小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生（30）奪還編」感想・ネタバレ

　水波を連れ、日本を脱した九島光宜。パラサイト化したレイモンドと共に、USNA軍基地のある北西ハワイ諸島を目指す。
　一方、九重八雲という意外な伏兵によって追跡を阻止された達也だが、彼は水波のことを諦めてはいなかった。必ず連れ戻す、と深雪と約束したからだ。
　光宜とレイモンドが逃れた先。そこは奇しくも、リーナが救出を願うカノープス少佐が幽閉されたミッドウェー監獄に近い、パールアンドハーミーズ米軍基地。
　パラサイトを滅す新魔法『アストラル・ディスパージョン』を習得した達也が、水波と、そしてカノープス奪還のため、USNA軍基地を隠密裏に強襲する……!!
魔法科高校の劣等生（３０）奪還編

感想

当初、四葉家は敵であったが、現在は完全に味方になっている。

その代わり、国防軍、パラサイトたち、そしてそれに汚染されたアメリカ軍、日本の世論が達也に牙を剥いたが、達也はこれを返り討ちにする。

四葉家は藤林家とリーナを所属組織から引き離す動きを見せ。

そして、インドからは良いニュースが届く。捨てる神がいれば拾う神もいる。

ただし、達也という戦略級魔法師は国という単位で収まる器ではなかった。

そんな達也が使用人の救出についに乗り出し、救出に成功するも、相手はその前に退散しており、不気味であった。

達也の強さは半端ではない事も世間で認知され出す。

彼は1人で艦隊と渡り合い、拠点を1つ無効化する。

それは婚約者の護衛を奪還するためだけに行われたことだった。

さらに、次の新章「メイジアンカンパニー」への布石がこの巻に大胆に設けられていた。

備忘録

1
達也と深雪は、ほのかのお見舞いに行く予定をし。
深雪はリーナの魔法で変装しており、これはマスコミから逃れるためであった。
達也は水波の奪還に失敗したが、彼らは諦めた訳ではなかった。
その後、達也は自宅でコーヒーを飲みながら水波の現在位置を追跡し、光宣のエイドスを探そうとするが、光宣の「鬼門遁甲」により失敗。
一方、国防軍では達也の行動が話題になっており、彼らは達也の行動を警戒し、彼を擁護しない方針を示す。達也は師族会議に参加し、戦略級魔法師としての彼の立場や、最近の事件について討論される。彼は自分の戦略級魔法師としての立場を明らかにしないが、会議の参加者たちは彼の能力を認識している。その後、達也、深雪、リーナはほのかの病院を訪れる。ほのかとリーナは達也に感謝し、達也はほのかの誘拐について謝罪する。彼らは水波の現在地と、彼女が米軍の輸送艦で移動している可能性について話し合う。最後に、リーナは達也と深雪と夕食を共にし、その日の出来事や今後の行動について話し合う。
2
風間中佐は、柳少佐、独立魔装大隊の下士官、兵卒数名、オーストラリア軍の魔法師であるジャスミン・ウィリアムズとジェームズ・Ｊ・ジョンソンを伴い、硫黄島へ向かう。これらの魔法師は捕虜ではなく、敵対戦闘員として収監されていたが、解放される予定である。
一方、達也、深雪、リーナは、水波を追跡するためにエアカーの開発状況を確認するためにＶＴＯＬに乗り込む。達也はエアカーでの移動が最終手段であることを考えている。
硫黄島では、イギリス海軍の空母が近づいている。その空母からは小型の極超音速輸送機が出現し、硫黄島に着陸する。
達也たちは巳焼島に到着し、予定とは異なる場所に案内される。そこで四葉家当主・四葉真夜に出会う。リーナは真夜との会話で、日本に残ることについて悩んでいることが明らかになる。
風間中佐は、硫黄島でイギリス海軍の代表と会い、ジャスミン・ウィリアムズとジェームズ・Ｊ・ジョンソンを引き渡す。代表は戦略級魔法師のウィリアム・マクロードで、風間は彼に重要な手紙を渡す。
達也たちは、チャンドラセカール博士や他の魔法師と会話し、魔法師の権利や戦略級魔法師の管理について話し合う。
奈良市の大型ホールで九島烈の葬儀が行われ、多くの参列者が集まる。
会場には、美しい二人の女性と一人の男性（司波深雪、彼女の兄である司波達也、そして四葉家の女主人・四葉真夜）が登場し、会場の注目を集める。
葬儀は四時間にわたり、焼香の参列者が多く、通常とは異なる流れで進行する。出棺には直系親族のみが同行し、葬儀後の会食は真言の妻の実家である富士林家が担当する。
