小説「神達に拾われた男 3」洗濯屋大盛況! 感想・ネタバレ

小説「神達に拾われた男 3」洗濯屋大盛況! 感想・ネタバレ

どんな本?

物語の概要 本作は、異世界転生をテーマとしたスローライフファンタジーである。前世でブラック企業に勤めていた中年サラリーマン・竹林竜馬は、三柱の神々の協力要請を受け、少年の姿で異世界へと転生する。新たな世界で竜馬は、スライムたちをテイムし、その能力を活かして新事業を展開する。第3巻では、クリーナースライムを利用した洗濯屋の開業に挑戦し、店舗建設や従業員の確保など、事業立ち上げの奮闘が描かれる。 

ファイアクロス

主要キャラクター

  • 竹林竜馬:前世ではブラック企業に勤めていた中年サラリーマン。異世界では少年の姿で転生し、スライムたちと共に新たな人生を歩む。
  • クリーナースライム:竜馬がテイムしたスライムの一種。洗浄能力に優れ、洗濯屋の事業において重要な役割を果たす。

物語の特徴 本作の魅力は、異世界でのスローライフと、スライムたちとの心温まる交流にある。竜馬は前世の知識や経験を活かし、異世界で新たな事業を展開する。特に、スライムの多様な能力を活用したビジネス展開や、周囲の人々との温かい人間関係が、他の異世界転生作品とは一線を画す特徴となっている。

出版情報

読んだ本のタイトル

神達に拾われた男  3
著者:Roy 氏
イラスト:りりんら  氏

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あらすじ・内容

スライムを利用した新事業は――どんな汚れも落とす夢の洗濯屋さん!?
森を出て以来、何かとお世話になりっぱなしの公爵家の優しさに甘えることを善しとせず、改めて自立を決意した転生者の少年・竜馬。安定した生活基盤を得るべく、彼は既に行なっている冒険者業とは別に、クリーナースライムを利用したまったく新しい洗濯屋を開業することに! 自力での店舗建設や、優秀な従業員の確保なども終え、晴れて正式オープンとなったそのお店の評判は、竜馬の予想を遥かに超えるもので――!? どんどん賑やかになる楽しいお店経営の一方で、新たな従魔も登場の異世界スローライフファンタジー、第三幕!

神達に拾われた男 3

前巻からのあらすじ

冒険者として実績を積んだ竜馬。
冒険者ギルドに注文を出す前の調査として、公爵家所有の廃坑を公爵家の人達と探査する。

そのあと、冒険者として依頼を受けてギルドから指定された冒険者達と廃坑のモンスター狩をする。
仲間は前回の疫病騒動で一緒に対応したジェフ、ミーヤ、ウェルアンナ、ミゼリア、シリア達とチームを組む。

翌日、廃坑の近隣でゴブリンの集落が見つかり上級ランクの冒険者が集落に攻め込み。
低ランクの冒険者は逃げ込んだゴブリン達を討伐する。
低ランク側の方にいた竜馬だったが、、
ゴブリンの数が想定以上に多くて崩れそうになっているところを竜馬と使役してるスライム達がフォローして崩壊を防ぐ。

そんな大騒動があった後に、ゴブリンの血の汚れを取るのに苦労してると聞いた竜馬は、クリーンスライムの能力が有効だと知った竜馬はクリーニング屋さんをする事を思い付く。

それをモーガン商会セルジュに相談すると、ドンドン話が大きくなって。
商業ギルドに登録して、店舗を土地付きで購入する事になってしまう。

感想

特別書き下ろしの残された人々が・・
なかなかに痛々しい。

使えないボンボンの就職先で、それ以外の優秀な社員にオンブにダッコ。

でも、ボンボンは縁故で仕事は引っ張って来れるから重宝されるって、、、

コレって電通と同じ構造じゃね?
ブラックだわ・・
本編のイメージが吹っ飛ぶほどブラックな会社だ。

竜馬が経営してるクリーニング店が天国に見えるw
大繁盛で最初は店員2人で良いかと思っていたら全く人手が足りなくて。
開店初日に更に人員を増加すべく商業ギルドへ行くと、、
竜馬の姿を見て半分以上の人が出て行き。
スライムを使っての事業だと知ると2人しか残らなかった。
その2人は、元暗殺などをやっていた兵士だったらしく立場的には敗残兵だった。

だけど彼等の人柄は商業ギルドのマスターが保証してくれたので竜馬は2人を雇う事にした。

それで何とか初日をやり過ごしたのだが、、
あまりにもの大盛況に戦慄する竜馬。

急いで、更なる人手の確保をしないといけないと思い商業ギルドに再度、人の紹介をお願いする。

その結果、3人の村娘と料理人が来た。

そんな彼等を中心に店を回していく。
そのせいで、職員には全く休みが無い、、

竜馬の店はどんどん売り上げが上がり噂が噂を呼び客が引っ切りなしに来る。

さらに商業ギルドには、他の街に支店を出して欲しいとも要望があり。
そうなるとテイムが出来る人が必要になり、そんな人材は居ないかと方々に相談したら。

スラムで燻っているスライムの研究家達を採用す。
その研究家達とのスライムについての考察を話し出したら、、

同志として話が終わらないw
コレで、支店長候補も獲得して店は順調に回り出す。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

2章 26話  部下との出会い

補佐となる双子の不安

セルジュの指示で双子のカルムとカルラがギムルの竜馬の店に出向することとなった。二人は店主が11歳の少年であることを知り、不安と緊張を抱えながら馬車に乗り込んだ。到着すると、真っ白な壁と手入れの行き届いた芝生や花壇を持つ清潔な店が目に入り、双子は少し希望を見出した。

