どんな本?
『銀魂 3年Z組銀八先生』は、空知英秋原作の漫画『銀魂』のスピンオフ小説である。本作は学園コメディのジャンルに属し、銀魂高校3年Z組を舞台に、教師と生徒たちの日常を描く。主人公の坂田銀八は、だらしなく白衣を着こなし、死んだ魚のような目をした高校教師である。彼のクラスには、個性豊かな生徒たちが集まり、教室はまるで恐怖のアミューズメントパークのような状態となっている。
主要キャラクター
- 坂田 銀八:3年Z組の担任教師。だらしない性格と風貌で、生徒たちからの信頼は低い。
- 志村 新八:真面目で眼鏡がトレードマークの生徒。ツッコミ役としてクラスをまとめる。
- 神楽:天真爛漫で大食いの少女。銀八や新八と行動を共にすることが多い。
- 土方 十四郎:厳格な性格の生徒。銀八とは対立することが多い。
- 沖田 総悟:サディスティックな性格の生徒。土方をからかうのが趣味。
物語の特徴
本作の魅力は、原作『銀魂』のキャラクターたちが学園生活を送るという独特の設定にある。教師と生徒という関係性の中で、原作では見られない新たな一面や人間関係が描かれている。また、ギャグやパロディ要素が豊富で、読者を笑わせる場面が多い。さらに、シリアスな展開や感動的なエピソードも盛り込まれており、読者の心を揺さぶる作品となっている。
出版情報
- 出版社:集英社
- 発売日:2006年2月3日
- 著者:大崎知仁
- 原作:空知英秋
- ISBN:4-08-703164-0
- ページ数:244ページ
- 判型:新書判
読んだ本のタイトル
銀魂 3年Z組銀八先生
著者:大崎知仁 氏
原作:空知英秋 氏
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あらすじ・内容
ファン必見! 「銀魂」の小説化!
『銀魂』が番外編『3年Z組銀八先生』として小説化。原作・空知先生のオリジナルイラスト満載で、銀魂キャラが学園生活を繰り広げる!
感想
破天荒な学園生活とZ組の個性
本作は、銀魂の世界を学園ものとして描いた作品である。銀魂高校3年Z組の担任、坂田銀八のもとで繰り広げられる日常は、常識から大きく逸脱していた。クラスメイトは個性派揃いで、神楽は昼食を巡る攻防戦を繰り広げ、風紀委員の土方と沖田は「マヨネーズご飯」で口論する。さらに、近藤は妙への執拗な求愛を続け、桂はエリザベスの似顔絵に没頭していた。そんな騒がしいクラスを、銀八が独自の方法でまとめ上げていくのが本作の魅力である。
試験、野球、文化祭――カオスな事件の連続
物語では、銀魂高校のZ組が直面する試練が次々と描かれる。まず、ハタ校長による策略で、全員が試験で80点以上を取る必要に迫られる。しかし、生徒たちは予想外の難問に苦しみ、補習と銀八の給料カットが決定した。さらに、夜の校舎では七不思議を調査し、恐怖の正体を暴くことに。ところが、怪奇現象の真相はどれも馬鹿馬鹿しいもので、ラップ音の正体が近藤の変態行動だったことには笑わずにはいられなかった。
その後、Z組は野球の試合に駆り出される。試合前の無茶な練習、妙の料理による食中毒、土方のマヨネーズ投球といったハプニングが続くが、最終的に茂野が覚醒し、チームを救った。そして、文化祭では、過去の失恋を理由に文化祭を潰そうとする男が現れ、銀八が見事に撃退した。この場面での銀八の行動にはやや違和感を覚えたが、最後はしっかりと締めくくっていた。
銀魂らしさと魅力的なキャラクターたち
本作の最大の魅力は、やはり「銀魂らしさ」にある。くだらなくも痛快な展開、絶妙なボケとツッコミ、そして最後には格好良く締める銀八の姿が印象的であった。特に、土方の「マヨボール」には大笑いし、服部全蔵の怪奇現象のくだりも腹筋崩壊ものだった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
第一講
一〇〇点取らなくていい七〇点でいいって塾の先生言うよね
銀魂高校の風変わりな日常
騒がしいZ組の日常
銀魂高校の3年Z組は、他のクラスとは異なる独特の雰囲気を持っていた。教室には「糖分」と書かれた額が掲げられ、担任教師の趣向が色濃く反映されていた。志村新八は、このクラスで数少ない常識人として、日々騒がしいクラスメイトたちに振り回されていた。
