- どんな本?
- 読んだ本のタイトル
- あらすじ・内容
- 前巻からのあらすじ
- 感想
- アニメ
- 同シリーズ
- その他フィクション
- 備忘録
- 5章 1話 フェイの実力
- 5章 2話 初めての家飲み
- 5章 3話 再会 1
- 5章 4話 再会 2
- 5章 5話 再会 3
- 5章 6話 再会 4
- 5章 7話 お茶会での活動報告
- 5章 8話 僅かな成長?
- 5章 9話 親心
- 5章 10話 語られない会議の様子
- 5章 11話 趣味と実益と予想外
- 5章 12話 疲れた体に
- 5章 13話 2日目の会談
- 5章 14話 勧誘
- 5章 15話 情報漏洩
- 5章 16話 実験準備
- 5章 17話 実験結果と貴族料理
- 5章 18話 同僚の思いやり?
- 5章 19話 モールトン奴隷商会
- 5章 20話 イケメンの本性
- 5章 21話 奴隷の歴史と転移者の足跡
- 5章 22話 面接
- 5章 23話 3つの選択
- 5章 24話 元剣闘士と奴隷商の真意
- 5章 25話 察したリョウマ
- 5章 26話 近づく関係
- 5章 27話 式場完成
- 5章 28話 タイミング悪く……
- 特別書き下ろし・記者会見を控えて
どんな本?
物語の概要 『神達に拾われた男』は、Roy氏による異世界転生ファンタジー小説である。第7巻では、主人公のリョウマが新たな挑戦として洗濯屋を開業し、スライムたちと共に経営に奮闘する姿が描かれている。また、公爵家の人々との交流や新種のスライムとの出会いなど、多彩なエピソードが展開される。ファイアクロス
主要キャラクター
- リョウマ・タケバヤシ:前世でブラック企業に勤めていた中年男性。異世界に子供の姿で転生し、スライムを使役するテイマーとして活躍する。本巻では洗濯屋の経営者として新たな一歩を踏み出す。
- エリアリア・ジャミール:ジャミール公爵家の令嬢。リョウマと親しい友人であり、彼の活動を支援する。
- ラインハルト・ジャミール:エリアリアの父であり、ジャミール公爵家の当主。リョウマにとって良き理解者であり、彼の成長を見守る。
物語の特徴 本作は、異世界でのスローライフをテーマに、リョウマの成長と人々との温かな交流を描いている。特に、スライムを活用した独自のビジネス展開や、前世の経験を活かした経営手腕が見どころである。また、リョウマの人柄や周囲のキャラクターとの関係性が、物語に深みと魅力を与えている。
出版情報
- 出版社:Hobby Japan(ホビージャパン)
- 発売日:2019年8月24日
- ISBN:9784798619804
- メディア展開:本作は、コミカライズやアニメ化もされており、多方面で展開されている。
読んだ本のタイトル
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あらすじ・内容
公爵家のお屋敷で待っていたのは、優しい人々と紡ぐ賑やかな時間――
お世話になったジャミール公爵家へと訪問する機会を得た、異世界転生者の少年・竜馬。セルジュやピオロといった顔なじみの商人たちと共に訪れた公爵家のお屋敷でラインハルトたちと久しぶりの再会を果たした竜馬は、そこで意外な人物の結婚話を耳にする。さらには結婚式の準備を手伝って欲しいとお願いされ、快諾した竜馬だが、その準備のかたわら、何故かスライムを利用した新たな商品開発にも着手していくことに――!? 懐かしい人々との優しい時間は勿論、人材確保で新たな仲間も増える異世界スローライフファンタジー、第七幕!
神達に拾われた男 7
前巻からのあらすじ
冒険者ギルドに行ったら、行方不明になった運送業の人を探して欲しいと武器屋の店主が騒いでいたが、行方不明者の捜査は莫大な金が掛かるのだが。
竜馬は格安で請け負って調査を開始。
リムールバード達を使役しての調査だがそれぞれの個性があってなかなかに可愛らしいのだが、探し人は見つからない。
反対に怪しい盗賊達が近隣にいたので彼等を拘束して尋問したら。
盗賊達が探し人を襲っており、襲撃して怪我した彼を街道の下に隠して隠蔽して放置。
それを竜馬は案内させて探し人を確保。
その後、盗賊達は衛兵に連行されて探し人は病院へ搬送される。
感想
公爵夫婦の処に行って年に一度のご挨拶に彼等のいる街へ赴くのだが、、
お供に元密偵のフェイを引き連れて、以前住んでいた森の家の様子を見に行くと盗賊がいたのでフェイと2人で討伐。
家に一泊して森から街に入ろうとしたら、怪し過ぎると衛兵に拘束されてしまう。
だがそこに、ヒューズが迎えに来て怪しい容疑も晴れ。
以前、ヒューズが森で助けてくれた人だと衛兵達に紹介する。
そして、商人のセルジュと待ち合わせしている宿に送ってもらいセルジュと合流。
その場でピオロとも再会。
そして、翌日に彼等と共に侯爵家夫妻と面会。
その時にメイドのルルネーゼとヒューズの結婚を知り。
結婚式の手伝いをして欲しいとヒューズ達から依頼される。
それで式場を土魔法で建築。
さらに式場に使う神像をいろいろなバージョンを作ったりしたら、新たな称号をゲットしてしてしまったりする。
さらに、疲労と肌荒れに悩む奥さんに洗顔用のスラブを作成して。
さらに手荒れに悩むメイドさん達用のスキンケアのスラブも作成。
だが、そこで若いメイド達が勝手にスラブを作ってしまいひと騒動が起こるが、、
彼女達に罰則と称して実験に付き合ってもらい、いろいろな実験をして行く。
さらに、洗濯屋の店舗を守るために、剣を使える奴隷も購入。
侯爵家のあるこの街にも洗濯屋を開店して欲しいと侯爵家から依頼されて、商売もドンドン発展して順調。
だが、最後の最後で式場の池に悪臭を放つ水性植物が発生してしまうが、スライム達の数を活かした力押しで解決してしまう。
そして、外伝の方も記者会見で新しく課長になった馬場が何かやらかそうとしたら、二代目社長に止められてしまい。
その時に勢い余って。
記者会見に出る予定だった馬場が怪我して、救急車で病院に搬送されてしまう。
その後、二代目社長が記者会見に出席して今回の件を誤魔化す事なく真摯に謝罪。
それで世間はある程度風当たりが良くなったが、、
会社が危機的なのは変わらない。
でも、絶対的な危機は去った感じだが、、
続きが気になる。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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アニメ
PV
OP
ED
同シリーズ
神達に拾われた男
その他フィクション
備忘録
5章 1話 フェイの実力
公爵家への道中と寄り道
リョウマはフェイと共に公爵家への挨拶の途中、昔住んでいた家に寄り道するため森を進んでいた。フェイは暗殺者としての過去を持ちながらもリョウマの護衛として信頼を得ており、道中では彼女の出身地であるジルマール帝国についての話が交わされた。フェイは内乱が続く祖国について、自身がウィン家に仕えていた経緯や、暗殺者として活動していた過去を語った。
暗殺者とリーリンの過去
フェイはリーリンが実の娘ではなく、同じ部隊に配属された養育関係であることを告白した。ウィン家は孤児を集め、教育を施して暗殺者や兵士として育成しており、リーリンもその一人であった。フェイはリーリンを実の娘同然に思っているが、この背景をリョウマに伝えることで信頼を深めた。
盗賊の痕跡と状況確認
