どんな本?
『外れスキル《木の実マスター》 〜スキルの実(食べたら死ぬ)を無限に食べられるようになった件について〜』は、はにゅう氏による異世界ファンタジー小説である。2020年5月から「小説家になろう」で連載が開始され、後に書籍化された。物語は、スキルの実を食べることで得られる能力が存在する世界を舞台に、主人公が一見「外れ」と思われるスキル《木の実マスター》の真の力を発揮し、成長していく姿を描く。
主要キャラクター
• ライト・アンダーウッド:主人公。《木の実マスター》のスキルを持ち、複数のスキルを無制限に追加できる能力に目覚める。
• レーナ・フローリア:ライトの幼なじみで、Sランク冒険者。《剣聖》のスキルを持つ。
• アイラ・ローレンス:鑑定スキルを持つ少女で、ライトと共に行動する。
• モニカ・ボルスト:伝説の鍛冶師で、ライトたちの武器製作を担当する。
• ドラテナ・ベルベッリ:死霊操作スキルを持つ謎の少女。
物語の特徴
本作は、異世界ファンタジーの中で「外れスキル」と見なされる能力を持つ主人公が、その真の力を発揮し、成長していく逆転劇を描く。スキルの実という独特な設定や、予想外の展開、キャラクター同士の絆、スリリングな戦闘シーンが読者を惹きつける要素となっている。また、主人公の努力と成長、仲間との絆が丁寧に描かれており、読者に感動を与える作品である。
出版情報
• 出版社:講談社
• レーベル:Kラノベブックス
• 書籍版発売日:2022年1月(第1巻)
• 既刊:第6巻まで刊行(2024年5月時点)
• 電子書籍版:各電子書籍ストアで配信中
• コミカライズ:『月刊少年シリウス』および『マガジンポケット』で連載中
• アニメ化:2025年1月7日より放送開始予定
本作は、独自の設定とキャラクターの成長を描いた異世界ファンタジー作品。
アニメ化により、さらに多くのファンを獲得することが期待される。
読んだ本のタイトル
外れスキル《木の実マスター》 ~スキルの実(食べたら死ぬ)を無限に食べられるようになった件について~
著者:はにゅう 氏
イラスト:イセ川ヤスタカ 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
史上最高の冒険者を目指す少年、ライト。
彼がスキルの実を食べて手に入れたスキルは木の実栽培特化の外れスキル《木の実マスター》という、冒険者にはとても向かないスキル。
《剣聖》のスキルを得た幼馴染レーナとも別れ、新たな相棒の少女アイラと
農作業に従事する日々を過ごすライトだが、ある日ひょんなことから食べたら死ぬと言われている2つ目のスキルの実を食べてしまう。
苦しみながらも助かったライトは、外れスキルだったはずの《木の実マスター》の真の力――食べれば食べるほどに、スキルを増やすことができるチート能力を知る!
スキルの力を縦横無尽に使い、冒険者としてライトは最強への道をひた走る!
