どんな本?
『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる7』は、未来人A氏によるライトノベルシリーズの第7巻。
本作は、異世界に転生した主人公アルス・ローベントが、人や物の情報を見抜く「鑑定スキル」を駆使し、弱小領地を最強の領地へと成長させる物語。
第7巻では、アルスが集めた有能な人材と共に、領地の発展や戦局の変化に対応する姿が描かれている。
特に、飛行船の開発成功など、戦争のあり方を変える革新的な出来事が物語の鍵となっている。
本シリーズは、講談社のKラノベブックスから刊行されており、第7巻は2024年10月2日に発売された。 また、コミカライズやアニメ化もされており、多方面で人気を博している作品である。
読んだ本のタイトル
転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 7 ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~
著者:未来人A 氏
イラスト:JIMMY 氏
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あらすじ・内容
ローベント家の若き当主・アルス。
転生者であるアルスは、「鑑定」という特別なスキルを使い
出自や年齢を問わず有能な人材を集め、重用していた。
その結果戦況を左右するほどの勢力となったローベント家だが、
アルスの力を危惧した敵方により暗殺者の凶刃を受けるも、
生命の危機から脱することができ、静養に努めていた。
そんな中で、スカウトし資金援助していたシン・セイマーロから
飛行船の開発に成功したと報せが入る。
それは、戦争のあり方を変えるすさまじい威力を発揮して――!
感想
『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる7』は、ローベント家の若き当主アルスが、自身を暗殺しようとした隣領サイツ州へ報復として侵略を行う姿を描いた巻である。
この巻で特に印象的なのは、シンが開発した飛行船という革新的な兵器の登場によって戦争のあり方が一変する点である。
高空からの攻撃を可能とする飛行船の圧倒的な威力が、新たな緊張感と迫力を物語に与え、アルスのこれまでの努力と戦略が実を結んだと感じさせる展開であった。
また、彼が仲間を信頼し、それぞれの能力を最大限に活かしていく姿勢には感動を覚える。
ただし、物語の進行がビジュアル表現(漫画)を前提としているためか、登場人物が会話を交わす場面では、誰が話しているのか分かりづらい点が散見される。
また、地名が列挙される場面では、具体的な方向性や位置関係がわかりにくいこともあった。
さらに、スキルの描写がゲーム的な表現であるため、まるでゲームのシナリオを読んでいるような印象を受けた。
最後までお読み頂きありがとうございます。
同シリーズ
小説
漫画版
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その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
プロローグ
サイツ州の戦略会議
• 軍議の開始
サイツ州の州都ペンドラの中心にそびえるペンドラ城最上階にて、サイツ州の有力な貴族たちが一堂に会して軍議が開かれていた。その中には、カナレ郡攻略を任されていたボロッツ・ヘイガントも出席していた。主催者であるサイツ総督アシュド・リンドヴァルが登場し、会議が始まった。
• ボロッツの報告と暗殺の失敗
アシュド総督の指示により、ボロッツが現状報告を行った。彼はカナレ郡攻略とアルス・ローベント暗殺の両方に失敗し、今後は警戒されて暗殺がさらに困難になることを述べた。アシュド総督はアルスを手強い敵と評価し、その実力に対して冷静に判断を下していた。
• ミーシアン州の動きと警戒
ラダス・キーシアスが、ミーシアン州が各領地で兵を増やしていることを報告し、総督クランがサイツ州を警戒している可能性を指摘した。彼は、ミーシアンの軍拡が防衛のみならず、近いうちに攻勢を仕掛けてくる兆しと判断していた。
• サイツ州の物資不足と地理的制約
ラダスは、サイツ州がミーシアン州に比べ物資も兵力も不足している現状を説明した。ミーシアン州は豊かな平地と温暖な気候を持ち、農作物の生産が盛んであるのに対し、サイツ州は山地が多く、農業に不向きな土地が多いため、物資供給が乏しかった。
• 士気の低下と不安
ミーシアンがカナレ郡と連携して攻めてきた場合、サイツ州兵の士気が下がる恐れがあると貴族たちは懸念していた。アシュド総督はこれに対し、事態を予見し対策を講じていたと説明した。
パラダイル州との同盟
• 同盟の成功発表
アシュド総督は、サイツ州がパラダイル州との同盟を結んだことを発表した。パラダイル州は小規模ながらも強力な兵を持ち、隣接するサイツ州とミーシアン州の両方に対して戦略的な位置にあったため、同盟は貴族たちにとって大きな歓喜のもととなった。
• 攻勢の提案と作戦の立案
貴族たちがパラダイルの戦力を防衛に使うと考える中、アシュド総督はその意見を否定し、パラダイルからミーシアン州に攻め込むという攻勢を提案した。彼は、パラダイルからの奇襲によりミーシアンの城を攻略できる可能性を示唆し、貴族たちを鼓舞した。
• 軍師ラダスの賛同と戦略の補強
