小説「理想のヒモ生活 15巻」アウラの魔法でヤンが復活⁉ 感想・ネタバレ

小説「理想のヒモ生活 15巻」アウラの魔法でヤンが復活⁉ 感想・ネタバレ

どんな本?

理想のヒモ生活」は、渡辺恒彦 氏によるWEB(なろう)出身のライトノベル。

日本でブラック労働をしていた善治郎は久しぶりの休みの日に異世界に召喚された。
その召喚主は善治郎の好みドストライクの美女だった。
そんな彼女は大国の女王で、善治郎に婿に来て欲しいと言う。
善治郎は躊躇なく「はい」と返事をして地球で婿に行く準備をしていざ異世界へ、、

後宮に引き篭もるヒモ生活を享受出来ると思っだが、、
女王が妊娠したら悪阻が酷く、彼女の代理として政治の表舞台へと行くと、世間が彼を後宮に引きこもる事を許してくれなくなった。

さらに彼の持ち物のビー玉が隣国双王国の付与魔術の媒体として最高品であると判ると、、
さらに善治郎の血統も、、

そんなタイトル詐欺と言いたくなるほど大忙しな善治郎のヒモ生活。

北方大陸から来た姫君を大陸間交易をする絆を得るため、姫君を側室として迎えるため120日もの大航海を乗り越えて相手国に行き要件を伝えると。

可愛い妹をヒョロヒョロな弱い男に嫁がせられないと姫君の兄に言われ、その強さを証明するために善治郎は成人の儀と呼ばれる狩猟をする事になる。

自身の魔法と魔法具を駆使して成人の儀を乗り越えて姫君を側室として迎える事に成功する。

日月ネコ 氏によるコミック版も連載中。

アニメ化企画が進行中!

読んだ本のタイトル

理想のヒモ生活 15
著者:渡辺 恒彦 氏
イラスト:文倉 十  氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「理想のヒモ生活 15巻」アウラの魔法でヤンが復活⁉ 感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890050255 小説「理想のヒモ生活 15巻」アウラの魔法でヤンが復活⁉ 感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

アニメ化企画進行中! シリーズ累計470万部突破の大人気シリーズ。最新巻では女王と側室がバチバチ!? 「迎え撃とう!」

善治郎とユングヴィ王子は、神秘のヴェールに
包まれた都市ウトガルズへと招かれた。
氷原の中にある都市ウトガルズで二人を迎えたのは、
ウトガルズの王とも言える代表のロック。
ロック代表は善治郎に、一つの依頼をする。
巨人族が住む異界『ウートガルザ』への移動手段を確保してほしい、と。
交渉を重ねた末、善治郎は独断でその申し出を受け入れる。
ウトガルズから帰国を果たしたユングヴィ王子は、
父のグスタフ王に自分の第二夫人として
カープァ王国の女性を迎えるよう訴える。
カープァ王国と善治郎の価値を認めたグスタフ王は、
次期国王であるユングヴィ王子の側妃を
南大陸のカープァ王国から迎えることを許可する。
一方、北大陸では、『教会』は再三の警告を無視し、
自分たちへの非難と独自の「竜の教え」を説くことをやめない
ヤン司祭をついに拘束していた。
傭兵ヤンは救出のために動くが間に合わず、ヤン司祭は火刑に処された。
そんなある日、復讐の念に燃える傭兵ヤンに届けられた一通の書状。
その書状には「火刑に処された亡骸を、魔法で完全な形に修復し、
清めることができる」と記されていた。
竜信仰者にとって、火は竜罰の象徴。
焼け焦げた亡骸を癒やすことは、信仰上大きな意味がある。
書状を信じた傭兵ヤンが、指示に従い向かった先で待っていたのは女王アウラ。
女王アウラは傭兵ヤンに告げる。
「死体を私のところに持ってくれば、修復してやろう」
女王アウラの言葉を信じ、ヤン司祭の亡骸を奪取してきた傭兵ヤン。
約束通り、亡骸に『時間遡行』の魔法を施す女王アウラ。
その結果は「ヤン司祭の死体の修復」ではなく、思いもよらないものだった。

