どんな本?
「ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」は、篠崎芳によるライトノベルシリーズで、KWKMがイラストを担当している。
主人公は「ハズレ枠」と称され召喚した女神に廃棄場に廃棄されてしまう。
廃棄された召喚者達を嬲り殺そうと襲って来たモンスターを【状態異常スキル】を駆使し、困難な状況を乗り越えていく。
物語は、主人公が経験値の取得とレベルアップを繰り返すことで自身の限界を超え、新たなスキルを獲得し、押し寄せる魔物を蹂躙していくところから展開。
このシリーズは、読者に強い印象を与えるストーリーとキャラクターで知られている。
また、このシリーズはオーバーラップ文庫から出版されており。
それぞれの巻は、主人公が困難を乗り越えて成長していく様子を描いている。
このシリーズは、ファンタジーと冒険の要素を組み合わせたエキサイティングな物語で、多くの読者から高い評価を受けている。
読んだ本のタイトル
#ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで 3
(英語名:Failure Frame: I Became the Strongest and Annihilated Everything With Low-Level Spells)
著者:#篠崎芳 氏
イラスト:#KWKM 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
其れは怨嗟の炎を纏う復讐鬼最強の蠅王――ここに顕現
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで 3
「ハズレ枠」と称されたスキルを駆使し、“人類最強”シビトを打倒した三森灯
河。彼は、一路金棲魔群帯に潜む「禁忌の魔女」を目指すもしかし、その所在を
未だ掴めずにいた。そんな折、旅のさなかに訪れた王都モンロイにて、「禁忌の
魔女」の所在を知るイヴ・スピードなる血闘士の存在を耳にした灯河とセラス。
彼女を仲間に加えようと行動を開始する2人の前に、正体不明の“呪術”を有す
る呪術士集団・アシントが姿を現すも、灯河は一切憶することはなかった。
「レベルアップにも意味はある――殺して、殺して、殺し尽くす――」
かつて空気モブだったE級勇者が、絶対最強へと至る逆襲譚、第3幕。
プロローグ
黒竜騎士団の壊滅という衝撃的なニュースが大陸中に広まり、多くの人々がその犯人を巡って議論していた。各国の代表が集まり、五竜士の死について議論する中、ウルザの魔戦王ジンが中心となり、バクオスに引き渡された死体の確認を行った。調査が進行中であり、真相は未だ明らかにされていない。
第1章:王都モンロイ
ウルザの王都モンロイに到着した灯河一行は、その壮大な都市に驚愕する。情報収集を目的に訪れた酒場で、五竜士の死や呪術師集団アシントについての噂を耳にする。特に、禁忌の魔女の居場所を知るという血闘士イヴ・スピードの存在が注目される。彼女を仲間に加えようとするも、アシントとの対峙が避けられない状況になる。
第2章:豹人と少女
灯河とセラスはイヴ・スピードに接触し、彼女の協力を得ようとする。イヴは当初、灯河たちに疑念を抱くが、彼らの誠意と能力を見て信頼を寄せるようになる。さらに、白足亭で厳しい扱いを受けていたリズベットという少女を救出し、彼女も仲間に加える。しかし、追手が迫る中、灯河たちは安全な場所を求めて王都を脱出する計画を立てる。
第3章:蠅王と共に
地下水道を通じて王都を脱出した灯河たちは、リズベットとイヴの協力を得て魔群帯へ向かう。途中、追手と対峙しながらも、灯河の冷静な指示と仲間たちの協力で危機を乗り越える。特に、灯河の「状態異常スキル」を駆使した戦術が光り、追手を次々と倒していく。彼らは一夜を明かし、翌日には魔群帯への旅を続ける。
第4章:黒策 ~Missing~
旅の途中、灯河たちはムアジ率いるアシントの追手と遭遇する。イヴの優れた感覚を活かし、別働隊の存在を察知する灯河は、戦略的に敵を分断し撃破していく。セラスとイヴが連携して敵を引きつける間、灯河は罠を仕掛け、最終的にムアジを含む追手を全滅させることに成功する。
第5章:おやすみ
戦いを終えた灯河たちは、一時の休息を取るために安全な場所を見つける。リズとセラスの関係が深まり、イヴとの絆も強まる。彼らは次なる目的地である金棲魔群帯に向けて準備を整えながら、互いに支え合う姿が描かれる。
エピローグ
魔群帯への道のりが順調に進む中、灯河たちは人目を避けて移動することに成功する。イヴの夜目と聴力を活かしながら進む一行は、魔群帯手前で休息を取る。灯河が魔素を使って魔女の居場所を特定し、翌日の旅の計画を練る。次なる冒険への期待が高まる中、一行は静かに夜を過ごす。
感想
『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで 3』は、三森灯河が「ハズレ枠」と称されたスキルを駆使し、様々な敵と対峙しながら仲間を増やしていく物語である。灯河は強力なスキルを持ちながらも冷静に行動し、その計算高さと戦略性が光っている。
本作の見どころは、灯河が「禁忌の魔女」の居場所を求めて旅を続ける中で遭遇する様々な試練と、それを乗り越えるためのスリリングな展開である。特に、王都モンロイでの血闘士イヴ・スピードとの出会いや、呪術士集団アシントとの対決は緊張感に満ちており、読者を引き込む力がある。イヴやセラスといった個性的な仲間たちとの交流も、物語に深みを与えている。
また、灯河の戦術とスキルの使い方が非常に興味深い。彼は単なる強さだけでなく、冷静な判断力と戦略的な思考で敵を打ち負かす。特に、アシントとの戦いで見せた冷静な対処と、その後の展開は圧巻である。