森を進む途中、リョウマとフェイは複数の足跡を発見した。足跡は盗賊のものと推測され、その先にリョウマの家がある可能性があったため、対応が必要と判断された。フェイは単独で偵察を行い、崖の前で野営する15人の盗賊を確認。彼らは綿密な計画を持ち、馬車を狙っていると判明した。リョウマとフェイは討伐を決断した。
討伐作戦と盗賊殲滅
フェイの指示のもと、リョウマは囮となり盗賊の注意を引いた。一方、フェイは暗闇を利用し、背後から魔法使いを優先して襲撃した。戦闘は迅速かつ正確に行われ、フェイの暗殺技術によって短時間で盗賊は全滅した。リョウマは彼女の実力に感嘆し、帰還後の報酬改善を検討する必要性を感じた。
フェイの能力と信頼
戦闘後、フェイの技術の高さが再確認された。リョウマは彼女の護衛としての適性と信頼性を評価しつつも、その実力に見合う報酬を考えるべきだと認識した。彼女の過去と現在の能力が、リョウマの旅を支える重要な要素であると実感する場面であった。
5章 2話 初めての家飲み
暗殺者に向いている資質
フェイはリョウマに「暗殺者に向いている」と評した。リョウマが持つ薬や毒の知識、死体処理の手際、隠密行動の技術がその理由であった。さらにフェイは、暗殺者としての技能を褒める意図で「良い暗殺者になれる」と訂正した。リョウマは自身が持つ経験を再認識しつつ、フェイの言葉を受け入れた。
魔法と戦闘技術の話
リョウマはフェイが使用した毒属性魔法「ィエン」に興味を示した。フェイはこの魔法がジルマール帝国の言葉で「煙」を意味し、煙幕を利用して敵を無力化する自身の十八番であると説明した。無詠唱魔法についても言及され、フェイは熟練するまで繰り返しの訓練が必要だと助言した。
懐かしの家での休息
リョウマは昔住んでいた家の入り口を土魔法で開き、フェイと共に中に入った。家は埃が積もっていたものの、大きな損傷はなく、スライムたちがかつての居場所を這い回る様子が懐かしさを誘った。部屋を簡単に掃除した後、リョウマはフェイに無詠唱魔法や毒の知識について尋ね、彼の知識と経験を活かす方法を模索した。
毒薬の知識と経費の相談
フェイは薬や毒を自分で調合しており、材料は購入や採取で賄っていた。リョウマは業務上の必要であれば経費で負担するべきだと提案したが、フェイはあくまで個人の訓練として続けていると述べた。リョウマは店の利益にも繋がると判断し、今後の補助を検討すると伝えた。
フェイの過去と最後の命令
フェイは自身が属していた暗殺組織の最期について語った。ウィン家の主から下された最後の命令は「無駄死にせず、各自の判断で逃亡せよ」というものであった。フェイとリーリンはこの命令に従い、可能な限り人を助けながら国を脱出し、リフォール王国に辿り着いた経緯を明かした。
今後の決意と共働の誓い
リョウマはフェイに今後も店で働く意思を確認し、フェイは当分辞めるつもりはないと答えた。リョウマはフェイの貢献に感謝しつつ、夕食と共にお酒を勧めた。お酒を通じてさらに信頼を深め、今後の関係を強化する意志を示した。
5章 3話 再会 1
門での職務質問
リョウマとフェイは、ガウナゴの街の門で職務質問を受けた。盗賊を討伐したことや、ジルマール帝国の元軍人であるフェイの経歴が特に注目された。詰所で何度も繰り返される質問に疲れたリョウマだったが、ヒューズが現れて状況を打開。彼の保証により、リョウマたちは無事に街への入場を許可された。
街での移動とヒューズの人柄
ヒューズはリョウマたちを案内する中で、道行く人々から次々と声をかけられた。彼の親しみやすさと信頼されている様子が街中で明らかとなった。フェイもヒューズの人柄を称賛し、リョウマたちは軽快な雰囲気の中で宿に向かった。
宿屋「馬が好き」への到着
一行は宿屋「馬が好き」に到着した。宿の女将に案内され、リョウマは予約済みの部屋を確認した後、フェイと共に着替えてから食堂へ向かった。宿の雰囲気は個性的で、馬を愛する宿主の趣味が随所に感じられた。
セルジュとピオロとの再会
食堂でセルジュとピオロに再会したリョウマは、道中の話を含め近況を報告した。ピオロからはヴァイツェン村での協力に感謝の言葉があり、リョウマも周囲の注目を浴びながら会話を楽しんだ。しかし、話題が盗賊討伐に及ぶと、食堂の他の客たちは静まり返り、リョウマとフェイの実力に驚きを隠せない様子であった。
ガウナゴの警備体制と水晶の使用
リョウマはガウナゴの厳重な警備体制に感心し、セルジュから水晶の背景について説明を受けた。その魔法道具は神々の啓示に基づいて作られた特別な品であり、製造や使用には厳しい制約があることを知った。セルジュもその希少性に興味を示しつつ、その入手困難さを嘆いた。
盗賊討伐の詳細と周囲の反応
盗賊討伐について尋ねられたリョウマは、フェイが大部分の敵を倒したことを説明した。彼の言葉により周囲の商人たちは驚きと警戒を強めたが、セルジュやピオロはリョウマの実力を高く評価した。やや緊張感の漂う中でも、リョウマたちは夕食を楽しむ時間を過ごした。
5章 4話 再会 2
公爵家への招待と旅路
リョウマは公爵家からの迅速な招待を受け、セルジュやピオロと共に馬車で公爵家へ向かった。道中、街の景色が平民街から貴族街へと変わり、豪華な建物が次第に目立つようになった。貴族街への進入に緊張するリョウマに対し、同行者たちはリラックスするよう促した。彼の服装についても意見が交わされ、地味だが動きやすいスーツがリョウマのこだわりであることが語られた。
公爵家の要塞と到着
馬車が公爵家の敷地に近づくと、見えてきたのは城のような要塞であった。高い城壁や警備兵が配備されたその姿は、屋敷というより防御を重視した構造であった。結界を通過する際にリョウマは違和感を覚えたが、同行者からは公爵家の強固な防衛体制について説明を受けた。ついに馬車は屋敷前に到着し、出迎えた使用人たちが整然と並んで一行を迎え入れた。
控え室での再会と待機
控え室に通されたリョウマは、かつて世話になったメイドのアローネとリリアンと再会した。彼女たちは温かく迎え、飲み物を提供するなどのもてなしを行った。リョウマは初めての貴族館訪問に緊張を感じつつも、彼女たちや同行者の励ましにより徐々に落ち着きを取り戻していった。
控え室での談笑と緊張の緩和
待ち時間中、控え室では和やかな談笑が続いた。アローネとリリアンがリョウマとの過去の関わりや最近の出来事について語り、話題が広がったことで場の雰囲気は和らいだ。彼女たちの心遣いにより、リョウマは次第に緊張を忘れ、控え室での時間を穏やかに過ごした。
5章 5話 再会 3
公爵家への面会
メイドが控え室を訪れ、公爵家の面会準備が整ったことを知らせた。リョウマはセルジュ、ピオロと共に案内されながら豪華な廊下を進んだ。白い扉の先には気さくな奥様と公爵ラインハルトが待ち構えており、リョウマ達を温かく迎え入れた。格式張らない雰囲気の中、リョウマは久々の再会に喜びつつ、和やかに挨拶を交わした。
欠席したラインバッハと談笑
談笑の中で、ラインハルトは父であるラインバッハが面会希望者の多さを理由に火竜山脈へ「逃げた」ことを明かした。リョウマは残念がりつつも、公爵夫妻の軽妙な話に場が和み、次第に親密な空気となった。続いて土産物の披露が始まり、それぞれが用意した品を贈呈した。
贈り物の披露
セルジュは希少な純白木材を使用した高級オルゴールを贈り、公爵夫妻はその洗練されたデザインに感嘆した。ピオロはチョコレートを贈り、リョウマも興味を惹かれた様子だった。リョウマからは防刃シャツと消臭液が贈られ、性能の高さに公爵夫妻は驚き、さらなる使用を検討すると約束した。
結婚式の神像制作依頼