軍師ラダスも、この同盟が永続的でない可能性を指摘し、同盟があるうちに攻勢に出るのが理に適っていると賛同した。これにより、全員がアシュド総督の戦略に同意し、サイツ州の次の行動としてパラダイル州からの奇襲を軸にした攻撃計画が固まった。
軍議の終了と準備の開始
軍議の最後にアシュド総督は、全員に戦の準備を始めるよう命じ、会議を締めくくった。
第一章 飛行船完成
飛行船開発の成功と初飛行
• 飛行船の完成報告
アルス・ローベントは、飛行船の完成報告を受けて急ぎ技術者シン・セイマーロの工房に向かった。同行したのはリーツ、ロセル、リシア、シャーロットである。シンが迎え、完成した飛行船を披露した。今回は中型サイズで15人が乗れる仕様となり、従来の試作機を超える性能を備えていた。
• 飛行船のスペック説明
シンは飛行船の特徴として、馬並みの速度や少量の魔力水で稼働できる優れた燃費を説明した。また、飛行高度は小さな山を越える程度であり、軍事輸送や戦闘利用にも適していると語った。ロセルはその利便性から敵に対する高高度攻撃が可能だと評価した。
• 初飛行と乗船準備
リシアの要望に応じて試乗が決まり、船内に乗り込むこととなった。ロセルは高所を恐れていたが、シンとシャーロットの説得により乗船を決意した。シンは準備を整え、全員が船に乗り込んだ。
飛行と性能確認
• 浮上と飛行開始
シンの指示により天井が開かれ、飛行船が浮上を開始した。船は順調に高度を上げ、周囲の景色が見渡せる位置まで到達した。リシアとシャーロットはその高さに感動し、リーツは飛行船の安全性と戦略的利点を確認した。
• 船内での移動と速度試験
飛行船は全速力で移動を開始した。速度が増すと外気が冷たくなるため、一同は船内に移動し、シンから飛行船の動力原理について説明を受けた。シンによると、風の魔力水が船を推進し、速度向上にはエナンの発明が寄与したとのことであった。
飛行船の運用可能性と今後の展望
• 運用の可能性と改良の余地
飛行船の試運転を経て、アルスとリーツは今後の製造計画を議論した。リーツは複数隻の飛行船を作ることの価値を強調し、軍事的な優位性を見出した。シンも、さらなる改良の余地があるため、新しい造船所の設立が必要と考えていた。
• 造船所の建設計画
アルスは飛行船の量産を実現するため、造船所の建設と運用方法の検討を提案した。この提案に対し、シンとリーツも賛成し、造船所設立に向けて関係者を集めた議論を行うことを決定した。
飛行船運用に関する会議
• 会議の開催と家臣の出席
カナレ城にて飛行船に関する会議が開かれた。出席者にはカナレ城の家臣のほか、ランベルクから戻ったミレーユ、補佐役のフジミヤ三兄弟、技術者シンが含まれていた。ミレーユはアルスの体調を気遣い、久々の会話が交わされた。
• 飛行船の運用方法の議論
飛行船の最初の運用として、リーツはカナレの防御を強化する軍事用に活用すべきと提案した。サイツと接するカナレの防備を固め、敵軍に対する空からの魔法攻撃で優位を確保できるとの見解が示され、家臣たちも賛同した。シンも軍事運用を前提に一部改造が必要であると述べた。
造船所建設の提案
• 造船所の建設計画
飛行船の増産に向けて造船所の建設が必要と判断された。カナレの町中ではスペースが不足するため、少し離れた場所に大規模な施設を建てる計画が立てられた。飛行船の運用には風の魔力水が必要であり、資金的な負担が大きくなることが予想された。
• 資金援助の提案
リシアは、資金援助をクランに依頼する案を提案した。クランはセンプラーやアルカンテスの領主であり、サマフォース随一の富を持つため、飛行船の魅力を伝えれば興味を持つ可能性があると考えられた。
サイツとパラダイルの同盟の報告
• 緊急報告
会議中にクランからの書状が届き、サイツとパラダイルが同盟を結び、ミーシアン北側からの侵攻が始まったとの報告があった。ルンド郡がすでに攻撃を受けており、クランは軍議での対応決定までカナレの防備を固めるよう指示を出した。
• 戦力と戦略の懸念
リーツはサイツとパラダイルの同盟により、ミーシアンが二州を相手にするのは不利であると指摘した。ミレーユや他の家臣も驚愕し、ルンド郡が防備の薄い状態で攻撃される危険性を懸念した。
防備の強化と戦への備え
• カナレの防衛と飛行船の準備
アルスは、現時点でサイツへの攻撃は不可能であり、カナレの防備を強化することに専念すべきと結論づけた。また、シンには飛行船を早急に戦闘用に改造し、戦時に対応できるよう準備を指示した。
アルカンテス城での緊急軍議
• 状況確認とパラダイル・サイツ同盟の脅威
クランはアルカンテス城にて緊急軍議を招集し、軍師リーマスや右腕のロビンソンをはじめ、近隣の領地を治める貴族たちが集まった。リーマスは、サイツ総督アシュドとパラダイルが手を組んだことについて、「サイツ総督の手腕とパラダイルのミーシアンへの恨みが要因であろう」と見解を示した。クランは独立宣言に後悔はないと述べ、状況に対処する意向を示した。
• ルンド郡の危機と援軍の検討
クランとリーマスは、パラダイル・サイツ連合によるルンド郡への侵攻が想定外の早さで進行していることを認識した。ルンド郡の防備が薄いため単独での防衛は困難であり、援軍の到着が間に合わない可能性が高いと指摘された。クランはルンド郡が落とされても、後に取り返すための戦力を整備することを決定した。
アンセル州の動向と警戒
• アンセル州の情勢