初対面と竜馬の印象

店内で迎えた竜馬は素直そうな少年の姿で、双子には商売の厳しさを知るからこその不安が募った。しかし、竜馬は笑顔で挨拶し、冒険者ギルドや商業ギルドの重鎮とも朗らかに会話を交わしていた。その様子に双子は竜馬がただの少年ではなく、貴族の子供であるとの考えを強めた。

仕事の流れと仕組みの説明

竜馬は来店者への接客手順や料金計算の仕組みを詳細に説明した。洗濯物の受付では専用の袋を販売し、料金に応じた色分けの石板を使うことで収益を管理する簡易的なシステムを導入していた。この道具は識字率や計算能力が低い者でも扱いやすく、商業ギルド組の目を引いた。

クリーナースライムの実演

カルムの質問に答える形で、竜馬はスライムの洗浄能力を実演した。汚れた衣類をスライムに処理させると、汚れが完全に落ちていることが証明され、双子やギルド関係者を驚かせた。竜馬は色落ちや特殊な汚れについての注意を促しつつ、丁寧に対応策を伝えた。

仕事開始と双子の働きぶり

実際の接客を始めた双子は、緊張しつつもそつなく業務をこなした。竜馬はその様子を見て安心し、二人の能力を評価した。仕事を通じて、竜馬と双子は少しずつ信頼を築き始め、互いに仕事仲間としての一歩を踏み出した。

2章 27話  忙しくて楽しい宴会

従業員施設の案内

竜馬は公爵家を含む29名の招待客を従業員専用の施設に案内した。更衣室や応接室、休憩室などを見せ、最後に全員を休憩室に通した後、自身は料理の仕上げに向かった。その際、自分が身分の高い人々を気軽に招待した非常識さに気づき、反省していたが、客たちは穏やかに待機していた。

料理の香りと期待

料理の仕上げ中、獣人たちが漂う香りに気づき、その美味しさを期待し始めた。他の招待客にも香りが話題となり、竜馬の料理の腕前が自然と評価された。ラインハルトも竜馬の料理経験を称賛し、客たちの期待が一層高まった。

料理の提供と乾杯

竜馬は料理を提供し、乾杯の音頭を取った。用意された料理と「ジェミスの泉」という銘酒は好評であり、特に酒の神テクンの加護を持つ竜馬への驚きと羨望が語られた。特にドワーフたちは、酒の神の加護の価値を強調し、竜馬の幸運を称えた。

料理の評価と歓談

招待客たちは料理を次々におかわりし、竜馬の料理の美味しさを絶賛した。ラインハルトは、竜馬の料理が貴族の宴会の高級料理よりも美味しく感じられる理由を語り、他の客もその意見に同調した。デザートのアップルパイも好評で、特に女性陣から高い評価を得た。

双子の決意と誤解の解消

カルムとカルラは、竜馬の考えや店の仕組みに触れる中で不安を克服し、ここで働きたいと強く希望した。竜馬はその決意を歓迎し、互いに協力していくことを確認した。その後、二人が竜馬を貴族と勘違いしていたことが明らかになり、セルジュも交えて誤解を解消した。

宴の後の静かな満足

完成祝いは盛況のうちに終わり、客たちは竜馬に無理をしないよう声をかけて帰っていった。宴会の片付けを終えた竜馬は、外から店を眺め、前世では味わえなかった充実感を静かに噛み締めていた。

2章 28話  開店

早朝の開店準備

竜馬は前日の勢いで、予定より早く開店を決め、朝5時に店へ出勤した。しかし従業員の到着まで時間があったため、スライムと戯れながら開店準備を進めた。

開店と近隣への挨拶

カルラとカルムが到着し、共に開店準備を整えた後、竜馬は近隣への挨拶として隣のポリーヌに開店を伝えた。彼女は竜馬のサービスに興味を示し、早速利用を決めた。また、冒険者ギルドでも宣伝を行い、冒険者たちに洗濯代行サービスを広めた。

初日の繁盛と人手不足

予想以上の反響で、初日から多くの客が訪れた。特に警備隊が大口契約を申し込み、対応に追われた。カルラとカルムは昼食も取れずに働き続け、竜馬は早急な人員確保が必要だと判断した。

商業ギルドでの採用活動

竜馬は商業ギルドを訪れ、すぐ働ける人材を探すことを依頼した。ギルドマスターの協力で集められた候補者たちに対し、竜馬は店の状況や条件を説明した。しかし、竜馬の年齢やスライムを同僚とする点に戸惑う者が多く、大半が辞退した。

残った二人との面接

最終的に、中年男性と若い女性の二人が残った。彼らは竜馬の店の条件に納得し、働く意思を示した。竜馬は彼らに感謝を伝えつつ、具体的な仕事内容やスライムとの共存について再確認し、新たな従業員として採用を進めることとなった。

2章 29話  雇用

新たな雇用者との出会い

面接に残った二人は親子であり、父フェイと娘リーリンという名前であった。フェイはジルマールという国からの逃亡者で、右足を骨折した状態であった。彼らは戦乱の中で財産を失い、ギルドの仮宿に住んでいたが、従業員用の宿舎があることを聞き、喜んで仕事を受け入れる意思を示した。

元殺し屋という過去の告白

フェイとリーリンは自身の過去について打ち明けた。彼らはジルマールで治安維持のため暗殺者として働いていたが、主君を失い国を追われていた。竜馬は彼らの能力を信じ、過去を問題視せず雇用を決定した。

店での初日勤務と繁忙の対応

店に戻ると、フェイとリーリンは即座に手伝いを申し出た。彼らの助力により、夕方の混雑も乗り越えることができた。フェイは受付専門の予定であったが、多少の荷物運びも問題なくこなした。

フェイの足の治療

終業後、竜馬はフェイの骨折した足をヒールスライムを使って治療した。これにより、フェイは完全に回復し、これからの業務に万全の体制で臨むことが可能となった。

開店初日の成功

開店初日の売り上げは7,918スートであり、中規模の商会の1日の利益を大きく上回った。客層は冒険者や近隣住民が中心で、口コミが広まりつつあることが確認された。この結果を受けて、従業員の増員や将来的な支店展開の可能性についても話題に上がった。

