どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
読んだ本のタイトル
薬屋のひとりごと 4
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏
イラスト: #しのとうこ 氏
あらすじ・内容
大人気ミステリー早くも第4弾。幽霊、逆子、拉致…怒濤の展開から目が離せない !
壬氏が宦官ではないと知ってしまった猫猫。
後宮内で皇帝以外のまともな男がいるのはご法度、それがばれないようにどきどきする毎日を過ごす。
そんな中、友人の小蘭が後宮を出て行ったあとの就職先を探していることを知る。
猫猫と子翠はそんな小蘭のために伝手を作るために後宮内の大浴場に向かう。
その折、気弱な四夫人里樹妃が幽霊を見たという話を聞いてそれを解決すべく動き出す。
一方、翡翠宮では玉葉妃の腹の子が逆子だとわかる。
ろくな医官もいない後宮でこのまま逆子を産むことは命に関わると、
猫猫は自分の養父である羅門を後宮に入れるよう提案するが新たな問題が浮上する。
後宮内で今まで起きた事件、それらに法則があることに気が付いた猫猫はそれを調べようとして――拉致される。
宮廷で長年黒く濁っていた澱(おり)、それは凝り固まり国を騒がす事態を起こす。
アニメ化のお知らせ(2023年10月から放送)
感想
子翠の正体が楼蘭???
あの虫大好きで、猫猫と小蘭と中級、下級妃にマッサージしてた小翠が??
キャラクターが全然違うじゃないか!!
そこまで化けるのかよw
そして猫猫も拉致されて、監禁されてるのに薬草の本を渡したら寝食を忘れて没頭し、子翠に身の回りの世話をされるのが、、
上級妃に何をさせてるんだよww
それを何にも構えないでお互いにフォローし合っているのが良い関係だ。
最後は爆発させて、行方不明になるのが何とも残念だが、最後に玉藻と名乗って船に乗る、、
玉藻で船となると倭国か?
あの玉藻御前か?
なんとも波瀾万丈な、、
そして、猫猫も羅門と交代で花街に戻る、記憶を無くしたクソガキを連れて、、
子供達は誰も亡くなって無いのが良かった。。
最後に猫猫パピー羅漢と猫猫の大叔父、羅門との関係が凄かった。
まさか、貴族達が恐る狐、羅大尉があそこまで言う事を聞く大叔父、羅門って凄い人じゃ?
猫猫の育ての親だし、、
備忘録
序話
母親の感情に合わせて笑ったり、顔をしかめたりすることを学んだ子供がいる。母親が侍女を叱る場面では、ただ傍観することを理解していた。母親の機嫌を取るために、自分の感情を表に出さず、母親が喜ぶように行動していた。五歳で化粧をさせられ、十歳前には完全に化粧を施され、自分が仮面を被ったように感じ、母親に操られているような窮屈さを感じていたが、それを良しとしていた。しかし、どれだけ努力しても母親の醜さは増すばかりで、その無駄さに気づいた時には手遅れだったと感じてい
1話
洗濯物を分けながら、小蘭は良い働き先がないかと言い出した。後宮の生活が間もなく終わる彼女は、将来について心配していた。猫猫に伝手がないか尋ねると、猫猫は花街の緑青館を紹介することができるが、本心では推薦したくないことを伝えた。後宮での生活の厳しさと花街での職の危険性を考慮し、猫猫は小蘭に他の選択肢を模索することを勧めた。子翠から後宮の大浴場での仕事の可能性を示唆された後、三人は大浴場で働くことになった。ここで彼女たちは妃たちの世話をすることで、新たな伝手を作り出し、少なからず恩恵を受けた。宦官の増員に関する噂が後宮で広がっていた。小蘭は宦官が新しく作られなくなったはずだと疑問を投げかけたが、子翠はそれらの宦官が元奴隷であることを明かした。異民族の中には、他国の人間を捕まえ去勢して奴隷にする部族があり、そこから逃げ出したか助け出された者たちだという。昨年、そのような背景を持つ奴隷を助け出す討伐があったことが示唆された。また、新たに入った宦官の中にはかっこいい者もおり、小蘭は興味を示したが、猫猫は宦官への関心に複雑な反応を示した。さらに、猫猫は壬氏との関わりについて言及し、先日の避暑地での一件以来、壬氏に会っていないことに少々気まずい感情を抱えていた。そんな中、里樹妃とその侍女が浴場へと向かうのを目撃し、猫猫はその理由を疑問に思った。
