小説「黄金の経験値 特定災害生物「魔王」降臨タイムアタック」感想・ネタバレ

小説「黄金の経験値 特定災害生物「魔王」降臨タイムアタック」感想・ネタバレ

どんな本?

「黄金の経験値」は、原純 氏によるVRMMO(仮想現実のオンラインゲーム)を題材にした小説。
主人公レアは、隠しスキル「使役」を手に入れる。
このスキルは、眷属化したキャラの獲得経験値を自分に集約するという、非常に強力なもので、レイドボス級のモンスターさえ多彩な精神魔法で屈服させ、次々と眷属を増やしていくストーリー。
また、この作品はカクヨムコンテストで特別賞を受賞し、カドカワBOOKSから書籍化されている。

読んだ本のタイトル

黄金の経験値 特定災害生物「魔王」降臨タイムアタック
著者:原純 氏
イラスト:fixro2n  氏

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あらすじ・内容

最強の眷属たち――その経験値を一人に集めたら、史上最速で魔王が爆誕!?
精神力のステータスを育てた主人公レアが手に入れたのは、隠しスキル『使役』。それは、眷属化したキャラの獲得経験値を自分に集約するという、とんでもないスキルだった。

レイドボス級のモンスターさえ多彩な精神魔法で屈服させ、次々眷属を増やしたレアは、増え続ける経験値で自身と配下を強化!

自分だけの最強軍団を構築し、ついにはこの世界における「特定災害生物」に判定されてしまい……?

せっかく魔王になったことだし滅ぼしてみますか、人類を!

黄金の経験値 特定災害生物「魔王」降臨タイムアタック

プロローグ

その日、大陸全体に衝撃が走った。特にヒルス王国は震源地に近いため大きな動揺があった。夜、白く輝く少女が草原に現れ、「フレイムデトネーション」という強力な火魔法を発動させた。一方、傭兵ジムは異常を感じ、逃げ出し街に辿り着いたが重度の火傷を負っていた。翌日、診療所で目覚めたジムは、草原での出来事を衛兵に語り、その地は一夜にして焦土と化していた。ヒルス王国は新たな脅威の討伐を決定した。

第一章 レア

新暦一二年、VR技術が普及している中で「Boot hour, shoot curse」という新しいMMORPGが発表された。このゲームではレベルが存在せず、経験値を消費してキャラクターを強化するシステムが採用されている。主人公レアはアルビニズムの特性を持つエルフとして登場し、魔物の領域でゲームを開始した。彼女は他のプレイヤーやNPCとの遭遇を避けつつ、戦略を立てながら生き延びる方法を探っていた。

第二章 アリと狼

レアは彼女の眷属たちとともに洞窟の外で探索を開始する。彼らは洗浄して見た目を整え、森の中を進む。やがて、狼と猪が戦っている場所を発見し、レアは狼を眷属に変える。新たに眷属となった狼を観察し、そのスキルと特性を調査する過程で、レアは更なる眷属を得る計画を立てる。

第三章 眷属強化

リアルの雑事を済ませた後、レアはゲームに再ログインし、眷属たちの活動を確認する。彼女はケリーに狩りを依頼し、レミーには革細工のスキルを与える。これにより、レアは眷属たちに更に魔法のスキルを与えることを決め、その活動がゲームの仕様として正規の遊び方に含まれることを理解する。

第四章 正式サービス開始

正式サービスの開始と共に、レアはウェインという他のプレイヤーと出会い、互いに協力を約束する。レアはウェインと共に森を探索し、アリとの戦闘を経験する。この過程でレアは自身の眷属たちと共に経験値を共有し、彼らの能力値を向上させる。

第五章 バトルロイヤル

大規模なバトルロイヤルイベントに参加することを決めたレアは、経験値を多量に振り分け、錬金スキルを開発する。このスキルを活用し、リビングウェポンを作り出す。イベント当日、レアは黒い鎧を着用し、リビングウェポンの剣を携えて戦場に臨む。彼女は自身の装備とスキルの有効性を再確認しながら、他のプレイヤーを圧倒する。

第六章 リーベ大森林グランドオープン

メンテナンス後、レアはウェインとの接触を計画し、彼を大森林に誘い込む。ケリーの身体を借りてウェインに接触したレアは、彼に自身の正体と過去の行動について説明する。その後、レアはウェインをキルし、その場を去る。この出来事を通じて、レアは自身のスキルや計画をさらに進める意向を示す。

第七章 世界樹とハイ・エルフ

マリオンからの連絡を受け、レアはディアスと共に隣の魔物の領域に進出する。彼らは森を制圧し、その過程でアンデッドと戦闘を繰り広げる。最終的に、レアは世界樹に転生し、ハイ・エルフになる機会を得る。この新たな環境と役割は、レアと彼女の眷属たちに新たな章の始まりを告げる。

第八章 魔王降臨

レアは「賢者の石」の製造を試み、その過程で魔王としての転生を選択する。彼女の転生は成功し、全身に強大な力が満ちる。この新たな姿には、角や翼が現れ、精神攻撃への強い抵抗力と飛行能力が付与される。レアはこれから魔王としての力をチェックし、彼女の勢力を強化する計画を進める。

エピローグ

ダグラス・オコーネル侯爵は、国内の辺境都市に魔物が侵攻していることを知り、討伐軍を出す。しかし、既にエアファーレンとルルドという都市が陥落しており、彼は次の行動計画を検討しながら、駐屯地の確保や再度の戦略を練る。

感想

この作品は、VR技術が社会に浸透している未来を舞台に、新たなMMORPG「Boot hour, shoot curse」の世界で繰り広げられる。
主人公のレアは、VRゲーム内で偶然手に入れた特殊スキル「使役」によって、眷属化したキャラクターの経験値を自分に集約できるという能力を得る。
これにより、彼女はNPCや他のプレイヤーを圧倒し、次々と強力な眷属を作り上げる。

物語の進行とともに、レアはただのプレイヤーから「特定災害生物」として認識されるようになり、彼女の存在はゲームの世界において大きな脅威となる。
レアの行動は、徐々に他のプレイヤーに影響を与え、彼女の周りではゲームのルールや世界観が変わり始める。

読者としては、レアがどのようにして眷属を増やし、どのようにして他の強敵を手なずけるのか、その戦略やテクニックに興味を引かれる。
また、VRMMOを舞台にしたストーリーは、現実世界との境界が曖昧になる部分も魅力の一つである。
レアが最終的にどれだけの力を手に入れるのか、その行く末が気になるポイントだ。

ただし、物語において敵となるキャラクターがレアの力の前になすすべなく倒されていく様子は、ある意味で物足りなさを感じさせる。
彼女に対する真の敵が現れ、その対峙が見られたら、もっとドラマティックで面白い展開になったかもしれない。

