どんな本?
『魔法科高校の劣等生』は、佐島勤 氏による日本のライトノベル。
略称は「魔法科」。
物語は西暦2097年、3月。
魔法が現実の技術として確立し、魔法師の育成が国策となった時代を舞台にしている。
主人公は、国立魔法大学付属第一高校(通称「魔法科高校」)に通う兄妹、司波達也と司波深雪。
この作品は、原作小説の累計が1,400万部、シリーズ累計が2,500万部を突破し、大人気のスクールマギクスとなっている。
また、2024年には3期目のTVアニメが放送されることが決定している。
さらに、この作品は様々なメディアで展開されており、ライトノベルだけでなく、漫画やアニメでも楽しむことができる。
読んだ本のタイトル
魔法科高校の劣等生 (18) 師族会議編〈中〉(The Irregular at Magic High School)
著者:佐島勤 氏
イラスト: 石田可奈 氏
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あらすじ・内容
深雪に婚約を申し込んだ将輝。彼は想いを果たすため強引な手段にでる……!
世界中の魔法師が注目する師族会議は、何者かによる自爆テロによって幕を下ろした。
魔法科高校の劣等生(18) 師族会議編<中>
この残酷な計画は、死体を操る魔法によって引き起こされていた。使用された魔法を手がかりに、黒幕を追う達也。そして、
「四葉家の司波達也殿がお前と同様、十文字殿の下で捜索に加わる。将輝、意地を見せろよ」
そう一条剛毅に発破をかけられた将輝は、『テロの黒幕』捜査メンバーである達也に対抗するように東京へ向かう。
深雪に『婚約』を申し込んでいる彼は、思い掛けない手を使って深雪にアプローチを試み……。
感想
日本中の魔法師が注目する師族会議が、自爆テロによって中断させられる場面から始まる。
このテロは、死体を操る魔法によって引き起こされたもので、その背後には謎の組織とその黒幕がいることが明らかになる。
主人公の達也は、四葉真夜の命令でこの黒幕を追うことになる。
一方で、深雪に婚約を申し込んだ将輝は、彼女にアプローチを試みるが、その方法は強引なものであった。
一条剛毅からの発破を受け、『テロの黒幕』捜査メンバーとして東京へ向かう将輝は、達也に対抗心を燃やす。
テロの黒幕を追う達也の活躍と、深雪への思いを強くする将輝の姿を描きながら話は進行し。
テロの実行犯を追い詰める中で、達也たちはUSNA軍と遭遇し、彼らとの間で複雑な関係が展開される。そして、深雪は四葉家の次期当主として指名され、達也との関係にも変化が現れる。
しかし、物語のクライマックスでは、深雪たちにも危機が迫る。
反魔法師の一般人からの暴行に直面し、魔法師たちは社会からの非難の対象となってしまう。
魔法師を排斥する運動が活発化し、魔法科高校の生徒たちも被害を受ける中、達也と深雪の関係はさらに試練にさらされる。
結局、テロの黒幕は明らかになり、達也たちの活躍によって事件は解決に向かうが、魔法師たちが直面する社会的な問題は深刻であり、その解決にはまだ道のりがあることが示唆される。
最後までお読み頂きありがとうございます。
備忘録
6
西暦2097年2月5日、箱根のあるホテルで、十師族選定会議の会場となっていた場所で大規模な爆弾テロが発生した。このテロは、会議終了後に発生し、十師族の当主たちは会議のために中に残っていた。この惨事を知った達也たちは現場へ急行し、到着したところだった。達也は深雪が火を消そうとするのを制止し、その代わりに被害者たちと合流することを提案する。十師族の当主たちは警察に事情聴取されているが、達也たち学生は彼らの側を離れることになる。克人からの簡単な説明によると、自爆テロには動く死体が使用されていたが、詳細は不明である。この事件をどのように報道するかが、今後の世論に大きな影響を与えることが予想される。達也は深雪とともに学校に戻ることにし、琢磨は現場に残ることを選択する。