感想
2巻が待たれる中のアニメ化
本作は1巻が発売されて2年経つが、続編が出ていない状態でアニメ化された作品である。
コミックが順調だったのだろう、でも原作が1巻で打ち切られたのにアニメ化。
その事実だけでも多くの疑問を抱かせるものであった。
もし、2巻が出ても個人的には続きには手を伸ばさないと思う。
タイトルからは読み取れなかった設定
「食べたら死ぬ実を複数回食べても死なない」という設定は、タイトルだけでは予測できなかった。
確かに興味をそそるが、ストーリー展開に説得力を欠く部分もあり、引き込まれる要素は少なかった。
キャラクターとストーリーの不一致
主人公ライトの行動や心情には共感しづらい部分が多く、特に「挫折からの成長」というテーマが弱く感じられた。
また、レーナとの再会シーンやアイラとの関係構築もどこかぎこちなさが残る。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
その他フィクションョン
アニメ
備忘録
プロローグ
スキルの実の仕組みと運命の選択
スキルの実は、一度食べるだけで人生を左右する能力を与えるものであった。この実を食べた人間は、戦闘系のスキルを得れば冒険者として大成する可能性があるが、それ以外のスキルでは安定した職業に就く程度に留まる。ライトと幼馴染のレーナも、この運命の日を迎え緊張していた。
聖女からの警告と緊張の瞬間
スキルの実は一度しか食べられず、二度目を試みると死に至る危険があるという警告が聖女から伝えられた。二人はその言葉を重く受け止めつつ、運命の選択に挑む覚悟を固めていた。
レーナの覚醒と光明
最初に実を食べたのはレーナであった。彼女が得たスキルは《剣聖》という強力な戦闘系スキルであり、聖女はその希少性に驚愕した。これにより、レーナは冒険者としての未来を約束された存在となった。
ライトの挫折と失望
次にライトがスキルの実を食べたが、彼に与えられたのは《木の実マスター》という農業向けのスキルであった。戦闘系スキルを望んでいたライトにとって、それは大きな失望であり、冒険者としての夢は絶たれた。
聖女の説得と二人の別れ
聖女は《剣聖》の価値を説き、レーナを冒険者として導くべく説得を開始した。レーナはその圧力に抗えず、冒険者としての道を進むことを受け入れた。ライトはその光景を悔しさを抱えながら見守ることしかできなかった。
新たな未来への余韻
連れて行かれるレーナは、ライトに「待っている」と伝えた。その言葉は、ライトにとって希望とも苦しみともなる感情を残したまま、二人の道は分かれたのである。
第一章 二つ目のスキル
農民としての日常と苦悩
ライトは《木の実マスター》のスキルを得てから農民として暮らしていた。収穫に専念する日々を送りながらも、戦闘系スキルを得られなかったことへの失望はぬぐえなかった。贅沢な生活は望めず、レーナとの格差が広がる現状が彼の心を重くしていた。
レーナの活躍と引き離される現実
レーナは《剣聖》のスキルを得て、今やSランク冒険者として名を馳せていた。彼女の成功はライトにとって誇らしくもあり、遠い存在に感じられるものでもあった。農民としての日々の中で、ライトは彼女との再会を夢見ることすら躊躇するようになっていた。
新たな相棒との生活
ライトは村長から押し付けられる形で灰髪の少女アイラを相棒として迎えた。アイラは家事を担当し、ライトの生活を支えていたが、二人の関係はまだぎこちなく、距離を感じさせるものだった。互いに遠慮しながらも、役割を分担して日々を過ごしていた。
スキルの実を巡る事件
アイラが料理にスキルの実を使ったことで、ライトは二度目のスキルの実を口にしてしまった。しかし、彼は予想外にも無事であり、新たなスキル《剣神》を得たことを知る。一方で、スキルの実を食べたアイラも新たな能力を発現させた様子を見せた。
スキルの秘密と新たな可能性