クランは、隣接するアンセル州の動向について確認を求めた。ロビンソンによれば、アンセルは内政の混乱とローファイル州の脅威により、軍事的な統一行動が取れない状況であった。アンセルの貴族が個別に動く可能性を懸念しつつも、大規模な援軍が送られることはなさそうだと判断された。
カナレ郡の運用方法について
• カナレ郡への待機指示
クランはカナレの防備を固めるべきとの方針を示した。ロビンソンは、カナレがサイツ州に陽動のため攻め込む案を提案したが、リーマスは効果が薄いと反対した。クランもサイツに対するカナレの恐怖心が陽動に十分な影響を及ぼすかを疑問視し、カナレの侵攻には消極的であった。
• 実際の攻勢案
リーマスは、陽動ではなくカナレ郡が実際にサイツ州へ攻勢に出る案を提示した。城を攻略すれば、サイツも防衛のため兵力を戻さざるを得なくなる可能性があると主張したが、クランは城攻めのリスクとカナレの兵力を懸念し、慎重に判断する必要があるとした。
援軍の派遣と戦力の確保
• 援軍の規模と傭兵団の提案
ロビンソンは、メイトロー傭兵団を含む一万五千の兵を援軍としてカナレに派遣する案を提案した。メイトロー傭兵団は攻撃に強く、カナレと共闘の経験も豊富であり、攻城戦での役立つと考えられた。リーマスもこの提案に賛同し、カナレの進軍が成功する可能性を高めるものと評価した。
• クランの最終判断
クランは熟慮の末、ローベント家にサイツ州への侵攻を命じ、その援軍として一万五千の兵とメイトロー傭兵団を派遣する決定を下した。
第二章 プルレード砦攻略戦
サイツ州侵攻命令と対応
• クランからの命令と侵攻準備
クランから届いた書状で、サイツ州への侵攻命令が伝えられた。理由として、サイツ州の兵が手薄であること、城を落とすことでサイツがミーシアン侵攻の兵力を一部引き上げざるを得ないこと、そしてカナレの軍が短期間で城攻めを成功させる能力を持つことが挙げられていた。カナレ側には援軍として一万五千の兵とメイトロー傭兵団が到着予定で、総勢二万五千人の兵力でサイツへの攻勢を行うこととなった。
• 軍議での意見交換
家臣たちが緊急召集され、サイツ攻略の戦略について議論が行われた。ミレーユは侵攻に賛成し、クランの判断を評価したが、ロセルは不安を示し、サイツが全兵を引き上げるかどうか疑問視した。ミレーユは、敵がカナレを恐れて兵を戻す可能性に言及し、サイツが分散せざるを得ない状況を作るべきと主張した。
プルレード郡の攻略戦略
• 飛行船の活用について
プルレード郡の堅牢な砦やオーロス城の存在が防衛の鍵であると判明。シャーロットの提案で、飛行船をプルレード砦上空に浮かべることで、敵の攻撃を防ぎつつ降伏を促す作戦が検討された。ただし、飛行船には長距離飛行の限界があり、直接プルレード砦までの航行は難しいと判断された。
• 即席砦の建築と輸送計画
カナレとプルレード砦の中間地点に即席の砦を建設し、そこから飛行船を飛ばす戦略が立てられた。急造の砦はリーツの指示で築城部隊が行うこととなり、シャーロット率いる魔法部隊が魔法を用いて支援した。敵が建築妨害を試みた場合、迎撃の準備も整えられた。
飛行船と役割分担の詳細
• 飛行船の改装と輸送体制
飛行船は今月中に攻撃用への改装が完了予定であり、メイトロー傭兵団の到着に合わせて使用可能になる見込みであった。飛行船の輸送は、敵の破壊工作を警戒し、シャドーとブラッハム部隊が護衛を担当することとした。敵の妨害に備え、腕利きの兵士を配置し、安全な輸送を図る方針が取られた。
• 撤退判断の基準
カナレの砦建築が敵の大軍による妨害を受け、プルレード砦が落とせない状況になった場合は、素早く撤退することでカナレの安全を優先する戦略も確認された。最悪の場合、クランの意向に従う形で守備を固める方針とし、軍議は終了した。
カナレ郡の戦力増強と出陣準備
• 援軍到着と飛行船への関心
クランの援軍がカナレ郡に到着し、メイトロー傭兵団も参戦した。傭兵団は以前よりも人員が増え、装備も強化されており、カナレ防衛戦での報酬を活かして戦力を増強した様子だった。団長クラマントは飛行船の存在に驚き、強い興味を示して購入の意向も表明した。リーツは戦略の説明を行い、クラマントは砦建築を妨害しに来る敵の迎撃役を理解した。
• サイツ州侵攻の決定と目的
カナレの進攻は、サイツ軍をミーシアンから撤退させるためであり、現在ルンド郡が攻撃を受けて戦況が悪化していることから、早急な行動が求められた。プルレード砦の攻略戦が開始され、リーツが全軍の指揮を任され、アルスは後方のクメール砦で待機して指示を行った。
プルレード砦とヘイネの丘の攻防戦
• 築城の準備とヘイネの丘への進軍
リーツとクラマントは、プルレード砦とクメール砦の中間地点にあるヘイネの丘に砦を建てる計画を実行に移した。進軍の途中、敵が動かずクラックスの丘で防御を固めたため、リーツは予定通りヘイネの丘に進軍し、砦の建設を優先した。築城が完了すれば、カナレ軍が有利に立てると見込まれた。
• プルレード砦の籠城策と飛行船に対する認識
一方、プルレード砦の郡長バースは、カナレの進攻に動揺しながらも、家臣たちの提案で籠城を決定した。敵の飛行船についての情報も得ていたが、脅威とは考えず、魔法で撃ち落とせるだろうと判断した。
砦の建築と飛行船の配置
• ヘイネの丘での砦建築
リーツは到着後、土魔法を用いて砦の建設を開始した。シャーロットや他の魔法兵たちが魔力水を効率的に使い、高い防壁を短期間で築き上げていった。敵軍の妨害もあったが、リーツたちは素早く対応し、砦の建築を進行させた。