2話
猫猫は新入りの三人姉妹、白羽、黒羽、赤羽と休憩中、気まずさを感じていた。三姉妹は同郷出身で、似た顔立ちをしている。猫猫は人付き合いが得意ではなく、新入りとの関わりに苦手意識があった。白羽から、猫猫の翡翠宮での仕え方について質問されたが、猫猫は玉葉妃への毒見役としての役割を説明した。白羽は、猫猫が他の女官と親しくしていることに対しても、三姉妹ともっと交流するようにと言及した。その後、猫猫は三姉妹を湯殿に誘い、そこでの交流を深めようとした。
湯殿で、猫猫は赤羽を連れて、小蘭と子翠と共に脱毛の仕事を行った。赤羽は恥じらいながらも、猫猫たちの仕事に加わることになった。その過程で、猫猫は里樹妃とその侍女頭に遭遇し、二人の毛の処理を行うことになった。里樹妃は幼い頃から政治の道具として扱われ、出家の後、後宮に入れられた過去があり、湯殿での習慣がなかったため、猫猫が新しい脱毛法を提案した。
最終的に、猫猫は里樹妃とその侍女頭に脱毛処理を施し、その手触りの良さに満足した。仕事を終えた後、彼女たちは果実水でのぼせを冷ました。里樹妃が大浴場を利用した理由は、彼女の宮に幽霊が出るためだということが判明した。
3話
猫猫は壬氏から呼び出され、玉葉妃、紅娘、高順と共に会合を持つ。壬氏の旅行での秘密を知る猫猫は、再会に緊張を覚える。里樹妃の部屋での幽霊の噂について話し合う中で、玉葉妃は好奇心を露わにするが、猫猫は壬氏に従い金剛宮へ向かう。
金剛宮では、里樹妃が自らの体験を語り、湯船の近くで幽霊を見たと言う。猫猫は、湯船の近くの物置の構造と湯船の栓の関係を調査し、風呂場と物置の間の水路からの湯気が幽霊現象を引き起こしたことを突き止める。さらに、銅鏡に映った母親の顔を幽霊と勘違いした里樹妃の誤解を解く。
この銅鏡は里樹妃にとって母親の形見であり、その特別な意味があることが明らかになる。一方、侍女たちの間の不和と権力闘争が垣間見え、里樹妃が侍女に軽んじられている状況が暴露される。壬氏はその場で侍女たちに警告し、里樹妃の地位を守る行動を取る。
最終的に、壬氏の機転と猫猫の洞察力により、幽霊騒動は解決し、里樹妃に対する侍女たちの態度に変化が生じる。この一件は猫猫にとっても、後宮の複雑な人間関係と壬氏の影響力の大きさを再認識する機会となった。
4話
医局で猫猫は薬草を調べていた際、やぶ医者に宦官について尋ねる。宦官の選定方法について、昔は証明書が必要だったが、今は触診で確認していると聞く。不正防止のため、三人の違う部署の官たちが実施している。猫猫は、新しく入った宦官についての噂をやぶ医者から聞く。その宦官は若く、見た目が良いため、後宮で人気があるが、現在は裏方の仕事をしている。
壬氏は、猫猫に本当のことを話したいと考えているが、どう伝えるべきか悩んでいる。高順は、猫猫を引き入れることを提案するが、それには軍師の羅漢が関わってくる可能性があることを懸念している。後宮での楼蘭妃に関する文書や新入り宦官に対する女官の色目を使う報告を処理した後、壬氏は後宮を訪れ、新入り宦官たちの状況を確認する。その中の一人が特に目立ち、仕事中に怯える様子を見せていた。
その場で氷を運んでいた宦官と女官が衝突し、氷が地面に落ちてしまう。問題を起こした女官は、猫猫の友人であることから壬氏は関心を持つ。壬氏はこの事態にどう対応するか考えながら、事の成り行きを見守ることにする。
5話