全体として、「黄金の経験値 特定災害生物「魔王」降臨タイムアタック」は、VRMMOがもたらす無限の可能性と、そこでの人間関係や倫理について考えさせられる作品である。
ゲームの世界で何が許されるのか、その境界線はどこにあるのか、読む人によって感じ方が変わるだろう。
この本は、ただのエンターテイメントとして楽しむだけでなく、現実と仮想の境界について考える契機を提供してくれる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

その日、大陸に衝撃が走った。
最初の動揺は聖教会の大聖堂から始まり、国の王たちの城へと伝わった。
特にヒルス王国では、震源地であることから動揺が大きかった。

夜、白く光を反射するシルエットが草原に現れた。
これはアルビニズムの影響で日光に弱い少女で、金色の角と白い翼を持っていた。
彼女は「フレイムデトネーション」という強力な火魔法を発動させた。

一方、エアファーレンの傭兵ジムは、新しく安価な魔法薬屋のおかげで夜間も狩りを続けていた。
しかし、異常な気配を感じ取り、街に向かって逃げ始めた。草原が突然明るくなり、彼は全身に燃えるような熱を感じた。
街に辿り着いた彼は、衛兵たちによって助けられたが、背中には重度の火傷を負っていた。

翌日、ジムは診療所で目を覚まし、火傷の治療を受けた。
衛兵たちはジムから草原で何が起こったのか詳細を聞こうとした。草原は一夜にして焦土と化していた。ヒルス王国上層部は、新たな脅威が誕生したことを知り、その討伐を決定した。

第一章  レア

新暦一二年、VR技術があらゆる社会分野で活用されており、生活に不可欠な存在となっていた。
新たなMMORPG「Boot hour, shoot curse」が発表され、高い期待を集めていた。このゲームはクローズドテストを経て、オープンβテストが大々的に告知された。
オープンβは形式上のテストであり、多くのバグは既に解消されており、アーリーアクセスの意味合いが強かった。

このゲームではレベルの概念がなく、経験値を消費してキャラクターを強化するシステムが採用されている。
プレイヤーは初めに100ポイントの経験値を与えられ、種族選択やスキル取得にそれを使用する。
特定の特性も設定でき、それによって消費や還元される経験値が変わる。

キャラクター「レア」は、特性「アルビニズム」を取得しており、日光に弱いが、そのデメリットは夜間活動を中心にすることでカバーされる。
彼女はエルフとして初期位置を選び、魔物の領域でゲームを開始する。
この設定は、彼女の特性を活かすためであり、他のプレイヤーやNPCとの遭遇を避けながら、ゲームの世界で生き延びるための戦略を立てていた。

ケリーと彼女の仲間たちは、かつて猫獣人たちが暮らす集落の子どもたちであったが、集落が立ち行かなくなり、売られそうになったところを逃げ出し、生き延びるために隣の集落から食料を盗み、時には戦いも繰り返しながら生き抜いていた。
彼らは身の危険を感じつつも、力を蓄えながら国を縦断し、偶然見つけた洞窟で拠点を設けることに決めた。
しかし、ある日、マリオンがトイレに行って帰らないことに気づいたケリーは彼女を探しに行くが、意識を失ってしまう。

その場でケリーたちはレアによって無力化された。
レアはゲームのチュートリアルで学んだことを活かし、彼らの命を奪うことなく戦いを制し、大量の経験値を得た。
彼女はまた、ゲームのリアリティを追求するシステムに適応しながら、状況を見極めて行動していた。
ポーションを知らないケリーたちの反応から、彼らがただの盗賊ではない可能性を考えるようになり、経緯を尋ねるために会話を試みた。

レアは、新たなアプローチとして使役のイメージからスキルを取得しようと考えた。
最も近いイメージのスキルは「死霊」であり、これを使用すると中距離内の死体を一定時間アンデッド化し操作できるが、死体に魂が残っている場合は抵抗されるという問題があった。
レアはこれに関連するスキルツリーを探求し、精神魔法の「支配」を含む一連のスキルを取得することに決めた。

計画通りにスキルポイントを使用し、最終的に「死霊」関連の新スキル「魂縛」を解除し、これが死体の魂を制御する能力を持つことを発見した。
さらに、召喚関連の「契約」スキルも新たに開放され、「使役」というスキルも最終的に取得された。
これらのスキルを組み合わせることで、レアはアンデッドやホムンクルスなどを自在に操ることが可能となり、経験値を効率的に使用して強力なビルドを構築した。

さらに、レアはテイムしたキャラクター、ケリーを含む他のキャラクターとの間で経験値を共有するようになり、彼らのスキルや能力値を見ることができるようになった。
この一連のスキル取得とテイムの成功は、レアにとって大きな前進であり、彼の冒険において新たな展開をもたらした。

第二章  アリと狼

レアは、彼の眷属たちとともに洞窟の外で探索を始めることにした。
外に出る前に、眷属たちが洞窟の奥にある湖で体を洗い、少しは見た目を整えた。
髪の色も汚れを落とすことで見分けられる程度にははっきりした。
洗浄後、レアたちは洞窟を後にし、夜の森へと足を踏み出した。

森の中では、ケリーたちが最近この場所に来たばかりで、詳しい地理や環境を知らなかった。
しかし、彼らが見つけた洞窟は、以前「山猫盗賊団」のアジトだった可能性があると話し合った。

森の中を進むうちに、ライリーが先を偵察し、マリオンが嗅覚を使って猪の匂いを辿った。
やがて、狼と猪が戦っている場所を発見し、レアたちはこの機会を利用して両方を一気に倒す作戦を立てた。
レアは「精神魔法」を駆使して狼を制御し、「使役」で狼を自身の眷属に変えた。狼はレアの命令に従い、猪の捕獲と解体を手伝った。

この探索は、新しい眷属を得るとともに、レアにとって「精神魔法」の効果をテストする貴重な機会となった。
狼との戦いを通じて、レアの魔法の効力を確認し、彼の技術が有効であることを再認識した。
成功した狩りの後、レアは獲得した猪を食料として利用する計画を立て、新しい眷属たちと共に次の行動に移った。

レアは、新たに眷属となった狼を観察し、そのスキルと特性を調査していた。
狼にはいくつかの未知のスキルがあり、それらは特定の条件で解放されるタイプのものだったが、ケリーたちには見られないスキルだった。
狼の特性には「嗅覚が鋭い」「聴覚が鋭い」といった先天的な特徴があり、これらは狼が生まれながらにして持っている能力である。
狼は「氷狼」という種族名があり、これは狼が実際に魔物であることを示している。

狼が家族を持っていることが判明し、レアは狼の家族全員を眷属として迎え入れることを決めた。
家族には複数の狼がおり、その中には子狼も含まれていた。
狼たちを眷属にすることで、必要な総経験値は増えるが、戦闘時のリスクは減少する。
レアは攻略やPvPを積極的に行うつもりはなく、ゲームを楽しむことに重点を置いていた。