• 砦の完成と飛行船の準備
建設開始から五日目には、完成間近となる立派な砦が築かれ、飛行船の到着に備えて準備が整った。リーツはクメール砦に伝令を送り、飛行船と共に本格的な攻勢に備える体制が整った。
飛行船の輸送とカナレ郡の出陣準備
• 飛行船の輸送準備と出陣
クメール砦にて、カナレ軍の当主が飛行船の輸送準備を進めていた。リーツから砦完成の報告を受け、精鋭部隊ブラッハム隊とシャドーが飛行船を護衛しつつ砦へ向かう手筈が整った。当主自身も同行することとなり、リシアにローベント家の城運営を託して出陣した。シンも飛行船の操縦担当として同行し、緊張しながらも戦に加わる覚悟を見せた。
• 別れの挨拶と出陣
リシアは不安を抱えつつ当主を見送り、当主も彼女に再会を誓って砦へ向かった。
プルレード砦の防衛態勢と飛行船に対する警戒
• 砦完成報告とプルレード側の警戒
一方、プルレード砦の郡長バースはカナレがヘイネの丘に短期間で砦を築いたことに驚愕していた。クラックスの丘に布陣している自軍に防衛を厳命し、カナレ軍が飛行船を砦へ運び込むとの報告を受けると、飛行船の潜在能力を危惧し、密偵を集めて破壊工作を指示した。
飛行船輸送中の攻撃と警戒
• 進軍中の妨害と対応
カナレ軍が飛行船を輸送する中、遠距離からの火矢攻撃を受けたが、護衛のファムが素早く撃ち落とし、進軍に影響はなかった。サイツからの密偵を見つけて拘束した際、密偵が触媒機を使おうとしたため、ブラッハムが即座に対処し、破壊工作は阻止された。その後も小規模な破壊工作が続いたが、ブラッハム隊とシャドーの働きで全て防ぎ、飛行船は無事に砦へ到着した。
飛行船到着後の軍議と戦略検討
• 砦到着と戦略会議
飛行船が無傷で砦に到着し、当主や家臣たちはミレーユの主導で戦略会議を開始した。クラックスの丘には五千の敵兵が布陣し、防壁や触媒機で守りを固めている一方、オーロス城は動きを見せていなかった。リーツは飛行船の試運転としてクラックスの丘での使用を提案したが、当主はプルレード砦攻略での使用を希望した。ロセルも飛行船による防御崩しを提案し、他の家臣も同意した。
• ロセルの提案と部隊分割
ロセルはクラックスの丘の兵を直接攻撃せず、足止め部隊とプルレード砦攻撃部隊に分ける作戦を提案した。足止め部隊をクラックスに置きつつ、主力でプルレード砦を包囲することで、敵の連携を阻止し、砦攻略を迅速に行うことを狙った。飛行船を用いることでプルレード砦への効果的な攻撃が期待できると判断され、最終的にロセルの案が採用された。
プルレード砦攻略への進軍とクラックスの丘の防衛
• 進軍開始と飛行船の準備
戦略が決まると、リーツを先頭に部隊が進軍し、クラックスの丘の兵を足止めする部隊は街道に配置された。飛行船は進軍速度に合わせて飛ばし、予定通りプルレード砦上空からの攻撃を準備した。飛行船にはシャーロットが乗り、爆発魔法での攻撃が計画されていた。
• クラックスの丘の敵部隊の動向
クラックスの丘を守るケルビム・クランパーは、カナレ軍が二手に分かれたことを確認し、数で劣る自軍の野戦を避け、クラックスの丘を死守する方針をとった。飛行船の出現に対して警戒を強めたが、現状では動けない状況であり、プルレード砦の堅牢さに期待して布陣を固め続けた。
飛行船による砦攻撃と新たな戦法
• 飛行船内の準備と出発
飛行船に乗り込んだシャーロットとシンは、プルレード砦に向かう道中、シンが不安を抱えつつも高度を保って安全に進むことを最優先にしていた。飛行船の改善について思案しつつ、二日後、無事に砦上空に到達した。
• 砦への攻撃開始
プルレード砦に到着した飛行船は、高度によって砦の攻撃を完全に回避しながら、一方的に攻撃する体制を整えた。シャーロットの爆発魔法が砦の対魔法防壁と魔法塔を破壊し、砦全体に大きな損害を与えた。シンとシャーロットの活躍により、敵の守りは大きく崩れた。
砦防衛の崩壊とカナレ軍の突入
• 砦内の混乱とバースの動揺
プルレード砦では、郡長バースが飛行船の攻撃に為す術もなく狼狽していた。爆発魔法により砦の防御が崩壊し、砦内の兵士たちもパニックに陥った。バースは指揮をとろうとするも、混乱が激しく、家臣に避難を勧められた末に地下に退避しようとしたが、階段で転倒して意識を失った。
• カナレ軍の突入と砦の陥落
飛行船の攻撃により砦の防御機能が失われたため、カナレ軍は容易に突入し、砦内を制圧した。混乱の中、バースも捕らえられ、プルレード砦は速やかにカナレの手に落ちた。
降伏交渉とバースの決断
• バースとの対話と説得
捕らえられたバースに対し、カナレ郡長アルスは降伏の意を示すよう説得を試みた。リーツとミレーユも加わり、カナレの攻撃が無駄な犠牲を増やすだけだと理解させるために交渉を進めた。
• ミレーユの圧迫とバースの動揺
ミレーユが飛行船による圧倒的な戦力を示し、オーロス城やクラックスの丘も同様に攻撃を受ければ無益な犠牲が増えることを強調した。彼女の言葉に圧倒されたバースは、カナレ軍の戦略に屈服し、ついに降伏を決断した。
結果と次なる準備
• 降伏宣言と戦後処理
バースはカナレ軍の意向に従い、オーロス城とクラックスの丘にいるサイツ軍兵士に降伏を命じることに同意した。カナレ軍は戦後の処理とさらなる戦備を整え、次なる進軍への体制を強化していった。
プルレード郡の制圧と降伏勧告
• 降伏勧告とクラックスの丘、オーロス城の対応
