どんな本?
「ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」は、篠崎芳によるライトノベルシリーズで、KWKMがイラストを担当している。
主人公は「 ハズレ枠」と称され召喚した女神に廃棄場に廃棄されてしまう。
廃棄された召喚者達を嬲り殺そうと襲って来たモンスターを【状態異常スキル】を駆使し、困難な状況を乗り越えていく。
物語は、主人公が経験値の取得とレベルアップを繰り返すことで自身の限界を超え、新たなスキルを獲得し、押し寄せる魔物を蹂躙していくところから展開。
このシリーズは、読者に強い印象を与えるストーリーとキャラクターで知られている。
また、このシリーズはオーバーラップ文庫から出版されており。
それぞれの巻は、主人公が困難を乗り越えて成長していく様子を描いている。
このシリーズは、ファンタジーと冒険の要素を組み合わせたエキサイティングな物語で、多くの読者から高い評価を受けている。
読んだ本のタイトル
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで 12
(英語名:Failure Frame: I Became the Strongest and Annihilated Everything With Low-Level Spells)
著者:篠崎芳 氏
イラスト:KWKM 氏
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あらすじ・内容
「ハズレ枠」と称されたスキルを駆使し、ついにヴィシスが座すアライオンへとたどり着いた三森灯河。その直後アライオンの王都が概念魔法「神創迷宮」により変貌するも、己が復讐を果たすため灯河は、迷宮へ足を踏み入れるのだった――。
そして灯河たちと同じく迷宮内へ突入した十河綾香と高雄聖、高雄樹は遭遇する。
堕神ヲールムガンド、虚人ヨミビト。現れたる“ヴィシスの仔ら”。
今、神創の迷宮にて、神創の大敵とS級勇者との死闘が――開始される。
「…… 大分、かかっちまったが。」 宣言通り「戻ってきたぜ、ヴィシス」
かつて空気モブだったE級勇者が、絶対最強へと至る逆襲譚12幕。
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで 12
プロローグ
安智弘はヨナト公国を目指す途中で、廃村で十河綾香の話を聞く。綾香がミラ軍を押し返していると知り、彼女に会うために南へ引き返す決意を固める。リンジから改造馬を提供され、ユーリや仲間たちに感謝を述べ、旅立つ準備を整えた。
1. 変われない偽物の選択
リンジ一行は廃村を離れヨナトへ向かうが、金眼の魔物の襲撃を受ける。リンジは馬車を先に行かせ、自らは金眼を引きつける。安智弘はリンジたちの戦いを発見し、加勢する決意を固め、黒炎で魔物を撃退した。
2. 女神討伐同盟と勇者たち
灯河は新たな蠅王装姿でミラ軍と共に戦う準備を整える。彼は高雄姉妹やセラスらを温存し、戦力を確保するための戦略を練る。聖体軍との戦闘が始まり、討伐軍は次々と聖体を撃破し、初戦を勝利で終えた。
3. 帰還
灯河たちは三日間の戦闘後、休息を取りつつヴィシスの動向を監視する。彼は仲間たちと共にアライオン領に進軍し、イヴ・スピードと再会。対ヴィシス用の魔導具の説明を受け、出発前に仲間たちとの絆を深める。
4. 神創迷宮/神葬命宮
討伐軍は王都エノーに迫り、ヴィシスが顕現させた神創迷宮に突入する。灯河や十河綾香、セラス、高雄姉妹らが転送され、合流を目指しつつ戦闘を続ける。彼らはヴィシスとの決着をつけるため、戦略を練る。
5. no alternative
高雄樹は姉の聖と協力してヨミビトと戦う。彼らは挟み撃ち作戦を取るが、ヨミビトの再生能力に苦戦する。樹のスキル進化により形勢が逆転し、聖の「グングニル」によってヨミビトは倒された。
エピローグ
ピギ丸はムニンと合流し、共に城を目指す。中型聖体との戦闘に苦戦するが、灯河が助けに現れ危機を脱する。セラスも合流し、協力して聖体を倒す。灯河たちは城を目指し、ヴィシスとの決着をつける決意を固めた。
感想
第12巻は、非常に緊迫した戦闘シーンが続く物語であった。
特に、女神ヴィシスとの対決に向けて各キャラクターの成長や絆が描かれており、読者を引き込む要素が満載である。
まず、灯河の強さと決意が一層際立ち、彼女の復讐心と仲間への信頼が物語を牽引している。
また、高雄姉妹の絆や、十河綾香の圧倒的な強さも見どころであった。
彼女たちの奮闘により、物語はますます白熱していく。
ヴィシスの策略や冷酷さも印象的であり、彼女の計画がどのように展開されるのか、興味を引かれる。
しかし、ヴィシスの行動には少し底が浅い部分も感じられ、彼女が自己満足に陥っている点が不穏であった。
全体的に、戦闘シーンの迫力とキャラクターの成長が魅力的であり、飽きさせない展開が続く。
後、ピギ丸の成長や個性の成長も興味深く、今後の展開に期待が持てる。
