どんな本?
「ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」は、篠崎芳によるライトノベルシリーズで、KWKMがイラストを担当している。
主人公は「ハズレ枠」と称され召喚した女神に廃棄場に廃棄されてしまう。
廃棄された召喚者達を嬲り殺そうと襲って来たモンスターを【状態異常スキル】を駆使し、困難な状況を乗り越えていく。
物語は、主人公が経験値の取得とレベルアップを繰り返すことで自身の限界を超え、新たなスキルを獲得し、押し寄せる魔物を蹂躙していくところから展開。
このシリーズは、読者に強い印象を与えるストーリーとキャラクターで知られている。
また、このシリーズはオーバーラップ文庫から出版されており。
それぞれの巻は、主人公が困難を乗り越えて成長していく様子を描いている。
このシリーズは、ファンタジーと冒険の要素を組み合わせたエキサイティングな物語で、多くの読者から高い評価を受けている。
読んだ本のタイトル
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで7
(英語名:Failure Frame: I Became the Strongest and Annihilated Everything With Low-Level Spells)
著者:篠崎芳 氏
イラスト:KWKM 氏
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あらすじ・内容
ミラ帝国によるアライオンへの宣戦布告。それは、女神ヴィシスへ反旗を翻した狂美帝によるものだった。世界が大戦への兆しを見せるなか、「ハズレ枠」のスキルを駆使し勇血最強ルイン・シールを打倒した三森灯河は、いよいよ最果ての国へとたどり着く。絶対防御を持つヴィシスにすら届きうる牙「禁呪」を得るため、禁字族族長ムニンへ接触する灯河。だが時を同じくして、アライオンが誇る最強の部隊・第六騎兵隊が最果ての国へと侵攻を開始した――。
「女神、ヴィシスを完膚なきまでに叩き潰す。二度と、立ち上がれぬほどに」
かつて空気モブだったE級勇者が、絶対最強へと至る逆襲譚、第7幕。
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで 7
プロローグ
アライオンの女神の執務室で、ヴィシスはポラリー公爵と会談を行った。ウルザ軍と合流し、ミラ軍を抑える命令が下されるが、ミラ帝国はウルザを脅し、同盟を求めていた。ヴィシスは時間を稼ごうと試みるが、狂美帝に策を見破られる。南のゾルド砦を守るため魔戦騎士団が派遣されたが、ミラの真の狙いは魔戦騎士団をそこに引きつけることだった。ポラリー公爵は、狂美帝の反旗が無謀であると指摘し、大魔帝が生存している限り内輪もめは敵に利すると主張した。ヴィシスは、もしミラが挙兵するならば、この機会に乗じるべきだと認め、今後の行動計画を再考している。
1.最果ての国
トーカは樹林帯を抜け、人の気配がない不毛の地に到着する。エリカが語っていた幻術の壁を発見し、壁を抜けると隠された道が現れる。ミラ帝国の動向とアライオンの騎兵隊の動きについて考察を深める。巨大な銀色の扉に到着し、エリカから受け取った「鍵」で扉を開けると、広大な地下空間が広がっていた。不死王ゼクトとの出会いがあり、彼はトーカたちを歓迎し、国へと案内するよう命じる。
2.それぞれの今
トーカたちがゼクト王との会話を終え、一時的に待機部屋に戻る。外の者たちを呼び寄せ、今後の対策について話し合いが始まる。トーカはニャキと会話を交わし、彼女がこの国に留まることになる可能性とその影響について考える。ニャキは鍵の役割を果たし、友人たちに事情を説明し、将来的にリズと友達になることを期待している。
3.四戦煌、第六騎兵隊
不死王ゼクトがトーカを含む異種族の代表者たちを集めた会議で、各種族の背景や目的が語られる。ジオ・シャドウブレードが目立つ存在として描かれ、彼の過去のトラウマや種族の歴史に苦しむ姿が描かれる。トーカは過去にスピード族を救った経緯を話し、ジオからの信頼を得る。リィゼロッテ・オニクが登場し、トーカを評価する。
4.蠅を、振り払って