本作では、仲間との絆が一層強調されている。セラスとの関係が主従から仲間へと変わり、イヴとの信頼関係も築かれていく。これにより、灯河の成長だけでなく、彼らのチームワークが描かれ、物語全体に温かみが加わっている。
総じて、本作はスリリングな展開と深いキャラクター描写が魅力であり、読者を飽きさせない内容となっている。灯河の成長と彼の持つ「状態異常スキル」の活用法が非常に興味深く、次巻への期待が高まる一冊である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
プロローグ
黒竜騎士団が全滅したという衝撃的な報せが大陸中に広まった。
多くの衝撃を受けた人々は、五竜士が誰によって殺されたのかという謎に疑問を持っていた。
この事件はマグナル王国の白城で、各国の代表が集まって議論されている。
そこでは、ウルザの魔戦王ジンが中心となって議論が交わされ、五竜士の死体が確認されたこと、そしてバクオスへ引き渡されたことが語られた。
しかし、この事件の全容は依然として不明であり、調査は進行中であった。
ジンは五竜士の壊滅がウルザにとって朗報であると感じており、黒竜騎士団の壊滅によりバクオスが弱体化すれば良いと願っていた。
議論はセラス・アシュレインという人物が黒竜騎士団に追われていた事実に焦点が当てられ、彼女が生き延びるためには高度な治療が必要であったことが指摘された。
しかし、セラス・アシュレインの生死については依然として不確かであり、彼女がどのようにして逃れたのか、またどこにいるのかは未だに謎に包まれていた。
黒竜騎士団が壊滅した報せが大陸中に広まり、多くの衝撃を与えている。
この事態について、各国の代表が集まり議論を交わしている。
特に焦点となっているのは、五竜士を殺害した犯人が誰であるかという謎である。
会議は、ウルザの魔戦王ジンが中心となり進行されており、現在は黒竜騎士団の最後の消息について話し合われている。
ジンは自身が女神に完全に信頼されていると感じており、この信頼によりウルザに監視役が不要であると女神が判断したことを示している。
また、聖王に関する話が持ち上がり、彼が亡くなったという情報も共有された。
聖王はかつて自国を敵に明け渡し、敵国で隠居生活を送っていたため、白狼王からは軽蔑されている。
さらに議論は、大魔帝との戦いに向けた戦力配置に移り、異界の勇者の重要性が強調されている。
黒竜騎士団の喪失は神聖連合にとって大きな痛手であり、今後は異界の勇者の存在がより一層重要となると女神は述べている。
女神はアライオンのみが勇者を召喚するすべを持っており、その責任と対価についても言及している。
会議の中で、黒竜騎士団を壊滅させたと主張する呪術師集団「アシント」の存在が明らかにされた。
彼らが自国内でどのような動きをしているのかについては、ジンも詳細を知らない状況である。
この新たな情報は、会議に新たな議論をもたらしている。
1.王都モンロイ
ウルザの王都モンロイに到着した一行は、これが初めての巨大都市体験であった。
彼らはウルザで何もかもが初めての体験だったが、特に王都の広大さとその開放感に驚いていた。
彼らはこれまでアライオンと城内の廃棄遺跡の限られた風景しか見ていなかったので、外の世界を見るのは新鮮な体験だった。
黒竜騎士団との戦いを経て、彼らはモンロイに数日かけて到着し、この地での情報収集を目論んでいた。
途中で立ち寄った村々で、五竜士の死についての噂を耳にしていたが、詳細は掴めていなかった。
ウルザの王都では、異なる情報が得られるかもしれないと期待していた。
ウルザでは黒竜騎士団の犯人捜しにはあまり興味がないようだった。
彼らは隣国の問題であるため、その犯人を熱心に捜している様子はなかった。
彼らの偽装が予想以上に効果的だったか、またはウルザが隣国の騎士団が壊滅してくれて安堵しているのかもしれないと彼らは推測していた。
セラスは現在、偽名を使用し、容貌や服装を変えていた。
彼女はウルザの魔戦騎士団が他国の主戦力に比べて劣るとされており、黒竜騎士団との戦いでは敗北が予想されることを説明した。
しかし、ウルザには「竜殺し」と呼ばれる強力な男がおり、彼が抑止力となっているとも語った。
一行はモンロイに一日だけ滞在し、その後魔群帯に入る準備を整える予定だった。
彼らは宿を探し、セラスの提案により一つの部屋を共有することに決めた。
セラスは以前、同じ部屋で問題なく過ごした経験を持ち、彼女自身が問題ないと認めたためである。
彼らは節約を心掛け、この新しい環境でどう生きていくかを模索していた。
セラスと彼の主は、ウルザの王都モンロイに滞在中である。
二人は公開書庫への訪問を計画しており、セラスは許可証が必要であることを説明した。
また、ミルズ遺跡で見つけた黒い卵について調べることを検討していたが、公開された資料にその情報がある可能性は低いと考えている。
禁忌の魔女が何か知っているかもしれないとの見方もあった。
その後、二人は情報収集を兼ねて地元の酒場に行き、周囲の会話から最新情報を得ようと試みた。
酒場では五竜士の死とセラス・アシュレインの消息に関する噂が耳に入る。
話題は五竜士を壊滅させたとされるアシントという呪術師集団に移り、彼らが呪術によって五竜士を殺害したと主張していることが語られた。
この情報は、セラスにとって非常に興味深いものだった。
酒場にはその後、アシントの集団が登場し、自らを五竜士の殺害者として高らかに宣言した。
この主張には疑念もあるが、実際のところを確かめるにはさらなる調査が必要である。
セラスと彼の主は、これ以上の情報を得るためにもう少し酒場に滞在することにした。
彼らはこの情報を基に、次なる行動を計画していた。