本作は、登場キャラクターたちの絆や成長が丁寧に描かれており、彼らの奮闘が心を打つ。
女神ヴィシスを討伐するために協力する姿勢や、各キャラクターの成長が光る一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
プロローグ
安智弘はヨナト公国を目指して旅をしていたが、途中で立ち寄った廃村で、他の旅人たちから十河綾香の話を聞いた。綾香はたった一人でミラ軍を押し返し、アライオンの攻勢を支えているという。安は綾香に会い、謝ることを決意し、ミラに引き返すことにした。
一行のまとめ役であるリンジに事情を話すと、リンジは安に片手でも乗れるように改造された馬を提供した。安はリンジや仲間たちの気遣いに感謝しつつ、旅立つ準備を整えた。
旅の途中で親しくなったユーリとも別れを告げ、短い間の旅に感謝の意を伝えた。ユーリの母親も感謝を示し、安は一行全員に深々と礼をし、感謝の言葉を返した。
こうして、安智弘は十河綾香に会うため、南へ引き返す決意を固めた。
1.変われない偽物の選択
リンジ一行は廃村を離れ、ヨナトを目指して旅を続けていた。新たにヨナトから来た旅人たちの情報により、北の街道を避けて西の林道を通ることにした。道中、金眼の魔物の一部が南へ移動しているとの報告を受け、リンジらは急いでヨナトへ向かう決意を固めた。
林道を進む中、金眼の魔物の襲撃を受け、馬車が横転した。ユーリとその母親は外に投げ出され、傭兵たちが防御に立ち向かう。金眼猿の数が増え、リンジは馬車を先に行かせ、自らは金眼を引きつける役割を担った。
馬車が激しく揺れる中、金眼猿が待ち伏せしていたことが判明。リンジら傭兵は勇敢に戦うが、次第に劣勢に立たされる。特に体格の大きい金眼猿が登場し、傭兵モイルが攻撃を受けて倒される。
リンジらは絶望的な状況に直面しつつも、仲間を守るために戦い続けたが、次々と倒れていった。ユーリの母親や他の旅人たちは恐怖に包まれながらも、傭兵たちの奮闘を見守っていた。
金眼の猿たちに襲撃されたリンジの一行は絶望的な状況に陥っていた。モイルは金眼の猿に腕を砕かれ、他の傭兵たちも次々と生きたまま弄ばれていた。動けない者たちは、恐怖に震えながらも互いに抱き合い、リンジたちの助けを待っていた。
その時、金眼の猿たちの興味が動けない者たちに向かい、ユーリと目が合った。ユーリの母親は、息子を守るために短剣を取り出し、覚悟を決めていた。しかし、ユーリの涙に心が揺れ、母親は彼を安心させようと必死に笑顔を見せた。
その瞬間、暗黒の炎が現れ、金眼の猿を焼き尽くした。廃村で別れたはずの黒衣の少年が現れ、猿たちと戦い始めた。黒い炎を操る少年は、「これ以上手は出させない」と決意し、猿たちを撃退するために立ち向かった。
【安智弘】
安智弘はリンジらと別れた後、南へ向かっていたが、胸騒ぎを感じて再び北へ向かった。廃村に戻った後、リンジたちが北の街道へ向かった痕跡を辿り、林道に入ると金眼の魔物と戦っているリンジたちを発見した。彼らが馬車を先に行かせ、自らは金眼を引き受けていたと理解し、安は加勢することを決意した。
安の強力な黒炎のスキルで金眼の魔物を一掃し、リンジたちを救った。しかし、リンジの馬が逃げてしまったため、安に先行する馬車の救助を頼む。リンジたちは安の能力を信じ、安はその期待に応えるため、馬を走らせて馬車を追いかけることにした。
安智弘は金眼猿に襲われている馬車隊に辿り着き、ユーリとその母親の前に立ち、黒炎で猿たちを撃退した。しかし、巨大猿に対する恐怖に立ちすくむ。過去のトラウマが甦り、自信を失いかけるが、彼は決意を固め直す。自分は変わらない臆病者だと理解しつつも、守りたい人々のために勇気を振り絞り、猿たちに立ち向かう。今だけでも勇者になると決心し、再び戦う意思を示した。
安智弘は南へ移動を始めたが、リンジたちの安全を心配し、再び北へ向かうことを決意した。金眼猿に襲われていた馬車隊に辿り着き、ユーリとその母親を守るため、黒炎を使って猿たちを撃退した。戦いの中で恐怖を感じつつも、勇気を振り絞り、全ての猿を倒すことに成功した。安はリンジたちと再び合流し、彼らをヨナトまで無事に送り届けることを誓った。十河綾香に会うことを諦めず、借り物の力でも人々を守る決意を新たにした。
2.女神討伐同盟と勇者たち
聖体軍が迫ってきているという報告が入り、戦いの準備が整っていた。灯河は新たな蠅王装姿で陣幕の中にいた。ミラ軍はカトレア・シュトラミウス率いる混成軍を味方に付け、女神討伐同盟として戦うこととなった。最高司令官は狂美帝とカトレアの二人であり、灯河は勇者たちを指揮する立場にあった。
灯河の蠅王ノ戦団は自由に動く遊撃隊として配置され、高雄聖と高雄樹姉妹も参戦準備を整えていた。聖体軍の強さ次第で姉妹の投入も考えられていたが、彼女たちの正体を隠すために温存する方針であった。
灯河は、ヴィシスの因子を持つ神徒たちとの対決を見据え、聖たちを決戦に投入する計画を立てていた。神徒との戦闘には純粋な戦闘能力が求められ、高雄姉妹の力が重要と考えられていた。神徒を抑えるために必要な戦力として、十河綾香やセラス・アシュレインと同等の実力を持つ高雄姉妹が期待されていた。
