小説「神達に拾われた男 6巻」 野営教習 感想・ネタバレ

小説「神達に拾われた男 6巻」 野営教習 感想・ネタバレ

どんな本?

物語の概要 異世界に転生した少年・竜馬は、冒険者ギルドのマスターの誘いで、新人冒険者向けの教習会に教官として参加する。「毒虫の原」での野営教習2日目、独自の手法で拠点を築き、食材の見分け方を教えるなど、丁寧な指導で注目を集める。生徒たちの要望により、教官同士の模擬戦が決定し、竜馬は弓を使った戦闘の実演を任されることになる。新種のスライムの発見や革命的な発見、予想外のスキル獲得など、竜馬の異世界スローライフはさらなる進展を見せる。 

ファイアクロス

主要キャラクター

  • 竜馬:前世の記憶を持つ転生者の少年。冒険者として活動しながら、スライムの研究や新たなスキルの獲得に励む。
  • 冒険者ギルドのマスター:竜馬を新人冒険者向けの教習会に誘う。竜馬の指導力を評価している。
  • 新人冒険者たち:竜馬の指導を受ける生徒たち。教官同士の模擬戦を希望する。

物語の特徴 本作は、異世界でのスローライフを描くファンタジー作品である。竜馬の独自の指導法や新種のスライムの発見、予想外のスキル獲得など、多彩な要素が物語を彩る。また、教官同士の模擬戦など、バトル要素も含まれており、読者を飽きさせない展開が魅力である。いる。

出版情報

  • 出版社:ホビージャパン
  • 発売日:2019年3月22日
  • 価格:1,320円(税込)
  • ISBN:9784798618876
  • 関連メディア展開:本作は、コミカライズアニメ化もされており、多方面で展開されている。 ファイアクロス

読んだ本のタイトル

神達に拾われた男 6
著者:Roy 氏
イラスト:りりんら  氏

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あらすじ・内容

冒険者としての活動を通して、温厚な竜馬が意外な新スキル獲得!?
冒険者ギルドのマスターに誘われて、新人冒険者向けの教習会に教官として参加中な転生者の少年・竜馬。“毒虫の原”での野営教習も二日目に突入し、独特の手法で拠点を作ったり、食材の見分け方を教えたりと、丁寧な指導で周囲の注目を集めていた。そんな中、生徒たちからの要望を受け、教官同士による模擬戦が決定! そこで竜馬も弓を武器とした戦いの実演を任されることになるのだが――。今回も新種のスライムや革命的な発見、そして竜馬自身も予想外のスキル獲得と色んな意味でレベルアップな異世界スローライフファンタジー、第六幕!

神達に拾われた男 6

前巻からのあらすじ

オルゴールを造り。
創立祭に参加して屋台を出して、皆んなと騒いで。
森の探索でメタルスライムを武器に変形させて、トレントの顔に斧に変形したメタルスライムを投げて、トレントを倒したらメタルスライムがリョウマの下に戻って来て、また斧に変化してトレントに飛んで行く。

リョウマは一切動く必要が無いし外しても自ら帰ってくるのが便利過ぎるw

さらに他の刃物にも変化が可能なので武器の費用がいらなくなったのがデカい。
他のスライムも何気に進化してるし、、
武器までスライムとか、遂にそこまで来たか!w

感想

この巻ではクリーナースライムが美容に良いという実験結果がでたり。
新種ではストーンスライム、ウィードスライムが発見される。
それ以外には、スカベンジャースライムが作った肥料を使ったせいか普通にキノコを作ったつもりが、、
ランニングマッシュを量産してしまう。
まだ再現性に難点があるようで偶然に出来た結果だったが、、
そのランニングマッシュをメディスンスライムが食べてしまう。

まだまだスライムの可能性は多々ありそう。

話の方は新人冒険者の研修会。
新人同士の衝突があり、その調停を竜馬は行う。

その後、教員役の冒険者達との模擬戦を行う事になるのだが、、
実力派だと思われていた獣人族の青年との模擬戦は竜馬が何もさせずに圧倒して勝利してしまう。

それに対して、彼を自身を脅かす存在だと認識して許容出来ない冒険者が出てきた。

新人冒険者の中でも竜馬を仲間だと認識する者もいれば敵だと思う者も、、
あまり居なかったな、、
むしろ竜馬の使う魔法の便利さに感心して真似をしようとする者も現れた。

そんな竜馬の新人研修会がおわったら。
ギルドマスターは竜馬へ盗賊の討伐の許可を出す。
これでまた一ランク上の冒険者だと認められる事になったのだが、、
竜馬は盗賊を殺せるとギルドマスターは判断した。

そして、洗濯屋さんに帰って来た竜馬に侯爵家への新年の挨拶のための準備が待っていた。

服飾店に行き、ビジネススーツのような服を仕立てもらい。
ワンポイントとしてかなり高価な宝石を付けるのだが、、
一応用心して、商業ギルドのマスターに相談して使っても大丈夫かと確認するのも忘れない。

そんな侯爵家への挨拶の準備をある程度やって、冒険者ギルドに行ったら。

行方不明になった運送業の人を探して欲しいと武器屋の店主が騒いでいた。

行方不明者の捜査は莫大な金が掛かるのだが。

竜馬は格安で請け負って調査を開始。

リムールバード達を使役しての調査だがそれぞれの個性があってなかなかに可愛らしいのだが、探し人は見つからない。

反対に怪しい盗賊達が近隣におり、彼等の武器が新品で服装と合わなかったので、探し人の積荷を奪ったのかもしれないと判断して彼等を拘束して尋問したら。

やはり盗賊達が探し人を襲っており、襲撃して怪我した彼を街道の下に隠して隠蔽して放置。

それを竜馬は案内させて探し人を確保。

その後、盗賊達は衛兵に連行されて探し人は病院へ搬送される。

おかげで、その探し人は無事に保護され。
竜馬も盗賊を拘束したという功績を稼ぐ事が出来た。

さらに盗賊達が何で盗賊になったかと聞いた竜馬は、彼等のように食うに困って犯罪を起こさずに済むように前科者達を雇うなど出来ないかと考え始める。

その手始めに借金奴隷などを購入してみるのは良いかもしれないとも、、

そんな葛藤を抱えながら竜馬は、公爵家に挨拶をするために準備を進める。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

4章 12話  食料調達

毒虫の原での教習2日目

林での食材収集
野営地での生活に慣れ始めたリョウマは、林へ向かい食料を調達することにした。林ではアカカサタケやエノクタケなど、食用キノコが豊富に見つかった。キノコはこの国では人工栽培技術が未発達であり、貴重な食材とされていた。リョウマは食材として活用するだけでなく、将来的に栽培方法を試してみることも考えた。また、林の中でロックリザードを探す生徒たちの姿を見かけたが、依頼が達成不可能な罠である可能性に気づき、その場を離れることにした。

帰還後の状況報告と採取物の確認
リョウマは採取した食材を持ち帰り、拠点で待機する教官たちに報告した。林には毒キノコも多く生えており、誤食の危険があることから、採取物のチェックを強化すべきだと提案した。ルーシーは必要があれば声をかけるよう伝え、毒に対する備えも整えておくこととなった。

簡易浄水器の作成
林で見つけた川の水は濁っていたため、リョウマは土魔法を使って簡易浄水器を作成した。布や炭、砂利を使って水をろ過し、安全な飲み水を確保した。さらに、水を煮沸する準備を整え、拠点内での快適な生活環境を整備していった。