アイラの発現した鑑定系のスキルにより、ライトの《木の実マスター》には毒を無効化する隠された能力があることが判明した。この特異な能力により、ライトはスキルの実を無限に食べることが可能であると示唆された。
相棒としての信頼と希望
事件後、ライトは体調を崩したアイラを優しく介抱し、彼女を休ませるため尽力した。アイラの能力が明らかになったことで、二人の関係には新たな希望が生まれつつあった。ライトは相棒としてのアイラとの絆を深めながら、新たな未来への可能性を模索し始めていた。
アイラの体調回復とスキルの確認
ライトは翌朝、アイラの体調が回復したことに安心した。前日の出来事を振り返り、アイラが得たスキル《鑑定》の能力を確認した。《木の実マスター》や《剣神》といったスキルの詳細が見える能力であり、特に《剣神》の力について、攻撃力や魔法耐性の向上といった有用な効果を持つことが分かった。
初めての冒険者ギルド訪問
試し斬りと収入のため、ライトはアイラと共に冒険者ギルドを訪れた。ギルドの喧騒に圧倒されながらも、低難易度のスライム討伐依頼を受注する。農民であるライトとアイラは場違いな存在として注目を浴びたが、依頼を受けること自体は問題なく進んだ。
スライム討伐と《剣神》の力
ライトは依頼先の平原でスライムと遭遇し、初めて《剣神》のスキルを使用した。軽快な剣さばきでスライムを瞬時に倒し、その強力な能力を実感した。《剣神》は身体能力を飛躍的に向上させ、未熟なライトでも見事な戦いを可能にした。
ジーンとの再会とオーガとの対峙
スライム討伐を終えた後、ライトとアイラは偶然ジーンたち新人冒険者と遭遇した。彼らは予期せぬオーガに苦戦しており、ライトはアイラの安全を考えつつ戦闘に参加した。オーガとの戦いでは、《剣神》のスキルが発揮され、ライトは一瞬でオーガを討ち取ることに成功した。
戦いの余韻と新たな一歩
オーガ討伐後、アイラは冷静にオーガの耳を収集し、報酬獲得の準備を進めた。ジーンたちはライトの実力を目の当たりにし、その存在に恐れを抱く様子を見せた。ライトとアイラは互いの絆を深めながら、次の冒険に向けた一歩を踏み出した。
オーガ討伐の報酬とギルドでの待機
ライトとアイラはギルドでオーガ討伐の報酬について確認を求めた。受付嬢は驚きつつも換金可能だと告げ、報酬が追加されることが決まった。換金作業の間、ライトは冒険者への転職を考えつつ、アイラと一緒に椅子で待機した。アイラは久しぶりのご馳走を想像して期待を膨らませていた。
レーナとの再会
ギルド内が突然ざわつき、金髪の人物が現れた。それはライトの幼馴染であり、現在は《剣聖》のスキルを持つSランク冒険者となったレーナであった。ライトは彼女と目を合わせることを避けようとしたが、レーナが彼を一目で見分けて駆け寄ってきた。再会に感激したレーナは、ライトを喫茶店に連れ出し、近況を語り合った。
レーナの苦悩と提案
喫茶店での会話で、レーナは仲間との不和や孤独感を明かし、ライトとアイラに仲間になってほしいと頼んだ。ライトは迷いながらも、アイラの提案もあってそれを受け入れた。レーナは喜び、ライトとアイラが彼女の新しい仲間になることで、孤独が癒されることを期待した。
ギルドでの騒動とライトの実力
その後、ギルドで大柄な冒険者が暴れている場面に遭遇した。ライトは的確な判断で彼を鎮め、その強さにレーナは驚きを隠せなかった。ライトのスキル《剣神》が圧倒的な力を発揮し、彼が冒険者としても通用する実力を持つことが明らかになった。
ライトの秘密と新たな絆
ライトはスキルの実を複数食べても死なない特異体質であることを明かし、《木の実マスター》と《剣神》の二つのスキルを持つことを説明した。アイラの《鑑定》スキルがその秘密を明らかにしたことも語られ、レーナは驚きながらもライトの成長を喜んだ。三人の絆は深まり、レーナの仲間として新たな冒険を共にすることが決まった。