灯河は、神徒との戦いで姉妹が正体を露見しても致し方ないと考え、彼らの参加を許可した。ヴィシスとの決戦に備えるため、必要な戦力を確保し、最終的な勝利を目指すべく戦略を練っていた。
灯河は兵士たちが行き交う中を歩き、討伐同盟軍がネーア聖国の王都近くに位置している状況を確認していた。補給も万全であり、兵站面での心配はない。北東からは大規模な聖体軍が進行してきており、バクオスの黒竜が斥候として情報を伝えていた。
灯河はリィゼロッテ・オニクに呼び止められ、彼女と会話を交わす。リィゼは最果ての国勢と討伐同盟軍の調整役を務めており、各国のリーダーたちと協力して亜人や魔物が溶け込みやすい環境を作っている。彼女は今後、ミラの予備戦団と会い、感情を探る予定である。
リィゼはかつて閉ざされていた武具庫の鍵を見つけ、その中の武具や魔導具を活用して戦力を向上させたことを報告した。灯河はリィゼの成長を感じ、彼女が周りの力を頼りにできるようになったことを称賛した。リィゼも自分の役割を理解し、全力で戦いに貢献しようとしていた。
最後に、灯河はリィゼの成長を認め、彼女が既に大人として立派に成長していることを伝えた。リィゼは照れ隠しに話題を変えつつも、灯河の言葉に喜びを感じている様子であった。
灯河とセラスは丘の上から迫る聖体軍を見ていた。聖体軍は遠目にも目立ち、特に大きな個体が混ざっていた。ミラ軍は既に布陣を整え、盾隊、弓隊、術式隊が順に配置されていた。カトレア率いる混成軍はまだ待機中であった。
聖体軍には人間の指揮官も含まれており、ヴィシスの指示を現場で伝える役割を果たしていた。聖体軍の中には神徒が混ざっている可能性があり、ヴィシス自身の出現は確認されていなかった。ロキエラの情報によると、神徒たちは非常に厄介な存在である。
戦いが始まり、ミラ軍の弓隊と術式隊が聖体軍に攻撃を仕掛けた。聖体たちは次々と倒れていったが、後続の聖体たちが武装を奪いながら進軍してきた。騎兵隊も奮闘し、激しい戦闘が繰り広げられた。
敵の第二陣として半馬聖体が現れ、槍を投げながら突撃してきた。ミラ軍はこれに対処しつつも、次々と戦力を削がれていった。第三陣の歩兵聖体が迫る中、ミラ軍の歩兵部隊も出撃を開始した。
その中で黒い影が歩兵たちを縫うように疾走していった。それは最果ての国の黒き豹の戦士たちであり、ジオ・シャドウブレード率いる豹煌兵団が戦場に現れたのである。
ジオ・シャドウブレード率いる豹煌兵団が初陣に加わりたいとの相談があり、彼らは戦力としての実績を示し、仲間として戦う意志を見せた。ジオは半馬聖体と対峙し、これを一刀両断で倒す姿を見せた。その後、ミラ兵と共に聖体軍を押し込み、戦況を有利に進めた。左翼ではカトレア率いる混成軍が適切なタイミングで聖体軍の側面を攻撃し、右翼ではリィゼロッテ・オニクが率いる予備戦団がうまく連携し、聖体軍と戦った。狂美帝も全体の戦況を把握し、戦力の配置を調整した。
灯河はヴィシスと神徒の動向を探るため、確証が必要だと考えた。エリカの使い魔からの情報を期待していたが、使い魔として現れた鴉はエリカのものではなく、「リズ」という名前を示した。
灯河は使い魔リズからヴィシスや神徒の動向を確認するため、エノー王城にいるヴィシスたちの情報を得た。ヴィシスは王城に籠城しており、現在の戦場にはいないと分かった。灯河はヴィシスの目的が時間稼ぎであると推測し、迅速に行動することを決意した。
戦場では、ジオ・シャドウブレード率いる豹煌兵団が奮戦しており、ミラ軍や最果ての国勢と共に聖体軍と戦っている。灯河は状況を見極めつつ、十河綾香に伝令を送り、自身も戦場で動く準備を始めた。
【十河綾香】
十河綾香は、出陣の指示を受け、単独で戦場に向かうこととなった。カトレアと対話し、過去の経験と反省を共有しつつ、彼女からの励ましを受けた。綾香は、自分の使命を果たす決意を新たにし、戦場での役割を全うするために出撃する。彼女は戦場全体の聖体を駆逐し、恩返しと償いを果たす意志を固めていた。
左翼前線は混戦に突入していたが、味方の動きは良好であった。ポラリー公爵の率いる軍勢は聖体の波に押されながらも奮闘していた。その中で十河綾香が前線に到着し、兵たちを助けながら敵の中型聖体や大型聖体を次々と撃破した。綾香は聖体に指示を出す貴族たちを捕え、戦場の秩序を崩すことで味方の優位を確保した。彼女の奮戦により、味方は士気を高め、勝利への道筋を見出した。綾香は、自分の力が誰かの役に立ち、誰かを救うことで、自らの役割を再確認し、戦場での使命感を強めていた。
左翼前線の戦況は十河綾香の投入により劇的に変化した。彼女は聖体軍を次々と撃破し、指揮官役の人間を捕縛して後方へ送り込んだ。その結果、左翼の聖体軍は崩壊し、戦場全体の優位を確保することができた。
灯河はこの状況を見て、セラスたちを率いて右翼前線へ移動し、そこで巨大聖体を撃破していった。彼は状態異常スキルを駆使しながら聖体を次々と倒し、戦況を優位に進めた。三日にわたる戦闘で、味方は後方の待機軍と入れ替わりながら戦い、最終的に勝利を収めた。