レアは、家族と一緒に狼が住む洞窟に行き、狼たちが元々住んでいた場所を探索することにした。
洞窟は狼たちが住むには十分な広さがあり、氷狼の家族はレアの新しいファミリーとして迎えられた。

レアはマリオンが戻るまでの間に残った経験値を利用して、他のメンバーのINTを上げた。
これにより、ケリーたちの思考能力が向上し、将来的に街での対人交流に役立つ敬語の使用が可能になるかもしれない。
また、後々の魔法取得のための準備としても有効である。
残った経験値でレア自身のINTも上げ、マリオンが持って帰ってきた凍ったアリを扱う準備を進めた。

マリオンがアリを連れて戻ってくると、レアはすぐに召喚スキルを使ってマリオンを安全に移動させた。
マリオンが抱えているアリは完全には凍っておらず、まだ生きている状態だった。
レアはアリに対して精神魔法「自失」と「恐怖」を使い、その効果をテストした。
結果は成功し、「自失」と「恐怖」はアリに効果があることが確認されたが、レアがアリに「使役」を試みると、システムからアリが既に別のキャラクターに使役されているというメッセージが表示された。
これはアリが上位存在によって既に支配されていることを意味しており、その上位存在は恐らく巣にいる女王アリである可能性が高い。

結局、レアと獣人たちは共にアリの巣を探索することに決め、氷狼たちには留守番を頼み、穴に向かった。
この探索は、獣人たちの意見を取り入れて、レアが一人で行くのではなく、グループで行動することが決定された。
探索中、レアは氷狼たちに名前を付け、それぞれの獣人たちに適した役割を割り当てながら、アリたちとの潜在的な遭遇に備えた。

レアとその仲間たちは、アリが密集する広間に到着した。
レアは『魅了』の精神魔法を使い、多くのアリを無力化することに成功し、マリオンの『冷却』魔法でさらにアリたちを効果的に制御した。これにより、アリたちは一時的に活動を停止した。
レアたちはこの状態を利用し、さらに進んで女王アリが存在する部屋にたどり着いた。
レアは女王アリに対しても『自失』と『支配』の精神魔法を試み、成功すると女王アリはレアの支配下に入った。

その結果、『女王国跡地』というエリアがアンロックされ、レアにはこの場所を自身のマイホームとして設定するオプションが提供された。
この新しい領域は、これまでの山猫盗賊団が占めていた地域とは異なり、拡張や改良が必要な状態である。

レアは長時間のログイン後にログアウトすることを決め、ログアウト前に仲間たちと今後の計画を話し合うことを提案した。
レアは、現地で手に入れた毛皮を利用して寝床を作り、簡易的に休む準備を整えた。

第三章  眷属強化

レアはリアルでの雑事を済ませてゲームに再ログインし、目覚めたアバターがログアウト前の状況とほとんど変わらない光景を目の当たりにする。
ログアウトしていた一時間の間に、ゲーム内での時間は少し流れていたが、アリの女王はまだ凍りついていた。
ログアウト中も眷属たちは自己判断で行動していたようで、レアはその点に関して一定の驚きを示す。
再ログイン後、レアは眷属たちの活動をチェックし、ケリーに狩りを依頼し、レミーには「革細工」のスキルを与えて毛皮の処理を任せる。
レミーの作業は成功し、その結果、レアは眷属たちにさらに魔法のスキルを与えることを決める。
レアの考察により、ログアウト中の眷属の行動が可能であることが明らかになり、ゲーム内の仕様としてその活動が正規の遊び方に含まれることを理解する。

レアは混乱の中でも興奮し、ワクワクを感じていた。インベントリは通常、プレイヤーのみが使用できるものとされていたが、その常識が覆された瞬間である。
クローズドテストの際、インベントリを使うプレイヤーに対し、NPCは驚愕していたが、これが全てのキャラクターに共通の可能性があることが示唆されていた。
レアの眷属であるケリーたちがインベントリを使用することに興味を持ち、実際に試してみる場面があった。
その結果、インベントリが使えた者と使えない者の違いはINT(知能)の数値に関連していることが明らかになった。
レアはケリーのINTを調整し、使い方を教えたところ、ケリーは成功する。
これにより、NPCがインベントリを使用できる条件としてINTの高さが重要であることが確認された。

さらに、NPCがインベントリを使用できるためには、教えを受ける必要があることも判明。
特定の条件下でのみ、その機能が解放される可能性が示された。
この発見は、ゲーム内のNPCとプレイヤー間の差異をある意味で解消し、NPCもプレイヤーと同様の機能を利用できることを意味している。
レアはこの新たな知見に基づいて、さらなる検証を進めることになる。

エンジニアーアントは特殊な液体を噴射し、岩石を溶かす能力を持っている。
この液体は特定の鉱物にのみ作用し、生物や他の物質には影響しない。
レアはこのアリを使い、女王の間と狼がいる洞窟を直通で繋ぐ通路を掘らせる計画を立てた。
また、レアはスガルの「産み分け」ツリーを調べ、軍事的な戦略を立て始めた。
さらに、フレンド登録とフレンドチャットをスガルと実施し、NPCとの通信が可能であることを確認した。
この発見から、レアはNPCがプレイヤーとほとんど変わらない可能性を示唆し、彼女はさらなる検証と眷属の強化を目指す。

第四章  正式サービス開始

レアという名のプレイヤーが、人類種であるにもかかわらず魔物プレイヤーのような初期スポーン設定を選ぶ者もいるが、これは非常に少数である。
一般的には、多くのプレイヤーが人類種でキャラクターを作成し、人類の街からゲームを始める。
そのような一般的なプレイヤーの中に、ウェインという男が存在する。
ウェインはクローズドβテストに当選し、熱心にスタートダッシュを試みたが、初期の金策に苦労する。
彼はウサギ狩りをして装備を少しずつアップグレードし、防具をラビットレザーの革鎧に、武器を鉄製の剣に変更した。

ウェインが観察する街では、鉄の価格が高騰しており、近くの採掘所がモンスターの支配下にあるため、鉄の供給が途絶えていると推測されている。
この事態は、序盤のプレイヤーが高品質の装備を獲得しすぎないようにするための運営の調整であるとウェインは考えている。
彼は、この問題が解決されるための採掘所奪還クエストがやがて始まると予測している。

ある日、ウェインは傭兵組合に向かい、他のプレイヤーとは異なる単独で行動するプレイヤー、レアと出会う。ウェインは以前プレイヤーによるPK(プレイヤー殺し)の経験があり、そのためプレイヤーとNPCを見分けるスキルを磨いていた。彼はインベントリを使う行動からプレイヤーを識別する。
ウェインとレアはお互いにプレイヤーであることを確認し、互いに名前を交換する。