もやしの栽培と雑草の利用
林で採取した豆を使い、リョウマはもやしを栽培した。魔法と肥料を活用し、短時間で収穫できる仕組みを作り上げた。さらに、コツブヤリクサという穀物も採取し、保存食や調味料と組み合わせて今晩の食事に備えた。これらの準備により、リョウマは教習地でも安定した食事環境を確保できていた。

4章 13話  仕事と評判

野営場での食料確認と指導

生徒の採取物のチェック
生徒たちが次々と野営場に戻り、採取物の確認が行われた。リョウマは担当時間前にもかかわらず、列をさばくため手伝いを申し出た。生徒たちが持ち帰った食料の多くは適切だったが、一部には毒キノコや、次年以降の成長に影響を与える採取方法が見られた。リョウマはその場で問題点を指摘し、注意を促しながら正しい知識を伝えた。

獲物の解体とバンブーフォレストの評判
生徒の中には動物を捕らえた者もおり、解体方法について指導を求める声があった。リョウマは担当を別の教官に案内しつつ、自身は食べられない採取物を集めた。その際、解体で出た血をブラッディースライムの養殖に利用するため、スライムを設置して効率的に血を吸収させた。また、生徒からバンブーフォレストの評判を聞き、店舗がスラム街で良い影響を与えていることを知った。

遅れて戻った4人組の生徒
初日にトラブルを起こした4人組が遅れて戻り、ロッシュが彼らの様子を確認した。リョウマは林で彼らを見かけたことを伝えたが、4人は無事に戻り、狩りの成果としてグラスラットを持ち帰っていた。4人組はバンブーフォレストの評判を耳にしており、リョウマを尊敬する態度を見せた。ロッシュは彼らの素直さを評価しつつ、リョウマの実績が噂として広がっていることを説明した。

星空の下の焚き火と突如の叫び声
生徒たちは焚き火を囲み、穏やかな時間を過ごしていた。星空の下、夕食や暖をとるために焚き火を囲む彼らの笑顔は野営場に和やかな雰囲気をもたらしていた。しかし、そんな静けさを突如として破るように、野営場に誰かの叫び声が響き渡った。

4章 14話  トラブル発生

ブラッディースライムと毒の発見

騒ぎの原因と毒の発見
馬車の裏で獲物の解体中に血が暴れるという異変が発生した。リョウマが調査した結果、吊り下げられたグラスラットが毒蛇に噛まれていたことが判明した。この毒が血中に残り、ブラッディースライムがそれを吸収したことでスライムが苦しむ事態となった。毒の種類を確認し、毒蛇の毒が比較的弱いブッシュスネークのものであることを推測したリョウマは、毒の希釈を試みるため、生徒たちから血を譲り受けた。

スライムの回復と教官たちの支援
ブラッディースライムは吸収した毒を徐々に分解しつつあり、リョウマは毒に対するスライムの耐性を信じて安静を保つことにした。教官や生徒たちも協力的な態度を見せ、リョウマがスライムを安定させるために必要な支援を惜しまなかった。その甲斐もあり、スライムたちは翌日には毒による苦痛から解放されつつある様子を見せた。

スライムの適応力と血清の可能性
毒を飲み込んだスライムの状態を確認したリョウマは、「毒耐性」のスキルレベルが上昇していることに気づいた。スライムが驚異的な適応力を発揮し、一晩で毒を克服したことが示唆された。また、スライムの血液から抗体を含む血清が錬金術によって抽出できることを発見した。この血清はブッシュスネークの毒に有効であり、治療や解毒の可能性を大きく広げるものとなった。

血清の利用と研究への決意
血清の生成が確認されたことで、リョウマはこれを応用する可能性に思いを巡らせた。毒に対応した抗体を持つ血清が緊急時の治療に役立つと考え、今後の保存や量産についての研究を決意した。しかし、血清の影響が大きいことから、計画は慎重に進める必要があると考え、当面は独自に研究を進める方針を固めた。

4章 15話  収穫

ブラッディースライムの抗血清の可能性

毒耐性と病気耐性の発見
ブラッディースライムが毒に適応し、毒耐性を強化したことに触発され、リョウマは病気耐性についても調査を進めた。その結果、病原菌への抗体も持っていることが判明した。スライムの血清は毒と菌の両方に対応できる可能性があり、抗血清としての利用価値が見出された。

集合時間ギリギリの朝礼
研究に夢中になっていたリョウマは、集合時間間近に気づき急いで現場へ向かった。教官として朝礼に参加し、昨夜の騒動に対して状況を報告した。生徒たちは虫刺されに悩まされていたが、防虫対策の改善を指導し、解散した。

模擬戦への参加依頼
ロッシュ教官から、生徒のために教官同士の模擬戦を提案された。リョウマは弓での参加を依頼され、それを快諾した。生徒が学べるよう、模擬戦用の安全な矢を用意する準備に取り掛かった。

ベックとの虫除け相談
生徒のベックが一人でリョウマを訪ね、虫除けの対策を相談した。リョウマは薬草「バルミニスト」を使った簡易的な虫除けの作り方を教え、二人で草を採取した。作業中、ベックはガゼルたちの件について謝罪し、昔の関係についても語った。リョウマはすでに許していることを伝え、ベックの心配を和らげた。

林でのギルコダの葉の採取
リョウマとベックはギルコダの葉を採取するため林に向かった。ギルコダの葉はイチョウの木と特徴が一致し、リョウマはそれがイチョウであることを確認した。必要な装備を整え、葉を大量に採取した後、二人は無事に野営場へ戻った。

野営場での環境改善
拠点に戻ったリョウマは、採取したギルコダの葉を安全な状態に加工し、キノコの栽培実験も始めた。また、スティッキースライムを利用して室内に虫除け対策を施し、快適な環境を整えた。こうして時間を有効に使いながら、模擬戦の準備を待つこととなった。

4章 16話  内覧会とティーブレイク

拠点の公開と生徒たちの興味

拠点内の設備を生徒に公開
リョウマの拠点は、生徒たちに興味を持たれて公開された。浄水器やスライムによる虫取り、土魔法で作られた壁などの設備が注目を集めた。生徒たちは拠点を参考にしようと熱心に見学を行ったが、室内が狭いため長居はせず礼を述べて退去した。

ガゼルの訪問とハーブティーの振る舞い
ガゼルは獲物の血をスライムに与えるため、鳥を持って拠点を訪れた。リョウマはその礼としてガゼルにハーブティーを振る舞い、部屋の中を見せた。ガゼルは自身の家の古さを話題にし、冒険者として成功し家を建て替える夢を語った。リョウマは彼の向上心を評価し、応援の言葉をかけた。

スラムの子供たちの生活
ガゼルは、スラムの孤児たちが共同生活を送りながら支え合っている事情を語った。子供たちは年長者が年少者を助け、周囲の大人たちも手助けを行うことで生活を成り立たせていた。狩りの技術も元冒険者から学んだと述べ、兄弟のような繋がりで協力して生きている様子が伺えた。

ガゼルの依頼への挑戦
話を終えたガゼルは、自らの依頼を果たすべく拠点を後にした。彼は目標に向かって気合を見せたが、リョウマはその獲物がこの地域にはいないと知りつつ、教官として詳細を伝えることは控えた。リョウマは静かに見送り、次の行動の準備を進めた。