理想のヒモ生活 15
ヒーロー文庫

感想

女王アウラと側室のフレアの関係はかなり良好な模様。素でお互いに話が出来ている。

そんな2人の夫のゼンジロウは、、

ウトガルズ

フレアの双子の弟、ユングヴィと共に高度な魔法技術を持っている秘密に包まれた国、ウトガルズへと招待される。

空飛ぶトナカイが引く箱ソリに乗ってウトガルズへと向かうゼンジロウ。
空に飛んでいる事に愕然とするユングヴィに対してゼンジロウは、現代で飛行機に乗っていたので空の旅には慣れていた。

それを不審に思うユングヴィ、、
まさか、自身が別の世界から来たと言えないのではぐらかそうとするが、、
迂闊な事を言って墓穴を掘りまくるゼンジロウ。

そんな義理の兄弟の戯れをしながらも、無事にウトガルズへと到着。

ウトガルズの代表の巨漢、ロックと対談。

ロックの要望は異世界に行く方法を探して欲しいと言う。
巨人の国ウートガルザへと行きたいらしく、ウートガルザと交易して、永年研鑽した魔法技術を巨人達に売り込みたいらしい。
そういう要望を聞いて、ゼンジロウは返事をアウラと協議した後に返すと言って終わろうとしたのだが、、
ウトガルズのガラス加工の技術が高いため、双王国に取引されないために、ゼンジロウは独断でウトガルズとの独占交渉を決めてしまう。
後々にこの件でアウラと話し合うのだが、、

ウトガルズも気が長いので話は受ける方向で向かう。

ロックとの会見を終えて、ゼンジロウはユングヴィと共にカープァ王国へ戻り。
ユングヴィの側室候補のお見合いパーティーを開催して、マルケス伯爵の姪のミレーラが側室として内定する。

ちなみに、ユングヴィの正室は誰か決まっていない状態。
ただ、南大陸から嫁いで来る他大陸の側室を差別しない者を正室にしないといけない。

ヤン司祭

北方大陸では、長く教義を批判して、独自の”竜の教え”を説いていたヤン司祭が火刑に処されて死亡してしまった。

土葬が当たり前の宗教の司祭を火刑に処した。
魂の尊厳を踏み躙る最も惨たらしい刑。
ヤン司祭を助けようと動いていた傭兵のヤンだったが、、
間に合わずに悔しさと、ヤン司祭を火刑にした恨みで自棄になりそうになっていた時。
ゼンジロウから依頼された傭兵から傭兵ヤンに秘密裏に接触があり。

火刑に処されて灰になってしまったヤン司祭の遺骸を綺麗に治して、土葬出来るようにしてやると連絡。

傭兵ヤンは、ヤン司祭の亡骸の骨と灰を教会から回収。

それをアウラが、時間遡行を使用して処刑される前まで遡らせたら、、
ヤン司祭は蘇生した。

奇跡が起きて生き返ったヤン司祭。
その後、ヤン司祭は自身を火刑に処した教会を批判。
火刑されたヤン司祭が、教会に火刑にされたと批判。
コレが北方大陸で戦乱の火種となった。