灯河と十河綾香の活躍が大きく貢献し、女神討伐同盟はこの初戦を勝利で終えた。戦闘後、灯河は黒竜とハーピーを偵察に出し、アライオンの国境線まで敵の姿を確認しなかった。
三日間の戦闘が終わり、灯河とロキエラは戦況を振り返った。ヴィシスの戦略は数と質を活かした大規模な攻勢だったが、十河綾香の存在が大きく敵の計画を狂わせた。ロキエラは、ヴィシスが飛行能力を持つ聖体を使わなかったことから、対神族特化の聖体にリソースを集中していると推測した。
リズの情報によれば、聖体軍の一部がヨナト王都へ向かっている。これは、聖眼を破壊し再びゲートを開くための準備と見られる。灯河たちはヨナトの援軍を確保しつつ、アライオン王都への道のりでの戦闘に備える必要がある。
ヴィシスがエノーで籠城する理由は、聖眼破壊までの時間稼ぎと対神族聖体の保護である。灯河たちは、この状況を打開するために、ヴィシスを駆逐しなければならないと決意を新たにした。
【ヨナトの女王】
ヨナトの女王アルマ・セントノキアは、ヴィシスから聖眼の機能停止を求める伝書を受け取った。聖眼はヨナトの守り神であり、その停止要求に混乱するアルマ。ヴィシスの指示には疑念を抱いていたが、ミラから届いたスマートフォンの古代魔導具で女神の本性を知り、反女神の立場を強める。反乱を起こした狂美帝や、ネーア、バクオス、アライオンの一部が反女神側に回ったことも確認する。
アルマは、聖眼の防衛に向けてミラやマグナルの援軍が到着することを知り、聖眼を守る決意を固めた。ヴィシスの要求を拒否し、女神への憎しみを募らせるアルマは、伝書を握り潰し、「ふざけんじゃないわよ」と怒りを露わにした。
【安智弘】
安智弘はリンジらと共にヨナト領内に入った。ヨナトの人々が荷物を持って避難している様子を見て、聖眼を狙う邪悪な軍勢から逃げていることを知る。道中でヨナトの守り神である聖眼が危機にあると知り、一行は避難を決意する。街道で騎士が集まる人々にヴィシスが大陸の人々を根絶やしにしようとしていると告げ、反女神の動きが広まる。安もその話に同意し、ヨナトの聖眼を守る決意を固める。ユーリの不安を和らげるため、勇者として戦うことを誓い、彼女を安心させる。
安智弘はリンジら一行と共にヨナト領内に入った。人々が大きな荷物を抱え避難している様子に違和感を覚えるも、そのまま進んでいく。リンジは、ヨナトの聖眼を守るために王都アッジズへ向かうと決意する。騎士装の男がヴィシスの邪悪さを証明するため、スマートフォンを使って人々に証拠を見せたことで、安もそれを理解する。
リンジは聖眼防衛に参加する者を募り、彼の家族を守るためにもこの戦いに参加することを決める。オウルと共にアッジズへ向かうことにした安たちは、道中で避難する家族や友人たちと別れを惜しむ。
リンジは安に重く感じる手を置き、「頼りにしてる」と真剣な声で言う。安もリンジたちを頼りにしていると応え、独りではここまで来られなかったことを改めて感じる。そして、安たちはヨナトの聖眼を守るためにアッジズへ向かうのだった。
3.帰還
灯河たちは三日間の戦闘後、休息を取りつつ負傷者の選り分けを行っていた。そんな中、最果ての国の援軍に禁字族クロサガが含まれていることが発覚する。クロサガはその性質上ヴィシスに狙われやすく、姿を隠していたという。
灯河がクロサガたちの野営地に行くと、クロサガの少女フギがいた。彼女と母ムニンの間で議論が始まり、クロサガの仲間たちも参加する。彼らは戦う覚悟を示し、ムニンもそれを受け入れるか葛藤する。最終的に、灯河はムニンに決定を委ねる。
翌朝、ムニンが灯河の幕舎を訪れ、彼女の選択を伝える。灯河は彼女の決断を尊重し、「想い」は厄介で難しいが、それだけ価値があると感じるのだった。
灯河たち女神討伐軍は国境を越え、アライオン領に入った。エノーへの道中、聖体の抵抗はなく、罠の可能性も考えられるが、順調に進軍できている。途中、バクオス帝国が本格的に援軍を送り始めたが、これは情勢を見守っていたためと考えられる。
一方、灯河は使い魔を通じてヴィシスの動向を監視しつつ、エノーへの最短ルートを進んでいた。そこに伝令が訪れ、異界の勇者イヴ・スピードが現れる。彼女は魔群帯を抜けてきた理由を説明し、対女神用の魔導具をエリカが完成させたことを伝える。イヴの助言により、魔導具が神族の能力を阻害する可能性が高まったことが判明する。
イヴは魔導具の重要性を理解し、自身の覚悟を持って灯河に協力するため駆けつけた。彼女はヴィシス討伐に向けて共に戦う意思を示し、灯河はその心強い味方に感謝するのだった。
灯河は女神討伐軍の準備が整うまでの時間を利用し、イヴ・スピードと再会し、対ヴィシス用の魔導具についての説明を受けた。イヴは豹人の姿に戻り、戦いに備える。セラスやスレイ、高雄姉妹もイヴとの再会を喜んだ。さらに、ジオ・シャドウブレードとも会わせ、短い会話の後、ジオとイヴは二人で話すことになった。灯河はジオに問題があれば報告するように指示し、信頼を示した。