会話の中で、公爵夫妻から結婚式に使用する神像制作の依頼が持ちかけられた。リョウマは責任の重さを感じつつも快諾し、式の主役となるメイドのルルネーゼと対面した。彼女はリョウマの腕前を信頼し、婚約者であるヒューズも同様にリョウマを推していたことを明かした。
婚約者ヒューズの意外性
婚約者がヒューズだと知ったリョウマは驚きつつも、2人の幸せを祝福した。彼は複雑な感情を抱きながらも、依頼を全力で引き受ける決意を新たにした。この場面はリョウマにとって公爵家への訪問を象徴する印象的な出来事となった。
5章 6話 再会 4
宿泊部屋の案内と再会
リョウマ達が公爵家に戻ると、夫妻は別の客を迎えており、彼らは宿泊する部屋に案内された。客室は広大で豪華な造りで、前世の高級ホテルのスイートルームを思わせるものだった。リョウマはその贅沢さに驚きつつも、心落ち着かず砂で神像の試作品を作り始めていた。その頃、ルルネーゼからヒューズと同僚の訪問が告げられ、リョウマは彼らを迎え入れた。
ヒューズの婚約報告と同僚の談笑
ヒューズは婚約を改めて報告し、彼の同僚たちは結婚をきっかけに彼の生活態度が変わったことを語った。以前は昇進を断り続けていたヒューズだったが、家庭を築く意志を持つとともに昇進試験に臨んでいると明かされた。その姿勢は同僚からも変化を歓迎されており、リョウマも彼を応援する気持ちでいっぱいだった。
神像の試作品と選定
リョウマは作成した神像の試作品を見せ、ヒューズとルルネーゼに意見を求めた。ヒューズは明るい像を選び、ルルネーゼは厳かな雰囲気を好むなど意見が分かれたが、互いに相談し合う様子は微笑ましく、同僚たちからも「最近はイチャついてばかり」とからかわれる場面もあった。
祝福の中での考察
リョウマは彼らの仲間に愛される様子を見て、自分の過去の人間関係を思い返していた。彼の真摯な祝福にヒューズたちは少し戸惑いつつも、真面目に受け取る雰囲気が漂った。室内にはリョウマの温かな視線を感じさせる空気が流れ、和やかな時間が続いた。
夕食の知らせと締めくくり
その後、メイドが夕食の準備が整ったことを知らせに現れ、訪問は一区切りとなった。リョウマは新たな生活を歩むヒューズ達に深い祝福の念を抱きつつ、温かい余韻の中で次の予定に向けて動き出すのだった。
5章 7話 お茶会での活動報告
夕食後の会話と公爵家の評価
夕食を終えたリョウマは、公爵夫妻やセルジュ、ピオロとともに食後のお茶を楽しみながら会話を続けた。話題はリョウマが関わった様々な事業に及び、防水布やオルゴール、麦茶の展開などが挙げられた。特に麦茶の生産拡大に伴い、ヴァイツェン村の繁栄が期待されていると語られた。
スライムを活用した警備構想
リョウマはスライムを使った廃鉱山の警備計画について話した。雑草や石ころに擬態するスライムを配備し、侵入者を感知するシステムを試験運用中であると述べた。その特徴に公爵夫妻は感嘆し、奥様は自身の従魔との違いを興味深そうに語った。
店舗経営と順調な成果
リョウマは洗濯店の順調な営業状況についても報告した。特に雨や気温の低下による洗濯の困難さが追い風となり、売上は過去最高を更新していると語った。公爵夫妻はその話に熱心に耳を傾け、共に笑顔で応じていた。
元犯罪者の雇用についての懸念
話題は元犯罪者の雇用支援に移り、公爵夫妻と商人たちはリョウマの考えに反対意見を述べた。彼らはリスクの高さや世間の目を懸念し、それがリョウマ個人で行うべきことではないと指摘した。リョウマはこれらの意見を真摯に受け止めつつ、自身の行動方針について「やりたいと思ったことを自由にやっている」と語った。
自由な生き方と未来への視野
リョウマは過去の経験を振り返り、森での生活やスライム研究、現在の事業展開について、すべてが自身の自由な選択の結果であると語った。元犯罪者の支援も急速に進めるつもりはなく、長い目で見て少しでも良い変化をもたらせればと述べた。その話に公爵夫妻は安心した表情を見せ、場の雰囲気も和やかになった。
相談の重要性と周囲の驚き
リョウマは新しい取り組みを始める際には、周囲の人々に相談して進める考えを示した。その発言に公爵夫妻や商人たちは驚きつつも感心し、リョウマの慎重さと周囲への配慮を改めて認識した様子だった。
5章 8話 僅かな成長?
公爵家との議論と新たな提案
リョウマの意図と誤解の解消
リョウマは自らの計画について、周囲の協力を得るつもりであることを説明した。ラインハルトや他の出席者は、リョウマが全てを独力で行おうとしていると誤解しており、彼の説明を受けて安堵した。リョウマが周囲を頼る姿勢を見せたことに、彼らは喜びを示した。
防水布の生産拡大提案
リョウマは、防水布の需要が増加していることから、生産効率を高めるための工場設立を提案した。この計画では、スティッキースライムを活用し、加工工程を効率化すると同時に、新たな雇用機会を創出することを目指した。セルジュはこの提案に前向きな姿勢を示し、詳細な検討を約束した。
スカベンジャースライムによるゴミ処理の可能性
ラインハルトに対し、リョウマはスカベンジャースライムを用いたゴミ処理の効率化案を提案した。ゴミの量が収集能力を超えている現状を指摘し、スライムの活用で労力や燃料を節約し、さらに得られる肥料を農業や商品化に活用するアイデアを共有した。この提案は一定の関心を集め、ラインハルトは庭師に肥料の評価を依頼する意向を示した。
キノコ栽培と新たな可能性
ピオロに対しては、ランニングマッシュの大量生産と食用キノコの研究について説明した。この試みが農業分野において大きな可能性を秘めていることを述べ、ピオロは興味を示しつつも、その計画の規模に頭を抱える様子を見せた。
美容への活用と貴族社会への接触
クリーナースライムの美容効果を活用した新たな事業構想を奥様に提案した。スライムの特性を用いて肌のケアを行うアイデアに、奥様は興味を示した。リョウマは貴族社会の女性たちが美容に費やす資金の多さを指摘し、これがビジネスチャンスとなる可能性を述べた。
スライム研究の共有と信頼の証
リョウマは、自身のスライム研究の成果を惜しみなく共有する姿勢を示し、これに驚きつつも周囲は彼の信頼に応えようと決意を新たにした。ラインハルトたちは、リョウマの話を今後も積極的に聞くことを約束し、さらなる協力を視野に入れた。
夜の締めくくりと次なる課題
議論が深夜に及び、話題は一旦終了となったが、リョウマはまだ話しきれていない提案があることに気づいていた。彼の柔軟な発想と熱意に周囲は感心しつつも、リョウマの安全と慎重さを願う気持ちを新たにしていた。
5章 9話 親心
深夜の会議と屋敷の秘密
妖精の存在と不思議な違和感
リョウマは会議に向かう途中、廊下で奇妙な違和感を覚えた。その感覚について尋ねると、ルルネーゼは「家憑き妖精」の存在を示唆した。妖精はこの屋敷に住み着いている可能性が高く、家主や客人を守る守護者として機能しているという。ただし、人前に姿を現すことは稀であり、無理に探そうとすると隠れてしまうとのことだった。
ヒューズの疲労とルルネーゼの心配
会議場に到着すると、ヒューズが円卓で居眠りをしていた。昇進のための研修による疲労が原因らしく、ルルネーゼは彼の体調を心配していた。彼女の優しい気遣いが垣間見える中、ヒューズの真剣な努力が改めて感じられた。
料理長バッツとの出会い
料理長バッツが会議室に現れ、リョウマと挨拶を交わした。彼はルルネーゼを幼い頃から面倒を見てきた恩人であり、実の父親のように接していたことが明らかとなった。バッツの温かい人柄と、ルルネーゼの家族的な背景が語られる中、彼女がこの屋敷で深い信頼を得ていることが伺えた。
新郎としてのヒューズへの注文