新たな従業員の正式採用

フェイとリーリンは生活可能な最低賃金で働く意思を示したが、用心棒としての役割も含めて日給150スートが支払われることとなった。履歴書には兵役経験者と記載されており、信頼できる人材として歓迎された。

宿での報告と初日の充実感

竜馬は宿に戻り、ラインハルトらに初日の売り上げを報告した。彼らもまた、この結果に驚き、竜馬の事業の可能性に期待を寄せた。

2章 30話  人員追加

新人歓迎の準備と営業開始

竜馬は新人を歓迎するための買い出しを終え、朝9時に店へ戻った。店内はカルラとフェイが接客、カルムとリーリンが洗濯物の運搬と返却を担当し、順調に営業が進んでいた。竜馬は皆のためにピザやサラダなどを準備し、交代で従業員たちに食事を摂らせた。

混雑する昼営業と売り上げの増加

昼を過ぎると、店内は再び混雑し、全員総出で対応した。売り上げは11,877スートに達し、前日比1.5倍の増加であった。竜馬は人手不足の解消を考え、追加で従業員と料理人を雇うことを決断した。

追加人員の採用と住み込みの手配

商業ギルドで新たに3人の女性従業員と1人の料理人を採用した。彼女たちは住み込み希望で、即座に契約が結ばれた。ギルドマスターからは将来的な支店展開の提案も受け、竜馬は励まされながら店へ戻り、新人たちを紹介した。

新体制での順調な営業

新たな従業員たちはよく働き、料理人の腕も確かであった。これにより竜馬は店外の業務や冒険者活動にも時間を割けるようになり、店は安定した運営を迎えた。売り上げは依然として高水準を維持していた。

セルジュの提案と防水布の製造計画

セルジュから防水布の製造について相談を受け、竜馬はグレルフロッグ大量発生期を狙った商品展開の提案を承諾した。スティッキースライムを活用し、1日45~90反の生産が可能であることを伝えた。また、安全な製造場所として廃坑を活用する計画を立て、材料の布を受け取った後、すぐに製造準備に入った。

2章 31話  廃坑での作業

廃鉱山の作業場整備と防水布の製造

竜馬は廃鉱山の最も高い坑道を作業場として整備した。土魔法を用いて作業台を量産し、スティッキースライムの粘着液を利用して布を固定し、防水加工を開始した。作業は順調で、虫や魔獣への対策を考えつつ、今後は扉を設置することも検討した。

スライムの訓練と自己鍛錬

布の乾燥を待つ間、竜馬は自らの格闘術や瞑想を行い、スライムたちにも棒術や槍術の訓練を課した。錬金術を活用して武器を作り、スライムの戦闘能力を磨かせたことで、効率的な時間の活用を図った。

人形作りでの時間つぶし

作業の合間、竜馬はセルジュの娘が希望していた人形を製作することを思い出し、様々な材料で人形作りを始めた。石材や土を用い、魔法を駆使して精巧な人形を完成させた。気づけば数多くの人形が出来上がり、急いでそれらを持ち帰った。

貴族への納品と人形の反響

宿に戻った竜馬は、貴族の部屋を訪れ、防水布の製造状況を報告した。さらに、自作の人形を披露し、公爵家一同から大いに喜ばれた。特に家族をモデルとした精巧なフィギュアが好評で、これを気に入った彼らに進呈した。

人形の代価と新たな可能性

セバスから人形の代金として提示された中金貨10枚に驚いた竜馬は、それを辞退し、中金貨2枚だけを受け取った。セバスは貴族向けの石像製作が高額報酬を得られることを示唆し、竜馬に新たな可能性を教えた。竜馬はその言葉に衝撃を受けつつ、翌日の布乾燥待ちの間に何を作るか考えながら眠りについた。

2章 32話  スライムの異変

廃坑での防水布製造と手持ち無沙汰の解消

竜馬は廃坑での防水布製造を開始し、慣れた手つきで作業を早々に終えた。しかし手持ち無沙汰となり、キングスカベンジャースライムとの戦闘訓練を思いついた。スライムの防御能力の高さを確認しつつ、打撃力不足を補うための技術を教え込んだ。弾力を活かした投げ技や押さえ込みを中心に戦法を構築し、効率的に時間を使った。

スライムの進化と鑑定の発見

スライムの一匹が進化の兆しを見せ、観察した結果「アイアンスライム」へ進化したことが判明した。メタルスライムとの違いが鉄のみを食べる点にあると推測し、進化条件を確認した。また、鑑定魔法が使用者の知識に基づく詳細な情報を引き出す仕組みであると理解し、今後の活用方法を模索した。

インゴット製作と防水布の納品

防水布の乾燥を待つ間、竜馬は純度80%、500gの鉄とアルミのインゴットを作り続けた。その後、防水布を回収し、セルジュの店へ納品。さらに300反の布を受け取り、効率的な生産を進める準備を整えた。

店でのクリーナースライムの分裂

店を訪れると従業員が効率よく仕事を進めている様子を確認した。さらに、クリーナースライムが分裂可能な状態となり、竜馬は分裂を進めた結果、スライムが54匹に増加した。これにより洗濯作業の効率が向上し、竜馬は接客と荷運びを分担することで業務全体の効率を上げた。

ピークタイムの対応と閉店

分担作業の導入により、顧客対応の速度が明らかに向上した。クリーナースライムの増加と従業員のスムーズな連携により、ピークタイムも問題なく乗り越えることができた。その結果、無事に閉店時間を迎え、店の運営は順調に進んだ。