個性豊かなクラスメイトたち
留学生の神楽は早弁をしていたが、クラスメイトにタコ様ウィンナーを奪われ激怒した。彼女の隣ではキャサリンが独自の格言を持ち出し、さらに騒ぎを大きくしていた。一方、風紀委員の沖田総悟と土方十四郎は、「マヨネご飯」について無意味な言い争いを繰り広げ、土方は沖田に対する怒りを募らせていた。
近藤勲と志村妙の騒動
風紀委員長の近藤勲は、志村妙に朝からしつこく迫っていた。しかし、妙は冷静に受け流し、最終的にはファッション雑誌の角を使って近藤を撃退した。この二人のやりとりは日常茶飯事であり、クラスメイトたちも特に驚くことはなかった。
桂小太郎と長谷川泰三の静かな時間
桂小太郎は、自身のペット「エリザベス」をリアルに描いていた。彼の独特な趣味に対し、新八はコメントすることすらためらっていた。一方、長谷川泰三はアルバイト情報誌を真剣に読み、現実的な問題に直面していた。
朝の混乱と坂田銀八の登場
神楽とキャサリンの騒動は収まるどころか激化し、桂が巻き込まれる形で被害を受けた。同時に妙と近藤の戦いも続き、教室内は混乱に陥っていた。その最中、担任教師・坂田銀八が登場し、クラスの騒ぎを一蹴した。彼の存在だけで、クラスメイトたちは一応の秩序を取り戻した。
新たなルールと生徒たちの反応
銀八は朝の号令を「起立」「気をつけ」「礼」「銀魂」に変更しようとしたが、桂からの質問が飛び、結局すぐに元に戻された。そして、生徒たちに対し「休み明けテストで八十点以上を取らなければ、再来週以降の授業を全てマラソンにする」と一方的に宣言した。クラスは騒然となったが、銀八は説明もそこそこに教室を去ろうとした。
校長室での会談
銀八がこの決定を下した背景には、校長との会談があった。校長のハタは、Z組の成績が低すぎることを問題視し、休み明けテストでの最低ラインを設定した。もし達成できなければ、生徒たちは補習、そして銀八の給料は20%カットされるという厳しい条件が課された。銀八は反発しながらも交渉し、結果として補習を平日の放課後にも拡大する代わりに、給料カットを10%に抑えることで合意した。
生徒たちの反発
銀八が校長と交わした約束を発表すると、教室内は一気に騒然となった。生徒たちは補習の拡大に抗議し、自分たちの都合を主張し始めた。土方は銀八が自身のペナルティを軽くしたことを指摘し、神楽や桂もそれぞれの視点で不満を述べた。生徒たちの怒りはエスカレートし、ついには銀八へのブーイングが教室中に響き渡った。
銀八の説得
銀八は、田舎のヤンキーのような首の角度で睨みをきかせ、威圧した。すると、騒ぎは一時的に沈静化した。彼は改めて状況を説明し、自分がとばっちりを受けている立場であることを強調した。しかし、新八は交渉の余地があるのではないかと提案し、せめて補習の負担を軽減できないかと訴えた。
銀八の決意
新八の提案を聞いた銀八は、それを一蹴した。彼は生徒たちに対して「全科目ではなく、一科目で八十点を取るだけでいい」と発破をかけた。だが、生徒たちは「無理」「できない」と即座に否定した。それに対し、銀八は「お前たちは腐ったミカンではない」と励ましたが、途中で言い間違え、逆にクラス全体から総ツッコミを受けることになった。最終的に彼は「帰りのホームルームで緊急のテスト対策会議を開く」と宣言し、教室を後にした。
校長の思惑
一方、校長室ではハタ校長が監視カメラを通してZ組の様子を見守っていた。彼は生徒たちの反発する様子を満足げに眺め、自らの計画が順調に進行していることを確信していた。今回の試験対策の目的は、Z組の学力向上ではなく、銀八を貶めることにあった。校長は、銀八が生徒たちの信頼を得ていることを快く思っておらず、その評価を地に落とすためにこの策略を実行したのだった。
テストの結果と補習の決定
テスト本番を迎えたが、Z組の生徒たちは予想以上に難しい問題に直面した。ワークブックの応用問題を丸暗記したにも関わらず、出題内容は全く異なっていた。結果として、誰一人として八十点を超えることはできず、補習が決定した。さらに、銀八の給料カットも確定した。
