小説【SAO・GGO】「ガンゲイル・オンライン XI(11)」感想・ネタバレ

小説【SAO・GGO】「ガンゲイル・オンライン XI(11)」感想・ネタバレ

どんな本?

『ソードアート・オンラインオルタナティブ ガンゲイル・オンライン XI ─フィフス・スクワッド・ジャム〈上〉─』は、銃とサバイバルをテーマにしたスピンオフ作品で、熱いガンアクションが魅力の一冊である。この物語では、主人公のレンがVRMMO「ガンゲイル・オンライン」の第5回スクワッド・ジャム(SJ5)という大規模なバトルロイヤルに挑戦する。

今回の戦いでは、特殊なルールが課せられ、戦術の幅が広がっている。特に注目すべきは、「装備をスイッチできる」という新しい要素であり、これがプレイヤーたちに新たな戦略を要求する。また、レンには1億クレジットの賞金がかけられ、彼女を狙う敵が次々と現れることで、物語全体に緊張感が生まれる。

戦闘シーンは緻密に描かれており、霧に包まれたフィールドで繰り広げられるサバイバル戦は息を呑む展開が続く。特に、かつての敵である「全日本マシンガンラバーズ」のリーダー・ビービーとレンが共闘するという意外な展開は、物語に深みを与えている。互いに疑心暗鬼になりつつも、協力しながら敵に立ち向かう姿は、読者に感動を与える。

この作品は、ガンアクション好きな人や緊張感のあるバトルが好きな人に特におすすめである。また、シリーズを通して描かれるキャラクターたちの成長や絆も見どころであり、初心者でも楽しめる内容になっている。次巻でのさらなる展開も期待される、スリリングで魅力的なストーリーである。

読んだ本のタイトル

ソードアート・オンライン オルタナティブ
ガンゲイル・オンライン
XI
フィフス・スクワッド・ジャム〈上〉
著者:時雨沢恵一 氏
イラスト:黒星紅白  氏
監修:川原礫 氏
イラスト:abec 氏

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あらすじ・内容

「わたし、賞金首になったくらいで、 SJから逃げないもん!」

 SHINCとの合同チームで挑んだクエスト《ファイブ・オーディールズ》。その壮絶なバトルから間髪入れず開催が発表された第5回スクワッド・ジャム。
 スポンサー作家によって課せられる今回の特殊ルールは『ゲーム途中で、チームメイトが運ぶ別の装備一式にスイッチ可能』という、全プレイヤー混乱必至のものだった。
 当然のごとくSJへの挑戦を決めたレンたちは、首都・グロッケンの酒場で作戦会議を敢行するのだが、思いもよらぬ知らせが彼らのもとに届く――。それは『今回のSJでレンを屠ったプレイヤーに1億クレジットを進呈する』というもので……。

「わたし、賞金首になったくらいで、 SJから逃げないもん!」
時雨沢恵一×黒星紅白が贈る痛快ガンアクション、第11弾が登場!

ソードアート・オンラインオルタナティブガンゲイル・オンライン XI
─フィフス・スクワッド・ジャム〈上〉─

感想

あの作家さんがスポンサーとなって開催する、第5回スクワッド・ジャム(SJ5)。
何故かレンに賞金首がかかっており彼女を狙って襲って来る連中が多数出て来そうな時に、いきなり濃霧の中で、チームメイトとバラバラにされてしまう。
本当にあの作家はロクな事をしないよな(褒め言葉)。

第5回スクワッド・ジャム(SJ5)が開催され、レンたちは新たな戦いに挑んだ。
今回は「チームメイトの装備をスイッチ可能」という特異なルールが追加され、さらにレンには1億クレジットの賞金がかけられ、彼女を狙うプレイヤーたちが次々と現れた。霧に包まれ、チームメイトがバラバラに配置される中、レンはかつての敵である「全日本マシンガンラバーズ」のビービーと共闘を決意する。だが、その協力関係も複雑で、時には互いに疑いを持ちながらも、レンはビービーと共に困難を乗り越え、敵との戦いに挑んでいった。

この物語は、激しい戦闘と複雑な戦術が見事に描かれているである。レンが1億クレジットの賞金首として狙われることで、物語全体に大きな緊張感が生まれた。特に霧の中でバラバラに配置された仲間たちとの連携が困難な状況の中、レンがビービーとの共闘を選んだ場面が非常に印象的であった。敵同士でありながらも互いに信頼を築いていく様子が、物語に深みを与えていたである。また、ユーモラスなフカ次郎の存在が、戦いの緊張感を和らげ、読者に一息つかせる役割を果たしていた。

