どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
読んだ本のタイトル
薬屋のひとりごと 5
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏
イラスト: #しのとうこ 氏
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あらすじ・内容
読後満足度絶好調の大人気シリーズは新章突入。難事件の謎解きは勿論、猫猫と壬氏の関係から目が離せない!
子の一族の反乱がおさまり、宮廷では皇子が生まれたことで玉葉妃が正室になった。
壬氏もまた、宦官ではなく皇弟として政を行うこととなる。
一見、何事もなく平和におさまったかに見えたが、都にはすでに不穏な空気が漂っていた。
猫猫はといえば、謎の毒菓子事件、蝗害への不安、紙の村の所有権問題……いつものごとく巻き込まれ、首を突っ込むことになる。
また、壬氏からの命令で、玉葉后の故郷、西都へと向かうことになった。
色とりどりの花たちが咲く舞踏会で何者かの陰謀が渦巻いていく。
猫猫はその思惑を暴くことができるだろうか! ?
アニメ化のお知らせ(2023年10月から放送)
感想
5巻の主な出来事は以下の通り。
- 少年たちのやり取りと友情
少年は塀の上の別の少年と会話し、林檎を分け合いながら友情と内面的な葛藤を示す。 - 花街での猫猫の生活
猫猫は後宮から戻り、趙迂と生活を送る。趙迂の記憶喪失や特異な能力が示唆される。 - 蝗害に関する情報
趙迂が蝗害について重要な情報を持つことが明らかになり、猫猫は調査を開始する。 - 図録と盗人の関係
市中に出回る図録の出所を追う中、猫猫は盗人から蝗害に関する情報を得て、さらに調査を続ける決意を固める。 - 図録の回収と壬氏の休息
壬氏と協力して蝗害予防策の情報収集を進める一方、疲労した壬氏の回復を助ける。 - 火に強い衣装と猫猫の機転
天女の伝説が語られる中、猫猫は火浣布の特性を利用して衣装を手に入れ、賢さを発揮する。 - 子どもの治療と家族の再起
猫猫は貧しい家族の子どもを治療し、姉が新たな道を選ぶ過程を助ける。 - 図録の謎と蝗害対策
図録の内容を調べ、蝗害対策として殺虫剤の製法や雀の禁猟を検討する。 - 仙女の正体と水銀の危険
猫猫は仙女の技を見抜き、水銀の危険性と錬金術の謎を解明する。 - 遠出の準備と新たな任務
猫猫は附子の毒性を見抜き、薬師としての訓練を始める中、壬氏と新たな任務へ向かう準備を整える。 - 紙職人の村と地主の対立
やぶの故郷は紙を作る村であり、地主が紙職人たちに嫌がらせを行うが、猫猫の計略により問題が一時的に解決する。 - 『月』の旅と蝗害対策
『月』と呼ばれる皇族が蝗害対策の任を負い、西方の地域を巡る旅の中で、登場人物たちの関係や政治的背景が描かれる。 - 盗賊襲撃と救出劇
山道で盗賊に襲われた一行は、果敢な対応で防御を成功させ、団結と勇気が強調される。里樹妃の旅への同行理由と政治的役割が示唆される。 - 里樹妃の出自と盗賊事件
里樹妃が皇族の血を引いている可能性や出自の疑問が浮上し、盗賊の阿片使用や白蛇信仰が絡む複雑な問題が描かれる。 - 西都到着と新たな生活
一行は西都に到着し、異国情緒あふれる風景や生活に触れる中、里樹妃の異母姉から暴力を受けた彼女を猫猫が慰める。 - 宴での政治的駆け引き
羅半と陸孫に呼び出された猫猫は宴に参加し、特使との交渉や里樹妃の出生の謎に関わる。宴では簪の美しさが注目されるが、猫猫は売ることを考える。 - 異母姉との対立と宴の準備
里樹妃の異母姉が猫猫に接触し、彼女の態度から対立が浮かび上がる。宴では北の災いが語られ、協力の必要性が示される。 - 宴後の混乱と里樹妃の擁護
獅子の逃走による騒動が起こり、猫猫が状況を収める中で、里樹妃の正当な地位を守るために観察力を発揮する。 - 壬氏との会話と阿多の反省
猫猫と壬氏が個人的な会話を交わし、阿多は過去の選択と結果を振り返る中で自身の複雑な感情と向き合う。