銀八の疑念と校長の悪巧み
銀八は、この異常な難易度の問題が校長の指示によるものではないかと疑いを持った。そして、校長を問い詰める中で、黒板の裏に隠されていた監視カメラを発見した。
理事長の登場と校長の敗北
そこへ、銀魂高校の理事長・寺田綾乃が現れた。彼女は校長が英語教師に指示を出した証拠の録音テープを持っており、校長を追い詰めた。結果として、Z組の補習と銀八の給料カットは撤回され、校長の企みは完全に崩れ去った。
銀八の皮肉と校長への最後の一言
翌日、銀八は校長室を訪れた。校長は再び追及されるのかと警戒したが、銀八は意外なことを尋ねた。「監視カメラって、女子の着替えとか映ってるんすか?」 その発言を聞いた教頭は、呆れた声で「やっぱ、あんた、教師失格かもね」と呟いた。
第二講
人をこわがらせるのも一つの技術である
夜の銀魂高校と七不思議
夜の学校の恐怖
新八は夜の銀魂高校の正門前に立っていた。午後十時、静寂に包まれた校舎は闇に沈み、満月が異様な雰囲気を演出していた。彼は忘れ物を取りに行く必要があったが、夜の学校の不気味さに足がすくんでいた。それでも意を決し、校門に手をかけた瞬間、背後から突然声をかけられ、驚きのあまり地面に尻餅をついた。声の主は神楽であった。
神楽との遭遇
新八は神楽に驚かされたことを抗議したが、彼女は悪びれる様子もなく「不法侵入アル」と指摘した。新八は忘れ物を取りに来ただけだと説明すると、神楽もまた忘れ物があると言い出した。二人で行けば恐怖も和らぐと考え、新八は一緒に行くことを提案したが、神楽は疑いの目を向け、「夜の体育倉庫に連れ込む気か」と誤解した。新八が説得を続けた結果、神楽は渋々同意し、二人は校門を越えることになった。しかし、その瞬間、再び鋭い声が響き、二人は地面に落下した。
坂田銀八の登場
声の主は銀八であった。彼は「夜の学校で不純異性交遊か」と揶揄し、新八と神楽の反論を軽く受け流した。新八が忘れ物の話をすると、銀八も同じく忘れ物を取りに来たことを明かした。彼が職員室に置き忘れたのは「ジャンプ」であり、二冊も買うのは馬鹿らしいと主張した。新八はCD、神楽は美術室に置き忘れた酢こんぶを回収する予定であった。三人は一緒に忘れ物を取りに行くことになり、夜の校舎へと足を踏み入れた。
職員室の怪奇現象
職員室に向かう途中、新八は銀魂高校に伝わる「七不思議」の話を持ち出した。銀八は興味を示さなかったが、新八が「職員室で夜な夜なむせび泣く声が聞こえる」と説明した途端、銀八の表情が強張った。彼は七不思議など信じないと否定したが、その瞬間、本当にむせび泣く声が聞こえた。三人は恐怖に震えながらも、職員室の扉を開けた。
そこにいたのは、座薬を手に涙を浮かべる服部全蔵であった。彼は痔に苦しんでおり、誰にも知られず座薬を挿入しようとしていたのだった。驚きと怒りに包まれた三人は、服部を徹底的に蹴り飛ばし、七不思議の一つを暴いたのだった。
Z組の教室とラップ音の正体
次に向かったのは新八のCDがあるZ組の教室であった。途中、新八は「教室で聞こえるラップ音」という七不思議を話し始めた。銀八は「ただの物音だろう」と一蹴したが、その直後、ガタガタと音が響いた。教室の扉を開けると、そこには妙の椅子に頬ずりする近藤勲がいた。彼の頬が椅子を擦る音こそがラップ音の正体であった。
銀八は呆れた様子で近藤を問い詰め、近藤は「材質チェックをしていた」と苦しい言い訳をした。銀八は「ならば頭でチェックしろ」と椅子で近藤の頭を殴り、新八と神楽もストンピング攻撃を加えた。これでまた一つ、七不思議が解明された。
七不思議の連続解明
その後も三人は次々と七不思議の正体を暴いていった。
• 音楽室の怪奇現象 は、桂とエリザベスが深夜にピアノを連弾していただけであった。
• 家庭科室の黒魔術師 は、土方が新しいマヨネーズの配合を研究していただけであった。
• 体育館の殺人鬼 は、山崎退がバドミントンの素振りをしていただけであった。
• 飼育小屋の巨大生物 は、夜な夜なウサギの世話をしていたヘドロであった。
どれもこれも、怪奇現象とは程遠いオチばかりであった。
屋上の亡霊との遭遇