今回のスクワッド・ジャムは、予想外の展開が多く、スリリングなシーンが続く中で、レンが常に狙われるというプレッシャーの中、彼女がどのように行動するのかに非常に惹き込まれたである。霧の中での戦いは、これまでにない難しさがあり、新しいルールや敵との駆け引きが楽しめた。また、ビービーとの共闘シーンでは、戦場で芽生える友情や信頼が描かれ、戦いの厳しさの中にも温かさを感じさせたである。次巻でのさらなる展開が楽しみであり、物語の続きが待ち遠しい作品であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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ED

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備忘録

第一章  「五度目の正直」

2026年9月12日、土曜日の夜。
レンはVRゲーム『ガンゲイル・オンライン』内の酒場で、ピトフーイと会っていた。
ピトフーイは謎めいた挨拶でレンを迎え、レンは淡々とアイスティーを頼んで乾杯した。
二人はそれぞれの飲み物を飲みながら会話を続け、ピトフーイは何か重要な話を始めようとしたが、レンが他のメンバーがいないことを指摘すると、ピトフーイは感謝しつつ冗談を返した。

レンたちの仲間が集まった酒場で、ピトフーイが「スクワッド・ジャム(SJ)」の5回目開催について話し始めた。クラレンスがSJ5の開催決定を予測し、それに対してピトフーイが軽く応じた。シャーリーも出場を宣言し、フカ次郎は詳細を確認していないことが発覚したが、特に気にされなかった。

その後、ピトフーイが画面に表示された公式メッセージを紹介し、SJ5の開催日程や参加条件が示された。今回も30チームが参加可能で、シード権のあるチームは優先されること、また、予選会が行われることが明記されていた。

スポンサーの作家が自身の作品に対しての悪評に軽く触れたものの、あまりに執念深いメッセージであったため、フカ次郎が呆れる場面もあった。ピトフーイは、メカドラ戦の活躍が小説に活かされたかどうかを疑問視したが、他のメンバーはそれに関心を示さなかった。

結局、レンたちは次回のSJ5への参加を前向きに考えながら、その場の雰囲気を楽しんでいた。

レンたちの仲間が「スクワッド・ジャム(SJ)」5回目の開催について話し合っていた。フカ次郎は、開催が前回から1か月も経っていないことに驚きつつも、彼女が現在メインで遊んでいるゲーム「アルヴヘイム・オンライン(ALO)」に戻れない状況が続くことを嘆いた。レンもフカ次郎の強さが頼りになるため、彼女がGGOに留まることを歓迎した。

ピトフーイがSJ5の開催日程について確認し、レンや他の仲間たちはその日に特別な予定がないことを確認した。ピトフーイは自分の仕事をキャンセルしてまで参加する意欲を見せたが、レンは驚きつつも、ピトフーイの行動には触れなかった。シャーリーも参加を表明し、フカ次郎は特殊ルールについて確認するよう促された。

SJ5の特殊ルールとして、チームメイトから装備をスイッチできる「別装備」が導入され、その詳細が説明された。レンたちはこの新しいルールに戸惑いながらも、ピトフーイの説明を聞きながら理解を深めていった。特に、別装備を使うことで相手の意表を突くことができる点に注目し、戦略的に活用することが重要であると確認された。

エムは、これまでの試合や戦術が研究され尽くしているため、今回の特殊ルールを最大限に活用することが勝利の鍵であると主張した。レンたちは、その意見に賛同し、準備を進めることにした。

また、弾薬の回復システムについても説明され、倒した敵に応じて弾薬やエネルギーが回復することが示された。レンたちはこのルールも含め、次の戦いに向けた計画を立てていった。

フカ次郎は、SJ5の弾薬復活のルールについて「序盤に弾を惜しまず撃てるが、中盤以降はキルをしないと不利になる」と理解した。レンもその説明を聞いて納得した。ピトフーイは、今回の装備として7.62ミリ口径のマシンガンを選択し、チームに弾幕を張る役割が必要だと説明した。

エムは新たに手に入れた長大な対物狙撃銃「アリゲーター」を披露し、その射程は最大2000メートルであると説明した。これにより、エムも長距離狙撃が可能になり、シャーリーとともに強力な狙撃手として活躍できることが期待された。クラレンスにはショットガンを勧められ、レンも新しい武器を考えるが、最終的には自分に適した装備をエムの助言で決めた。