小蘭は猫猫より二歳年下で、後宮に売り飛ばされた過去があるが、暗さを見せず、食べ物への貪欲さを持つ元気な娘である。ある日、湯殿で楼蘭妃から貰った簪を喜んでいた彼女が不注意で氷を運んでいた宦官と衝突し、貴重な氷を地面に落としてしまう。その氷は楼蘭妃に届けるためのもので、この事故で宦官は罰を受ける可能性が高く、小蘭も罰を恐れて震えていた。猫猫は解決策として、落ちた氷を代替するために自ら氷菓を作ることを提案し、宦官に承諾させる。壬氏の協力を得て調理場で氷菓を作り、楼蘭妃に代わりのものを届けることに成功する。その過程で、壬氏は猫猫に簪をつけるよう要求するが、その条件は猫猫にとっては比較的容易に受け入れられるものであった。氷菓は成功し、小蘭、子翠、猫猫の間で少しの混乱があったものの、最終的には楽しく共有することができた。
6話
玉葉妃が妊娠中で、腹の赤子が活発に動いていることに話が及ぶ。猫猫は、赤子が下ばかりを蹴っていることから逆子の可能性を指摘し、触診を行った後、八割がた逆子であると判断する。猫猫は逆子を正すための対策として、灸や身体を動かすことを提案し、さらには信頼できる医師が必要であると提案する。その医師が自分の養父であり、元宦官で後宮を追放された罪人であることを明かす。玉葉妃は猫猫の提案を受け入れ、壬氏に提案することを決める。紅娘は反対するが、玉葉妃は猫猫の養父を信頼し、監視をつけることを条件に迎え入れることを決定する。結果、猫猫の養父である医師は後宮に招かれ、臨時で医官として勤務することになる。猫猫の周囲の人々は、猫猫の養父が想像していたよりも普通の人物であることに驚く。
7話
医局における日常は、羅門(おやじ)の加入後も変わりなく、のほほんとした雰囲気が続いている。やぶ医者と羅門の間では、医学に関係ない日常的な話題で会話が交わされている。一方で猫猫は、おやじの加入が自分の仕事に直接的な変化をもたらすわけではないと理解し、従来通りの業務に取り組んでいる。紅娘の提案により、基本的な仕事は猫猫が担当し続けることになっている。羅門は医局で時間を過ごしつつも、時折、宦官からの呼び出しに応じて外出しており、猫猫はこれが壬氏の計らいではないかと推察している。
羅門の後宮での活動は主に、妊娠中の妃たちのケアに関連しているようで、猫猫はこれを肯定的に捉えている。また、羅門は後宮内の問題点を文書にしており、猫猫はその内容に対してやぶ医者との間でやり取りを行う。羅門は後宮内での教育活動の改善を提案し、猫猫に対して手習所での書き取り練習の実施を依頼する。猫猫はこの提案を手習所の宦官に伝えるために動き出す。
老宦官の部屋を訪れた猫猫は、羅門の文書が後宮内での注意喚起として以前にも使われていたことを知り、過去に羅門と老宦官が協力して同様の活動を行っていたことが明かされる。老宦官は猫猫の提案に対して協力的であり、羅門の提案を支持する。しかし、猫猫は過去に貼られていた注意書きについての記憶に違和感を覚え、確認するために老宦官の部屋を後にする。
8話
診療所では年配の女官たちが働いており、若い宦官も見受けられる。猫猫は診療所を訪れ、深緑という女官と会話を交わす。その中で、猫猫は後宮におけるある問題に気づく。それは、後宮に長年留まり続ける女官たちが抱える、ある種の悪意や諦観である。特に、深緑が過去に後宮でのある行動を示唆していたことが明らかになる。
猫猫の推理により、後宮に巣食う悪意の源泉が明らかになりつつある。その悪意は、後宮に長く留まり続けた女官たちの間に溜まり、外部から持ち込まれる商品や情報を操作することで、後宮内の女性たちに影響を及ぼしていた。毒おしろいに関する注意書きが以前から後宮内に存在していたことが示され、それを知る女官たちの存在が示唆される。
その後、猫猫は翠苓と名乗る人物と遭遇する。翠苓は男装をしており、彼女が過去に「死んだ」とされていた女官であることが判明する。翠苓は子翠を人質に取り、猫猫に対して何らかの要求をする。翠苓は猫猫に対して、蘇りの秘薬の作り方を知りたくないかと持ちかける。これにより、翠苓の真の目的や計画が暗示され、猫猫はその提案に対して心を動かされる様子を見せる。
9話
