どんな本?
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)』は、劇場アニメの脚本に参加する後藤リウ 氏によって完全小説化された作品。
物語はC.E.75を舞台に、ラクスを初代総裁とする世界平和監視機構・コンパスが創設され、キラたちが各地の戦闘に介入する様子を描いている。
小説ならではのエピソードや細やかな心情描写を堪能できる一冊となっている。
読んだ本のタイトル
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)
著者:後藤リウ 氏
イラスト:小笠原智史 氏
原作:矢立肇 氏・富野由悠季 氏
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あらすじ・内容
C.E.75。ラクスを初代総裁とする世界平和監視機構・コンパスが創設され、キラ達はその一員として各地の戦闘に介入する。そんな折、新興国ファウンデーションからブルーコスモス本拠地への合同作戦の提案が――。
小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)
感想
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)』
発売は1月だったが、読み終わるのに非常に時間が掛かった。
映画を先に観るか、それともこれを読んでから観るかと迷い。
誘惑に負けてプロローグを読んだら、、、
コンパス???
デュランダルの「デスティニープラン」は覚えている。
結末はどうなったんだけ?
デスティニーの最終回を再視聴しないとわからないぞと思い、過去に録画したモノを探そうと思っていたらゴールデンウィークになっていた。
こうなったらコッチを読んでも支障が無いと思い読み始める。
下巻も発売日に購入したが、同じ理由で未読。
さて、本書は劇場版にも関わっていた後藤リウ氏による完全小説化された作品で、劇場アニメを基にした内容が展開されている。
物語はコンパスと呼ばれる平和監視機構の活動と、その中心人物であるキラ・ヤマトやラクス・クライン、アスラン・ザラの奮闘を描いている。
冒頭では、ブルーコスモスというテロ組織の動きに対抗するため、コンパスが各地で介入し、テロを阻止しようとする。
オルドリン自治区でブルーコスモスによる攻撃が発生し、キラがその場を鎮めるために介入するが、結果的に破壊と混乱を招くことになる。
キラは戦闘しか出来ず自らの行動に苦悩し、戦いの意味を問う重要な場面がある。
一方で、ラクスはコンパスの総裁として、平和を守るためにさまざまな政治的な動きをしており、お互いの立場を尊重しているせいで、すれ違いが発生していた。
中盤では、ファウンデーションと呼ばれる国が登場し、その首都イシュタリアでの謁見が行われる。
ここでは新たな政治的な駆け引きや、ラクスとキラ、アスランの個人的な葛藤が描かれる。
さらにブルーコスモスの首領ミケールを捕縛する作戦が展開される。
作戦中、キラはファンデーションの精神攻撃により苦しむ場面があり、彼の戦闘能力が一時的に低下。
上巻の終盤、物語は緊迫したクライマックスへと進む。
ファンデーションの精神攻撃により、認識を狂わされたキラは、ミケールの捕縛作戦中に別行動を取り、警戒しているユーラシアの境界に近づき、侵略行為と誤解され。
現場が混乱。
それが原因で、ユーラシアとファウンデーションとの関係が悪化し、ユーラシアとの戦争が勃発することとなる。
この戦争の最中、アークエンジェルは破壊され、キラとラクス、他の主要キャラクターたちが絶体絶命のピンチに立たされる。
終盤は非常に暗いトーンで進行し、キラやラクスのすれ違いが拡大し2人は離ればなれになってしまう。
全体として、この小説は劇場版のノベライズとして、映画では語られなかった深い心情描写や背景が豊かに織り交ぜられており、ガンダムSEEDシリーズのファンには新たな視点を提供する。