焼け落ちたホテルの惨状と多数の怪我人、死者を背景に、そのテロの首謀者、顧傑は小田原のある一軒家から事態を見守っていた。彼が計画した自爆攻撃は、予想通りの少ないロスで成功し、彼の使用した旧式ながら高性能な爆発物は、街のセキュリティを欺いて検出されなかった。また、彼の死体操作魔法もセキュリティセンサーに捉えられることはなく、無事にホテル内に侵入することに成功した。顧傑は、自身の技術が市街地のセキュリティレベルを上回ると自負し、その成功に満足感を覚えていた。彼の狙いは十師族に実害を与えることではなく、彼らが自己保身に走り他人を見捨てる姿を露呈させることにあった。このテロで十師族の巻き添えとなった死者は二十人以上、負傷者は五十人に上ると顧傑は推測している。彼はこの事実をもって、十師族が日本人を見捨てることを日本人に知らしめ、十師族への憎悪を煽ることを目論んでいた。立ち去る彼の足下には、この家の元の持ち主とその家族の死体が転がっていた。
スターズのナンバー・ツーであるベンジャミン・カノープス少佐は、箱根テロ事件の現場中継をUSNA大使館で見ていた。彼は、非戦闘員がテロの犠牲になる様子に苦悩していた。カノープスは、非戦闘員の保護を重視し、そのためには可能であればテロを阻止したかったが、それは彼に許されていなかった。彼の任務は、ヘイグ(顧傑)の暗殺であり、日本当局との協力や兵器盗難の事実の開示は禁じられていた。公海上でヘイグを抹殺することが彼に求められている。カノープスは軍人としての義務を果たす決意を固めていた。
警察の事情聴取から解放された十師族の当主たちは、魔法協会関東支部へ向かい、会議を開催した。会議では、現状のマスコミ対策とテロへの対処方法について意見が交わされた。最終的には、魔法協会を通じてテロを非難する声明を出し、テロの首謀者を捜索する方針が決定された。この決定には、各家からの協力も確認された。
師族会議後、十師族の当主たちは自地域でのテロ防止に警戒を強めるため本拠地へ戻った。この会議で、魔法協会を通じてテロを非難する声明の発表とテロ首謀者の捜索・捕縛が決定された。一条剛毅は息子の将輝にこれらの方針を伝え、彼にテロリスト捜索の任務が与えられたことを告げた。一方、四葉達也は学業を中断し、テロ首謀者捕縛の任を受けた。真夜からの命令により、彼は十文字克人の指揮下で活動することになった。真夜はテロ首謀者の詳細を達也に伝え、捜索の責任は十文字克人が、実働部隊は七草家が担うことを明かした。
達也との通話後、真夜は葉山に手掛かりの有無を問うが、まだ見つかっていないという回答を受ける。事前の警告にも関わらず敵に出し抜かれたことに悔いがあると真夜は語る。疲労感を隠しきれないでいたが、葉山は既に起こったことを悩んでも仕方がないと助言する。肉体的な疲れが精神的な活力を低下させていることを認識し、真夜はその夜は休むことを決める。何か新しい情報が出てきたら翌朝に知らせるよう葉山に頼む。
7
テロ事件の翌日、達也は八雲のもとを訪れ、普段とは異なる要求をする。彼は八雲に鬼門遁甲の対策を教えて欲しいと頼む。八雲は達也に直接術を教えたことがないと指摘するが、達也は迫る必要性からその技術を求めた。達也は自身の技術が特定の分野に偏っていることを自覚しており、八雲に対して魔法に依存しない方法を教えて欲しいと願う。八雲は達也の要望に対し、秘術ではないため守秘義務には触れないと回答する。八雲は達也に対して幻術を用いて試し、達也はそれを自力で打ち破る。八雲は達也に直接鬼門遁甲の術式を教えるわけではないが、彼の質問に応じていくうちに、達也は八雲からの間接的な示唆を得る。達也は八雲に感謝を表し、いつも通りの体術修行に戻る。
達也は八雲との日課を終えた後、通常通り登校した。昼休みにテロリストの犯行声明がニュースで流れ、達也と友人たちはその内容に批判的な意見を交わす。その日の夜、達也は十文字家に招かれ、克人と真由美に会う。克人は達也と真由美の協力をテロ首謀者追跡の任務に求めた。克人の提案により、真由美は七草家と十文字家の情報連絡係としての役割を引き受ける。三人は情報交換のため、今後直接会って打ち合わせることに同意した。待ち合わせは魔法大学の正門前で、明後日の十八時に設定された。