2章 33話  閉店後

急増した売り上げの報告

カルラが本日の売り上げを報告し、予想を大幅に上回る26,036スートという結果に竜馬は驚いていた。急増の要因として、大口契約による袋の販売や新規顧客の増加が挙げられた。売り上げの詳細を確認した竜馬は、従業員が休憩室で行っている売り上げ確認作業を手伝うことを申し出た。

銭枡の製作と効率化

大量の銅貨を数える作業に苦労していた竜馬は、鑑定魔法を活用して硬貨の大きさを測定し、銭枡を製作した。この道具を使うことで銅貨の仕分けと数え上げが大幅に効率化し、作業は短時間で完了した。従業員たちはこの便利な道具に感心し、竜馬の発案に感謝していた。

従業員の休日設定

従業員の労働環境を見直していた竜馬は、休日を設定していないことに気づき、週1日の休暇を交代制で導入することを提案した。この案に従業員たちは驚きつつも大いに喜び、竜馬の経営方針に感謝の意を示した。これにより、健全な職場環境を目指す意識が従業員たちに共有された。

役所での接待と査問会の話題

宿に戻った竜馬は、お嬢様たちが役所の新任責任者の歓迎会に参加していた話を聞いた。華やかな表向きの接待の裏で査問会が開かれるという異様な光景が展開されていたという。竜馬は長居を避け、早めに宿を後にした。

2章 34話  掘り出し物

二日酔いのラインハルトへの対応

ラインハルトが宴会の過剰な酒により二日酔いで苦しんでいたため、竜馬は薬を調合し提供した。役所の人間たちは媚びへつらい、家族全員に酒を勧めていたが、ラインハルトがその負担を一手に引き受けていたことが判明した。竜馬は彼の状態を見届けた後、宿を後にした。

テイマーギルドとスライム購入の情報

竜馬はメイリーンから、上位種スライムを持ち込んだ冒険者パーティーがテイマーギルドで買い取ってもらえなかった話を聞いた。そのスライムを入手するため、竜馬は街の東にある穴熊亭を訪れた。パーティー「シクムの桟橋」との交渉の末、未鑑定のスライムを小金貨2枚で買い取ることに成功した。

ブラッディースライムの契約と観察

鉱山で購入したスライムを確認した竜馬は、そのスライムが「ブラッディースライム」であることを鑑定した。吸血や消臭などのスキルを持ち、血を餌とする特性が判明した。狩ったホーンラビットを利用して吸血能力を観察し、その結果血抜きが完璧に行われた肉は非常に高品質であることが分かった。

血液の供給計画

ブラッディースライムの餌となる血液を確保するため、竜馬は狩りを繰り返すことが難しいと考え、肉屋のジークから血液を提供してもらえる可能性を検討した。地球の血液料理との違いに思いを巡らせながら、魔力酔いのリスクを避ける方法を模索した。

捕獲したスライムと防水布の加工

鉱山でスライムを3匹捕獲し、新たに契約した竜馬は、ブラッディースライムの研究を進めつつ、防水布の加工を継続した。効率的な作業を行いながら、新しいスライムの生態研究に取り組む計画を立てていた。

2章 35話  餌の用意

スライムへの魔力実験と属性の特定

竜馬は新たに捕獲したスライム3匹に魔力を放出し、それぞれの属性への反応を確認した。結果、2匹が土属性、1匹が闇属性を好むことが判明した。スライムの進化と魔力の関係性を深く調査するため、今後も魔力を与え続けることを決めた。

ジークの肉屋での血液調達

竜馬はジークの肉屋を訪れ、ブラッディースライムの餌となる血液を求めた。ジークの快諾により、捨てられる予定だった大量の血液をスライムに吸わせた。さらに、売れ残りの肉や骨なども譲り受けることができ、スカベンジャーやアシッドスライムの餌問題も解決の目途が立った。

店でのトラブルと対処

竜馬が店に戻ると、柄の悪い男たちが警備隊に連行されていく場面を目撃した。事情を聞くと、彼らは営業妨害を目的に雇われたゴロツキであったが、フェイが一人で取り押さえ、被害を未然に防いだとのことだった。竜馬は従業員と共に今後の対策を話し合い、夜間の警備にスライムを使うことを決めた。

警備員雇用の提案と交渉

ラインハルトに相談すると、公爵家の伝手で元騎士や元軍人を紹介されるも、その規模が大きすぎるため竜馬は丁重に断った。最終的には現状を静観し、従業員とスライムで店を守る体制を維持することで合意した。

一日の終わりと反省

店の安全を確保し、今後の対策を立てた竜馬は、自身の判断と従業員の能力に感謝しつつ、一日の疲れを癒すため休息に入った。

2章 36話  従魔術

お嬢様との従魔術訓練の誘い

朝早く、エリアお嬢様が竜馬を訪ね、従魔術の訓練に誘った。セバスの助言で、竜馬は店の警備を任せ、一緒に訓練を受けることにした。彼はこれまでお嬢様と過ごす時間が少なかったことを反省し、快諾した。

感覚共有の訓練と契約

廃坑の広場にて訓練が行われた。従魔術の感覚共有について奥様から説明を受け、竜馬とお嬢様はクルーバードという鳥型の魔獣と契約した。竜馬はテレビの映像をイメージすることでスムーズに感覚共有を成功させたが、同時に自分と従魔の視界が混ざる不快感も覚えた。休憩中、彼らの習得の速さに奥様とラインハルトが驚きを示した。

従魔術の適性と奥様のリトルフェンリル

休憩中、竜馬は自身の適性について学び、スライム以外の魔獣とも相性がある可能性を知った。さらに奥様がリトルフェンリルという強力な従魔を召喚し、彼女が狼型の魔獣に特化した適性を持つことを明かした。その数は20匹以上であり、竜馬はその実力に感嘆した。