猫猫と糞餓鬼の生活が中々に微笑ましいw
挿絵も最高w
良いわ、、
糞餓鬼具合が凄く出ていて素晴らしい。
コレ、泣き喚くよりも厄介じゃ無いか?ww
このイラストを初めて見た瞬間、笑って吹いちゃったw
そして、その糞餓鬼が蝗害による食糧不足を予言するが肝腎要の処を覚えてない。
その資料を探していたら、拉致監禁されてた時に見張りをしていた奴が釣れ。
その後、玉葉妃の実家、西都に訪問する事になるのだが、、
その道中に唯一の癒し枠、猫の毛毛がヤブ医者の実家に引き取られてしまった!(涙)
その時に、ヤブ医者の家族と地元の農家達との諍いを蒸留酒の飲み比べで猫猫が解決するが、、
その問題の原因がヤブ医者の妹の長男と地元の農家の娘がロミオとジュリエット、、
その後、里樹妃と阿多元妃が合流するが、盗賊に襲われる不幸が発生するも呆気なく撃退。
そして、歓迎の宴の中、親族の嫌がらせで里樹妃か獣に襲われてしまうが馬閃が獣を撃退。
そして馬閃に春が、、
皇弟の壬氏も含めて、皆んな発情期だねw
猫猫ウンザリw
いや、壬氏って実際は現皇帝の息子なんだよね、、
母親は阿多元妃。
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備忘録
序 話
林檎をめぐる会話
追手をかわしている状況下で、少年が林檎をかじりながら登場した。塀の上から軽口を叩く彼に対し、苛立ちながらも反論を試みるが、追い詰められた状況に反論は不発に終わった。
小姓の少年との対話
少年は塀を降り、頭を撫でながら侍女たちの嘆きを引き合いに出し、戻るよう促した。その態度に反発しつつも、彼から差し出された食べかけの林檎を受け取り、一口かじった。少年の態度には軽薄さと優しさが入り混じっていた。
立場と葛藤
会話の中で、侍女たちや与えられた役割について触れられた。少年は「すべてにおいて最上級のものを与えられる立場」という言葉で相手を諭すが、本人の葛藤は解消されなかった。自分の若さと割り切れない感情が交錯していた。
相手を選ぶ宣言
少年の助言に対し、「大人になれ」という言葉を皮肉と捉えつつ、指を向けて「今晩の相手はおまえだ」と宣言した。その言葉には照れ隠しの皮肉が含まれており、二人の間に独特な空気が流れていた。
一話 蝗
朝の花街と猫猫の生活
花街の朝はけだるく、妓女たちは明け方までの疲れを癒して眠っていた。猫猫は寒さに震えながらあばら屋を出て、緑青館へ向かい湯浴みをしようとしていた。そこで、姐御分の梅梅と出会い、やり手婆に呼ばれたことを思い出した。
やり手婆とお館さんのやり取り
緑青館では、お館さんがやり手婆に怒られていた。お館さんが持ち込んだ話に対し、婆は拳骨を落としながらも緑青館の朝餉を準備した。その豪華な朝食には蝗の煮付けが並んでおり、妓女たちは驚きと嫌悪感を隠せなかった。趙迂だけがそれを平然と食べ、猫猫はその順応性に驚かされた。
趙迂の記憶と蝗害の兆し
朝餉の席で趙迂が「蝗がすかすかだと不作になる」と語ったことが猫猫の興味を引いた。彼の曖昧な記憶が重要な情報を示している可能性に気づき、猫猫は調査を始める決意をした。
市での買い物と趙迂の特技
猫猫は市で香を購入し、趙迂は似顔絵を描いて稼いでいた。その才能に周囲が驚きつつも、妓楼での彼の行動に警戒する者もいた。猫猫は趙迂に注意を促し、花街の外での活動を控えるよう忠告した。
不思議な書物との再会
趙迂が描いた蝗の絵をきっかけに、猫猫は過去に見た書物を思い出した。書店を訪れると偶然にもその書物と再会し、かつて監禁された部屋にあった本と同じものであることに気づいた。その内容が不老不死の薬の研究に関連するものだと分かり、猫猫の関心は一層深まった。
二話 右叫
盗品の発見と李白の協力
猫猫は市で不審な品物を見つけ、砦から流出した可能性が高いと判断した。知り合いの武官李白に協力を依頼し、書庫から盗まれた図録の行方を追うよう頼んだ。李白は白鈴に良い印象を与えたいがために自ら見張りを行い、結果として盗人を捕まえることに成功した。
捕らえられた盗人との対峙