藤林家の当主・藤林長正は、九島光宣の逃亡を支援したことで、この場で疎外されている。藤林家の藤林響子中尉は何の役目も与えられず、辛い思いをしている。
響子は四葉真夜に謝罪し、真夜は彼女に軍を辞めて四葉家に来ることを提案する。真夜は響子の魔法と知性を高く評価し、彼女の能力をもっと広い分野で活かすべきだと考えている。
響子は真夜の提案に興味を示し、考える時間を求める。
最後に、真夜と彼女の一行は葬儀会場を後にする。葉山（真夜の部下）は真夜に響子をスカウトする意図を尋ね、真夜は響子の能力を魔法の研究に用いることに興味があることを明らかにするが、同時に響子を軍から引き離すことも戦略的な意味があると考えている。
3
光宣と水波は、輸送艦「コーラル」に乗ってパールアンドハーミーズ環礁の米軍基地に到着するが、上陸できず、不安を感じている。
司波家の朝食の場面では、水波が基地に到着したことと、北西ハワイ諸島への渡航手段を待つ達也の様子が描かれる。
深雪は、四葉本家からの指示で達也とリーナを連れて都内のホテルで行われる会食に出席する。
この会食で、達也と深雪はUSNAの上院議員ワイアット・カーティスと接触し、彼から北西ハワイ諸島への渡航手段と、ミッドウェー監獄からのベンジャミン・ロウズ（カノープス少佐）の救出を依頼される。カーティスの目的は、パラサイトの駆逐と政治的な面子の問題である。
日本の軍部では、この動きについて議論が行われており、四葉家の使用人である葉山忠教とカーティス議員の接触に関心が集まる。佐伯は達也を軍事法廷に召喚する計画を立てる。
4
北西ハワイ諸島の米軍基地に輸送艦が入港し、兵士たちは緊張した様子で別の輸送艦「コーラル」に向かう。この「コーラル」には光宣と水波が乗っており、基地内の異常事態を感じ取っている。
「コーラル」に乗っている乗員はパラサイトと見なされ、米軍の兵士たちに襲撃される。パラサイトを駆逐するために特殊な銀・水晶の弾丸が使用される。
光宣と水波は、襲撃された際に魔法で反撃するが、水波は魔法の使用によって体力を消耗する。光宣は彼女を守りつつ、敵兵を無力化する。
達也は東道青波に会い、特務士官の地位を返上し、軍事力を合法的に行使するための手配を依頼する。達也は米軍基地での事件に関連して、水波の救出計画を立てる。
東道は達也に、ワイアット・カーティスの依頼を受けてよいと伝え、条件としてパールアンドハーミーズ基地の全壊を避けるよう指示する。
最後に、達也は東道と八雲から出国確認証印済みの公用旅券を受け取り、米国への出国の準備をする。
5
パールアンドハーミーズ基地に、スターズ本部から派遣された輸送機が到着。スターズ本部は異常事態の解決を求めており、アンタレス少佐とサルガス中尉が派遣される。
基地内で、アンタレス少佐とサルガス中尉は、九島光宣という日本人出身のパラサイトに対して精神干渉魔法を用いる計画を立てる。光宣はパラサイトの集合意識から独立しており、彼らにとって脅威である。
霞ヶ浦基地で、達也は佐伯少将に特務士官の地位を返上しようとするが、佐伯はこれを受け入れない。達也は戦略級魔法師としての特殊な立場と、国家との関係を巡って議論する。
光宣は、パラサイトになる以外に水波を救う方法がないと悩み、同時にアンタレスとサルガスの精神攻撃から身を守る。
光宣は、アンタレスとサルガスの攻撃を「フォボス」という魔法で反撃し、彼らを精神的に圧倒する。
最終的に、光宣はアンタレスとサルガスに対し、彼の心に二度と干渉しないよう警告し、互いに謝罪を交わす。
6
7月20日、達也は学校に行かず、深雪とリーナと朝食をとる。達也は北西ハワイ諸島へ向かう予定で、リーナに深雪の面倒を見てもらうことを頼む。
達也は巳焼島の新しい港から、アメリカ海軍のヘリコプター駆逐艦「マシュー・Ｃ・ペリー」に乗船する。しかし、彼が乗った小型艇「落陽丸」は警備艦「粟国」に体当たりされ、沈没する。
達也は重傷を負ったフリをして病院に搬送されるが、実際には怪我はしていない。深雪が病院に到着し、達也の重傷を知って崩れ落ちる姿がメディアに報じられる。
達也は地下の秘密施設からフリードスーツを着用して出発し、原子力潜水空母「バージニア」に合流する。彼の本当の目的地は北西ハワイ諸島であった。