4章 17話  リーダーは見た 1

試合準備と生徒たちの動向

試合の告知と生徒の反応
朝礼でロッシュが午後3時からの模擬試合を告知した。観戦は自由参加とされ、依頼を抱える生徒には自己責任で選ぶよう伝えられた。生徒たちは各々行動を開始し、ルーカスが試合の組み合わせ表をロッシュに確認させた。ロッシュは生徒たちの熱心な姿勢と、リョウマの若さに注目する生徒が多いことを評価した。

リョウマの能力と謎の含み
ルーカスとロッシュはリョウマの能力について話し合った。リョウマの魔力量や技術の高さが評価される一方、ギルドマスターからの事前の含みのある依頼にロッシュは違和感を抱いていた。リョウマが今後パーティーを組むよう仕向けられている可能性も議論され、二人はその意図を探りつつ仕事を進めることにした。

観客席の設営とリョウマの魔力量
リョウマは試合用の観客席を作り、階段状で視界を確保し、安全性を高める結界を張るなどの工夫を施した。ロッシュはその完成度に驚き、リョウマの魔力量の多さと魔法操作技術を改めて評価した。さらに、リョウマが冒険者を選んだ理由を尋ね、彼の「憧れ」と「自由度」という答えに若者らしさを感じ取った。

結界魔法の技術と価値
リョウマは結界魔法についてロッシュに質問し、その技術の高さと重要性を知った。結界魔法は高度な魔力操作を必要とし、習得者が少ないため、特に富裕層からの需要が高いと説明された。ロッシュはリョウマの将来性を評価しつつ、魔法に関するさらなる疑問は専門家に聞くよう提案した。

リョウマの未知の一面への懸念
ロッシュはリョウマの質問に対する熱心な態度と、知識の豊富さに感心しつつも、どこか抜けているような様子に不安を覚えた。ギルドマスターがリョウマに注目した理由について、これが関係しているのではないかと考え始めた。

4章 18話  リーダーは見た 2

模擬試合の進行とハンマーの威力

第3試合の結果とルーカスの勝利
第3試合ではルーカスがハンマーの威力を存分に発揮し勝利を収めた。対戦相手の剣士は盾を活用して戦ったが、ハンマーの重みに耐え切れず敗北した。試合後、ルーカスと剣士は互いに武器の特性や戦い方について解説し、生徒たちにその利点と注意点を教えた。

ヒールスライムの登場と治療の提供
試合後、ルーカスのハンマーを受けた剣士が手の痺れを訴えたが、ロッシュはリョウマが連れているヒールスライムで治療を勧めた。教習期間中の無料治療ということで生徒にも好評であった。

魔法の応用とルーシーの勝利
第4試合ではルーシーが土と水の複合魔法「泥魔法」を駆使し、ボスコを地面に沈めて勝利を収めた。この魔法によりボスコのスピードを封じたことが決定打となった。ルーシーは魔法の複合技術について生徒に説明し、魔法使いとしての基本的な戦略と準備の重要性を伝えた。

リョウマとハワードの準備
第5試合にはリョウマとハワードが出場した。リョウマは特殊な弓「神頭矢」を準備し、ハワードは模造槍を手に試合に臨んだ。リョウマはこれまでの経験を基に観衆の前で堂々と準備を進め、試合前の和やかなやり取りの中でその自信を見せた。

試合開始直前の緊張感
試合開始の合図が出された瞬間、場の空気が急激に変化し、重苦しい緊張感が広がった。ロッシュはその異様な雰囲気を体で感じ取り、試合の行方に注目した。

4章 19話  リーダーは見た 3

試合開始とハワードの本気

ハワードの叫びと突撃
試合開始の合図と共に、ハワードは気功で肉体と武器を強化し突撃を仕掛けた。獣人族の血を引く彼が叫びながら挑む姿に観客席はざわめき、リョウマを睨むような視線が注がれた。一方で、リョウマは静かに矢を構え、冷徹な狩人のような態度を見せていた。

リョウマの連射とハワードの接近阻止
リョウマは精確な連射でハワードの動きを制限し、弓矢の特性を存分に活かした戦いを展開した。矢の雨は的確にハワードの進路を塞ぎ、脚や武器を狙うことで接近戦への移行を防いでいた。観客たちはその驚異的な速射と精度に感嘆し、ハワードは攻撃を回避しながらも隙を探していた。

土煙と接近戦の応酬
ハワードが隙を突いてリョウマの懐に飛び込もうとした瞬間、リョウマは土魔法「アースフェンス」を展開し防御を試みた。しかし、ハワードが魔法を打ち破ろうとするのを察知し、リョウマはさらに土煙を巻き起こして視界を遮りつつ接近。矢を持ち替えた突きでハワードを攻め立て、間合いを奪い返すことで主導権を握り続けた。

空間魔法と戦況の変化
リョウマは空間魔法「テレポート」を活用し、戦場を自在に駆け回った。死角からの奇襲と迅速な撤退を繰り返し、ハワードの反応を鈍らせた。魔力量が豊富なリョウマの動きに、ハワードは完全に翻弄される形となり、試合の流れはリョウマに傾いていった。

リョウマの才能と孤独の影
リョウマの圧倒的な実力を目の当たりにしながら、観戦していたロッシュは彼の抱える課題を思い知った。リョウマの技術や魔法の腕前、生活能力は非常に高い水準にあり、その若さから将来性も期待される。しかし、その多才さゆえに他者を頼る必要がなく、孤独に陥りやすい性質を持っていた。冒険者としての道を進む中で、彼が適切な仲間を見つけられるかどうかが鍵となることを痛感した。

試合の結末とロッシュの懸念
試合の最終局面では、リョウマの矢がハワードを正確に捉え、試合はリョウマの勝利に終わった。その圧倒的な才能は観客を魅了しつつ、ロッシュに深い懸念を抱かせた。リョウマの力が今後どのように活かされ、彼が孤独から救われる日が来るのかが注視されるべき課題となった。

4章 20話  試合の後  

試合後の評価と異なる反応

生徒や教官からの称賛
試合後、リョウマの元には多くの生徒や教官が集まり、その戦いぶりを称賛した。ガゼルやベックも彼の腕前を讃え、弓の使い方や練習方法についての質問が飛び交った。一方で、遠巻きに彼を避けるような態度を見せる者もおり、リョウマはその反応に戸惑いを感じていた。

ロッシュの指摘とリョウマの悩み
リョウマは試合中の自分の様子が他者にどのように映ったかをロッシュに相談した。ロッシュは、リョウマの真剣さが逆に冷徹に見えたことを指摘し、「天敵に狙われた動物のような気分になった」と述べた。リョウマはこれまで意識していなかった自分の戦闘時の印象について悩むが、ロッシュは時間が経てば周囲の反応も落ち着くと慰めた。

冒険者としての目標とロッシュの助言
ロッシュは話題を変え、リョウマに冒険者としての目標を尋ねた。リョウマはシュルス大樹海へ行くことを目標として挙げたが、ロッシュはその危険性を強調し、特に単独での挑戦がいかに無謀であるかを説明した。ロッシュの助言から、ギルドマスターがリョウマにパーティーを組ませたいと考えている可能性があることが示唆された。

パーティーへの抵抗感と冒険者の孤独
リョウマは即席のパーティーでの経験はあるものの、長期間にわたる固定の仲間と行動するイメージが湧かないと答えた。ロッシュは彼の独立した能力を認めつつも、それがゆえに孤立しやすいリスクを指摘した。また、仲間が危機的状況で支えとなる重要性を語り、リョウマにパーティーについて前向きに考えるよう助言した。