キャラクターたちの内面的な葛藤や、壮大なスケールで繰り広げられる戦いの中で、平和への希求というテーマを強く感じ取ることができるだろう。
最後までお読み頂きありがとうございます。
同シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ
ある暗闇の中で、人工の心音がリズミカルに響いている。
小さな泡が水面に向かって銀色に輝きながら上がっている。
彼は夢を見ており、誰かが懐かしく柔らかな声で話しかけている。
その声はビターチョコレートのように滑らかで、聞く人を引きつける。
夢の中で、彼は世界が彼を望んで生まれさせたと語られる。
彼はその夢の中で微笑んでおり、自分が世界の一部であると感じている。
第一章
空を覆うミサイルの雨が、ビルを粉砕し、街は破壊される。
ミサイルが続く中、爆発の轟音を縫ってサイレンが鳴り響き、人々は燃える街から逃れる。
アフリカ共和国オルドリン自治区のプラント経済特区において、日常が突如破壊と混乱の渦に放り込まれる。
敵の進攻は止まず、大規模な機体がビームと砲弾をまき散らしながら進む。
突然の侵攻に、市街地は火と煙に包まれる。
ブルーコスモスに属する部隊による攻撃が続き、キラ・ヤマトは上空から敵の動きを監視し、戦闘の停止を求めるが、敵は撤退し始める。
敵部隊を追うオルドリン守備軍が市街地へ進入するが、キラはモビルスーツ隊の前に降り立ち、ライフルと腕を切り飛ばし、モビルスーツの武装を撃ち抜く。
しかし、戦闘が再燃し、さらなる破壊が進む。
キラは自分たちが引き起こす破壊に慄然とし、続く戦いに疑問を抱く。
C.E. 74に、地球とプラントを巻き込んだ二度目の大戦が終結した。
この戦争の原因は、遺伝子調整されたコーディネイターと、従来の人類であるナチュラルとの対立にあった。
コーディネイターは能力を高めた遺伝子調整人類で、宇宙に居住区を築いて独立を宣言し、これに対してナチュラルの国家が戦争を始めた。
一度は停戦したものの、戦火は再び燃え上がり、大きな痛手を与えた。
この時、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルが暗躍し、「デスティニープラン」という遺伝子による選別と役割付与の計画を提唱し、従わなければ滅ぼすと脅した。
この計画に反対するキラたちはデュランダルを討ち、彼の計画を阻止した。
その後、世界は再び平和を取り戻したように見えたが、依然として人々の間の憎しみは続いていた。
第二次連合・プラント大戦後、コーディネイターとナチュラルの対立を収めるために、コンパスという組織が設立され、ラクス・クラインが初代総裁に就任した。
コンパスは救難や復興支援を行いながら、ブルーコスモスというテロ集団の破壊活動に対処していた。
ブルーコスモスはコーディネイターを抹殺しようとしており、何度も盟主を変えながら活動を続けていた。
現在も世界各地で小規模な戦闘が絶えず、プラントやオーブ、大西洋連邦などの政治的動向が緊張を高めている。
コンパスは注目されつつあるが、内部にはナチュラルとの融和を嫌悪する声もある。
ラクスとコンパスの他のメンバーは、世界の平和を維持しようと奮闘しているが、ブルーコスモスの影響力は依然として強く、緊張は解消されていない。
庭園の奥にある東屋で、フードを目深にかぶった若い男が本を読んでいた。
近づく男たちに気づき、本を閉じる。
先頭の男は国防委員長ジャガンナートであり、彼は若者と静かに話し始める。
二人は会話を交わした後、車に乗り込み、何かの計画について話を進める。
一方、オーブの代表首長カガリ・ユラ・アスハが画面越しにラクス・クラインと会話している。
彼女はファウンデーションのアウラ女帝からの申し出について説明し、ブルーコスモスの指導者ミケール捕縛への協力を求めている。
カガリの側には若い秘書トーヤ・マシマがおり、彼もこの話に興奮して参加している。
カガリとラクスはファウンデーションの申し出の裏にある意図や可能性について議論する。