だがコレは、、
アウラとゼンジロウの謀略の一環だった。
北方から大陸間航行が出来るようになった北方大陸。

“白の帝国”の系譜を絶対に許容しない教会を国教にしている連中が白の帝国の子孫の双王国が見つかったら確実に戦争になる。

このままでは南大陸は侵略され、抵抗が出来ない状態。
時間を稼いで、カープァ王国も大陸間航行が出来る船を生産出来るようにする。
そのためにも時間が必要。

その時間稼ぎの一環に、教会に殺された、魔力を一切持たないヤン司祭を時間遡行の魔法で蘇生させ。

北方大陸中で足を引っ張り合いをしてもらい、少しでも遅く南方大陸に進出させるために、、

アウラとゼンジロウは、ヤン司祭を利用した。

ヤン司祭がとあるビックな宗教の象徴の人と似ているようなきがする。。

最後までお読み頂きありがとうございます。

備忘録

プロローグ  残された者

酷暑期が経過し、活動期に入ったある日、女王アウラとフレア姫は後宮の寝室で昼食を取りながら対談をしていた。この対談を申し込めるのは、アウラの夫である善治郎とフレア姫だけであるが、善治郎は仕事で不在だったため、フレア姫が対談を申し込んだのである。フレア姫は、アウラとの関係を良好に見せることで善治郎に利益をもたらすと考えていた。実際に二人の関係は良好であり、この対談もその一環であった。フレア姫は冗談や未練を含めた言葉をアウラに投げかけ、アウラはそれに寛容に対応していた。フレア姫の言葉は一見図々しく見えるが、アウラはフレア姫が場をわきまえていることを理解していた。二人の会話は自然と善治郎の話に移り、フレア姫は未知の土地への憧れを表現したが、アウラは移動の安全性と速度が重要だと応えた。フレア姫は、将来的に善治郎が「瞬間移動」でウトガルズへ行く際には連れて行ってもらいたいと期待していた。

第一章  ウトガルズ

善治郎とウップサーラ王国王太子であるユングヴィ王子は共にウトガルズへ向かっており、特殊なソリを使用して空中を移動していた。このソリは大型で、トナカイのような生き物に引かれており、空中を滑るように進んでいることに善治郎は早々に気づいた。ソリの内部は未知の素材で構成されており、タッチパネルによる限定的な操作が可能であった。善治郎はこの操作に慣れており、光量調整や座席操作などを行い、さらには壁面を透明にすることで外の景色を観察した。彼らが観察したのは、雪が積もる山々であり、ユングヴィ王子はその山を「霧の山」と特定した。この山は普段は深い霧に覆われているが、彼らが訪れた際には霧が晴れており、これがウトガルズが彼らを招待したためだと推測された。ユングヴィ王子は空を飛ぶ乗り物の存在に大いに興奮し、その軍事的および交通における革新的な可能性について熱く語った。一方、善治郎は自身の異世界出身者としての経験をうまく隠しながら、ユングヴィ王子の好奇心を適度に満たしていた。この旅は、善治郎とユングヴィ王子の間の理解と絆を深める重要な機会となり、同時にユングヴィ王子の野心と好奇心を刺激する出来事となった。

善治郎とユングヴィ王子が乗る箱ソリがウトガルズへの接近を終え、着陸完了の合図と共に外からの操作が再び可能になった。二人は透明になった窓から外の景色を観察し、眼下に広がるのは一面の氷原であることを確認した。ウトガルズの正確な位置を隠すために、接近直前まで外の景色が見えなくなっていたことや、氷原には人工的に整備された「道」が存在していることが判明した。この「道」は、ソリが滑るためのもので、揺れや振動が全くないことから、ソリが地上に近い低空を飛行している可能性が示唆された。