ヒューズが目を覚ますと、バッツは彼に冗談交じりで釘を刺した。ルルネーゼを泣かせないよう忠告し、彼の決意を確認するかのようなやり取りが交わされた。ヒューズもまたルルネーゼへの想いを改めて口にし、その場には穏やかな空気が流れた。
会議の始まりと準備
その後、他の参加者が次々と集まり、結婚式の準備に関する深夜の会議が始まった。リョウマは控えめに成り行きを見守りつつ、彼らの絆の深さと結婚式への情熱を感じ取った。
5章 10話 語られない会議の様子
結婚式の準備と冒険者ギルドへの道
結婚式場設営の提案
朝食の席でリョウマは、結婚式場の設営を引き受けることを話した。エルフ式と人族式を融合した教会風の舞台を裏庭に建てる案が、前夜の会議でヒューズから提案されていた。ルルネーゼの本心に気づいたヒューズの提案により、会議は一時紛糾したものの、最終的に教会風舞台を設営することで意見がまとまった。リョウマは資材を冒険者ギルドでの解体作業から調達するつもりであった。
馬車での移動と公爵家の気配り
朝食後、リョウマは公爵家が用意した馬車で貴族街を出るまで送られることになった。公爵家の奥様が過保護になっている様子をフェイに漏らすと、彼も同席して馬車に乗りながら親子の愛情について語った。フェイは前日に公爵夫妻と面談しており、自身とリーリンへの身分保証書や冒険者ギルドへの推薦状を受け取っていた。リョウマはこの書類を活用してギルド登録を勧め、フェイも同意した。
家憑き妖精の話題
移動中、リョウマはフェイに家憑き妖精の存在を話した。フェイもまた監視されているように感じており、妖精の可能性に納得したが、自国では家人に不幸をもたらす妖精が存在すると話した。リョウマは異なる文化や魔法に興味を示し、妖精や魔法についての会話に花を咲かせながら、馬車は目的地に近づいていった。
5章 11話 趣味と実益と予想外
解体作業の開始と現場の状況
解体現場での歓迎と指示
リョウマは冒険者ギルドで解体の仕事を受け、現場へ向かった。そこでは山賊のような雰囲気の作業員たちに迎えられ、責任者からも「体力がありそうには見えない」と懐疑的な目を向けられた。しかし、リョウマは土魔法の得意さを説明し、瓦礫を必要とする事情を伝えた。結果的に依頼を受け入れられ、解体現場の裏手を任されることとなった。
土魔法を用いた作業の工夫
解体作業の中で、リョウマは土魔法を応用し効率的に壁を崩した。初めは砂状にしてしまう非効率さに気づき、次第に魔法の範囲や威力を調整し、大きな塊を作る方法を編み出した。「ストーンカッター」や「ウォールブレイク」など新しい魔法も開発しながら作業を進め、大きな成果を挙げた。最終的には作業員や責任者からその能力を認められ、解体業者から就職の誘いも受けたが丁重に断った。
冒険者ギルドでの再会
解体作業後、リョウマは冒険者ギルドでフェイと合流した。フェイはギルド登録後に依頼を達成し、その過程で女性冒険者たちや彼女らに絡む男たちと関わっていた。男たちを力で制したフェイは、女性たちから注目を浴び、周囲の冒険者たちの羨望の的となっていた。リョウマはその様子を見つつ、フェイの状況を少し離れた場所から観察し、ギルドでの報告を優先しようと動き出していた。
5章 12話 疲れた体に
帰宅後の緊急相談
結婚式の準備に関する問題
リョウマが公爵家に戻ると、メイド長のアローネに呼び止められた。ルルネーゼの結婚式に関連する問題が発生したとのことで、リョウマは相談を受けることにした。案内された先では、メイドたちが結婚式の準備に関して意見を交わしていたが、アローネの注意で場が静まり返った。
アローネから結婚式場の設営に関するデザイン案を元に、多くの要望が寄せられていることが説明され、リョウマは要望を精査し、可能なものと難しいものを仕分けた。その結果、基礎部分は翌日から作業に入れる見通しとなった。
奥様との温泉談義
準備を終えたリョウマに奥様が話しかけ、日常の疲れを癒やす温泉の話題が持ち上がった。奥様は火竜山脈にある領地の温泉について懐かしみ、リョウマはその話からヒントを得て「バスボム」という入浴剤を提案した。さらに、肌を整える「シュガースクラブ」も作れると説明すると、奥様は興味を示し、必要な材料の準備を指示した。
美容秘薬の誤解
リョウマはバスボムとシュガースクラブの試作に取り掛かることになったが、その会話を聞いていたメイドたちはこれを「美容の秘薬」として興奮気味に囁き合った。リョウマはそれを軽く流したが、この誤解が後に公爵家内でちょっとした騒動を巻き起こすことになる予兆を感じさせた。
5章 13話 2日目の会談
スライムの話題と冒険者たちの危険情報
スライムと日常の話題
夕食後、公爵家の応接間に公爵夫妻と商会の会頭たちが集まっていた。リョウマが到着すると、スライムの世話に関する話題が持ち上がった。リョウマは現在19種類のスライムを飼育しており、種類ごとに餌を与えることで管理を行っていると説明した。また、公爵家から提供されたゴミを餌として活用することに感謝を述べた。
手配書と盗賊の危険性
続いてラインハルト公爵が盗賊被害と手配書について情報を共有した。盗賊の賞金額は被害規模や危険度で決まるが、一部の高額賞金首は貴族や商人による上乗せが影響していると説明された。特に宝石専門の盗賊団は白金貨2枚の賞金が掛けられており、空間魔法を駆使した巧妙な犯行手口が特徴的であった。公爵はリョウマにも特に注意するよう助言した。
肥料と聖地の関係性
ラインハルトはスカベンジャースライムの肥料に関する進展を報告した。公爵家の庭師長が、肥料の性質がアルトゥーラ国の聖地「地母神の森」の土に似ていると指摘した。聖地の土は魔力を含み、木属性魔法に適しているが、過剰に使用すると植物が魔獣化する危険性があるため、慎重に使われているという。リョウマは肥料と聖地の土が別物であると認識しているが、信仰に絡む問題の可能性もあるため、今後の対応に注意が必要とされた。
美容用品への反響
その後、奥様が昼間リョウマから受け取った「バスボム」と「シュガースクラブ」について熱弁を振るった。奥様はこれらが体の疲れを癒やし、肌の潤いを高める効果に感動しており、他の参加者も興味を示した。リョウマは材料を使い追加で作成することを約束した。また、使用感をさらに向上させる改良案についても提案した。
ブラッディースライムの抗体発見
リョウマは次にブラッディースライムの血清に関する研究成果を共有した。スライムが毒耐性スキルの向上を通じて複数の抗体を生み出しており、その中には「呪い傷」(現代でいう破傷風)の抗体も含まれていることが判明した。この病は致死率が高く、有効な治療法がないため、抗体の存在は医学界において極めて重要であると評価された。しかし、この情報を公表することで生じる可能性のある危険性についても議論された。
公爵家からの誘い
会話の最後に、ラインハルト公爵はリョウマに対し、公爵家の「技師」として迎え入れる提案をした。その真剣な表情から、この提案が持つ重みとリョウマの研究成果の価値が窺えた。
5章 14話 勧誘
技師への誘いとその条件
公爵家からの技師への勧誘
ラインハルトはリョウマに技師の役職を提案したが、無理強いを避けつつ、技術や知識が他の貴族に狙われる危険性を説明した。公爵家直属の技師になることで、血清の知識を守りつつ、研究の自由を保てる利点を強調した。また、技師になればリョウマの立場が公的に認められ、外部からの干渉を制限できるとも述べた。
技師の地位と役割の詳細
技師の地位には三等から一等までの階級があり、リョウマには最初に三等技師として登用する案が出された。三等技師は研究の自由度が高く、必要な資金援助を受けられるが、定期的に研究成果を求められる。上位の階級になると護衛や部隊の指揮権が与えられるが、リョウマには負担を減らすため最下位の地位が提案された。