西方の文官として知られる子昌と、東方の軍師羅漢は、宮中でそれぞれの地位を確立している。子昌は養父母の娘と結婚し、女帝に気に入られた人物であり、羅漢は権力を持つが子昌ほどではないものの、彼には喧嘩を売ることができないとされている。二人の前で、馬閃は緊張を抑えながら立っていた。覆面をつけた人物は、馬閃の仮の主であり、皇弟の身代わりをしているが、その真の性質は猟犬に近いものかもしれない。
羅漢は、子昌も参加する茶会を提案し、自ら果実水を注ぐ。この茶会では、羅漢が小型化・軽量化された最新式の飛発の設計図を持ち出し、その技術的な進歩について語る。しかし、話の本題は羅漢の妻との碁の棋譜であった。羅漢は碁の戦いを熱心に語り、その情熱を見せる。
茶会が終わり、馬閃と覆面の君は執務室に戻る。覆面を取ったその人物は、実は元上級妃、阿多であった。彼女は羅漢について語り、彼が嫁には甘いが軍師としての才能も際立っていることを示唆する。そして、阿多が皇帝からの仕事もこっそりと引き受けていることが明かされる。
10話
壬氏のもとに「猫猫が帰ってこない」という報告が届いたのは昨晩で、侍女頭の動揺が感じられる筆跡であった。普段は夜に抜け出しても朝には戻ってくる猫猫が、今回は帰って来ていない。猫猫の最後の足取りは医局で、そこから手習所へ向かったところで消息を絶っている。壬氏は猫猫の捜索を始め、医局で羅門と接触。羅門は猫猫が毛毛と遊んでいた際に木の実を使った何かを行った可能性を示唆する。
捜索の結果、毛毛は酔っ払っているように見える状態で見つかり、そのそばには猫猫が持っていったと思われる木の実があった。この木の実は、猫猫が何かメッセージを残そうとした可能性があると羅門は推測。実際に猫猫が残したと思われるメッセージが、特定の方法で炙り出され、「祠」という文字が浮かび上がる。
その後、壬氏は猫猫の捜索を続け、古い祠の近くで通路が見つかる。この通路は後宮内への抜け道となっていた。また、猫猫が親しくしていた下女の一人である紫翠(または仔翠)と新入り宦官が消えていることが判明し、猫猫が帰ってこない理由について、更に深い謎が生じている。壬氏は猫猫が無事であることを願いつつ、捜索と状況の解明を進めていく。
11話
猫猫と子翠は、翠苓に連れられて船に乗せられ、後宮から離れた場所へと移動している。彼女たちは普通の村娘のような服を着せられ、女衒に売られたという設定で船倉に閉じ込められていた。猫猫は、後宮からの脱出を翠苓の条件に従って受け入れたが、その選択には蘇りの薬への興味はなかった。脱出後、彼女たちは古い地下水路を利用して後宮の外に出て、馬車で港へと移動し、そこから船で旅を続けている。
船旅の後、彼女たちは森の中にある隠れ里、狐の里に到着する。この里は温泉町のような雰囲気で、湯治場として機能していることが示唆される。猫猫は、里の中で異国人や特使らしき人物の存在に気付く。また、猫猫と子翠は、翠苓の幼い兄弟と思われる響迂と再会し、彼の案内で里の中を歩く。
里では祭りの準備が進んでおり、猫猫と子翠は白い狐の面に色を塗ることになる。この隠れ里での生活と祭りの準備は、猫猫にとって新たな体験となるが、彼女はこの状況が何を意味するのか、そして翠苓たちが彼女をここに連れてきた真の目的について疑問を抱いている。
12話
後宮に入った壬氏は、異変を感じる。玉葉妃の出産に立ち会うため、高順や宦官たちと翡翠宮に向かっていた。玉葉妃は逆子の疑いがあったが、猫猫の治療のおかげで状態は安定しているようだ。しかし、猫猫が消えてから十日が経過し、その不在が壬氏を悩ませている。
翡翠宮で、壬氏は出産の準備として盥や火鉢が置かれているのを見る。しかし、玉葉妃の状態については侍女たちから具体的な情報は得られない。医官として後宮にいる貧相な髭の男がおり、猫猫の捜索についての進展はなかった。
その後、壬氏は後宮の北側にある廟を訪れ、そこで見知らぬ女官と出会う。彼女から異国の蒸留酒の匂いを感じ取り、彼女の手首を掴んで猫猫の行方を尋ねるが、女官は答えずに毒を飲んで自殺を試みる。女官は何とか命を取り留めるが、意識は戻らない。彼女は先帝の時代からの女官であり、猫猫の消失に関する何らかの情報を持っていると考えられる。