やがて、彼らの目の前に氷原の地平線上に巨大な黒い横線が現れ、それがウトガルズの城壁であることが分かった。城壁は非常に高く、遠目にもその巨大さが際立っている。二人はその城壁を自然ではなく人工的に作られたものと推測し、ウトガルズが巨人族の末裔によって建設された場所であることから、その大きさにも納得した。最終的に、彼らが乗る箱ソリはウトガルズの城門をくぐり、車輪付きの乗り物に乗り換えることになった。この乗り換えは、ウトガルズ内部が氷原とは異なる地形であることを示唆している。外の風は冷たく、善治郎には完全に冬の気候に感じられたが、ユングヴィ王子にはそれほど寒くはなく、彼らは新たな乗り物に乗り込むことにした。
善治郎とユングヴィ王子がウトガルズに到着し、自動運転の箱車に乗り換えて神秘的な都市へと移動した。箱車は箱ソリと外見は似ているものの、内部からの操作が不可能で外を見ることができず、乗り心地にも違いがあることから、善治郎はその違いに疑問を抱いた。彼らはウトガルズの代表であるロックと会い、ロックはユミル語しか話せないため、敬語が薄く他言語圏の知性体には無礼に感じられる可能性があると前置きして謝罪した。ロックは巨人族の末裔であり、善治郎とユングヴィ王子にウトガルズと巨人族の関係、文化、技術について語った。ウトガルズは異世界ウートガルザへの移動手段を確保し、そこから魔堆岩を輸入することを目指している。善治郎は、カープァ王家がこの計画に協力することを前提に、ウトガルズが他国との取引の窓口をカープァ王国に一任することを提案し、ロックはその提案を受け入れる条件として、契約を正式に魔法で結ぶことを求めた。善治郎とユングヴィ王子はこの提案に同意し、歴史的な契約に向けての第一歩を踏み出した。

幕間一  王と王子の密談

ウトガルズでの善治郎、ユングヴィ王子、ロック代表との会談後、ウップサーラ王国の王グスタフとユングヴィ王子が極秘に話し合い、ウトガルズとの関係強化の重要性を議論する。ユングヴィ王子はカープァ王国への訪問と、そこからの妻選びの意図を父に伝えるが、第一夫人としてカープァ王国の女性を選ぶことの難しさと、北方五か国及び教会勢力との関係を考慮する必要性について話す。グスタフ王は、カープァ王国との絆を重視しながらも、ウトガルズとの独占的な貿易契約を結んだ善治郎の意図と、可能性ある第三国の関与を探ることに同意する。ユングヴィ王子は、この外交戦略を通じて、カープァ王国及び善治郎との友好を深めつつ、潜在的な第三国の動きを警戒し、将来的には両国間の関係をさらに強化する方針を固める。

第二章  策と暗躍

ウトガルズ訪問後、カープァ王国に戻った善治郎は女王アウラと会談し、ウトガルズでの経験や独占貿易契約の結果を報告する。善治郎の目的は、シャロワ・ジルベール双王国にウトガルズとの直接取引をさせないことであったが、この判断はアウラにも正しいと認められる。しかし、アウラは善治郎が独断で契約を結んだことに懸念を示し、その結果として外交圧力が増す可能性を指摘する。また、善治郎は『異世界転移』の研究に取り組むこととなり、そのための資料整理や将来的な技術的問題についても話し合う。女王アウラは、善治郎の努力を支持し、エスピリディオンの限定的な協力を許可する。この会談は、善治郎の責任と今後のカープァ王国の技術的進歩に対する重要なステップとなる。

一か月後、カープァ王国でウップサーラ王国のユングヴィ王子とフレア姫が久しぶりに再会する。二人は他国の者同士のように挨拶を交わすが、実際には親しい関係で、そのやり取りに周りも和やかな反応を示す。ユングヴィ王子はカープァ王国の暑さに驚きつつも、善治郎から南大陸の暑さ対策について念を押されていたことを話す。また、ユングヴィ王子は善治郎がウップサーラ王国に滞在していると報告し、彼が『瞬間移動』を使ってログフォートまで移動することになった理由を説明する。この移動は、ヤン司祭が『教会』に拘束されたことへの対応として必要だったためである。フレア姫は善治郎が滞在期間を延ばしたことや、ユングヴィ王子の結婚計画の進行をアウラ女王に伝えるべきだと提案する。ユングヴィ王子は善治郎が協力の対価についてアウラ女王と話し合うように言ったことを明かし、フレア姫はアウラ女王が交渉において手ごわい相手であることを冗談めかして指摘する。