技師になることでの制約と自由
技師は公爵家直属であり、外部からの指揮を受けないが、一定の研究成果を求められる。また、血清の知識やリョウマの経歴が公爵家の内部で共有される必要があるという条件が示された。リョウマはその点に懸念を示したが、公爵家側はこれを外部に漏らさないことを約束した。技師の自由度や従軍義務がない点についても説明され、研究者としてのメリットが強調された。
リョウマの決断の猶予
ラインハルトはリョウマに即答を求めず、十分に考える時間を与えた。血清の研究がまだ動物実験の段階であることから、今すぐの決断は必要ないと説明された。奥様や商会の会頭たちもリョウマの年齢や立場を考慮し、焦らず判断するよう助言した。
血清の話題と周囲の反応
リョウマがこれまで血清の知識を秘密にしていたことについて、ラインハルトは評価を示した。一方で、公爵家の大人たちはリョウマの無用心さを懸念していた様子が見られた。リョウマはこれに対し、慎重に対応していると述べたが、微妙な空気が流れた。
結婚式場の建設計画
最後に、ヒューズとルルネーゼの結婚式場に関する話題が持ち上がった。リョウマは翌日から建設作業を開始する計画を説明し、公爵家の協力を得る段取りが整えられた。こうして議題は次々と解決され、和やかな雰囲気で会話が続いていった。
5章 15話 情報漏洩
秘薬騒動とその解決
シュガースクラブ盗用の発覚
ラインハルトは朝食の席でシュガースクラブに関する問題を説明した。5人のランドリーメイドが秘薬と誤解されたシュガースクラブの製法を盗み、無断で作成・使用したことが判明し、重大な問題として扱われた。アローネとリリアンは厳しい表情で5人を伴い、罰則の検討が始まった。
事件の背景と使用人の行動
ランドリーメイドたちは、手荒れに悩む中で伝言ゲームの結果として歪められた情報を聞き、試してみる気持ちでシュガースクラブを作った。しかし、この行動は雇用契約の規定に違反し、家の信頼を損なう行為と解釈された。彼女たちは悪意がなかったものの、状況的に厳しい立場に置かれることとなった。
リョウマの提案と罰則の決定
リョウマは状況を聞き、彼女たちの処罰が自分に利益をもたらさないことを説明した上で、代わりに「シュガースクラブの改良実験台として協力すること」を提案した。ラインハルトはこれを了承し、実験を通じて罰を受けさせる方針を採用した。さらに、厳しい教育を並行して行い、反省を促すことも決まった。
使用人の役割と影響
ランドリーメイドは屋敷内で最も主人との接触が少ない役職であり、信用が確立していない新人が担当する位置であった。契約違反で追放されれば、再就職は困難になるため、今回の措置は彼女たちの将来に大きな影響を与えるものとされた。
公爵家の対応と方針
ラインハルトたちは、リョウマの提案を受け入れ、彼が滞在する間はシュガースクラブ改良の協力をさせる方針を決めた。同時にアローネを中心とした教育を徹底し、反省が見られれば契約期間まで雇用を継続することも考慮された。
バスボムとシュガースクラブの感想
最後に、ラインハルトとセルジュたちは昨夜試したバスボムとシュガースクラブについて感想を述べた。バスボムは非常に好評で、身体を芯から温める効果が認められた。一方、シュガースクラブについては改良の余地があるとし、具体的な案を話し合いながら朝食が始まった。
5章 16話 実験準備
魔法練習場でのシュガースクラブ改良実験
魔法練習場の訪問
リョウマはルルネーゼに案内され、公爵家所有の魔法練習場を訪れた。この練習場は鮮やかな紫色の壁で囲まれた広い敷地で、火や氷の魔法にも耐える特別な塗料が使用されていた。奥様がこの場に参加し、リフレッシュも兼ねて実験の様子を見たいと申し出たため、リョウマは作業の準備を始めた。
スライムを使った農作業の実演
リョウマはスカベンジャースライムとスティッキースライムを使い、畑の耕作と種まきを実演した。スカベンジャースライムは地面を耕す作業を「耕起」というスキルとして習得しており、効率的に土を耕した。一方、スティッキースライムは「種植」のスキルを活用して種まきを行い、その様子に奥様やメイドたちは感嘆していた。
新たな協力者たちの到着
練習場にはアローネから指示を受けたメイドや執事が続々と集まり、シュガースクラブの改良実験に参加することとなった。中には大猿人族のリビオラもおり、彼女が再教育の監視役として選ばれた。リビオラは信頼の厚い使用人で、現場の整理や作業台の設置などを指揮した。
試作品の製作と実験内容
リョウマは持ち込まれた豊富な材料を用い、油8種類と香油3種類を組み合わせてシュガースクラブの試作品を作ることにした。使用人たちには実際に試用してもらい、使用感や効果について率直な感想を記録するよう依頼した。さらに、砂糖の粒子の大きさによる使用感の違いも検証することを決め、試作品のバリエーションを増やしていった。
商品開発の第一歩
こうしてリョウマは、シュガースクラブの商品化に向けた第一歩を踏み出した。実験は多くの使用人の協力を得て進められ、現場は活気にあふれていた。彼は素材の組み合わせや使用感を慎重に検討し、最適な商品を目指して作業を続けることとなった。
5章 17話 実験結果と貴族料理
貴族料理と実験の成果
昼食前の奥様の憂鬱
リョウマは午前の実験を終え、昼食の準備を待つ間、奥様が憂鬱そうな表情をしていることに気づいた。奥様によると、貴族の社交シーズンが近づき、パーティーで提供する「貴族料理」の試食を行う必要があるという。その料理は高価で豪華であるが、味の面では満足できないものが多く、試食はあまり気が進まないとのことだった。リョウマは好奇心から試食に参加することを申し出た。
実験の成果と商品開発の方向性
昼食前のひと時、リョウマはラインハルトに午前中の実験結果を報告した。被験者からの意見を基に、香油の有無に関する需要が平民層と上位層で大きく異なることが判明した。香油入りを好むのは平民層の女性が多く、特に香りの持続や高級感を求めている。一方、香りなしを希望するのは男性や地位の高い使用人で、日常的に香油を使う人や職務の関係上香りが邪魔になる人が理由として挙げられていた。この結果から、ターゲット層に応じた製品展開の重要性を確認し、さらに消臭効果を持つスライム液を使用した新たな方向性も考案していた。
貴族料理の試食体験
昼食として提供された貴族料理を試食したリョウマは、その豪華さに驚きつつも、高価な料理が必ずしも美味しいわけではないことを実感した。前菜のサラダは美味であったが、その価格が小金貨10枚にも及ぶことに驚きを隠せなかった。次に試した唐辛子を使ったスープは非常に辛く、激辛料理を彷彿とさせる味であったが、辛さの中にしっかりとした旨味が感じられ、リョウマ自身は楽しむことができた。料理長のバッツもリョウマの反応に感謝し、辛さだけでなく美味しさを求める意図を評価されたことに喜んでいた。
貴族料理の「激シリーズ」
リョウマは貴族料理に独特な「激辛」「激塩」「激苦」「激渋」「激酸」「激甘」といった極端な味付けの伝統があることを知った。これらは過去の転移者が残した文化かもしれないと推測しつつ、味の偏りがパーティー料理の常識となっている状況に驚きを覚えた。また、貴族の料理にはその豪華さや高額な食材使用が義務ともなっており、食文化の違いが如実に表れていることを感じた。リョウマはその独特な食文化に少し戸惑いながらも、興味深い体験を楽しんだ。
5章 18話 同僚の思いやり?