プルレード砦を制圧後、バースに書状を用意させ、オーロス城とクラックスの丘の兵士たちに降伏を勧告する使者を送った。クラックスの丘の兵士たちは指示通りに即座に降伏したが、オーロス城は一度の書状では応じず、何度かの勧告を経て最終的に降伏に至った。こうしてプルレード郡の主要な防衛拠点が陥落し、郡全体の制圧が完了した。
祝勝会の開催
• プルレード砦での祝勝会
プルレード砦の制圧を祝して、兵士たちの士気を高めるため祝勝会が開催された。砦の補修が終わっていないため、不安の声もあったが、一時の息抜きとして行うことが決まった。食事や酒が振る舞われ、久々の本格的な食事を兵士たちは喜んでいた。アルスは未成年であるため、酒は控え、リシアの身を案じながら祝勝会に参加した。
• ミレーユとファムの行動
ミレーユは祝勝会で早々に酔い、場を盛り上げる一方で手がつけられない様子だった。また、ファムは毒見を行い、アルスの身を案じて料理の安全確認を行った。祝勝会では飛行船やアンザーキという生物の肉なども話題になり、兵士たちが新しい経験を楽しむ場となった。
各人物の反応と会話
• クラマント、シン、シャーロットとの会話
クラマントは飛行船の兵器としての価値を評価し、購入の意向を示した。また、飛行船の開発者であるシンは祝勝会に参加し、シャーロットと共に飛行船の活躍を誇らしく思っていた。シャーロットはさらに自分用の飛行船を要求し、シンはその無茶な提案に戸惑っていた。
• 兵士たちの興味と飛行船の人気
兵士のブラッハムやフジミヤ三兄弟は飛行船に乗ることを希望し、将来の搭乗をアルスに頼んで喜んでいた。飛行船の話題は兵士たちの興味を引き、軍内での人気が高まっている様子がうかがえた。
アルカンテス城での対応
• ルンド郡陥落とサイツ・パラダイル連合軍の動き
アルカンテス城のクランは、ルンド郡の陥落を受け、状況を見守りながら今後の戦略を練っていた。連合軍の動きがアルカンテスに迫ればクラン自身が指揮をとる構えだったが、マサ郡への侵攻が優先される可能性が高いと分析していた。クランはサイツ軍がマサ郡を陥落させれば、カナレ郡への二面攻撃が可能となり、さらに厳しい状況に陥る可能性を懸念していた。
サイツ州総督アシュドの反応
• プルレード郡の制圧報告と対応
サイツ州総督アシュドはプルレード郡の陥落報告を受け、事実確認を指示した。数日後、郡が実際に落とされていたことが判明し、サイツ軍の撤退が決定された。アシュドはさらに飛行船の威力とその脅威を認識し、サイツ州内の防衛体制を強化するため、部隊の再配置を行うことにした。
• パラダイルとの協議とルンド城の対応
パラダイル州からの援軍を指揮していたバンバは、ルンド城を放棄せずに守ることを要求し、サイツ軍との協議が行われた。協議の末、サイツ軍はルンド城に一部兵を残し、残りはサイツ州内の防衛とプルレード郡の奪還のため撤退することが決定した。
• サイツ州への再編成
アシュドはサイツ州に戻り、残存兵力を再編成して防衛体制を整え、今後のプルレード郡奪還の計画に備えた。
リシアの帰還とカナレ城の様子
• 城に戻るリシア
アルスの出陣を見届けた後、リシアはカナレ城へ戻った。城内はアルスや家臣たちが戦に出て行ったため、普段より静かで、リシアは寂しげな表情を浮かべていた。城にはまだ幼いレンとクライツが残っており、リシアを出迎えた。
レンとの交流
• 勉強と会話
リシアはレンの頼みを快く引き受け、二人で地理の勉強を始めた。レンはカナレの町や飛行船について興味を示し、リシアが帝都の様子や飛行船に乗った経験を話すと、レンは目を輝かせて聞き入っていた。レンは戦の早い終結を願い、アルスたちの無事を待ち望んでいる様子であった。
クライツの訓練と励まし
• 過酷な訓練の様子
勉強が終わるころ、クライツがまだ訓練から戻っていないことに気づいたリシアは、訓練場へ様子を見に行った。そこで彼が限界まで木剣を振り続けている姿を目にする。クライツは戦に出られなかった悔しさを抱えており、涙を浮かべながら「もっと強くなりたい」と訴えた。
• リシアの助言と手当て
クライツの手はすでに傷ついており、リシアは彼の手を優しく手当てしながら、闇雲な訓練ではなく、休息も必要であることを伝えた。リシアの助言にクライツは納得し、努力を続けながらも焦らず成長することを誓った。
三人の団らんと夜の時間
• 叱られるクライツと夕食
部屋に戻ると、レンがクライツを心配し、怪我をしたことに対して叱った。クライツはシュンとしながら謝り、三人で食事をとり、夜はおしゃべりや遊びで楽しい時間を過ごした。
• 一緒に眠る提案
夜になると、レンがリシアと一緒に寝たいと頼み、クライツもそれに加わった。三人でアルスとリシアの寝室に向かい、リシアを挟むようにして眠った。レンは戦場にいるアルスたちの無事を心配していたが、リシアは自分の不安を押し殺しながら、アルスが信頼する仲間たちがいるから大丈夫だと励ました。
アルスからの手紙
• 戦勝報告
数日後、アルスからの手紙が届き、飛行船を用いた作戦が成功し、プルレード砦を攻略できたとの報告がなされた。リシアは喜びの表情で手紙を読み、すぐに返答の手紙を準備してアルスに思いを伝えた。
第三章 クアット郡攻略
ルンド城奪還計画とクアット城への進軍
• ルンド城奪還の準備
クランはサイツ軍の撤退を受け、ルンド城奪還を決断した。サイツ軍の防衛が手薄になったことで、彼は追加の援軍二万人をプルレード郡に送りつつ、カナレに対してクアット城への進攻指示を出した。クランは飛行船の利点を活かし、敵が対策を整える前に攻勢に出ることが重要だと考えた。しかし、ルンド城のバンバの指揮により、クラン軍は苦戦を強いられることとなった。