盗人は痩せた男で、猫猫を見て驚き「蛇娘」と叫んだ。彼は以前、砦で猫猫の見張りをしていた人物であり、火事場泥棒として図録を持ち出した経緯が明らかになった。猫猫は脅しも交えながら情報を引き出し、まだ手元に図録があることを確認した。
右叫の対応と盗人の告白
右叫は飴と鞭を使い分けて盗人を落ち着かせ、彼の信頼を得ることに成功した。盗人は、飛蝗と蝗の違いや、農民が虫の分別を行っていることを説明しつつ、蝗害の兆候を示唆した。また、砦で研究を行っていた人物が蝗害を防ぐ方法を模索していたことも明らかにした。
趙迂の登場と緊迫した空気
趙迂が現れたことで、盗人は彼を「坊っちゃん」と呼びかけそうになり、猫猫はとっさに盗人の口を薬草で塞いだ。趙迂はその発言を覚えておらず、無邪気に振る舞っていたが、その存在が盗人にとって重要な意味を持つことが暗示された。
飛蝗と蝗害の問題への意識
猫猫は飛蝗と蝗に関する情報を基に、蝗害の兆候が現れている可能性を確信した。砦での研究の成果が国にとって重要な意味を持つことに気づきつつも、趙迂の正体にまつわる不穏な状況をどう処理すべきか悩む場面で物語は展開した。
三話 眠り
壬氏の来訪と図録の提示
猫猫の薬屋に壬氏が訪れた。彼の顔には傷が残っており、その美貌に不似合いな痛々しさがあった。猫猫は本屋で手に入れた図録を見せ、飛蝗の大量発生について話した。壬氏も北部農村での蝗害被害を把握しており、昨年の不作分には対応済みであると述べたが、今年の被害が続く可能性に憂慮していた。
図録の回収依頼
猫猫は壬氏に、砦に残ると思われる虫の図録の回収を依頼した。その図録には飛蝗に関する詳細な記録が含まれている可能性が高く、蝗害の予防策を探るための重要な手がかりになると説明した。壬氏はその要請を受け入れ、高順を通じて対応を進めることとなった。
壬氏の疲労と休息の勧め
猫猫は壬氏の疲労を察し、緑青館での休息を提案した。やり手婆の協力で準備された最上階の部屋に案内され、壬氏はそこで湯浴みを提案されたが、環境に慣れないため遠慮した。猫猫は滋養強壮の茶を差し出し、壬氏を励ましつつ、彼の疲れを癒す手助けを行った。
妓女たちの登場と壬氏の反応
猫猫は壬氏のために妓女たちを用意したが、壬氏は戸惑いと拒絶の態度を見せた。彼の意図を理解しない妓女たちは自らをアピールしたが、壬氏はただ眠りたいとだけ伝えた。猫猫は妓女たちを下がらせ、壬氏に静かな環境を提供した。
壬氏の眠りと別れ
壬氏は猫猫に子守唄を頼み、猫猫の歌声で深い眠りについた。目覚めた後、彼は元気を取り戻し、粥を三杯も平らげて薬屋を後にした。猫猫は壬氏を見送りながら、彼の体調と仕事量を案じたが、ひとまず安心してその姿を見送った。
四話 火鼠の皮衣
緑青館からの帰宅と寒さへの対応
猫猫は緑青館で店を閉め、売上金をやり手婆に預けた後、趙迂と共にあばらやへ戻った。隙間風の寒い家で、火をおこして汁物を温め、簡素な夕食をとった。趙迂は不満を漏らしたが、猫猫は堅実な生活態度を崩さず、翌日に着物を買いに行く計画を伝えた。
市での買い物と衣装との出会い
翌日、猫猫と趙迂は市に出向き、庶民向けの服屋で綿入れを探した。その際、店内で白い長襖裙が目に留まった。その衣装は店主によると「天女が織った衣」とされ、異国の物語と共に語られた。興味津々の趙迂に反し、猫猫は現実的な見地から冷静に衣装を観察した。
天女の衣の秘密と交渉
猫猫は店主の話を聞きつつ、衣装の素材が石綿であることを見抜いた。石綿製の布は燃えない特性を持つため、店主が語る伝説を裏付けるものだった。猫猫は試しに炭で布を焼こうとしたが、全く焦げることがなく、その特性を証明した。この結果、店主を納得させ、衣装を実質無料で手に入れた。
伝説と現実の解釈
猫猫は衣装の刺繍や素材から、伝説に潜む現実を読み取った。衣装の紋様は異国の文字に由来し、娘が自身の窮状を記録した可能性が高いと考えた。また、石綿と濡れた衣装の組み合わせで火災から身を守り、逃亡したと推測した。猫猫は伝説の浪漫を壊さないよう店主には詳細を語らず、穏やかにその場を後にした。