灯河は、出発が迫る中、イヴ・スピードと対話を続けた。イヴは豹人の姿に戻り、ジオ・シャドウブレードとの会話の後、最果ての国でスピード族がまだ受け入れられることを知った。彼女はスピード族の選択が結果としてエリカとの出会いをもたらしたことに意味があると自らを納得させた。灯河は対ヴィシス用の魔導具についてロキエラから意見を聞き、出発前に蠅王ノ戦団の初期メンバーと再会した。円陣を組んで互いの意志を確かめ合い、灯河は仲間たちに感謝の言葉を述べた。彼は、自分がこの世界で変わらずにいられたのは、仲間たちの存在があったからだと感じていた。
灯河は仲間たちに感謝の言葉を述べた。セラスや他の仲間たちも同様に感謝と決意を示した。特にセラスは感情的になり、女神討伐への強い意志を表明した。その後、灯河はイヴ・スピードと再会し、彼女と対話した。イヴはシャドウブレード族についての話や、スピード族が外の世界に残ったことの意義を語った。灯河はまた、ニャキやムニンといった新たな仲間をイヴに紹介し、彼らが自分にとって重要な存在であることを確認した。リズの使い魔も含め、蠅王ノ戦団の絆が深まる場面が描かれた。
女神討伐軍が王都エノーを目指す中、灯河はセラスに休むよう言われ、馬車で休息を取っていた。彼はセラスの言葉に従い、疲労を自覚した。セラスは灯河の疲労に気づき、彼を休ませるために優しく促した。灯河はピギ丸との会話を思い出し、彼が相棒として力を貸してくれたことに感謝する。ピギ丸の存在が灯河にとってどれほど大切かを再確認し、彼はピギ丸が最高の相棒であると心から思った。ピギ丸も灯河を助けるために尽くし続け、二人の絆がさらに深まった。
【女神ヴィシス】
ヴィシスは王の間で贅を尽くした食事をとっていた。彼女は高級な葡萄酒や料理を楽しみつつ、従者の前で支配者としての威厳を示していた。ヴィシスは王座ではなく人骨で作られた椅子に座り、部下たちを見下ろしていた。
ヴィシスはヲールムガンドと対話しつつ、ソゴウやスオウの反逆について考えた。彼女はこれらの人物を侮蔑し、裏切り者と見なしていた。ヴィシスは自分が召喚した勇者たちが期待に応えないことに苛立ちを覚え、特にトーカ・ミモリについては廃棄遺跡での失敗を悔やんでいた。
ヴィシスは神徒アルスの報告を受け、アライオンの堅王の生首を見せられる。彼女は堅王の死に様を聞き出し、その惨状を楽しむかのように詳細を求めた。彼女は王の首を家畜に処理させるよう命じ、侍女の恐怖を楽しんでいた。
この時、侍女は緊張のあまり堅王の生首を落としてしまう。ヴィシスはその状況をさらに煽り、侍女を笑いながら急かした。彼女の行動は支配者としての残酷さと楽しみの表れであった。
ヴィシスは侍女が退出した後、王座に戻り、人間の歴史や尊厳がいかに脆いものであるかを嘲笑した。彼女はヲールムガンドとの会話の中で、人間の劇を例に挙げ、観客の期待を裏切ることで得られる快感について語った。ヴィシスは劇の主役が観客に刺し殺されるシナリオを仕組み、その瞬間の観客の反応を楽しんだという。
ヴィシスは、反ヴィシス勢力が連帯していることを嘲笑し、現実は甘くないと断言した。彼女は自分が人間を正しく導く存在であり、彼らを統制する必要があると主張した。ヲールムガンドとの会話で、ヴィシスは聖眼が破壊された後に天界へのゲートを再び開く計画を述べた。
しかし、ヲールムガンドがトーカ・ミモリの名前を出すと、ヴィシスは怒りに駆られ、王卓を破壊した。彼女は絶叫した後、気分を切り替え、軽快な鼻歌を歌いながらヲールムガンドに近づいた。そして、トーカ・ミモリの話題をやめるように求めた。
ヴィシスは、聖眼が破壊される前に敵が到着することはないと断言し、万が一到着しても時間を稼ぐだけで問題ないと考えていた。彼女は周到に準備をしており、ゲートの起動装置の存在が露見しても問題ないようにしていた。ヴィシスは、敵が到着した場合、多くの死者が出るだろうと予測し、拷問や同士討ちの遊戯のためにできるだけ生かして捕らえたいとも考えていた。
ヲールムガンドとの会話の中で、ヴィシスは人間の連帯感や高揚感を嘲笑し、彼らが現実を直視していないと指摘した。ヴィシスは、反ヴィシス勢力が自分たちの力を過信していると考え、彼らがここに来た場合、多くの死体を積み重ねることになるだろうと楽しんでいた。
ヴィシスは、初代勇者アルスや虚人ヨミビトの存在を持ち出し、彼らが持つ異質さと強さを示唆しつつ、彼らが敵を迎え撃つ準備が整っていると述べた。そして、ヴィシスは、これらの強力な存在に対し、特に期待していると微笑んで見せた。
【リズベット】
大気が震え、白い光がすべてを覆った後、リズベットは混乱しながらも状況を確認する。王城が白い壁や天井で覆われ、異変が起きていた。リズベットはヴィシスと神徒たちの動向を監視しようとするが、突然、ヴィシスが現れ視界が消失する。
意識を取り戻したリズベットは、エリカの家で冷たい感覚と恐怖に包まれながらも、自分の使命を思い出す。ヴィシスの恐怖と向き合いながらも、トーカたちに情報を伝える決意を固める。リズベットは木彫りの首飾りを握りしめ、少しでも強くなれたかを自問しつつ、再び使い魔との接続を開始する。