ルンド城の軍議
• バンバの戦略
ルンド城では、バンバとサイツの将ボロッツが防衛の策を練っていた。貴族たちが効果的な策を出せない中、バンバは新兵器「爆殺龍石」の使用を提案し、敵に新たな驚異を与えることを決意した。彼の新兵器は、火薬と炎の魔力水を組み合わせたもので、投石が爆発を引き起こす仕組みであった。
ルンド城奪還戦の開始
• カタパルトの活用と爆殺龍石の威力
クラン軍はルンド城に進軍するが、城壁に配置されたカタパルトからの投石が爆発し、前衛の兵士たちは甚大な被害を受けた。予想外の爆発による混乱と恐怖が広がり、クランは撤退を余儀なくされた。バンバは自信満々に「爆殺龍石」の効果を確認し、次の戦いでも優位に立てると考えていた。
ミーシアン軍の再度の挑戦
• クラン軍の対策と再進軍
クランは再び進軍し、兵士同士の距離を広げて爆発の対策を講じた。防御を強化しつつ、慎重に進むことで爆発の影響を抑えようとしたが、それでも被害は続き、戦場は混乱状態に陥った。最終的に、クランは再び撤退することを選んだ。
バンバの撤退決定
• 戦略的撤退の決断
バンバは、爆殺龍石の在庫が減少していることに気づき、勝機を見出せないと判断して撤退を決定した。彼の新兵器も効果を発揮したが、ミーシアン軍の対応が迅速であったため、期待通りの成果を上げることができなかった。サイツ軍のボロッツは時間稼ぎのために城を守る意向を示し、クラン軍の進攻を遅らせようとした。
ルンド城の奪還成功とクアット郡への指示
• ルンド城奪還の成功
クランはボロッツ率いるサイツ軍を押し返し、ルンド城の奪還に成功した。プルレード砦で待機していたアルスには、クランからクアット郡への進攻指示が届き、状況を優位に進めるべく新たな戦略が求められた。
クアット郡への進攻準備
• クアット城攻略に向けた戦略
プルレード砦での防衛態勢を整えた後、アルスたちはクアット郡に向けて軍議を開き、クランの指示に従って準備を整えた。まずソーカン砦の攻略が必要とされ、飛行船を駆使して砦を攻撃する計画を立てた。ロセルやミレーユらは敵の動きを分析し、飛行船を使った野戦や攻城戦での対応策を検討した。
サイツ総督アシュドの撤退とプルレード郡の状況確認
• アシュドの撤退と戦力確認
サイツ総督のアシュドはルンド城から撤退後、迅速にクアット城に戻り、プルレード郡奪還のための戦力を確認した。カナレと協力することで、敵の兵力は五万に達していた。アシュドはプルレード砦を攻略するにしても、飛行船の存在が障害になると判断し、消耗戦を避け慎重な進軍を計画した。
• ルンド城の戦況
ルンド城でパラダイル将のバンバが新兵器を使用し奮闘していたものの、守りにくい城であり戦況は厳しかった。アシュドは、状況が悪化すればボロッツに即時撤退を指示した。
飛行船対策の検討と守備強化
• 飛行船への対策案
アシュドは飛行船の爆撃に備え、クアット城の魔法防壁の設定を変更することを検討した。しかし、全体の防御力を強化するには大規模な調整が必要であり、現実的に上空からの攻撃を防ぐのは難しいと判断した。アシュドは地上で飛行船を破壊する機会を狙い、間者を送り込むよう指示を出した。
ソーカン砦への進攻と敵軍の戦略
• 進攻準備と敵の動向
クアット郡侵攻を開始したミーシアン軍は、ソーカン砦の守備兵が少ないことに疑念を抱き、敵の意図を検討した。参謀リーツは、ソーカン砦を囮にして飛行船の情報収集や破壊を狙う戦略と分析。飛行船の使用について議論が交わされ、リスクを考慮しつつも最終的に飛行船を使用して砦を攻略することに決定した。
ソーカン砦の攻略
• 飛行船と大型触媒機を用いた攻撃
飛行船からの攻撃でソーカン砦の防壁が破壊され、続いて地上からの爆発魔法で側面の防壁も打ち破った。ミーシアン軍は砦への突入を開始し、敵兵を制圧。隠し部屋も捜索し、潜んでいた敵兵を捕らえた。その後、飛行船を安全に着陸させ、厳重に警備を行った。
クランの到着と飛行船の視察
• クランとの再会と飛行船の視察
ソーカン砦攻略後、ミーシアン国王クランが到着し、アルスと再会した。クランは飛行船を視察し、飛行船の開発者シンから性能の説明を受けた。クランは飛行船の将来的な価値を評価し、今後の開発支援を約束した。飛行船が軍事戦略において大きな役割を果たすと考え、軍議を開催した。
クアット城攻略の軍議と進軍準備
• クアット城攻略の計画
クランは大規模な城であるクアット城への攻略を進めるため、軍議を開いた。サイツ総督が兵を集結させたことで、敵兵は多数存在したが、飛行船の存在により城の防御を無力化できると判断された。敵が野戦を挑む場合も、飛行船の上空からの攻撃で優位に立つ戦略が決定した。
• 進軍開始と敵の野戦布陣
クランは全軍で街道を突破する戦術を採用し、進軍を開始した。街道や山道など要所に敵が布陣していたが、特に街道に集中していた。サイツ軍は大型触媒機を多用し、堅固な守備体制を整えていたが、飛行船でこれを破壊することで戦力を削ぐ作戦が実施された。
飛行船による攻撃と戦闘の展開
• 飛行船での大型触媒機攻撃
クランの指示で、飛行船が低空から敵軍の大型触媒機を攻撃。飛行船は上空からの一方的な攻撃で恐怖を与え、敵軍の統率を乱すことに成功した。敵軍の大型触媒機を20以上破壊し、ミーシアン軍が優位に立った。
• サイツ軍の撤退と罠