林の整備と従魔たちの存在
屋敷の裏手に広がる林は自然に近い状態で整備されており、魔獣たちが自由に生活していた。リョウマはルルネーゼの案内で進む途中、狼系の魔獣に遭遇したが、それは奥様や使用人たちの従魔であった。ジャミール公爵家では従魔術師の文化が浸透しており、従魔が自然と共存できる環境が整っている。湖に浮かぶフロートランドトータスもその一例で、料理長バッツが契約者であった。
結婚式場設営の準備
結婚式場の設営はスライムの活用で開始された。ウィードスライムが邪魔な草を除去し、スラ海戦術で迅速に整地を行った。準備が整う中、ボランティアたちが集まり始め、リョウマは到着した面々に作業内容を説明した。式場の地面を平らに整え、土台に石板を敷き詰める作業が行われた。特に地面の平坦さや隙間の処理には細心の注意が払われ、土魔法が使える参加者がこれを支援した。
ヒューズの一件と仲間たちの参加
作業中、護衛のヒューズが負傷した状態で現れた。リビオラによる拳打を受けたことが原因であったが、同僚たちの助けを借りて回復。彼を含む護衛たちが作業に加わり、現場の統率がよりスムーズになった。一方、結婚式の主役であるヒューズとルルネーゼは仲間たちの言葉を受け、式に向けた準備と気持ちを整理していた。
結婚式場の整備と協力体制
ボランティアたちは石板を敷き詰め、縁の隙間をレンガで埋める作業を進めた。リョウマの指示のもと、警備担当者や魔法隊が協力し、それぞれの役割を効率的にこなした。集まった人々の熱意と統率力で作業は順調に進み、式場は無事整備されていった。参加者たちの手際よい働きが、結婚式の成功に向けた確かな基盤を築いた。
5章 19話 モールトン奴隷商会
馬車での移動と同行者たち
リョウマはラインハルト、セルジュ、ピオロ、フェイと共にモールトン奴隷商会を訪れる道中、同行者たちとの会話を楽しんでいた。ラインハルトは久しぶりの外出を楽しみながらも、娘エリアが学園に通い始めた影響で、休暇中の過ごし方に戸惑いを見せていた。リョウマが奴隷商会を訪れるにあたり、同行者たちは店の代表者オレスト・モールトンの変わり者ぶりに注意を促していた。
モールトン奴隷商会の訪問
商会の外観は貴族の屋敷を彷彿とさせ、内部も清潔かつ豪華であった。奴隷たちの健康管理に力を入れており、専属の医師がいる環境が整えられていた。リョウマは明るく開かれた雰囲気に驚きつつも、その経営方針に納得した。会頭であるオレストは、商会内で顧客と直接対応する柔軟性を持ち、丁寧かつ効率的にリョウマを迎えた。
奴隷選びの基準とプロセス
リョウマは自らの洗濯屋を経営する中で、警備員として働ける人格と実力を兼ね備えた人材を求めていた。オレストは戦闘系スキルを持つ候補者のリストを提示し、詳細な資料を用いて奴隷の適性や価格を説明した。価格のばらつきは、借金奴隷の清算額が影響しているとのことであった。リョウマは初めての経験ながらも、丁寧な説明のおかげで候補者選びを順調に進めていた。
同行者たちの警戒心
リョウマはオレストの対応に特に問題を感じなかったが、同行者たちは彼の言動に警戒心を持ち続けていた。変わり者と評されながらも、オレストの優れた経営能力と奴隷商としての信頼性は確かであると感じさせる対応であった。リョウマは引き続き候補者選びに集中しつつも、同行者たちが警戒する理由に疑問を抱いていた。
5章 20話 イケメンの本性
候補者の選定と難航する絞り込み
リョウマは提示された資料をもとに警備役としての候補者を選定した。資料は明確で選びやすかったが、条件に合う者でも50人以上が残り、更なる絞り込みが必要だった。冒険者出身者が多く、似た経歴の人物ばかりで選択に悩んだため、戦闘系スキルがレベル3以上の者に絞り込んだところ、候補者は12人に減った。この基準の背景には、戦闘スキルのレベルが上がるほど必要な経験や実力が増えるため、レベル差が実力差に直結するという説明があった。
モールトン氏の意外な知識と興味
候補者選びの中で、モールトン氏はリョウマの過去の活躍を詳しく知っていることを明らかにした。彼は商人として情報収集を徹底しており、リョウマが冒険者として目立つ存在であることを指摘した。リョウマがギムルでの活動を通じて得た評判や戦闘スキルの高さを分析し、特に剣術と体術のレベルが7であることに驚きを示した。さらに、モールトン氏は興奮した様子でリョウマの過去の武勇を語り続け、彼の強さを称賛していた。
「訳あり」候補者の提示
モールトン氏は「訳あり」のリストから双剣術レベル5の牛人族、オックス・ロードを紹介した。オックスはかつて一流の剣闘士であったが、左手を失ったことで引退を余儀なくされ、現在は奴隷として剣術指導に従事している。彼の高い実力と経験は評価されているが、剣士としてのプライドの高さや高額な価格が課題であった。モールトン氏はリョウマに候補として面談を提案し、慎重な検討を求めた。
モールトン氏の突飛な提案
候補者選びの最中、モールトン氏は奴隷購入の際の注意点として、性行為の了承が重要であると真剣に説明した。リョウマがその目的で奴隷を求めていないと伝えると、彼はなおも契約上の重要性を力説した。この突飛な提案にリョウマは困惑しつつも、モールトン氏の真剣さと観察力を感じ取った。モールトン氏の言動には冗談めかしたものも含まれていたが、それはリョウマの反応を観察し、彼の本質を見極めようとする姿勢に基づいていた。
リョウマの対応と結論
リョウマはモールトン氏の観察眼や真剣さを認めつつも、彼のつかみどころのなさに困惑していた。しかし、候補者選定についての助言や紹介された人物の詳細な情報は、リョウマにとって有用であった。モールトン氏のユニークな性格にもかかわらず、リョウマは彼のプロフェッショナリズムを評価し、候補者との面談に向けた準備を進めることにした。
5章 21話 奴隷の歴史と転移者の足跡
モールトン氏との面談後の休息
候補者選定が終了し、モールトン氏が退出すると室内の緊張が解けた。セルジュら大人たちは口々に「彼は優秀だが厄介な人物」と評した。過去には同席者の前で不適切な発言をされ、困惑した経験を語り合い、モールトン氏の人を見極める才能と奇妙な言動が話題となった。リョウマは、彼の独特な言動を真似する必要はないと理解しつつ、彼の能力に感心していた。
奴隷法の基礎知識と旧奴隷法の歴史
リョウマは、モールトン氏から渡された奴隷法の本を読み始めた。この世界の現行奴隷法は、奴隷の人権を一定程度守るものであり、衣食住や治療の保証、適度な休息の権利が規定されていた。一方、旧奴隷法は非人道的な制度であり、「無職税」の導入により、労働を強制し奴隷化を促進した歴史があった。この政策は生活を圧迫し、経営者に有利な環境を作り出したが、多くの国民に苦しみをもたらした。
革命と現行奴隷法の成立
旧奴隷法に対する反乱軍が蜂起し、最終的に革命は成功を収めた。その中心人物は「黒髪黒目の男」と呼ばれ、一騎当千の強さと戦略眼で反乱を指揮し、宰相として新たな奴隷法の成立に尽力した。彼は奴隷制度を全面的に廃止することは難しいと主張し、奴隷の待遇改善を目指した。この改革により奴隷制度は次第に改善され、現代の基礎となる制度が成立した。
奴隷制度撤廃の困難と改革者の理念
宰相となった男は、奴隷制度の撤廃がもたらす混乱を懸念し、段階的な改革を選んだ。解放された奴隷が生きていく手段を失う問題や、制度に依存していた社会構造の急激な崩壊を避けるため、制度の維持と改善を同時に進めた。この改革は彼の死後も周辺諸国に影響を与え、人権を重視した奴隷法として広まった。