【三森灯河】
昨晩から朝にかけて降った雨が上がり、涼しい風が吹く中、女神討伐軍が王都エノーに迫っていた。聖体軍との戦闘が始まり、狂美帝の提案で勇者たちは温存されていた。戦闘は順調に進み、討伐軍の勝利が見えてきた。
その時、王都から白い光が放たれ、巨大な白いドームが出現。ロキエラが「神創迷宮」と叫び、これがヴィシスの作戦であることが判明。彼女は神族の研究者であり、通常は地上で使えないこの魔法を使って籠城するつもりだった。
灯河は、勇者たちを温存しながら戦況を把握し、ロキエラから迷宮の詳細を聞く。迷宮には必ず出口があるため、討伐軍はそこを目指すことにした。エノーから避難民が脱出し始め、討伐軍は避難民を保護しつつ、王都エノーへと進軍する。
昨晩から朝にかけて降った雨が上がり、女神討伐軍は王都エノーに迫っていた。輝煌戦団が聖体軍と交戦し、討伐軍もこれを迎撃。ヴィシスと神徒は籠城の構えを見せたため、勇者たちは温存された。
戦闘が進む中、王都から白い光が放たれ、巨大な白いドームが出現。ロキエラはこれを「神創迷宮」と呼び、ヴィシスが長い時間をかけて準備した概念魔法だと説明した。迷宮は難攻不落の防御手段であり、突破には時間がかかると予測された。
討伐軍は迷宮内の終了地点を目指すことを決定し、ヴィシスが聖眼を破壊しようとしていると確信。ヨナトの女王も聖眼の防衛に全力を尽くす構えであることが確認された。
討伐軍は王都へ突入し、リズの使い魔からの情報でヴィシスと神徒が籠城していることを確認。ヴィシスが地上で神創迷宮を顕現させる計画に驚きつつも、灯河は冷静に状況を分析し、勝利への道筋を探る決意を固めた。
4.神創迷宮/神葬命宮
偵察の結果、聖体などの敵は迷宮外部には存在せず、地下からの侵入も不可能であった。討伐軍は王都外に待機する部隊と精鋭部隊に分けられ、精鋭部隊は王都内へ突入することとなった。灯河とロキエラは迷宮の外膜を確認し、迷宮の構造や特性についての情報を得た。
突入メンバーは、十河綾香、セラス・アシュレイン、イヴ・スピード、高雄姉妹、戦場浅葱、ジオ・シャドウブレード、アーミア・プラム・リンクス、キィル・メイル、ロア、ニャンタン・キキーパット、マキア・ルノーフィア、エスメラルダ・ニーディス、ガス・ドルンフェッド、チェスター・オルド、その他選抜された聖騎士団、黒竜騎士団、輝煌戦団、魔戦騎士団、アライオン軍、最果ての国からの選抜者、灯河、ピギ丸、ロキエラで構成された。
迷宮内では、転送先がランダムであり、音も届きにくいため、各自が合流しながら進む必要がある。また、神徒や聖体との遭遇が予測され、特にヴィシスを倒すための連携が重要とされた。灯河は、各メンバーに合流を最優先とし、生き残ることを強調した。
狂美帝(ツィーネ)も迷宮突入に参加することとなり、灯河と共に戦うことを決意。ヴィシスの策を警戒しつつ、討伐軍は迷宮内での戦闘に備え、戦略を練った。
十河は居残り組に別れを告げ、背負い袋に対ヴィシス用の魔導具を入れて迷宮に突入した。この魔導具は迷宮内で発動させる必要があり、十河がその役割を担った。転送は一人ずつ行われ、先発組は神徒に対応できるメンバーで構成された。
次にムニン、セラス、ピギ丸、そして灯河が転送された。灯河の状態異常スキルは、神徒を早期に処理し、ヴィシス戦に備えるために重要である。イヴは分散配置のため順番を後ろにした。
転送中、耳鳴りに似た音と光の雪のような景色を見た灯河は、これが十河による魔導具の発動の成功であることを悟った。迷宮内部は白い通路と壁が広がり、静寂に包まれていた。
鹿島小鳩は迷宮に入る決意を戦場浅葱に伝えた。彼女の固有スキル「管理塔」が浅葱のバフスキルと組み合わせると有用であることを説明し、狂美帝から許可を得た。浅葱は小鳩の覚悟を疑問視したが、小鳩は浅葱を放っておけないと強い意思を示した。
浅葱のバフスキルは特殊であり、小鳩のスキルがその持続時間を管理できるため、戦いで重要な役割を果たすと確信している。浅葱は小鳩の覚悟に半ば呆れつつも、内心ではその意図を理解し、狂美帝と共に迷宮に向かう。
小鳩は、浅葱の固有スキルと自分のスキルがヴィシスとの戦いで重要になると信じている。そのため、自分の役割を果たすために迷宮に入る決意を固めた。
【女神ヴィシス】
ヴィシスは神級魔法が使えなくなったことに気づく。これは何者かが仕掛けた罠であり、彼の力の一部を封じられたのだ。彼はこの異常事態の背後にアナオロバエルや禁忌の魔女の存在を疑い、さらには他の神族の関与も考慮する。神級魔法は使えないが、身体の変形や再生能力には問題がなく、基礎能力が少し減少しているだけであった。
ヴィシスは神創迷宮内で敵を待ち受け、今回の戦いを「神葬命宮」として楽しむことを決意する。彼は冷酷に敵を苦しめ、破壊することに喜びを見出し、殺戮を続ける覚悟を固める。
【十河綾香】