全員がそれぞれの役割と武装を確認し、SJ5に向けた準備を進めていった。

フカ次郎の第二武装がまだ決まっていなかったが、彼女は「楽しみたいから」という理由で諦めず、エムの助けを求めた。エムは、フカ次郎の射撃能力の低さを考慮しつつも最適な武装を提案した。フカ次郎はその提案を即座に採用し、他のメンバーもそれに同意した。

会議は21時近くに終了し、クラレンスが先にログアウトした後、シャーリーも退出した。レンは過去のスクワッドジャムの経験を振り返りながら、今回こそ普通に楽しみたいと願ったが、ピトフーイからの楽観的な言葉には懐疑的だった。

その後、フカ次郎が怪しげなメッセージを受け取ったことを報告し、その内容は「次のSJでレンを倒した者に1億クレジットを贈る」というものだった。それを聞いたレンは驚いて飲んでいたアイスティーを吹き出した。

第二章  「賞金首、その名はレン」

9月19日、第五回スクワッド・ジャム(SJ5)の開催が迫る中、実況者セインが高テンションで観客に挨拶していた。セインのチーム《散切り頭の共》は予選を突破する実力はあったが、過去の大会では序盤で全滅していたことから、観客は「もっと長く生き残れ」といった無責任な声を飛ばしていた。

その後、会場に入ってきたのは《メメント・モリ》(MMTM)というチームで、リーダーのデヴィッドを中心にした凄腕のメンバーが揃っていた。彼らはチームプレイを重視していたが、これまでのSJでは優勝できていなかった。特にレンやピトフーイに対して強い敵対心を持っていたが、今大会で優勝を狙っていた。

セインは彼らに取材を試みるが、デヴィッドに睨まれたことで退散。観客からは「怯むな」や「ジャーナリスト魂はどこへ行った」などの声が飛んだ。

MMTMが去ると、次に現れたのは見知らぬ六人の男達だったが、彼らに続いて入ってきた六人の女性チーム、SHINCが登場し、酒場は大盛り上がりとなった。セインは早速SHINCに取材を試み、チームリーダーのボスに「意気込みは?」と尋ねた。ボスは「全力を尽くす」と答えたが、セインがさらに装備スイッチについて聞くと、ボスは冗談交じりに「セクシーなビキニを用意した」と返した。

その後、SHINCが個室に向かう中、セインは「ピンクの悪魔」ことレンが1億クレジットの賞金首になっていることを伝え忘れたことに気づき、後悔していた。

数分後、無名チームが通り過ぎた後、ついに前回優勝チーム《全日本マシンガンラバーズ》、通称ZEMALが酒場に登場した。セインはすぐにリーダーであるビービーに突撃取材を試み、前回の完璧な勝利を称えた。ビービーは「今回も期待に応えるよう頑張る」と爽やかに答えた。

セインは続けて、今回の特殊ルールである武装スイッチについて尋ねたが、ビービーは「何か準備しているかも」とだけ答え、詳細は明かさなかった。さらにセインはレンにかけられた1億クレジットの賞金についても聞いたが、ビービーは興味がなさそうに「見かけたら倒す。もらえるものはもらっておく」と冷静に答え、インタビューは終了した。

セインは、前回の優勝チーム「全日本マシンガンラバーズ」をはじめ、多くのチームが続々と酒場に現れる中、最も注目されていたピンクのチビ、レン率いるチームLPFMがまだ姿を見せていないことに気づいていた。12時50分までに到着しないと欠場となるが、ギリギリまで現れないことで場はざわめいた。

その後、ようやくチームLPFMのメンバーが姿を見せるも、レンがいないことに観客たちは驚いた。さらに、彼らは完全武装で現れ、異例のスタイルに一層の驚きが広がった。セインがフカ次郎やピトフーイに質問すると、ピトフーイはレンが賞金首になったことに不満を持ち、今回は出場しないことを伝えた。

セインはその驚きに呆然としながら実況を続けたが、彼らの武装については結局答えを得られないまま、待機エリアに転送された。

待機エリアでの出来事であるが、LPFMのメンバーは、レンをエムのバックパックに隠し、彼女が不参加と見せかける作戦を立てていた。エムは、この戦略が一部のプレイヤーを混乱させ、賞金首として積極的に狙われることを防ぐと説明した。ピトフーイが提案者であり、レンが消えたように見せることで、幽霊のように驚かせる狙いであった。