ロッシュの冒険者としての過去と選択
ロッシュは自身が過去にAランク昇格を断念し、現在はランクを下げて後進の育成に励んでいることを語った。若い頃の無茶が体に影響を及ぼし、仲間の助言を受けて引退を考えた経緯を説明した。リョウマは彼の話に感銘を受け、冒険者としての選択肢の多様さを学んだ。

シュルス大樹海の特殊な文化
リョウマはシュルス大樹海に詳しいロッシュにその地域の文化について尋ねた。ロッシュは、大樹海の中では「強い者が正義」とされ、冒険者が優遇される反面、弱者への配慮が乏しい風潮があると説明した。さらに、素行の悪い冒険者でも腕さえあれば受け入れられるため、外部からは文化の違いと見られることが多いと述べた。

今後の計画とパーティーの検討
リョウマはロッシュやギルドマスターの心遣いに感謝し、パーティーを組むことについて一度調べてみることを決意した。彼は自分の目標に向けて準備を進める中で、仲間を持つことの意義について改めて考える必要があると感じていた。

4章 21話  帰路に就いたが……

教習の最終日と帰路

穏やかな帰路と生徒たちの変化
教習最終日、リョウマたちは全員無事にギムルへ戻る準備を整えた。馬車内では行きと同じ顔ぶれの生徒たちが打ち解け合い、和やかな雰囲気で旅を続けていた。ロッシュやルーシーから注意を受けた生徒たちは周囲を警戒しながらも、旅路は魔獣や盗賊に遭遇することなく穏やかに進み、予定通り野営場に到着した。

野営場での他者との接触
野営場に着いた一行は、同じ場所を利用する商人の一団と遭遇した。商人は道の安全状況についてリーダーであるロッシュに質問し、簡単な情報交換が行われた。リョウマは商人と護衛が武器を扱えることに気づき、それが警戒の必要性を示唆しているかをロッシュに確認した。ロッシュは冬が近づき盗賊が活発になる時期であることを指摘し、警戒を怠らないよう釘を刺した。

盗賊対策の相談とリョウマの能力
夜の見張りを担当するリョウマは、ロッシュから対人戦闘の経験について尋ねられた。リョウマは過去に賞金首を討ち取った経験を持ち、対人戦に対応できる能力があることを伝えた。ロッシュはリョウマの技が対人戦向けであることを認め、いざという時のための戦術を助言した。その夜は特に襲撃もなく、無事に見張りが終了した。

翌朝の会話とウィストの成長
翌朝、リョウマは水汲みを終えたウィストと出会い、彼の新しい防具と大きな盾について話を聞いた。ウィストは防御を重視した装備を整え、仲間を守るための役割を見出そうとしていた。リョウマは彼の努力を認め、将来一緒に仕事をする可能性について提案した。ウィストはその提案を前向きに受け入れ、仲間にも話すと約束した。

教官たちとの関係に対する疑問
ウィストとの会話後、リョウマは通りすがった教官役の男性たちに挨拶したが無視される場面があった。その対応に直面し、リョウマは自分のコミュニケーション能力について疑問を抱き始めた。

4章 22話  ギルドマスターの決断  

ギルドマスターの決意とリョウマの決断

馬車内の会話と従魔の提案
山道を進む中、ロッシュがリョウマにスライム以外の従魔を増やす考えがあるか尋ねた。リョウマはスライムの多様性に魅了され、他種の従魔にこだわりはないと答えたが、ロッシュやルーシーから移動手段として役立つ魔獣を導入する案が出された。テイマーギルドでの「従魔適性診断」を勧められたリョウマは、その必要性を認識し、後日訪れることを決めた。

教習の終わりとギムルへの帰還
生徒たちは、避けがたい尊敬と戸惑いの視線をリョウマに向けていた。静けさが続いた車内では、過去の職場での失敗がリョウマの夢に浮かび、彼自身の指導に関する悩みを再確認させた。やがてギムルの門が見えると生徒たちの緊張が解け、和やかな雰囲気の中で街へと到着した。

ギルドマスターの評価と許可
教習を終えてギルドに戻ったリョウマは、ギルドマスターとロッシュの面談に呼ばれた。ロッシュはリョウマの実力を高く評価し、試合後の反応について詳細を報告した。ギルドマスターはリョウマの実力を認め、「盗賊討伐」の依頼を受けられる特例許可を与えることを決めた。この許可は責任の伴うものであり、仲間の重要性についても改めて強調された。

リョウマの覚悟と未来への一歩
リョウマは、ギルドマスターやロッシュの忠告を受け止めつつ、自分のスタンスを貫く決意を示した。人付き合いが難しいと感じつつも、仲間作りについて前向きに考える意思を示し、これからも冒険者としての活動を続けると誓った。ギルドマスターの言葉を胸に、リョウマはこれまでと変わらぬ日々を送る準備を整えた。

4章 23話  異世界も年末近くは忙しい  

礼服の選定と店長の奮闘

店への帰還と報告
リョウマがバンブーフォレストに戻ると、副店長カルムが新たな従業員の紹介とともに出迎えた。スラムの問題について役所が一部譲歩したことで住人との関係が改善されつつあることや、公爵家への挨拶の誘い、薬品の需要増加、ティガー武具店の試作品完成など、多くの報告が行われた。リョウマはこれらを整理し、優先度をつけて対応することにした。

礼服選びの開始
カルムの紹介で訪れた仕立屋で、リョウマは礼服を選び始めた。店内には多種多様な服が揃っていたが、どれも彼の趣味には合わなかった。特に派手な襞襟や詰め物入りの服には違和感を覚え、選択に迷いが生じた。

スーツとの出会い
棚の奥に埋もれていた服を見つけたリョウマは、それが前世で馴染み深いビジネススーツであることに気づき即決した。この服は数百年前の国王が広めた伝統的な礼服で、近年の流行からは外れているが、貴族の間で根強い人気があると店員が説明した。リョウマは色を黒または濃紺に指定し、無地を選択した上で装飾品を追加することを決めた。

装飾品の選定と決定
装飾品として、指輪や腕輪、ネクタイピンに宝石をあしらう案が提案された。店員の細やかな対応もあり、リョウマは異世界基準の礼服選びに戸惑いながらもスーツと装飾品を決定した。彼にとって馴染み深いスーツの選択は、次のステップへの安心感をもたらした。

4章 24話  一点豪華主義  

ティガー武具店での新装備受け取り

防刃服の完成
リョウマはティガー武具店を訪れ、注文していた服を受け取った。その服は特別な糸を使い、刃物に対する高い防御力を持つ実用的な仕上がりであった。ダルソン店主は布の特性を実演し、その強度を証明した。さらに防具としての可能性や加工性についても説明され、リョウマは満足して購入を決めた。

贈答用と量産化の計画
公爵家への贈り物として防刃服を提案したリョウマは、ダルソンの助言を受けて見本服の注文を追加した。併せて店の警備担当や従業員用として量産も視野に入れ、スティッキースライム用の糸巻き機の導入を決定した。

坑道の整備とキノコ栽培の試み
坑道を訪れたリョウマは、ケイブマンティスが再び巣食っているのを確認し駆除した。その後、菌床を設置しキノコ栽培の実験を進めたが、想定外の速さでキノコが成長していた。リョウマはこれを観察対象とし、新たな実験の材料とした。

スティッキースライムの糸巻き訓練
糸巻き機を設置し、スティッキースライムに糸を巻き取る作業を指導した。スライムたちは簡単な構造の機械を使いこなせるようになり、効率的な糸の生産体制が整備された。