トーカは戦うか交渉による解決を試みるかの選択で、ジオとキィルが戦う方に、リィゼロッテ、ココロニコ、アーミアが話し合いによる解決に票を投じたため、話し合いによる解決が選ばれる。リィゼは組織を解体し、要素を排除する決定を伝える。トーカは国を後にする準備を整え、ニャキと別れを告げ、国を離れる決断を固める。
エピローグ
アライオンの勇者たちは北へ出発する準備をしている。十河綾香は、自室でストレッチと演武を行い、槍を突き出す練習をしていた。大魔帝軍との決戦に臨むマグナルのソギュード・シグムスが総大将に選ばれる。女神はこの戦いを「魔帝討伐戦」と名付け、勇者たちに金眼及び大魔帝の殲滅を呼びかける。綾香は、高雄姉妹が部屋を訪ねてきた際にメイドと騎士が倒れる異常事態に遭遇し、邪王素の影響を強く感じる。聖は大魔帝が直接乗り込んできた可能性を指摘する。
感想
本巻は、壮大なスケールの戦いと人間ドラマが詰まった一冊であった。
狂美帝がヴィシスに反旗を翻したことにより、大魔帝の対応だけでなく、世界全体が大戦に巻き込まれる状況が描かれていた。
主人公の三森灯河は、最果ての国で禁呪を得るために禁字族族長ムニンと接触を試みるが、アライオンの最強部隊が侵攻を開始し、緊迫した展開が続く。
灯河たちは最果ての国で禁字族と接触に成功するが、同時にアライオン十三騎兵隊が迫る。
平和的な解決を模索するアラクネ宰相リィゼロッテとの対立が描かれ、理想と現実の間で揺れる姿が印象的であった。
対話による戦争終結を目指す姿勢は評価できるが、この世界の人間たちは基本的に信頼できない者が多く、その理想が打ち砕かれる様子は残念であった。
物語の終盤では、大魔帝が直接ヴィシスの居城に乗り込んできたことで、あの勇者メンバーの運命がどうなるのか、次巻への期待が高まる。
クラスへの裏切り者の浅葱の動向も気になるところであり、続きが非常に楽しみである。
理想主義のアラクネ宰相リィゼロッテと現実主義の灯河との対立が本書の見どころであり、言葉ではなく行動で分からせるという最終手段に出た灯河の決断は、物語を大きく動かす。
平和的な解決が不可能な状況で、力の行使が避けられない現実を突きつけられる様は考えさせられる内容でもあった。
この作品は、単なる強さを追求するだけでなく、政治や戦争の現実にも触れた深いストーリーが魅力的であった。
次巻も楽しみであり、物語がどのように展開するのか、目が離せない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
プロローグ
ヴィシスは、アライオンの女神の執務室において、ポラリー公爵と会談を行った。ヴィシスはポラリー公爵に、国境でウルザの軍と合流し、ミラ軍を抑えるよう命じた。ミラはすでにウルザへ攻撃を開始していた模様で、ミラ帝国は脅しに近い誘いでウルザに味方を求めた。一方、ヴィシスは答えを引き延ばし、時間稼ぎを試みるが、狂美帝はその策を見抜き、時間稼ぎを許さなかった。ヴィシスは南のゾルド砦を守るため、魔戦騎士団を派遣したが、ミラの狙いは魔戦騎士団をそこに引きつけることであった。
ポラリー公爵は、ヴィシスに対して、現在の状況で狂美帝が反旗を翻すのは無謀であると述べた。彼は、大魔帝が存命中であることから、神聖連合内の内輪もめは大魔帝を利することになり、結局はミラも困ることになると議論した。ヴィシスは、もしミラが挙兵するのであれば、この機会以外にないと認めた。
しかし、狂美帝がこのような時期に行動を起こした理由は未だ不明である。ヴィシスは、ミラ帝国が隣国との戦いで戦力を殆ど失っていないため、戦略的に見ても挑戦する理由があると分析した。この動きを通じて、彼女はポラリー公爵に試練を与え、その結果として彼の忠誠心と独自の意見を持つ強さを評価し、彼を信頼できる部下と認めた。
最終的には、ヴィシスが自己の立場とミラの意図を考えながら、今後の行動計画を練り直している場面で章が終了している。
1.最果ての国
トーカは長く続く樹林帯を抜け、人の気配がない不毛の地に到着した。そこで、彼はエリカが語っていた幻術の壁を発見し、その壁を通り抜ける。その先は谷間の道であり、道の先には何もないように見えるが、実は幻術によって覆われていた。トーカたちはその壁を抜け、隠された道を進む。この間に、トーカはミラ帝国の動向やアライオンの騎兵隊について考える。特にミラ帝国が神獣ニャキを狙っていた情報が気にかかっていた。