サイツ軍の総大将アシュドが前線で兵士を鼓舞し、混乱を立て直すことで激しい抵抗を示した。サイツ軍は撤退しつつ魔法罠を設置しており、追撃したミーシアン軍は罠にかかり、多くの兵を失ったため、クランは追撃を中止。結果として両軍に痛み分けとなったが、クランは飛行船の有効性を高く評価し、増産を決定した。
サイツ軍の撤退とクアット城の陥落
• アシュドの撤退命令
アシュドは、戦況が不利と判断し、クアット城からの撤退を決定した。城内には最低限の兵を残し、ミーシアンに占領させることで、内部に密偵を忍ばせて統治を不安定にし、ミーシアンのさらなる侵攻を防ぐ方針を示した。
• クアット城の陥落
クランはクアット城への進軍を続行し、飛行船で防壁や魔法塔を破壊して突入。敵兵が少なかったため、城は容易に占領された。被害はあったものの、クアット城の陥落によりミーシアンが有利な位置を確保することができた。
戦後の対応と新たな統治体制の確立
• クアット城とプルレード郡の統治開始
クランはミーシアンの新領地であるクアット城とプルレード郡の統治を安定させることを重視し、アルスに飛行船の増産を命じた。また、クアット郡の治安維持と反乱の鎮圧のため、ミレーユとシャドーの精鋭を派遣した。
• 飛行船の増産と国内安定化
ミーシアン全土から職人を集め、飛行船の増産が進み、目標の五隻が完成。これにより、ミーシアンの戦力がさらに強化され、サイツ州への再侵攻の準備が整えられた。
サイツの降伏と和平交渉
• アシュドの和平提案
サイツ総督アシュドは、戦では勝てないと悟り、全面的な降伏に近い形でミーシアンへの従属を申し出た。サイツ州は独立したサイツ王国となり、ミーシアンに従属。占領地プルレード郡とクアット郡は引き続きミーシアンが統治することになり、戦はミーシアンの完全勝利で終結した。
• 降伏後の体制と結婚による同盟強化
和平交渉の結果、サイツ王国の国王には前総督の甥カイルが任命され、サイツの姫とクランの息子の結婚による友好関係が形成された。アシュドは総督の地位から降ろされるにとどまり、今後もサイツ王国内で注意すべき人物とされた。
クアット郡とプルレード郡の領主選定会議
• 領主選定の議題とアルスへの推薦
クランはクアット郡とプルレード郡の新たな領主を選定する会議を開催し、各貴族の意見を求めた。予想外にも、アルス・ローベントが領主として推薦された。貴族の中にはアルスを支援する者もいたが、一部は彼が二郡を統治するのは難しいと見て、意地悪そうな笑みを浮かべていた。最終的に、クランがアルスを適任と判断し、反対意見も出ずに決定が下された。
• アルスの承諾と展望
アルスはクアット郡とプルレード郡の領主として承認され、カナレ郡と合わせて三郡を統治することになった。これにより、ミーシアンでも有数の大領主となり、領地の強化に期待を寄せた。アルスは家臣の支えにより、領地運営を成功させる決意を固めた。
サマフォース帝国の動向とパラダイル州総督の謁見
• パラダイル総督マクファの皇帝への謁見
サマフォース帝国で唯一皇帝に忠誠を誓うパラダイル州の総督マクファは、皇帝に謁見し、ミーシアンの脅威について提言した。ミーシアンの飛行船が新たな脅威であり、征伐軍の編成を他の州総督に促す書状を出すよう依頼した。宰相シャクマはこの提案を受け入れ、各州に書状を送ることを約束した。
• 宰相シャクマの策略
シャクマはミーシアン征伐軍の結成が、アンセル州内の反抗勢力を一掃する好機と捉え、自らの権力を盤石にする狙いで動いた。書状を皇帝に依頼しつつ、反抗者を戦に送り込み排除しようと密かに企んでいた。
キャンシープ州での軍議
• ミーシアン征伐軍への対応とセンプラー港の戦略的価値
キャンシープ州総督トワク・ウモンガスは、ミーシアン征伐軍への参加を決定するため、家臣との軍議を開いた。キャンシープ州は海軍が強力であり、ミーシアンの港湾都市センプラーを手中に収め、交易路を確保する利点を見出していた。トワクは嫡男ルーベルトを合議に派遣することを決定し、ミーシアンとの戦略に慎重に備えた。
シューツ州での軍議
• 征伐軍への参加決定と飛行船対策
シューツ州総督ブラン・ドルマーヌは、ミーシアン征伐軍への参加を決意した。軍師ヴァルト・ロバーツの助言により、シューツ州の戦略上、征伐軍に参加し他州と連携する必要性が強調された。また、技術者ハイネス・ブラウンがミーシアンの飛行船に対抗する兵器を開発できる可能性があると報告され、飛行船への対応策として期待を寄せた。
ローファイル州の軍議
• ミーシアン征伐軍への参加議論
ローファイル州総督セドリック・ブレインドは、皇帝とパラダイル総督からの書状を基に、ミーシアン征伐軍への参加の是非を議論した。貴族たちからは反対の声が多かったが、セドリックはアンセルを油断させるために合議への参加を提案し、その後ミーシアンが消耗すればアンセルを攻め取る戦略を立てた。
• エレノアの提案と参戦意欲
セドリックの娘エレノアは、合議に参加し、さらに自ら軍を率いてミーシアンと戦うべきだと主張した。彼女の提案に貴族たちは驚きつつも賛同し、エレノアが一万の兵を率いて征伐軍に参加することが決定した。彼女の戦績から「戦女神」と称されるエレノアには、信頼が寄せられていた。
• 合議への参加と準備
エレノアが合議に自ら参加し、ミーシアンとの戦に向けての準備を進めることが決まり、軍議は終了した。戦場での活躍を目指すエレノアに対し、兄ガットが反対し心配するも、彼女は自信を持って任務に向かった。
サイツ州の動向
• アシュドの影響力とサイツの動き