ダイヤモンドの生成
礼服に合う装飾品として大粒のダイヤモンドを作るべく、リョウマは錬金術を用いて炭素からダイヤモンドを生成した。完成したのは特別な「プルーム・ダイヤモンド」で、重量は1091.7カラットという規格外の大きさであった。リョウマはこれを適切なサイズに加工し、装飾品としての準備を進めることにした。

4章 25話  宝石の謎  

商業ギルドでの薬品売却と相談

薬品の買い取りと相談の目的
リョウマは商業ギルドを訪れ、ギルドマスターのグリシエーラと面会した。持ち込んだ薬品を買い取るための手続きがスムーズに進み、品質も高く評価された。また、薬品のさらなる需要を見越し、ギルド側から追加の材料提供が提案された。

プルーム・ダイヤモンドの正体
リョウマは祖母の遺品と説明しながら、錬金術で作成したプルーム・ダイヤモンドについて相談した。グリシエーラはその価値を即座に理解し、これは極めて希少な最高級の宝石であると認めた。市場に流通することは少なく、持つことで一定のリスクを伴うが、公爵家への挨拶用装飾品として使う分には問題ないとの助言を得た。

盗賊討伐と情報活用の提案
グリシエーラは冒険者ギルドでリョウマが盗賊討伐の許可を得たことを知り、商業ギルドの情報網を活用するよう勧めた。盗賊の活動が商業に与える影響を懸念し、情報交換の重要性を説いた。

礼服店での装飾品の依頼
礼服店を再訪したリョウマは、プルーム・ダイヤモンドを使用した装飾品の製作を依頼した。店員はその価値を理解し、特別な扱いをすることで応じた。宝石代が不要な分を他の経費に充てる形で、リョウマは慎重に準備を進めた。

テイマーギルドでの適性診断の手続き
テイマーギルドを訪れたリョウマは、従魔適性診断を受ける準備を進めた。診断は東門近くの施設で実施されると説明を受け、手続きの案内に従い向かうこととなった。テイマーとしての可能性を探るべく、新たな一歩を踏み出した。

4章 26話  魔獣適性と過去の偉業

適性診断の準備と施設の案内

東門での新たな景色と施設
リョウマは東門を通り、テイマーギルドの適性診断施設へ向かった。門を出ると、牛や馬、見慣れない魔獣が放牧されている広大なエリアが広がっており、牧場のような雰囲気が漂っていた。施設に入ると、作業着姿の職員が多く、街中のギルドとは異なる印象を受けた。

受付と支部長との再会
受付で適性診断の案内を受けたリョウマは、施設の奥へ進んだ。そこで対応したのは、意外にもテイマーギルドの支部長であった。彼は現場視察を兼ねて若手との交流を図っていると語り、診断の概要を説明した。リョウマの過去の契約経験についても聞き取りを行い、診断の準備を整えた。

診断用施設と魔獣の種類
リョウマは小型魔獣が集められた部屋に案内された。スライムやスモールラット、ケイブバットなどの見慣れた魔獣に加え、中型や大型の魔獣が別の部屋で管理されていると支部長から説明を受けた。診断は、リョウマが順に魔獣と契約を試み、その成否をもとに相性の傾向を確認する形で進められた。

ジャミール公爵家の特化型従魔術
支部長は、ジャミール公爵家の従魔術の特性について話を広げた。公爵家の面々はそれぞれ特定の魔獣に対する特化型の適性を持ち、契約能力や契約数において他を凌駕していた。特にラインバッハ公爵は、鱗を持つ魔獣に対する適性が高く、ドラゴンとも契約可能な特別な才能を持っていた。

ラインバッハ公爵の武勲と神獣との契約
ラインバッハ公爵が若き日に成し遂げた武勲が語られた。炎龍山脈における神獣との交渉に成功し、眷属のドラゴンと契約を結んだ彼は、その後、炎龍山脈の資源採掘許可を獲得し、国に莫大な利益をもたらした。彼の存在は軍や国政に大きな影響を及ぼし、最終的に領主として公爵領の統治に専念する道を選ぶに至った。

ラインバッハ公爵の存在感
ラインバッハ公爵は、その特異な才能と功績により、国政や軍事だけでなく派閥間の力関係にも影響を及ぼす存在となった。彼の生涯は多くの人に知られる一方、リョウマはその規模の大きさに驚きを覚え、彼が自身以上の「チートキャラ」であることを改めて認識した。

4章 27話  診断結果と新たなスライム

診断の開始と支部長の考察

従魔数と診断準備
リョウマはテイマーギルドの支部長から、自身が飼っているスライムの数が規格外であると改めて指摘された。通常、従魔を数十匹飼うことでも珍しい中で、1000匹以上のスライムを従えていることは前例がなく、診断には時間がかかることを予告された。リョウマは支部長の指示に従い、診断を開始した。

診断結果と傾向の発見
診断では鳥型や哺乳類型など、多岐にわたる魔獣との契約が進められた。すべての契約が成功したが、命令の伝わりやすさにはムラがあり、得意不得意の傾向が見られた。支部長は、リョウマが「群れを作る習性のある魔獣」と相性が良いことを指摘し、これが適性の一つであると説明した。また、彼の研究成果がスライムとの契約に大きく影響している可能性も示唆された。

移動手段としての新たな従魔候補
リョウマは自身の活動範囲を広げるため、移動に適した従魔の選定を検討していることを支部長に相談した。支部長は馬型の魔獣を勧め、群れる習性を持つためリョウマとの相性も良いと判断した。また、魔獣の選定にはその特性を学び、活用することが重要であると助言を受けた。

新たなスライムとの出会い
ギルドからの帰路、リョウマは店に立ち寄り、店員のカルムから新たなスライムが持ち込まれたことを知らされた。そのスライムはストーンスライムであり、擬態能力が非常に高く、外見はまるで普通の石ころのようであった。契約を済ませたリョウマは、このスライムが石を食べる可能性に注目し、どのような用途に活用できるか思案を巡らせた。

教会からの相談と帰宅準備
カルムから、教会で飼われているスライムに草が生えたとの相談が寄せられていることを聞かされたリョウマは、教会に向かうことを決めた。その後、ストーンスライムの特性について考えつつ、そのスキルを活かす方法を模索する姿が印象的であった。

4章 27話  診断結果と新たなスライム

適性診断の開始と特異性の発見

従魔数の規格外性と診断準備
リョウマは、テイラー支部長から自分が飼育しているスライムの数が規格外であることを指摘された。普通は20匹程度の契約でも珍しい中で、1000匹以上という例は前例がないとされた。診断の準備が整い、いよいよ開始された。

契約試行と傾向の分析
診断では、スズメや鷲などの鳥型を始め、哺乳類や爬虫類など多種多様な魔獣と契約が試みられた。契約はすべて成功したものの、スライムに比べて命令の伝わりにくい魔獣も多かった。テイラー支部長はリョウマの適性を「群れを作る習性を持つ魔獣」と分析し、リムールバードやスライムとの相性の良さから、この傾向が浮き彫りとなった。また、今後の活動に役立つ魔獣の本を紹介し、知識を深める重要性が強調された。

移動用の従魔候補の検討
リョウマは、移動手段として使える魔獣に興味があると述べた。支部長は馬型の魔獣を推奨し、群れる習性があることからリョウマとの相性も良いとした。また、持久力や積荷の種類に応じた魔獣選びが重要であり、従魔術師は魔獣の特性を理解し活用することが求められると教えられた。