ラインバッハ様の竜種従魔と開祖の話

ラインバッハ様が竜種の従魔を複数契約していると聞き、竜馬はその規模に驚愕した。彼の竜たちは山中で人里への被害を防ぎつつ暮らしており、これが契約者の責任であることを知った。また、従魔術の開祖シホ・ジャミールが全ての魔獣に適性を持ち、無制限に契約可能だった話も聞き、歴史的な背景に興味を抱いた。

将来への助言と感謝

竜馬は奥様やラインハルトから、将来強力な魔獣との契約で住む場所に困った際には相談するよう助言を受けた。彼はその申し出に感謝しつつ、自身の成長と責任を胸に刻み、訓練を終えた。

2章 37話  強制休日

従魔術訓練後のお嬢様の演奏

訓練を終えた後、エリアお嬢様がリムールバードとの契約を目指して演奏の練習を行うことが明らかになった。セバスがリムールバードの高い知性と魔力、契約時に音楽が必要である理由を説明した。さらに、竜馬に対しては休息を取らせるための口実であることが明かされた。

スライムの進化と新たな発見

お嬢様の演奏中、竜馬が魔力を与えていたスライムが進化を始めた。アーススライムとダークスライムが誕生し、それぞれ土魔法と闇魔法を使える希少種であった。進化の手法について説明を求められたが、お嬢様と奥様は魔力制御が難しく、成功には至らなかった。これを受け、お嬢様は魔力操作スキルの習得を目指すと決意を新たにした。

狩りと収穫の時間

竜馬がクルーバードを飛ばしたところ、ホーンラビットの群れを発見した。一行は協力して効率よく狩りを進め、大量の獲物を手に入れた。その後、クルーバードとの契約を解除し、再び必要になれば自身で捕まえる意向を示した。

町への帰還と休息

日が暮れる前に町へ戻るため、一行は馬車に乗り込んだ。馬車の揺れが心地よく、竜馬は自身の疲れに気づき、そのまま眠りについた。宿に着いても疲労からすぐに眠りに落ち、翌日への英気を養った。

2章 38話  雇用のために

朝の挨拶と従業員との会話

リョウマは開店前に店へ赴き、従業員たちに挨拶をした。従業員からは無理な働き方への懸念が示され、休養を取るよう助言を受けた。彼は感謝を述べつつ厨房に向かい、狩猟で得たホーンラビットの肉をシェルマに渡した。保存用の冷蔵庫を使い、食材の保存や経済的な運用の重要性についても語り合った。

人材育成と従魔術師の必要性

カルムから今後の支店展開を見据えた人材育成の提案を受けた。特にクリーナースライムの管理を担える従魔術師の雇用が課題となり、信頼できる人物をどう選ぶかについて話し合った。また、以前の営業妨害事件を踏まえ、今後の警戒が必要であることも確認した。

ジェフとの会話とスラムの人材雇用案

廃坑へ向かう途中でジェフと出会い、串焼きを振る舞われながら会話を交わした。ジェフはスラムの人間を雇用する案を提案し、彼らが仲間意識が強く、信頼関係を築けば良い労働力になると助言した。リョウマはこの案に目を開かされ、具体的な検討を始めることを決意した。

廃坑でのスライム訓練と進化

廃坑では防水布の製作を進める傍ら、スライムたちの訓練を行った。アーススライムは石材の生成を迅速に習得し、実用的な成果を挙げた。一方、ダークスライムは攻撃魔法の練習を通じて能力を向上させることが期待された。ブラッディースライムは戦闘には向かないものの、高速移動という特性が見出された。

スラム雇用の相談と今後の方針

夜になり、公爵一家の部屋を訪れ、スラム人材の雇用について相談をした。公爵夫妻はこの案に賛同し、信頼できる伝手があれば問題ないと評価した。また、雇用手続きの際にはギルドを通すべきという助言も受けた。翌日、ギルドを回ることを決めたリョウマは、その夜を紅茶を飲みながら雑談で締めくくった。

2章 39話  根回し

商業ギルドでの相談と忠告

リョウマは商業ギルドを訪れ、スラムの人材雇用についてギルドマスターに相談をした。ギルドマスターは問題なく受け入れ、信用できる人材が見つかれば手続き可能とした。また、以前のゴロツキ事件について調査の進捗が語られたが、雇い主に関する詳細は掴めず、闇ギルドの可能性も示唆されたため注意を促された。

届け物を通じたテイマーギルドとの接触

ギルドマスターから渡された栄養剤と手紙を持ち、リョウマはテイマーギルドのテイラー支部長を訪ねた。商業ギルドでの相談内容を伝え、支部長もスラムの人材雇用に理解を示した。さらに、スライム専門の従魔術師雇用が、生活に困窮する従魔術師の救済につながる可能性があると語られた。

スライムの再評価とギルド支援の課題

支部長は、スライムが簡単に契約可能な魔獣である一方で、役立たずとみなされることが多い現状を説明した。しかし、スライムに特化した職場が増えることで、従魔術師の生活改善が期待できると述べた。一方、ギルド全体として支援を行う場合、上層部からの干渉や、スライムを低く評価する人々の反発が懸念材料として挙げられた。

冒険者ギルド訪問への意欲

リョウマは支部長の話を受け、人材雇用をより積極的に進める決意を固めた。冒険者ギルドを訪れ、信頼できる人物を見つけるべく行動を開始する予定を立てた。支部長との雑談を終えた後、リョウマは次の一歩を踏み出す準備を整えた。

2章 40話  新たな従魔術師

スラム訪問と元締めとの交渉

リョウマはジェフと共にスラムを訪れ、元締めであるリブルと面会した。リョウマは自らの店の事情と、スラムの人材雇用の提案を説明し、リブルからもスラム住民の雇用に関する了承を得た。スラム住民の生活改善が見込まれる話であり、リブルもこの提案に賛同した。