酒場で会話が逸れかけたが、男たちの話は禁忌の魔女の居場所に戻り、それがモンロイで最強の血闘士であるイヴ・スピードが知っているということが判明した。
この血闘士は魔群帯の具体的な場所まで知っており、その情報は信頼できるかもしれないと男たちは言っている。
話を聞くため、主人公は男たちに飲み物と食事を奢り、情報を引き出すことに成功した。
その後、イヴ・スピードと直接会い、彼女が禁忌の魔女の具体的な居場所を知っているかを確認する計画を立てた。
イヴ・スピードは禁忌の魔女の居所を知っているとの噂があったが、その噂は彼女が冗談で言ったものが広まったものであり、実際には魔女の居所を知らないと彼女自身が明かした。
イヴは金棲魔群帯を訪れた経験はあるが、禁忌の魔女には会っていない。
また、彼女はその地域の危険性を認識しており、主人公が訪れることに対して警告を発している。
主人公はイヴの話を受けて、自身の計画を再考する必要があると感じた。
禁忌の魔女の居所を知りたい主人公は、モンロイに長居せずに済ませたいと考えている。
セラスに、血闘士が命の次に優先するものについて尋ねると、多くの血闘士がお金を優先すると答えられる。
モンロイの血闘場には自由の身を金で買える制度があり、これにより多くの血闘士が自身の身分を買い戻すことを望んでいる。
主人公は、手持ちの青竜石を用いて必要な資金を得ようと考えているが、目立つため避けた方が良いとも感じている。
禁忌の魔女の居所を知りたい主人公は、モンロイに長居せずに済ませたいと考えている。
セラスに、血闘士が命の次に優先するものについて尋ねると、多くの血闘士がお金を優先すると答えられる。
モンロイの血闘場には自由の身を金で買える制度があり、これにより多くの血闘士が自身の身分を買い戻すことを望んでいる。
主人公は、手持ちの青竜石を用いて必要な資金を得ようと考えているが、目立つため避けた方が良いとも感じている。
【セラス・アシュレイン】
セラス・アシュレインは宿の洗い場で衣類を洗っていた。
その中には、セラスが好意を抱いているトーカの衣服も含まれており、彼女はこれを無断で持ち込んでいた。
異性の衣服を洗うのは初めてで、トーカの衣服の匂いを嗅いだ際、セラスは奇妙な感情に包まれる。
そのとき、トーカが現れ、彼の衣服のことで話が及ぶ。
トーカは復讐が最優先であり、それ以外のことへの意識が向きにくい状態だと説明する。
セラスは彼の復讐が終わるよう全力を尽くすことを誓う。
【三森灯河】
セラスが宿の室内で精式霊装に変身し、剣の素振りを行っていた。
これは彼女が自身の最大パフォーマンスを維持したいためである。
彼女は、脳内で想定した相手との戦闘を想定しながら流麗な剣捌きを披露していた。
その様子を観察する中で、セラスはトーカに近接戦闘の技術について教えることになる。
この指導中に、彼女はトーカの動きを封じる技術を示し、実践的な自衛手法を教えた。
セラスの教示は、非常に実用的であり、武器を使わずに相手を無力化する方法を伝えるものであった。
セラスが宿の室内で精式霊装に変身し、剣の素振りを行っていた。彼女はこの状態での勘が鈍らないよう、最大パフォーマンスを維持したいと考えている。部屋には窓も閉められ、カーテンが引かれ、ドアには鍵が掛けられている。彼女の剣の動きは華麗であり、脳内で想定した相手と剣を交えているようだ。その集中力は非常に高く、動きは室内を縦横無尽に使っていた。
トーカはその様子を壁にもたれて眺めていたが、セラスが訓練を終えた後、冗談交じりに部屋の温度を下げる精霊の力の使用を提案する。
しかし、セラスはそれを笑い飛ばし、訓練が終了したことを示す。
その後、トーカは近接戦闘の技術についてセラスに尋ね、セラスは彼に基本的な武器の構え方や重心の入れ方を教え始める。
彼女は過去に聖騎士団長として他の騎士団員にも同様の指導を行っていたことを思い出し、懐かしさを感じる。
さらに、セラスはトーカに攻撃の練習を促し、彼の攻撃を技術的に封じる方法を実演する。
彼女はトーカの動きを効果的に制御し、武器を使用せずに相手を無力化する技を披露する。
これにより、トーカはセラスの高度な自衛技術と戦闘スキルに感銘を受ける。
セラスはスープを試飲し、その味に絶賛の声を上げる。
その後、彼女は薬草を加える作業に取り掛かるが、手元を誤って薬草を過剰に入れてしまう。
セラスはこのミスを自身で責任を取ると決め、その分を自分で飲むことにする。
一方で、トーカは適正量のスープを飲み、その刺激的な味わいに驚く。
セラスは再度薬草を加える際に、別の薬草を間違えて使用してしまう。
これによりトーカは意図しない興奮状態に陥る。夜間、トーカは『禁術大全』を読み進めるために眠れなくなるが、ピギ丸の助けを借りて最終的には眠りにつく。
翌朝、セラスはトーカにスリープ魔法のおかげで良い睡眠が取れたと報告する。
二人はその日を迎え、情報収集を続ける計画を立てる。
イヴが豹人として初登場したとき、血闘場は新鮮味を求める観客に飽きられかけていたが、イヴの参戦が盛り上がりをもたらし、血闘場は再び活気づいた。
イヴは3年間負け知らずで、その圧倒的な能力のために団体戦への参加が認められなくなった。
イヴの支持者は非常に多く、彼女の戦い方は観客を惹きつけるものだった。
イヴはすでに自由の身を買う金を稼いでいたが、彼女はそのお金で自分以外の者の身を買い戻そうとしていた。
そのため、2年間余分に金を稼ぎ続けていたが、彼女の具体的な目的は明らかではない。
最後の血闘が近づいているが、血闘士が最後の戦いで敗れることが多いという事実が浮かび上がる。
セラスは情報屋を通じて、イヴが自由の身を買える金額を既に手にしていたこと、そして彼女が他人の身を買い戻そうとしていることを明らかにした。
さらに、最後の血闘での血闘士の死が一般的であることが話され、運営側が血闘士に不利な行為を行っている可能性が示唆された。