プレイヤーへの通知として、ゲーム『Boot hour, shoot curse』の運営より正式サービス開始前のメンテナンスが完了したことが発表された。
正式サービスは予定通り開始され、利用料金が発生する。
また、クライアントのバージョンが1.01にアップデートされたこと、及びログイン時に諸契約の再認証が必要となることが通達されている。

加えて、ゲーム内の初期スポーン位置の調整が行われた。
これにより、一部種族のプレイヤーにとって難易度が調整され、スポーン位置がランダム化された。
また、「使役」されたキャラクターの仕様について説明があり、これにより特定条件下でのスキルのアンロックや「転生」が可能になることが示されている。
使役状態のキャラクターは、死亡時のペナルティがなく、経験値を得ることができないが、使役者からの経験値譲渡が可能である。

さらに、公式からは正式サービス開始を記念して、ゲーム内イベントの開催が予告されている。
このイベントはゲーム内時間を加速させる特別な設定が施され、特定のルールと条件下で進行される。
プレイヤーたちはこのイベントに関する詳細を待ち望んでおり、ゲームのコミュニティではその他のアップデートやゲームプレイについて活発な議論が交わされている。

ウェインは正式サービス開始の日に有給を取得し、三連休を前にしていた。
彼はオープンβテストから参加しており、新しく始めたプレイヤーに追いつかれることを望まなかった。
新たに知り合ったプレイヤーのレアと森の探索を計画していたため、彼女の装備を整えることが最初の課題だった。
ウサギ狩りで得た収益で、レアは必要な装備を購入できた。
ウェインはレアと協力して森を探索し、アリとの戦闘を経験した。
レアはまだ戦闘に慣れていないようだったが、ウェインのサポートで問題なく対処できた。
二人は街に戻るまでアリを狩り続け、無事日が暮れる前に帰還した。

レアは眷属による眷属の攻撃では経験値を得られないことを確認し、同じ考えのスガルも納得した。
彼女は大森林をほぼ掌握し、魔物の領域を含む広範囲を支配下に置いていた。
資源も豊富で、地下の採掘場も制圧し、石炭と泥炭の産出によって金属事情が向上した。
新たに『鍛冶』スキルを取得し、鍛冶場を建設して装備生産も開始されている。

レアは戦闘に出ない工兵アリに生産系スキルを取得させ、武器や防具の量産体制を整えている。
草原ではアリによる情報収集も行い、人間の動向を探らせていた。
人間に見つかるとその部隊は始末されるが、見つかることは稀である。
人間のプレイヤーを狩ることが最も経験値の効率が良いが、情報を持ち帰られるリスクもあるため、慎重に狩っていく予定だった。

さらに、死亡したアリが自動でリスポーンすることも判明し、この機能は眷属全体の仕様であることが明らかにされた。
レアはスガルとの相談により、経験値を『眷属強化』に優先的に使用し、レアとスガルの能力値を強化する方針を固めた。

また、レアは新たに『空間魔法』を取得し、他の魔法スキルの発動位置を任意に設定できるようになった。
このスキルの有用性に気付き、次に『視覚召喚』というスキルを取得し、眷属の視界を自分のものとして使用する能力を得た。
これにより、レアは眷属の視力に依存せずに視界を利用できるようになり、戦略的な利用が可能になった。

レアは、傭兵として街の情報を得るため、ケリーに『視覚強化』と『聴覚強化』を施し、傭兵組合へ送り出した。
街への潜入はインベントリ使用を隠蔽するために、ケリーがプレイヤーであると偽装させる戦略を採用し、レアという名を使用させた。
これはNPCがインベントリを使用することを隠すためであり、彼女がプレイヤーとしての行動を取ることで、その存在を秘匿し続ける計画だった。
また、ケリーには、プレイヤーとしての行動を指導し、街での情報収集を行わせた。

一方で、森での動向も観察しており、レアはフレンドチャットを通じてケリーと連絡を取り合っていた。
森での骨の軍隊の出現という異変に直面し、レアは地下道を利用して、アリの巣から森の各地へアクセスしている。
これにより、彼女は森全体を効果的に監視し、制御下に置いている。

レアは、スガルに命じて墓地周辺にスケルトンを封じ込めるようにし、その間にライリーと通信を取りながら地下道を進んだ。
墓地へ到着し、地上に出ると、スケルトンの大群が存在していた。
墓地を半球状の魔法陣で覆う『死霊結界』を発動し、範囲内のスケルトンをアンデッド化して支配下に置いた。
このスキルは強力であり、MPを消費しながら、支配できないアンデッドを炙り出す効果がある。

支配下に置いたアンデッドを榴弾で破壊し、最後に一匹のスケルトンだけが残った。
このスケルトンはレアのスキルでも支配できなかった。
彼は過去の国の騎士団であり、その国は今では滅びたものの、彼には仇討ちの意志があると語った。

レアはこのスケルトンに、倒されるか、眷属となるか、自由に去るかの選択を与えた。
スケルトンはレアの眷属となり、以後は彼女の命令に従うことになった。
その後、レアは墓地の後片付けをアリたちに任せ、女王の間に戻ることにした。
ディアスという名のスケルトンは特に強力で、彼の存在によってレアの力はさらに強化された。

サービスの大規模イベントに関して、プログラムの実行に失敗が続き、一部イベントキャラクターがアイドル状態でない問題が発生した。
その結果、担当責任者が対応を協議することとなった。
計画していたイベントは技術的な問題により実施が困難になり、代わりにバトルロイヤル形式のPvPイベントを開催することになった。
当初のイベントに参加しないプレイヤーへのログイン制限は撤廃し、イベント特設エリアへの移動も自由に行えるように変更された。バトルロイヤルの参加登録はイベント前日の10:00まで受け付ける。
また、安全規定に従い、特設エリア入室時には特定の注意事項への同意が必要となる。

プレイヤーからの一般的な質問に対する回答も掲載されており、リスポーン地点の変更、パーティ機能の非存在、クランに関する自由な取り扱い、ペットシステムの説明不可、死亡時の経験値ペナルティに関する具体的な手順が説明されている。

第五章  バトルロイヤル

レアは自身に多量の経験値を振り分けたため、大森林周辺のエネミーと戦っても経験値を獲得できなくなっていた。
しかし、アリの班や小隊でゴブリンを狩ることで間接的に経験値を得ていた。
そこで、レアは気になっていた『錬金』スキルを本格的に開発することを決めた。
彼女は『錬成』『調薬』『錬精』などのスキルを取得し、さらには『乾燥』『加熱』『洗浄』などの魔法スキルも獲得した。
これらのスキルを取得することで『錬金』ツリーがアンロックされ、『哲学者の卵』『アタノール』などの新しいスキルも出現した。

これらのスキルを使い、レアは最終的に『大いなる業』という錬金術の究極技を使うことができるようになった。
彼女はこのスキルを使い、リビングウェポンと名付けられた存在を生み出した。
これらは戦闘に非常に有効であり、レアはこれらを使いこなすことで、バトルロイヤルイベントへの参加を楽しみにしていた。