リョウマの感慨
リョウマは、改革者の壮絶な人生を思い、彼が成し遂げた功績に深い敬意を抱いた。自身の平穏な生活と対比し、彼の苦悩と覚悟を思い描きながら、そっと本を閉じて黙祷を捧げた。
5章 22話 面接
候補者との面接開始
モールトン氏がオックス・ロードを含む 10名の候補者を連れてきた。彼らは安全を確保するために全員薄手の服を着ていた。ロードは鍛え抜かれた肉体と鋭い眼光で他の候補者とは明らかに異なる威圧感を放っていた。面接は 5人ずつ対面で行われ、候補者たちは熱意を持って自らをアピールしていたが、ロードの態度は控えめで、的確な質問とともに自らの実力を冷静に語った。
候補者の印象とロードの存在感
面接後、参加者の意見が求められた。ロードの実力と風格が最も高く評価され、特に戦闘経験や誠実さが信頼できるとされた。一方で、彼の性格は頑固であり、扱いにくさも予想された。それでも、彼が護衛として適任であるという結論に至った。
実力審査の提案と準備
実力を確認するため、通常の試験方法を尋ねたところ、候補者同士の試合や用意した相手との試合が一般的だと説明された。リョウマは独自のアイデアを提案し、それにモールトン氏がすぐに賛同した。他の参加者たちも意見を交わした末、回復魔法のサポートがあることを確認しながら、その提案を採用することが決定した。準備が進められる中、候補者たちの実力が試される場が整えられていった。
5章 23話 3つの選択
広大な中庭の準備
モールトン商会の中庭は、広々としたグラウンドと的を備えた実力試験の場として用意されていた。竜馬たちは客席に座り、すでに整列した候補者 10人と向き合った。モールトン氏は試験の詳細を発表し、候補者に3つの対戦相手から選ぶ自由を与えた。それぞれが竜馬、フェイ、または上位種スライム 3匹と対戦する選択肢を持つことが告げられた。
対戦相手の選択と意気込み
控室に戻された候補者たちは、自分の相手を慎重に考えた。5分後、彼らは順番に呼び出され、選択と意気込みを語った。最初の男性は「確実に勝てる」と判断し、スライムを相手に選んだ。彼の明るい態度と自信は評価されたが、選択理由が表面的であったことがやや懸念された。
メタルスライムの圧倒的な力
試合が始まると、竜馬の上位種スライムたちは予想外のスピードと重さで相手を圧倒した。鋼鉄の体を持つスライムたちは、正確かつ連続的な体当たりで男性を翻弄し、攻撃を防ぐ隙を与えなかった。彼の武器と技術では対応できず、試合はスライムの勝利で終わった。
竜馬の冒険者としての顔とスライムの鍛錬
試合中、大人たちはスライムの動きに驚きながらも、竜馬の訓練方針やスライムの進化について感嘆した。特に、スライムが単独で高い戦闘能力を発揮する点や、刃への変形を含むさらなる鍛錬計画が語られ、彼の冒険者としての能力に驚きを隠せなかった。
試合を通じた評価と期待
試合の結果、候補者の選択と行動から性格や判断力が評価された。竜馬の意図した選考基準は試合前の言動や対戦中の行動に表れた。また、スライムの実力が候補者との比較を際立たせ、大人たちは竜馬の将来に期待と若干の不安を抱いたまま試験の続きを見守った。
5章 24話 元剣闘士と奴隷商の真意
庭での試合開始
竜馬とモールトン商会の中庭で候補者たちの実力審査が行われた。広い庭は試合に適した設計が施され、竜馬はスライムを用いた試合を提案していた。1人目の候補者はスライムとの試合で敗北し、控室に戻ると他の候補者たちから疑問の目が向けられた。
オックス・ロードの思考
敗北した男を見送りながら、オックス・ロードは自らの試合相手である竜馬を観察した。彼は剣闘士としての経験から「人を見る目」を持っており、竜馬の姿勢や気配から只者ではないと感じ取っていた。少年らしからぬ落ち着きと実力を推測しつつも、目の前の試合に集中することを選んだ。
真剣勝負の開始
オックスは竜馬との試合で真剣を使用する許可を得たうえで庭に立った。試合が始まると、彼は鋭い剣技と圧倒的な力で竜馬を攻め立てたが、竜馬もまた鍛えられた技術と冷静な対応でこれを受け流した。激しい攻防が続き、観客たちはその技量の高さに驚嘆した。
オックスの秘技「念力」
試合の最中、オックスは左手を失った代わりに習得した無属性魔法「念力」を駆使し、剣を自在に操った。その技術は彼の執念の賜物であり、竜馬との間合いを絶妙に保ちながら攻撃を繰り出した。しかし、魔力の消耗という弱点があり、彼自身の限界も近づいていた。
モールトンの意図
試合を見守るモールトンは、オックスを竜馬に勧めた理由を語った。彼は竜馬が持つ特異な才能に注目し、オックスのような近い力量を持つ者を傍に置くことで、竜馬がより成長できると考えていた。さらに、モールトン自身の人間観察の趣味が背景にあることも明かされた。
試合の終局と評価
最終的に試合は竜馬の勝利で終わった。オックスの剣技と執念は観客を驚嘆させたが、竜馬の冷静さと対応力が勝敗を分けた。試合後、竜馬とオックスの互いへの評価は高く、観客たちもその実力を改めて実感する結果となった。
5章 25話 察したリョウマ
オックス・ロードの選定
全員の実力審査を終えた竜馬は、護衛役としてオックス・ロードを選んだ。彼の戦闘能力は他の候補者を大きく上回り、その誠実な人柄も評価された。ラインハルトら周囲の者たちも満場一致で彼の選定に賛同した。オックスは借金奴隷であったが、試合後の治療を受けた後、既に荷物の準備を終えていた。
オレストとの別れ
支払いを済ませた竜馬は、オックスを連れて馬車に向かった。その際、モールトン商会の会頭オレストが別れ際に竜馬へ宣伝用のパンフレットを手渡した。彼の飄々とした態度に竜馬は苦笑しつつも、今後の利用を匂わせた言葉で別れを告げた。
馬車内での対話
馬車が出発すると、同行者たちは揃ってため息をつき、オレストとのやり取りがいかに気疲れするものだったかを語った。竜馬はオレストが曲者である一方で悪い人物ではないことを理解しつつも、その巧妙な駆け引きには多少の疲労を感じていた。
オックスへの提案
竜馬はオックスに今後の予定を説明した。まずは護衛役としての役割をフェイから学ぶこと、加えて結婚式場設営の手伝いを依頼した。また、オックスの左手を失った影響で限られる戦闘時間を補うため、持続性のある魔力回復薬の実験への協力を求めた。
魔力回復薬の活用と訓練
竜馬は祖母から得た知識を元に、魔力の少ない獣人族でも長時間戦えるよう持続性魔力回復薬を試作しようとしていた。オックスはその提案に感謝し、訓練を支える新たな希望として協力を快諾した。同時に竜馬はオックスから無詠唱の技術を学ぶことも希望し、双方にとって有益な関係が構築された。
オレストの意図と打算
竜馬はオックスの選定にオレストの影響があったことを感じ取っていた。オレストは奴隷商人として竜馬の状況や能力を見極めたうえで、オックスの持つ特性を竜馬の手に委ねることが最良と判断していたのではないかと推測した。竜馬はその洞察力と策略に感心しつつも、回りくどさに不満を抱いた。
新たなスタート
最終的に、竜馬はオックスと共に新たな関係を築き始めた。オックスは竜馬の厚遇に感謝しつつ、自身の技術と能力をさらに磨くための準備を整えた。竜馬もまた、オックスの潜在能力を最大限に引き出すためのサポートを決意し、彼らの物語は新たな局面を迎えた。
5章 26話 近づく関係