サイツ州元総督アシュドは、辺境の町ハーバルの領主として依然として影響力を保っていた。彼は秘密裏に軍議を行い、ミーシアンに従いながらも他州の動向を注視することを決定。サイツがミーシアンから独立する機会を窺い、密偵を各州に派遣し情報収集を強化する方針を定めた。
ミーシアンの戦略
• サイツへの支配強化と飛行船の量産
クランは、ミーシアン内での軍事力を高めるため飛行船の増産を進め、サイツへの支配を強化する方針を固めた。今後の侵攻計画においても飛行船が重要な役割を果たすと期待し、さらなる開発を進めるようシンに投資を行った。
• ローベント家の監視と内部調整
クランは、三郡の領地を得たアルス・ローベントがミーシアン内で影響力を持つことを懸念し、監視役をローベント家に送り込むことを決定。これにより、クランはローベント家の動向を把握しつつ、ミーシアン内部の安定を保つ戦略を取った。
エピローグ
カナレへの帰還と家臣への報告
• 領地獲得の報告と家臣の反応
アルスはアルカンテスからカナレへ戻り、家臣たちにプルレード郡とクアット郡の統治権を得たことを報告した。リーツは新たな責務の大変さを懸念し、リシアはアルスの出世に喜びを示したが、アルスは謀反の疑いを避けるため、冗談でも皇帝になる話を慎むよう釘を刺した。
• 領地運営の準備と軍議の開催
リーツの提案により、家臣たちを緊急召集して軍議が開かれ、新たな二郡の統治について協議が行われた。アルスは飛行船の開発に貢献したシンに感謝しつつ、今後の領地運営について方針を固めた。
新たな代官の選定と配属
• クアット郡の統治者選定
ミレーユがクアット郡の代官に立候補し、自信を見せた。アルスは彼女の野心に一抹の不安を抱きつつも、クランを味方にしているため、謀反の可能性は低いと判断した。また、クアット郡にブラッハム隊を配属し、ミレーユのけん制と治安維持を図った。
• その他の地域への代官配置
プルレード砦にはトーマス、オーロス城にはリクヤ、マイカ、タカオを、ランベルクにはヴァージをそれぞれ代官として派遣した。各代官は役割に応じて適切な補佐を配置し、領地ごとに最適な統治体制を整えた。
カナレでの人材の配置と領地運営の方針
• カナレの要員配置
カナレにはリーツが引き続き政務を担当し、ロセルとシャーロットが留まることになった。シャーロットは領地防衛の最大戦力としてカナレに待機させられた。リーツは他の領地と密な情報交換を行うことになり、アルスも政務の支援を行うことを決意した。
• 人材不足への対応と方針決定
領地が拡大したことで人材が不足しているため、今後は鑑定を活用して有能な人材を慎重に採用する方針を定めた。最終的に領地運営方針を確定し、アルスは家臣たちに努力を呼びかけ、軍議を終了させた。
番外編 休暇
カナレ郡の川でのリフレッシュ
• リフレッシュのための川遊び
カナレ郡での多忙な仕事からの息抜きとして、アルスとローベント家の家臣たちは川でリフレッシュすることにした。リシアの提案により、暑さをしのぐために近くの川へと出かけた。シャーロットが水着姿を披露し、その美しいプロポーションに一瞬見惚れたアルスだったが、リシアの視線に気付き、気まずそうに視線を逸らした。
• 川での水遊びと家臣たちの活動
皆がそれぞれ水着に着替え、川で水遊びを楽しんだ。ロセルは泳ぎが不得意で不安そうにしていたが、アルスが川での遊び方について助言した。リーツは魚を手で捕まえ、珍しいサパトという魚を発見して家臣たちを驚かせた。ムーシャとクライツ、レンも釣りに興じ、それぞれが楽しみながら川でのひとときを満喫した。
リシアとの時間とシャーロットの魔法
• リシアとの静かな時間
アルスとリシアは川岸で二人きりの時間を楽しんだ。リシアはアルスと手をつなぎながら、心地よい川の風に癒されていた。景色の良さも相まって、二人は密かな安らぎの時間を共有し、アルスはリシアとの穏やかなひとときに満足していた。
• シャーロットの突発的な行動
リシアとの静かな瞬間が続く中、シャーロットが魔法を使って魚を一気に捕獲するという騒ぎを起こした。魔法の衝撃で水しぶきが上がり、アルスとリシアがびしょ濡れになるというハプニングが発生。アルスはシャーロットに環境への配慮を促し、魚の捕り方について注意を与えた。
川辺での料理と食事の準備
• 食材の豊富さと料理の準備
釣りで多くの魚が獲れ、ムーシャやリーツが中心となって料理を準備した。ムーシャの料理の腕前が光り、焼いたサパトや魚と貝のスープが用意され、参加者全員が楽しみながら食事を味わった。シャーロットも食欲旺盛であり、余った料理を平らげる勢いで食べ続けた。
• 和やかな会話とシャーロットの発言
シャーロットはムーシャの料理の腕を称賛し、冗談交じりに「嫁にしたい」と言い出してムーシャを照れさせた。家臣たちは食事を楽しみ、川辺でのひとときを満喫していた。
休息と新たな決意
• 休息の夜とリシアとの会話
食事の後、アルスはリシアと共にテントに入り、今日の楽しさを振り返った。彼はリシアと語り合いながら、このような休暇が心身をリフレッシュさせる重要さを感じ、明日以降の仕事に向けて新たな活力を得た。
• 仕事への決意
アルスは今回の休息が自分にとって有意義だったと感じ、忙しい状況が終われば、またこのような時間を持てることを期待しながら、再び仕事に向かう決意を固めて眠りについた。
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