新種スライムの持ち込みと確認
ギルドから帰る途中、リョウマは店で新しいスライムが持ち込まれたことを知らされた。そのスライムはストーンスライムと判明し、石に擬態する能力を持っていた。特に高レベルの擬態スキルが注目され、リョウマはこのスライムの食性や能力を確認しながら、どのように活用できるかを考え始めた。

教会からの連絡と次の行動
修道女ベルから、教会で飼育しているスライムの体に草が生えたとの連絡を受けたリョウマは、その原因を確認するため教会を訪れることを決めた。その前にストーンスライムの観察を終え、日々増える新たな発見と共に次の行動に向けて準備を進めていた。

4章 29話  異変  

スライムの新種観察と記録

ストーンスライムの能力と実験結果
ストーンスライムは、硬化や物理攻撃耐性、擬態スキルを持ち、外見は石そのものに見えた。食事として石を摂取し、与えられた石の色や質感を模倣することが確認された。また、土属性の魔力を好む性質もあり、土魔法の影響を受けやすいことが判明した。今後は魔石や宝石を与えて反応を見る実験を計画している。

ウィードスライムの特性と繁殖の可能性
ウィードスライムは雑草を体から生やし、主食も雑草であった。薬草や毒草には興味を示さず、特定の雑草「コツブヤリクサ」を好む傾向が見られた。植物関連スライムらしく、木属性、土属性、水属性の魔力を好み、肥料も喜んで摂取した。このため、短期間で繁殖可能なスライムとして観察を続ける計画が立てられた。

ブラッディースライムの今後の課題
ブラッディースライムは毒や病気への耐性が強化されており、特にブッシュスネークの毒に対する抗体が確認された。しかし、その成長には特殊な餌である血液が必要であり、供給元の確保が課題となった。候補として冒険者ギルドの解体場が挙げられ、調査が計画された。

ランニングマッシュの発見と対応
坑道で育てたキノコが魔化し、希少なランニングマッシュが大量に発生した。走るキノコとして知られるこの種は、薬効が高いことで有名であったが、培養キノコの魔化は予期しない事態であった。魔力が原因と考えられるが、スカベンジャースライムの肥料が影響した可能性も示唆された。結果的にランニングマッシュは収穫され、薬の材料としても利用される予定となった。

メディスンスライムの進化と新たな可能性
ランニングマッシュを摂取したメディスンスライムは薬液生成スキルが強化され、新たに栄養液や強壮液、薬効強化液を作れるようになった。特に薬効強化液は取り扱いに注意が必要な液体であり、今後の実験と観察が課題として残された。

農業肥料の導入と盗賊の脅威
商業ギルドを訪れたリョウマは、肥料の手配をギルドマスターに依頼し、ランニングマッシュを材料とした薬を提供することで取引を成立させた。また、近隣で盗賊の目撃情報があると聞き、冒険者ギルドでの調査を計画。自らの安全と情報収集に努めることとなった。

4章 30話  捜索依頼

マッドサラマンダーの討伐依頼の話題

冒険者ギルドでメイリーンからマッドサラマンダー討伐に関する情報が伝えられた。ラトイン湖周辺での漁業被害が予想され、冒険者の協力が求められているとのことであった。リョウマは討伐への参加を希望し、2か月後の準備期間を確認しつつ他の依頼を尋ねた。

盗賊関連の情報と依頼状況

商業ギルドからの情報を受け、リョウマは盗賊の残党に関する依頼や情報を求めた。しかし、盗賊団討伐済みの件や不審人物の情報は未確定で、具体的な依頼には至らなかった。その中で、気弱な新人職員パエナが依頼について相談を持ちかけた。

ガッツの緊急依頼と状況確認

ドワーフの鍛冶職人ガッツが、取引先に武器を運ぶ荷物を託したペドロの行方不明について助けを求めた。メイリーンとパエナの聞き取りで、道中でのトラブルが懸念された。ガッツは資金不足を理由に依頼料の追加を約束しつつ早急な捜索を要請したが、報酬の低さが依頼受理の障壁となった。

依頼受注と捜索準備

リョウマはギルド職員の制約を理解しつつ、個人として依頼を引き受ける意志を示した。ガッツの了承を得たうえで、依頼条件を確認しサインが完了。リョウマはギルドでの受注処理を済ませた後、準備を整え、捜索に出発した。

山道での初期捜索

空間魔法を駆使して山道の入り口へ到着したリョウマは、リムールバードを召喚して空からの捜索を開始した。道幅が広く整備されていることを確認しつつ、森の中に目を光らせた。リムールバードの助けを得ながら、ペドロと荷物の手がかりを探し始めた。

4章 31話  宿場町

宿場町への到着と情報収集

宿場町に到着したリョウマは、門番に行方不明者の件を尋ねたが、特に手がかりは得られなかった。夜間の捜索を避けるため、宿泊先を紹介され宿を確保。部屋で休憩した後、向かいの食堂で食事をとることにした。

食堂での温かな食事と初の聞き込み

食堂で出されたスープとパンに感動し、満足げに食事を終えたリョウマは、店員に行方不明者のペドロについて尋ねた。店員は詳細は分からなかったが、彼と関わりのある人物の拠点を教えてくれた。リョウマはその情報を頼りに倉庫街へ向かった。

倉庫街で得た新たな情報

倉庫街でリョウマは「山犬」と呼ばれる運び屋の拠点を発見し、門番に話を聞いた。ペドロの仲間である人物が飲みに出ている可能性を示唆され、その人物の居場所を調べてもらった結果、酒場の位置を教えてもらった。門番たちの協力で、次の手がかりを得ることができた。

4章 32話  似合わない酒場

酒場での情報収集と騒動

酒場での聞き込み開始
リョウマは倉庫街で得た情報をもとに、路地裏の酒場を訪れた。年季の入った店構えで、酒場内は男たちの笑い声と酒の香りに包まれていた。入店したリョウマは、カウンターで店員に「アッシモ」という運び屋の所在を尋ね、彼が奥の席にいると教えられた。

アッシモとの対話とペドロの目撃情報
アッシモとその仲間たちに話を聞くと、ペドロは2日前の朝、酒場の近くで目撃されていたことが判明した。彼はその際、ケレバンに向かう予定を話しており、特に変わった様子はなかったという。また、ペドロがケレバンまでの道に詳しいことも確認されたが、途中で何らかのトラブルに巻き込まれた可能性が示唆された。

酔客との騒動と酒場の平静
リョウマの聞き込み中、酔っ払った客が絡んできた。挑発に対し冷静に対応したリョウマだったが、威嚇するような雰囲気を纏った結果、男は恐怖に駆られて逃走した。残された他の客たちは一時的に緊張したものの、リョウマがお詫びとして酒代を払い、酒を振る舞ったことで場はすぐに和んだ。

酒場での成果と気づき
酒場を後にしたリョウマは、ペドロの足取りが宿場町までで途絶えていることを確認しつつも、手がかりを得られたことに満足していた。騒動での自身の振る舞いを反省しながらステータスボードを確認すると、新たに「威嚇(3)」というスキルが追加されていることに気づき、困惑した。

4章 33話  リムールバードの活躍

宿屋での準備とリムールバードによる捜索

屋上での捜索準備
リョウマは宿に戻り、受付係に従魔を使うための場所を尋ねた。彼は屋上の使用許可を得て、リムールバードを召喚。6羽の鳥型従魔を夜空へ飛ばし、山全体を俯瞰して手がかりを探すよう指示を出した。それぞれのリムールバードの特徴を確認しつつ、彼らの動きを見守った。