ファウンデーションは、かつてユーラシアからの独立を宣言し、成功した小国であり、独立後は経済的、技術的に発展している。
しかし、その独立が国際社会に完全には認められていない状況である。
ラクスはファウンデーションの急速な復興がどのように可能だったのか、その背後に何があるのか疑問に思う。
カガリはファウンデーションの提案がコンパスに与える影響と、ユーラシアとの関係に懸念を持ちながらも、ファウンデーションの提案に対する決断を保留している。
プラントと呼ばれるコーディネーターたちの故郷は、宇宙に築かれたコロニー群であり、涙滴型の居住区が自己修復ガラスで覆われ、中央のリングで接続されている。
その中央リングには宇宙港があり、ミレニアムという新造戦艦が入港している。
この戦艦は多くの新技術が盛り込まれた実験的な特性を持つ。
パイロットのシンは、自分が信用されていないのではないかと感じている。
彼は常にキラが一人で前線に出て戦い、自分たちは後方での守備や避難誘導を命じられることに不満を持っている。
シンはキラに「一緒に戦おう」と言われ、その言葉に感動してコンパスに入ったが、実際はキラが一人で戦っていることが彼を悩ませている。
ルナマリアとアグネスは、シンの状況について異なる意見を持っている。
ルナマリアはシンの感情を理解し、支持するが、アグネスはシンを蔑むような態度を取り、彼を侮辱する。
アグネスはキラとの接近を図り、シンの信用問題を利用しようとするが、キラはシンを信用しており、アグネスの策略は失敗に終わる。
アグネスはこの失敗にもめげず、次の機会をうかがっている。
オルドリン自治区でのテロによる死者は四百二十八名にのぼり、ブルーコスモスによるテロの総死傷者は五千名を超えた。
各国政府は首謀者であるミケール大佐を国際指名手配し、その組織の解体を模索しているが、大佐の所在は未だに確認できていない。
ラクスはキラの帰宅を楽しみにしながらも、ニュースの悲報にため息をつきながらコロッケを揚げていた。
しかし、キラからの通話で、追加装備の調整作業が遅れており、帰れないことが告げられる。
ラクスはがっかりしながらも、キラに無理をしないようにと応じる。
キラは仕事の重圧に苦しんでおり、共に戦うことを望むラクスとの約束を果たせずにいる。
キラは技術士官のアルバート・ハインラインとともに、フリーダムの追加装備「プラウドディフェンダー」の開発を進めているが、技術的な問題に直面している。
アルバートはその圧倒的な能力で周囲から敬意を集めているが、彼自身は周囲の無能さに不満を抱いている。
この状況下でキラは、デュランダル議長がかつて提唱した「デスティニープラン」に思いを馳せる。
この計画は全人類の遺伝子を解析し、遺伝的適性に基づいて個々の人生を決定するものであった。
キラはその世界が持つ可能性とリスクを熟考し、戦争のない平和ながらも個々の自由や夢が失われる社会に疑問を感じている。
ラクスは深い霧の中を手探りで歩く夢を見ていた。
霧は重く体に絡みつき、大切な人が回復不能な傷を負っているか、死に瀕しているような焦りを感じさせる。
霧の奥に人影が見えるが、その顔は定かでなく、悲しんでいるように見える。
ラクスは近づくが、その人影がキラでないことに気づき驚く。
目が覚めると、心臓は激しく打っている。
何か取り返しのつかない過ちを犯したような、不吉な思いを抱えたまま、身を起こす。毛布が滑り落ちるが、それがキラが帰ってきたことを示していた。
喜びを感じながらも、キラの部屋へ向かうラクスは、デスクに突っ伏してうたた寝しているキラの姿を見つける。
彼女は彼に毛布をかけ、キラが読んでいた「デスティニープラン」の資料を見つける。
この資料を通じて、ラクスはキラが抱える重圧を理解し、二人がどのようにしてこれらすべての問題を乗り越えるかを考える。
大気圏に突入したミレニアム艦橋のシールドが下りると、地上の風景がモニターに映し出された。
地表の緑と砂漠、河川が織りなすパッチワークの大地が目に入り、ラクスはその光景に驚きを感じた。
ミレニアムは速やかに降下し、ファウンデーションの首都イシュタリアが近づいてきた。