道中、彼らは巨大な銀色の扉に到達し、扉の前でエリカから受け取った水晶「鍵」を使って扉を開ける。しかし、扉の先には広大な地下空間が広がっており、そこは文明の名残が感じられる遺跡のような場所だった。突然、ピギ丸が鳴き声を上げ、周囲の魔物たちとコミュニケーションを取ることに成功する。ピギ丸のおかげで緊張が和らぎ、トーカたちは無事に交渉を進めることができた。
最終的に、彼らは不死王ゼクトと出会い、エリカからの手紙を証拠として提示する。この手紙が真実であることが確認された後、ゼクト王はトーカたちを歓迎し、彼らを国へと案内するよう命じる。
物語の主人公であるトーカとその仲間たちは、ゼクト王とその一団に従って地下の巨大な城を訪れる。城には多様な種族が共存しており、見慣れない顔ぶれが多い。途中でセラスは人間と異なる美しさで注目を集め、ニャキは状況に圧倒される。一行は城内を案内され、特定の部屋で待機することになる。グラトラというハーピーが警護として同行し、新参者である彼らに対する警戒心を隠さない。しかし、彼らに対する悪意はなく、単に王と国を守りたいという思いから来るものである。最終的には、ラミアの兵士によって別の部屋へと案内される。
トーカとゼクト王が会議室で対面し、二人きりで話をすることになる。部屋は大きな長卓が設えられた会議用の空間であり、異なる種族のために様々なサイズの椅子が配置されている。トーカは、女神の軍勢がこの国を目指しているという重要な情報をゼクト王に伝える。この情報には緊急性があり、まずは王にのみ知らせることが適切だと判断された。トーカの要求により、グラトラを含む他の者たちは部屋の外で待機し、最終的にトーカとゼクト王だけが残る。王はトーカの話に耳を傾け、不安を感じながらも情報を静かに受け入れる。さらに、トーカは禁字族との接触を求め、ゼクト王はそれを許可する。二人の間で、より素直な会話をするために、通常の演技をやめて本質的な会話をすることも提案される。
トーカとその仲間たちは、ゼクト王との話し合い後、一時的に待機部屋に戻る。王は外の者たちを呼び寄せ、今後の対策について話し合いを始めることになる。一方、トーカはニャキと会話を交わし、彼女がこの国に留まることになる可能性とその影響について話し合う。ニャキは、自身がこの国の扉の位置を知っている鍵の役割を果たす存在であるため、外部に知られたくない国の立場から再び外に出ることが難しくなることを理解している。トーカは、状況が落ち着いたらニャキの友人たちに事情を説明し、彼らが国に来る手配を試みることを約束する。また、トーカはニャキに、将来的にリズというダークエルフの少女と友だちになってほしいと頼む。ニャキはこの提案を喜び、友だちができることに対する期待を表す。
トーカは時計をしまった直後、部屋のドアが開き、ラミアの騎士であるアーミア・プラム・リンクスが登場する。彼女はトーカをクロサガ族に引き合わせるために来たことを伝え、トーカと握手を交わす。トーカはクロサガ族と一対一で会うことになり、セラスと他の仲間たちは待機することとなる。アーミアはトーカを案内し、クロサガ族の集落に向かう。途中、アーミアはトーカとの会話を通じて友好的な関係を築き、互いの立場を理解し合う。最終的にトーカは、クロサガ族の族長であるムニンと会い、自分の目的である禁呪の力を得るために彼女に協力を求める。ムニンはこの要求に対して動揺を隠せない様子であるが、トーカの決意を知り、話を聞くことを決める。
2.それぞれの今
トーカがムニンと対話を持ち、彼の復讐の動機を説明する。ムニンは彼の目的に協力する意思を示し、禁字族が禁呪の力を持つ理由と、彼らが過去にどのようにして女神の追跡から逃れてきたかを語る。ムニンは、禁呪の発動方法を知っており、その情報をトーカと共有する。また、ムニンは禁呪の詳細な効果を説明し、トーカはその情報を基に戦略を練る。二人は共同で女神に対抗する計画を進めることに同意し、その協力体制を確固たるものにする。