達也、真由美、克人が東京の十文字邸で相談をしている頃、一条剛毅は地元の名門料亭で第三高校校長・前田千鶴と会っていた。剛毅は息子の将輝がテロ首謀者追跡の任務に就くため、しばらく東京の別宅に滞在し、学校を休むことになると説明し、その期間を公休扱いにしてほしいと前田に頼む。前田はこれを拒否するが、代わりに第一高校で理論課程を学べるよう手配すると提案する。一方、ヘイグの犯行声明は世論を魔法師非難に傾け、マスコミも魔法師を悪者扱いする論調を展開していた。一高の生徒たちはニュースを気にしながら、マスコミの偏った報道に不満を抱いていた。生徒会室では、一高生たちがその状況について様々な意見を交わし、十師族の対応について議論していた。
花音は泉美に謝り、二人は和解したが、これは直接の関係と調停者の存在があったためである。一般には魔法師と非魔法師の間に調停者がおらず、魔法師への悪感情はエスカレートする一方である。魔法師を擁護する声もあるが、それは小さく、現状では魔法師に耐える以外の手段がないように見える。この状況は特に若者にとって受け入れがたいものであり、七宝家の長男・七宝琢磨もその一人である。彼は行動を起こすため、過去に支援を受けた女優・小和村真紀のもとを訪れ、彼女に協力を求めた。真紀は琢磨の変化に驚きつつも、彼の願いを受け入れる。これは将来、琢磨が映画俳優としてデビューするきっかけとなる。
箱根のホテルで起こったテロ事件の実行犯の遺体を調査するため、黒羽貢と呼ばれる男性と、吉見と呼ばれる女性が警察のモルグを訪れた。彼らの目的は、死者の残留思念を読み取ることであった。この技術は、死者に残された想子情報体を解析するもので、四葉家が開発し、黒羽家が諜報活動で使用していた。一方、警察では、大規模テロ事件を警察省の広域特捜チームが捜査しており、捜査は難航していた。犯人が全員死亡しているため、事件の背後に死体を操作する魔法があるとの見方が強まっていた。警部の千葉寿和は、情報屋から死体を操る魔法に詳しい「人形師」と呼ばれる魔法研究家を紹介される。その後、寿和は横浜事変以来会っていなかった藤林響子と再会し、彼女から「人形師」が大漢出身の魔法師と関わりがある可能性を警告される。
二月八日金曜日、十七時五十七分に達也は魔法大学の正門前で克人に指定された待ち合わせ場所に到着した。彼はハーフコートを羽織り、真由美と合流した。真由美はダッフルコートにロングブーツという装いで、二人は真由美が指示するレストランへと向かった。このレストランは克人が貸し切りにしており、他の客を気にする必要はなかった。達也と真由美はテロリストに関する情報交換を行ったが、特に新しい手掛かりは見つからなかった。克人からは引き続き情報収集を依頼され、真由美は警察への協力を提案した。その後、克人は達也に真由美を送るよう頼んだ。帰り道、雪が降り始め、達也は傘を差し出し、二人は一緒に傘に入りながら歩いた。
達也が真由美を送った後、彼は自宅に戻り、深雪に迎えられた。深雪は達也のコートから真由美の香水の香りを感じ取りつつも、何も言わず、以前のような振る舞いができなくなっている自分に気づいていた。達也に嫌われることへの恐れが彼女を臆病にしており、深雪は達也の婚約者としての地位を失うことを恐れていた。達也は深雪が葉山からの伝言を伝えた後、顧傑が鎌倉に潜伏しているとの情報を得る。しかし、なぜその場所が分かっていながら捕縛に動かないのか疑問に思っていた。その頃、顧傑は鎌倉の隠れ家を後にし、追跡を妨害するための準備をしていた。彼は自分の存続が長くないことを認識しつつ、次の隠れ家へと向かっていた。
アメリカ西海岸で、レイモンド・クラークはフリズスキャルヴの端末を用いて、日本の箱根で起こったテロ事件に関する情報を調査していた。彼は事件の裏側を知りつつ、ヒーローの活躍を楽しむことに興味があったが、犯人がフリズスキャルヴを利用して逃げるのは許せないと考えていた。レイモンドはフリズスキャルヴのアドミニストレーターにジード・ヘイグのアカウントの削除を申請することにした。
その後、達也は鎌倉の顧傑の隠れ家へ出発し、吉見と共に現場に向かった。隠れ家には顧傑ではなく、強化魔法師「ジェネレーター」が待ち伏せしていた。達也はジェネレーターの攻撃を防ぎながら、彼らを制圧した。しかし、ジェネレーターの死体から僵尸術による攻撃が発動し、達也はこれを分解する魔法で対処し、吉見を守った。戦闘終了後、達也は現場を離れた。