帰宅とさらなる推測
帰り道、猫猫は衣装を作った娘が異国の間者である可能性を考えた。高い知識と技術を持つ娘が地方の村で見つかった経緯には、謎が多いと感じた。猫猫はくだらない妄想だと自分に言い聞かせながらも、笑みを浮かべて家路についた。
五話 麺麭がなければ
助けを求める中年男の訪問
深夜、中年の男が猫猫の家を訪れ、病気の子どもを診てほしいと懇願した。猫猫は初め相手にしなかったが、男が血判を押した証文を差し出したため、診察を受けることを渋々承諾した。
路地裏の劣悪な環境
男が猫猫を連れて行ったのは、路地裏のあばら家であった。そこには病気で衰弱した子どもと、その姉がいた。家の中は不衛生で悪臭が漂い、子どもは栄養失調に加えて毒による中毒症状を起こしていた。
原因究明と毒の影響
猫猫は子どもに与えられた焼き菓子が毒の原因であると見抜いた。この焼き菓子は中毒を引き起こす粗悪な麦が使用されており、それを食べたことで体調が悪化していた。母親も同じ焼き菓子を食べており、流産の末に亡くなったことが判明した。
子どもの救出と治療
猫猫は劣悪な環境では回復が望めないと判断し、子どもを自身の家に連れて帰った。右叫の協力で、子どもを安全に移動させ、適切な治療と栄養補給を施したことで徐々に回復へ向かった。
姉の覚悟と決意
後日、姉が訪れ、妹を救うために自分を妓楼に売るよう猫猫に懇願した。彼女は現状を脱し、妹を守るための決意を示し、自らの意思で進む道を選んだ。猫猫は彼女の決意を認め、準備を促した。
新たな一歩への支援
猫猫は姉に衣服を与え、身なりを整えるよう助言した。姉は自らの選択した未来へ進む準備を整え、妹と共に新しい生活を目指すこととなった。猫猫は冷静に彼女たちを見送り、自己責任を伴う選択の重要性を心に留めた。
六話 最後の一冊
馬閃の訪問と薬学の依頼
高順の息子である馬閃が薬屋を訪れ、猫猫に図録を持参した。猫猫は虫や植物に関する記録を確認するが、蝗害に関する重要な情報は見当たらなかった。馬閃の説明では、図録の一部が欠けている可能性が示唆され、猫猫は原因を探る必要に迫られた。
白鈴の介入と薬屋での騒動
緑青館の妓女である白鈴が馬閃に近づき、彼の反応を楽しむような振る舞いを見せた。白鈴の行動は、客として訪れた馬閃を困惑させたが、猫猫は茶菓子を楽しみながら事態を傍観した。最終的に馬閃は図録を置いて退散し、白鈴は初物の機会を逃したと不満を漏らした。
翠苓との対話と図録の謎
阿多のもとで暮らす翠苓に会うため、猫猫は迎えの馬車で移動した。翠苓は図録の一部が欠けていることを認め、さらに師である医官が蘇りの薬を自ら試して生存している可能性を語った。しかし、医官は記憶を失い、研究の多くが失われていることが明らかとなった。
蝗害に関する記録と対応策
図録には蝗害に関する詳細が記されており、飛蝗の変化や駆除方法について触れられていた。殺虫剤の調合法や幼虫の駆除策が記されていたが、抜本的な解決策はなく、猫猫はさらに対応策を考える必要があると結論づけた。
猫猫の提案と壬氏の苦悩
猫猫は飛蝗料理を宮廷料理として取り入れることを提案したが、壬氏はそのアイデアに動揺した。壬氏は飛蝗を試食し、嫌々ながらも食べる姿を見せたが、周囲の人々はその光景に衝撃を受けた。
緑青館での夜の一幕
夜、猫猫は妓女たちと語らいながら、好みの男性像について話を振られるが、描かれた人物が後宮の医官に酷似していたため、場は一気に冷めた。女華は猫猫に現実を見据えるよう諭し、妓女としての生き方と信頼の難しさを語った。猫猫はその言葉に深く考えさせられたが、自らの進む道を見据えていた。
七話 白蛇仙女
猫猫と仙女の噂
梅梅小姐と女華小姐は珍しい「仙女」について話し合い、その特徴や噂を議論していた。白い髪と赤い瞳を持つ仙女は、人の心を読む力や金を生み出す術を持つと言われ、都の高級劇場で見世物を行っていた。その奇異な存在に興味を持った猫猫は、仙女の実態に疑念を抱きつつも話に耳を傾けた。
仙女との邂逅