新たな旅立ちの準備
その日の夜、レーナの家に泊まることが決まり、三人はギルドを後にした。ライトとアイラはこれから始まる新たな冒険に期待と緊張を抱きながら、レーナとの再会に感謝の気持ちを感じていた。
第二章 《剣聖》のレーナ
朝の訪問と依頼の提案
レーナは勢いよく扉を開けてライトとアイラを起こそうとしたが、二人は既に起きていた。ライトが早起きの習慣を話すと、レーナは驚きつつも新たな依頼に二人を誘った。依頼内容は「廃館で発生したアンデッドの討伐」であった。アイラは同行を申し出、レーナの強い後押しもあり、三人で依頼を遂行することとなった。
廃館での戦闘とレーナの活躍
廃館に到着した三人は、レーナを中心にアンデッドとの戦闘を開始した。レーナは《剣聖》のスキルを駆使して圧倒的な実力を発揮し、次々とアンデッドを倒していった。アイラとライトはその姿に感心しつつも、二階では大量のアンデッドが現れ、レーナ一人では対処しきれない状況となった。
邪龍の出現と絶望的な状況
アンデッドが巨大な魔法陣を召喚し、邪龍を呼び出してしまった。邪龍は強力な斬撃耐性を持ち、レーナとライトの剣では太刀打ちできない相手であった。アイラはスキルの実を持ち出して状況打開を試みたが、当初得られたスキルは役に立たないものばかりであった。
《睡魔》スキルによる逆転
最終的にライトは《睡魔》というスキルを得た。このスキルは睡魔の鱗粉で対象を眠らせる能力を持ち、邪龍に対しても効果を発揮した。小さな睡魔が邪龍に接近し、鱗粉を吸わせた結果、邪龍はその場で眠りに落ちた。
廃館からの撤退
邪龍が眠りについた隙に、三人は廃館から撤退を決意した。レーナの疲労を支えながら、ライトはアイラと共に逃げ切ることに成功した。戦闘の困難さとスキルの力を実感しつつ、三人は新たな戦いに備える必要性を感じていた。
第三章 ギルドマスター登場
ギルドでの冒険者登録とパーティー申請
三人は朝早くギルドを訪れ、ライトとアイラの冒険者登録を進めた。レーナの存在に受付嬢が驚きつつも、二人は無事にFランク冒険者として登録を完了した。しかし、パーティーを組むためにはランク差の規約が問題となり、Bランクへの昇格が必要だと分かった。アイラの提案で、昇格用のゴーレム討伐依頼を受けることとなった。
森でのゴーレム捜索と遭遇
三人は地図を頼りに森へ向かい、ゴーレムを探した。スキル《虫耐性》の効果で道中は順調だったが、ゴーレムはなかなか姿を現さなかった。探索を進める中で見つけた巨大な岩が、実はゴーレムであると判明した。岩の正体を知った直後、ゴーレムが動き出し、戦闘が始まった。
スキルの実で得た新たな力
ライトはスキル《睡魔》が効かないことに気付き、アイラの勧めでスキルの実を使用した。その結果、《白刃抜刀・防》《白刃抜刀・瞬》《白刃抜刀・堅》という新たなスキルを得た。アイラの助言に従い、ライトは抜刀技を駆使してゴーレムを攻撃し、その圧倒的な威力でゴーレムを見事に倒した。
戦いの余韻と疲労
ゴーレム討伐後、ライトは新スキルの使用による疲労感に襲われ、その場に座り込んだ。レーナとアイラはライトの活躍を称賛しつつ、戦闘の余韻に浸った。新たなスキルの強力さと制約を実感しつつも、二人との信頼を深めた瞬間であった。
第三章 ギルドマスター登場
ギルドでの冒険者登録とパーティー申請
三人は朝早くギルドを訪れ、ライトとアイラの冒険者登録を進めた。レーナの存在に受付嬢が驚きつつも、二人は無事にFランク冒険者として登録を完了した。しかし、パーティーを組むためにはランク差の規約が問題となり、Bランクへの昇格が必要だと分かった。アイラの提案で、昇格用のゴーレム討伐依頼を受けることとなった。
森でのゴーレム捜索と遭遇
三人は地図を頼りに森へ向かい、ゴーレムを探した。スキル《虫耐性》の効果で道中は順調だったが、ゴーレムはなかなか姿を現さなかった。探索を進める中で見つけた巨大な岩が、実はゴーレムであると判明した。岩の正体を知った直後、ゴーレムが動き出し、戦闘が始まった。