顧傑を追う中で、達也は箱根テロ事件の首謀者を追いかけるグループの中で最も先行していた。一方、千葉寿和警部はまだ黒幕の足跡すら見つけられずにいた。寿和は、藤林からの電話を受け、彼女の心配を受けながら、テロ事件の首謀者捕獲への励ましを受ける。藤林は、寿和が「人形師」との面会後に異常がなかったかを確認し、彼女自身も寿和に心を寄せている様子がうかがえた。
その後、藤林は、寿和の意識に干渉がなかったことを確認し、国防陸軍第一〇一旅団の風間に報告する。この旅団は、十師族と競合しつつも、一部では協力関係にある複雑な立場にあった。藤林は、寿和を利用した形になったことに罪悪感を感じていたが、彼女は寿和との電話のやり取りを振り返り、彼が自分の昇任に気づいていなかったことから、彼らの関係を軽く受け止めることにした。
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二月十日の日曜日、達也と深雪は北山家を訪れた。雫に招待されたためであり、二人は瀟洒な洋室で迎えられた。雫は紅茶を丁寧に用意し、彼らをもてなした。その後、雫の父親である北山潮が現れ、魔法師に対するネガティブキャンペーンについての話を持ち出した。潮は十師族がどう対応するつもりかを尋ねたが、達也は十師族の意思決定を詳しく知る立場にないと答えた。潮はマスコミに口を利くこともできると申し出たが、達也は慎重な姿勢を示した。達也は潮の提案を丁寧に断り、魔法師や一高の生徒が犯罪の被害者になった場合に改めて助力を求めることにした。潮は静観することを決め、何かあれば相談するよう達也に促した。
達也が北山潮のマスコミ工作に関する申し出を断ったのは、マスコミ対策が彼の役割ではないためである。十師族がマスコミ介入を不要としているわけではなく、実際に七草弘一は国会議員の上野を高級レストランに招き、マスコミ対策について話し合っていた。上野議員は魔法師に好意的な立場であり、弘一は彼に魔法師が反魔法師団体に危害を加えられた場合、それが握りつぶされないように注意を払って欲しいと依頼する。弘一は上野に、起こり得る不当な暴力や虚偽、不法行為に対して、正しく対処できるよう協力を求めた。上野は状況の深刻さに苦悩しながらも、最終的に協力を約束する。
2月11日、達也、深雪、水波は一緒に登校し、学内が異常に活気づいていることに気づいた。これは、第三高校の一条将輝が一時的に一高に来ているためだった。一条は家庭の事情で一ヶ月間東京に滞在し、その間、一高の設備を使って第三高校のカリキュラムをオンラインで履修することになっていた。この措置は、ある事件に関連しており、教頭が生徒に説明した。一条は特定のクラスで、過去に留学生を迎え入れた経験があるクラスに一時的に加わることになった。
昼食時には、一条は男子生徒と親睦を深めるために別のグループに加わり、深雪とは別のテーブルで食事をした。一方で、達也はある任務に参加しており、幹比古は学校外での反魔法師団体の活動に対する懸念を表明した。達也は幹比古に対して、学校外での安全に注意を払うよう促し、任務に集中できるよう支援を求めた。幹比古は風紀委員会が収集した情報を生徒会に提供し、校内の安全を守るために努力することを誓った。
その日の授業終了後、達也は二年A組の教室を訪れ、深雪と一条将輝に会いに行く。達也は一条に任務に関するミーティングに参加するかを尋ね、一条はこれに同意する。その後、達也は深雪を心配し、彼女が何かを悩んでいると感じ取る。深雪は達也に悩みを話そうとするが、映像通話の着信で話が中断される。真夜からの通話で、達也たちの通信がアレによって傍受されている可能性があることが明らかになる。また、真夜は達也に対し、七草家の娘との関係に注意するよう促す。電話が終了した後、深雪は達也の反応を見て何かを感じ取り、達也は深雪が以前と変わっていることに気づく。達也は深雪に対する自分の感情を考え直し、彼女が抱える悩みに対してどのように接するべきかを模索する。