善治郎がカープァ王国に帰国し、女王アウラと対談する。彼は北大陸の情報を共有し、ヤン司祭の拘束と可能な処刑の見通しについて話し合う。アウラ女王はヤン司祭が『教会』の意見に従うことを望んでいると推測するが、最終的には処刑されると予想する。善治郎はヤン司祭の人柄について理解していないため、彼の処刑を防ぐ方法について慎重な姿勢を示す。女王アウラはカープァ王国と『教会』が既に敵対関係にあることを善治郎に説明し、ヤン司祭の復活が可能な戦略であることを示唆する。彼女は、ヤン司祭が魔力を持たないため、秘匿魔法『時間遡行』を使用して復活させることができる可能性があると述べる。しかし、この計画はヤン隊長がヤン司祭の遺体を回収できるかどうかにかかっている。善治郎と女王アウラは、ヤン隊長に接触してヤン司祭の遺体を回収する計画のリスクと可能性について議論する。女王アウラは、この作戦が成功すれば利益をもたらすが、失敗しても大きな影響はないというスタンスをとる。善治郎はこの作戦に慎重ながらも、カープァ王国の為政者として必要な冷徹さと戦略的思考を理解し始める。

女王アウラはトゥカーレ王国からヤン隊長の所在情報が詳細に記された書状を受け取る。この情報はトゥカーレ王国の『解得魔法』を用いて得たもので、ヤン隊長の現在地と可能性のある潜伏場所が記されている。トゥカーレ王国のこの行為は、カープァ王国にとって非常に有益であり、元々不確実だった計画を成功させる可能性を大きく高める。女王アウラはこの情報を基に、今後の行動計画を練ることになる。計画の成功には現地の人間の協力が必要となり、ウップサーラ王国や善治郎の『瞬間移動』を利用する可能性も検討される。しかし、トゥカーレ王国が情報提供者であることは公にされず、彼らの暗躍は知られることがない。女王アウラはこの状況を「本当の策士は、策を仕掛けたことや策士の存在すら、相手に気づかせない」と評する。

第三章  能力と嗜好

数日後の夜、善治郎がウップサーラ王国から帰国した後、カープァ王国の王宮で他国の王族を歓待するための盛大な夜会が開かれた。この夜会では、双王国のフランチェスコ王子とボナ王女から提供された『不動火球』魔道具が照明として使用され、会場を華やかに照らし出した。主催者である善治郎と側室のフレア姫は、主賓のユングヴィ王子を暖かく迎え入れた。夜会はユングヴィ王子の第二夫人候補との顔合わせも兼ねており、未婚の若い娘たちが親や保護者にエスコートされて参加していた。善治郎は、この夜会を通じてユングヴィ王子の第二夫人となる可能性のある少女たちを支えたいと考えていた。彼女たちにとっては人生の大きな岐路であり、善治郎自身も異世界に婿入りした経験から彼女たちの心情を深く理解している。また、この夜会ではカープァ王国の元帥プジョル・ギジェンとその妻、そして双王国の王族であるフランチェスコ王子とボナ王女との交流も行われ、ウップサーラ王国と双王国の関係強化に寄与した。特に、『不動火球』魔道具に対するユングヴィ王子の興味や、プジョル元帥が鍛冶師ヴェルンドから特別に作られる武器に対する期待が交わされた。フランチェスコ王子はユングヴィ王子の国力向上への意志と行動力を高く評価し、彼の尽力を尊敬する一方で、自身はそういった気力が湧かないと率直に語った。この夜会は、カープァ王国とウップサーラ王国、双王国間の友好関係を強化するとともに、それぞれの国の未来に貢献する交流の場となった。