この情報は、セラスがかつて仕えていた姫の影響で得たものである。
この複雑な情報のもと、トーカとセラスはどのように対応すべきかを検討している。
イヴの最後の血闘での運命や、それに介入するかどうかが重要な決断点となる。
2.豹人と、少女
イヴ・スピードは日暮れ時に血闘場から出てきたところを観察されていた。
彼女は定期的にこの時間に外出するとの情報を得ていたため、その動向が注目されていた。
イヴは人目を避けるかのように治安の悪い地区へ向かい、追跡していた者たちに気づいた様子であった。
彼女は立ち止まり、後をつける者たちに対し、何か用があるのかと問いかけた。
トーカとセラスはイヴに接触し、彼女に対して話があると伝えた。
特に、イヴが禁忌の魔女に恩義を持っているかどうかを問いただしたが、イヴはそれを否定した。
しかし、セラスがその反応が嘘であると指摘した。
イヴは警戒を強めたが、トーカたちは彼女に明日の血闘に関する運営側の不正な工作について警告した。
イヴには自分たちの援助を申し出て、彼女が自由の身を得るための戦いに協力する意向を示した。
トーカは、イヴに彼女が認める禁忌の魔女の居所を知っているかを問い、その情報を基に彼女とその知り合いを安全な場所へと連れて行くことを提案した。
イヴは当初この提案に疑念を抱いていたが、トーカが自らの力と過去の行いを明かすことで彼女の信頼を得ようとした。
最終的にイヴはトーカたちの提案を受け入れる姿勢を見せ、彼らの計画に協力することを検討する様子であった。
セラスが五竜士の最期を目撃したことを語った後、イヴ・スピードとの対話が続いた。
トーカはイヴに自分の力を示すことを望み、彼女が疑いを持つことを承知の上で、自分の力の真実性を証明しようとした。
イヴはその力を認めつつも、その証明を不毛だと感じた。
イヴは明日の血闘に挑む決意を固め、魔群帯への行動は否定した。
トーカはズアン公爵の信頼性に疑問を投げかけ、以前の血闘士が勝利後に不審な死を遂げた事例を挙げた。
これに対し、イヴは公爵が過去に約束を守ってきたことを理由に彼を信じる姿勢を示した。
しかし、トーカはイヴに対してズアン公爵が彼女に不利な状況を用意する可能性を警告した。
イヴはこれまでの経験と血闘の世界への信頼を理由に、公爵を信じることを選んだ。
最後にトーカはイヴに対して禁忌の魔女の情報を要求したが、イヴはそれを拒否し、自分が血闘の世界を信じると強調した。
トーカはイヴに対して自分たちの関わりが短いため信じがたいと理解しつつも、彼女の血闘での勝利を祈りながら立ち去った。
セラスもトーカに同行し、イヴは彼らが去るのを見送った。
宿へ戻る途中、セラスは自分の行動について謝罪し、罰を受け入れる覚悟を示した。
しかし、トーカはセラスの行動が結果的に彼の主張に説得力をもたらしたと評価し、セラスを責めることはなかった。
その後、セラスはトーカの寛大な対応に感謝の意を表した。
さらに、セラスはトーカに話を持ちかけ、以前の血闘士についての話が虚構であることを確認した。
トーカはそれが事実であり、イヴ・スピードに不信感を植え付けるために話を作り上げたと説明した。
彼の目的はズアン公爵や傭兵ギルドへの不信感をイヴに抱かせることだった。
この情報交換はトーカとセラスの信頼関係を示し、またトーカがどのようにして自らの目的を達成しようとしているかを明らかにした。
トーカは自分のルールに従って行動しており、セラスはそれに従うことを受け入れた。
窓からのぞく市民は介入せず、アシントを恐れている様子である。
セラスは介入を躊躇い、トーカも無闇に注目を浴びることは避けたいと考えていた。
しかし、トーカは秘密裏にアシントの一人に「バーサク」スキルを使用し、彼が暴れだすことで女性が逃げ出す機会を作った。
その後、トーカはさらに他のアシントにもスキルを使用し、彼らが互いに攻撃し合う状況を作り出した。
これにより、トーカとセラスは「無関係」であるかのようにその場を離れることができた。
この一連の行動はトーカにとって、自らのスキルを試す貴重な機会ともなった。
トーカとセラスは宿に戻り、市民に紛れ込むための服装に着替えた。
その後、荷物をまとめ、ピギ丸を連れて宿を出発し、屋台で夕食を取りながら橋に向かった。
食事中、セラスはトーカの演技力を賞賛し、トーカはそれが必要に迫られたものであることを認めた。
セラスも風景に溶け込む努力をしているが、その美しさが際立ってしまい目立つことがある。
その点について、トーカは完璧を求める必要はないと述べた。
最後に、セラスがトーカの口端についた肉カスを拭おうとしたが、間違えて自分の肉カスを指摘される場面もあった。
トーカとセラスは大門前の橋に近づき、衛兵に見られないように死角に位置を取る。
リミットまで約四時間が残っている。
トーカはイヴ・スピードの救出計画を思案し、血闘前か中か後かでイヴの行動を決めるタイミングを考える。イヴの救出は可能だが、介入が困難になることも考慮している。
大注目の血闘当日はイヴが王都から出ることが難しいため、トーカとセラスが血闘場で大立ち回りを演じる可能性もある。
この場合、クソ女神にトーカの存在が知られるリスクが高まるため、彼はそれを避けることを選んだ。イヴには幸せな未来が待っていないとトーカは断言する。
血闘士としての自由を得ることはないと語る。
人々が減り始める中、トーカとセラスはイヴの到着を待つ。
賭けの結果がどうなるか、彼らは見守ることにした。
【イヴ・スピード】
イヴ・スピードは血闘場に戻ると、門前に傭兵ギルドの支部長の馬車とズアン公爵の馬車が停まっているのを確認する。
明日の血闘の重要性を感じながら、居住区へと戻る。血闘士は命を差し出す代わりに衣食住が保証されるが、その命の不確実性に悩む。