新市街の摩天楼は日光を反射して輝き、古い都市部の中世の趣を持つ建物群はドーム屋根と青いタイルが特徴的だった。
ミレニアムとアークエンジェルは湖に着水し、ラクスたちはヘリコプターで王宮へと向かった。
王宮でラクスはファウンデーション宰相のオルフェ・ラム・タオと挨拶を交わす。
彼の若々しく端整な顔に、一瞬キラの面影を感じるが、オルフェとの握手から奇妙な衝撃がラクスを襲い、深い繋がりを感じさせるものだった。
その瞬間、キラによって現実に引き戻されるラクスは、何が起こったのか戸惑いながらもオルフェの誘導に従う。
美しいが何かを隠しているような都市で、キラは周囲の異変に警戒感を覚えるが、具体的な原因は掴めないままだった。
第二章
コンパス一同は、ファウンデーション宮殿の謁見の間に通された。
華麗で重厚な装飾の広間に圧倒されるシンは、全ての場面が美術館のように感じられた。
幼いファウンデーション女帝アウラ・マハ・ハイバルが、玉座から堂々として挨拶を交わす。
彼女はコンパスの迅速な対応に感謝を示し、さらにミケールのパルチザンに関する苦悩を語った。
隣で、宰相オルフェがその話に皮肉っぽく応じる。
アウラ女帝は、コンパスに対して感謝の言葉を述べ、歓談の席を用意したと告げる。
シンは、この場が中世の時代のようで場違いに感じる。一方、ラクスはアウラ女帝の礼儀正しい挨拶に応じる。
その後、シンはオルフェ宰相のラクスに向けた意味ありげな笑みに気づかなかった。
キラたちはイングリット・トラドールに宮殿を案内されており、ラクスと艦長たちは別行動を取っている。
イングリットは若く有能な雰囲気を放つ。
中庭では、ファウンデーションの近衛師団がサーベルを振るっており、シュラ・サーペンタインという近衛師団長がキラに挑戦する。
彼はキラに剣の技術を求め、キラがそれに応じることができないと嘲笑される。
しかし、キラは剣術に加わる気はなく、力による支配を望まないと応える。
宴の席でアウラ女帝は国の繁栄を誇り、オルフェの能力を褒め称える。
オルフェはラクスにダンスを求め、ラクスは彼の指輪が自分の母からもらった指輪と似ていることに気づく。
この指輪は、キラが戦いに出る前にラクスが託したものであり、彼女の祈りを込めた重要な思い出がある。
ラクスは、ダンスをしながらその指輪に何か意味があるのかと考える。
料理が並ぶテーブルにいるルナマリアたちは、ダンスフロアで踊るラクスとオルフェに目を向けた。
ムウは、踊る二人よりも近くにいる黒ずくめの一団に注意を払っており、シンは料理に興じていた。
ムウはその一団の軍人らしからぬ態度に疑問を持ち、ルナマリアと共にその不規則さを語り合う。
一方、ダンスフロアでアグネスがキラに踊りを誘うが、キラは断り、その場を去る。
アグネスの行動にルナマリアは内心で批判し、アグネスの過去の恋愛に触れつつ、彼女の行動を否定する。
その後、シンが登場し、彼に対するルナマリアの苛立ちは増す。
同じ夜、オルフェはラクスを宮殿の庭園に誘い、二人は花々が咲き誇る中を歩く。
オルフェは戦争の影と社会の不公平について語り、より公平な社会の実現を望む心情を明かす。
ラクスはオルフェの理想に感銘を受けるが、彼との一瞬の親密な接触に戸惑い、旅の疲れを理由にしてその場を去る。
キラは暗い中庭から離れ、回廊を歩いていた。
彼はラクスとオルフェが親密に談笑する光景を目にして、彼女の楽しそうな笑顔が頭から離れなかった。
ラクスのそんな表情は久しく見ていなかった。
自分以外の人に向けられた彼女の笑顔に、キラは苦痛を感じ、足早にその場を離れた。
同じくその場にいたアグネスは、参加者たちに無視されることに憤りを感じていた。
彼女は自分が高い地位にふさわしいと感じており、その夜、シュラ・サーペンタインという男に誘われてダンスを楽しんだ。
アグネスは自己の価値を再確認し、自分の力を誇りに思った。
キラは、アグネスが突然彼にキスを試みる場面に遭遇し、彼女の行動に困惑し怒りを感じた。
その後、キラはオルフェと遭遇し、彼からラクスと自分の未来について厳しい言葉を投げかけられた。