翌日、カープァ王国の王宮で、ユングヴィ王子はフレア姫と密談を行っていた。この会合は善治郎や女王アウラの許可のもとで行われ、主にユングヴィ王子の第二夫人候補についての感想を交換することが目的であった。ユングヴィ王子はマルケス伯爵の養女であるミレーラ嬢に好印象を持ち、彼女の背後にいるマルケス伯爵やオクタビア夫人のことも高く評価していた。彼は結婚相手とその背後にいる保護者や家格を重視していることが明らかにされた。また、ユングヴィ王子はカープァ王国元帥プジョル・ギジェンや双王国のフランチェスコ王子についても言及した。特にフランチェスコ王子に対しては、有能であるが個人的には非常に嫌いであると強調した。フレア姫はユングヴィ王子にフランチェスコ王子に対する態度を注意深く扱うよう促し、王族間の個人的な感情が外交関係に影響を与えないよう警告した。フレア姫とユングヴィ王子の会話は、二人の深い絆と相互の理解を示していたが、ユングヴィ王子の観察眼には初めての誤りがあったことが示唆された。彼はプジョル元帥夫人ルシンダについて何も記憶に残していなかったのである。このやりとりは、ユングヴィ王子の第二夫人選びや他の重要人物に対する彼の考え方を明らかにし、同時に彼の人物評価には限界があることを示している。

幕間二  潜伏中の傭兵

北大陸西部の最大の大国には、富んだ都市が多数存在する。その中の一つで、内陸に位置し陸路の交易と歴史ある文化で栄えるブレスワフの貧民街に、傭兵ヤンの隠れ家がある。ヤン隊長は、敬愛するヤン司祭が火刑に処されたという報告を受け、絶望している。彼の腹心の部下も、司祭の死に深い悲しみを感じている。隊長は、感情的な報復行為が事態を好転させないことを理解しており、部下に冷静を保つよう説得する。その中で、ヤン隊長に一通の手紙が届けられ、ヤン司祭の遺体を元通りに修復し清めることができるという内容が書かれていた。この手紙はヤン隊長の復讐心を冷ます効果があり、彼の思考をクリアにする。手紙を届けた少年は、傭兵ヤーノシュの息子、ラースローであった。ヤン隊長はラースローの質問に応え、手紙が綺麗すぎることから彼が本物の貧民街の子供ではないことを見破る。ラースローはヤン隊長の賢明な解説から学び、敬意を持って去っていく。

第四章  策を巡らせる女王、世界を巡る王配

ウップサーラ王国の港街ログフォートで、善治郎は「瞬間移動」を使い、傭兵ヤン隊長を秘密の会談に招待する。善治郎は、この会談がカープァ王国からの伝言であることを明かし、すべての計画が彼の指示によるものであると説明する。ヤン隊長は、カープァ王国の血統魔法「瞬間移動」の存在を知り、善治郎からカープァ王国国王アウラとの会談に飛ばされる。

王国の石室で女王アウラと対面したヤン隊長は、アウラからカープァ王国の「時間遡行」魔法について学び、敬愛するヤン司祭の火刑によって損傷した亡骸を修復できる可能性について説明を受ける。アウラはヤン隊長に亡骸修復のデモンストレーションを行い、ヤン隊長を納得させる。

ヤン隊長はアウラの提案を受け入れ、ヤン司祭の亡骸を取り戻すことを約束する。アウラは、時間的な制限があることと、修復は可能だが死体を生き返らせることはできないことを説明する。ヤン隊長は自信を持ってアウラの要求に応え、教会から亡骸を取り戻す決意を固める。この会談は、カープァ王国が北大陸情勢に深い関心を持っていること、そして「時間遡行」という秘匿された魔法を使い、敬愛する人物の亡骸を修復するための協力を求めるという重要な内容を含んでいる。

ヤン隊長は女王アウラの「瞬間移動」魔法によってウップサーラ王国の港街ログフォートへ戻り、そこから「教会」勢力圏へ潜入する計画を立てる。一方、カープァ王国では、「黄金の木の葉号」がワレンティア港に到着し、善治郎が「瞬間移動」で出迎えに行く手配がされている。善治郎はワレンティア代官館でダミアン代官に迎えられ、「黄金の木の葉号」の一行と対面する。善治郎は船長のマグヌス船長と面会し、フレア姫やウップサーラ王国外交官とともに港へ視察に行き、大きく変わった港の様子や進行中の工事について確認する。