スキルの実で得た新たな力
ライトはスキル《睡魔》が効かないことに気付き、アイラの勧めでスキルの実を使用した。その結果、《白刃抜刀・防》《白刃抜刀・瞬》《白刃抜刀・堅》という新たなスキルを得た。アイラの助言に従い、ライトは抜刀技を駆使してゴーレムを攻撃し、その圧倒的な威力でゴーレムを見事に倒した。
戦いの余韻と疲労
ゴーレム討伐後、ライトは新スキルの使用による疲労感に襲われ、その場に座り込んだ。レーナとアイラはライトの活躍を称賛しつつ、戦闘の余韻に浸った。新たなスキルの強力さと制約を実感しつつも、二人との信頼を深めた瞬間であった。
ギルドでの昇格確認とギルドマスターの登場
依頼を終えた三人はギルドの奥に案内され、ギルドマスターとの対面を待った。ライトは緊張していたが、現れたのは年若い少女だった。この少女こそがギルドマスターであり、ライトはその若さに驚きを隠せなかった。ギルドマスターはレーナに親しげに接しながらも、迅速にライトとアイラの昇格を確認し、問題ないと判断した。
ギルドマスターと聖女の会話
ギルドマスターはその足で聖女の元を訪れ、レーナを自由にしてほしいと提案した。聖女は冷静ながらもギルドマスターの言葉を否定し、自分がレーナを導く責務を持っていると主張した。二人の間に緊張が漂う中、ギルドマスターは説得を諦め、退散するしかなかった。
パーティー登録とレーナの夢
パーティー登録が完了した後、三人は今後の計画を話し合った。レーナは他国での冒険を夢見ていると明かし、ライトとアイラもその夢を支持した。ただし、レーナは邪龍の出現を自分の責任と感じており、まずはその討伐を目指すと決意を語った。ライトはレーナを励ましながら、彼女の計画に共に挑む意思を固めた。
自由への喜びと不穏な影
聖女の影響を受けることなく動ける自由を得たレーナは、その新たな一歩に喜びを感じていた。しかし、三人が安心している背後で、聖女の執念深さが新たな波乱を予感させるものであった。
第四章 聖女の執念
聖女の策略とアイラへの危機
聖女の不満と対策の決定
聖女は、レーナが元農民であるアイラとパーティーを組んだという報告を受け、不機嫌そうに舌打ちをした。彼女は農民という存在に根深い嫌悪感を抱いており、特にアイラのような背景不明の存在を許せなかった。従者から「レーナが国外へ出る可能性」を聞かされた聖女は、それを阻止するため、アイラたちの排除を指示した。部隊には、必要なら殺害も辞さない命令を出し、証拠を残さないよう厳命した。
アイラへの襲撃とライトの応戦
その夜、レーナの帰りが遅いことを心配したライトとアイラは彼女を迎えに出た。道中、アイラが突然攻撃を受け倒れ、暗闇から複数の敵が現れた。ライトは《剣神》の力を駆使して次々と敵を斬り倒したが、最後の数人が暗闇に紛れて逃げ去った。その場でレーナと合流したライトは、倒れたアイラを背負い、レーナが信頼する医者のもとへ向かった。
医者の診断と厳しい現実
医者の診察により、アイラは珍しい毒「テリビリン」に侵されていることが判明した。この毒は解毒が極めて困難で、過去に解毒に成功した者は一人だけで、その人物も既に亡くなっているとされた。医療スキルを用いた解毒も熟練度が必要で、アイラが命を落とすまでの二週間では不可能だと告げられた。
ライトの決意
絶望的な状況にレーナは言葉を失ったが、ライトは決意を固めた。毒を消す成分を持つ新しい木の実を作り出すことでアイラを救うと宣言した。その強い意志は、医者やレーナにも希望を抱かせるものだった。アイラを救うため、ライトは新たな挑戦に臨む覚悟を示した。
邪龍の脅威と聖女への疑念
犯人捜索の行き詰まり