トーカがムニンに禁呪の使用条件について問い合わせる。ムニンは禁呪の「定着」が禁字族でなくても可能であるが、禁字族でない者が実際に禁呪を使用すると、死に至るリスクがあることを明らかにする。さらに、ムニンは禁呪を使用するために必要な特定の紋を持っていることを示し、その紋がないと禁呪の使用が致命的になると説明する。彼女はこの紋を持つ禁字族が非常に限られているため、自らがトーカと同行することを申し出る。また、禁呪を発動させるためには特定の媒介が必要であり、その媒介が非常に希少であることも判明する。トーカはこれらの情報を基に、禁呪の使用に向けた計画を進めることに同意する。
セラスは畑で巨大ミミズを見て気絶し、それが原因で恥ずかしい思いをする。彼女は畑を訪れた際、畑で栽培されている作物が地下でも育つことに驚き、エリカから伝わった技術を賞賛していた。しかし、突然のミミズの登場に動揺し、気を失ってしまう。トーカはこれを聞いて笑い、セラスがミミズに対して持つ苦手意識を克服しようと励ますが、セラスはミミズを苦手としていることを受け入れる。二人は今後の行動計画についても話し合い、トーカはゼクト王に会うことをセラスに告げる。セラスはトーカとの同衾(同じ布団で寝ること)について積極的であることを示し、トーカもそれを受け入れる。
トーカはムニンを連れて国を発つことになり、そのことをゼクト王に伝えた。トーカはゼクト王に感謝を示し、ムニンの協力について話し合いを行った。ゼクト王は女神の勢力との戦いではなく、交渉を行う方針であることを説明し、宰相リィゼロッテがその主張をしていることを明かした。ゼクト王はこの国の政治において、オニクの一族が重要な役割を担っていることを説明し、宰相が王よりも影響力があることを認めた。また、この国は技術発展に努めているが、戦は得意ではないと述べた。ゼクト王は外の世界との関係を築くことが重要だとし、平和的な解決を望んでいるが、女神の勢力との交渉が成功するかは不透明である。トーカは、必要であれば戦う準備があるが、平和的な解決が望ましいとも考えている。
【安智弘】
安智弘は女神から最果ての国の魔物たちから人々を救う任務を受けた。彼は第六騎兵隊と共に進んでおり、その途中で蠅王ノ戦団の勧誘も行う予定であった。しかし、安智弘は蠅王ノ戦団の団長ベルゼギアやその周囲の人々に対して強い嫌悪感を抱いており、彼らに勧誘するつもりはなかった。彼はベルゼギアが勧誘に応じなかった場合、始末するよう女神から指示されていた。
一方、安智弘は自己中心的な考えを持ち、自分が優秀な勇者であると過信している。彼は他の勇者や騎兵隊の隊員たちを見下しており、特に第六騎兵隊の隊長ジョンドゥやその部下たちを軽蔑している。安智弘は自分の力を誇示しながら、他人を小馬鹿にして自己の優位を保とうとする。彼の態度は周囲から孤立していることを示しており、彼自身が集団に溶け込めていない状態である。
【高雄樹】
高雄樹は姉の高雄聖と一緒にいる時間を非常に大切にしている。彼らが話し合っているのは、十河綾香という人物についてで、特に彼女が他の人とのキスを未遂で終わらせた事件について聖が反省している。聖は、事前に綾香に演技をするよう伝えていたが、彼女は真剣に受け止めてしまったようだ。樹はこのことについて聖に対して理解を示しており、聖も綾香に対して謝罪するつもりでいる。聖は自分の行動が引き起こした問題を自覚し、責任を感じている。
また、彼らは女神に対する不満を共有しており、女神が過去のことに執着して他人を根に持つタイプだと考えている。聖は、女神が勇者たちの心を折り、操りやすくするために心理的な操作を行っているのではないかと疑っている。この会話から、聖と樹が非常に密接な関係を持ち、お互いに深い信頼と理解を寄せていることが明らかになる。彼らはまた、綾香が心理的に強い人物であることに驚き、彼女が今後重要な役割を果たす可能性があることに気付いている。
【高雄聖】
高雄聖は女神と個別に会話を持ち、女神の忙しさや最近の状況について聞いている。会話は女神が彼女の特別な部屋で行われ、聖は女神の動きや意図を探るような質問を投げかけている。女神は聖の行動や感情について意見を述べ、彼の対応に満足している様子を見せるが、会話はやや脅迫的な雰囲気も含んでいる。
聖はまた、勇者たちが大魔帝を倒した後に本当に元の世界に帰還できるかという点について、女神に確認を求めている。この確認は、他の勇者たちも同様の不安を抱えているために行われている。女神は聖の質問に対して肯定的に答えるが、聖は女神の言葉に疑念を抱き続けている。