レンは、賞金首になったことで戦いを避けるつもりはないと決意を示したが、誰が賞金をかけたのかは心当たりがなく、クラレンスもその謎について質問した。レンは、これまでに倒した多くのプレイヤーが関係している可能性を考えたが、賞金額が異常に高いことから、特定の個人が強い執着を持っているのではないかと推測された。しかし、明確な答えは出ないまま、ピトフーイが再びレンに自分は無関係だと弁明し、話は終わった。

七日前、レンが賞金首になった直後、SHINCのボス、新渡戸咲からレンに共闘を提案するメッセージが届いた。その内容は「次のSJで最後の二チームになるまで一緒に戦おう」というものだった。チームメイトにその提案を伝えると、特に反対もなく共闘が決定された。問題は、どうやってSHINCと合流するかということだったが、13時10分のサテライトスキャンを待ってから行動を決めることにした。

LPFMチームのメンバーは、それぞれ装備を確認しつつ待機していたが、フカ次郎が冗談半分に「我々がほぼ優勝確定した時、レンを後ろから倒して賞金を得られるか?」と話題に出した。仲間たちはその冗談に乗りつつ、レンも「優勝がほぼ確定した時だけなら挑んでこい」と応じた。チーム内でさえ競い合うこともあり得るといった雰囲気の中、カウントダウンが進み、彼らはついに光の粒子となり戦場へと転送された。

最後に、待機エリアに「SJ5の特殊ルールについての追加」が表示されたが、それを読む者はいなかった。

第三章  「アローン・イン・ザ・ミスト」

転送の光が終わり、レンが目を開くと周囲は濃い霧に包まれていた。彼女はすぐに自分が濃霧の中にいることを理解したが、他のチームメイトたちも同様に霧の中で視界が遮られていた。しかし、彼らの足元はそれぞれ異なり、全員が異なる場所に転送されていることが判明した。13時3分、追加のルールとして、チームメンバーがバラバラに配置され、霧が完全に晴れるまでコンパスが使えず、通信も制限されることが発表された。

エムはチームメンバーにそれぞれの状況に応じた指示を出した。フカ次郎は隠れることを優先し、シャーリーは雪原での機動戦を行うよう指示された。クラレンスは移動を最小限にし、敵を見つけたらすぐに逃げるように伝えられた。レンは、拳銃ヴォーパル・バニーを使用し、敵を見つけたら一撃だけで素早く逃げるという指示を受けた。

サテライト・スキャンが始まると、レンたちはそれぞれの作戦に従って行動を開始し、生き残るための準備を整えた。

レンはサテライト・スキャンを使い、自分の位置を確認しようとしたが、自分が南西の端にいることを知り、目指していた仲間たちと対角線上で最も離れた場所にいることを悟った。過去の経験を思い出しながら、レンは自分を信じて戦うことを決意し、武装を切り替え準備を整えた。突然銃声が聞こえ、弾丸が霧の中を飛び交う。レンは間一髪で伏せ、危機を逃れたが、敵が近くにいることを察知した。

レンは慎重に動き、敵の背後に回り込んだ。敵は緑色の迷彩服を着ており、アサルトライフルを使用していたが、レンに気づいていなかった。彼の恐怖を感じながらも、レンは冷静に銃口を敵の首筋に押しつけ、2発の銃声で敵を倒した。

レンは敵を倒した後、エムの指示通り全力で走り続けていた。濃い霧の中で方角が分からず、どこへ向かうべきか悩んでいたが、迷わず進み続けることに決めた。その途中、旧陸軍のコスプレチームの一員とすれ違うが、接触は避けた。

さらに走り続けていると、レンは不意に誰かと衝突した。相手は女性プレイヤーで、緑色の服を着ていたが、霧の中で詳細が確認できなかった。レンが逡巡していると、相手から「レンちゃん」と声がかかった。その声は馴染みのないものだったが、どこかで聞いたことがあるようだった。

やがて霧の中から姿を現したのは、レンが知っている女性プレイヤー、ビービーだった。彼女は以前、レンたちと共闘したことがあり、今回も特別な目的を持っているようだった。ビービーはレンに「14時まで手を組まないか」と提案した。

13時17分過ぎ、レンはビービーの提案に理解を示しつつも、慎重に質問を投げかけた。ビービーはサッパリとした答えを返し、後ろから撃たれる保証はないと明かした。レンはさらに、盟友であるSHINCとの共闘について確認し、ビービーもそれを一時的に受け入れた。