コーキンとの出会いとスライム研究の共感

ジェフに案内されたリョウマは、元研究者で従魔術師のコーキンと出会った。コーキンはスライム研究の経験を持ち、リョウマのスライム研究と共通する興味を抱いていることが分かった。二人は瞬く間に意気投合し、コーキンはリョウマの店での仕事に強い関心を示した。

トニーとロベリアの加入

さらにジェフが呼び寄せたトニーとロベリアとも面会した。トニーは従魔術師としての優れた才能を持ちながらも、不当な扱いを受けた過去があり、現在は日雇いで生計を立てていた。ロベリアもまたセクハラ被害や不当な左遷を経験し、スライム研究の経験を持っていた。二人ともリョウマの提案に深く興味を抱き、雇用を希望した。

クリーナースライムの実演と信頼の獲得

リョウマはクリーナースライムを使った実演を行い、その有用性を示した。3人はスライムの能力とリョウマの提案に感銘を受け、仕事への熱意を強く表明した。特にスライムの清掃能力がスラム生活で落としきれなかった汚れを一掃したことにより、実感を伴う信頼が生まれた。

雇用契約と準備

リョウマは3人を正式に雇用し、住み込みで働くことを提案した。衣服が見窄らしいことを考慮し、ジェフとロベリアに服を購入してもらい、準備を整えた。その間にリョウマは店に戻り、新人雇用の報告と段取りを進めることとした。

2章 41話  予兆

新従業員のギルド登録と契約

リョウマはジェフに礼を述べた後、コーキン、トニー、ロベリアを連れて商業ギルドへ向かった。ギルドマスターとの面会では、3人の熱意とリョウマへの忠誠心を評価され、スムーズに登録と契約が行われた。契約には特別な契約用紙が用いられ、偽造や違反が不可能な形式で取り交わされた。

店での初仕事と役割分担

新従業員たちはリョウマの店で働き始めた。コーキンは元貴族らしい威圧感のある話し方から洗濯物運びを担当。トニーは体力を活かして同じく洗濯物運びを、ロベリアは人と接する経験を活かして受付を担当した。特にロベリアは冒険者たちからの人気を集め、店の活気に一役買った。

旧知の仲との再会

店内でコーキンは、元同僚のレイピンと再会した。二人は研究所時代の苦い経験を語り合いながらも、現在の新しい環境に希望を見出していた。リョウマの店で働くことで過去の鬱屈を晴らし、再起を図る意志を示した。

グレルフロッグの大量発生情報

レイピンはリョウマにグレルフロッグの大量発生を知らせた。グレルフロッグは薬の材料として高値で取引される魔獣であり、リョウマはその情報を活用して利益を得る計画を立てた。ブラッディースライムや錬金術の活用により、効率的な処理が可能だと考えた。

冒険者たちの訪問と作業着の需要

冒険者のアサギ一行が店を訪れ、汚れに強い作業着の購入について相談した。リョウマは彼らにモーガン商会を紹介し、店の防水布を活用した製品の需要を広めるきっかけを作った。

営業終了と計画の進行

その日の営業を終えたリョウマは、売上を確認しつつグレルフロッグの捕獲と加工計画に思いを巡らせた。効率的な捕獲と処理を目指し、店の活動を更に広げる決意を新たにした。

2章 42話  準備

お嬢様たちへの報告と今後の予定

リョウマはお嬢様たちの部屋で、雇った従魔術師たちや店の現状について報告した。新たに雇用した3人の従魔術師がスライム研究の経験者であり、やる気に満ちていることを伝えた。話の中でラインハルトからグレルフロッグの大量発生とリムールバードとの契約の予定について情報を得た。

防水布の納品と増産計画

翌日、防水布をセルジュの店に納品したリョウマは、需要が高まっている現状を確認した。セルジュからの感謝を受けつつ、作業場を拡張してさらに生産を増やすことを決意した。その後、廃坑に戻りスライムと共に作業を進め、防水布の増産に成功した。

スライムたちの魔力吸収の検証

廃坑での作業後、スライムたちに魔力を与えながら吸収の特性を観察した。種類ごとに好む魔力属性が異なることを確認し、ヒールスライムが分裂可能になるという新たな発見もあった。さらに回復魔法の練習を兼ねて実験を行い、新しいヒールスライムを契約した。

酒の神テクンとの出会い

教会での祈りの後、リョウマは酒の神テクンに出会った。テクンから神々の加護や地球への観光の話を聞き、異世界と地球の関係について新たな視点を得た。テクンは急に走り去ったものの、リョウマには魔力で酒を出せる杯を託した。

神界での待機と帰還

テクンが去った後、リョウマは杯を使って酒を楽しみつつ神界で待機した。アイテムボックスを利用可能なことを確認しながら帰還の準備を進め、無事に元の世界へ戻った。帰還後は、あの美酒を味わえなくなったことを少し残念に思いながら教会を後にした。

2章 43話  沼地へ

リムールバードとの契約を目指して

リョウマたちは公爵家の面々と護衛の一行で廃坑へ向かった。険しい山道を進む中、お嬢様エリアは体力に不安を抱きつつも、リョウマの励ましと護衛たちのサポートで歩みを進めた。道中、リョウマは過去の苛烈な修行を語り、一行を驚かせた。

沼地でのリムールバード探索

沼地に到着した一行は、その悪臭と環境の劣悪さに直面した。最初に見つけた小さな沼ではグレルフロッグもリムールバードもおらず、さらに広い沼へ移動することとなった。次に見つけた大きな沼ではリムールバードが多数飛来しており、その美しい姿に一行は感嘆した。

冒険者たちとリムールバードの攻防

沼地では冒険者たちがグレルフロッグを巡りリムールバードと争っていた。その中、楽器を用いてリムールバードとの契約を試みる者もいたが、リムールバードの嘲笑を浴び失敗に終わった。ある男が短剣でリムールバードに接近すると、風魔法による攻撃を受け、危うく命を落としかけたところをリョウマたちが救助した。

