ、シャンパンを用意し、クランマスター室を飾りつける。金策に出ていたリィズたちが帰ってきて、一億一千万ギールを稼いだこと、雷竜の依頼を取り下げ巨鶏の依頼を代わりに行ったことを報告する。
アークが戻ってきた際はボロボロの状態で、原因はエクレール嬢の癇癪によるものであったことが判明。その中で、主人公が求めていた『転換する人面』と似た、しかし異なる仮面を手に入れる。この仮面は自ら喋り、評価を下すが、主人公にはその基準を満たさなかったため、強制解除される。一連の騒動を経て、最終的にはエクレール嬢から仮面を譲り受けるが、その仮面が劣化品であったことに失望する。しかし、主人公は状況を受け入れ、パーティーを楽しむことに切り替え、ケーキを皆で食べることを提案する。
主人公はエヴァの手伝いを受け、自分の隠し部屋に特殊なガラスでできた頑丈な箱を設置する。その箱には、以前、アークが大騒ぎを起こしたという仮面が収められている。この仮面は本来、使用者の力を向上させるが、主人公の潜在能力が低すぎて機能しない。宝具に話しかけると、仮面は「進化する鬼面」と名乗り、自身よりも上位の仮面を探すことを勧める。
エヴァはその仮面が「知識の蔵」であることに気づく。これは希少な宝具の総称で、持ち主にその宝具の起源となる文明の情報を与えるものである。エヴァはその価値に気づき、主人公に売却を勧めるが、主人公はそれを拒否する。主人公はコレクターとして、珍しい宝具をただの金銭的価値で手放すことを好まない。その後、二人はこの秘密を守ることにし、エクレール嬢への機嫌取りにケーキを送ることを決める。
インタールード
探索者協会帝都支部では、オークション後の静けさが広がっていた。クロエは仕事を終え、他の職員と話をしていると、グラディス伯爵の邸宅で起きた事件について聞かされる。その時、ガーク支部長から特定のハンターを指名する指名依頼について説明され、この依頼がグラディス伯からであることを知る。グラディス領はバレル大盗賊団によって荒らされており、最強の騎士団でも対処できていなかった。ガークはクロエに、この重要な依頼にクライと共に行き、サポートするよう命じる。この仕事がクロエにとっては新たな経験となる。
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