この中で、リンネ教授がペテル・リンネ教授として紹介され、彼がウップサーラ王国に帰国することが決定される。リンネ教授の帰国はグスタフ王の命令と、鍛冶師ヴェルンドの土探しの依頼を受けるためであり、善治郎は彼の南大陸への再訪をサポートすることを約束する。また、「黄金の木の葉号」の修繕と今後の計画について話し合いが行われ、ワレンティア港での乾ドック建設の遅れとその影響についても議論される。善治郎は工事の質の重要性を強調し、職人たちに丁寧な仕事を要求する。

善治郎とフレア姫は主な目的でワレンティアを訪れた後、アルカトへと向かう。アルカトはフレア姫が公爵位を得て、将来的に国際貿易港として発展させる予定の地域である。しかし、現時点では開発が始まったばかりで、職人たちが基本的な整地作業を行っている段階である。フレア姫はカープァ王国の予算の制約により、アルカト開発の進捗が遅れていることを認めつつも、将来は重要な港になることを強調する。善治郎は、北大陸の技術を活かして独自財源を確保するアイデアを提案し、特に北大陸の糸の白さに注目する。この糸の白さが技術によるものならば、それを南大陸で活用することで商機を見出せるかもしれないと考える。フレア姫はこの提案に興味を示し、さらなる調査を決意するが、最終的には女王アウラの許可が必要になるという点で一致する。

第五章  目論見通りの奇跡

女王アウラとヤン隊長の密会から約一か月後、ヤン隊長は女王の前に立ち、『時間遡行』の魔法を行使してもらうために、教会の中にいたヤン司祭の信奉者たちの協力を得て、ヤン司祭の遺骨を持ってくる。女王アウラはこの魔法を使い、ヤン司祭の時間を巻き戻し、彼を蘇生させる。蘇生後、ヤン司祭は記憶に空白があることに気づくが、体調や傷の状態は巻き戻された時間のものと一致している。

女王アウラはヤン司祭とヤン隊長を北大陸に『瞬間移動』で送り返す計画を進めるが、その前にヤン司祭の記憶の空白についての話し合いが行われる。ヤン隊長は、ヤン司祭の影響力を信じており、故郷には彼を信じる人々が多いと確信している。女王アウラもこの計画に同意し、最終的に二人を北大陸に送り返す。

この物語は、ヤン司祭の蘇生、記憶の空白の扱い、そして彼らの北大陸への帰還を通じて、信仰、権力、そして人間関係の複雑さを描いている。ヤン司祭が生き返ったことで、教会内の力関係や信仰に対する考え方にも変化が生じる可能性がある。

善治郎と女王アウラは、『ヤン司祭』復活の件が片付いた後、機密情報を話し合うため後宮のリビングルームで会談を行った。彼らは人間の蘇生に成功した『時間遡行』の魔法の使用について細心の注意を払いながら、互いに情報を交換した。話し合いの中で、ヤン司祭とヤン隊長がウップサーラ王国から姿を消したこと、そしてカープァ王国がどのように情報を秘匿するかについて議論した。善治郎は情報をパソコンに日本語で入力し、秘密を保持する計画を立てた。

さらに、善治郎とアウラは、北大陸の布製品の品質向上を目指して、北大陸から繊維職人を呼び寄せるフレアの提案について話し合った。技術を売ることで、南大陸の商会との契約を通じて利益を得る方法を模索した。

その後、善治郎はユングヴィ王子の婚姻の話題を持ち出し、ユングヴィ王子が第二夫人としてミレーラを選んだことを知った。彼らはミレーラの意思を確認する方法を検討した。

最終的に、会談はカープァ王国が直面している戦争の危機に焦点を当てて終了した。北大陸諸国の侵略計画に対する準備として、彼らは大陸間航行船の重要性を認識し、その所有が防衛戦略の鍵であることを理解した。善治郎は戦争に対する重い決意を表明し、アウラはそれに同意した。