翌日、達也は早朝に吉見から手紙を受け取る。この手紙は真夜からのもので、顧傑の逃亡に国防軍の関与の可能性を示唆していた。達也は深雪に手紙の内容を共有し、国防軍の一部の腐敗に触れながらも、過去の過ちへの配慮を止めるべき時が来たと考える。二年A組での魔法の実習では、魔法の終了条件を定義する課題が与えられる。生徒たちはペアを組んで実習を行うが、将輝が新たに加わったことで、深雪が一人で練習する問題が解消される。将輝は深雪とペアを組み、魔法の実習に挑む。彼は自分の魔法力が深雪に劣らないことを証明しようとするが、リズムに乱れが生じるなどして苦戦する。最終的には合格ラインをギリギリでクリアするが、深雪が補助なしで完璧な成績を収めたことに比べると満足できない結果となる。
午前の授業が終わり、将輝はほのかから食堂へ行く誘いを受ける。彼女は昨日、将輝が意外な行動を見せたことに驚いていたが、今日は彼を自分たちのテーブルに誘う。達也は将輝の参加を快く受け入れ、彼らは食堂で昼食を共にすることになる。食堂では、エリカが将輝に捜査の進展を尋ね、達也が将輝をフォローする。深雪も将輝に気を遣い、話題を転換して彼をリラックスさせようとする。ほのかは、この機会を利用して達也に近づこうとする。彼女の行動は、彼女が達也への関心を深めていることを示している。恋愛における小さな策略として、ほのかの試みは恋の駆け引きの一環として描かれる。
達也は自宅から国防陸軍第一〇一旅団基地に向かい、そこで独立魔装大隊司令部との重要な交渉を行う。彼は箱根テロの首謀者、顧傑を追っており、その過程で顧傑が使用する古式魔法とその危険性を直接目の当たりにする。顧傑の手口は達也の理想と真っ向から対立しており、彼は顧傑を速やかに排除する必要があると決意している。達也は国防軍の施設が顧傑の協力者によって内部から操作され、敵性外国人による影響を受けている可能性があると風間に報告する。この施設は人体実験を行う軍の秘密施設であり、外部に漏れれば大きなスキャンダルとなる。達也は座間基地の近くに顧傑の隠れ家があり、非合法の戦闘が発生する可能性を指摘し、この問題を解決するためには旅団長の助力が必要だと説明するが、早急な行動が必要であるため、風間は達也の計画に同意する。達也は国防軍との偶発的な戦闘を避けるつもりだが、避けられない場合は「雲散霧消」を使って一切の痕跡を消す準備ができている。
達也は、四葉家の身内だけで構成された作戦メンバーと共に、顧傑の隠れ家がある病院への潜入を開始する。彼らは厳重な警備を避けながら、不可視フィールドの中から病院を観察し、顧傑を確保する計画を立てる。達也は、戦闘用スーツを着用し、高性能な装備を携帯する。病院に忍び込んだ彼は、ジェネレーターに変えられた強化魔法師との戦闘に勝利し、非常階段から飛び降りて、顧傑が乗り込もうとする救急車を目指す。しかし、彼の前に立ちはだかるのは、ハイパワーライフルから放たれる銃弾だった。
この日、座間基地にはUSNA軍の垂直離着陸大型輸送機が飛来し、基地司令は輸送機の隊長ベンジャミン・ロウズ少佐と面談を行った。ロウズ少佐は、脱走兵捕縛の任務で派遣されたと説明し、その脱走兵が基地に所属する魔法師の治療に当たっている医師の拉致を企てていると伝えた。彼は基地司令に対し、USNA軍の作戦行動を見逃すよう求めた。この要請は、基地の特戦兵訓練所から強化魔法師を貸し出すことで解決し、基地司令はカノープス少佐(ロウズ少佐)に協力することを約束した。
一方、達也は米軍兵士との戦闘に巻き込まれ、文弥と亜夜子が苦戦していることを知り、救援に向かう。彼は米軍の兵士を無力化し、戦闘を有利に進めた。米軍兵士の中には、キャスト・ジャマーを使って文弥と亜夜子の魔法操作を妨害する者もいたが、達也が到着して彼らを救出した。達也は、米軍兵士を現場に残し、文弥と亜夜子と共に病院内の死体を回収することにした。
座間基地に着陸しているUSNAの大型輸送機内で、カノープス少佐が妨害部隊の全滅を報告されていた。同時に、ジード・ヘイグ(顧傑)が乗った車の逃亡状況についても報告を受け、追跡車両がないことを確認している。USNA軍は、顧傑を捕らえるための準備が整っていたが、カノープスは直接拘束には動かず、上官の命令に従って、顧傑を公海上に誘導する方法を模索していた。この情報優位は、USNA情報機関が顧傑の想子波パターンを採取していたことと、特定の想子波パターンを追跡できる技術を持っていたために可能だった。