オルフェはキラがラクスと世界を導くにふさわしくないと非難し、キラはその言葉に混乱しながらも、自分の過去の行動と対比して苦悩する。
王宮の隣にはモビルスーツの格納庫があり、その中で異様な形状の黒いモビルスーツが並んでいた。
その中の一機の前でシュラが作業をしていた。
アグネスがおずおずと近づき、自分の魅力を疑いながら涙ながらにシュラに訴えた。
シュラは彼女を慰め、「月光のワルキューレ」としての彼女の美しさを認め、優しく抱きしめた。
これによってアグネスは少し癒された。
一方、ラクスは湖畔の東屋で深い思索に耽っており、彼女自身の行動について疑問を抱いていた。
そこへオルフェが声をかけ、彼らは共に月を見ながら対話を交わした。
ラクスは世界の争いに終止符を打つ方法を求めていたが、その簡単な望みがどうして実現しにくいのかを悩んでいた。
オルフェはラクスに寄り添い、彼女が求める平和な世界を創ることができると確信していると告げた。
その言葉にラクスは感動し、オルフェのもとへの届きやすさを感じた。
第三章
ミケール捕縛作戦の日、ラクスは戦略情報室からアークエンジェルと数機のモビルスーツが離水するのを見送る。
彼女はキラに戦後話をすることを伝えていたが、キラの憔悴した表情に心を痛める。
ラクスは自分がキラを終わりのない戦いに引きずり込んだと感じ、深い悔いを抱く。
彼が再び平和な生活に戻れることを願っている。
戦略情報室には、ラクス、アウラ、オルフェ、イングリット、ユーラシアの将校がいた。
ユーラシアの将校は、ファウンデーションとコンパスの動きを監視しており、エルドア地区の軍事行動に疑念を持っていた。
作戦開始後、アークエンジェルからのモビルスーツが敵を攻撃し、地上では敵のモビルスーツと交戦する。
市街地ではブルーコスモスが市民に爆弾を背負わせた非人道的な攻撃を行い、大規模な爆発が発生する。
この事態に、オルフェはユーラシア将校に救助活動の許可を求める。
将校は渋々ながらも許可し、エルドア地区での救助活動が開始される。
キラとシンは戦闘を続け、デストロイという巨大な敵機を破壊する。
しかしキラはまだミケールが残っていることを意識し、戦いを続ける覚悟を固める。
巨大な敵機デストロイが破壊された後、グリフィンは精神攻撃を使ってキラに影響を与える。
キラは戦闘中、突然不自然な幻覚に苦しみ、混乱状態に陥る。
この攻撃により、キラは幻覚の中でミケールが逃走する姿を見てしまい、現実と幻覚の区別がつかなくなる。
混乱の中、キラはミケールが逃げると思い込み、その追跡を開始する。
しかし、実際にはミケールはその場におらず、キラの行動は誤解に基づくものであった。
シンや他の隊員たちはキラの突然の行動に混乱し、彼の精神状態を心配する。
キラは敵と思い込んでユーラシア軍を攻撃し始め、これが国際的な問題に発展する危険性をはらむ。
ラクスと他の司令部のメンバーは、キラの行動を止めようとするが、彼の行動はすでに国境を越えてしまっていた。
この事態は、ユーラシアとの関係悪化を招き、戦争の拡大が懸念される。
ラクスはキラの暴走を何とか食い止めようとするが、オルフェは状況を収拾しようとするも、状況はすでに手遅れであった。
結局、キラは幻覚の中でミケールを追いかけ続け、フリーダムはユーラシア軍に無差別攻撃を加える。
この混乱の中で、ラクスはリーダーとしての責任を果たすため、重苦しい決断を迫られる。
通信機越しに、キラが耳を疑う出来事が起こる。ラクスが自分に対する攻撃を許可するという命令を下す。
その直後、ミレニアムに強力な通信ジャミングが発生し、すべての通信が途絶える。
このジャミングがユーラシアやブルーコスモスではないことが確認され、状況の深刻さが明らかになる。
一方、オルフェはグリフィンとリデルに攻撃の指示を出す。
彼らの攻撃により、キラは激しい攻撃を受ける。
キラは戦場の現実が一変していることに気付き、周囲がユーラシアの正規軍の残骸であることを認識する。
一方、アークエンジェルはファウンデーションの攻撃を受け始め、状況はさらに混迷を極める。