ナイトメアリムールバードの脅威

突如現れたナイトメアリムールバードが精神攻撃を伴う鳴き声を発し、一行や冒険者たちを恐怖と混乱に陥れた。しかし、リョウマは「サイレント」を用いて鳴き声を封じ、事態を鎮めることに成功した。精神攻撃が効かなかったリョウマの特異性が注目されたが、耐性スキルによるものと判明した。

次なる契約への準備と待機

騒動の後、リムールバードの群れは飛び去った。契約を諦めきれないお嬢様の意向で、一行は沼地に残り次の機会を待つことにした。リムールバードの上位種が極めて珍しい存在であることが語られ、リョウマは貴重な目撃体験を得た。

別れの予感と再会の約束

待機中、お嬢様はリョウマとの別れが近いことに寂しさを漏らした。リョウマは再会の約束をし、手紙でのやり取りを提案した。護衛のヒューズが茶化す中で微妙な空気が漂ったが、やがてリムールバードの群れが再び姿を現したことで一行は次の契約の機会に向けて気持ちを切り替えた。

2章 44話  契約に挑戦

リムールバードとの再会

鉱山を背景にリムールバードの群れが沼に戻ってきた。透き通る青い翼と緑の尾が映えるその姿は美しく、一行を魅了した。中でも上位種と見られる個体がリョウマをじっと見つめていたが、警戒する様子はなく、平穏に見えた。

お嬢様の挑戦

お嬢様エリアはセバスから受け取った楽器でリムールバードとの契約に挑んだ。深呼吸をした後、澄んだ音色で美しい旋律を奏でた。演奏が終わると、リムールバードたちはハープのような声で応え、その中から9羽がエリアのもとに集った。緊張の中で契約を進め、見事に全ての個体との契約に成功した。

リョウマの試み

エリアの成功に触発され、リョウマもギターを手に契約に挑んだ。かつて練習していた曲を奏でると、リムールバードの6羽が彼のもとへ飛来した。その中には再び上位種と見られる個体が含まれており、リョウマも無事に契約を果たした。

上位種の発見と驚き

契約後、セバスの提案でエリアが契約した中で最も美しいリムールバードを鑑定したところ、それが光魔法を使う「ファントムリムールバード」というさらに珍しい上位種であることが判明した。一行はこの希少な成果に喜び、エリアを称賛した。

沼での訓練と帰路

その後、一行はグレルフロッグの捕獲に挑んだが、特に困難もなく作業を終えた。クリーナースライムで汚れを落とした後、街へ戻る準備を整えた。リムールバードたちはすでに一行に懐いており、エリアとリョウマの周りで穏やかに戯れていた。

宴会と感謝の祈り

街に戻った後、エリアとリョウマの成功を祝う宴が開かれた。豪華な料理と酒を囲み、一行は笑顔で満ちていた。宴の後、リョウマは高級酒を供物に、神への感謝を捧げた。前世では味わえなかった「楽しい酒」を堪能した彼は、幸福な気持ちで眠りについた。

2章 45話  別れの前日(前編)

二日酔いの大人たち

リョウマが朝、お嬢様たちの部屋を訪れると、宴会で飲みすぎたラインハルトたちが二日酔いで呻いていた。唯一セバスだけが普段通りの様子であった。リョウマは薬を調合して彼らに提供し、彼らからエリアの面倒を見るよう依頼された。リョウマはこれを快諾し、エリアとセバスを連れて一日を過ごすことになった。

リョウマの作業を見学するエリア

リョウマの提案で、エリアとセバスは彼の作業場である廃坑を訪れた。リムールバードを解放して遊ばせる一方、リョウマは布の加工や作業を進めた。エリアも作業を手伝いながら、リョウマの日常を興味深く見学した。

学校生活への不安

作業の合間にエリアは、自身が間もなく王都の学校に入学することを話した。貴族としての慣習ゆえに学校に行くが、内容的には家庭教師で十分であり、学校生活に期待していないと語った。また、過去に広まった噂の影響で友達を作るのが難しいことも打ち明けた。

エリアの魔力失敗の過去

エリアは幼い頃、魔法の練習中にコントロールを誤り、訪れていた貴族の子息を凍らせてしまった出来事を話した。この事件がきっかけで、彼女には「危険なお嬢様」という根拠のない噂が広まったのだという。彼女の言葉にはその経験への後悔が滲んでいた。

リョウマの剣道の経験

エリアを元気づけようと、リョウマも自身の過去の経験を語った。中学時代の剣道の授業で、実力者との試合中に相手の手首を折ってしまったエピソードである。この事件をきっかけに周囲から避けられ、噂まで広まった経験が、エリアの話と重なるものがあった。だが、話の流れは逆にエリアから励まされる形となり、彼は自身の舵取りのミスを実感した。

2章 46話  別れの前日(後編)

お嬢様との別れの約束

エリアは自身が過去の失敗により避けられていることをリョウマに打ち明けた。リョウマはそれを受け流しつつ、自身も過去に似た経験をしていると語り、エリアを安心させた。そしてエリアは、「3年後に再会する約束」を提案し、リョウマもこれを快諾した。

ネックレスとスライムの交換

エリアは自身の大切なネックレスをリョウマに預け、再会を願う風習に倣って交換の意を示した。リョウマは最初拒否するも、その真意を知り預かることを了承した。一方でリョウマは、自身の大切なものとしてヒールスライムとスカベンジャースライムをエリアに預け、彼女と契約を済ませた。

魔法の指導と交流

リョウマはエリアとセバスに氷や水魔法を教えた。エリアは初めての挑戦に成功し、セバスもすぐに習得するなど、二人の実力を見せた。リョウマは自分の知識を活かし、魔法について丁寧に指導を行った。