全体を通して、聖は女神との関係を慎重にナビゲートし、勇者たちの未来や安全を確保しようとしている様子が描かれている。聖の慎重な姿勢と女神との微妙なパワーバランスが、物語の緊張感を生み出している。
【十河綾香】
十河綾香は自室で、高雄聖との過去のやり取りを思い返している。特に、食堂での朝食時に聖が綾香に近づいて来た出来事が記憶に残っている。その時、聖は綾香に対して演技であると前もって説明しており、他のクラスメイトに二人が特別な関係にあると誤解させることを狙っていた。しかし、予定外に綾香が聖にキスをしてしまい、事態は複雑になる。
その後、綾香は自室で聖と直接対面し、そのキスが初めてのものだったかどうかについて綾香自身が混乱している様子が描かれている。聖は綾香に対して謝罪し、彼女の気持ちを確認しに来たことを説明する。綾香は聖の気遣いに感謝し、聖に対する親近感を深めている。聖も綾香の支持と感謝を受け入れ、お互いに支え合っていることを認め合っている。
3.四戦煌、第六騎兵隊
不死王ゼクトが七煌に召集をかけ、トーカを含む数々の異種族の代表者たちが集まった会議にて、互いの紹介と位置取りが行われている。場には様々な異種族の者たちがおり、ケンタウロス、竜人、豹人、ハーピー、そして蜘蛛人の宰相リィゼロッテ・オニクなどが登場する。各種族からは、それぞれの背景や目的が語られ、特にジオ・シャドウブレードという豹人の男が目立つ存在として描かれている。ジオは過去のトラウマや種族の歴史に苦しむ姿が描かれ、彼の妻イエルマも彼を支えるために同席している。また、トーカは過去にスピード族という種族を救った経緯を話し、その行動によってジオからの信頼を得ている。最後にはアラクネの宰相リィゼロッテ・オニクが登場し、威圧的な態度でトーカを評価する場面で章が終了する。
リィゼが蜘蛛の脚で近づきながらトーカに挑戦的な態度を取る中、ジオが介入し、リィゼが不快感を表す。ゼクト王がリィゼを席に着かせようとするが、リィゼはトーカが召集の理由を問いただし、自身の時間が無駄にされたことに苛立ちを見せる。さらにトーカが意見を述べる際、リィゼはその提案に反発し、彼の意見に否定的な反応を示す。リィゼは、戦力を持たない平和的な解決を支持し、戦闘力を解体することを提案する。ジオが人間の攻撃性を指摘するもリィゼは、話し合いによる平和的な解決を信じて疑わない。トーカは状況を説明しようとするが、リィゼはその提案を受け入れず、彼女の強い理想論と信念が強調される。最終的にゼクト王は、冷静になるために翌日に決を取ることを提案し、それが受け入れられる。
リィゼがトーカと簡単な会話を交わし、部屋を去った後、ゼクト王とグラトラも退室した。セラスが謝罪し、トーカはエリカの価値を認める発言をした。その後、トーカは練兵場で四戦煌と手合わせを申し出、ジオとセラスが実際に対戦した。その手合わせによって、セラスは四戦煌の間でも評価され、他の三人も彼女との手合わせを望んだ。ジオはセラスの技術と強さを高く評価し、彼女が特に強いと認めた。その後、ジオはトーカに秘密の相談を持ちかけることを決め、二人は練兵場を後にした。
トーカはジオの家を訪ね、ジオと二人きりで話をした。ジオは、明日の多数決が彼の望む結果ではなかった場合、キィルとアーミアにアプローチする予定であると語った。彼はリィゼ側につくココロニコを除いて、戦う側に票を投じることを期待していた。ジオとトーカは、多数決の結果に不安を感じながらも、必要に応じて行動を起こす準備があると話し合った。そして、ジオは、リィゼが提案する平和的交渉案が採用された場合に備えて、特定の行動を取ることを決意していた。
トーカが城内に用意された部屋に戻ると、セラスが待っていた。二人は以前の名で呼び合い、一緒に過ごしていることが明らかになった。セラスはグラトラと会い、四戦煌率いる各兵団についての情報を得てきた。グラトラは明日の多数決に参加しないことをセラスに伝えた。また、トーカはその日のうちに必要な行動を完了したと話し、疲れを感じていた。最終的に、セラスが湯浴みに誘い、トーカは少しの仮眠を取ることにした。
【セラス・アシュレイン】