大規模イベント当日、レアはすでにエントリーを完了していた。
しかし、眷属のエントリーはプレイヤーのみ可能であり、レア以外の参加は難しい状況だった。
レアは指定されたセーフティエリアへと向かい、その地点で美しい泉と花畑が広がる中、ディアスが常に付き従っていた。
魔法陣の上でディアスに見送られつつ、レアは独りでイベント会場へ転移した。
彼女は全身を『大いなる業』で生み出した黒い鎧で覆っており、リビングウェポンの剣も携えていた。
これにより、リビング系の魔物も装備として認識される可能性があった。
レアはセーフティエリアからイベント会場への転移を実行し、警告と注意を受け入れた後、彼女の視界が変わり、泉のほとりから姿を消した。

転移によりレアはローマのコロッセオを彷彿とさせるバトルロイヤル会場に到着した。
会場は見た目より広く、運営によって作られた特設エリアであることが示されていた。
レアは黒い鎧で装備され、リビングウェポンも携えていた。
彼女はブロック一六に割り当てられ、主に森が舞台のフィールドであったため、大森林での経験が活かされるはずであった。
転送されるとすぐに戦闘が始まり、レアはリビングウェポンを使って他のプレイヤーを迅速に排除した。
矢が彼女に効果がないことを悟り、逃げる敵を追い詰め、その多くを撃退した。
彼女はこのブロックを制限時間前に終わらせることを目指し、他のプレイヤーがどれほどのレベルであるかを確認する意向であった。

音に導かれたレアは、二人のプレイヤーが剣を交えている場所に到着した。
これらのプレイヤーは近接戦闘のスキルに特化しており、相当な腕前を示していた。
レアは鎧坂さんのスキルを試す絶好の機会と考え、音を立てて彼らの前に現れた。
二人は戦闘を続けながらもレアを認識し、彼女の剣技に挑んだが、レアの鎧坂さんは『スラッシュ』スキルで即座に一人を斬り倒し、もう一人も瞬く間に倒した。

レアはこの勝利に若干拍子抜けしつつも、他の隠れたプレイヤーを見つけるために探査や探知系のスキルを探すことを考え始めた。
さらに、飛行可能なリビングウェポンを使って空からの探索を行うことにし、鎧坂さんの性能試験はこれで十分だと結論づけた。
その後、レアが他のプレイヤーに遭遇することはなく、彼女が参加したブロックの予選は終了し、レアは観客席に戻された。

観客席に戻ったレアは、他のブロックの戦闘を観戦する機会を得た。
しかし、彼女の存在が観客の間で話題になっており、その異常な強さがプレイヤーや運営のイベント専用ボスではないかと疑問視されていた。
レアは自分が取得した経験値から見ても、トップクラスの強さを持っていることに自信を持っていたが、他の強力なプレイヤーとの戦いに備えて、さらなるスキルの研究を決意した。

ヨーイチは病気がちな幼少期を経て、ナースという存在に強い憧れを持っていた。
VR診療所での看護師のAIに親しんだ結果、ナース服を好んでゲーム内で着用するようになった。
ヨーイチは現実の自分とゲーム内のアバターの間で性別や名前を偽らない原則を持ち、常に「ヨーイチ」という本名を使用し、男性アバターでプレイしていた。
VR世界では自分の弱さを克服し、ナース服を汚さないようにというモチベーションのもと、弓に特化したプレイスタイルで高い技術を習得していた。

ゲーム内で「ナースのヨーイチ」と呼ばれるようになり、弓のスキルで高い成績を収めていたヨーイチは、特に新しいゲームでのバトルロイヤルイベントにおいても優勝を狙える位置にいた。
彼は視覚、聴覚、嗅覚の強化スキルを駆使して敵を速やかに倒し、予選を突破したが、驚くべきことに彼より早く予選を終えたプレイヤーが他に二人いたことを知り、その実力に興味を持った。
決勝戦が始まると、ヨーイチは草原のフィールドで不利ながらも林へ移動しようと試み、近づいてきた軽戦士タイプのプレイヤーと対峙した。
しかし、両者ともに気がつけば死亡しており、それがどのプレイヤーによるものかは不明のまま、観客席に転送されてしまった。
この出来事は、ヨーイチにとって意外であり、同時に謎を残す結果となった。

レアは決勝戦において、鎧坂さんの装備を身につけた状態で戦場に転送された。
フィールドは泉の周囲に林や草原が広がる場所であり、レアは視覚、聴覚、嗅覚の召喚スキルを活用して周囲を警戒していた。
敵プレイヤーに近づく際には「縮地」というスキルを使用し、敵の魔法攻撃を待たずに迅速に討ち取った。
この際、レアは鎧坂さんの耐久力についてのテストをする機会を失ってしまった。

その後、レアは攻撃を受けることを意図的に目指して、敵からの攻撃を誘ったが、鎧坂さんには何のダメージもなく、すべての攻撃を防ぎ切った。
これにより鎧坂さんの高い防御力が明らかになった。
攻撃してきた敵はレアの剣によって迅速に討たれた。

最終的に、レアは林が障害物となっていると判断し、強力な火魔法「ヘルフレイム」を使用して林を一掃した。
これにより隠れていたプレイヤーを炙り出すことに成功し、更なる戦いが繰り広げられた。
敵プレイヤーたちが組んだ即興の同盟による攻撃も、レアには通用せず、一方的に討ち取られる結果となった。

この一連の出来事を通じて、レアは自身の装備とスキルの有効性を再確認し、フィールド上の他のプレイヤーを圧倒する実力を持つことを証明した。

レアはイベントの決勝戦で他の参加者を圧倒し、速やかに優勝を果たした。
勝利後、運営からエキシビションマッチへの参加を依頼され、レアは交渉を通じて特定の報酬を得ることに成功した。
彼女はエキシビションに参加し、再びその強さを示すことになる。

一方、ウェインはレアとの接触を試みるも、会場で彼女と対面することはできなかった。
エキシビションマッチでは、レアがその圧倒的な力を見せつけ、周囲のプレイヤーを一掃した。
その後、ウェインは他のプレイヤーと交流を深めながら、レアの突然の強さの秘密を探ることに焦点を当てることにした。

「Boot hour, shoot curse」の運営チームは、最近の第一回公式大規模イベント「バトルロイヤル」が成功裏に終了したことをプレイヤーに感謝している。
多くの参加者が集まり、イベントは大盛況だった。
今後も様々なイベントを予定しており、プレイヤーには引き続き参加を呼びかけている。
また、メンテナンスの日程が発表され、プレイヤーからのフィードバックに基づき、魔法やアクティブスキルの発動キーを自由に設定できるよう仕様が変更される。
さらに、公式サイトにはプレイヤーからのよくある質問に答えるセクションが設けられており、異常に強いプレイヤーについての疑問に対して、不正行為の可能性は否定されている。
最後に、運営は「レア」名のプレイヤーにコマーシャル映像での戦闘シーンの使用許可を求めている。