視界の共有と新しい発見
リムールバードたちの視界を共有し、山の捜索を進めた。視界共有の技術を試行錯誤しながら、複数の映像を同時に確認する方法を見出した。フュンフからの報告を受け、彼が飛行している山裾付近を重点的に捜索することに決め、全員を再集結させて探索を再開した。

焚き火の発見と新たな人物の存在
捜索中、リムールバードたちは木々の隙間から揺れる光を確認した。それは焚き火の光であり、近づくと5人の男たちがその火を囲んで座り込んでいるのが見えた。しかし、ペドロ本人ではなく、疲れ果てた様子の別の人物たちであることが判明した。

焚き火の発見と新たな人物の存在
捜索中、リムールバードたちは木々の隙間から揺れる光を確認した。それは焚き火の光であり、近づくと5人の男たちがその火を囲んで座り込んでいるのが見えた。しかし、ペドロ本人ではなく、疲れ果てた様子の別の人物たちであることが判明した。

4章 34話  従魔達の活躍

盗賊の確認と推測

盗賊の姿を確認
リムールバードの視界に映った男たちは、髭や髪が伸び放題で身なりも荒れ、武装も不揃いであった。その姿から、彼らが盗賊の下っ端である可能性が高いと判断された。また、彼ら全員が新品の剣を持っており、これはペドロの積荷である剣との関連を示唆していた。

接近と制圧
スライムとロープを活用し、道なき道を突き進みながら現場に接近した。到着後、男たちは2人が見張りを残して眠り込んでいたため、不意を突いてナイトメアリムールバードの闇魔法で全員を混乱・気絶させた。その後、スライムを用いた拘束具で完全に捕縛し、反撃や逃走の危険を排除した。

盗賊たちの反応と尋問開始
拘束された男たちは最初は動揺しながらも調子に乗り始め、威圧的な態度を見せた。しかし、盗賊団のリーダー不在が明らかになると、1人が他の仲間を裏切る形で情報提供に乗り出した。これにより、仲間内での言い争いが激化したため、リョウマは再びリムールバードを用いて静止させた。

スライム拘束具の説明と脅威の提示
リョウマは拘束具の仕組みを説明し、盗賊たちに逃走や抵抗の無意味さを説いた。その中で1人の盗賊が拘束具を無理に外そうとし、自らの首を圧迫する事態に陥った。この様子を目の当たりにした他の盗賊たちは恐怖に駆られ、命乞いを始めた。

圧倒的優位性の確保
盗賊たちの混乱と恐怖を冷静に見届けたリョウマは、感情的な叫びに対して淡々とした態度を貫いた。盗賊たちの状況を完全に掌握し、尋問を継続できる状態を確立した。

4章 35話  盗賊の本音  

盗賊への尋問と反応

盗賊の態度と警告
盗賊たちは反抗的な態度を続けたが、リョウマは彼らが殺されても文句を言えない立場であることを冷静に指摘し、反抗や逃走を試みれば容赦しないと警告した。そのうえで尋問を始め、素直に応じるよう求めた。

犯行の内容の告白
盗賊たちは、上の峠道でペドロの馬車を襲撃したことを認めた。当初は荷物だけを奪うつもりだったが、矢が馬に当たり、馬車が道を外れて崖を転げ落ちたという。その後、足跡や痕跡を消し、積荷だけを持ち去ったと説明した。

御者の行方と隠蔽の詳細
御者については、崖下で気を失った状態のまま草で隠して放置したと供述した。彼らは人を殺す覚悟がなかったと主張し、命を奪うことなく逃げたとして自らを弁護した。しかし、リョウマはその行為が見殺しと変わらないと断じた。

盗賊たちの過去と罪悪感
盗賊たちは、過去に直接人を襲った経験がないことや、生活に困窮して盗賊になった経緯を語った。中でもリーダー格の男は、自らの行動に対する罪悪感を滲ませ、ペドロの無事を祈るような素振りを見せた。

ペドロの捜索と救助
リョウマは拘束した盗賊の1人を案内役として連れ、犯行現場に向かった。急勾配の崖下を捜索し、雑草に隠れて倒れていたペドロを発見した。ペドロは衰弱しながらも意識があり、脱水症状や高熱を訴えていたため、迅速に水分補給と応急処置を施した。

救助の完了と街への移送
ペドロを担架に乗せて「ディメンションホーム」に収容し、安全な形で移送の準備を整えた。盗賊たちは完全に拘束され、ペドロへの危害が及ばないよう徹底した管理が施された。リョウマは、ペドロの一刻も早い治療を優先し、街へ向けて急行した。

4章 36話  下山  

翌朝の報酬受け取りとペドロの安否確認

ケレバンの詰所で警備隊員から盗賊5人の報奨金を受け取った。ペドロの安否について確認すると、命に別状はなく安静にしていれば回復すると聞かされた。獣人族の生命力の強さに驚きつつ、最悪の事態を避けられたことに安堵した。

街中での教会との出会い

ケレバンの街を歩いていると立派な門構えの教会が目に入り、足を止めた。その様子を見た修道服姿の初老の男性に声をかけられ、神光教の教会であることを知った。礼拝堂への案内を受け、宗派の違いを越えた信仰のつながりを実感しながら祈りを捧げた。

女神たちとの再会と新たな出会い

祈りを終えると神界に召喚され、ルルティアをはじめとして大地と豊穣の女神ウィリエリス、戦と断罪の女神キリルエルと顔を合わせた。ウィリエリスの穏やかな歓迎やキリルエルの率直な言葉に触れつつ、彼女たちとの親しみやすい雰囲気を感じた。

転移者と戦の神の関係

キリルエルが転移者を嫌っているとの噂について問いかけると、それは誤解だと否定された。むしろ過去の転移者との接点のなさや、戦争を否定する者たちの誤解が原因で距離が生じたことが語られた。一方で、リョウマは狩猟や盗賊退治への順応性が高く、戦の神としてのキリルエルから高い評価を得ていた。

戦の女神からの提案

キリルエルはリョウマの戦闘能力を評価し、試しに自分と戦う提案を持ちかけた。突然の申し出にリョウマは戸惑いを覚えつつも、女神との直接の交流の意味深さを感じていた。

4章 37話  罪と罰……の後

威嚇スキルの課題と指導

ウィリエリスがキリルエルの提案に反対し、竜馬の威嚇スキル指導へと議題が切り替わった。威嚇は本能的な恐怖を引き出す技術であり、実力者なら自然に使えるとされた。しかし、竜馬は「本能的な恐怖を抑える癖」がついており、必要な場面でしか発動しないため不安定だった。キリルエルは、竜馬が日本で他人を怖がらせないよう努力してきた結果だと分析し、心の問題だと断言した。

盗賊の更生と社会復帰の難しさ

竜馬は捕まえた盗賊が更生できるか質問したが、ウィリエリスとキリルエルは悲観的な見解を示した。犯罪者には再犯率が高い上、前科があるとギルドに再登録できず職探しが困難になる。竜馬は自身の過去の経験を思い出し、罪を償った人間を不当に扱う社会への違和感を語った。彼は前科者の再犯を防ぐには、まともな職に就く環境が必要だと主張した。