レンはまた、ビービーのチームであるZEMALのリーダーが南東にいることを指摘したが、ビービーはチームメンバーに動かないよう指示済みで、リーダーのみが別行動をとっていると説明した。

その後、レンはビービーとしばらく共闘することを決意し、ビービーは微笑んで応じた。そしてレンは、フカ次郎との関係について尋ねたが、ビービーは「それを語るには一晩必要」と返し、次のスキャンに備えた。

第四章  「二人だけの戦い」

13時20分、二回目のスキャンが南から始まった。レンは北に1キロ進んでいたが、思ったほど進めていなかった。地図には高速道路が描かれ、少しだけ状況を把握できた。ビービーは、レンの進んだ道も自分の端末に反映されていると説明し、敵でも味方でもマップデータが自動的に統合されることが判明した。

スキャン結果から、SHINCのリーダーがレンに向かって南西に移動していることが分かり、レンは次の行動として北東に移動することを決めた。ビービーはレンに先導を任せ、30メートル後ろからマップを見ながら指示を出すという作戦を提案した。

ビービーは、レンを見失わないために赤外線設定のマーカーライトを使うことを提案し、レンもそれを受け取って頭に装着した。ビービーの指示に従い、レンは自分で敵を判断して対応する役割を引き受けることになった。

レンはこの状況に疑問を抱きつつも、ひとりで行動するよりも生存率が高まると判断し、ビービーと協力して進むことを決意した。

8月29日の土曜日、香蓮は美優にビービーについて尋ねた。ビービーは『SJ4』で優勝に導いた優秀な女プレイヤーであり、かつて『ALO』でサラマンダー(火妖精族)に所属していた。フカ次郎と過去に対戦経験があり、その時も一方的に彼を打ち負かしていた。美優は、ビービーは「強さを求める者」「プライドに生きる者」「戦況を読める者」という三つの要素を全て兼ね備えた人物であると説明した。さらに、ビービーは他のプレイヤーの特性を見極め、的確な指揮を行う名参謀であったという。

過去の『ALO』での空中戦では、シルフのパーティーがビービーの指揮するサラマンダーチームに完敗した。その戦い方は第二次世界大戦中のドイツ空軍の戦術に似ており、非常に効率的な連携が取れていたため、シルフチームは全員が空中で敗北し、「炎になった」とのこと。この経験から、ビービーが率いる編隊との戦いは避けるべきだと結論づけられた。

美優の話を聞いた香蓮は、ビービーの能力の高さを理解し、気をつけるべき人物であると認識した。

SJ5開始から21分後、レンは濃霧の中を進んでいた。霧が予想よりもゆっくり晴れ始め、14時に一気にクリアになる可能性が高いと感じていた。高速道路を渡る際、レンは中央分離帯を超えたところで、突然黒いステーションワゴン車が猛スピードで迫ってくるのを発見した。避ける時間もなく、レンは素早く大ジャンプして車を避けたが、車は急ブレーキをかけ、運転手はレンの存在に気づいたようだった。

ビービーはレンに手榴弾を使った戦術を指示し、レンは素早く従った。車はビービーのRPD軽機関銃の銃撃を受け、ひっくり返った。車に乗っていた3人のプレイヤーは全員死亡しており、レンは彼らが仲間や知り合いではないことを確認した。ビービーの冷静な指示と助けにより、レンは再び命を救われた。

その後、レンはビービーに、なぜ準備がそんなに完璧だったのかを尋ねた。ビービーは、スポンサー作家が自作の小説をゲーム内で再現することを知っており、霧の中での戦いが予想されたため、赤外線ストロボを用意していたと説明した。レンはその説明に納得したものの、ビービーの先見性に驚かされた。

レンがビービーと共に濃霧の中を進んでいたところ、高速道路を外れた先に広がる住宅地に到着した。周囲はアメリカ風の大きな家々で、霧のために視界は限られていた。進む道が左右に分かれる地点に差し掛かったレンはビービーに指示を求めたが、返答がなく、敵が近くにいると感じて身を隠した。

その後、レンは大声で罵声を浴びせながら進むプロテクター装備の男、T-Sのメンバーを発見したが、ビービーの指示で手を出さずに隠れていた。さらに、T-Sの仲間と思われる二人の男が慎重に進んでいるのを目撃し、敵が囮作戦を実行していることを察した。