羅半とその護衛陸孫に誘われ、猫猫は仙女の公演を観に行くことになった。劇場内では、高級な雰囲気と怪しげな演出が施され、仙女と称される白娘々が登場した。彼女は猫猫に舞台上で数字を書かせ、その内容を見事に言い当てた。また、銅を銀や金に変える術など、驚異的な技を披露し観客を魅了した。
演出の裏側を探る猫猫
猫猫は仙女の「術」が錬金術や奇術の一環であると見抜いた。銅が銀や金に変わったように見えるのは鍍金であり、また、数字を当てる方法は墨に塩を混ぜた特別な仕掛けや音響技術を用いたものだと推測した。舞台の構造や観客の心理を利用した巧妙な演出により、仙女は不思議な力を持つ存在として認識されていた。
危険な液体と最後の幕
白娘々が最後に飲んだ銀色の液体は水銀であり、毒性が高いものだった。猫猫はその危険性を警告し、羅半に高官たちへの説明を求めた。その後、仙女の一座は都を去り、商人たちの食中毒事件が発生した。仙女の目的や真意は不明のまま、猫猫はその謎に思いを馳せた。
猫猫の思索と教訓
不老不死を求める権力者たちの歴史を思い返しながら、猫猫は毒と薬の使い方次第で結果が異なることを再認識した。仙女が残した謎を抱えながら、猫猫は丹砂を薬棚にしまい、日常へと戻っていった。
八話 向き不向き
壬氏の依頼と猫猫の対応
壬氏から届いた文には、猫猫にとって断りにくい依頼が記されていた。猫猫はその内容に頭を悩ませつつも準備を始めた。そんな折、趙迂と梓琳が毒草を間違えて摘んできたため、猫猫は彼らに毒草の危険性を説き、左膳にも薬草の知識を教え込む必要性を感じて行動に移した。
左膳の指導と新たな役割
左膳が薬草や調薬の知識を持っていることを知った猫猫は、彼を薬屋の助手として育成することを決めた。左膳の習得力は高く、猫猫は薬草の見分け方や調薬を教えながらも、毒草の使用方法については慎重に扱った。また、趙迂には教育の機会を与えるが、彼は遊びに興味を示し、学びには積極的でなかった。
やぶ医者との再会と同行者の出現
猫猫は久しぶりにやぶ医者と再会し、彼の実家に帰る理由を聞いた。実家の紙作りに関連する問題を調査するために帰郷するというやぶ医者に同行を求める人物がいると告げられた。後にその人物が現れると、変装した壬氏と馬閃であり、猫猫もその旅に同行するよう求められることとなった。
出発の準備と疑念
壬氏の依頼は急であり、猫猫は準備不足に戸惑いながらも同行を承諾した。壬氏の変装やお忍びの旅の目的について、猫猫は何か重大な計画があると察しつつも、詳細は明かされなかった。壬氏の役割や皇室の動向について思いを巡らせながら、猫猫は新たな旅路に向けた準備を進めていった。
九話 紙の村
地主との対立と交渉の場
話し合いは地主の村にある酒場で行われた。地主側は十五人以上の屈強な男たちを引き連れ、紙職人たちとの交渉に臨んでいた。やぶや猫猫、壬氏、馬閃たちも同席したが、交渉の主導権は地主側に握られており、紙職人たちは不利な状況に追い込まれていた。地主は「契約書は無効だ」と主張し、職人たちに技術を教えさせた後に追い出すという非道な提案を繰り返していた。
猫猫の飲み比べ挑戦
交渉が膠着状態に陥る中、猫猫は地主に「飲み比べ」の賭けを提案した。自らを担保にする大胆な行動に場は騒然としたが、猫猫は次々と地主の手下を打ち負かした。酒に混ぜたのは消毒用の高濃度酒精であり、これが地主とその手下たちを次々と倒れさせた。猫猫は勝負に勝ち、地主に書かせた証文を紙職人たちに渡した。
地主の不正と税逃れの疑惑
猫猫は地主の不正を暴いた。地主が紙職人たちを追い出そうとする背景には、自分たちが酒造の原料を得るための二重の税逃れが関係していた。地主は役人に通報されることを恐れ、結局、紙職人たちとの契約を認める形で妥協した。猫猫は状況を利用して紙職人たちに有利な条件を引き出すことに成功した。
茶番の結末と村の未来
交渉の場では、地主の娘とやぶの甥の関係も浮き彫りになった。この茶番劇が村の混乱を引き起こした原因の一つであったが、最終的には紙職人たちの村は五年間の返済猶予を得ることで決着した。また、地主は緑青館への米の供給を約束し、猫猫への支払いも肩代わりする形となった。猫猫はすべてを茶化すように終え、今回の事件を冷静に振り返ることなく、再び酒を楽しんだ。