9
顧傑の追跡が米軍に妨害されてから進展がなく、達也は大きな徒労感を感じていた。彼のモチベーションは低下し、任務に身が入らない状態だった。USNA兵士が顧傑の逃亡を助けたことについて真夜と風間に報告し、背景の調査を依頼していたが、成果は出ていなかった。
一方で将輝は、学校をサボってでも任務を優先したいと考えていたが、父親や校長の顔を潰すわけにはいかず、焦燥感に耐えていた。授業中は集中できず、食事のために席を立ったところ、バレンタインデーで女子生徒からチョコレートを複数もらうが、それを深雪やほのかに見せたくなかった。しかし、彼は女子生徒たちから更にチョコレートをもらい、クラスメートたちとの会話の中でバレンタインの話題になる。将輝はこの話題から逃れたかったが、結局7個のチョコレートをもらっていたことが明らかになり、クラスメイトたちとのやり取りの中で、彼はその事実を受け入れざるを得なくなった。
授業終了後、達也は顧傑捜索のために生徒会を欠席し、校門へ向かっていた。
その途中、ほのかからバレンタインデーのチョコを受け取り、雫からは手提げバッグを贈られた。ほのかは達也が深雪と婚約していることを承知の上でチョコを渡し、達也はそれを受け取った。雫からのバッグにはさらに彼女からの義理チョコも入っていた。その後、エイミィやスバルからも義理チョコを受け取り、一年生の女子生徒からも声を掛けられるなど、達也は多くのチョコをもらった。結局、達也が受け取ったチョコの数は片手の指では収まらないほどになった。
達也がミーティングから帰宅すると、深雪が玄関で出迎えた。深雪はエプロンを着け、達也に荷物を運ぶことを申し出たが、達也は荷物がないと答えた。深雪は達也が学校から帰る際、荷物が増えていると聞いていたため、このような行動を取った。達也は深雪がへそを曲げていることに気づき、自分が受け取ったチョコレートについて説明した。深雪は、達也がほのかからチョコレートを受け取ったことについて、自分の行動を見直し、食事の準備をすることにした。夕食後、深雪は達也に自分の作ったホールケーキをバレンタインチョコレートとして提供し、達也はそれを受け取った。深雪はその後、コーヒーを淹れるためにキッチンへ向かった。
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昨日のバレンタインデーに久しぶりに笑ったり泣いたりできた魔法科高校と魔法大学の生徒たちであったが、その楽しい気分は一日だけだった。二〇九七年二月十五日に、魔法師に対して反感を持つ者たちによるデモが魔法大学の前で発生し、警官隊との間で揉み合いになった。このデモは、魔法大学に対する不法侵入未遂と公務執行妨害として警察によって阻止されたが、デモ参加者はこれを権力の被害者であるかのように演出し、一部は暴力行使に出た。ニュースでこの出来事が報じられると、生徒たちの間では反戦デモが盛んだった頃に比べて逮捕者数が少ないものの、最近では多いという話題になった。テレビでは、警察の対応を批判する弁護士のコメントも流れ、これに対してエリカは怒りの声を上げた。事件に対する生徒たちの反応は様々で、反魔法師の行動や弁護士のコメントに対する不満が語られた。
昼に放映されたニュースでは、警官がプラカードを振り回した暴徒を押さえ込んだシーンが放映されたが、実際にはその最中に暴漢が警官に向かって鈍器で殴り掛かろうとしたシーンがあった。この暴漢は、私服刑事である稲垣が取り押さえたが、稲垣が使用した魔法の影響で暴漢は訊問できる状態にない。この事件のデモ隊との関係は不明であり、報道されなかった理由は、暴漢とデモの間に関係があると誤解させる可能性があるからだ。稲垣は警官を守るために鈍器の一撃を腕で受け止め、骨折は免れたものの、酷い痣を負った。しかし、稲垣は警官や市民にダメージが入らないように腕で受け止めており、その技量は高い。稲垣が頭痛を訴えるのを見た寿和は、冗談を交えつつも、実際には稲垣のことを心配していた。