レーナは、アイラに毒を打ち込んだ人物の情報を掴むため奔走していた。しかし、ライトが倒した敵の死体は既に回収され、現場には何の証拠も残されていなかった。犯人はプロの部隊と推測されたが、それ以上の手がかりは得られなかった。時間が迫る中、レーナはギルドマスターの協力を求める決断をした。
ギルドマスターへの相談
レーナはギルドを訪れ、ギルドマスターに面会を求めた。ギルドマスターはレーナの切迫した様子に驚きつつも、話を聞くことに同意した。レーナは、ライトとアイラが襲われた経緯を説明し、犯人に心当たりがないか尋ねた。ギルドマスターはこの事件の重要性を認識し、協力を約束した。そして、レーナの意図を汲み取り、二人で聖女の元を訪れることを提案した。
聖女との対話
ギルドマスターとレーナは聖女のもとを訪ね、アイラ襲撃についての心当たりを尋ねた。聖女は冷静に否定し、証拠がない以上、他の機関に任せるべきだと主張した。ギルドマスターは、聖女の言葉に疑念を抱きながらも、彼女の心を探るために接触を試みた。しかし、その瞬間に邪龍の接近が報告され、事態は一変した。
邪龍接近の報告
従者が現れ、邪龍が一週間以内に街に到達するとの報告を行った。この情報により、ギルドマスターとレーナの計画は中断された。聖女はすぐにその場を立ち去り、ギルドマスターも会議の場に呼び戻された。レーナもまた、この非常事態を無視できず、ギルドの会議に参加することを決意した。
新たな局面への挑戦
ギルド会議への参加を決めたレーナは、邪龍への対策に向けて動き出した。同時に、聖女への疑念は解消されず、事件解決への道筋も見えないままだった。状況は一層混迷を深めていったが、レーナは諦めることなく、新たな挑戦に向き合う覚悟を固めた。
邪龍との戦いと新たな決断
聖女の困惑と戦場の緊迫感
聖女は結界内から邪龍の動きを監視していたが、その圧倒的な力に困惑していた。冒険者たちは次々と蹴散らされ、Sランク冒険者のバロンドとレーナだけが辛うじて応戦していた。聖女の従者によれば、二人は邪龍に攻撃せず時間を稼いでいるように見えるという。聖女はその理由が分からず苛立ちを募らせたが、突然の邪龍の咆哮が状況を一変させた。
ライトの登場と邪龍撃破
邪龍の腕を斬り落としたのは、予想外にもライトであった。《白刃抜刀》や《剣神》のスキルを駆使し、ライトは邪龍を追い詰めた。さらに《睡魔》のスキルで邪龍の動きを封じ、致命的な一撃を加えた。倒れたレーナを助け起こしながら、ライトは自らの力で邪龍を討伐し、戦いに終止符を打った。バロンドをはじめ冒険者たちはその力に驚愕し、ライトへの称賛を惜しまなかった。
聖女の部屋での発見
戦いの後、レーナは邪龍に破壊された神殿を探索していた。そこで彼女は聖女の部屋に偶然入り込み、隠されていた薬瓶を見つけた。その瓶には、アイラを襲った毒「テリビリン」の名前が記されていた。レーナは驚愕しながらも、この発見が聖女に対する疑念をさらに深める結果となった。
新たな旅立ちの決断
邪龍を討伐した後、ライトは連日の取材攻勢に疲れていた。そんな中、レーナは国を出て新たな冒険を始める提案をした。アイラもライトに従う意志を示し、ライトは二人の気持ちを受け入れ、ミルド国への移住を決断した。邪龍との戦いを終えた三人は、新たな地で新たな冒険を求める旅に出る準備を整えていた。
出国前夜と聖女との対峙
レーナの出発前夜
レーナたちは翌日の出国に向け準備を整えていた。ライトとアイラは早起きに慣れており問題ないが、普段朝が苦手なレーナは少し緊張した様子を見せていた。その後、レーナは「やり残したことがある」と言い残し、一人で外出した。ライトは彼女の強い意志を感じ取り、深く詮索せず送り出した。
聖女との対話と対峙
レーナは聖女のもとを訪れ、「出国の挨拶」と称して対話を求めた。聖女は驚きつつも、レーナの言葉からライトを連れて行く意図を察し、引き留めようと試みた。しかし、レーナはアイラへの毒が聖女の仕業であることを突きつけ、対話から一転、対峙する形となった。最終的にレーナは聖女にテリビリンを注射し、「さようなら」と告げて立ち去った。