十話 麻と民間信仰
主上と高順の語らい
主上は月夜を眺めながら高順に言葉をかけた。話題は「月」と呼ばれる壬氏のことであり、彼の役割や近況についてだった。高順は馬の一族として主上を幼少期から支え、壬氏の護衛任務を自らの息子、馬閃に託した。壬氏の西都行きには猫猫も同行しており、毒防止の名目で護衛の一環を担っていた。
蝗害対策と西方の情勢
主上は蝗害について憂慮し、その対策を壬氏に託した。蝗害は西からの風に乗って飛蝗がやってくる自然災害であり、放置すれば国全体に影響を与える可能性がある。また、蝗害が引き起こす飢饉や暴動により国が荒れる危険性も懸念された。西戌州の統治者不在の背景も語られ、壬氏の任務には外交的要素が含まれていることが示唆された。
猫猫と壬氏の道中の風景
猫猫たちは紙職人の村を後にし、西都へ向けて旅を続けていた。途中の宿場町では麻の栽培が盛んな様子が見られ、猫猫は地元特産の麻花を購入した。壬氏は表向き変装した姿を続けながら、旅の道中でも独特な興味を示し、猫猫と買い物を楽しんだ。
盗賊の脅威と宿場での準備
宿場の住民から、近隣の街道で盗賊が出没しているとの情報を得た。盗賊は商人や旅人から通行料を要求する程度の存在であり、直接の危害を避ける方法もあるとされた。馬閃は馬の手配を整え、壬氏と猫猫は旅の準備を進めつつ、盗賊への備えを心に留めた。猫猫は状況を冷静に観察し、出会わないことを願いながら旅を続ける覚悟を決めていた。
十一話 盗賊
義賊の脅威と馬閃の怒り
馬借が地図を指しながら、盗賊の頻度や被害の状況を説明した。義賊と呼ばれる者たちは通行料として荷の半分を要求するだけで殺生は避けるらしく、馬閃はそれを不機嫌そうに聞いていた。壬氏は馬乗りになり、猫猫は馬車で旅を続けたが、途中で盗賊に襲われた別の馬車の一団が助けを求めてきた。その者が差し出した木の札を見て、壬氏と馬閃の表情が変わり、馬閃は即座に駆け出した。
襲撃現場の惨状と盗賊の末路
馬閃が駆けつけた先では、盗賊たちが縛られ、護衛たちは傷だらけで倒れていた。猫猫は現場に残された護衛たちの手当てを始めたが、切断された腕は再接続できない状態であり、可能な限りの応急処置を施した。阿多は冷静に盗賊への対応を語り、女を売り払うという要求に反発した結果、乱闘が起きたことを明かした。
翠苓との再会と里樹妃の同行理由
治療中、翠苓が現れ、猫猫を手伝った。彼女もまた、阿多の護衛として同行していた。さらに、天幕では里樹妃が震えながら阿多に縋りついていた。里樹妃の西行の理由を問うと、阿多は今回の会談が皇弟の婚姻を含む目的であることを明かした。阿多の含みある言葉と態度は、猫猫に新たな疑問を抱かせるものであった。
十二話 積み重なる問題
里樹妃の抱える疑念と皇帝の謎
里樹妃は猫猫を訪ね、自分の父が本当に実父であるかどうかの鑑定を依頼した。彼女の母親は阿多の友人であり、里樹妃が皇帝と関係があるのではないかという暗示を匂わせた。猫猫はその可能性を否定しきれなかったが、親子関係を証明する方法がなく、調査には慎重な姿勢を見せた。
阿片の発見と馬借の供述
馬借が猫猫に差し出した薬が阿片であることが判明した。これは旅芸人と共に移動していた商人から入手したもので、無知な馬借はその危険性を理解していなかった。さらに、馬借が語った白髪の少女の目撃談は、猫猫にとって思い当たる節が多く、過去の出来事と関連する可能性を示唆していた。
盗賊の背景と阿片中毒
猫猫たちが捕えた盗賊の一人には蛇の刺青があり、手首の紐は蛇の交尾を模したものだった。彼らは阿片中毒者であり、普通の義賊とは異なる集団であることが明らかになった。猫猫は阿片と盗賊集団の関係を疑いながらも、これがさらなる混乱を招く問題であると直感していた。
十三話 西都 初日
目的地への到着と旅路の困難