十河綾香はヴィシス用の魔導具を発動し、迷宮内を進む中で静寂に包まれた環境に戸惑いつつも、味方との合流を目指していた。途中、聖体を倒しつつ進む中で、ヴィシスと遭遇する。ヴィシスは驚きの表情を見せた後、逃亡を試みたが、その途中で巨大な神徒ヲールムガンドが現れる。
綾香はヲールムガンドとの激しい戦闘に突入し、彼の攻撃を捌きながら攻撃を試みる。ヴィシスはその場を去り、綾香はヲールムガンドと一対一の戦いに臨む。ヲールムガンドは一時的にサイズを縮小し、速さと力で綾香を圧倒する。綾香は極弦の弐を使い反撃を試みるが、ヲールムガンドの圧倒的な力に苦戦する。
戦闘中、綾香はヲールムガンドが身体の硬質化を意識的に操作していることを見抜き、それを突く形で攻撃を続けるが、次第に疲弊していく。最終的にヲールムガンドの強力な一撃を受け、意識を失いかけるが、味方を守るために必死に立ち上がり続ける覚悟を示す。
幼い頃の夏の日、十河綾香は祖母に連れられて祖母の生家に行った。そこは古びていたが、とても綺麗に管理されていた。両親は仕事の関係で到着が遅れるため、綾香と祖母は二人で過ごすことになった。
お昼を食べた後、祖母は少し外出することになり、綾香は一人で縁側に座っていた。周囲はとても静かで、虫や鳥の声すら聞こえない中、風鈴の音だけが涼しげに響いていた。
その時、風鈴の音が突然消え、世界から音がなくなったように感じた。綾香は天地と自分が一つになったような、不思議で心地よい感覚に包まれた。しばらくして祖母の声で我に返り、その奇妙な体験を思い返していた。
ヲールムガンドが銀騎士を蹴散らし、綾香にとどめを刺そうとする。しかし、綾香は固有剣でヲールムガンドの脇腹を深く斬り、さらに第二撃で肩を割った。ヲールムガンドは驚きと称賛を込めて笑い、自らの再生能力を説明する。彼は綾香の攻撃が未来予知に近いものであることに気づき、その力を見せてくれたことへの感謝として再生能力の限界を教える。
再生能力が有限であることを知った綾香は、ヲールムガンドの動きがわずかに鈍っていることに気づく。ヲールムガンドは戦意を新たにし、綾香の可能性をもっと見せるように挑発する。そして、綾香は再び深い集中状態に入っていく。
5. n o alternative
高雄樹は冷や汗を流しながら転送後、まず聖やムニンなどの重要な仲間との合流を目指していた。しかし、神徒であるヨミビトに遭遇してしまう。樹は【壱號】の加速を使い、ヨミビトに雷撃を放つが、大きなダメージを与えることができなかった。ヨミビトは再生能力を持ち、襲撃のスピードと反応も驚異的である。
樹は高速移動で逃げながらも、浮遊する円柱による挟撃を回避しようとするが、回避先でヨミビトに待ち伏せされる状況が続く。考えすぎる悪癖を思い出し、ただ敵を観察しようとする。レイピアに帯電させた雷撃を用いて一瞬の隙を作り出し、反撃を試みるが、ヨミビトの反応は速く、すぐに距離を詰められる。
窮地に立たされた樹を救ったのは、風の固有スキル【ウインド】を使う姉の高雄聖であった。樹は感謝と安堵の気持ちを抱き、再び立ち上がる力を得た。
【ヨミビト】
ヨミビトはヴィシスに召喚された後、他の勇者たちと共に大魔帝討伐の旅に出た。旅の途中、彼は理由もなく仲間の勇者を一人斬り殺し、その結果、他の勇者たちから追放された。彼は独り旅を続け、日輪の眩しさを理由に宿の主人など多くの人々を斬り殺した。その後、他の勇者たちが全滅したと聞き、ヴィシスの要請で大魔帝討伐に参加し、一人で大魔帝を倒した。
ヨミビトの記憶は断片的で、炎の記憶だけが鮮明である。自分の過去をほとんど覚えていないが、タカオ姉妹に対して奇妙な関心を抱いている。彼はヴィシスの指示に疑問を抱きながらも、迷宮内での戦いに挑んでいる。タカオ姉妹を見て、彼らの輝かしさに目を眩ませている。
【高雄聖】
高雄聖は妹の樹と合流し、ヨミビトとの戦いに臨む。聖は樹に援護を頼み、二人で協力してヨミビトを挟み撃ちにする作戦を取った。ヨミビトは強力な再生能力を持ち、攻撃を受けてもすぐに修復するが、聖は風刃や他のスキルを使って攻撃を試みる。
ヨミビトの攻撃を避けつつ、聖はその防御の隙を狙い続けた。樹の「終號」による攻撃でヨミビトの甲冑に亀裂を入れ、内部を露出させることに成功。再び樹の「終號」が決まり、聖はその瞬間を逃さず、「グングニル」を放って決定打を狙った。
高雄聖は妹の樹と協力してヨミビトと戦う。ヨミビトは突然変異で腕が四本に増え、聖たちを追い詰めるが、聖と樹は挟み撃ちの形で応戦する。ヨミビトの攻撃を受けながらも、聖は風刃や雷撃で攻撃を繰り返し、次第にヨミビトにダメージを与えていく。
戦闘中、聖は樹に二十分間の時間稼ぎを頼む。ヨミビトの弱点を見抜いた聖は、最終的に決定打を放つための準備を整える。樹も姉の指示に従い、共に戦い続ける。聖は自らの役割を果たす決意を固め、ヨミビトを倒すための最終攻撃に向けて行動する。
【高雄樹】
高雄樹は姉の聖と協力してヨミビトと戦っている。聖の【グングニル】のクールタイムは十分だが、ヨミビトに二十分と錯覚させるためにわざとそう伝えた。樹は自分の役割を理解し、隙を作ってヨミビトの意識を引きつけようと奮闘している。