セラス・アシュレインは、城内の古代都市時代から使用されている浴場にいた。浴場での水は古代魔導具によって綺麗に保たれている。セラスは一人で浴場に残り、トーカとの関係を振り返っていた。トーカとの関係は彼女にとって新鮮であり、感情が揺れる体験だった。彼との親密さに心地よさを感じながらも、彼の精神力に驚き、彼が支えを必要とする時があれば、強い存在でありたいと願っている。
【三森灯河】
トーカは朝方、まだ薄暗い部屋で目を覚ました。隣でセラスが静かに眠っていた。彼女の肩を毛布で覆い、肌寒さを感じながら上着を羽織り、懐中時計を確認した。まだ古代魔導具による明かりは点いていなかった。彼は把握すべき情報を得て、必要な行動をすでに行っていたため、これからの展開を期待していた。
【安智弘】
安智弘は突然の金属音で目覚め、顔の下半分に強制的に装着された鉄のマスクによって発音が不可能になっていた。彼はウルザの王都近くで野宿をしており、独自に設置した警報装置を設置していたが、それにもかかわらず、第六騎兵隊に捕らえられてしまう。隊員たちは彼の固有スキルが使えない状態を嘲笑い、フェルエノク副長が彼を罵倒していた。その間にジョンドゥ隊長が接近し、短剣を安の喉元に突きつけながら、彼が女神に見放されたことを告げる。その後、彼は袋に詰められて荷物として運ばれ、隊員たちは彼の未来について冷酷に語り合う。
【女神の使者】
ウルザの王都モンロイにおいて、男は女神の使者として第六騎兵隊を待っていた。新たな女神の命令を伝えるために、彼らを呼び止める。命令を伝えた後、ジョンドゥ隊長の反応は驚きを隠せないものだった。その間に、使者は自らが刺されていることに気づかなかったほど、印象が薄かった。ジョンドゥは、使者に刺された傷は深くないと告げ、彼が持っていた荷物について、「大したものではない」と繰り返し強調した。
【安智弘】
安智弘はほぼ意識がない状態で、時の経過を感じることができないまま過ごしている。彼は第六騎兵隊によって荷物のように扱われ、その存在さえも忘れられているようである。周囲では、武器の紋章が潰されたことから、敵対する勢力が魔戦騎士団に成りすましていることが話されている。具体的には、ミラの輝煌戦団が疑われており、彼らが勇の剣よりも強い可能性が示唆されている。その情報はまだ他の騎兵隊には伝えられていないが、状況の深刻さから慎重な対応が求められている。
4.蠅を、振り払って
トーカは、ハーピーから呼び出しを受けて多数決の結果を聞くために王宮へ向かう。結果は、戦うか交渉による解決を試みるかの選択で、ジオとキィルが戦う方に、リィゼロッテ、ココロニコ、アーミアが話し合いによる解決に票を投じたため、話し合いによる解決が選ばれる。リィゼは、戦力と見なされる組織を解体し、危険と判断される要素を排除する決定を伝える。トーカはこの国の外部者として自身の意見を述べたが、リィゼからは部外者として扱われ、最終的に国からの去ることを決める。ゼクト王に謁見し、国を後にする準備を整えた後、ニャキと別れを告げ、最果ての国を離れる決断を固める。
【ある夫婦の、】
ある夫婦の会話が進んでいる。夫が何らかの任務で出発する直前、妻が妊娠を告げる。夫は驚くが、彼女が妊娠していることを知って喜びを感じる一方で、以前に知らされなかったことに若干の不満を示す。妻は夫に無事の帰還を願いつつ、実際には一緒に行きたいという願望もあることを打ち明ける。しかし、夫は彼女の安全を考慮してそれを拒む。夫は自身が最強であると自信を持ち、家族のために必ず帰還することを約束する。
【リィゼロッテ・オニク】
リィゼロッテ・オニクには忙しい日々が続いている。彼女はまず使者を派遣し、向かってくる女神の勢力に対して敵意がないことを伝えることから始めた。内政ではオニク族が中心となり、古代魔導具の管理はアラクネが担当している。リィゼロッテは食糧問題や魔導具の劣化にも対応しており、国外にも積極的に交渉を行う準備をしている。特に四戦煌の再教育と、好戦的な性向の矯正が必要であると考えている。また、外部との交渉を通じて人間たちに自国の危険性のなさを説明し、一滴の血も流さずに解決を図ることを目指している。しかし、自国を利用しようとした蠅に対しては許せない感情を抱いている。使者がまだ全員戻っていない中、リィゼロッテはこの国の未来を見据えながら、多忙な日々を送っている。