宿での夜と別れの朝

その日の夜、エリアを含む全員がリョウマと過ごした時間を振り返り、名残惜しさを抱えながら語り合った。そして翌朝、エリアはリョウマに「友達としてエリアと呼んでほしい」と頼み、彼はこれを受け入れた。出発前、二人はお互いの成長を誓い、再会を約束した。

新しい生活への一歩

エリアたちを見送ったリョウマは、自分の生活を新たに切り替えることを決意した。宿を離れ廃坑での暮らしを始め、エリアとの約束を胸に抱きながら、新たな日常へと歩み出した。

2章 47話  神々の動向

神々の集会と問い詰め

神界のある場所で、魔法神フェルノベリアが待つ中、ガイン、クフォ、ルルティアの3柱が現れた。そこへ他の神々が集まり、彼らが異世界訪問をしていたことについて追及が始まった。特にテクンが怒りを露わにし、彼らの行動を非難したが、ウィリエリスとグリンプがその場を和らげた。

異世界訪問の目的と問題

ガインたちは地球の神が行う不自然な干渉を調査していたと説明した。地球の神が人々の幸せを奪っているが、その目的が不明であること、また世界の管理が杜撰であることが語られた。特に、奪った幸せが他の誰にも使われていない点が不審とされた。

キリルエルの登場と見解

戦の女神キリルエルが現れ、異世界の神々の行動について「喧嘩を売られた場合は叩き潰せばよい」と発言した。彼女の強い言葉に一時的に議論がヒートアップしたが、彼女が本格的に行動するつもりはないと分かると、ガインたちは安堵した。

神々の観光と娯楽の暴露

テクンがさらに追及を続ける中、ガインたちは調査以外の行動も行っていたことを次々に暴露した。クフォは観光と称して景色を楽しみ、ガインは地球のアイドルに夢中になり、ルルティアは甘い物を堪能していたと告白した。

怒声と結末

神々の隠していた行動が次々と明らかになる中、テクンの怒りは頂点に達した。彼の怒声とガインたちの悲鳴が神界に響き渡り、緊張に包まれた場は混乱の中で幕を閉じた。

特別書き下ろし・残された人々(前編)

主任の遺体発見後の職場の混乱

主任の死後、職場には重苦しい空気が広がっていた。田淵が課長に呼び出されると、井口の問題行動に関連する動画が拡散されていたことが発覚した。その影響で、会社や取引先に悪い印象を与え、課長はその責任を田淵に追及した。だが、事態を収める余裕もなく、課長自身が上司の指示で謝罪に追われる状況となっていた。

松村の自己中心的な欠勤と職場の混乱

田淵は同僚の松村から「当分出社しない」という一方的な連絡を受けた。他の社員の多くも無断欠勤しており、通常32名が所属する部署にはわずか10名しか出勤していなかった。仕事を引き継いだ田淵は、静かな職場で主任の存在を意識しながら外回りに向かった。

外回りで感じた主任の評価と失意

田淵は主任が担当していた取引先を訪問したが、井口の問題の影響でいくつかの契約が打ち切られた。また、取引先の担当者から聞いた主任の評価は高く、その死を惜しまれる声が多かった。それが田淵にとって辛いものであり、職場に戻る足取りは重かった。

職場の静寂と馬場の提案

夜になり職場に戻ると、課の他のメンバーは全員帰宅しており、残っていたのは馬場だけだった。馬場は「無理をせずに帰宅すべきだ」と田淵に諭した。その言葉に従い田淵は職場を後にし、自宅へと帰ることになった。

帰宅後に思い出す主任の教え

自宅に戻った田淵は、無意識に買い込んだコンビニの食料を手にしていた。さらに、主任から教わった薬湯の最後の一杯を淹れ、その香りに癒されながら主任との思い出を振り返った。薬湯や料理を通じて、主任がどれほど田淵の生活を支えてくれたかを思い出し、深い感謝と悲しみに包まれた。

主任の存在の大きさと喪失感

主任の存在が田淵にとってどれほど大きかったかを再認識した田淵は、「自分より先に倒れることはないと思っていた」とその死を受け入れられない心境を吐露した。悲しみと喪失感に耐えながら、主任への想いを胸に抱え続けていた。

特別書き下ろし・残された人々(後編)

馬場の提案と飲み会の開始

田淵は、馬場からの提案を受け、夜の飲み会に参加することを決めた。集まったのは課の社員15名で、静かに乾杯が始まった。馬場のおすすめする料理は好評で、皆が和やかな雰囲気を楽しもうと努めていたが、主任の死が頭をよぎり、心から楽しむことは難しい空気であった。

主任の存在と思い出

飲み会の中で最若手の原が主任について言及すると、場の空気は静まり返った。しかし、馬場が「皆同じ思いだ」と言葉をかけたことで、他の社員たちも主任への思いを口にし始めた。主任の真面目さや献身的な働きぶりを称えつつも、彼がいなくなった喪失感を改めて感じる場となった。

馬場の提案と驚きの計画

馬場は、主任の死をきっかけに「今後どうするべきか」と問いかけ、会社を辞めることを提案した。そして、驚くべきことに、全員分の新しい職場を探していると明かした。彼は元営業のつながりを活かし、転職先のリストを用意していた。それらは具体的な条件付きで、現在の職場環境よりも遥かに良い条件を提示していた。

主任の言葉と馬場の決意

馬場は、主任が過去に「もし何かあったら皆を頼む」と話していたことを思い出したと語った。そして、自身の罪悪感や主任への感謝を抱えながら、皆の未来のために行動を起こした理由を説明した。馬場は「新しい環境で希望を持って働いて欲しい」と切実に願いを述べた。

感謝と新たな希望

馬場の提案により、社員たちは次第に未来への希望を見いだした。主任の思いと馬場の行動を称え、社員たちは心からの感謝を込めて乾杯し、この飲み会を新たな出発の場とすることを決意した。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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