第六章  リーベ大森林グランドオープン

レアがメンテナンス後にログインすると、数通のお知らせが届いていた。
戦闘シーンの映像使用の許可依頼に対して、レアは顔が映っていないため問題なく許可を出す。さらに、ウェインとの接触を計画している。
ウェインにはこれまで何度も関わりがあり、ケリーとして街に向かい、「術者召喚:精神」で憑依し、ウェインを大森林に誘い込むことを目論んでいる。

その後、ケリーの身体を借りたレアは、ウェインに接触し、二人は話し合いながら森へ向かう。
ウェインはレアの挙動が以前と異なることから疑念を抱き、レアの身体を使っていることが明らかになる。
ウェインはレアの正体に気付き、レアはウェインに自身の正体や過去の行動について説明する。

この過程で、レアはウェインに対し、これからもプレイヤーを狙い続けると告げ、ウェインの反応を試す。
最終的にレアはウェインをキルし、その場を去る。
この出来事を通じて、レアは自身のスキルや計画をさらに進める意向を示している。

運営はレアの提案を受け入れ、プレイヤーが突然劇的に強くなる様子を示す映像を編集し公開した。
その内容は、プレイヤーがその方法を他人に教えず、大森林に籠もるという設定である。
この動画は運営にとって良い宣伝となり、レアの狙い通りに仕上がっている。
しかし、レアの真の目的は他のプレイヤーの能力を確認することであり、これは彼自身以外知る者がいない。

さらにウェインがSNSを通じてレアの情報を広め、レアがリーベ大森林でPK行為を繰り返しているとの情報を流した。
このことから大森林へのプレイヤーの流入が増加し、エアファーレンは大森林特需に沸いている。
プレイヤーたちは、レアが森で得た戦力が原因で強くなったと勘違いしている。

レアは大森林を効率的に管理し、アイテムや魔物を配置してプレイヤーに戦いを提供している。
彼女はアリを利用してプレイヤーから経験値を得るシステムを確立し、プレイヤーが損失なく、あるいは成長した状態で森を去るように調整している。

この状況を背景に、レアは森でのプレイヤーの活動を監視し、さらにゲームを有利に進めるための戦略を続けている。
プレイヤーたちが森で得たアイテムを使って経済を潤す一方で、自身の経験値も増やしていく。
これがレアが目指していた道ではなかったが、結果的に彼女はこの路線を受け入れ、悪役としてその役割を演じている。

大森林で情報収集と操作を行っているレミーが、街から資金や物資の補充のために帰ってきた。
その際、街で見つけたデザインの良い古着をいくつか購入してきた。
これらの古着は、大森林での新たな装備作成の見本として使用されることになる。
レアは自身の美術的センスがないと言って、衣装選びはレミーに任せた。

定例会議では、古着を元に新しい装備を作ることが話し合われた。
参加者は、元盗賊団のメンバーやアリの女王、犬獣人白魔など、大森林の運営をスムーズに行うために集まった。
会議中、白魔が衣服の匂いを気にするなどの文句を言い、いつも通りの賑やかなやり取りが行われた。

レミーが大森林でリーダーを務める前には、人前で装いを整えることに興味がないレアのために、装備を整えることが提案された。
そのために街で購入した古着を基に、大森林の素材を使って新しい装備を製作する計画が立てられた。

レアは自身の強化を考え、経験値を常に能力値向上に使用しているが、さらなる成長手段として「転生」や「賢者の石」の創造を考慮している。
特に「賢者の石」に関しては、不老不死や種族変化などの伝承があり、その創造には「大いなる業」という秘奥の技術が関わる可能性がある。
このために必要な素材は主に水銀、硫黄、鉄、魔物の心臓、強酸で、最後の一つは不明である。
レアはこれらの素材を使って賢者の石を創造し、キャラクターの種族を変化させる可能性を探る。

また、マリオンからの報告を待ちながら、レアは大森林に近い魔物の領域に偵察を命じ、可能であれば制圧する計画を立てている。
この新しい領域でマジカルな木材が見つかれば、それを「賢者の石」の材料として利用することも考えている。
その間、レアはプレイヤーたちに対して理不尽なボスを使って暇を潰すことにしている。

リーベ大森林を舞台にしたゲーム攻略のスレッドで、プレイヤーたちが経験と情報を交換している。
彼らは大森林の特定エリアが稼ぎやすい場所として有名であるが、序盤から進めない状況に陥っていると報告している。
この森では強力なアンデッドが現れるため、多くのプレイヤーが困難に直面している。
しかし、このエリアは一部のプレイヤーには非常に効率の良い狩場であり、装備破壊を行う敵もいるが、慣れれば容易に対処できるようになるという。
また、アンデッドを倒すと特別な報酬が得られる可能性があることが示唆されている。
一部のプレイヤーはこのエリアに実際にいるとされるプレイヤーキャラクターが実はイベント用のキャラクターではないかと推測している。

第七章  世界樹とハイ・エルフ

マリオンからの連絡を受けて、レアはケリーとディアスを伴い、リーベ大森林から隣の魔物の領域に向かった。
この新たな森はリーベ大森林とは異なり、人類に認識されている魔物の領域で、その辺境都市からは離れた位置にある。
この森がリーブ大森林より魔物の領域としての格が上であることを示唆している。
レアはディアスにアダマンリーダーを含むアダマンシリーズを召喚し、森の制圧を進める計画を立てる。
この森の支配権を奪取するため、ディアスたちが先行し、敵の哨戒を避けながら行軍を進めた。途中、植物系モンスターの襲撃があり、その骸は回収された。
レアはこれを利用してリーベ大森林に農場を建設する計画を立て、さらに進行中に再び植物系モンスターに襲撃されるが、アダマン隊は迅速に対応して敵を撃退した。
レアはこの森を進みながら、森の深部に至るまでの行軍を続ける。

レアとディアスは森を進軍し、昼間は植物モンスター、夜はアンデッドが主に襲ってくることが判明した。
昼間でもアンデッドが活動するディアスの特例を除き、一般的なアンデッドは夜活動する傾向にあると推測される。
森の探索中に遭遇するモンスターは力が弱く、リーベ大森林のアリと同程度である。
森がこの程度の強さのモンスターしか抱えていないならば、街道や街を遠ざける理由がないとレアは考える。

アンデッドの発生が新しいものであることが示唆され、森には何か秘密が隠されている可能性がある。
このため、レアは森の探索を続けることを決める。進軍は計画通り進み、予定より早く森の中心部に到着する。
そこは何もないただの森の中心であった。

レアはこの地を仮拠点とし、工兵アリを呼び寄せて設営を考えるが、スガルの配下であるため、レア自身では召喚できない。
彼は森を支配するためには地元の魔物を支配下に入れる必要があると考える。