旅の途中、猫猫たちは砂地と礫の広がる乾燥地帯を抜け、目的地である西都に到着した。旅の環境は過酷であり、日中の強い日差しと夜の冷え込みが特徴的であった。猫猫は翠苓とともに薬の調合について議論しながら時間を過ごし、一方で里樹妃は立場上、侍女に囲まれて身動きが取れない日々を送っていた。猫猫はこの旅路での出来事や里樹妃の状況について観察を続けた。
西都の賑わいと壬氏の登場
西都は砂漠の中の都市らしい独特の雰囲気を持ち、乳白色の壁と赤褐色の瓦、そして香辛料の香りが漂う市の賑わいが広がっていた。一行は地元の有力者である楊玉袁の屋敷に迎え入れられ、壬氏がその場で身分を明かすと、同行者たちは驚きを隠せなかった。猫猫は豪華な部屋に案内され、異国情緒あふれる環境を楽しみつつも、次の動きについて考えていた。
里樹妃と異母姉の対立
里樹妃の部屋から異母姉による侮辱の声が聞こえ、猫猫はその後、里樹妃を訪ねて叩かれた頬の手当を行った。異母姉の存在と嫌がらせの背景には、里樹妃の出生にまつわる複雑な事情が絡んでいる可能性が示唆された。猫猫は阿多を誘い、里樹妃との夕食を計画することで彼女を元気づけようとした。
壬氏と里樹妃の婚約話
馬閃は壬氏と里樹妃の婚約話について猫猫に相談した。壬氏の側近である馬閃は、この婚約が持つ政治的意味合いに疑念を抱いていた。猫猫は壬氏と里樹妃の関係については前向きに考える一方、馬閃の焦燥感や疑念にも一定の理解を示した。
深夜の接触と壬氏の追及
夜、猫猫と馬閃は廊下で会話をしていたが、壬氏たち一行に見つかりそうになる場面があった。馬閃の焦りと壬氏の捜索が交差する中、猫猫は馬閃の未熟な隠密行動に呆れながらも、壬氏が事態をどう収拾するのか注視していた。
十四話 西都 二日目
羅半の要請と人相書きの話題
羅半は猫猫を屋敷の四阿に呼び出し、彼女に宴への参加を求めた。羅半が見せた人相書きには、白娘々を思わせる特徴的な女性と、謎の男性が描かれていた。陸孫の証言によれば、男性は数日前に砂欧の商人に混ざっていたという。この情報から、白娘々との関連性や他国との政治的問題が懸念された。
宴への準備と猫猫の対応
猫猫は羅半の説得に応じ、宴の準備を始めた。羅半は彼女に簪を渡し、羅の姫君として振る舞うよう求めたが、猫猫はそれを不本意ながら受け入れた。簪には芥子の意匠があり、猫猫はそれを意味深に感じつつも頭に飾った。
里樹妃の父、卯柳の登場
宴では、里樹妃の父である卯柳が参加し、壬氏との接触を試みた。彼の隣には里樹妃の異母姉が座り、壬氏に興味を示していた。卯柳は場違いな行動で周囲を困惑させ、使用人への態度の悪さが露見した。この出来事から、卯柳の短慮さと家族内の問題が浮き彫りになった。
宴の中での猫猫と陸孫の交流
宴の中、陸孫は猫猫の世話を焼きながら、料理の取り分けや簪への言及をするなど紳士的に振る舞った。猫猫は彼の対応に感心しつつも、簪の価値を密かに計算する自分に苦笑していた。
卯柳の粗野な行動と玉袁の対応
宴の終盤、卯柳は女中に対して皿を弾き飛ばし、料理を無駄にするという粗野な行動を見せた。この行為は場の雰囲気を一時険悪にし、使用人たちの間にも緊張を生んだ。玉袁はその場を取り繕うため、迅速に対応する姿勢を見せたが、卯柳への不満が漂っていた。
十五話 宴 前編
異母姉との対峙
猫猫の部屋に訪れたのは、里樹妃の異母姉であった。異母姉は猫猫を見下す態度を隠さず、「名前持ち」として挨拶をしてきたが、実際は視察の意図が強かった。異母姉は猫猫の簪に目をつけ、その価値を探ろうとしている様子であった。
庭での植物観察
猫猫は庭で珍しい植物「仙人掌」を観察した。そこには翠苓もおり、二人は仙人掌の特徴や利用法について語り合った。仙人掌は乾燥地帯で育つ植物で、実や茎が食用になるとされる。翠苓との会話を通じて、里樹妃の体調を気遣う場面もあった。
宴の準備と異国風の衣装
宴に向けて猫猫は羅半の用意した西方風の衣装を身につけた。派手な衣装と銀簪が猫猫を引き立てていたが、本人はその装飾を煩わしく感じていた。宴では立食形式が採用され、毒の混入や監視が困難であることを猫猫は危惧していた。
宴会場での出会い