ハティと名乗る男との会話が胸騒ぎの原因であることに気づき、ズアン公爵が背後で画策している可能性に疑念を抱く。
自室に戻ったイヴは、公爵や傭兵ギルドではなく、血闘の世界自体を信じていなかったことに気づく。
穏やかに暮らす願望が強まるが、公爵が意図している可能性に不安を感じ、その疑念を消し去りたいと強く願う。
イヴは血闘場の二階廊下でズアン公爵の私室に近づくが、私兵長コステロの存在により直接接触を避ける。
彼女は廊下の隅に隠れて室内の会話を聞き取るため、豹人としての鋭い聴覚を利用する。
当初は自分が明日の血闘で公爵やギルドから正当な扱いを受けるか確かめる意図であったが、部屋の中での会話からズアン公爵と支部長が彼女の血闘後の死を計画していることを知り、イヴの疑念は確信に変わる。
公爵らは彼女の飲む酒に痺れ薬を混入し、勝つことを不可能にする計画を話しており、さらにイヴを利用した後は彼女を殺害すると明言している。
イヴはこの計画を聞いて、自らの状況と公爵の真意を理解し、彼女が現在位置にいる理由と次なる行動を決定する。
この情報を元に、イヴは行動を起こすことを決意し、自室に戻り荷物をまとめる。
イヴは静かに血闘場を抜け出し、人目につかぬよう裏路地を進む。
金の大半は持ち出せず、自由の身を得た際に渡されることを期待している。
彼女は、現実から逃げ、平和に暮らす夢を叶えたいと願っていたが、公爵の計画を知り、その夢が叶う可能性がないことを悟る。
しかし、彼女はまず、ある子を公爵の魔の手から救い出すことを決意する。王都の隅に位置する白足亭に向かう途中、ハティと遭遇する。
ハティはイヴの来ることを予想しており、彼女が現実を知ったことに対し、相互の信頼を確認する。
イヴはハティと共に、ある子と二人で安心して暮らせる場所として魔群帯の魔女のところへ行くことを決める。
魔女の居場所を教えることを条件に、ハティはイヴと共に行動を開始する。
【白足亭の少女】
リズベットは白足亭で厳しい扱いを受けており、客席で慌ただしく働いている。
彼女はしばしば怒声にさらされ、謝罪を繰り返す日々を送っている。
おかみによる声高な叱責が日常であり、客からも不適切な言動を受けることがある。
しかし、彼女はイヴに助け出されることを希望に耐え続けている。
イヴはリズベットを助け出すことを約束しており、その言葉を信じている。
明日にはイヴが迎えに来ると信じ、彼女は苦しい状況に耐えている。
リズベットは白足亭でおかみに厳しく扱われており、彼女は客の食器を片付けている最中にしばしば叱責されていた。
その日、怒声と非難が飛び交うなか、突然店の扉が開き、イヴが現れる。
イヴはおかみを制裁し、リズベットを連れ出すことを宣言する。
おかみは自分の行動を正当化し、命乞いをするが、イヴはリズベットを連れて去る決意を固める。
店を出ると、蠅の顔をした謎の男が彼女たちを待っており、イヴはその男を信頼していることをリズベットに伝える。
店内では、おかみがイヴに騙されたと勘違いしているが、蠅の男はその計画を見抜いており、おかみに対して軽蔑的な言葉を投げかける。
【三森灯河】
少し前、白足亭に辿り着いたイヴは、女主人に威圧されている少女の様子を目撃する。カッとなったイヴは女主人を殴りつけ、少女を連れて店を出る。しかし、イヴの激昂により、計画通りにはいかなかった。その場には尻餅をついた女主人がおり、彼女は話す機会を得ても真実を話すだろうと推測される。女主人は自身が公爵に忠実であることを強調し、イヴと少女が王都を去る条件で事態を収拾しようと提案する。しかし、その提案は拒否される。女主人は自分の立場を守ろうとし、声で助けを求めるが、魔法で発声不能となる。最後には、女主人が完全に制圧され、視界を奪われ、その場で生命の危機に瀕する。その状況で、女主人は生き延びるために懇願するが、交渉は無意味であると判断される。その後、彼女は残酷な現実に直面し、白足亭を後にする。
3.蠅王と共に
地下水道の入口から王都を出る準備がされていた。目立たないように地下を通って移動する計画である。セラスとリズベットも同行し、一行は忍び足で進む。リズベットはトーカに感謝を伝え、危険な場所でも一緒に行くことを志願する。トーカは自分の本名がトーカ・ミモリであることを明かし、ハティは偽名だったと説明する。さらに、声を変える魔法の石を使っていたことも話す。イヴとセラスには事情が説明されており、皆で魔群帯へ向かうことになる。林の中には馬が用意されており、イヴとリズベットは一緒に乗ることになる。一方、トーカは乗馬の心得がないため、セラスと二人で一頭の馬に乗ることにする。
王都を抜け、林の中を進む一行は、音を立てずに慎重に歩を進めていた。イヴは目立つ外見を隠すために外套を身につけ、豹頭をフードで覆っていた。イヴとセラスは変身能力に限りがあるため、人目を避けるためには他の方法を取る必要があった。イヴはトーカに禁忌の魔女の居所について尋ね、彼が持つ古代文字の記された呪文書を読める人物を探していることを知る。トーカはイヴの協力を求めるが、イヴ自身もトーカを信じ、彼の指示に従うことを選んだ。二人は魔群帯へ向かうために馬に乗り、リズも一緒に旅に出ることになる。セラスはリズを守りながら戦う難しさを認識しており、トーカも彼女を守る意志を持っている。一行は王都から離れ、馬で移動を続ける準備を整えた。
林の中を進む一行は、周囲に注意を払いながら慎重に移動していた。トーカとセラスは馬で移動しており、イヴとリズも先行していた。トーカはセラスに魔群帯までの距離と時間を尋ね、魔防の戦城を迂回するルートを確認していた。さらに、魔群帯に生息する凶悪な魔物「人面種」についても話し合った。セラスによると、人面種は目撃者が少ない理由は、目撃した者がほとんどが殺されてしまうからだという。