T-Sのメンバーが離れると、ビービーがレンの元に現れ、彼女が敵を密かに撃破しようとしていたことが分かった。その後、二人は再び移動を開始し、遠くで銃撃戦の音が聞こえてきた。

その中、レンは自転車に乗っているプレイヤーを目撃し、それが自爆特攻チーム《DOOM》の一員であることに気づいた。爆発の危険性を感じたレンは急いで走り始め、ビービーに注意を促しつつ、敵からできるだけ離れるように努めたが、最終的に爆発が発生した。

第五章  「合流」

レンは後方からの大爆発で吹き飛ばされ、空中を舞いながら豪邸に向かって突っ込んでいった。必死に体勢を整え、レンは窓ガラスを突き破り、豪邸のリビングに着地したが、爆風の影響でヒットポイントが減少していた。レンは周囲が晴れて霧が一瞬消えたことに気づき、ビービーの無事を確認した。

しかし、ビービーは柵に腹部を貫かれた状態で動けず、ヒットポイントも大幅に減少していた。レンはビービーを救おうとし、柵を銃で破壊する作業を始めた。レンは持っていたP90を使用して柵を次々と破壊し、ビービーを解放しようとしたが、ビービーは重力に囚われて落下。

しかし、間一髪で別のプレイヤーであるボスが現れ、ビービーを受け止めた。

レンとビービーが危機的状況に陥っていたが、そこへ現れたボスがビービーを救出した。彼はビービーの体に刺さっていた棒を力強く抜き、地面に優しく横たえた。ビービーは一命を取り留め、ヒットポイントが回復し始めていた。

その後、レンが霧の中に奇声を発する男を発見した。男はレンたちを狙っていたが、突然仰け反り、倒れた。男は即死のヘッドショットを受けており、【Dead】タグが表示された。銃声がなかったため、レンは驚きつつ状況を確認すると、背後からデヴィッドが現れ、サプレッサー付きのアサルト・ライフルを構えていた。

13時32分、レン、ビービー、ボス、デヴィッドの4人は、頑丈な煉瓦造りの豪邸の2階に立てこもっていた。煉瓦の壁が銃弾を防ぐ上に、2階から周囲を見下ろせるため、非常に有利な位置であった。

彼らは、それぞれ東西南北の窓に分かれ、周囲を警戒していた。ビービーは感謝の意を示し、レンやボス、デヴィッドといったメンバーとの連携が功を奏したことに満足していた。しかし、デヴィッドがサテライト・スキャンの結果を報告し、リーダーマークが見当たらないこと、全チームがまだ残っていることを共有した。

その後、彼らは立てこもりを続け、ビービーの回復を待つことにしたが、突然東側から敵が接近し、ボスが素早く二人を撃ち倒した。レンは安堵したものの、すぐにグレネード・ランチャーによる攻撃が始まり、敵の猛烈なマシンガン射撃が続いた。ビービーのチームメイトであるシノハラが加勢に来たが、彼も仲間に背後からグレネードで撃たれ、無惨に死亡した。

そして、霧の中からフカ次郎の声が響き、ビービーへの積年の恨みを叫び、家ごと吹き飛ばすと宣言していた。

登場人物

  1. レン:主人公で、GGO内の戦闘に参加するプレイヤー。
  2. ピトフーイ:レンの仲間であり、GGO内で共に行動する重要なキャラクター。
  3. フカ次郎:レンのチームメイトであり、GGOやALOで活躍する。
  4. シャーリー:レンのチームメイトの一人。
  5. エム:レンのチームに参加する長距離狙撃手。
  6. クラレンス:レンの仲間で、戦闘に参加するプレイヤー。
  7. セイン:実況者であり、GGO内の戦闘やイベントを報道するキャラクター。
  8. デヴィッド:MMTMのリーダーであり、レンたちと敵対するプレイヤー。
  9. ビービー:ZEMALのリーダーで、強力なプレイヤー。レンや他の仲間と共闘する。
  10. ボス:SHINCのリーダーであり、レンと共に行動する。

SJ5に参加するチーム名

  1. LPFM:レンが所属するチーム。
  2. SHINC:ボスが率いる女性チーム。
  3. ZEMAL(全日本マシンガンラバーズ):ビービーが率いる強力なチーム。
  4. MMTM(メメント・モリ):デヴィッドがリーダーを務めるチーム。
  5. 散切り頭の共:実況者セインが所属するチーム。
  6. DOOM:自爆特攻チーム。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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