その後、ディアスたちが森で活動を続ける中、レアはログアウトし翌日に戻る。
帰還後、植物モンスターに『使役』をかけ、テイムが可能であることを確認する。
これにより、植物モンスターは野良であることがわかり、リーベ大森林での根付きや繁殖が可能となる。

また、アンデッドに関しても昼間活動する強力な個体が存在する可能性があるため、レアはスカウトに指示を変更し、アンデッドの探索を優先する。
アンデッドたちが活発になる夜、レアは森の一角で異様な空気が滞留している場所を発見し、そこにはディアスに似たアンデッドがいる。
レアはこのアンデッドをテイムしようと決意し、接近する。

レアと彼の仲間である鎧坂さんは、アンデッドのボス、テラーナイト【ジーク】と戦闘を繰り広げた。
鎧坂さんの速攻を初めてジークがいなすことから、ジークの戦闘能力が高いことが示された。レアは魔法攻撃を交え、ジークを追い詰めていった。
最終的にジークはレアに屈し、『使役』魔法により彼の眷属となった。ジークが持つ『死霊将軍』スキルツリーのおかげで、アンデッドの発生が停止した。

ジークはかつて第三騎士団長であり、ディアスの後輩であった。
彼の騎士団は軍事的には第一騎士団より下であるが、数では勝っていた。
ディアスたち近衛騎士団がリーベ大森林にいた理由は、王族が謀略によって遠征させられたためだった。
ジークもこの陰謀により森に眠っていたとされる。

レアとジークは、現在の大陸を支配する六国家を敵とみなし、これらを滅ぼすことを新たな目的とした。
ジークはレアの指示に従って、その森を「人間たちを飲み込む魔の森」として運営することになった。
レアは、森を支配下に置くことで、人類種のエリアを徐々に制圧する計画を立てている。

レアがテイムしたトレントが「世界樹」に転生し、同時にレア自身も「ハイ・エルフ」に転生する機会を得た。
当初はエルダーカンファートレントとして知られていたトレントが、レアの「使役」魔法により上位種に転生し、その過程で莫大な経験値を消費した。
転生後、トレントは枝葉を広げ、根を伸ばして周囲の木々を倒し、その姿は圧倒的な存在感を放った。

レアのハイ・エルフへの転生は、その美しさと魔法の効果を強化する種族特性を持ち、彼のリーダーシップと支配力をさらに強調した。
この転生により、レアは新たな種族特性「超美形」を得て、NPCからの好感度が大きく向上し、眷属たちへの影響力も増大した。

最終的に、レアは世界樹に森を管理させることを決定し、ディアスにアンデッドたちの教育を任せた。
この新たな役割と環境の変化は、レアと彼の眷属たちにとって新たな章の始まりを告げるものであった。

第八章  魔王降臨

レアは世界樹から得た大きな枝を加工し、実験材料としての木炭や灰を作ることにした。
また、余った木材を利用して魔法の杖や武器を製作する計画も立てた。
レミーとの会話から、アリの主兵装が彼らにとって十分であること、そして現在の兵装が木製武器の需要を必要としなかった理由が明らかになった。
しかし、これからはスケルトン部隊を含む新たな部隊に向けて、弓などの武器も製作する可能性があると考えている。

木炭の製造には一週間程度かかるが、レアはすぐに灰を作ることを試みた。火魔法を使って木片を焼き、灰を得た。
この灰は特別なレシピの材料として使われる予定で、それには世界樹の灰が必要だった。
この灰を使って、レアは「賢者の石」の製造を試みることにした。

この石の製造過程で、レアは高い経験値を投じ、複数の素材を組み合わせた。
最終的に、賢者の石が完成し、これは存在の格を上げる効果を持つとされている。
レアとレミーはこの新しいアイテムの量産を試み、それがどれほど効果的かを確認する計画である。

賢者の石の作製は成功し、レアとレミーが行っても結果は変わらなかったが、世界樹の灰を使わないと色がくすんで効果が半減することが明らかになった。
最終的には輝く賢者の石を使って実験し、その結果スケルトンナイトがスケルトンリーダーに転生し、存在の格が上がったことが確認された。
レアは今後もこの石を使い、魔法系の上位種に転生させる可能性を模索している。
しかし、転生に必要な経験値が問題であり、素材として使ったアイテムによってもその効果が異なるため、最適な材料の使用が必要であることがわかった。

レアは経験値を集め、最終的に「魔王」としての転生を選択した。
彼女の転生は成功し、全身に強大な力が満ち、超自然的な特性が与えられた。
転生により角や翼が現れ、角には精神攻撃への強い抵抗力が、翼には飛行能力が付与された。
この新たな姿には、彼女自身も驚きつつも、同時に非常な全能感を感じている。

その後、特定のスキルを持つキャラクター全てに通知されるシステムメッセージが発され、「特定災害生物」としてレアの存在がアナウンスされた。
これにより、レアは特定の情報を持つキャラクターに対してのみ認識される状況となった。

これからは、新たにアンロックされたスキルの取得、経験値の集積、そして配下の転生を進めながら、魔王としての力をチェックし、彼女の勢力を強化する必要がある。
このプロセスを通じて、レアは彼女の領域と勢力の拡大に努める計画である。

レアが必要とする大量の経験値を得るために、スガルを通じて白魔に命令が伝えられた。
その内容は、森にいる敵を狩ることであった。
これは、チビたちにとって初めての狩りの練習となり、彼らの成長の機会でもある。
白魔は、大型魔物牧場はアリが管理し、ゴブリン牧場をチビたちの狩りの場とした。
繁殖用のゴブリンを除いて、チビたちがゴブリンを追いかけ、遊びながら狩る様子を監督した。

この活動を通じて、チビたちは体験を積み、自然と狩猟本能が芽生えた。
最終的にスガルから経験値が目標に達したとの連絡があり、牧場の管理はアリに引き継がれた。
白魔はこの結果から、チビたちに定期的な訓練を施すことをレアに提案することを考える。
また、チビたちや銀花も誇らしげで、その表情からレアの成長を感じ取っている。
白魔は、その強大な存在感に感動し、レアに直接会うことを心待ちにしている。

ヒルス王国の王城にある会議室で、教会関係者を含む国の重鎮たちが集まっていた。
総主教が新たな「人類の敵」の誕生を宣言し、このニュースは会場に衝撃を与えた。
新しい敵はリーベ大森林で誕生したとされ、この情報には絶望が広がった。
会議では、生まれたばかりの災厄であるため、討伐が可能かもしれないという希望が持ち上がる。
すぐに討伐隊の手配が進められたが、トーマスを含む兵士たちの不安は増すばかりだった。
彼らは災厄と対峙することになり、その命運は未知数であった。
会議の結果、新たな戦時特例法が提案され、再徴兵や徴兵年齢の引き下げが計画された。
この状況に、参加者たちはそれぞれの思いを抱えながら散会した。