宴会場では、多くの客が壬氏や阿多との接触を試みていた。猫猫は羅半に同行し、周囲の人々や風景を観察していた。西方からの来客の中には、かつて王都を訪れた女特使の一人が含まれており、彼女は羅半との交渉を始めた。
女特使との交渉
女特使は羅半に穀物取引の提案を持ちかけた。彼女の話には砂欧と北亜連に関連する不穏な内容が含まれており、「北の災い」という言葉が猫猫の興味を引いた。さらに、女特使は取引が不成立の場合、自身の亡命を助けるよう依頼した。この申し出に猫猫は新たな問題の予感を抱いた。
十六話 宴 後編
商談と亡命の駆け引き
羅半は、女特使からの「亡命」という申し出を一蹴し、穀物取引に関する商談に意識を集中していた。一方で猫猫は、女特使の発言が砂欧と北亜連の蝗害を示唆していることに気付き、不穏な空気を感じていた。猫猫は特使の駆け引きを好まず、場内の状況を確認しようと戻ることにした。
舞踏と壬氏の登場
会場では西方式の舞踏が始まっており、男女がペアを組んで踊っていた。壬氏は天上の笑みを浮かべ、多くの人々に囲まれていたが、隣の馬閃は緊張し、若い女性たちにたじろいでいた。猫猫は阿多が男役を務めたことで壬氏や馬閃が余った状況を観察していた。
陸孫との舞踏
猫猫は陸孫に果実酒を勧められた後、彼に無理やり舞踏に誘われた。不本意ながら踊る中で、陸孫は猫猫の価値とその背景を指摘した。さらに彼は猫猫の頭の簪に言及し、その象徴的な意味を思い出させた。
里樹妃の窮地
里樹妃は香水瓶の事故により強い香りをまとい、動けなくなっていた。猫猫が彼女を助けようとする中、会場には見世物として巨大な獅子が運び込まれた。その威圧感に里樹妃は怯えていたが、獅子が檻を壊して暴れ始めたことで事態は急変した。
獅子の暴走と馬閃の活躍
暴れ出した獅子が猫猫と里樹妃に迫る中、馬閃が鉄格子を武器に獅子を撃退した。里樹妃と馬閃は一瞬、特別な感情を交わしたようだったが、猫猫はその場の空気に疎外感を抱いていた。
歯が示す親子の証拠
その後、猫猫は卯柳の怪我を診るふりをして歯を観察し、卯柳、異母姉、里樹妃が同じ歯の欠損を持つことに気付いた。この共通点が親子関係を示す手がかりであると指摘し、里樹妃が父親からもっと愛されるべきだと暗に訴えた。
終 話
壬氏との語らい
猫猫は寒さに震えながら庭の長椅子に座っていた。そこに壬氏が現れ、脆い鉄格子の話題から獅子が里樹妃を襲った理由について話し合った。猫猫は香水の強い香りが獅子を引き寄せた可能性に気づいていたが、壬氏との会話で核心には触れなかった。壬氏は猫猫の反応を伺いながらも、彼女をからかうような態度を崩さなかった。
簪の意味と壬氏の想い
壬氏は猫猫の簪に触れ、それが自分からの贈り物であることを示唆した。猫猫はその意味を軽く流そうとしたが、壬氏の執拗な視線と行動に困惑しつつも、冷静に対応していた。壬氏は彼女の頭を弄びながら、簪の象徴するものを口にはしなかったが、その態度から何かを求めていることが明らかであった。
壬氏の感情と猫猫の拒絶
壬氏は猫猫に対し、他の候補者と同じく彼女も選択肢の一つであることを示唆した。猫猫はその意図を理解しつつも、彼の行動を冷静にかわし続けた。壬氏の求める感情に応じない彼女の態度が、彼の内なる空虚をさらに刺激していた。
阿多の回想と二つの約束
一方、阿多は冷えた庭で酒を飲みながら、過去に交わした二つの約束を思い返していた。子どもを取り替えた出来事や、友人への不適切な行動を後悔しつつも、自身が抱いた母性と吾子への愛情を胸に秘めていた。また、阿多は「月」との戯れのような約束を思い出しながら、その行方を見守る覚悟を固めていた。
結末への期待
阿多は「月」がどんな花を選ぶのかを見守る立場を取った。それが西戌州の大花であれ、他の誰であれ、彼の決断が次の物語を動かす鍵となることを確信していた。
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二期【2025年放送決定!】
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