エピローグ  戦火の萌芽

ウップサーラ王国の王太子であるユングヴィ王子は、善治郎の「瞬間移動」によって帰国し、カープァ王国での経験から貿易相手としての価値を認識している。カープァ王国から第二夫人を迎えることが内定しており、その保護者であるマルケス伯爵を高く評価している。しかし、広輝宮に戻ると、北大陸で大きな事件が起きていることに気づく。それは、ヤン司祭が処刑された後に復活し、「教会」に対する非難声明を出したというものである。この事態は、北大陸特に「教会」勢力圏に動乱をもたらしている。ヤン司祭の復活は、「教会」の信徒にとって最悪の風評をもたらす可能性があり、「教会」はヤン司祭を偽物と断定しているが、多くの人々がヤン司祭を本物と認識している。グスタフ王とユングヴィ王子は、この事態にどう対処するか、特に「教会」の次の動きについて議論する。ユングヴィ王子は、爪派「教会」が感情的に動く可能性が高いと推測し、大火になる可能性が高いと見ている。彼は、ヤン司祭に傭兵を斡旋することを提案するが、グスタフ王は国としての立場を考慮し、その提案をたしなめる。ユングヴィ王子の怖いもの知らずな性格に、グスタフ王は苦言を呈するが、彼の能力は認めている。

付録  主と侍女の間接交流

カープァ王国後宮にフレア姫が側室として入ったことで、後宮には大きな変化が生じた。彼女の到来により、新たな別棟が設けられ、彼女とその北大陸出身の側近たちが加わった。フレア姫の破天荒な個性と、彼女を制限しない夫善治郎の存在が、後宮の日常に大きく影響している。特に、フレア姫とその側近スカジによる騎竜の練習は、後宮の庭の手入れ方法に変化をもたらした。さらに、後宮の窓には北大陸から取り寄せた「窓ガラス」が設置され、新たな変化が加わった。このガラス窓の取り扱いに関しては、北大陸出身の侍女たちが後宮の侍女たちに指導することとなった。後宮侍女長アマンダとランヒルドの間には相似性が認められており、彼女たちの関係性や、後宮での立ち位置は侍女たちによっても評価されている。本日の清掃担当にエルヴィーラが加わり、問題児三人組に窓ガラスの取り扱いを教えることになった。北大陸出身のエルヴィーラは、円形のロンデル窓の清掃方法を指導し、侍女たちはその複雑な構造と手入れ方法に苦労する。エルヴィーラは侍女たちにガラス窓の取り扱いについて細かく説明し、円形ガラスの独特の特徴や、清掃における注意点を指摘する。一方で、フェーたちはエルヴィーラの指導のもと、清掃作業を進めながら、窓の高さや取り扱いの難しさについて話し合う。さらに、エルヴィーラと侍女たちは、後宮での窓ガラス割れの可能性や対処法についても話し合い、善治郎への信頼と対処方法の重要性を認識する。エルヴィーラは北大陸の事情に詳しく、後宮の侍女たちに多くの知識を提供する。また、ミレーラの配置転換についての話題も出て、彼女の新たな役割と後宮での教育が議論される。レベッカが食堂に現れ、エルヴィーラの指導を褒め、侍女たちと軽妙な会話を交わすシーンも描かれる。

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理想のヒモ生活 シリーズ

小説版

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理想のヒモ生活 4巻
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理想のヒモ生活 5巻
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理想のヒモ生活 6巻
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理想のヒモ生活 7巻
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理想のヒモ生活 8巻
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理想のヒモ生活 9巻
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理想のヒモ生活 10巻
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理想のヒモ生活 11巻
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理想のヒモ生活 12巻
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理想のヒモ生活 13巻
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理想のヒモ生活 14
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理想のヒモ生活 15

漫画版

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理想のヒモ生活 17巻
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理想のヒモ生活 18巻

その他フィクション

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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