第九章  人類蹂躙開始

『Boot hour, shoot curse』の開発運営チームからプレイヤーへの通知である。
第二回公式大規模イベント「大規模攻防戦」が発表された。
このイベントでは、アンデッドなどの魔物が魔物の領域から溢れ出し、近隣の街や村を襲撃する予定である。プレイヤーは魔物側または人類側に協力し、攻撃または防衛の任務を遂行する。
イベントは現実時間で約一週間、ゲーム内時間で十日間持続し、イベント期間中は取得経験値が10%アップし、デスペナルティが緩和される。
また、イベント専用SNSが設置され、プレイヤー間の連携を促進する。
プレイヤー名「レア」に対しては、彼の支配下にある領域からの侵攻を依頼する特別な連絡がされており、協力の承諾には特別報酬が用意されることが示されている。

レアは大規模な侵攻イベントへの参加を計画していた。
本来は火山地帯への遠征を計画していたが、大陸規模での魔物の侵攻イベントが開催されるため、これに協力することを決めた。
侵攻側に立つことを選び、防衛側ではなく、静観も選択肢から外れた。
運営からの要請により、リーベ大森林では大侵攻が起こらないことが告知されると、他のプレイヤーに何かを隠していると思われかねないため、レアは参加を決定した。
侵攻側の主力はアンデッドであることが明かされ、レアはこのイベントに全力で参加し、勝利した場合には街が滅びることも受け入れる構えを見せた。

イベント当日、レアは主要な眷属たちを女王の間に集めていた。
すでに拡大工事を施した女王の間には、アリやアダマン隊の隊長クラスが集まり、壮観な光景をなしていた。
この日は、レアとその眷属たちが人類種国家に仇為す魔物の軍勢として華々しく出陣する式典が行われた。
レアは出陣の宣言をし、ヒルス王国と隣接するエアファーレンという街を襲撃し、人類種国家に宣戦布告することを宣言した。
その後、彼らの力で大陸の支配者がレアであることを証明するよう呼びかけた。

今回のイベントは、特殊な状況とは異なり、日常の延長にある事件として設定されている。
そのため、明確な開始合図はなく、NPCや街の人々は何も知らない状態で日常を楽しんでいる。
一方、プレイヤーたちは街を出入りしており、街の人々からは奇異な視線を受けている。レアは自らのスキル『飛翔』の効果で上空からエアファーレンの街を俯瞰していた。
鎧坂さんを装着し、異空間から操作しているが、その戦闘能力は非常に高い。
この状態でのレアは、コクピットに立って操作している状況に近く、魔法も思った位置に放てるようになっている。

戦闘では、鎧坂さんとアダマンシリーズの模擬戦を実施し、彼らの攻撃が鎧坂さんには通用しなかった。
魔法攻撃もダメージを与えられず、鎧坂さんの攻撃力は非常に高い。
レアはこのイベントを通じて、単騎戦力だけでなく、配下に指示を出して都市を攻略する計画を持っている。
エアファーレンの街とリーベ大森林からの侵攻を開始し、砲兵アリが砲撃を行う。
その後、突撃兵と歩兵が街に突入し、火炎放射で焼き払いながら進む戦術を展開している。
プレイヤーとNPCの傭兵は抵抗を試みるが、アサルトアントの火炎放射によりほとんどが焼き払われてしまう。

この戦闘でレアは、自身の配下とその戦術をフルに活用しており、彼女の計画と戦力の強さが明確に示されている。

レアは魔法使いが直接の攻撃に切り替えたことを受け、アサルトアントとインファントリーアントを一時的に退かせ、瓦礫を隠れ蓑にしてアーティラリーアントでの砲撃を開始した。
この戦術は効果的で、魔法使いたちを次々と倒していった。
街の外周部は機能不全に陥り、防御側の兵士はすでに全滅しており、民間人も逃げ惑っている状態だった。
街の防衛力は経験値獲得の対象外とし、一般市民は無視されていた。

街の中央部に進出した際、領主の騎士団が登場したが、すでに時すでに遅しであった。
レアはソルジャーベスパにも参戦させることを決め、これらのベスパたちは戦闘に飛び込み、多くの騎士を空中から落下させて殺害した。この攻撃により、騎士団は事実上壊滅した。
NPCのリスポーンは非効率であると判断し、レアは戦場をルルドの方向へと移し、別の戦闘に目を向けた。鎧坂さんを通じてレアはさらなる戦況を見守る準備を整えた。

ルルドの街はトレントたちによって完全に制圧されていた。街は巨大なトレントに囲まれ、その城壁は木の枝や根によって覆われており、街全体が森に飲み込まれたように見えた。
これらのトレントはレアの世界樹から生まれたカンファートレントであり、その特別な能力により、街中に充満していた光の粒の効果で、植物が異常に速く成長していた。
この光の粒は、世界樹の「大いなる祝福」のスキルによるもので、街中の植物は瞬時に成長し、家々を破壊しながら拡大していった。

街にいた人々は、急速に成長する植物によってほぼ全滅し、生き残りはほとんどいなかった。
戦闘力のあるキャラクターはすべて倒され、一般市民は目的外とされていたため、殺害されることはなかった。
世界樹は最終的に「大いなる祝福」を停止し、光の粒が消え去ると、街中は静まり返った。

最後にレアは、トレの森がこれからも街道を含め周辺地域を覆い尽くすよう命じ、街道も森に取り込ませることを決定した。
レアはこの大規模な変化を美しい光景と評し、その後の行動を検討しながら、次の場所へ向かう準備をした。

レアはルルドの街を確認し、領主館を破壊するよう砲兵アリに命令した。
砲兵アリたちは迅速に行動し、領主館はすぐに炎と瓦礫と化した。領主の生死は不明だが、もし生存していれば、彼を見つけ出して始末することが望ましいと考えている。
しかし、街の完全な破壊が主な目標であり、レアは街を全て更地にすることにした。
その後、歩兵による掃討戦を行いながら、航空兵と砲兵をもってラコリーヌへと進む計画を立てている。
この攻略により、王国の重要な交通の要所を掌握し、王国の機能を停止させる目論見である。
最終的には王都を廃墟とし、アンデッドの巣窟に変える壮大な計画を持っている。

エピローグ

ダグラス・オコーネル侯爵は、突然の報告に驚愕し、国内の複数の辺境都市に魔物が侵攻していることを知る。
討伐軍を出したものの、既にエアファーレンとルルドという都市が陥落してしまったとの報告を受ける。
さらにアルトリーヴァの街も壊滅していた。
討伐軍は追加の報告により、ラコリーヌの街に到着したことが確認されるが、そこでもアリとハチの群れと接敵する事態になっている。
オコーネル侯爵はこれらの事態に対応するため、次の行動計画を検討しながら、駐屯地の確保や再度の戦略を練る。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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