最後に残った七不思議は「屋上に現れる自殺した男子生徒の亡霊」だった。三人が屋上へ向かうと、本当に一人の男子生徒が立っていた。しかし、彼は亡霊ではなく、本当に飛び降りようとしている生徒だった。
銀八は「飛び降りても下にはクッションがある」と適当なことを言い、少年がそれを確認しようと後ろを振り向いた瞬間、素早く駆け寄って引き倒した。少年は涙を流しながら「死ぬ勇気がなかった」と打ち明けた。銀八は「ジャンプを読めるうちは死なない方がいい」と少年に雑誌を渡し、彼を救った。
銀八の皮肉と帰路
全ての七不思議を解明し、三人は学校を後にした。歩きながら新八が銀八に「これからどうするのか」と尋ねると、銀八は「コンビニでジャンプを買う」と答えた。新八が「結局二冊買うことになりましたね」と笑うと、銀八は「うるせーバカ」と返し、夜の街へと歩いていった。
第三講
野球するならこういう具合にしてはいけません
病室での交渉と野球部の危機
病室の個室で、松平片栗虎はベッドに横たわっていた。銀魂高校の体育教師であり、野球部の監督でもある彼は、病状により試合の指揮を執ることができなかった。彼の傍らにいたのは、坂田銀八。白衣を着ているが医者ではなく、煙草をくわえたままのいい加減な男である。
松平は銀八に試合の助っ人を依頼した。銀魂高校の野球部は、志村妙の差し入れによる食中毒で主力が全滅しており、試合の日程も変更できない。代わりにZ組の生徒が出場するしかないという状況だった。銀八は最初こそ渋ったが、松平の圧力には逆らえなかった。
Z組の反応と混乱
翌日、銀八は朝のホームルームでZ組の生徒たちに突然野球部の助っ人を命じた。驚いた新八は説明を求めるが、銀八は適当に流す。神楽は無関係な話を挟み、桂は苦情を言うものの、銀八は一切取り合わなかった。結果、Z組の少数メンバーが強制的に野球部に参加させられることとなった。
無茶苦茶な練習
グラウンドに集められたZ組の面々は、銀八の指導のもとで無茶な練習を強いられた。ノックでは二球同時に打ち出され、ピッチングマシーンの速球を避けることなく打たされ、果ては食べ物までバットで打たれる始末であった。キャサリンの野次は的確ではあるものの無意味な罵倒に近く、桂は「ヅラを取れ」と理不尽にいじられる。新八はこの状況を嘆きながらも、何とか練習に食らいついた。
野球部の実力とスランプの投手
銀魂高校野球部の生き残りの一人、茂野は、かつてエース候補とされた選手だった。しかし、昨年の試合での炎上以来スランプに陥り、野球を辞めることすら考えていた。チームに対する関心も薄れていたが、Z組の無茶苦茶な練習を見ながら、複雑な心境を抱いていた。
練習試合の開始
試合当日、銀魂高校と集英高校が対戦した。銀魂高校の先発投手は土方で、彼の投球は意外にも相手打者を苦しめた。しかし、問題は彼の投げるボールがマヨネーズでヌルヌルしていたことであり、これが発覚し禁止される。普通の投球では対応できず、銀魂高校は四点を先制される。
Z組の奮闘と反撃
銀魂高校は予想外に粘り強い試合を展開した。沖田の守備、近藤のフェンス際のキャッチ、桂の強肩などが功を奏し、攻撃ではヘドロの豪打が炸裂した。神楽のセーフティバントや妙の奇襲も功を奏し、試合は次第に互角の展開となる。
最後の投手交代と茂野の決断
九回表、土方の肩が限界を迎え、銀八は茂野をマウンドに送ることを決めた。茂野はスランプへの不安から一度は拒否しようとするが、松平監督からのメールを読んだことで気持ちを奮い立たせる。「気楽に投げてみろや」の言葉が彼の心を軽くし、マウンドに立つ決意を固めた。
試合の結末
茂野は不安を抱えながらも、なんとか最後のアウトを取り、試合を無失点で切り抜ける。しかし、九回裏の攻撃で新八がダブルプレーに倒れ、試合は引き分けに終わった。ベンチに戻った新八は誰からも声をかけられず、静かな絶望を味わう。
試合後とその後の展開
試合後、松平は銀八に結果を報告させ、Z組の奮闘を評価した。しかし、賭けに負けた銀八は松平への借金を返済せざるを得なくなった。二か月後、茂野はスランプを脱し、練習試合で先発完投勝利を果たす。彼の中で野球への情熱が再び燃え上がった瞬間であった。
第四講
文化祭なんてつまんねえって言ってるくせに、ほんとはお前楽しんでるだろ?