夜の振り返りと過去の質問
竜馬はその夜、奥様を含む5人とのお茶会で一日の出来事を振り返って説明した。オレストについての話題が一段落すると、竜馬は自分の過去に触れるのを避けられていることに気づいたことを皆に伝えた。彼の突然の問いかけに全員が戸惑ったが、竜馬は信頼できる相手には自身の過去の一部を話す用意があると告げた。その後、竜馬はステータスボードを通じて、自身が「賢者の弟子」「武神の弟子」の称号を持つことを明かした。この情報に驚愕した一同は、それが他人に知られると危険であることを竜馬に警告した。
祖父母の偉業
竜馬の祖母である「賢者メーリア」は、薬学と魔法を中心に多くの学問分野で功績を残し、現在でもその名を冠する学派が存在している。一方、祖父の「武神ティガル」は幼少期から圧倒的な武力を誇り、多くの強者に弟子入りして技術を磨き上げた。2人の偉業が語られる中、竜馬は自分が育てられた環境の特異性を再認識し、皆との距離が近づいたように感じた。
豪邸での日常と評判の変化
翌日、竜馬は公爵家での日常に慣れつつあった。使用人たちからも気軽に声をかけられるようになり、その評判は「優しい方」として広がっていた。結婚式の準備や試食会の参加に忙しい日々を送る中で、竜馬は効率的に複数の作業を進めることを決意した。
シュガースクラブの改良実験
竜馬は使用人たちとともに、シュガースクラブの改良実験を開始した。香油の組み合わせを試した前回に続き、今回は材料の質や粒子の細かさを検証し、使用感の向上を目指した。使用人たちは竜馬の指示を受け、各自が観察した結果を記録する作業に取り組んだ。
オックスの魔力回復薬調整
竜馬は同時進行でオックスのための魔力回復薬を調整する準備に入った。まずはオックスの魔力量と技の持続時間を測定し、消費量に見合う薬の配合を探ることが目標であった。ステータスボードを確認したところ、オックスの魔力は「315」であり、戦士としては少ない部類に入ることが判明した。竜馬は慎重に薬の調整を進める方針を立てた。
測定と初回の実験
竜馬はオックスと模擬戦を繰り返し、魔力消費量と持続時間のデータを収集した。この過程で、周囲の実験班がその激しい動きを興味深く見守る一幕もあった。竜馬は後の調整に役立つデータを収集しつつ、オックスとの信頼関係をさらに深めていった。
5章 27話 式場完成
結婚式場の完成と歓声
夕方、ついに結婚式場が完成した。広場や土台は既に整っていたが、この日新たに教会と鐘楼が加わった。教会は小ぶりながらも開放感のある造りで、窓には着色加工された硬化液板が使われ、自然光が新郎新婦を照らす仕組みであった。完成した式場に歓声が上がり、ヒューズら警備員が感謝の意を込めて竜馬を胴上げし始めた。
宴会の誘いと断念
ヒューズらは竜馬を酒場へ誘ったが、メイド長アローネの反対により断念された。式の二日前という特別な夜に羽目を外す予定が含まれていたため、竜馬は参加を辞退。感謝の気持ちは受け取りつつ、彼らを見送り、その場は穏便に収まった。
女性陣の複雑な心境
宴会に向かう夫たちを見送るルルネーゼら女性陣の様子が印象的であった。ルルネーゼは「独身に戻る気はない」と強調しつつも複雑な心境を見せ、竜馬はその心の機微を理解しようと努力したが、深く踏み込むことは控えた。
夜のお茶会での相談
夜のお茶会で、竜馬は自分の過去に関する話題を一段落させた後、逆に自分が手伝えることを問うた。しかし、貴族の間では気軽に頼みごとを口にすることが危険であることを知らされ、慎重に話を進める必要性を感じた。その中でピオロがブラッディースライムの増殖に関心を示し、これを試験的に進める話が浮上した。
ガウナゴ支店の提案
ラインハルトは竜馬にガウナゴへの洗濯屋支店の開設を提案した。地域の衛生環境向上を目的とし、清潔さが疫病予防に役立つとの考えからである。竜馬はこれを快諾し、営業方法について検討する旨を伝えた。
話題の転換と新たな提案
その後の会話は竜馬への支援の方向へと転じ、冒険者向けの新道具の提供や食糧問題への協力など、仲間たちからの提案が相次いだ。竜馬は感謝しつつ、自身が他者を支える話が逸れてしまったことに苦笑し、温かく受け入れる姿勢を見せた。
5章 28話 タイミング悪く……
スライムの進化と発見
朝、竜馬はスティッキースライムの一匹が進化し、ラテックススライムになっていたことに歓喜した。このスライムの体液は天然ゴムの原料であるラテックスのようで、これを利用してゴムが作れる可能性が示唆された。しかし進化の過程で能力が大幅に変化し、一部のスキルが消失していたため、さらなる研究が必要と判断された。
朝食の席とスライムの話題
朝食の席で竜馬はスライムの進化について話した。セルジュが「グヮム」という素材を引き合いに出し、それがゴムと似たものである可能性が浮上した。グヮムは南大陸で重要視されているが、この大陸では用途が限られ、加工技術が進んでいないため有用性が発揮されていないという情報が得られた。
避妊具としてのグヮムと南大陸の文化
食後、セルジュはグヮムが南大陸では避妊具として用いられていることを竜馬に伝えた。性に寛容な南大陸の文化では、性病予防や避妊が重要視されており、グヮム製品は人体に安全で優れた素材とされていた。この話を受け、竜馬はラテックススライムの粘液からゴムを作る実験を進めることを決意した。
結婚式場の異変と対応
結婚式場の池が悪臭を放ち赤く染まるという異変が発生した。原因は「ドグブラム」という水草の急激な増殖であり、水を抜き草を取り除くには5日間が必要とされた。この問題に対し、竜馬はスライムを用いる方法を提案。キングスカベンジャースライムを投入し、湖の水や汚れを吸収させることで、迅速な解決を目指した。
作業の進行と決意
竜馬の提案により、湖の浄化作業が始まり、スライムたちは順調に水草と水を処理した。上流や下流の水源も対応することで、結婚式の実施に間に合わせる段取りが整った。竜馬は研究を一時中断し、結婚式場の問題解決に全力を注ぐことを決め、作業は夜遅くまで続けられた。
特別書き下ろし・記者会見を控えて
主任の思い出話と大家健二との出会い
田淵は浦見の家で大家たちと飲み会を楽しんでいた。その最中、大家の息子である健二が訪れ、父の帰宅を促した。健二は名刺を差し出し、自身が有名企業の代表取締役社長であることを明かした。彼との会話の中で、馬場が健二の会社に職を得られなかったことが判明し、田淵は不安に駆られた。
馬場の就職問題と記者会見への不安
健二の話から、馬場が未だ再就職先を見つけられていない可能性が浮上した。田淵は、馬場が記者会見で課長の職務に関する責任を押し付けられている現状を知り、何か起こるのではないかと心配し、急ぎ会社へ向かう決意を固めた。
社長の助けと会社への急行
健二は自ら車を出し、田淵を会社へ送る申し出をした。浦見も同行し、三人でアパートを出発した。田淵の頭には、馬場が「ちょうどいい」と呟いた言葉が繰り返されており、不安が募っていた。
馬場の覚悟と記者会見前の独白
一方、馬場は記者会見前に独り台本を手にし、窓の外を見つめていた。過去の思い出を振り返りながら、自身の最後の仕事を全うする決意を固めていた。控え室へ向かう直前、同僚の三谷に対しても静かな覚悟を示し、会見への準備を進めた。馬場の瞳には揺るぎない決意が宿っていた。
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