リィゼロッテ・オニクは忙しい日々を過ごしている。ある日、イダタ・オニクが息を切らして部屋に飛び込んできた。彼女は、ジオ・シャドウブレードとキィル・メイルが姿を消したと報告した。これは、豹煌兵団と馬煌兵団が気づかれずに移動したためである。リィゼロッテはこの事態に対処するため、竜煌兵団と蛇煌兵団を急ぎ集め、武器の携行を禁じる厳命を下した。さらに、巨狼の群れを率いるケルベロスの力も借りることにした。目的は、ジオたちが戦いに向かう前に彼らを追い、女神の勢力を叩くことを阻止するためである。リィゼロッテはこの問題を解決するために、全力を尽くしている。
ロアがリィゼロッテを乗せ、谷間の道を風のように駆ける中、人間の騎兵隊と遭遇する。リィゼロッテは、人間たちに攻撃的に見えないようにロアに戻るよう指示し、蛇煌兵団を自分のもとに残す。人間たちは近づいてきており、リィゼロッテは白旗を掲げて戦意のないことを示す。それが通じ、人間側も白旗を掲げる。対話を試みる中で、ミカエラ・ユーカリオンという男が現れ、交渉を始める。当初は礼儀正しいやり取りが行われるが、突然ミカエラはリィゼロッテを攻撃し、真意を現す。その後、暴力がエスカレートし、リィゼロッテは身体的、精神的に苦痛を受ける。そんな中、キィル・メイルとケンタウロスの部隊が弓で応戦し、ミカエラの部隊は混乱に陥る。最終的にジオ・シャドウブレードが劇的に登場し、敵を圧倒する。ミカエラは完全に形勢逆転され、ベルゼギアが現れて彼を支援しようとするが、事態はすでに手遅れであった。
5. underhand
ミカエラとベルゼギアとの間で会話が行われる。ミカエラはベルゼギアの登場に驚くが、ベルゼギアは彼が敵と見なしている大魔帝と戦うため、ミカエラの側に立つことを示唆する。戦闘中、ベルゼギアはリィゼロッテに麻痺の呪術をかけ、彼女の動きを封じる。彼はまた、リィゼロッテが戦略的な人質として価値があることを主張し、ミカエラを信じさせようとする。
ミカエラは、ベルゼギアが遅れて救援に来たことを許すが、ベルゼギアは彼自身の力を自信を持って語る。リィゼは一部の質問に違和感を覚えるが、その場の緊張が高まる。ベルゼギアはさらに戦況を掌握していると豪語し、リィゼと他の仲間に動かないよう警告する。最終的に、ベルゼギアはミカエラに対して敵意を明らかにし、彼を裏切る。その後、ミカエラを攻撃し、彼の役割が終わったことを告げる。
【三森灯河】
トーカがリィゼロッテの考えを変えることの困難さを述べている。リィゼロッテが過信が過ぎるため、彼女の考えを変えるためには多くの努力と時間が必要であると感じていた。トーカはジオの案に参加し、ジオとキィルが計画を進めることを支持するが、リィゼロッテがこれに憤慨するリスクを考慮している。トーカは、アラクネが有能であるため、彼女たちを失いたくないと考え、多数決の結果を操作して「話し合いによる平和的解決」を目指す。アーミアの家を訪ねた際には、アーミアに自分の考えを説明し、監視を意識しながら話を進めていた。
トーカはジオや他の仲間たちと共に、リィゼロッテに有利になるよう多数決の結果を操作しようと計画している。彼らはリィゼロッテが戦争を望まない結果に投票することを望んでおり、それには十三騎兵隊が非人道的であることの証拠がないにもかかわらず戦力を頼りにしていることを認めている。しかし、トーカと彼の仲間たちの結束と信頼感が、他のキャラクターを戦う選択肢に傾ける力となっている。他のキャラクターはトーカの誠実さを信じ、もし騙されていたとしてもそれを受け入れる用意があることを表明している。
トーカはリィゼの有利な多数決の結果を得るために戦略的な操作を実行している。リィゼに多数決の結果が工作されていることに気づかれないよう、具体的な参加者を限定しており、アーミアとジオのみが主な手札として動いている。アーミアの家への訪問時、アーミアは監視されていたが、トーカはわざと説得に失敗したように振る舞い、リィゼ側にこれを確信させることに成功した。多数決の日、計画通りアーミアはリィゼに投票し、非戦案が採用された。その裏でトーカはセラスに情報収集を依頼し、グラトラから得た情報とジオからの情報をすり合わせて、戦略を練り上げていた。投票後の動きとして、トーカはリィゼの有用性を最大限に保ちつつ、戦場となる地形の把握と敵の動向探りを優先した。そして、ニャキを使ってリィゼに十三騎兵隊の捜索をさせ、ハーピーが扉を通じて外部との連絡を取る状況を作り出した。最終的にトーカは、リィゼを守るためにアーミアに特別な役割を与え、大局的な計画を進行させることに成功している。