銀魂高校文化祭の開幕
晴天の下、銀魂高校の文化祭が始まった。正門脇にはシンプルな立て看板が設置され、生徒たちと来場者が賑わいを見せる。手作りの装飾が微笑ましい雰囲気を醸し出し、文化祭らしい光景が広がっていた。しかし、その賑わいの中、正門の傍らで不審な男が立ち尽くし、静かに呟いた。「……ぶっつぶしてやるぜ」。
校長と教頭の巡回
文化祭の様子を見回るハタ校長と教頭。校内は生徒たちの熱気で溢れ、展示や模擬店が活気を帯びていた。3年生の展示を順番に見学する二人だったが、校長の毒舌が止まらず、教頭の叱責を受ける場面も多かった。特に、割り箸で作られた東京タワーの展示に対して「燃やしたい」と無神経な発言をしたことで、教頭が激怒。東京タワーを蹴り倒してしまい、涙を流す生徒たちを残して立ち去った。
映画研究会と銀八
視聴覚教室では映画研究会が自主制作の作品を上映していたが、銀八が「つまらない」とぼやき続け、観客が次第に減っていく。映画研究会の生徒が静かに観るよう注意するも、銀八は全く意に介さず、自由気ままな態度を貫いた。その後、校長と教頭が現れ、銀八のクラス展示が「ゴミ同然」だったことを伝えるが、銀八は「自主性を重んじた結果」と開き直る。
模擬店と神楽の暴食
グラウンドの模擬店エリアでは、長谷川が関西風お好み焼きを焼き続けていた。順調に売り上げを伸ばしていたが、神楽が現れ、食い逃げを試みる。最終的には定春まで加勢し、屋台の食材を勝手に食べ尽くしてしまう。長谷川は必死に止めようとするが、結局、神楽と定春の勢いには敵わず、彼の屋台は壊滅状態に陥った。
風紀委員と事件の発生
文化祭の秩序を守るため、風紀委員たちは校内を巡回していた。しかし、次々と異変が報告される。生徒の制服に赤インクがかけられ、刃物で切り裂かれる被害が発生。さらに、財布の盗難が相次ぎ、トイレには流されていない汚物が放置されるという悪質な嫌がらせも確認された。風紀委員会は犯人を特定しようと動くが、被害は増える一方だった。
ライブの妨害と犯人の正体
寺門通のライブが始まる直前、突如として機材の電源が落ち、消火器を持った男がステージに乱入。バンドメンバーに消火剤を浴びせ、お通だけを人質に取った。男の目的は「文化祭の廃止」。理事長に文化祭をやめるよう強要し、抵抗すればお通の顔に塩酸をかけると脅した。男の正体は銀魂高校の卒業生で、過去の文化祭で三度も失恋したことを根に持ち、文化祭そのものを破壊しようとしていた。
銀八の介入と決着
騒動を見ていた銀八は、ステージ前に進み出た。犯人と対峙しながら、「文化祭はどうでもいいが、自分のクラスのゲストを危険に晒されるのは困る」と述べる。そして、男の動揺を誘い、高速でサンダルを投げつけて顔面に命中させる。その隙にお通が肘打ちを決め、銀八は男に強烈な拳を叩き込んで完全に沈めた。男は「俺は童貞とは言ってねえ……」と呟きながら倒れ込んだ。
事件後の文化祭
文化祭の破壊を企てた男は警察に引き渡され、ライブは一時間後に再開されることとなった。新八は銀八に感謝の言葉を伝えるが、銀八は「来年の文化祭は絶対休む」と宣言。それでも、新八は心の中で思った。「もしまたなにか起こったら……そのときは、また銀さんを呼びに行こう」。銀八は白衣を翻し、校舎の中へと戻っていった。
同シリーズ


その他フィクション

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