また、イヴはトーカに、魔群帯における禁忌の魔女の居所に関する情報を提供する条件を設け、その前にトーカが魔女に会う目的を確認した。トーカは禁忌の魔女に古代文字を解読してもらうことを目的としていたが、イヴとセラスの会話からは、魔群帯への旅が危険であることも明らかになっていた。
最後に、セラスはリズの同行についてトーカに質問し、トーカは禁忌の魔女への交渉材料としてリズを生き残らせる意志を確認した。この決意により、彼らはリズを保護しながら魔群帯を目指す準備を進めた。
イヴが最初に何かを感じ取り、その後ピギ丸とトーカも気づいた。トーカたちが王都を離れた際、イヴは自身がよく夜に一人で外出していることを話し、王都にいないことに違和感はないはずだと述べた。しかし、イヴは王都を脱出する計画を誰にも話していないと主張し、特に公爵や傭兵ギルドの支部長には気づかれないようにしていた。それでも、血闘場を出る直前にムアジという男に遭遇し、その時の自分の様子がムアジに感づかれたかもしれないとイヴは考えた。ムアジはその後、公爵にイヴの異変を伝えた可能性が高い。
追手は早く動き出したが、その原因はムアジの迅速な対応と観察力にあった。イヴは自己の行動が他人に危険をもたらしたとして責任を感じ、リズと一緒に逃げることを提案するが、トーカはそれを止め、一緒に戦うことを選ぶ。灯りは近づいており、その数は少しずつではあるが減少していた。トーカは迎撃を決意し、馬から下りる指示を出した。
闇の中で二頭の馬が駆け去る場面から始まる。馬には発光する木の枝が括り付けられており、イヴとセラスによる扱いが活かされ、馬は素早く走る。発光する枝は光の精霊の能力によるもので、対価が必要だとされる。追手が接近し、会話を通じてイヴとリズが北に向かっていることが明らかになる。追手の中には公爵の私兵が含まれ、アシントと傭兵が動員されていることが判明する。
イヴとトーカは茂みに隠れながら、ムアジによる追手の動きとその迅速さを話し合う。ムアジはイヴが逃げた方角を正確に読み取り、その推理力が語られる。イヴは夜目が効くことから、トーカは彼にリズと荷物を守る役割を任せる。トーカは現状が彼にとって好都合かもしれないと言い、蠅のマスクを被って行動を開始することを決意する。リズはイヴの行動が自分のためであると主張し、自らが責任を感じている。
【セラス・アシュレイン】
ムアジと呼ばれる男が指揮するアシントの一団は、光を消して暗闇の中で状況を見極めている。ムアジは枝が折れているのを見て、逃亡者が近くに潜んでいると推測する。彼は逃げた者たちが罠を仕掛けたと見抜き、その罠に引っかからぬよう命令を下す。さらに、ムアジはセラス・アシュレインに向かって、逃げ道を阻んでいることを明かし、罠にはまったことを指摘する。
ムアジの集団は灯りを持ち、明るい部隊と暗い部隊の二つに分かれて戦術を展開していた。彼らは罠を使いながら敵を分断し、セラスを包囲する。ムアジはセラスに対して、彼らが強大な戦力を有し、また頭脳と洞察力も備えていることを説明し、彼女の降伏を迫る。セラスが反抗すれば、強力な毒を塗った矢で彼女を痺れさせると脅す。同時に、ムアジの部隊がセラスの退路を完全に塞ぎ、彼女の行動を封じ込める。ムアジはセラスが何もできない状況を利用して、彼女をアシントの一員に迎え入れるか、彼女から情報を得るために「祝福」と称する洗脳を施そうとする。
4.黒策 ~ Missing ~
夜目に優れ、特に集中時の聴力が顕著なイヴを活用して、進行する第二陣の足音を調べる。灯りの数と足音の数には差があり、約十五人の誤差があることから別働隊の存在が推測される。イヴの報告により、別働隊が本隊から分離したことが判明する。トーカはセラスに時間稼ぎを依頼し、イヴとリズを連れて林の奥へと進む。イヴは耳を澄ませ、近づく敵の数を特定する。
イヴにリズの安全を任せ、トーカは単独で敵の別働隊に接近する。闇を利用し、麻痺スキルを発動させ、敵を無音で倒す。敵の数を数えながら、静かに消音の助けを借りて動き回る。
この作戦は、ムアジが指揮するアシントと思われる部隊を惑わせるためのものであった。ムアジはセラスの存在を利用して、彼女を戦略的に利用しようとするが、トーカはセラスの才能を信じている。ムアジの部隊は、トーカが設定した罠に気づきつつも、その罠を警戒して林には入らない。トーカは、ムアジの全能感が彼の思考を麻痺させると考え、その隙をつく計画を進める。
結局、セラスはアシントの注目を集め、ムアジの注意が彼女に集中する間にトーカは敵に対する最終的な攻撃を準備する。闇の中で戦略的に動き、アシントに対する総攻撃を開始する予定である。
スキルを使用した後、トーカは木から降りセラスの隣に立つ。視界に捉えたアシントたちは麻痺しており、ムアジも含まれていた。ムアジは攻撃が届くとは思っておらず、自分たちが安全だと判断していたが、トーカたちは時間を稼いでいた。ピギ丸との接続を完了させるための時間と、別働隊を始末する時間を稼いだのである。ムアジたちは毒状態になり、トーカは敵が全員麻痺していることを確認する。
セラスはトーカの戦略に完全に従い、敵の注意を引く役割を果たす。セラスの大胆な行動にトーカは感謝の意を示すが、セラスは独断で行動してしまったことを詫びる。しかし、トーカはその結果を評価し、彼女の行動を褒め称える。
最終的に、トーカはセラスにイヴたちの状況を確認させる。セラスは迅速に行動を開始し、イヴは参戦を申し出るが、トーカはセラスとリズを安全な場所に送り、自分とイヴで敵を迎撃する計画を立てる。第一陣が戻ってくるのを見計らい、彼らをまとめて迎え撃つ準備を整える。全てはトーカの計画通りに進行しており、最終段階へと移行する準備が整った。
イヴたちは功績を上げるために努力していたが、特に焦る必要がないのは功績を与える側の人間であった。トーカは、第三陣に公爵が含まれていると推測していた。第一陣の到達が早いが、二つの隊が合流すると逃げる確率が高くなる。そこでトーカは、イヴに一つずつ隊を潰すよう指示した。イヴが敵の数を正確に把握し、戦闘を開始した。