達也の計画の背後には、真夜という人物がいた。彼女は「粟国」のテロ行為を自ら手配しており、達也の演出された重傷やメディアの報道も彼女の計画の一部であった。
最終的に、達也は無事に「バージニア」に乗船し、新発田勝成らと合流する。一方、「粟国」に乗っ取られた軍人たちは国防軍に引き渡され、その後自決する予定である。
7
魔法大学付属第一高校が夏休みに入り、九校戦が中止されたため、生徒会長の深雪のスケジュールは空いている。深雪は達也の看病を名目に巳焼島に滞在している。
深雪は病院のモニター室から友人のほのかと電話で話し、達也の偽装入院を維持しつつ、ほのかと他の友人たちの訪問を許可する。
達也が海上テロに巻き込まれて入院したというニュースは、十師族間で話題になっている。一方で、一条家では、大亜連合から亡命してきた劉麗蕾が新たに一条家に滞在し始める。
佐伯少将は一条家を訪れ、戦略級魔法師の管理に関する政府の方針を説明し、一条将輝と劉麗蕾の協力を求める。両者は協力を承諾する。
一条家の娘である茜は、劉麗蕾に恋愛アドバイスを与え、彼女の一条将輝への好意を助ける。
四葉家は藤林家に対し、佐伯少将の利敵行為に関する証言を求める。藤林家はこれを受け入れ、響子は証言を決意する。
深雪はほのかの他、七草真由美からの達也の見舞いの申し出を受け入れることを決める。
佐伯少将は金沢基地を後にし、霞ヶ浦基地に戻る。彼女は達也の状況について疑念を抱き、情報部に調査を命じる。
8
巳焼島の空港に、北山家と七草家の自家用機が偶然同時に到着する。雫、ほのか、エリカ、レオ、そして真由美が島の病院に向かう。達也が入院しているとされるこの病院で、彼らは深雪とリーナに出迎えられる。
深雪は彼らに、達也が実際には病院にいないことを明かし、彼の治癒能力「再成」によって既に回復していたことを説明する。
この事実に当初は驚くものの、グループは深雪の計画に賛同し、彼らは達也が入院しているという話を他者に伝えることに同意する。
病院は盗撮報道騒ぎのため、関係者以外の立ち入りが禁止され、厳重なセキュリティが施されている。マスコミはこの状況を突破しようと試みているが、成功していない。
陸軍情報部からの諜報員が、島に近いクルーザー上で状況を監視しているが、病院への潜入は困難と判断されている。
夕方、真由美やほのかたちは島の東側にあるゲストルームに移動する。深雪とリーナは病院に残り、新ソ連の工作員がまだ沖で活動していること、近く台風が接近することについて話す。
9
達也が原子力潜水空母「バージニア」からミッドウェー島に向かう。彼の目的は、囚われているベンジャミン・カノープス少佐の救出である。
エアカーで島に到着した達也は、監獄の防衛システムを破壊し、カノープスの居場所を探知する。途中で多くの敵と戦闘になるが、達也の卓越した戦闘能力で敵を退ける。
カノープスを見つけた達也は、彼に加えて彼の部下であるアルゴル少尉とシャウラ少尉も救出することになる。
達也たちは敵の大勢の警備兵を突破し、エアカーで脱出する。その過程でカノープス救出の任務を達成し、「バージニア」に戻る。
エアカーが「バージニア」に帰還した後、達也はカノープス少佐救出の成功を報告し、すぐに次のミッションの準備に取り掛かる。
パールアンドハーミーズ基地では、ミッドウェー基地を襲った敵を追うための準備が進められていた。しかし、重要な人物の一部が襲撃犯によって拉致され、計画は敵の追跡に切り替わる。レイモンドと光宣という二人が、襲撃犯である達也に関して話し合っていた。レイモンドは興味本位で、光宣は達也の能力について語る。この基地から出撃する艦と飛行機の詳細が語られる。特に「ホーンドアウル」というステルス性能に優れた戦闘機が注目される。光宣は、達也に対する脅威を感じており、基地が彼に対抗できないと考えている。
光宣とレイモンドは、基地からの脱出を計画するが、その過程でスピカ中尉との対立が起こる。
スピカは二人を移動させようとするが、光宣の強力な魔法によって返り討ちにされる。
光宣とレイモンドは基地を離れるが、水波は基地に残される。光宣は水波のために戻ることを躊躇するが、最終的には彼女を残して去る。
一方、達也は敵飛行機との空中戦を行い、その後パールアンドハーミーズ基地に向かう。
彼は基地での異常な状況に気づくが、最終的には水波を救出する。この物語は、達也が水波を連れて帰るところで終わる。
彼らは深雪によって温かく迎えられる。