新たな旅立ち
翌朝、レーナは明るい笑顔で朝食を準備し、ライトとアイラを迎えた。レーナは「新しい国への期待」を語り、三人は静かに国を離れることを決めた。ライトは街の騒がしさを気にしたが、レーナは動じることなく旅立ちを提案し、三人は新たな冒険への一歩を踏み出した。
聖女襲撃事件の発覚
同じ朝、ギルドマスターは聖女が襲撃され意識不明との報告を受けた。医者は毒がテリビリンであると診断し、解毒には特殊なスキルを持つ者が必要と説明した。しかし、候補者として挙がったライトは既に国を出国しており、聖女が農民を排除していたことから他の協力者も見つけるのが困難と判明した。ギルドマスターは「ツケが回った」と呟き、場に静寂が漂った。
エピローグ
聖女の葬儀とギルドマスターの心情
ギルドマスターは聖女の葬儀会場で従者に促されながら花を供えた。聖女の襲撃から二週間が経過したが、治療は間に合わず聖女は帰らぬ人となった。農民たちに協力を仰いだものの、誰一人手を貸す者はいなかった。この出来事により、聖女がいかに農民から嫌われていたかが明らかとなり、ギルドマスターは深い無力感に包まれていた。
懐かしき冒険者との再会
葬儀の場でギルドマスターは、かつてのギルド所属の冒険者であるコトネとデイビスに再会した。二人は聖女の最期を見届けるために帰国し、花束を捧げる準備をしていた。コトネの失言とデイビスの注意という昔と変わらないやり取りに、ギルドマスターは少しの安堵を感じた。二人は去り際に「聖女の娘、マリアに会うべきだ」と提案し、会場を後にした。
聖女の娘、マリアとの会話
ギルドマスターはマリアに声をかけ、聖女の死について慎重に話を進めた。マリアは聖女が多くの人間を裏で殺害し、報復されて当然であったと冷静に述べた。その一方で、聖女を殺害した犯人を自ら探す意志を明かした。ギルドマスターが引き止めようとしたが、マリアはナイフでギルドマスターの手を軽く傷つけ、「邪魔をすれば殺す」と警告を残し立ち去った。
ギルドマスターの無力感
マリアの決意と冷徹な行動にギルドマスターは言葉を失い、ただ彼女の背中を見送るしかなかった。聖女の死を巡る一連の事件が、さらなる波乱を呼ぶことを予感させる一幕であった。
書き下ろし
新しい生活と一時の休息
ライトたちは冒険者パーティー登録を終え、昇格後の疲れを癒すために数日の休息を取っていた。ライトの提案でアイラとレーナは同じ寝室を使うことになり、新しい生活が始まった。アイラは初めての経験に緊張していたが、レーナとの会話の中で徐々に打ち解けていった。二人はそれぞれライトとの思い出を語り、互いに軽い嫉妬を抱きながらも、仲の良い雰囲気を保っていた。
祠の調査依頼と不気味な気配
ライトたちは調査依頼のために祠へ向かった。道中、二人の間には喧嘩の名残が感じられたが、依頼内容に集中することで気まずさを忘れようとしていた。祠に到着すると、不気味な気配が漂い始めたが、敵の姿は見当たらなかった。祠を調査する中で突然ゴーストが出現し、アイラがレーナを庇って吹き飛ばされるという事態に発展した。
狼との遭遇と和解
吹き飛ばされたアイラは狼の親子と遭遇し、危機に陥った。そこにレーナが駆けつけ、圧倒的な力で狼を撃退した。危険を乗り越えた二人は互いに謝罪と感謝を伝え合い、和解を果たした。涙を流しながら抱き合う二人を見て、駆けつけたライトは状況を理解できず困惑するも、二人の関係が修復されたことに安堵した。
再び始まる日常と深まる絆
翌日、アイラとレーナは以前よりも仲睦まじい様子を見せ、ライトを驚かせた。喧嘩を乗り越えた二人は姉妹のような関係を築き、パーティーの雰囲気も良好になっていた。アイラは最後にライトへ感謝を伝え、微笑んだ。その微笑みには二人の絆がさらに強くなったことが表れていた。
Share this content:
コメントを残す