トーカはリィゼロッテ・オニクに現実を体験させることが目的であったと明かしている。彼はリィゼの意固地な考えを変えるため、直接的な体験を通じて彼女の理想が現実の前で崩れ去ることを体感させる必要があると感じていた。この過程で、ミカエラが麻痺状態に陥り、戦場での先行する騎兵隊を利用して戦果を挙げることができた。リィゼは結果的に、交渉自体が通用しないことを痛感し、トーカの指示に従うことを選択する。トーカはリィゼが現実を理解し、必死で国を救おうとした彼女の努力を評価している。リィゼは過去の行動を反省し、自らの考えを改めることを決意する。そして、トーカはこれを認め、彼女に対する信頼と理解を示している。
トーカが一度だけ母親に尋ねたことがある。彼がなぜ母親に暴力を振るわれるのか理解できず、「どうしてお母さんは、僕をいつもパンチするの?」と質問した。しかし、母親はその質問に激しく反応し、トーカにさらに暴力を振るい、理由を求めるトーカやその他の人々を非難した。母親は、自分の子供に対する行動に理由はないと主張し、トーカを非難し続けた。このやりとりから、トーカの母親が非常に不安定で理不尽な暴力を振るっていることが明らかになる。
トーカはミカエラを容赦なく殺害し、リィゼにその現実を直視させた。彼は理想論のみでは現実には無力であると示すために、あえて残酷な行動に出た。リィゼが計画に従って行動したが、最終的には彼女も自らの理想と現実の間で葛藤し、状況を受け入れざるを得なかった。トーカは冷酷な面を見せつつも、彼女に対して一定の同情を抱いていた。この出来事を通じて、リィゼは自分自身とその理想に疑問を持ち始め、周囲との再結束を図ることにした。彼女は十河や他の仲間たちに改めて支援を求め、皆からの応援を受けた。そして、トーカの指示のもと、彼らはこれから始まる戦いに臨む覚悟を固めた。
【狂美帝】
狂美帝ツィーネは高台からその地域を見下ろしていた。遠くで騎兵隊が移動しており、砂煙が上がっているのが見えた。ツィーネの側近であるルハイトが、ゾルド砦の陥落と、魔戦騎士団が撤退したことを報告した。ツィーネとルハイトはアライオンからの増援が未だに到着していないことを認識しており、S級勇者の存在にも触れた。S級勇者、ヒジリ・タカオとタクト・キリハラは、東の戦場で大魔帝を撤退させ、側近級のアヤカ・ソゴウは人面種を仕留めたことが報告された。
ツィーネは戦略を練り直し、現状の情報に基づいて対応策を模索していた。彼はアライオン十三騎兵隊が来ているとの情報を基に、特に第六騎兵隊の隊長ジョンドゥが手ごわい相手であると考えていた。ルハイトはツィーネの命を何よりも大切にすることを誓い、どんな時も彼を守ることを約束した。ツィーネは自らの安全を確保することと、強力な同盟者の支援を確認していた。
エピローグ
アライオンの勇者たちは北へ出発する準備をしている。勇者の一人、十河綾香は、自室でストレッチと演武を行い、槍を突き出す練習をしていた。綾香はこれまで見たことのない大魔帝の姿を高雄樹の描いた絵で見たことがある。大魔帝軍は北の大誓壁に軍勢を集結させており、大魔帝の姿も確認されている。彼女たちは、女神の分析に基づいて大魔帝軍の動きを検討している。
勇者たちは、マグナルのソギュード・シグムスを総大将に選んで大誓壁へ向かい、大魔帝軍との決戦に臨むことになっている。女神はこの戦いを「魔帝討伐戦」と名付け、勇者たちに金眼及び大魔帝の殲滅を呼びかけた。綾香は、勇者たちの力が最重要となることを認識しつつ、自室で準備を進めている。その間、高雄姉妹が綾香の部屋を訪ね、彼女を召集した。
この時、綾香はメイドと騎士が突如倒れる異常事態に遭遇し、邪王素の影響を強く感じた。聖はこの現象が城内や敷地内に強力な邪王素があることを示していると分析し、大魔帝が直接乗り込んできた可能性を指摘した。
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