通信が途絶している中で、マリューはキラを救助するために動くが、突如、ブラックナイツのルドラがアークエンジェルに接近する。
この一連の出来事が、何者かの計画された策略であることが示唆される。
ユーラシア将校が通話を切った後、司令部に戦術核ミサイルの発射が確認されたことを報告する。目標は彼らの現在位置だという。
オルフェはすぐに総員待避を指示し、市内の住民も避難させるよう命じる。
しかし、ラクスは全住民の避難が間に合わないことを絶望的に思う。
オルフェに促され、イングリットと共に避難することになる。
一方、国境付近のユーラシア軍は混乱しており、核搭載車両からの連絡が途絶えている。
オペレーターはコントロールが効かないと報告し、この状況が国際問題に発展することを懸念する。
突然、黒いモビルスーツが現れ、彼らはビーム攻撃で焼き尽くされる。
同時に、アークエンジェルは二機のルドラに襲われ、攻撃を受ける。
マリューは艦内で声を張り上げ、迎撃を試みるが、敵の攻撃を避けることができず、艦は激しく揺れる。
彼女は彼らが目撃者を消そうとしていると確信する。
一方、ミレニアムではルナマリアが敵ミサイルの迎撃を試みる。
最初のミサイルを破壊するが、二発目のミサイルがコースを変え、迎撃が困難になる。
彼女は湖に落下し、ミレニアムが巨大な衝撃に見舞われる。
その衝撃は湖中でも激しく、クルーは揺れに耐える。
シャトルのモニターでラクスは、イシュタリア市が核ミサイルによって壊滅する様子を目の当たりにする。
その光景はラクスにとって耐え難いものだった。
彼女の祈りも虚しく、美しい都市と何万もの命が消え去る。
キラはキノコ雲を目撃し、何が起こったのか、ラクスの安否を心配しつつ、敵機シヴァとの戦闘に集中せざるを得ない。
一方、アークエンジェルは激しい攻撃にさらされ、命令により艦は放棄される。
マリューは最後の瞬間まで艦の退避を指揮する。
ゲルググ操縦者のマーズとヘルベルトは、ルドラとの戦いで敵の装甲に苦戦し、最終的に撃墜される。
ムウは友人たちの散り様を目の当たりにし、彼らの敵を討とうとするが、自身も大きな損傷を受ける。
最後にアークエンジェルは完全に破壊され、生存者はほとんど希望がない中で、リューとダニエルは戦場を離脱する。
彼らの目撃者消去と称される冷酷な作戦は、ほぼ完遂に近づいていた。
アークエンジェルが大きな損傷を受けて黒煙を上げているのを見たシンは、ルドラの攻撃を受け、ジャスティスが破壊される。
脱出したシンはギャンに救出される。
同時に、マリューはアークエンジェルが完全に破壊されるのを目の当たりにし、生存への希望を絶たれるかと思われたが、ムウによって救助される。
戦闘は続き、キラはシヴァに追い詰められる。シヴァの攻撃でフリーダムは重大な損傷を受け、戦闘不能に陥る。
一方、アグネスはキラに復讐を試みるが、未知のモビルスーツによって攻撃を受ける。
最終的にシュラはアグネスとともに戦場を離れ、戦いを続ける意志を新たにする。
シュラはアスラン・ザラと対峙し、予期せぬ強敵との遭遇に興奮するが、リデルからの時間切れの通知によって撤退を余儀なくされる。
アグネスも彼とともに行動することを選ぶ。
シヴァが突如戦闘を中断し、アグネスのギャンを抱えて飛び立つ。
この行動にキラは戸惑い、アグネスの反逆に衝撃を受ける。
アスランのモビルスーツが現れ、キラを救出する。
その際、アークエンジェルの生存者も救出されていることが明らかにされる。
一方、ミケール大佐は自らの拠点を捨てて逃走を図るが、エルドア上空で核爆発が発生し、彼はその衝撃で消滅する。
この爆発は戦場にいたすべてを焼き尽くし、アークエンジェルも完全に破壊される。
逃げ遅れた人々も犠牲になる。
ラクスはこの事態に言葉もなく、自らの行動を後悔しながらも、キラが死ぬことを考えていなかったことに苦しむ。
オルフェは新たな世界の始まりを静かに微笑んで見ている。
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