敵がイヴを見つけたが、トーカたちはすでに罠を準備しており、敵の自信過剰を逆手に取った。敵がアシントの死体を見つけ、呪術の効果を疑い始めた際に、イヴたちは攻撃を開始し、敵の前方にいた死体たちが実は生きていることを隠していた。敵の中には公爵が含まれており、彼が敵の士気を高めようとしていたが、トーカたちの罠によって敵は次々と倒れていった。
トーカとイヴは戦闘を有利に進め、公爵の近衛隊がイヴたちを襲うが、トーカの使用した状態異常スキルによって内部混乱が起こり、敵は自分たち同士で戦い始めた。最終的には、トーカたちは敵を効率的に打ち負かし、勝利を収めた。
トーカがイヴに戦闘中の優先事項として逃げようとする敵を排除するよう指示を出した。イヴは槍を拾い、逃げる近衛兵を串刺しにした。その後、公爵が怒りを露わにしながら報酬と地位、女を提供すると叫び、イヴを討つよう呼びかけた。一方で、雇われた傭兵たちも戦闘に加わり、それぞれの利益を追求していた。
トーカは戦況を利用し、状態異常スキルを駆使して傭兵たちを混乱させた。傭兵たちは互いに攻撃し始め、トーカは続けて麻痺と毒を敵に与えた。公爵はイヴを討ち取るためにさらに報酬を提示し、イヴを陥れたことへの怒りを露にした。戦いが激化する中、セラスが遠くから弓矢で援護し、トーカとイヴは効果的に敵を排除していった。
公爵は自身の失敗を認めず、逃亡を図った近衛兵を自ら槍で突き刺し、その権威を示そうとした。しかし、トーカが麻痺スキルを用いて公爵を無力化し、公爵の逃走を阻止した。最終的に、イヴが公爵の処理を担当し、彼女は公爵への怒りと過去への決別を象徴する言葉を吐きながら彼を討ち取った。戦いが終わると、イヴはトーカに感謝の言葉を述べ、セラスとリズも現れて平穏が戻った。
セラスはリズと共に荷物を回収し、公爵たちの馬を捕まえる準備を行っている。トーカはセラスに感謝を述べ、彼女の自己判断を信じていることを再確認し、彼女に副長としての責任を委ねた。イヴとリズもそれに同意し、セラスは今後も協力をお願いすると述べた。その後、セラスはリズに荷物運びを手伝うよう頼み、リズは積極的に参加を申し出た。
トーカとイヴは戦場の死体を確認し、誰も逃がしていないことを確認した。トーカは氷に関する実験をイヴに依頼し、生きた虫と死んだ虫を使った氷の硬度の違いを示した。生きた虫で作られた氷は非常に硬く破壊が困難であり、死んだ虫で作られた氷は容易に破壊可能であった。これにより、【フリーズ】スキルが生き物と物体で異なる効果を持つことが示された。
モンロイの宿に泊まっていた際、新スキル【フリーズ】を使って氷の破壊可能性についての実験が行われた。【フリーズ】による凍結状態は300日間解除ができないため、破壊が可能かどうかを検証した。最初の実験では小型ハンマーで凍った虫を叩いたが、尋常でない硬さで破壊は不可能であった。その後、偶然目にした木片を使い、【フリーズ】の効果が物体にも及ぶことを確認し、木片を凍らせてハンマーで叩いたところ、簡単に粉々に砕け散った。その結果、生者は破壊できないが、物体は破壊が可能であるという仮説が立てられた。スキルの対象数の数値も破壊と共に元に戻ることが確認された。さらに実験を進めるため、外で同じ種類の虫の死骸を見つけ、凍結させた後、ハンマーで叩いてみた。
新スキル【フリーズ】を使用して、死体を残さずに処理できる方法についての議論がされた。イヴは、そのスキルを使って死体を凍結させ、その後に破壊することで死体を処理する計画に疑問を投げかけたが、その目的はアシントという集団の死体を利用することにあった。アシントの死体を破壊することで、彼らが五竜士を殺したという疑惑を永続的に残し、真相が明らかになることを避けるためであった。死体が発見されないことで、アシントが五竜士殺しの犯人であるかもしれないという疑念が永続的に残り、真実は闇の中に埋もれる。その策略を成立させるため、イヴとともに死体を処理する計画が進められた。
場所が都市や村から離れていたため、また夜の深い時間帯だったこともあり、イヴのセンサーに邪魔者の気配が引っかかることはなかった。アシントの死体を砕き終えた彼らは、セラスたちと合流すべくその場を離れた。死体の硬度が木片の時と異なり、対象によって硬度が変わることが明らかになった。もし雨が降れば、散らばった「粉」も洗い流される可能性があると考えられた。アシントの存在がもはや誰にも証明できないことに対して、ムアジは得意げに語ったが、実際には彼らの存在も証明できなくなっていた。
5.おやすみ
彼らはセラスたちと合流し、その後の計画について話し合った。計画が思い通りに進んだことを確認した後、リズとイヴの姉妹関係の深さが描かれる。リズは、セラスによる支援に感謝し、イヴにも感謝の意を表した。ピギ丸という生き物の存在も触れられ、リズにとっては心の慰めとなっているようだ。さらに、馬に乗る際の困難さや、馬の速度についての話も展開され、彼らがどれだけ互いに頼りにしているかが強調される。最後には、雨宿りのために洞穴に避難し、食事と睡眠の準備を行うシーンが描かれる。
【セラス・アシュレイン】
リズとセラスは着替えの際に親密な会話を交わしている。リズはセラスの胸部に目を向けてしまい、自分の胸の発育について不安を感じていることを打ち明ける。セラスはリズに対し、外見だけが人を価値づけるわけではないと励ます。また、リズは過去に誤った価値観を教え込まれたことが語られる。セラスはリズに、そのような偏見に囚われることなく、自分自身を信じるよう助言する。リズはセラスからの言葉に感謝し、新たな姉妹のような絆を感じている。この会話を通じて、二人の関係がさらに深まるシーンが描かれている。