一方で、柘榴宮では楼蘭妃が行方不明となり、その代わりに侍女が妃として振る舞っていた。この事態に壬氏は深刻な問題であると認識し、楼蘭妃の行方を捜索し始める。
文官の羅半が壬氏の元を訪れ、後宮の金銭出納帳を持参する。この文書からは、穀物や金属の価格の異常な上昇が見て取れ、これが横領や不正の証拠である可能性を示唆している。羅半は、この問題の調査を壬氏に依頼し、羅漢が後宮の壁を壊した修理代の見積もりを提出する。これにより、壬氏は後宮で発生している不正行為の解明と、楼蘭妃の捜索を進めることになる。
13話
祭りでは、猫猫が真っ白な上着に赤い裳、紅白の襦裙を着用し、狐の面を被り、芒や稲をつけた提灯を携えて社まで歩く。この祭りは、狐神、すなわち豊穣の神を信仰する村の秋の実りを祝うものである。猫猫は子翠と共に、緑色に塗られた間抜けな狐の面を交換しながら、祭りの場に向かう。彼らは、この地に住む人々が異民族である狐の子孫だと聞かされ、その信仰と伝統を体験する。
祭りの中心である社では、面を奉納し、櫓に火をつける儀式が行われる。この火祭りでは、奉納された面が燃やされ、煙が天に昇ることで願いが成就するとされる。猫猫と子翠は、火祭りの美しさとその意味を共に感じ取りながら、村の人々と一緒になって祭りを楽しむ。しかし、その中で響迂は自分の願いが叶うことを切に願っている。子翠は、叶わぬ願いは水底に沈み、恵みとなると述べ、虫が冬を越せずに子だけを残すように、人間もまた自然の一部であることを示唆する。
この祭りは、古い伝統と信仰を守り続ける村の団結と、新旧の文化が交差する場所であることを猫猫たちに教える。
14話
宿に戻った猫猫たちは、翠苓が待っていた。夜食を共にし、猫猫は約束の履行を翠苓に迫る。翠苓は蘇りの薬に関して、曼荼羅華の必要性を否定し、副作用の危険性について警告する。話は進まず、猫猫は翠苓と同室で眠ることになる。翌朝、猫猫は薬草の図鑑を読み漁り、翠苓が外出した後、見張りに注意されながらも、宿屋内で自由に過ごす。
響迂の助けを借りて、猫猫は宿屋を抜け出し、田んぼの異常を調べる。稲が夜間も光を浴び続けたために育ちが悪くなったと推測する。その後、倉庫を探索し、翠苓の実験材料と思しき鼠や書類、そして刺客たちが所持していた飛発を発見する。その時、神美と名乗る女性が部屋に現れ、猫猫と響迂を発見する。神美は響迂を子螂さまの御子息と認識し、翠苓に暴力を振るいながら、猫猫たちを連れ去ることを決める。
15話
温泉郷を出発し、馬車で半日揺られた後、猫猫は砦のような場所に連れてこられた。翠苓は猫猫をここに連れてくるつもりはなかったと述べ、その顔は浮かない表情をしていた。猫猫は、温泉郷の倉庫での出来事を通じて、子翠、すなわち楼蘭の真の身分を理解していた。楼蘭は高貴な身分でありながら、虫好きの変わり者として普通の娘であった。しかし、猫猫を発見した神美は鞭打ちの刑を言い渡すなど、危険な存在であることが明らかになった。楼蘭は猫猫を新しい薬師として利用することを提案し、神美はこれを受け入れた。猫猫はその後、砦の一室に連れてこられ、そこは以前薬師が使っていた部屋であることが判明する。
16話
その日の昼過ぎ、壬氏の執務室に羅半という小柄な狐目の男が訪れた。羅半は、子の一族が不穏な動きをしていることを伝える。彼が指摘したのは、使われなくなった砦の位置であり、そこが拡張されていたことから謀反の可能性があるとした。この状況に対処するため、壬氏は頭を抱えていたが、そこに狐軍師と呼ばれる片眼鏡をかけた人物が現れ、壬氏に追及を開始する。この人物は、羅半の義父であり、彼の行動を批判する。
羅半は退散し、狐軍師は壬氏の責任を問い、壬氏もそれを認める。しかし、狐軍師の本来の目的は、子昌という逆賊を討つために軍を動かすことにあった。羅半は新型の飛発を生産している子の一族の証拠を提出し、壬氏に軍事行動を促す。これには、壬氏が実際には華瑞月という人物であり、宦官の姿を借りていたことが関係している。狐軍師は、壬氏に本来の立場を取り戻し、行動を起こすよう迫る。