ヨミビトは変異して腕が四本に増え、樹の雷撃を刀で防ぐ。樹は姉の指示に従い、攻撃と回避を繰り返すが、見えない刃により左目を負傷する。恐怖と痛みに襲われながらも、樹は心が折れかけている自分を奮い立たせようとしている。
高雄樹は、この世界で初めて重傷を負い、精神的に動揺していた。透明な刃による予期せぬ攻撃により左目を失い、恐怖と痛みに襲われるが、姉の聖の励ましにより立ち直る。
樹はヨミビトの攻撃を避けながらも、徐々に消耗していく。聖の【グングニル】の再使用まで時間を稼ぐため、樹はヨミビトの意識を引きつける役割を果たす。ヨミビトの透明刃による攻撃に苦戦しながらも、聖との連携で隙を作り出す。
樹は自身のMPが不足していることに気付き、焦るが、聖が微笑んで安心させる。聖は樹に「一回でいい」とアイコンタクトで伝え、【終號】の一撃分を自らの命と引き換えにすると決意する。最後に聖は樹に「大好き」と伝える。
高雄樹は過去にヴィシスが仕込んだ毒により、姉の聖が死にかけた時の恐怖を思い出していた。聖と死生観について話し、再び姉妹として生まれ変わりたいと願うが、まだ若い自分たちの人生が終わるのは受け入れられないと感じる。聖も同様に、まだ始めていないことがたくさんあると同意する。
樹は、今この場で聖を死なせるわけにはいかないと決意する。強大な力を求め、ステータスウィンドウを確認する。何が引き金でこの力を得たのかは関係ない。姉を救うためなら、自らの命を賭けても構わないと覚悟する。
この瞬間、樹は新たな力【始號・雷人】を手に入れた。
【ヨミビト】
ヨミビトは、高雄聖と高雄樹の姉妹と戦っていた。最初、ヨミビトは樹を脅威とは見なしていなかったが、樹のスキルが進化したことで状況が一変した。ヨミビトは聖を主要な敵と見て、彼女を倒せば樹も容易に殺せると考えていた。しかし、聖の強靭な精神力と耐久力に驚嘆し、彼女の攻撃を読みつつも手を抜かずに戦う決意を固めた。
その間、樹も姉を守るために全力で戦い、スキル【始號・雷人】を発動させた。これにより、ヨミビトにとって樹が新たな脅威となった。ヨミビトは樹の攻撃に対応しながらも、常に聖への警戒を続けた。樹の雷撃はヨミビトの防御を突破し、ついにヨミビトの外殻を破壊して核を露出させた。
ヨミビトは生存本能を発揮し、進化の兆しを見せ始めたが、その瞬間、聖が背後から核に触れていた。これにより、ヨミビトは致命的な状況に追い込まれた。
ヨミビトの進化は、高雄樹との戦いを想定して始まろうとしていた。しかし、生存本能が高雄聖に引き寄せられたため、進化の起点を失った。これにより、ヨミビトの進化は行き場を失い、不完全なままとなった。ヨミビトは、輝く瞬間を失い、進化は果たされなかったのである。
【高雄聖】
高雄聖はヴィシスとヨミビトの情報共有を考え、過去の戦いの情報が伝えられていると見ていた。ヨミビトの視力と危機察知能力の精度を確認し、それを利用して空隙を作る方法を考えた。聖は痛覚遮断のスキルを使い、痛みを感じないまま偽の反応を見せてヨミビトを欺いた。最終的にヨミビトは樹のスキル進化によって倒される。戦いの後、聖は右肘から先を失いながらも、樹と互いに支え合い、戦いを終えたことを確認し合った。
エピローグ
ピギ丸は転送された白い壁と天井の空間で孤独を感じながらも、仲間たちと合流を目指して移動を始めた。途中でムニンと合流し、共に城を目指すことにした。二人は街の通路を進む中、両手が斧と槍の形をした中型の聖体と遭遇し戦闘に入った。ピギ丸はムニンを助けながら戦ったが、聖体の強力な攻撃に苦戦し、ムニンを逃がすための策を考えた。
戦闘が続く中、聖体が動きを見せた瞬間に突然動きが止まり、トーカが現れて聖体を倒した。ピギ丸はトーカの再会に感激し、全身でその喜びを表現した。
【三森灯河】
ピギ丸とムニンが迷宮内で中型聖体と遭遇していた。二人にとって厳しい相手だったが、灯河と合流できたことで危機を脱した。灯河はピギ丸とムニンと共に移動を開始し、聖体の群れと対峙する。三方から聖体が押し寄せる中、ムニンは戦う覚悟を見せる。灯河はピギ丸の協力を得ながら戦いを進め、数の暴力に苦戦するが、最終的に姫騎士セラスが合流し、戦況は一変する。セラスの到着により、ムニンを守りつつ聖体を倒すことが可能となり、灯河たちは協力して戦いに挑む。
灯河はムニンとピギ丸と合流し、中型聖体との戦いに挑む。ピギ丸の助けを得ながら、灯河はセラスと共に聖体を次々と倒していった。セラスは聖体を容易に倒し、ムニンと再会を喜ぶ。彼女は他の仲間とはまだ合流していないことを灯河に伝えた。
灯河はヴィシスが城から離れる可能性が低いと推測し、全員が王城の城門前を目指すことが最善策であると判断した。ヴィシスが城で待ち構える可能性を考慮しつつも、どのような状況にも対応できるよう準備を整える必要があると結論付けた。
灯河たちは城を目指し、ヴィシスとの決着をつけるために進むことを決意した。
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