【三森灯河】
セラスとリズが衣服を乾かしながら、互いの好きな食べ物について語り合って親しさを深めている。セラスはリズに、胸の大きさについて自分を基準に悩む必要はないと励ましている。また、リズが以前の主人から教え込まれた価値観について否定し、新たな自己認識を育てるよう助言する。これによりリズはセラスに深い感謝と信頼を表し、新しい姉妹のような関係を築くことができた。リズの自己表現と自信が回復している様子が描かれている。
【ウルザの王】
魔戦王ジンはアシントが姿を消したことに頭を抱えている。ズアン公爵とアシントが同行していたにも関わらず、公爵と私兵、傭兵の死体以外は現場に残っておらず、アシントの跡形もない。ジンは、事件が内輪揉めによるものか、他の原因があるのか考えているが、答えは出ていない。公爵は、自由な手法で部下をまとめる能力があったため、ジンは彼に厄介な相手との交渉を任せていた。しかし、現在の状況により、ジンは女神にどう報告するか悩んでいる。女神に対する報告を怠るわけにはいかず、アシントをどうにかして捜し出し再交渉するしかないと考えている。アシントの真の力を探る予定だったが、五竜士を殺した実力は本物であり、それを管理下に置きたかった。しかし、アシントが消えたことでその計画は狂ってしまった。現在、ジンはアシントの行方を捜索し、問題の解決に全力を尽くすべきだと決意している。
【ニャンタン・キキーパット】
女神がウルザからの報告書を手に、呪術師集団の行方不明を軽々と述べる。報告書によれば、五竜士殺しを名乗る呪術師集団が姿を消した。女神はニャンタンに呪術の実在を問うが、ニャンタンは知らないと答える。アシントが姿を消し、それが女神にとって気にかかる事態であることが明らかである。アギト・アングーンは、ヴィシスが本当に懸念すべきは大魔帝とその軍勢であると主張する。ニャンタンは、アシントの失踪が女神を悩ませていると考えるが、アギトの意見には女神も同意する。部屋には四恭聖の一員であるアギトを含む勇血の一族も集っており、彼らも議論に加わっている。その後、女神は来訪者ベインウルフを歓迎する。
【十河綾香】
十河綾香がニャンタン・キキーパットに礼を述べる場面から始まる。ニャンタンは女神の手が空かない際に勇者たちのまとめ役として活動しており、ヴィシスの徒という女神直属部隊の一員である。綾香は強くなりたいと思っており、ニャンタンに密かに稽古をつけてもらうことになる。この稽古は非公式であり、女神に内緒で行われている。場所は城内地下の使われていない古ぼけた牢屋で、人目を避けて行われる。綾香は稽古の中で技術を磨いており、その才能をニャンタンに認められている。
また、綾香はニャンタンに個人的な質問をしてしまい、少し後悔する。ニャンタンは過去に異性との関係がないことを明かし、美しさより力と知を重視していることを説明する。その後、訓練後には特別に用意された更衣室で着替える綾香と他の勇者たちが描かれる。更衣室では他にも剣虎団のメンバーがおり、彼らとの会話からミルズでの遺跡探索の話やその他の小話が展開される。
勇者たちは女神の指示で城に隣接する大庭園に集合していた。通常、女神の許可なしには立ち入ることができないこの庭園は、花々が咲き誇り、心地よい香りが漂う場所であるが、集まった勇者たちの空気は緊張していた。彼らは遺跡巡りを通じて戦闘経験を積み、経験値を稼いでいた。特に金眼の魔物が巣くう遺跡での戦いが多かった。アライオンは勇者たちの経験値用に金眼の魔物を大量に捕らえ、桐原グループには多くの魔物が回されたが、綾香たちには少なく回された。勇者たちはそれぞれのスキルを磨きつつも、戦場浅葱のように特殊なスキルを習得して影響力を増していく者もいた。一方で、綾香はまだ固有スキルを習得しておらず、その事実に不安を感じていた。勇者たちは、それぞれが持つスキルや経験を活かし、集団戦において協力しながら戦っているが、全体としてはまだ未熟であり、技術的な成長が求められている状況だった。
勇者たちは女神によって庭園に呼び集められ、新たに集結した訓練師たちとの割り当てが発表された。彼らの中には、四恭聖や剣虎団などが含まれている。しかし、綾香たちのグループには特に割り当てられた師がいなかった。これに対して疑問を持った高雄聖が女神に問いかけると、女神は綾香の古武術のスキルを頼りに自己訓練することを暗に示唆した。この提案に対する不満があると示されると、ベインウルフが自ら訓練師を買って出る。最終的に女神は彼に訓練の任を託し、事態は収束した。その後、女神は大魔帝軍との大規模な戦いについて議論を進め、勇者たちにも参加を求めた。
【三森灯河】
トーカとセラスは森で野営しており、トーカが村から物資を調達して帰ってきた。二人は物資の運び役としてお互いに感謝の意を述べ合う。その間、リズとイヴは馬の世話をしていた。夕食時、リズが料理を担当し、その味は好評であった。食事の後、トーカはリズに新しい服を渡し、セラスには装備の調整を依頼する。夜が更けるにつれ、トーカはセラスとともに読書をし、お互いに支え合う関係を肯定する。彼らは金棲魔群帯に近づいており、トーカはその地での危険と経験値を得ることへの期待を隠しきれないでいる。
エピローグ
トーカたちは魔群帯への道のりが順調であり、ほぼ人目を避けながら移動することができた。全員が人目を避ける旅に慣れている中、イヴはその耳と夜目で旅の安全を助けていた。遠回りをして砦や城を避けながら魔群帯の手前まで到達し、馬を放つことにした。魔群帯入り前には休息を取ることにし、イヴは魔女の居所を探るためにトーカから魔素を注ぎ込む手助けを受けた。この過程で地図が浮かび上がり、魔女の位置が明らかになった。トーカたちは明日、魔群帯へと入ることにし、その準備として一夜を過ごした。
Share this content:
コメントを残す