夜のニュースでは、魔法師批判で有名な神田議員が警察の対応を非難し、魔法の使用により厳格なルールの設定を提案していた。一方で、カルチャー・コミュニケーション・ネットワーク(カル・ネット)のケーブル局では、魔法師の権利を説く上野議員が警察の対応を擁護しており、魔法の使用について現行のルールを守っていることを強調していた。この放送を見ていた弘一は、神田議員の落ち着いた論調に意外さを感じており、討論の内容について真由美と話していた。一方、琢磨は上野議員の出演とキャスターの魔法師に対する好意的な態度に感謝し、それが真紀の影響によるものであることを知り、彼女に感謝の意を表していた。
反魔法師団体によるデモが続く中、顧傑は自身の計画が十分な影響を与えていないことに不満と焦りを感じていた。彼の目的は一般市民を巻き込み、魔法師に対する世論の敵視を強めることであり、特に十師族と四葉家を社会的に葬ることにあった。しかし、彼の予想に反して、内部分裂や反十師族の気運が決定的になる前に沈静化する恐れがあると考えていた。顧傑は、自分と同じように四葉一族を社会的に抹殺することを復讐の最後の策と見なしていた。
一方、西宮の第二高校では下校中の生徒が反魔法主義者に襲われる事件が発生。事件を受けて、達也は深雪とほのかに事件の状況を説明し、水波に深雪の護衛を一層強化するよう指示した。達也は、魔法師が魔法を使って自衛することが過剰防衛に問われないように、魔法による自衛権を法に明記することを提案した。しかし、これには時間がかかると予想していた。
事件の詳細については、二高生徒会副会長からの報告を通じて、一高の生徒会が情報を得た。事件では、魔法を使って暴漢を無力化した一高生が過剰防衛を問われる心配があるが、現時点では正当防衛と認められる可能性が高いとされている。達也は、深雪が襲われる可能性に備え、水波に深雪の保護を強化するよう指示し、魔法による攻撃以外では相手を負傷させる可能性のある魔法の使用を避けるように言いつけた。
日曜日の朝、エリカは長兄の寿和と偶然出会い、彼から異母弟の稲垣について聞かれる。寿和は稲垣が昨日から行方不明であることを気にしており、エリカに連絡するよう頼む。エリカは稽古中の道場で稲垣の情報を集めるが、特に役立つ情報は得られない。その後、寿和は稲垣が鎌倉にいるとの情報を元に「人形師」近江円磨の屋敷を訪れる。近江は不在だが、彼の「友人」であるグエンが寿和を迎え、稲垣が呪術により衰弱していると説明する。近江が稲垣を救おうとしているように見えるが、寿和は疑念を抱く。稲垣が意識を取り戻し、寿和を呼ぶが、突然寿和を襲って彼の意識を奪う。この出来事により、稲垣が何者かに操られている可能性が示唆される。
十師族に率いられた魔法師たちと警察は、箱根テロの首謀者である顧傑の行方を捜しているが、二月十八日の時点でまだ見つかっていない。
一方で、深雪は水波と泉美を伴い、卒業生への引き出物の打ち合わせのため駅前の商店に行っていた。打ち合わせを終えた後、彼女たちは人垣に囲まれた女子生徒を発見し、介入する。人垣を作った男たちは深雪たちに対して宗教的な言葉を投げかけ、監禁しようとする。深雪は水波に障壁魔法を使わせて自衛し、男たちを一時は阻止するが、男たちは「アンティナイト」と呼ばれるキャスト・ジャミングのアイテムを使い、水波の障壁魔法を破壊しようとする。これにより、深雪たちは危険な状況に置かれる。
アニメ
PV
OP
ASCA 『Howling』(TVアニメ「魔法科高校の劣等生 来訪者編」OPテーマ)八木海莉「Ripe Aster」(アニメ「魔法科高校の劣等生 追憶編」主題歌)ED
佐藤ミキ 「名もない花」「魔法科高校の劣等生」ED同シリーズ
魔法科高校の劣等生
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー
新魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち
魔法科高校の劣等生 夜の帳に闇は閃く
漫画版
四葉継承編
師族会議編
エスケープ編
その他フィクション
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