竜馬の過去の体験

竜馬は社会人時代、コンビニでの強盗事件に巻き込まれ、銃を持った強盗3人を制圧した体験を語った。この行動により彼は一時的に勾留され、過剰防衛を疑われたが、正当防衛が認められた。しかし、事件後の社会的評価の低下やマスコミ報道により職を失い、以後も職場での扱いに苦しむ結果となった。彼はその経験を踏まえ、犯罪者が社会復帰できる環境の重要性を訴えた。

理想への挑戦と決意

竜馬は、自分の考えが理想論であると理解しつつも、現実への納得ができないと語った。転生後の幸せな生活の中で、理不尽な状況を受け入れる社会の仕組みに対して違和感を持ち続けていた。彼はこの思いを基に、理想を追い続ける決意を固め、支店の拡大や新たな事業への挑戦を目指すと述べた。

女神たちの応援

キリルエルは竜馬の考えを支持し、人生における争いの意義を語った。争いは発展や変化を生むものであり、理想を追う中で必然的に生じるものだとした。ウィリエリスも竜馬の理想追求の姿勢を称賛し、その道を応援した。竜馬は感謝を述べつつ、彼女たちとの再会を楽しみにしながら現実の世界へ戻った。

4章 38話  未来のために

従業員との食事と捜索依頼の報告

竜馬がギムルに帰り着いた時、店内では従業員たちが夕食を取っていた。彼は温かいスープを振る舞われ、体を温めながら行方不明者の捜索依頼について報告した。行方不明者の救助が成功し、積荷も無事に届けられたことを説明すると、従業員たちは安堵して喜んでいた。また、ディノーム魔法道具工房との関係を活用し、店で必要な魔法道具を選ぶためのリストを従業員に共有した。これにより、調理器具や暖房器具など、各々が関心を持つ道具について意見が交わされた。

礼服の進捗と護衛の提案

カルムは竜馬に、礼服の完成が間近であることを伝え、公爵家訪問の際には護衛としてフェイを同行させるべきだと提案した。護衛は道中の安全確保だけでなく形式的な意義もあるとし、竜馬はその意見に納得した。一方で、店の警備を強化するため、冒険者ギルドへの依頼や専属警備員の雇用について話し合われた。特に専属警備員の採用は、将来的な支店拡大に向けた準備として重要視された。

スライム研究の新発見

ロベリアがクリーナースライムの美容効果を発見したことや、トニーが汚れた紙を再利用できる活用法を見つけたことが報告された。美容効果については、クリーナースライムが皮膚の汚れや老廃物を取り除き、特にニキビに効果的であると確認された。また、紙の再利用法は経費削減に繋がる発見として高く評価され、竜馬は研究成果に対して報奨金を贈ることを決めた。

元犯罪者雇用の議論

竜馬は元犯罪者の雇用についてカルムと議論したが、現時点ではリスクが高いとして反対意見が示された。しかし、地盤を強化した上で将来的に実現することは可能だと提案され、段階的な準備を進める方針が示された。この過程でカルムは、社会的役割を意識した経営の重要性を語り、竜馬の理念に共感を示した。

奴隷雇用の提案と理解

カルムは、雇用の選択肢として奴隷制度を活用することを提案した。奴隷には貧困奴隷、借金奴隷、犯罪奴隷の3種類があり、それぞれ異なる背景を持つことが説明された。竜馬は制度に対する違和感を覚えつつも、教育や運営の準備として学ぶ必要性を認識した。カルムの勧めで、安全性が高いとされる奴隷商会を訪問することを決め、公爵家訪問の際にその提案を実行することを計画した。

閑話  貴族の裏話

公爵夫妻の疲労と日常の一幕

公爵夫妻、ラインハルトとエリーゼは連日の仕事や訪問者対応で疲れ果てていた。彼らは書類の山を前に溜息をつきつつ、貴族たちからの陳情書、特に借金の申し込みについて議論を交わした。中には魔獣被害を理由にしたものもあり、内容の真偽を慎重に見極める必要があった。特に最近の魔獣増加の傾向が、その判断をより難しくしていた。

竜馬への期待と心配

夫妻は竜馬が近々訪れることを話題にし、彼の生き方や実力に信頼を寄せつつも心配していた。エリーゼは、竜馬が魔獣の巣窟である森へ戻る計画に不安を感じていたが、ラインハルトは竜馬の決断を尊重する姿勢を見せた。加えて、竜馬が娘エリアに良い友人をもたらしてくれたことへの感謝も述べた。

家族の話題と懐かしさ

夫妻は話題が家族に及ぶと、エリアが学校へ行ったことや義父の話を挙げて笑みを交わした。義父が執事のセバスを連れて去ったことで仕事が増えたとぼやきつつ、家族への愛情を滲ませた会話が続いた。

手紙の到着と新たな対応

夕食の準備が整った報告を受けた夫妻は食堂へ向かおうとしたが、別のメイドが追加の手紙を持って現れた。ラインハルトが内容を確認すると、それはまたしても貴族からの陳情書であった。この状況にエリーゼは「エリアの様子を見に行きたくなってきた」とこぼし、ラインハルトは「我慢してくれ」となだめた。

夫妻の決意と苦労

夫妻は訪れる客への対応や今後の準備をメイドに指示しつつ、家族の支えを思いながら日々の責務を全うしていた。しかし、次々と舞い込む仕事や陳情書により、彼らの苦労は当分続くことが予想された。

特別書き下ろし・知人の知人と竹林の悪癖

田淵と浦見の出会い

田淵は疲労から電車を乗り過ごし、偶然出会った浦見に誘われ、彼の部屋を訪れた。浦見は田淵の勤める会社の暴露記事を多く執筆していた記者であったが、田淵はその場を立ち去ることなく、話を聞くことを決めた。浦見は、記事を書くためではなく、故人である竹林について知りたいという個人的な理由を述べた。

竹林との日常的な交流

浦見は竹林との関わりについて語った。引っ越しの際の挨拶でカレーを分けてもらったことをきっかけに、たまに料理や土産物を交換する間柄であったという。田淵も竹林の手料理に助けられた経験を思い出し、彼の料理を家族ぐるみで楽しんでいた大家とも話が弾んだ。

竹林の過去と不運

大家は竹林の過去を語った。彼は過剰防衛で世間を騒がせ、週刊誌で非難される中、母とともに引っ越してきたという。事件後も不運が続き、母を亡くした後は一人で生活を支えていた。大家は竹林を最初は警戒していたが、彼が普通の青年であると分かり、彼の誠実さを認めていた。

竹林を巡る異常な運命

浦見は竹林の運命について不思議に思っていた。強盗撃退事件を調査しても、詳細な経緯は曖昧で、関係者や記録が途絶えていた。田淵も竹林の周囲では電車や飛行機のトラブルが多発するなど、説明のつかない不運が続くことに心当たりがあると述べた。

仕事への姿勢と自己犠牲

田淵は竹林の仕事ぶりについて語った。竹林は「大丈夫」という口癖で、多くの仕事や他人の負担を背負い込んでいた。無理をしてでも仕事を完遂する姿勢は感謝される一方で、自己犠牲が過ぎると感じられた。労働環境の改善を訴えた際も、会社の罠と知りながら声を上げ、その結果、見せしめにされるような待遇を受けていた。

竹林への感謝と愚痴

竹林の人柄について語り合ううちに、田淵と浦見、そして大家は竹林への感謝や愚痴を吐露するようになった。彼の誠実で頑丈な性格が多くの人を支えた一方で、その生き方が不器用すぎたことに、惜しむ声が次々と挙がった。彼を語る場は、彼を懐かしみ、敬う温かな時間となった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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