この出来事は、壬氏が直面する政治的な危機と、彼の真の身分に関わる重要な転換点を示している。壬氏は、狐軍師の要求に応えることで、自身の隠された能力と責任を受け入れ、国家のために行動することを決意する瞬間を迎える。
17話
猫猫は砦に押し込められ、日に一度、神美の部屋に連れてこられる。そこは贅沢で淫靡な雰囲気の部屋で、神美は安楽椅子に座り、爪を磨かせていた。猫猫は神美から薬の準備について尋ねられるが、まだ時間がかかりそうだと答える。部屋を出た猫猫は、響迂という少年と遭遇し、彼から母親のことを尋ねられるが、猫猫は明確な答えを避ける。その後、日々は変わらず過ぎていくが、猫猫は部屋の外で子供たちの声が聞こえるようになる。
ある日、響迂から逃げるように促す紙切れが猫猫の部屋に届けられるが、猫猫はそれを実行しない。その後、響迂は猫猫を助けようとしたが失敗し、神美が現れる。猫猫はつい「くそばばあ」と口にしてしまい、神美の怒りを買う。楼蘭の提案により、猫猫は「蟇盆」という処刑方法を使った罰を受けることになる。地下の牢に連れていかれ、そこには箱から蛇や毒虫が這い出る準備がされていた。しかし、猫猫はそれらを見て笑みを浮かべ、自分の身を守るための準備を始める。
要するに、猫猫は神美の部屋での一件から脱出しようとする響迂の試みに巻き込まれ、結果的に神美の怒りを買って処罰されることになる。しかし、猫猫は蛇や毒虫に囲まれても恐怖することなく、逆にそれらを愛でる余裕を見せていた。
18話
笄の先に魚の切り身のようなものが突き刺さっているシーンから始まるこの物語では、猫猫が蛇や毒虫が満ちた狭い牢内で生き延びるために、巧みに周囲の環境を利用して食事を調達し、冷静に状況を判断し対応していく様子が描かれている。蛇を食べる様子を見張りが目撃し、その後、見張りは猫猫に砦の危険な状況を告げ、逃げるよう促す。猫猫は、地下で火薬を製造する作業場を目撃し、そこで楼蘭(子翠)と再会する。楼蘭は爆発を引き起こし、砦を破壊することで、そこにいる人々を逃がそうとする。一方で、楼蘭は母親の神美から受けた虐待や、後宮での複雑な人間関係について語る。猫猫は楼蘭を助けようとするが、楼蘭は自分の使命を果たすために猫猫の助けを拒否し、一人で自己の運命に向かって進む決意を見せる。
19話
時は少し前に遡り、壬氏は羅漢、羅半と共に行軍の準備をしていた。移動式住居のような馬車内で、羅漢は焦り、羅半は経済的な戦略を提案している。壬氏は宦官の姿から、戦士としての装いに変わっており、羅漢との間には緊張が走るも、羅半の機転で事なきを得る。戦略は、敵の火薬庫を破壊し、火器の使用を不可能にすることであった。砦への攻撃は計画通り進行し、壬氏たちは進軍を続ける。
一方、子昌の砦では、楼蘭が父である子昌に対し、最後まで責任を持つよう迫る。砦の武器庫が爆発し、大きな被害が出る中、楼蘭は威厳ある態度で自らの母に立ち向かう。子昌は自分の責任を痛感し、娘の言葉に動かされる。壬氏たちの攻撃と、砦内部の動揺が同時に進む中で、物語は壬氏と子昌の立場、及び彼らの家族との関係性の変化を描き出している。
20話
李白とその部下たちは、子昌の私兵が守る砦に奇襲をかけ、容易に兵を捕縛していく。この作戦の目的は、反乱を企てる子の一族を捕らえることにあった。李白たちの計画は、雪の中で白い外套を利用し、目立たないように敵に近づくというもので、松明を持たずに進軍し、敵の注意を逸らして奇襲を成功させる。さらに、砦近くで人工的に雪崩を引き起こし、砦の守備を弱体化させた。
一方、砦内では猫猫が白い外套を着た侵入者たちの制圧を目の当たりにする。猫猫は、爆発事故や雪崩による混乱の中で、自分を保護してくれるかと壬氏に申し出る。壬氏と李白は、砦内での捜索を進め、子どもたちが毒をあおって亡くなっているのを発見し、その遺体を適切に扱うことを決める。
李白は、罪に問われるかもしれないが、子どもたちを適切に埋葬する方法を考える。猫猫に対し、自分の父親(子の一族の首)に頼んでみてはどうかと提案するが、すぐにその提案を撤回する。
この作戦は、壬氏が宦官の立場を捨てて、明確に反逆者を制圧する役割を担っていることを示しており、砦を掌握することで宮廷内の力関係に大きな変化をもたらすことを意味している。
21話
笛の音を合図に、壬氏は砦内を進み、飛発を持った男たちと遭遇する。予想通り、飛発を使う男たちは上等の着物を着た子一族の者たちで、子昌を探していた。子昌は太った男として登場し、飛発を持っていたが、壬氏たちには対応できた。子昌は最終的に壬氏たちによって倒され、その後、楼蘭と神美が隠れていた隠し部屋に壬氏は導かれる。
楼蘭は過去の話を語り、子昌と神美、そして翠苓の複雑な関係性と一族の内情を明かす。楼蘭は、この国の未来に起こりうる大きな事件について警告し、子の一族が存在することが障害になると指摘する。彼女は壬氏に対し、死んだとみなされる者たちを見逃してほしいと願い出る。壬氏はそれに応じるが、楼蘭はさらに自分の願いを叶えるために壬氏の顔に傷をつける。
その後、楼蘭は屋上で舞い、最終的に飛発によって撃たれ、屋上から身を投げる。この一連の行動は、楼蘭が計画した壮大な演出だったことが示唆される。壬氏はその後、高順と合流し、応急処置を受けるが、猫猫の無事を確認し、彼女の近くで眠ることになる。壬氏は、自分が関わったことで猫猫が傷ついたことに責任を感じている。
22話
猫猫が目を覚ますと、壬氏が彼女にのしかかるような姿勢でいた。彼女が壬氏の顔に巻かれたさらしに気付き、その原因を尋ねる。壬氏は、猫猫の心配をよそに、自身の怪我を軽くあしらう。しかし、猫猫は壬氏に詰め寄り、彼の怪我をよく見ようとする。壬氏の頬には斜めに大きな傷があり、雑に縫われていた。猫猫は、自分たちの関係性についても話し、壬氏も楼蘭について言及する。二人はお互いの過去の行動や感情について話し合うが、猫猫は壬氏を休息させようとし、壬氏はそれを拒む。
壬氏は猫猫の身体の青い痣に気付き、その原因を尋ねる。猫猫は事の経緯を説明し、二人は互いの傷について話す。その過程で、壬氏が猫猫に対し抱いていた感情がより明確になる。猫猫は壬氏の外見だけでなく、その内面の美しさを認め、壬氏も猫猫に対し特別な感情を抱いていることが示される。
その時、馬車の中で音がして、猫猫は子どもたちが寝ていた場所に駆け寄る。子どもたちの中にはまだ生きている者がいることに気付き、猫猫は壬氏に協力を求める。壬氏は、猫猫と子どもたちの世話に加わり、猫猫が楼蘭によってこの場に連れてこられた理由が明かされる。息を吹き返す子どもたちを見守りながら、壬氏は猫猫との未来について考え、二人の関係性に新たな一歩を踏み出す様子を見せる。
終話
都では、現帝が后を迎え、東宮のお披露目が行われた日であり、大騒ぎであった。后の名前は玉葉で、東宮はその子である。この出来事は、猫猫にとって自分が用無しになったことを意味していた。猫猫は薬屋で日々を送り、趙迂という少年との交流が描かれる。趙迂は記憶を失い、半身に軽い麻痺が残るものの、花街で生活している。
猫猫は、宮廷での混乱と自身の立場について考えながら、薬作りに没頭する。その中で、壬氏と再会し、互いに過去の約束を果たそうとするが、言葉に詰まるシーンがある。結局、二人は再び近しくなり、猫猫は壬氏を手当てすることになる。
一方、露店で商売をする男が登場し、玉藻と名乗る娘が玉の蝉を物々交換で手に入れるエピソードが描かれる。玉藻は、後宮で寵愛を受けるような存在であるが、実際は薄汚れた格好をしており、男は彼女が後宮のような贅沢な場所にふさわしいと感じる。
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PV
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